商標異議申立
2024-900220
マドラスメタシューズ、マドラスメタ、マドラス、メタシューズ、メタ
- 審判番号
- 2024-900220
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-131578
- 登録番号
- 6835014
- 請求日
- 2024年10月25日
- 審決日
- 2025年06月18日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】マドラス株式会社
- 【異議申立人】尾崎 英司
- 【異議申立人代理人】杉浦 健文
- 審判長/審判官
- 審判長 板谷 玲子
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 馬場 秀敏
- 分類
- T1651.261-Y (W25) / T1651.262-Y (W25) / T1651.263-Y (W25) / T1651.22 -Y (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項11号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6835014号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6835014号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6835014号商標(以下「本件商標」という。)は、「madras meta shoes」の欧文字と、「マドラスメタシューズ」の片仮名を2段に横書してなり、令和5年11月28日に登録出願、第25類「洋服,コ-ト,セ-タ-類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,ティーシャツ,和服,アイマスク,エプロン,えり巻,靴下,ゲートル,毛皮製スト-ル,ショ-ル,スカ-フ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチ-フ,バンダナ,保温用サポーター,マフラ-,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服(「水上スポーツ用特殊衣服」を除く。),運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。)」を指定商品として、同6年7月16日に登録査定、同年8月19日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標について引用する登録第6522603号商標(以下「引用商標」という。)は、「metashoes」の欧文字を標準文字で表してなり、令和3年12月9日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」のほか、第9類、第35類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同4年3月3日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標を構成する欧文字は、「madras」、「meta」、「shoes」の各文字の間に間隔を有している。
したがって、本件商標は、「madras」と、「meta shoes」とに分離して認識することができる。
また、本件商標の商標権者は、マドラス株式会社(以下「マドラス社」という。)である(甲1)。このことから、本件商標を構成する欧文字「madras」は、マドラス社の社名に由来していると容易に認識される。
つまり、当該文字から、マドラス社の社名である「マドラス」の独立した観念が生じる。
一方、本件商標を構成する「meta」は、本来接頭語であった語源が転じて、「高い次元の、超越した」との観念が生じる(甲3)。
そして、「shoes」から、「シューズ」との観念が生じるため、「meta shoes」からは、「超越した、シューズ」との観念上つながりのよい、まとまりのある観念が生じる。
以上から、社名「マドラス」の独立した特定の観念を生じる「madras」と「超越した、シューズ」との観念上つながりのよい、まとまりのある特定の観念を生じる「meta shoes」とは、観念上、分離して看取することができる。
よって、本件商標からは、「メタシューズ」の称呼が生じる。
イ 「madras」の周知性・著名性
マドラス社は、大正10年5月18日に創業して以来、100年を超える歴史のある老舗企業である。同社の資本金は、5千万円、従業員数は310名(グループ会社を含む600名)である(甲4)。
また、ウェブサイト「FUMA」では、同社の売上高は、全国の革製履物製造業で上位10位となっている(甲5)。
さらに、ダンサーや俳優など幅広く活躍するI氏がマドラス社のクリエイティブディレクターに就任したことは、話題となった(甲6、甲7)。
I氏は、本補正書提出時点で、インスタグラムのフォロワーが309.4万人、X(エックス)のフォロワーが215.7万人である著名人である(甲8、甲9)。
以上のことから、マドラス社は、国内で創業100年を超える老舗企業であり、その売上げは、全国の革製履物製造業で上位10位の周知、著名の企業である。
