商標異議申立
2024-900216
オーラプロ
- 審判番号
- 2024-900216
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2024-002815
- 登録番号
- 6831012
- 請求日
- 2024年10月15日
- 審決日
- 2025年06月30日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】小林製薬株式会社
- 【異議申立人】サンスター スイス エスエー
- 【異議申立人代理人】山尾 憲人
- 【異議申立人代理人】川本 真由美
- 【異議申立人代理人】市川 久美子
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 目黒 潤
- 分類
- T1652.261-Y (W03) / T1652.262-Y (W03) / T1652.263-Y (W03) / T1652.271-Y (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6831012号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6831012号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6831012号商標(以下「本件商標」という。)は、「オーラプロ」の文字を標準文字で表してなり、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つけまつ毛用接着剤,口中清涼剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,入れ歯洗浄剤,歯磨き,化粧品,香料,薫料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、令和6年1月15日に登録出願、同年6月26日に登録査定、同年8月5日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標について引用する登録商標は以下のとおりであり、その商標権は現に有効に存続している。これらをまとめて「引用商標」という。
(1)登録第5078715号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:「オーラ」及び「Ora」の文字を上下二段に横書きしてなる商標
登録出願日:平成18年12月25日
設定登録日:平成19年9月21日
指定商品:第3類「歯磨き,洗口液」、第21類、第29類、第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(2)登録第5787131号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:別掲1のとおり
登録出願日:平成26年8月7日
設定登録日:平成27年8月21日
指定商品:第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料,薫料」、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(3)登録第5127616号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
登録出願日:平成19年6月21日
設定登録日:平成20年4月11日
指定商品:第3類「歯磨き,薬用歯磨き,洗口液,薬用洗口液(医療用のものを除く。),口臭消臭スプレー」、第5類「歯科用診断薬,虫歯予防剤,歯垢顕示薬,歯牙漂白用歯科用剤,その他の歯科用薬剤,歯科用ワックス,歯科用印象材,歯科用修復剤,歯科用研磨剤,その他の歯科材料,医療用あめ,医療用チューインガム」、第9類、第10類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(4)登録第4250620号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様:別掲3のとおり
登録出願日:平成10年1月21日
設定登録日:平成11年3月12日
指定商品:第3類「歯磨き,せっけん類,香料類,化粧品」
(5)登録第4711486号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様:別掲4のとおり
登録出願日:平成15年3月27日
設定登録日:平成15年9月19日
指定商品:第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,口臭消臭スプレー,洗口液,歯磨き,化粧品,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(6)登録第4835780号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の態様:別掲5のとおり
登録出願日:平成16年6月8日
設定登録日:平成17年1月28日
指定商品:第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,口臭消臭スプレー,洗口液,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」、第10類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品中「口中清涼剤,口臭用消臭剤,入れ歯洗浄剤,歯磨き」(以下「申立てに係る商品」という。)について商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第52号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア Ora2商標の周知性
