商標異議申立
2024-900177
フーゾクデラックス、フーゾクデイエックス、フーゾク
- 審判番号
- 2024-900177
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-130424
- 登録番号
- 6818301
- 請求日
- 2024年09月02日
- 審決日
- 2025年05月02日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社ファームリンク
- 【権利者代理人】吉本 力
- 【異議申立人】ヴイネック 有限会社
- 【異議申立人代理人】中野 寛也
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 真鍋 伸行
- 審判官 大島 勉
- 分類
- T1651.18 -Y (W35) / T1651.255-Y (W35) / T1651.271-Y (W35) / T1651.222-Y (W35)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項商標法4条1項10号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号、商標法第43条の2、商標法第43条の3第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6818301号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6818301号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6818301号商標(以下「本件商標」という。)は、「風俗DX」及び「フーゾクデラックス」の文字を二段に横書きした構成からなり、令和5年11月24日に登録出願、第35類「ポータルサイトによる企業広告の代理,ウェブサイト上における広告用スペースの提供,広告に関するコンサルティング,ウェブサイトの検索結果の最適化,職業の斡旋,電子計算機・タイプライター又はこれらに準ずる事務用機器の操作,輸出入に関する事務の代理又は代行,求人情報の提供」を指定役務として、同6年5月29日に登録査定され、同年6月26日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するとして引用する商標は、別掲の商標(以下「引用商標1」という。)及び「fuzokudx.com」の欧文字等からなる商標(以下「引用商標2」)であり、いずれもインターネットを介して性風俗店のサービス内容を動画で紹介するWebサイトの運営において周知著名商標であると主張するものである。
上記の引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、以下「引用商標」という。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第3条第1項柱書の要件を具備せず、同法第4条第1項第15号、同項第19号及び同項第10号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべき旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。
1 商標法第3条第1項柱書
(1)申立人の保有ドメイン及び引用商標の存在、及びそれらの周知性の証明、並びに、本件商標権者による関連する2出願について
本件商標権者は、上記第1の本件商標のほかに、商願2024-35409号商標として、「fuzokudx.com」の欧文字等からなる商標を標準文字で表した、第35類「広告業,インターネットによる広告の代理,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,商品の売買契約の仲介,広告用具の貸与,職業のあっせん,電子計算機・タイプライターまたはこれらに準ずる事務用機器の操作,一般事務の代理または代行,求人情報の提供」を指定役務として、令和6年4月3日に登録出願をし、現在、審査に継続中である(甲2)。
一方、申立人は、「風俗DX」の漢字及び欧文字と「フーゾクデラックス」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなる商標(「風俗DX/フーゾクデラックス」)の「D」の部分に星のデザインを施し、「X」の部分に王冠を施した商標(以下「風俗DX/フーゾクデラックス(星付き)」、又は「風俗DX/フーゾクデラックス(星及び王冠のデザインあり)」等ということがある。)を使用し、インターネットを介して性風俗店のサービス内容を動画で紹介するWebサイトを運営している(甲3の1、甲6の3)。
また、申立人は、「fuzokudx.com」について、2001年3月22日にドメインを取得し、現在まで継続して使用している(甲4の1及び3、甲5の1ないし3)。つまり、「fuzokudx.com」は、申立人の保有する登録ドメインであり、申立人は、この「fuzokudx.com」を、商標としても使用している(甲3の1、甲6の3、甲5の2及び3)。
申立人の引用商標は、いわゆる周知商標であり、少なくとも業界内(取引業者であるお店、及びお店を利用する顧客の中)では、著名性の高い商標である。
