商標異議申立
2024-900202
ハクマクベール
- 審判番号
- 2024-900202
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-082899
- 登録番号
- 6827620
- 請求日
- 2024年10月01日
- 審決日
- 2025年06月25日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】株式会社セザンヌ化粧品
- 【異議申立人】山本 順二
- 【異議申立人代理人】弁護士法人窪田法律事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 高橋 幸志
- 分類
- T1651.16 -ZC (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号商標法43条の3第2項商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第1項、商標法第43条の3第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6827620号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6827620号商標の指定商品中、第3類「化粧品」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6827620号商標(以下「本件商標」という。)は、「薄膜ベール」の文字を標準文字で表してなり、令和5年7月26日に登録出願、第3類「洗濯用柔軟剤,化粧用接着剤,口臭用消臭剤,塗料用剥離剤,靴クリーム,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料,人造軽石,化粧用脱脂綿,つけまつ毛,化粧用綿棒」を指定商品として、同6年7月2日に登録査定、同月25日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立の理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当し商標登録を受けることができないものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証を提出した。(以下、証拠の標記については「甲○」のように省略して記載する。)
1 本件商標が商品の品質、効能等を普通に用いられる方法で表示したものであること(商標法第3条第1項第3項及び同法第4条第1項第16号)
本件商標は、「薄膜ベール」の文字を標準文字で表してなるところ、「薄膜」の部分は「うすい膜」を意味する語であり、「ベール」の部分は英語の「veil」の表音と解されるところ、「女性の顔や頭をおおう薄い布やネット」の意味から転じて「おおって見えなくするもの」との意味も有しており、外来語としても一般に親しまれた語である(甲2)。
そのため、本件商標は、全体として「薄い膜で表面を覆うもの」という程度の意味を容易に想起させる。特にその指定商品との関係では、肌や髪、爪等について「薄い膜で表面を覆う効果を有する商品」又は「薄い膜で表面を覆ったような仕上がりになる商品」であるといった、商品の品質及び効能等の特徴を示したものと通常理解される。
実際に、化粧品等の本件商標の指定商品を取り扱う業界では、その商品を使用することで、表面が薄い膜で覆われて肌や髪、爪等が滑らかに整ったり粗が隠される、又は表面が薄い膜で覆われたかのようになり粗が目立たなくなる、といった商品の品質及び効能等の特徴を説明する際に、「薄膜ベール」又は「薄膜ヴェール」の語が使用されている例が多数ある(甲5~甲20)。
なお、本件商標は「薄膜ベール」と表記されるところ、上記の使用例には「薄膜ヴェール」と表記されているものもあるが、英語の「Ve」の表音を片仮名で表記する際、「ヴェ」ではなく「ベ」と表記されることも多く、事実、広辞苑や英和辞典においても「Veil」の片仮名での表音は「ベール」と表されている(甲2~甲4)。
したがって、需要者においても、「ヴェール」と「ベール」はともに「Veil」の表音と理解するものであり、上記の使用例にある「薄膜ヴェール」と本件商標の「薄膜ベール」とは同じ概念を示しているものと認識される。
以上より、本件商標は、その指定商品との関係では「薄い膜で表面を覆う効果を有する商品」又は「薄い膜で表面を覆ったような仕上がりになる商品」であることを需要者に認識させるものであり、標準文字で表された本件商標は、商品の品質及び効能等の特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。
また、本件商標の指定商品を取り扱う業界においては何人も使用を欲する語であるから、特定人にその独占使用を認めることは公益上も適当ではない。
よって、本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。
さらに、本件商標が「薄い膜で表面を覆う効果を有する商品」又は「薄い膜で表面を覆ったような仕上がりになる商品」以外の指定商品に使用されれば、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、本件商標は同法第4条第1項第16号に該当する。