申立人は、スイスを本拠地とし、複数か国に拠点を有するグローバル企業グループ「サンスターグループ」において、オーラルケア、健康食品、化粧品等消費者向けの製品・サービスを統括している事業者であり、日本においては、子会社のサンスター株式会社を通じて、種々の製品の製造販売を行っている(以下、申立人とサンスター株式会社を併せて「申立人等」という。)。
申立人等は、1998年に、若い女性向けのオーラルケアブランドとして「Ora2(オーラツー)」を立ち上げ、現在に至るまで、歯磨き、洗口液、歯ブラシ、口臭消臭スプレーを中心とした種々のオーラルケア製品を展開している(甲14~甲16)。Ora2ブランドでは、発売当初から一貫して、識別標識として、引用商標3と同一の「O」の文字をやや図案化した「Ora」を大きく表し、「a」の右上に小さく数字「2」を表してなる商標(以下「Ora2商標」という。)を使用している。Ora2商標は、常に商品パッケージの前面に大きく表示されている他、宣伝広告等でも顕著に表されていて、Ora2ブランドの識別標識として、広く需要者等に記憶、認識されてきた(甲15、甲16、甲20~甲40)。
「Ora2」は、申立人等の主力ブランドのひとつであり、Ora2ブランドの商品は、日本全国のドラックストア、スーパーマーケット、コンビニエンスストアをはじめとする小売店において大々的に販売されている。株式会社インテージが提供する「SRI+(全国小売店パネル調査)」のデータ(甲17~甲19)によると、Ora2ブランドで販売される「歯ブラシ、歯磨き、マウスウォッシュ、口中衛生用品」の4カテゴリーの2023年1月から12月の売上げは93億円以上、販売数は3,600万個以上に上り、個数ベースで、4.1%の市場占有率である(甲18)。オーラルケア製品市場は、多種多様な商品が多数のメーカーから販売されているため、市場占有率は、最も大きいブランドでも10数%で、多くは数%や1%以下にすぎないことを考えれば(甲18)、この市場占有率は高いというべきであり、Ora2ブランドの商品は、オーラルケア製品市場における主要ブランドのひとつであるといえる。また、「マウススプレー」のカテゴリーでは、Ora2ブランドの商品は、個数ベースで86.3%という高い市場占有率を誇っている(甲19)。
このように、オーラルケア製品の分野で、Ora2ブランドは、需要者に広く受け入れられ認知されているブランドである。また、Ora2ブランドの商品は、日本以外にも、中国、台湾、タイ、マレーシア、シンガポール等、アジア各国において販売されている(甲20~甲24)。このような商品販売を通じて、Ora2商標は、広く日本の需要者の目に触れ、商品選択の際の識別標識として記憶・認識されてきた。
さらに、申立人等は、Ora2ブランドについて、長年、積極的な宣伝広告活動を行ってきた。中でも、テレビCMについては、ターゲットである若い女性に訴求するため、女優やミュージシャン、タレント等の有名人を起用し、スポットCMやインフォマーシャルを毎年継続して行っている(甲25~甲35)。また、有名なキャラクターやアニメ等との期間限定のコラボレーションや各種キャンペーン、イベント等も頻繁に行い、常に話題性のある商品として需要者等にアピールしてきた(甲36~甲40)。
こうしたCMやキャンペーン等の宣伝広告活動において、Ora2商標やこれが付された商品パッケージは、常に顕著に表示されていて(甲25~甲40)、Ora2商標は、その外観が需要者に強く印象付けられてきた。また、「Ora」にちなんで、「オーラルコスメで、愛されオーラを」(甲30)、「まいにちつづく、前向きオーラ」(甲32)、「くちもとからハッピーオーラ」(甲39)、「くちもとからアイドルオーラあふれる!」(甲40)などといったキャッチフレーズを用いたり、タイアップソングに「すんごいオーラ」を採用する等(甲25)、「オーラ」の語を強調して需要者に記憶させる宣伝広告を多数行ってきた。
このような大々的な商品販売や宣伝広告活動により、Ora2商標は、オーラルケア製品の分野において、申立人等の販売するOra2の商品群を表すものとして、日本の需要者・取引者に広く知られるに至っている。
イ Ora2商標の構成について
Ora2商標は、図案化した「Ora」の文字と、その右上に小さく表示した数字「2」からなるところ「Ora」は、「2」と比べてかなり大きく表されていることから、外観上、「Ora」の文字部分が需要者の目を引く部分であって、商品を選択する際にまず着目される部分であるといえる。また、右上に小さく表した「2」は、二乗記号のようにも捉えられ、「「Ora」の二乗」といった観念も想起させることから、観念上も、「Ora」が主となる部分であって、Ora2商標の要部と認識するとみるのが自然である。
加えて、申立人等は、Ora2ブランドのCMやキャンペーン等において、「オーラ」の語を用いたキャッチフレーズ等により「オーラ」とOra2ブランドとを紐づけて需要者に印象付ける宣伝広告を長年行ってきた。そうすると、オーラルケア分野において、オーラ(Ora)」といえば、申立人等の「Ora2ブランド」を需要者が想起する場合も少なくないというべきである。
したがって、Ora2商標の要部は、「Ora」であり、全体から生じる「オーラツー」の称呼以外に「オーラ」の称呼も生じる。
ウ 本件商標について
本件商標は、「オーラプロ」の文字を表してなるところ、「プロ」の文字は、「専門家」を意味する「プロフェッショナル」の略として、広く知られた外来語であることから、本件商標は、「オーラ」に「プロ」を結合させたものであると容易に認識される。本件の指定商品中、申立てに係る商品が属するオーラルケア製品分野において、「プロ」の文字は、歯科医や歯科衛生士等の専門家を想起させ、歯科で使用されている、歯科医の監修を受けている等、より専門的で効果の高い商品であるといった印象を需要者に与える。実際に、オーラルケア商品の分野では、「プロ(PRO)」の文字は好まれて使用されていて(甲41~甲52)、同じブランドの中でも、より効果の高い商品に使用している場合も少なくない(甲41~甲46)。