すなわち、申立人は、2001年3月22日に登録したドメイン「fuzokudx.com」(甲4の1)を、同年(2001年)から使用しており(甲5の1)、この「fuzokudx.com」は、2002年6月1日の時点で、既に商標としても使用されている(甲5の3)。
また、現在使用中の商標「風俗DX/フーゾクデラックス(星及び王冠のデザインあり)」は、2019年6月20日の時点で、既に使用されている(甲5の2)。そして、これと称呼が同一の「フーゾクDX(星及び王冠のデザインあり、X内にデラックスの文字あり)」が、2002年6月1日の時点で使用されているので(甲5の3)、「フーゾクデラックス」という称呼については、2002年6月1日の時点から発生している。
したがって、申立人の引用商標は、長期間、多くの取引業者(サイトに掲載されているお店)及び多くのサイト閲覧者(お店を利用する顧客)が目にしている。特に、「フーゾクデラックス」という称呼については、20年以上もの長期間、取引業者(お店)やその顧客が接し、浸透しており、また、「fuzokudx.com」がドメイン及び商標の双方として、20年以上もの長期間、使用されている。
そして、関東及び関西の多くの地域にまたがり、多数のお店の動画(甲3の2では、931件と表示されている。)がサイトに掲載され(甲3の1及び2)、それらの動画掲載が実際に業務として行われ(甲9の1及び2)、お店を利用する多くの顧客(ネットユーザ)が、サイトにアクセスしており(甲7)、検索エンジンによるインターネット検索で、申立人が運営するウェブサイトが上位でヒットしている(甲8の1及び2)。
また、申立人の引用商標は、雑誌で取り上げられる程に知られている(甲6の1ないし3)。
(2)本件商標権者は、他人である申立人が使用中のドメインも、自分の商標として出願しているという事実について
上記(1)で述べたとおり、本件商標権者は、本件商標の出願とは別途に「fuzokudx.com」という商標(甲2)を出願している。
この別件の「fuzokudx.com」は、上記(1)で詳述したとおり、申立人が20年以上前にドメインを取得し、現在、使用中のドメインであり、かつ、使用中の商標でもある。
そして、このドメインを含むURLのサイトが、申立人が運営するサイトであり、そのサイトで、申立人は、商標「風俗DX/フーゾクデラックス(星付き)」を使用している(甲3の1)。
したがって、本件商標権者による本件商標及びそれとは別途に出願された「fuzokudx.com」という商標(甲2)は、密接に関係している。
他人によって既に登録されているドメインを重複して登録することはできないため、本件商標権者が、ウェブサイトにより、その別件の出願(甲2)に係る指定役務の「インターネットによる広告の代理」等を行うには、「fuzokudx.com」以外の文字列からなる別のドメインを登録しなければならず、本来、ドメインを商標としても登録するのであれば、自分が登録して使用するドメイン(「fuzokudx.com」以外の文字列)を、商標としても出願するはずであるが、本件商標権者は、わざわざ自分が登録することのできない他人(申立人)の登録ドメインである「fuzokudx.com」を、商標として出願している。
また、本件商標権者は、ホームページ制作やWeb制作を行うIT企業であり(甲10の1及び2)、ドメインについて熟知しているため、他人が既に登録しているドメインを自分が登録できないことは認識している。それにもかかわらず、本件商標権者は、自分が使用するドメイン(自分が登録することができるドメイン)ではなく、他人(申立人)が登録し、使用しているドメインである「fuzokudx.com」を、商標として出願している。
したがって、本件商標権者は、他人(申立人)が登録し、使用しているドメインを、商標として出願するという不自然な行為をしていることから、別途に出願した商標「fuzokudx.com」を使用する意思がないといえる。
よって、別件の出願商標「fuzokudx.com」(甲2)は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備していない。
(3)本件商標権者により、申立人のサイトに関係する2つの商標の出願が行われているという事実について
本件商標権者は、本件商標と、別件の商標「fuzokudx.com」(甲2)とを、いずれも第35類を指定役務として出願している。そして、これらの2つの商標は、いずれも申立人が運営する同一のサイトに関係する商標である。
すなわち、本件商標は、申立人のサイト(甲3の1)で使用されている商標「風俗DX/フーゾクデラックス(星及び王冠のデザインあり)」と称呼が同一であり、かつ、申立人の引用商標1の一部分である。したがって、類似関係にある。
また、別件の商標「fuzokudx.com」(甲2)は、申立人の同サイト(甲3の1)で商標及びドメインの双方として使用されている引用商標2と同一である。
商標は選択物であるが、他人である申立人がそのサイトで使用している「風俗DX/フーゾクデラックス(星付き)」と称呼が一致する「風俗DX/フーゾクデラックス」と、申立人が同サイトで商標及びドメインの双方として使用している「fuzokudx.com」とを選択する行為は、偶然の一致ということはあり得ない。
よって、偶然の一致ではない2件の商標の選択行為、すなわち同一の者(申立人)の同一のサイトに関係する2件の商標の選択行為であるから、正当な使用が予定されているものとはいえない。
