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商標異議申立

2024-900189

ジンザ、ジン

審判番号
2024-900189
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-141253
登録番号
6821489
請求日
2024年09月17日
審決日
2025年04月22日
公報発行日
2025年05月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社甚三
  • 【異議申立人】ジャミール インターナショナル フードスタッフ トレーディング リミティド ライアビリティ カンパニー
  • 【異議申立人代理人】青木 篤
  • 【異議申立人代理人】外川 奈美
  • 【異議申立人代理人】齋藤 宗也
審判長/審判官
  • 審判長 高橋 幸志
  • 審判官 清川 恵子
  • 審判官 白鳥 幹周
分類
T1651.22 -Y (W3043) / T1651.222-Y (W3043)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第11号、商標法第43条の2、商標法第43条の3第4項
データ出所
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登録第6821489号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6821489号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6821489号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和5年12月20日に登録出願、第30類「穀物の加工品,うどんの麺,即席うどんの麺,調理済み麺類,弁当,そばつゆ,うま味調味料」及び第43類「飲食物の提供,和食の提供,うどん又はそばの提供,ケータリング(飲食物),食事の支度に関する情報の提供及び助言,食品に関するレビューの提供(飲食店で提供される飲食物に関する情報の提供)」を指定商品及び指定役務として、同6年6月12日に登録査定され、同年7月5日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、引用する商標は、別掲2及び別掲3のとおりの構成からなり、申立人が、商品「清涼飲料」に使用し、外国において広く認識されていると主張するものである。 以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。 3 申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同法第4条第1項第19号ないし同法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第68号証を提出した。 (1)引用商標が外国において広く知られていることについて 申立人はアラブ首長国連邦に本拠地を置く飲料メーカーである。申立人は自分達のルーツに誇りを持ち、その誇りを表すためにアラビア語の響き・雰囲気を伝える表示として、アラビア語の「宝物」という意味である「KINZ」に由来して引用商標を採択した。 申立人は引用商標を「清涼飲料(soft drinks)」に使用しており(甲2)、11種類のフレーバーで世界各国、すなわち、オーストラリア(甲3)、バーレーン(甲4)、ジブチ(甲5)、フランス(甲6)、ガボン(甲7)、インド(甲8)、イラク(甲9)、イタリア(甲10)、クェート(甲11)、レバノン(甲12)、リビア(甲13)、マレーシア(甲14)、モルジブ(甲15)、マリ(甲16)、モーリシャス(甲17)、オランダ(甲18)、ナイジェリア(甲19)、オマーン(甲20)、パレスチナ(甲21)、カタール(甲22)、ルーマニア(甲23)、ロシア(甲24)、セネガル(甲25)、シンガポール(甲26)、ソマリア(甲27)、スーダン(甲28)、スリナム(甲29)、スウェーデン(甲30)、タンザニア(甲31)、トルコ(甲32)、イギリス(甲33)、ウズベキスタン(甲34)、イエメン(甲35)、アルバニア(甲36)に輸出している。中東を網羅しているのはもちろんのこと、ヨーロッパ各国、東南アジア、オセアニアなど申立人の「KINZA」ジュースは世界中で広く愛飲されている。 申立人は引用商標に係る清涼飲料について世界中で広く宣伝広告を行っている。例えば、甲第37号証は実際に申立人が発注した広告の原稿であり、甲第38号証ないし甲第40号証は各国に掲示されている屋外広告の例、及び甲第41号証はテレビコマーシャルの例である。 また、申立人は各種イベントのスポンサーを行っている(甲42)。カタールで開催されたアジア・ネーションズ・チャンピオンシップではメインスポンサーとなり、アラブのチームをサポートすると共にラジオやテレビを通じて「KINZA」ジュースが宣伝された(甲2)。他にもサウジアラビアの国王杯のスポンサーも務め(甲43)、その他、乗り物や店頭の立体広告、レストラン等においても引用商標を付した商品の広告が積極的に行われている(甲44~甲46)。 さらに、「KINZA」の著名性を利用した各種アパレルグッズの製造も行われている(甲2)。申立人の商品は、店舗においては圧倒的なボリュームにより存在感を発揮している(甲2、甲47、甲48)。申立人の商品は、インターネット上でも紹介されており(甲49)、購入も可能である(甲50)。 申立人は、各国の食品フェアや展覧会に積極的に出展している。甲第51号証は「Anuga 2023」に参加した際の資料であり、甲第52号証は「APAS Brazel」、甲第53号証は「CICES Dakar」、甲第54号証は「Food Africa 2022」、甲第55号証は「Food Africa 2023」、甲第56号証は「Foodex 2022」、甲第57号証は「Gulfood 2022」、甲第58号証は「Gulfood 2023」、甲第59号証は「Gulfood 2024」、甲第60号証は「Saudi Food 2024」、甲第61号証は「Saudi Horeca2022」、甲第62号証は「World Food Istanbul」の出展時の資料である。 