そうすると、本件商標の後段の「プロ」は、識別力がないか、極めて弱いというべきである。一方で、前段の「オーラ」は、指定商品の内容や性質を表すものではなく、むしろ、前述のとおり、オーラルケア製品との関係においては、「オーラ」といえば、申立人等の「Ora2ブランド」を想起させる場合も少なくないから、本件商標は、「オーラ」の部分が強く支配的な部分であり、要部であるといえる。
したがって、本件商標からは、全体から生じる「オーラプロ」の称呼以外に「オーラ」の称呼も生じ、申立人等の「Ora2ブランド」の観念が生じる。
エ 本件商標と引用商標との類否について
(ア)引用商標1及び2は、いずれも「オーラ」と「Ora」の文字を結合させた構成からなり、「オーラ」の称呼を生じる。
本件商標と引用商標1及び2を比較すると、本件商標の要部である「オーラ」の文字部分は、引用商標1及び2の「オーラ」の文字部分と同一であり、「オーラ」の称呼を共通にする。
加えて、前述のとおり、オーラルケア製品分野においては、「オーラ(Ora)」は、申立人等の「Ora2ブランド」を想起させるため、両者は観念も共通にする。また、本件の指定商品中の「入れ歯洗浄剤,歯磨き」は、引用商標1の指定商品中の「歯磨き,洗口液」及び引用商標2の指定商品中の「歯磨き」と同一又は類似する。
したがって、本件商標は、その要部において、引用商標1及び2と外観、称呼、観念を共通にする類似の商標であり、同一又は類似の商品に使用するものである。
(イ)引用商標3は、広く知られたOra2商標と同一の構成からなり、引用商標4ないし6は、いずれもOra2商標に「オーラツー」の文字を結合させた構成からなり、Ora2商標の要部は、「Ora」の部分であるため、これらの商標からは、全体から生じる「オーラツー」の称呼以外に「Ora」の文字部分から、「オーラ」の称呼も生じる。
本件商標と引用商標3ないし6を比較すると、本件商標の要部である「オーラ」の文字部分は、引用商標3ないし6の要部である「Ora」と「オーラ」の称呼を共通にする。
また、オーラルケア製品の分野においては、「オーラ(Ora)」は、申立人等の「Ora2ブランド」を想起させるため、両者は観念も共通にする。さらに、本件の指定商品中の「入れ歯洗浄剤,歯磨き」は、引用商標3ないし6の指定商品に含まれる「歯磨き,洗口液」等と同一又は類似し、本件の指定商品中の「口中清涼剤,口臭消臭剤」は、引用商標3、5及び6に含まれる「口臭消臭スプレー,歯科用薬剤」等と類似する。
以上のとおり、本件商標は、引用商標3ないし6と、その要部において、称呼、観念を共通にする類似の商標であり、同一又は類似の商品に使用するものである。
オ 小括
したがって、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、同一又は類似の商品に使用するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標の要部は、「オーラ」の文字部分であり、Ora2商標の要部である「Ora」と、「オーラ」の称呼が共通する。
また、オーラルケア製品の分野において、「オーラ(Ora)」は、申立人等の「Ora2ブランド」を想起させるため、両者は、観念も共通する類似性の高い商標である。
そして、前述のとおり、Ora2商標は、申立人等のOra2ブランドの商品を表す識別標識として広く知られていて、独創性の程度も高い。
本件の指定商品中の申立てに係る商品は、いずれも、Ora2商標が広く知られているオーラルケア製品の分野に属する商品であり、商品の性質、取引者、需要者が共通する。
また、オーラルケア製品は、日常的に使用される商品であって、その需要者は、一般消費者であることから、商品選択の際に払われる注意力は、さほど高いとはいえない。
そして、前述のとおり、オーラルケア製品の分野においては、ブランド名に「プロ(PRO)」の文字を付すことで、より効果の高い商品であることを表している実情もあることからすれば(甲41~甲46)、申立人等のOra2ブランドを想起させる「オーラ」に「プロ」を付すことで、需要者が、申立人等のOra2ブランドに関連する商品であるといった、出所の誤認が生じる可能性がある。
したがって、本件商標が申立てに係る商品に使用された場合、当該商品が申立人等と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるといった、出所の誤認を生じるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 当審の判断
(1)「Ora2商標」の周知・著名性について
ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人等は、1998年に、若い女性向けのオーラルケアブランドとして「Ora2(オーラツー)」を立ち上げ、現在に至るまで、歯磨き、洗口液、歯ブラシ、口臭消臭スプレーを中心とした種々のオーラルケア製品(以下「申立人商品」という。)を展開している(甲14~甲16)。
(イ)申立人商品には、Ora2商標と同一の商標を商品パッケージの前面に大きく表示され、宣伝広告等でも使用されている(甲15、甲16、甲20~甲40)。
(ウ)株式会社インテージが提供する「SRI+(全国小売店パネル調査)」のデータ(以下「全国小売店パネル調査」という。)(甲17~甲19)によると、Ora2ブランドで販売される「歯ブラシ、歯磨き、マウスウォッシュ、口中衛生用品」の4カテゴリーの2023年1月から12月の売上げは、93億円以上、販売数は3,600万個以上に上り、個数ベースで4.1%の市場占有率である(甲18)。また、「マウススプレー」のカテゴリーでは、Ora2ブランドの商品は、個数ベースで86.3%である(甲19)。