そして、このように同一の者(申立人)の既存の同一サイトに関係する2件の商標(甲1及び甲2)を出願するという点で、偶然の一致ではない不自然な商標の選択行為であることと、そのうちの一方の別件の商標「fuzokudx.com」(甲2)の出願だけを考えても、ドメイン登録できないことに起因する問題が生じる点で、不自然な商標の選択行為であることから、他方の本件商標の選択行為も不自然であり、正当に使用することとは別の意図があるといえる。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備していない。
(4)本件商標権者により、同じ業界の既存の使用中の商標と同一又は類似の商標についての多数の出願が行われているという事実について
本件商標権者は、令和5年11月24日、同6年1月4日、同年4月3日、及び同月5日に、本件商標の出願を含め、同じ業界(風俗関連業界)の既存の使用中の商標と同一又は類似の商標、並びに、既存の使用中のドメインと同一又は類似の商標についての多数の出願をしている(甲1ないし甲4の1、甲12ないし甲19の4及び甲20)。
そして、申立人に関係する2件の商標だけではなく、申立人以外の複数の同業者の各々に対しても、それらの者に関係する2件の商標(つまり、同一の者に関係する2件の商標)の選択行為をしている。
したがって、同じ業界の既存の使用中の商標やドメインと同一又は類似の商標について多数の出願をしていることが、不自然な商標の選択行為であるといえ、さらに、その中に、偶然の一致ではない2件の商標(つまり、同一の者に関係する2件の商標)の選択行為が、複数組含まれているので、正当に使用することとは別の意図をもった意図的な選択行為であるといえる。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備していない。
2 商標法第4条第1項第15号
本件商標は、「風俗DX」の漢字及び欧文字と「フーゾクデラックス」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなる商標である。
したがって、「フーゾクデラックス」という称呼が生じる。
一方、申立人の引用商標1は、「風俗DX」の漢字及び欧文字と「フーゾクデラックス」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなる商標であり、「フーゾクデラックス」という称呼が生じる。
よって、本件商標と、申立人の引用商標1とは、称呼類似である。
また、本件商標と、申立人の引用商標1は、「風俗」と「DX」とを連結して「フーゾクデラックス」と読ませている点では同じであり、観念的には、ともに風俗情報の豪華版(デラックス版)を想起させる。
さらに、申立人の引用商標1は、本件商標の出願時(令和5年11月24日)よりも、かなり早い時期から使用されている(甲5の2には、2019年6月20日が記載され、甲6の月刊誌は、2020年12月号である)。
したがって、本件商標は、申立人の引用商標1が既に存在する状況下で、あとから星及び王冠のデザイン部分を取り除いた状態で出願されている。つまり、本件商標は、申立人の引用商標1の一部分を抜き出したものである。
よって、総合的に勘案して、本件商標は、申立人の引用商標1と類似している。
さらに、申立人は、現在の引用商標1と類似する商標を、2002年6月1日の時点で使用している(甲5の3)。
よって、「フーゾクデラックス」という称呼は、20年を超える長期間、取引業者(サイトに掲載されるお店)及びそのお店の顧客が接しているので、申立人のサイトでの業務を示すものとして、これらの者の間で深く浸透している。
そして、申立人の引用商標1は、いわゆる周知商標であり、少なくとも業界内(取引業者であるお店、及びお店を利用する顧客の中)では、著名性の高い商標である。
すなわち、申立人は、2001年3月22日に登録したドメイン「fuzokudx.com」(甲4の1)を、同年(2001年)から使用し(甲5の1における棒グラフが2001年から始まっている)、申立人の業務を行うためのサイトの運営を開始している。
現在使用中の引用商標1は、2019年6月20日の時点で、既に使用されている(甲5の2)。そして、これと称呼が同一の「フーゾクDX(星及び王冠のデザインあり、X内にデラックスの文字あり)」が、2002年6月1日の時点で使用されているので(甲5の3)、「フーゾクデラックス」という称呼については、2002年6月1日の時点から発生している。
したがって、申立人が使用する引用商標1は、長期間、多くの取引業者(サイトに掲載されているお店)及び多くのサイト閲覧者(お店を利用する顧客)が目にしている。特に、「フーゾクデラックス」という称呼については、20年以上もの長期間、取引業者(お店)やその顧客が接しているので、これらの者に深く浸透している。
そして、関東及び関西の多くの地域にまたがり、多数のお店の動画(甲3の2では、931件と表示されている。)がサイトに掲載され(甲3の1及び2)、それらの動画掲載が実際に業務として行われ(甲9の1及び2)、お店を利用する多くの顧客(ネットユーザ)が、サイトにアクセスしており(甲7)、検索エンジンによるインターネット検索で、申立人が運営するウェブサイトが上位でヒットしている(甲8の1及び2)。
また、申立人が現在使用中の引用商標1は、雑誌で取り上げられる程に知られている(甲6の1ないし3)。