申立人の商品は、好評を博しており国際的な賞も受賞している(甲63)。 引用商標は、サウジアラビアやアラブ首長国連邦で商標登録されている(甲64、甲65)。 このように、申立人の引用商標に係る「KINZA」ジュースは中東をはじめ、世界各国において周知・著名なものとなっている。 (2)商標法第4条第1項第7号について 引用商標が中東地域をはじめ世界各国で周知・著名であることは前記のとおりである。 また、本件商標は三重の円図形の中央に漢字で「甚」、その下に欧文字で「JINZA」と書してなり、これらの図形要素、「甚」「JINZA」は一体不可分で分離して把握することが不合理というほど一体化しているものではないから、これに接する取引者、需要者は「JINZA」部分にのみ注目しこれを「ジンザ」と称呼し記憶する。 一方、引用商標は「kinza」と書してなるので、そこから「キンザ」の称呼が発生する。 両商標から生じる称呼を対比すると、語頭は共に「イ」音を母音とする音質が近似した音であり、第2音目以降は完全に一致し、外観においても第2文字目以降の「INZA」は一致する。 さらに、本件商標は飲食料品に関係が深い第30類と第43類の指定商品・役務について登録されている。 こうした両商標の類似性及び商品分野の関連性に、引用商標の周知・著名性を合わせて考慮すれば、両商標は出所の混同(その商品が他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信される広義の混同を含む。)を生じるおそれがあるといわざるを得ない。 他国において周知・著名な商標と出所の混同を生じ得るような商標の登録を、その周知・著名商標の所有者と全く無関係の者に許すことは、当該国の国民を侮辱する行為であり、国際信義に反するものである。 こうした、国際信義に反する商標は、商標法の予定する秩序に反するものとして商標法第4条第1項第7号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第19号について 引用商標は中東地域をはじめ世界各国で周知・著名である。また、本件商標と引用商標が類似することも前述のとおりである。 そして、本号が只乗り(フリーライド)や、稀釈化(ダイリューション)、汚染(ポリューション)の防止を視野に入れた規定である以上、外国において周知・著名となっている引用商標と類似の商標を申立人に無断で出願し登録を得る行為はそれ自体が只乗り(フリーライド)による不正の利益を得る目的があったというべきである(無効2011-890049に同旨。甲68)。こうした、不正の目的をもって出願された商標は、商標法の予定する秩序に反するものとして商標法第4条第1項第19号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性 ア 申立人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 なお、申立人が提出した証拠(甲1、甲66~甲68を除く。)は、いずれも外国語で作成されたものであり、翻訳文の提出もないから、証拠全体として具体的な内容を把握することができないものである。 (ア)申立人は、アラブ首長国連邦に本拠を置く飲料メーカーであって、引用商標を「清涼飲料(soft drinks)」に使用し、11種類のフレーバーで世界各国に輸出している(甲2、申立人の主張)。 (イ)甲第3号証ないし甲第36号証は、申立人の主張によれば、引用商標を使用した商品(以下「申立人商品」という。)の中東、ヨーロッパ各国、東南アジア、オセアニアへの輸出に関する書類であり、書面中に「COMMERCIAL INVOICE」、「Australia」、「KINZA COLA」などの記載があることから、申立人商品の輸出に係る書類であることはうかがえる。 (ウ)甲38号証ないし甲第40号証は、申立人の主張によれば、各国に掲示されている申立人商品の野外広告の例であり、申立人商品が表示された看板等を屋外に掲示していることはうかがえる。また、甲第41号証は、テレビコマーシャルの例とされ、テレビの画面と思われるものが複数表示されているところ、当該証拠において引用商標を見いだすことはできない。さらに、甲第42号証ないし甲第46号証は、申立人がイベントを通じて申立人商品を広告した例、乗り物及び店頭における広告であり、申立人商品の広告がサッカー場の客席下部の壁、乗り物のドアなどに表示されていることはうかがえる。 (エ)甲第47号証及び甲第48号証は、申立人の主張によれば、店舗の様子を示すものであり、店舗に申立人商品が陳列されていることが確認できる。また、甲第49号証及び甲第50号証によれば、インターネットで申立人商品が紹介され、購入可能であることはうかがえる。 (オ)甲第51号証ないし甲第62号証は、申立人の主張によれば、各国の食品フェアや展覧会に参加・出展した資料であり、2022年ないし2024年に出展し、申立人商品を展示スペースに陳列していることはうかがえる。 (カ)申立人は、申立人商品が国際的な賞を受賞したとして甲第63号証を提出しているが、その具体的な内容は明らかでなく、当該証拠において引用商標を見いだすことはできない。 イ 上記アよりすれば、引用商標を使用した清涼飲料に係る広告が行われ、中東やヨーロッパなどの外国に輸出されたことや食品フェア等に出展したことはうかがえるとしても、これらの証拠は、すべて外国語で作成されたものであり、これらの証拠のみをもって、我が国及び外国における需要者の引用商標についての周知度等を具体的、客観的に把握することができない。 そして、その他、引用商標を使用した申立人商品の我が国及び外国における売上高などの販売実績、広告宣伝の規模、広告宣伝費などについての事実を客観的に把握することができる証拠は提出されていない。 よって、申立人提出の証拠からは、引用商標が、我が国及び外国の需要者の間にどの程度認識されているのか把握、評価することができない。 してみると、提出された証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間で広く認識されていると認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第19号該当性について ア 引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間で広く認識されていたと認めることができないものである。 