2 何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないこと(商標法第3条第1項第6号)
上記1のように、化粧品等の本件商標の指定商品を取り扱う業界において、商品の特徴を説明する際に「薄膜ベール」及び「薄膜ヴェール」の語を使用する例が多くあることも考慮すれば、本件商標は自他商品の識別標識としての機能を果たし得ず、需要者は本件商標に接しても何人かの業務に係る商品であることを認識することができない。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
3 以上より、本件商標は、その指定商品に使用された場合、需要者にはそれを使用することによって「薄い膜で表面を覆う効果を有する商品」又は「薄い膜で表面を覆ったような仕上がりになる商品」と理解されるにすぎず、商品の品質及び効能等の特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるため、商標法第3条第1項第3号に該当し、それ以外の商品に使用されれば商品の品質について誤認が生じるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。
また、現在に至るまでも多数の使用例があるように、需要者が本件商標に接しても何人かの業務に係る商品であることを認識できないものであるから、本件商標は、同法第3条第1項第6号に該当する。
第3 当審における取消理由
当審において、商標権者に対して、本件商標の指定商品中、「化粧品」についての登録は、商標法第3条第1項第6号の規定に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定に基づいて取り消すべき旨の取消理由を、令和7年3月25日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。
なお、商標権者は、上記取消理由通知書に対して、意見書を提出していない。
第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は、上記第1のとおり、「薄膜ベール」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「薄膜」の文字は、「うすい膜。」の意味を有する語であり、「ベール」の文字は「おおって見えなくするもの。」等の意味を有する語(共に「広辞苑(第七版)」株式会社岩波書店)であり、構成全体で「薄い膜で覆うこと」ほどの意味合いを容易に認識させるといえるものである。また、「ベール」の文字は、英語「Veil」を片仮名で表記したものであるが、同義の「ヴェール」の片仮名も一般に広く用いられている。
そして、本件商標の指定商品中には、「化粧品」を含むところ、「化粧品」を取り扱う業界において、「薄膜ベール」(及び「薄膜ヴェール」)の文字は、以下のとおり、使用されている事実が認められる。
(1)申立人提出の証拠における「薄膜ベール」(及び「薄膜ヴェール」)の文字の商品「化粧品」における使用。
ア エテュセ「ベースバージョンアップUV」の「商品説明」において「薄膜ベールで陶器のような上質素肌に整える化粧下地・・・」との記載がある(甲5)。
イ エテュセ「クイックケアコート」の「商品説明」において「透明薄膜ヴェールで爪のカケ・割れ・二枚爪を防ぎ、保護&ケアするツヤ出しネール美容液です。」との記載がある(甲6)。
ウ RMK Division「スムースフィット ポアレスベース」の「商品説明」において 「・・・まるで肌と一体化するような一枚の薄膜ヴェールで覆われた、つるんと滑らかな肌に仕上げます。」との記載がある(甲7)。
エ ボトルワークス「モロッカンビューティ ディープモイスト クイックグロス オイルスプレー」の「商品説明」において「・・・微粒子ミストが髪1本1本を薄膜ヴェールで包み込み、毛髪の内部まで浸透補修します。」との記載がある(甲8)。
オ シュウ ウエムラ「キヌケアグローアップ」の「商品説明」において「・・・こっくりとしたうるおい薄膜ヴェールが唇にぴったりと密着、長時間むっちりジューシーな仕上がりキープ。」との記載がある(甲9)。
カ ヴィセ「ヴィセ リシェ フォギーグロウ フィルター」の「商品説明」において「・・・しっとりとした薄膜ヴェールが肌にとけこみ、パウダーなのに白浮きのない自然なふわツヤ肌を叶えるフェイスパウダーです。」との記載がある(甲10)。
キ ボビイ ブラウン「インテンシブ セラム コンシーラー」の「商品説明」において「・・・気になる目元のくすみやクマをしっかりカバー。・・・粉っぽさゼロのテクスチャーで、薄膜ヴェールをまとったように、ぴったり密着します。」との記載がある(甲11)。
ク スタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニー「エッセンスケアコート」の「商品説明」において「爪を塗らない人に薄膜ヴェール。素爪を保護&ケアする、リムーバー不要のツヤ出し美容液コート。」との記載がある(甲12)。
ケ 常盤薬品工業 エクセル「イルミクチュールシャドウ」の「商品説明」において「・・・体温でほどけてするする伸びるライトタッチオイル*処方で極上の薄膜ヴェールを実現。」との記載がある(甲13)。