(エ)CMやキャンペーン等の宣伝広告活動において、申立人商品のパッケージにOra2商標が表示されている(甲25~甲40)。
(オ)サンスター株式会社のNews Releaseには、左上方にOra2商標と同一の構成部分「Ora2」の文字を含む引用商標6が表示されている(甲25~甲28、甲36)。
イ 上記アからすれば、Ora2商標は、「オーラツー」と称され、申立人商品に使用されており、全国小売店パネル調査のデータ(甲17~甲19)の販売数及び市場シェアからすると、Ora2商標は、申立人商品(オーラルケア製品)の業界においては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く知られているといえる。
しかしながら、Ora2商標の構成は、「O」の文字部分を図案化してる商標であること、また、その読みは「オーラツー」であることからすれば、申立人の提出した証拠及び同人の主張のみによっては、片仮名「オーラ」のみで、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く知られているとは認められない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、上記1のとおり、「オーラプロ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ文字種、同じ書体、同じ大きさ、等間隔に、まとまりよく一体的に表され、外観上、いずれかの文字部分が強調して表現されているものではない。
そして、本件商標の構成中の「オーラ」の文字が「人や物が発する霊気ないし独特な雰囲気。」等を、「プロ」の文字が「プログラム・プロダクション・プロパガンダ・プロフェッショナル・プロレタリアなどの略。」(いずれも出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)を意味する語として、それぞれ我が国において親しまれたものといえるとしても、かかる構成からなる本件商標は、直ちに特定の観念を生じない一種の造語として、全体が不可分一体のものと取引者、需要者に理解、認識されるとみるのが自然であり、「オーラ」と「プロ」の文字を組み合わせたものとは認識されないというのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「オーラプロ」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。
イ 引用商標について
(ア)引用商標1及び2
引用商標1は、「オーラ」及び「Ora」の文字を上下二段に横書きしてなり、引用商標2は、別掲1のとおり、大きく図案化した欧文字の「O」の右横に「ra」の欧文字を配し、その上部に小さく「オーラ」の片仮名を配した構成からなるところ、該「Ora」の文字は、辞書等に載録されている成語ではなく、直ちに何らかの意味合いを理解させるものではないから、一種の造語として認識されるものである。
そうすると、引用商標1及び2は、その構成文字に相応して「オーラ」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。
(イ)引用商標3ないし6
引用商標3は、別掲2のとおり、大きく図案化した欧文字の「O」の右横に「ra」の欧文字を配し、その右上部に数字の「2」を配した構成からなり、上記(1)イのとおり、「オーラツー」と称されていることから、「オーラツー」の称呼を生じるものである。
また、引用商標4は、別掲3のとおり、大きく図案化した欧文字の「O」の右横に「ra」の欧文字を配し、その下部に小さく「オーラツー」の片仮名を、その右上部に数字の「2」を配した構成からなり、引用商標5は、別掲4のとおり、大きく図案化した欧文字の「O」の右横に「ra」の欧文字を配し、その右上部に数字の「2」を配し、その上段に「オーラツー」の片仮名を配した構成からなり、引用商標6は、別掲5のとおり、大きく図案化した欧文字の「O」の右横に「ra」の欧文字を配し、その上部に小さく「オーラツー」の片仮名を、その右上部に数字の「2」を配した構成からなるところ、引用商標4ないし6は、引用商標3と同一の構成部分「Ora2」の文字及び「オーラツー」の片仮名をその構成中に配してなるものである。
そうすると、引用商標3ないし6は、その構成文字に相応して、「オーラツー」の称呼を生じるものである。
そして、上記(1)イのとおり、「Ora2」は、申立人商品の需要者の間で一定程度知られているブランド名であることから、引用商標3ないし6からは「申立人の商品ブランド「Ora2(オーラツー)」」程の観念が想起されるというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標を比較すると、本件商標と引用商標は上記ア及びイ((ア)及び(イ))のとおりの構成よりなるところ、外観について、本件商標と引用商標1とは、本件商標における「プロ」の文字及び引用商標1における「Ora」の文字の有無の差異がある。
本件商標と引用商標2とは、本件商標における「プロ」の文字及び引用商標2における欧文字「O」を大きく図案化した「Ora」の文字の有無の差異がある。
本件商標と引用商標3とは、構成文字が相違する。
本件商標と引用商標4ないし6とは、本件商標における「プロ」の文字、引用商標4ないし6における「ツー」の文字及び欧文字「O」を大きく図案化し、数字の2を右上部に配した「Ora2」の文字の有無の差異がある。
そうすると、本件商標と引用商標は、明らかに相違するものであるから、本件商標と引用商標の外観は、判然と区別できる。