また、著名であるI氏が同社のクリエイティブディレクターに就任したことや、同氏が同社代表取締役と血縁関係を有していたことが話題となったことも相まって、マドラス社は、日本全国に周知されている著名な企業であり、同社の社名である「マドラス」も周知性、著名性を有している。
すなわち、本件商標の構成中、著名な社名である「マドラス」に相応する「madras」は、強い識別力を有している。
一方、本件商標の構成中「meta shoes」は、引用商標が商標登録されていることから、識別力を有していることは間違いないものの、「madras」と同程度の識別力を有しているといえる事情はない。
つまり、本件商標の構成中「madras」と「meta shoes」とは、その識別力の軽重に差がある。
したがって、本件商標の構成中、著名な社名である「マドラス」に相応する「madras」と、それ以外の「meta shoes」とは、需要者に分離、抽出されて観察されることになる。
よって、本件商標からは、「メタシューズ」の称呼が生じる。
ウ 本件商標と引用商標の類否
引用商標は、「metashoes」の欧文字を書してなるものであるから、当該欧文字の発音に相応する「メタシューズ」の称呼が生じる。
称呼の対比においては、本件商標と引用商標とは、ともに「メタシューズ」との共通する称呼が生じるから、その称呼において、類似の商標である。
外観の対比(外観類似)においては、本件商標から、「meta shoes」だけが分離、抽出された外観で、需要者、取引者に観察され、引用商標は、「metashoes」との外観で、需要者、取引者に観察される。
したがって、本件商標と引用商標とは、その外観において類似の商標である。
観念の対比(観念類似)においては、本件商標からは、「超越した、シューズ」との観念上つながりのよい、まとまりのある観念が生じ、引用商標からも「超越した、シューズ」の観念が生じるから、その観念において類似の商標である。
以上より、本件商標と引用商標とは、その称呼、外観、観念のいずれについても類似する商標である。
そして、本件商標と引用商標の指定商品は、第25類において、同一又は類似のものに使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第7号について
ア マドラス社は、現在「メタシューズ」という商標の存在を認識しつつ、直接的にその商標を使用できない状況において、回避的な手法を駆使しながら、そのブランド価値を利用しようとしていることが推測される。
(ア)マドラス社による関連する登録商標の取得事実
マドラス社は、本件商標の登録出願の約10日前に、「メタブーツ」、「メタサンダル」を登録出願しているが、これらの商標には、「madras」又は「マドラス」が含まれていない。
このことから鑑みるに、マドラス社は、「ブーツ」及び「サンダル」と靴に関する名称での商標出願を行っていることから、同じく靴の名称に関する「シューズ」での商標出願を検討されたであろうことは容易に推測可能である。
しかし、これらの出願以前に申立人による引用商標が登録されていた。
そこで、マドラス社は、引用商標の存在を認識した上で、引用商標との類似を回避するために、本件商標は、社名である「madras」の文字を追加したと推測できる。いわば商標の盗用ともいえる行為である。
(イ)使用商標「meta insole shoes」の表記特徴と意図
マドラス社が使用する使用商標「meta insole shoes」の表記は、「meta」と「shoes」の間に「insole」を挿入する構成となっており、商標権侵害を直接的に回避する意図があると考えられる(甲12)。
さらに、この使用商標は、字体や配置を工夫することにより、「metashoes」の部分に視覚的・聴覚的な類似性を持たせ、需要者に「metashoes」を想起させる効果を意図している可能性が認められる。
(ウ)マドラス社のプロモーション活動
マドラス社は、自社ウェブサイトのトップページにおいて「meta insole shoes」を搭載した靴を全面的に押し出し、メインビジュアルやスクロール表示で同様の商品を多く掲載している(甲13)。このような状況から、同社が「meta shoes」という商標を使用したいという強い意図を有していることが示唆される。
(エ)YouTubeにおける「メタインソールシューズ」検索誘導
マドラス社は、2024年10月7日に公開されたYouTubeの宣伝動画において、「メタインソールシューズ」という名称を検索窓に記載し、その名称で検索するよう視聴者を誘導している(甲14)。この手法を用いて「メタインソールシューズ」を検索エンジン上で普及させることで、需要者が「メタシューズ」を検索した際にマドラス社の商品ページが表示される可能性が高くなることは明白である。
(オ)需要者への影響と商標価値の毀損
これらのプロモーション活動や表記手法は、需要者に「meta shoes」との混同を招く可能性が高い。また、これより、「meta shoes」との商標の出所表示機能が毀損され、商標価値が低下するおそれがある。
(カ)マドラス社の資本力とその使用による経済的価値の影響力
マドラス社は、創業100年を超える老舗企業であって、その資本力は、個人である申立人とは比べ物にならない。そして、その資本力に勝るマドラス社による本件商標の使用は、引用商標の出所表示機能を毀損、希釈化し、その経済的な価値を低下させる行為であって、申立人の精神的、経済的な損害を及ぼすおそれがあるものである。
