商標異議申立
2024-900185
ギザコ
- 審判番号
- 2024-900185
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-104925
- 登録番号
- 6821748
- 請求日
- 2024年09月12日
- 審決日
- 2025年04月10日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】協和食研株式会社
- 【異議申立人】株式会社 picherry
- 【異議申立人代理人】弁理士法人みなとみらい特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 板谷 玲子
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T1652.22 -Y (W26) / T1652.25 -Y (W26) / T1652.222-Y (W26)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項10号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第19号、商標法第1条、商標法第43条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6821748号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6821748号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6821748号商標(以下「本件商標」という。)は、「ギザ子」の文字を標準文字で表してなり、令和5年9月20日に登録出願、第26類「ヘアバンド,テープ,ボタン類,人毛,電気式ヘアカーラー,頭飾品,リボン,衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),腕留め,ヘアゴム」を指定商品として同6年6月3日に登録査定、同年7月8日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立において引用する商標は、「ぎざ子」の文字(以下「申立人商標」という。)からなり、申立人の業務に係る商品「ヘアゴム」を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているとするものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第26類「へアゴム,ヘアバンド,頭飾品」(以下「本件申立商品」という。)について、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号を含む。)を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように記載し、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。
(1)申立人商標の周知性について
ア 申立人が申立人商標を使用する商品について
申立人が、申立人商標を使用する商品(以下「申立人商品」という。)はヘアゴムである(甲2)。
申立人商品は、ECサイトにおいて、申立人代表者個人によって、2022年12月から「ヘアゴムのお店iijo」というストア名で販売が開始され(甲4、甲5)、現在までに「ぎざ子 娘」、「ぎざ子 ベビー」及び「ぎざ子 母」の主に1歳ないし8歳程度の女児とその母親層を中心に各世代の女性に向けた3つの「ぎざ子」シリーズが展開されている(甲6)。
イ 申立人商品の市場規模及び需要者等について
申立人商品が主に販売されている楽天グループ株式会社が運営するECサイト(以下「楽天市場」という。)は、2023年のEC流通総額は6.0兆円、インターネット通販シェアの約3分の1(28.9%)と国内最大級の取引規模を誇るECサイトである(甲7)。なお、申立人商品は、楽天市場の他、相当の取引規模を有するアマゾンジャパン合同会社が運営するECサイト「Amazon.co.jp」やQoo10 Pte Ltdが運営するECサイト「Qoo10」などでも販売されている(甲8)。
そして、申立人商品は、ぎざぎざした形状の可愛さやそのカラーバリエーションの豊富さ、さらには、髪の結びやすさ、頭や髪への負担が少ないなどの機能性などから、販売開始以来、女児や女児を子に持つ母親層を中心とする需要者や取引者の圧倒的な支持を獲得しており(甲6、甲9)、2023年9月までで約380万個(4.3万セット)、2024年9月現在までに約1,156万個(約13万セット)を販売し、2024年9月現在までにぎざ子シリーズの累計で約1億1千万円以上の売り上げがある(甲10)。
申立人商品の中核となっている「ぎざ子 娘」だけでも、2023年9月までに約306万個(約3.4万セット)を販売しており(甲10)、これを「ぎざ子 娘」が推奨される3歳から8歳まで(国内の2020年~2015年出生)の女児の推定人数(推定で約265万人存在)で割ると、単純な販売個数だけでいえば3歳から8歳まで女児1人につき1個以上所有する程度の相当な数量が市場に流通していることになる。
また、楽天市場のみのレビュー(購入者の評価)件数でも、2024年10月現在までに、ストアのレビューで約2,700件(4.77/5.00)、「ぎざ子 娘」及び「ぎざ子 ベビー」の累計で約2,540件(4.6/5.0以上)と相当な件数の高い評価を得ていることが分かる(甲11)。
