商標異議申立
2024-900199
ペットリブロ、リブロ
- 審判番号
- 2024-900199
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-117223
- 登録番号
- 6827658
- 請求日
- 2024年09月30日
- 審決日
- 2025年06月27日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】陳愛飛
- 【権利者代理人】叶野 徹
- 【異議申立人】深▲セン▼楽木駱科技有限公司
- 【異議申立人代理人】長谷川 芳樹
- 【異議申立人代理人】黒川 朋也
- 【異議申立人代理人】魚路 将央
- 【異議申立人代理人】堀江 亮平
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T1651.22 -Y (W0720) / T1651.222-Y (W0720)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号、商標法第43条の2第1号、商標法第1条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6827658号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6827658号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6827658号商標(以下「本件商標」という。)は、「petlibro」の文字を標準文字により表してなり、令和5年10月20日に登録出願、第7類及び第20類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同6年7月16日に登録査定され、同月25日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立てにおいて引用する登録第6369376号商標(以下「引用商標」という。)は、「PETLIBRO」の文字を標準文字により表してなり、令和2年7月1日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同3年3月26日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
3 申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第19号及び同項第7号に違反して登録されたものであるから、その登録は商標法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載し、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略して記載する。
(1)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 引用商標「PETLIBRO」ブランドについて
引用商標は、申立人によって2019年に開発されたペット関連製品ブランドであり、具体的には主としてペット用給水器及び自動給餌器(以下「申立人商品」という。)が販売されている。申立人商品は、申立人の公式ウェブサイト上でオンライン販売されているほか、例えば、Amazon.comといったオンラインウェブサイトやプラットフォームで販売されている(甲6、甲7)。
イ 引用商標の周知性について
申立人商品は、我が国でも2019年以降に販売されており、例えば、2020年には年間で約1,600万円の売上げがある(甲8)。当該証拠資料には引用商標の記載がないが、販売者名「nanjingdibageruanjiankejiyouxiangongsi」の記載がある販売ライセンス証(甲9)には引用商標の記載があり、引用商標に係る商品の売上げであることを証明している。
また、米国においては2022年に約23億(約1,500万米ドル)、2023年には約59億円(約3,900万米ドル)の売上げがあり(甲10、甲11)、2023年の売上げの一部については本件商標の登録出願日以降であるとしても、本件商標の出願日以前に既に相当額の売上げがあったことが分かる。
申立人は、引用商標に係るブランドの宣伝広告にも注力しており、例えば、2021年だけで少なくとも約750万円(5万米ドル)以上の広告費用を支出している(甲12)。また、2022年だけで少なくとも約320万円(約2万米ドル)の広告費用を支出している(甲13)。
これらの販売実績等を受けて2023年には中国において「米国AMAZONで販売実績第一位」との見出しとともに、引用商標に係るブランドが表彰されている(甲14)。
当該賞の発表自体は、本件商標の登録出願日以降ではあるものの、2019年から2023年の賞発表までの販売実績や宣伝広告等から周知となり、受賞に至ったと考えるのが自然である。
このような状況を考慮すると、引用商標は、遅くとも、本件商標の出願時において、申立人の取扱いに係る商品を表示する商標として、我が国や米国、中国において周知になっており、その周知性は現在に至るまで継続している。
ウ 本件商標と引用商標の類似性について
本件商標と引用商標とは、大文字と小文字の表記で相違するものの、構成文字が完全に同一のものであるから、本件商標と引用商標は、同一又は類似の程度が極めて高い商標である。
エ 不正の目的について
上記イのとおり、本件商標権者は、少なくとも我が国、米国又は中国において申立人が商品「ペット用品」等に「PETLIBRO」を使用して周知に至っていた引用商標を知った上で、我が国において出願・登録されていない商品について引用商標を先取り、あるいは、引用商標を使用する商品を市場から排除するなどの何らかの不正な目的をもっていたことは明らかである。
このことは、出願時に「ペット用ベッド,ペット用クッション,猫の爪とぎ,猫の爪とぎパッド,犬の運搬ボックス」のように、申立人商品とはペット用商品という用途や需要者等が共通する商品を指定商品に含めていたことからもうかがえる(甲3)。
また、引用商標は造語であり、引用商標が周知な状況において、全く偶然に本件商標を採択したと考えるのは不自然である。
なお、本件商標権者と引用商標権者は、共に中国に拠点を置いていることからも(甲1、甲2)、本件商標権者が賞を受賞するなど周知に至っていた引用商標を知っていたと考えるのが自然である。
オ 小括
本件商標は、我が国、米国又は中国における取引者、需要者の間で周知な引用商標と酷似し、両商標の類似性の程度は極めて高いため、本件商標が引用商標の顧客吸引力にただ乗りする不正な目的で出願されたされるものであることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に関する判決(甲15:知的財産高等裁判所平成18年9月20日判決(平成17年(行ケ)第10349号)の「当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合」に該当するものであるから、その登録は同項同号に違反してなされたものであり、取り消されるべきである。
ア 引用商標の周知性について
上記(1)ア及びイで述べたとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国、米国又は中国における取引者、需要者の間に広く認識されていたものである。