イ 小括
本件商標の登録を認めることは、引用商標の出所表示機能を毀損、希釈することなど不正の目的をもって出願したものであり、商取引の秩序を乱し、ひいては社会公共の利益に反し、又は社会一般的道徳観念に反するというべきである。
したがって、本件商標の登録を認めることは、商標法の予定する秩序に反するものとして、容認し得ないものであり、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「madras meta shoes」の欧文字の下に「マドラスメタシューズ」の片仮名を2段に書してなるところ、当該下段に書された片仮名は、上段の欧文字の読みを表したものといえる。
そして、本件商標の構成文字は、上段の欧文字部分においてスペースを有するとしても、下段の片仮名は、隙間なく横一列に書され、全体の外観においてまとまりよく一体的に書されており、当該構成文字から生じる「マドラスメタシューズ」の称呼もよどみなく一気一連に称呼し得るものといえる。
以上のような本件商標の文字構成から、その構成中の後半部分の「meta shoes」及び「メタシューズ」を分離抽出する特段の事情は見いだせない。
この点につき、申立人は、本件商標は、その構成中、著名な社名である「マドラス」に相応する「madras」が強い識別力を有しているため、当該部分とそれ以外の部分とは識別力の軽重に差があるから、「meta shoes」部分が分離、抽出されて観察されることになる旨主張するが、申立人の提出する証拠によっては、「madras」の文字の周知著名性を推し量るに足りない上、仮に当該文字部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるといい得たとしても、これをもって直ちに、本件商標の構成において「meta shoes」の文字部分のみが出所識別標識として分離抽出され取引に資されるというべき事情は見いだせない。
また、本件商標の構成文字は、辞書等に掲載が認められないから、特定の観念は生じないものといえる。
イ 引用商標
引用商標は、上記2のとおり、「metashoes」の欧文字を標準文字で表してなり、同書同大にまとまりよく表した構成文字に相応して、「メタシューズ」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に掲載が認められないから、特定の観念は生じないというべきである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標は、欧文字及び片仮名を2段に書してなるのに対し、引用商標は、欧文字を横一列に表してなり、また、両者の構成文字及びその文字数において明らかな差異を有するから、両者は、外観において相紛れるおそれはない。
次に、本件商標から生じる「マドラスメタシューズ」の称呼と引用商標から生じる「メタシューズ」の称呼は、「マドラス」の音の有無に差異を有し、それぞれを一連に称呼するときは、語感、語調が相違し、称呼上、明瞭に聴別し得るものというべきである。
また、本件商標と引用商標からは、特定の観念が生じないから、観念において比較することはできない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において区別でき、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 小括
したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、マドラス社が引用商標の存在を認識した上で、引用商標との類似を回避するために、社名である「madras」の文字を追加したと推測でき、いわば商標の盗用ともいえる行為である旨、マドラス社による本件商標の使用は、引用商標の出所表示機能を毀損、希釈化し、その経済的な損害を及ぼすおそれがある旨主張している。
しかしながら、申立人の提出した証拠からは、申立人の主張を客観的、具体的に裏付ける事実は見いだせない。
また、マドラス社の「meta insole shoes」、「メタインソールシューズ」の使用(甲12~甲14)は、本件商標とは異なる標章の使用に係るものであるところ、当該使用態様によって本件商標が引用商標の出所表示機能を毀損、希釈化することなど不正の目的をもって出願したものであるという根拠になるとはいい難い。
そうとすれば、本件商標について、引用商標の出所表示機能を毀損、希釈することなど不正の目的をもって出願したものであり、商取引の秩序を乱すものということはできない。
また、本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものなどといい得る事情も見いだせない。
さらに、本件商標は、その指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものでもなく、その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第11号に該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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