イ 本件商標と引用商標の類否 (ア)本件商標 本件商標は、大きさの異なる三重円の輪郭線の中に「甚」の漢字を大きく書し、当該文字の下部に「JINZA」の欧文字を小さく横書きしたものをいずれも赤色で表した別掲1のとおりの構成からなるところ、その構成全体は同じ太さの線で、同色で表してなるものであり、外観上まとまりよく一体的な印象を与えるものである。 そして、本件商標中の「甚」の文字は、「はなはだしく。ひどく。」の意味合いを有する語(「広辞苑 第七版」岩波書店)であるとしても、その意味合いが広く親しまれているとはいえないから、特定の観念は生じないものであり、当該文字に相応して「ジン」の称呼を生じる。また、本件商標の構成中の「JINZA」の文字は、辞書等に載録された既成語ではなく、特定の観念を生じない造語であり、その構成文字に相応して「ジンザ」の称呼を生じる。 したがって、本件商標からは、「ジン」及び「ジンザ」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。 (イ)引用商標 引用商標1は、紺色の四角形の中に、白抜きで「kinza」の文字を表した別掲2のとおりの構成からなるものであり、また、引用商標2は、引用商標1と同じ態様の「kinza」の文字を紺色で書した別掲3のとおりの構成からなるものである。 そして、「kinza」の文字は、辞書等に載録された既成語ではなく、特定の観念を生じない造語であるから、引用商標からは、その構成文字に相応して「キンザ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (ウ)本件商標と引用商標の類否 上記(ア)及び(イ)の構成からなる本件商標と引用商標を比較してみれば、全体の比較においては、本件商標が赤色で三重円内に「甚」の漢字及び「JINZA」の欧文字を表した構成であるのに対し、引用商標は「kinza」の欧文字を紺色の四角形内に白抜きで表したもの又は紺色で表したものであるから、その構成が大きく相違するものである。 また、申立人は、本件商標の構成中の「JINZA」の文字部分と引用商標「kinza」が類似する旨主張する。そこで、「JINZA」の文字と「kinza」の文字を比較すると、両者は、語頭において「J」と「k」の差異を有し、加えて、本件商標の欧文字部分は全て大文字で構成されているのに対し、引用商標は全て小文字から構成されており、その書体も相違することから、外観上、容易に区別できるものである。 そして、本件商標から生じる「ジン」の称呼と引用商標から生じる「キンザ」の称呼を比較してみれば、その音構成及び音数が異なるから、明確に聴別できるものであり、また、本件商標から生じる「ジンザ」の称呼と引用商標から生じる「キンザ」の称呼を比較してみれば、語頭において「ジ」と「キ」の音の差異を有し、わずか3音という音構成においては、この差異が称呼全体に与える影響は少ないものではなく、これらを一連に称呼しても語調語感が相違し、聞き誤るおそれはないものといえる。 さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、類似するものとはいえない。 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 ウ 申立人は、外国において周知・著名となっている引用商標と類似の商標を申立人に無断で出願し登録を得る行為はそれ自体が只乗り(フリーライド)による不正の利益を得る目的があったというべきであり、商標法の予定する秩序に反するものである旨主張する。 しかしながら、引用商標は、上記アのとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間で広く認識されていたものと認めることはできないものであり、また、本件商標と引用商標とは、上記イのとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 そして、商標権者が申立人の事業の阻害等、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第7号該当性について 申立人は、他国において周知・著名な商標と出所の混同を生じ得るような商標の登録を全く無関係の者に許すことは、当該国の国民を侮辱する行為であり、国際信義に反するものである旨主張する。 しかしながら、引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間で広く認識されていたと認めることはできないものであり、また、本件商標と引用商標とは、上記(2)イのとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であるから、商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務について使用しても、商品及び役務の出所について混同を生じるおそれはなく、その他に、本件商標を登録することが国際信義に反するといった事情は見いだせない。 そして、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (4)その他 本件異議申立ての「申立の根拠」において、本件商標が、商標法第4条第1項第11号に該当する旨の主張があるが、申立人は、何らの主張及び立証もしていないから、これを採用することはできない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標は、その指定商品及び指定役務について、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号のいずれにも該当するとはいえず、その登録は同項の規定に違反してされたものとはいえない。 他に、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

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