イ 本件商標と引用商標の類似性について
本件商標と引用商標とは、大文字と小文字の表記で相違するものの、構成文字が完全に同一のものであるから、本件商標と引用商標は、同一又は類似の程度が極めて商い商標である。
ウ 不正の目的について
上記(1)エのとおり、本件商標権者は、少なくとも我が国、米国又は中国において申立人が申立人商品に使用して周知に至っていた引用商標を知った上で、我が国において出願・登録されていない商品について引用商標を先取り、あるいは、引用商標を使用する商品を市場から排除するなどの何らかの不正な目的をもっていたことは明らかである。
このことは、出願時に「ペット用ベッド,ペット用クッション,猫の爪とぎ,猫の爪とぎパッド,犬の運搬ボックス」のように、申立人商品と需要者等が共通する商品を指定商品に含めていたことからもうかがえる。
また、引用商標は造語であり、引用商標が周知な状況において、全く偶然に本件商標を採択したと考えるのは不自然である。
エ 本件商標の登録出願の経緯について
上記のとおり、本件商標の登録出願日には引用商標は既に周知であったこと、本件商標と独創性の高い造語である引用商標とが構成文字が同一で酷似していること、本件商標の登録出願時にはその指定商品に申立人商品との関連性が強いペット用商品が含まれていたこと、及び、本件商標と引用商標の需要者は一般需要者で共通することを併せ考慮すれば、本件商標は、本件商標権者が偶然に引用商標と酷似したものを出願したものとは考え難く、引用商標の存在を知りながら、周知な引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗りする不正な目的で採択・出願したものと推認できる。
よって、本件商標は、登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当するものというべきである。
オ 過去の審決例について
上記主張は、過去の審決例(甲16:無効2022-890090)によっても裏付けられる。
カ 小括
本件商標は、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものであり、そのような商標を保護することは、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護するという商標法の目的(商標法第1条)に反するものであり、公正な取引秩序を乱し、商道徳に反するものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば以下のとおりである。
(ア)「PETLIBRO」は、申立人によって2019年に開発されたペット関連製品ブランドであり、主として「PETLIBRO」の文字を使用したペット用給水器及び自動給餌器(申立人商品)が申立人のウェブサイト及びECサイト「Amazon」で販売されている(甲6、甲7、申立人の主張)。
(イ)申立人は、我が国では2019年以降に申立人商品の販売を開始し、2020年の売上高は約1,600万円であると主張して、「日本における2020年の売上データ(AMAZON)」(以下「日本の売上データ」という。)(甲8)及び「AMAZONにおける販売ライセンス」(甲9)を提出しているが、我が国の売上データには、販売された商品の記載がないため、これが、申立人商品の販売に係るものと確認することができない。
(ウ)申立人は、米国において、2022年に約1,500万ドル(約23億円)、2023年に約3,900万ドル(約59億円)の売上げがあったとして、「米国における2022年の売上データ(AMAZON)」及び「米国における2023年の売上データ(AMAZON)(写)」(甲10、甲11)を提出している。
(エ)申立人は、2021年に約5万ドル(約750万円)、2022年に約2万ドル(320万円)の広告宣伝費を支出したと主張し、「2021年広告支出額データ」及び「2022年の広告支出額データ」(甲12、甲13)を提出しているが、上記書面によっては、広告の方法、期間、場所等の具体的な広告宣伝の詳細を確認することができない。
(オ)申立人商品は、2023年に中国において、「米アマゾンオートフィーダー部門第1位」の見出しの下、「プラネットアワード賞」を受賞した(甲14)。
イ 上記アによれば、申立人は、2019年以降、引用商標を使用した申立人商品の販売を開始したこと、米国及び我が国においてAmazonのウェブサイトを通じて当該商品を販売していることがうかがわれる。
しかしながら、申立人商品について、販売開始時期を確認できる証拠は提出されておらず、また、我が国並びに中国及び米国を始めとする外国における市場シェアは明らかでなく、さらに、申立人商品の米国における売上高、広告宣伝費に係る証拠は外国語で作成されているところ、翻訳文の提出がないから、その内容について、詳細が確認できないものである。加えて、中国における賞の受賞は、当該賞の概要が明らかでなく、その受賞によっては、周知性を推し量ることができない。
その他、申立人の提出に係る証拠をみても、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の取引者、需要者の間で広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。
したがって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第19号該当性について 本件商標は、上記1のとおり「petlibro」の欧文字からなり、引用商標は「PETLIBRO」の欧文字からなるところ、大文字と小文字の違いはあるものの、そのつづりを同じくするものであるから、両者は類似する商標である。
しかしながら、上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているとは認められない。
そして、申立人提出の全証拠からは、本件商標権者が、本件商標をその指定商品に使用して不正の利益を得ている事実や申立人に経済的損害を加えるなどの具体的な行為に及んでいる事実を把握することができない。
そうすると、本件商標の登録出願は、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的など)でなされたものと認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、本件商標は引用商標の存在を知りながら、周知な引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗りする不正な目的で採択・出願されたものと推認できる旨主張しているが、引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているとは認められないものであるから、引用商標の周知性を前提とした上記申立人の主張は、採用することができない。
そして、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるようなものではなく、さらに、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標が、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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