その証左として、楽天市場において購入者の評価を基に月間のMVPショップを選出する「楽天ショップ・オブ・ザ・マンス」では、ジュエリー・アクセサリージャンルにおいて2023年4月度を受賞、キッズ・ジュニアジャンルにおいて2024年3月度に申立人にかかるストアが受賞しており、加えて、楽天市場の約57,000店以上の中で購入者から高い評価を得ている上位1%のショップが選ばれるとされる「月間優良ショップ」を2023年12月に受賞している(甲12-1・2)。
さらに、「ぎざ子 娘」及び「ぎざ子 ベビー」のシリーズは、楽天市場において、集計期間が2023年9月18日から24日までのヘアアクセサリーやヘアゴムジャンルの週間ランキング(1週間ごとのランキング)だけでも複数回1位を獲得している(甲12-3)。また、現在確認できる範囲では、楽天市場の「キッズ・ベビー・マタニティ」という(推定)3,600万点以上の登録商品が揃えられている広大なカテゴリの中においても複数回、高順位を獲得しているから、申立人商品はヘアゴムのジャンルにとどまらないほどの人気を博していることが分かる(甲12-4)。
なお、それ以降も、ヘアゴムジャンルにおいて何度もランキングで1位を記録しており、最近では、2024年5月15日から24日まで連続でデイリーランキング(1日ごとのランキング)1位を獲得していることからも、現在でも申立人商品が高い評価を得ていることが分かる(甲12-2)。
その結果、2022年9月11日(日)ないし2023年9月10日(日)の間で集計された結果を基に楽天市場が発表した「楽天年間ランキング2023」では、キッズファッション部門(ヘアアクセサリーのみではなく、子供向け被服やかばんも包括されたカテゴリ)において、ヘアアクセサリー商品で唯一、申立人商品(「ぎざ子 娘」)が24位を獲得している(甲12-5)。
このことから、本件商標の出願日前までには、少なくとも国内最大の取引規模を誇る楽天市場のベビー・キッズファッションのヘアアクセサリージャンルにおいて、市場占有率が極めて大きいものとなっていたといえる。
その他、申立人は、40ものインターネットメディアにプレリリース(広告)を出稿していた(甲13)。
ウ 小括
以上のことを勘案すれば、申立人商品は国内最大級の取引規模を誇るECサイトにおいて、少なくとも子ども用のヘアアクセサリー部門では、シェア率はトップで市場占有率及び周知性は極めて高く、本件商標の出願前でも、申立人商標は十分に周知であったといえる。
(2)本件商標と申立人商標との同一性及び類似性について
ア 本件商標について
本件商標は、片仮名と漢字を組み合わせた「ギザ子」を標準文字で表してなり、構成文字に照応して「ギザコ」の称呼が生じ、当該文字は、我が国の辞書類に載録のないことや俗語等として一般に使用されている実情が見当たらないことから、特定の観念を生じさせるものではない。
イ 申立人商標について
申立人商標「ぎざ子」は、該構成文字に照応して「ギザコ」の称呼が生じ、これも我が国の辞書類に載録のないことや一般に使用されている実情が見当たらないことから、特定の観念を生じさせるものではない。
ウ 本件商標と申立人商標との比較
本件商標と申立人商標とは、その構成文字のうち、「子」の文字が共通しており、「ぎざ(ギザ)」の部分は文字種が相違しているが、片仮名と平仮名の文字種の違いは、社会一般の通念に従えば、同一と評価されるものであるから、両商標は外観上、極めて紛らわしい。
また、両商標は、特定の観念を生じるものではないため比較はできないにしても、ともに「ギザコ」の称呼が生じ、称呼上、極めて紛らわしい。
次に、上記1及び2に記載の本件商標の指定商品と申立人商品「ヘアゴム」について比較するに、少なくとも本件申立商品である「ヘアゴム,ヘアバンド,頭飾品」(以下「頭飾品類」という場合がある。)は、申立人商品と極めて紛らわしい。
なお、両商標中の「ぎざ(ギザ)」部分の文字種が異なることで称呼や観念、若しくは印象、連想が異なるであるとか、頭飾品類の分野において、文字種の差異によって非類似となるような特殊な取引実情があるなど、特段の事情も認められない。
以上より、本件商標と申立人商標とは、その商品、外観及び称呼において極めて紛らわしく、両商標は実質的に同一と評価されるべきものである。
(3)不正の目的について
ア 本件商標の権利者について
本件商標の権利者である協和食研株式会社(以下「本件商標権者」という。)は、甲第14号証から把握できるとおり、主に健康食品やオーラルケア製品を製造・販売等することを目的としている法人である。
イ 本件商標権者の商標出願歴と商品について
本件商標権者は、本件商標も含めて、2024年10月現在までに24件の商標出願を行っているが、各出願の指定区分は主に第5類や第30類などのサプリメントや飲食料品に関するものがほとんどで、本件商標以外に第26類の商品はおろか、雑貨系の区分及び商品を指定区分・指定商品とする商標出願がなされたことはない(甲15)。
実際、本件商標権者のHPで紹介される商品や楽天市場等のECサイトで販売される本件商標権者の商品の中には、頭飾品類の商品はなく、本件商標「ギザ子」という名称の商品が販売されている事実は発見し得ない(甲14、甲16)。
ウ 本件商標の出願の経緯について
本件商標の出願日である2023年9月は、甲第10号証でも示すように、突出して販売個数と売上げが多い時期であり、この月に楽天市場の様々なアワードを受賞しており、さらに、楽天市場が提供するSNS「ROOM」では、出願日前までに申立人商品に係る相当の数の投稿がある(甲9-2)。
また、申立人商標「ぎざ子」は、俗語等として一般に使用されている実情や辞書類に一切載録のない高度な独創性を具えた造語である。