また、称呼について、本件商標と引用商標は「オーラ」の音を共通にするとしても、引用商標1及び2との比較においては引用商標1及び2における後半の「プロ」の音の有無の差異を有していること、また、引用商標3ないし6との比較においては後半の「プロ」と「ツー」の音の差異を有していることからすれば、これらを一連に称呼しても、音質、語調、語感等が異なり、明瞭に区別できるものである。
さらに、観念について、本件商標と引用商標1及び2とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者は、比較することはできない。本件商標と引用商標3ないし6とは、本件商標は、特定の観念を生じないのに対し、引用商標3ないし6は、「申立人のオーラルケア商品ブランド「Ora2(オーラツー)」」程の観念を生じ得るものであるから、両者は、観念上、相紛れるおそれはない。
以上よりすると、本件商標と引用商標1及び2は、観念において比較できないとしても、外観において判然と区別し得るものであり、称呼においても明瞭に聴別できるから、これらが需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
また、本件商標と引用商標3ないし6は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのないものであるから、これらが需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 小括
したがって、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件の指定商品中、申立てに係る商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア Ora2商標の周知性について
申立人が述べる「Ora2商標」は、上記(1)イのとおり、申立人商品の需要者の間に一定程度知られていることがうかがえるが、片仮名「オーラ」のみで、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く知られているものとは認められないものである。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度について
上記(2)のとおり、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、類似性の程度は低いといえる。
ウ Ora2商標の独創性の程度について
Ora2商標の「Ora2」の文字は、欧文字と数字を組み合わせた造語である上、「O」の文字部分を大きく図案化してることからすれば、独創性の程度は高い。
エ 商品の関連性及び需要者の共通性について
本件の指定商品には、引用商標の指定商品と同一又は類似するものが含まれるから、両者は商品の関連性を有し、需要者を共通にする場合がある。
オ 引用商標3が申立人のハウスマークであるかについて
Ora2商標は、申立人のハウスマークではない。
カ 出所の混同のおそれについて
Ora2商標の独創性の程度は高く、申立人商品の需要者の間で広く知られているものであることがうかがわれ、本件の指定商品には、引用商標に係る指定商品と関連性を有する商品が含まれ需要者を共通にする場合があるとしても、本件商標の構成中「オーラ」の文字が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く知られているものとは認められず、また、本件商標とOra2商標の類似性の程度は低く、Ora2商標は、申立人のハウスマークでもない。
そうすると、本件商標権者が、本件商標を申立てに係る指定商品について使用しても、取引者・需要者が、Ora2商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれはないというべきである。
その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)申立人の主張について
申立人は、本件商標の構成中、「プロ」の文字は、歯科医や歯科衛生士等の専門家を想起させ、歯科で使用されている、歯科医の監修を受けている等、より専門的で効果の高い商品であるといった印象を需要者に与え、実際に、オーラルケア商品の分野では、「プロ(PRO)」の文字は好まれて使用されており(甲41~甲52)、該「プロ」の文字は、識別力がないか、極めて弱いというべきであって、前段の「オーラ」は、指定商品の内容や性質を表すものではなく、オーラルケア製品との関係においては、申立人等の「Ora2ブランド」を想起させる場合も少なくない(甲41~甲52)旨主張している。
しかしながら、本件商標の構成中の「プロ」の文字は「プログラム・プロダクション・プロパガンダ・プロフェッショナル・プロレタリアなどの略。」(前掲書)など複数の意味を有する多義語であり、また、申立人の提出に係る証拠は、商品に欧文字の「PRO」を表示していることが認められるとしても、片仮名の「プロ」の文字について、申立人主張の専門的で効果の高い商品を表すものとして広く使用されているとはいえず、その他、本件商標の構成中の「プロ」の文字を捨象し、「オーラ」の文字部分を分離して抽出すべき事情は見いだせない。
そうすると、上記(2)アのとおり、まとまりよく一体的に表された本件商標においては、その構成文字全体が一体不可分のものとして認識されるものといえるから、当該主張は採用することができない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、申立てに係る商品について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-900216