コ ナリス化粧品「スタイリークルースパウダー」の「商品説明」において「薄膜ヴェールが密着し、シワも毛穴もシームレスにカバーするルースパウダー。」との記載がある(甲14)。
サ カネボウ化粧品 コフレドール「メイクアップパウダー」の「商品説明」において「薄膜ヴェールをまとったかのようにキメ・毛穴をぼかして、透き通る純度の高い透明肌へと導きます。」との記載がある(甲15)。
シ T-Garden shushupa!「メイクキープスプレーオイルプラスa」の「商品説明」において「ほんのりツヤ感のでる薄膜ヴェールが、水分を閉じ込めツヤ膜を作り、メイクをキープするだけではなく、肌にツヤ感をプラス。」との記載がある(甲16)。
ス カイタックファミリー ミニオン「BBジェルクリーム」の「商品説明」において「3D復元型ゼリー配合の薄膜ヴェールがスーッとのびてお肌にピタッと密着します。フェイスラインをひきしめて小顔に演出。」との記載がある(甲17)。
セ ロレアル パリ「ヌードマジック オードゥタン」の「商品説明」に「カバーしながら、さらっとなじんで長時間キープ。肌に嬉しい薄膜ヴェールのファンデーションです。」との記載がある(甲18)。
ソ コーセーコスメポート BLEND BERRY「ゼロGルミナスエフェクター」の「商品説明」に「・・・薄膜ヴェールが毛穴や凹凸をきれいにカバーします。」との記載がある(甲19)。
タ センサイ「バイオミメシス ヴェールフィクサー N」の「商品説明」に「肌表面の凹凸など気になる肌悩みもカバーする、薄膜ヴェールの化粧下地。」との記載がある(甲20)。
(2)当審の職権調査で得られた「薄膜ベール」(及び「薄膜ヴェール」)の文字の商品「化粧品」における使用。
ア PR TIMESの「ファインファイバー技術を応用した「バイオミメシス ヴェール」が進化 『エスト バイオミメシス ヴェールポーションEX』『エスト バイオミメシス ヴェールフィクサーEX』新発売」と題する2022年5月17日付け「花王株式会社ニュースリリース」の配信記事で「化粧液『エスト バイオミメシス ヴェールポーションEX』によって形成される極薄膜のヴェールの強度などが向上。」との記載がある。
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000158.000070897.html)
イ PR TIMESの「肌と一体化する、美容液うまれのBoricaモイスチャライズセラムスティックファンデーションが新登場!」と題する2020年11月4日付けの「株式会社T-Garden」の配信記事で「とろけるように馴染む薄膜ベールが肌に均一にフィットし、ピタっと密着することで化粧崩れしにくく、朝の仕上がりをキープします。」との記載がある。
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000188.000005045.html)
ウ VoCEのウェブサイトで「ヴィセ リシェ フォギーグロウ フィルター」の2022年8月21日付けの商品の紹介で「しっとりとした薄膜ヴェールが肌にとけこみ、パウダーなのに白浮きのない自然なふわツヤ肌を叶えるフェイスパウダーです。」との記載がある。
(https://i-voce.jp/cosmetics/534/93628/)
エ RMK「スムースフィット ポアレスベース」の「商品説明」に「まるで肌と一体化するような一枚の薄膜ヴェールで覆われた、つるんとなめらかな肌に仕上げます。」との記載がある。
(https://www.cosme.net/products/10210714/)
上記(1)及び(2)のとおり、「薄膜ベール」(及び「薄膜ヴェール」)の文字は、本件商標の登録査定時には、「化粧品」の分野において、商品の特徴を端的に表す場合やその商品の説明をする場合に、「肌や髪などの表面を薄い膜で覆うこと」ほどの意味合いを表す語として、多くの事業者により使用されている実情があることから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、これを「化粧品」に使用するときは、これに接する取引者及び需要者に「肌や髪などの表面を薄い膜で覆う商品」であることを認識させるにとどまり、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないというのが相当である。
そうすると、「薄膜ベール」の文字からなる本件商標は、本件商標の指定商品中「化粧品」との関係では、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、その指定商品中「化粧品」について、商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 むすび
以上のとおり、本件商標の指定商品中「化粧品」についての登録は、商標法第3条第1項第6号の規定に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきである。
また、本件商標の指定商品中「化粧品」以外のその余の指定商品については、その登録を取り消すべき理由がないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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