そうすると、本件商標権者も楽天市場で健康食品等を販売して一定の利益・知名度を得ている事業者であるから、同人が申立人商標及び申立人商品を不知であって、新たに頭飾品類の商品及び事業を考案した、その商品に採択された名称が偶発的に業界で注目を集めている申立人商標と実質的に同じものとなったとは到底考え難く、むしろ、申立人商標が商標出願登録されていない事実を知って、申立人が築き上げてきた商標に化体する信用(グッドウィル)にフリーライドするなどの不正な目的をもって商標出願を行ったものとみるのが自然である。
また、本件商標の指定商品は、ほとんどが特許庁の「類似商品・役務審査基準〔国際分類第12-2023版対応〕」で公表された名称から採択されているが、申立人商品と同じ指定商品の「ヘアゴム」だけは、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)の「審査において採用された商品・役務名」のみで公表されている名称である(甲17)。このことからしても、本件商標権者は、明らかに申立人商標及び申立人商品を知って、本件商標を剽窃的に出願していると容易に推認させるものである。
エ 小括
以上の実情を検討する限り、本件商標は、本件商標の出願日前までに業界内で良く知られるようになっていた申立人商標が商標登録されていない事実を知り、その事実と、今後、申立人商標の周知性や財産的価値がより高まっていくことに奇貨して、申立人商標にフリーライドする意図を有して先取り的な出願がなされたものといわざるを得ない。
このことは、申立人商標に係る営業上の信用や名声を甚大に毀損されるおそれが高いものである。
仮にこれが容認されてしまうのであれば、申立人商標がさらなる営業上の信用を蓄積していく中で、これにフリーライドする形で出所及び品質の全く異なる商品が市場に流通してしまうことは容易に想定できる事態であり、このような事態は、日本国における適正な商道徳に反し、社会的相当性を著しく欠くものであるから、到底是認されるべきものであってはならない。
(4)商標法第4条第1項第7号について
本件商標の出願は、申立人商標にフリーライドする意図をもってなされたものといえ、その出願の経緯について社会的相当性を欠き、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものである。
よって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗に反するおそれがあり、商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたものである。
(5)商標法第4条第1項第10号について
申立人商標は、申立人の業務に係る商品(ヘアゴム)を表示するものとして、本件商標の出願日前より現在に至るまで、需要者の間に広く認識されている商標である。また、本件商標は、これと抵触する商品(第26類「ヘアゴム,ヘアバンド,頭飾品」)を指定しており、申立人商標と実質的に同一、若しくは、少なくとも類似する商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものである。
(6)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、他人である申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く知られる商標と実質的に同一、若しくは、少なくとも類似する商標であって、上記不正の目的をもって使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものである。
(7)商標法の趣旨について
商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護すること」(商標法第1条より)を目的とするものである。このことからすれば、本件申立てが認められない場合には、申立人商標に築き上げられた業務上の信用(経済的価値)を維持できないばかりか、不正の目的をもって使用することが明らかな本件商標によって著しい損失を被る蓋然性が高い。
そうすると、この損失は当然に我が国の産業の発達に寄与するものではなく、さらには、周知性を有する申立人商標が乱立することで需要者の利益を保護する法目的にも適わないことは明白である。
また、商標登録異議の申立て(商標法第43条の2)は、「登録異議の申立てがあったときは特許庁が自ら登録処分の適否を審理し、暇疵ある場合にはその是正を図ることにより、登録に対する信頼を高めるという公益的な目的を達成するため導入されたもの」である。
以上までに述べたことを参酌すれば、本件申立てが認められずに、本件商標が有効であると評価されてしまうことは、短期間で相当の信頼を獲得している申立人商標のような商標であれば、不正の目的をもってしても先取り的に出願することを良しとすると、特許庁ないし我が国の行政がこれを肯定しているといっても過言ではない。
すなわち、本件申立てが認められないことは、商標登録に対する信頼性を高めるどころか、商標登録制度そのものの信頼を失墜させ、商標登録異議申立ての公益的な目的にも全く適わないものといわざるを得ない。
4 当審の判断
(1)申立人商標の周知性
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。
(ア)申立人の代表者は、遅くとも2022年12月25日から「ぎざ子」の文字を使用した商品「ヘアゴム」を楽天市場において販売を開始し(申立人の主張、甲5)、その後、令和5年(2023年)8月29日に申立人を設立した(甲3)。
(イ)申立人商品は、現在までに「ぎざ子 娘」(1セット90本)、「ぎざ子 ベビー」(1セット90本)及び「ぎざ子 母」(1セット50本)という、主に1歳ないし8歳程度の女児とその母親層を中心に各世代の女性に向けた3つの「ぎざ子」シリーズが展開されている(甲6)。
(ウ)申立人商品は、楽天市場以外のECサイトである、Amazon及びQoo10においても販売されている(甲8)。
(エ)インスタグラムにおいて、2023年6月ないし8月の期間に申立人商品についての記載が9名程度によってなされ(甲9の1)、また、楽天市場のSNSである「ROOM」において、2024年10月頃までに投稿数が約7,500件あるとされ(甲9の2)、さらに、申立人商品を紹介する第3者によるウェブサイトがある(甲9の3)。
(オ)申立人商品は、50本又は90本を1セットとして販売されているところ(上記(イ))、申立人が作成した申立人商品の販売個数と売上高によれば、2023年1月ないし同年9月12日の期間の売上合計(セット数)は、129,631セットである(甲10)。
(カ)申立人商品は、2023年5月から6月の楽天市場のデイリーランキングで9位ないし27位、同年9月は15位ないし26位(甲12-4)、2024年5月の同ランキングでは1位(甲12-2)、同年9月は8位ないし29位(甲12-4)であり、また、2022年9月11日ないし2023年9月10日を集計期間とする楽天年間ランキングにおいて、キッズファッション部門で24位であった(甲12-5)。
(キ)申立人は、2023年12月4日ないし同月11日の申立人商品のセールについて、プレスリリースを複数回出稿していたことがうかがえる(甲13-1)。
イ 上記アからすれば、申立人商品は、2022年12月末頃から楽天市場において販売が開始されたことがうかがえ、楽天市場のデイリーランキング及び年間ランキングにおいて、上位を獲得したこと及び同サイトのSNSに一定数の投稿があったことなどがうかがえるものの、申立人の主張する当該商品の売上高については、申立人の作成によるものであり、これを裏付ける証拠の提出はなく、仮に上記売上高があったとしても、他の同業者のそれと比較して判断することができないため、当該売上高の多寡について確認することができず、また、申立人のプレスリリースは同一のセールの広告がインターネットに掲載されたことが確認できるにすぎないものであり、申立人商標を使用した商品の市場シェアや、申立人商標に係る広告宣伝の費用、回数及び期間など、申立人商標の使用事実を量的に把握することができる具体的な証拠の提出はないから、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
商標法第4条第1項第10号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」に該当する商標について、商標登録を受けることができないと規定されているところ、上記(1)のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものである。
そうすると、本件商標と申立人商標が同一又は類似のものであり、本件申立商品と申立人商品が同一又は類似のものであるとしても、申立人商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とはいえないから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
商標法第4条第1項第19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されているところ、上記(1)のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたと認めることができないものである。
そして、上記からすると、申立人商標が需要者の間に広く認識されていることを前提に、本件商標は、不正の目的をもって使用をするものであるとする申立人の主張は、その前提を欠くものである。
また、申立人が提出した甲各号証からは、本件商標権者が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実を見いだすことはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性について
上記(1)のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないから、本件商標は、申立人商標の周知性にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
そして、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えることはないものであり、さらに、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標が、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべきものであるなど、公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、本件申立商品について、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号のいずれにも該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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