この状態で、風俗関連情報の検索をしてネットサーフィンをしているサイト閲覧者(お店を利用する顧客)が、たまたま本件商標権者のサイト(存在すると仮定)にたどり着き、そこで本件商標を目にした場合は、そのサイトに記載されている役務は、申立人により提供される役務であると思い込み、また、そのサイトで目にした役務が、たとえ申立人による従前からの役務と非類似の役務であったとしても、その役務が風俗関連の役務であれば、申立人が、新たなサービスの提供を開始したものと思い込んでしまうので、具体的出所の混同が生じる。
また、お店を利用する顧客の場合は、通常、必要な時に検索してサイトを利用するだけであるが、取引業者(お店)の場合は、自社の営業にかかわることであるため、常にサイトに注目し、当該サイトへの掲載の効果を確認している。
したがって、取引業者(お店)の場合は、サイトを識別するための「風俗DX/フーゾクデラックス(星及び王冠のデザインあり)」という商標や、「フーゾクデラックス」という称呼を、サイトの内容及びそのサイトの運営を行う申立人と強く結び付けて記憶している。このため、これらを他人である本件商標権者が使用すれば、具体的出所の混同が生じる。
よって、指定役務の類否にかかわらず、具体的出所の混同が生じるので、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、登録を受けることができないものである。
3 商標法第4条第1項第19号
申立人の引用商標は、いわゆる周知商標であり、少なくとも業界内(取引業者であるお店、及びお店を利用する顧客の中)では、著名性の高い商標である。
そして、本件商標と、申立人の引用商標とは類似している。
したがって、本件商標は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標」に該当する。
また、本件商標権者は、不自然な商標の選択行為を行い、申立人が運営するサイトで用いられている申立人の引用商標及び登録ドメインについて、2つの出願(甲1及び甲2)を行っている。これらの2つの出願に係る商標の選択行為は、偶然の一致ではなく、意図的に申立人のサイトをターゲットにしたものである。
このような同一サイトについての2出願は、申立人以外の同業者に対しても複数組行われているので、正当に使用することとは別の意図をもって本件商標の出願が行われたことは明らかである。
したがって、「不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの」に該当する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当し、登録を受けることができないものである。
4 商標法第4条第1項第10号
申立人の引用商標1は、いわゆる周知商標であり、少なくとも業界内(取引業者であるお店、及びお店を利用する顧客の中)では、著名性の高い商標である。
そして、本件商標と、申立人の引用商標1とは類似している。
したがって、本件商標は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標」に該当する。
また、申立人は、「風俗DX/フーゾクデラックス(星及び王冠のデザインあり)」(甲3の1、甲6の3)という商標を、インターネットを介して性風俗店のサービス内容を動画で紹介する役務について使用している(甲3の2、甲8の1及び2)。
一方、本件商標は、「ポータルサイトによる企業広告の代理,ウェブサイト上における広告用スペースの提供」等を指定役務としている。
したがって、本件商標は、具体的出所の混同を生じるが、風俗関連情報について「ポータルサイトによる企業広告の代理,ウェブサイト上における広告用スペースの提供」を行えば、双方の役務が類似となることがあり、一般的出所の混同も生じる。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当し、登録を受けることができないものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知著名性について
申立人は、引用商標は、いわゆる周知商標であり、少なくとも業界内(取引業者であるお店、及びお店を利用する顧客の中)では、著名性の高い商標である旨主張している。
ア そこで、上記申立人の主張について検討するに、申立人提出の証拠によれば、申立人は、申立人の業務に係る役務「インターネットを介して性風俗店のサービス内容を動画で紹介するWebサイトの運営」(以下「申立人役務」という。)について、引用商標1(引用商標1と同視される、甲6の3を含む。以下同じ。)を少なくとも2019年6月20日の時点から使い始めている(甲3の1、甲5の2、甲6の3)。
イ 引用商標2は、2001年3月22日にドメインとして取得され、現在まで使用されている(甲4の1及び甲5)。そして、引用商標2は、引用商標1の下側に隣接配置(甲3の1、甲5の2、甲5の3及び甲6の3)されている。
ウ 申立人役務について引用商標が使用された記事が、2020年12月号の月刊雑誌に掲載された(甲6)。
しかしながら、引用商標1は2019年6月20日から、引用商標2は2001年3月22日から申立人役務に使用されていることはうかがえるが、引用商標が使用された役務の市場占有率、市場の売上高等の規模、広告宣伝費、広告媒体等の広告宣伝規模等の具体的な証拠がない。
また、月刊雑誌に記事が掲載されたが、その回数は1度であり、そして、その雑誌の発行部数及び売上高等も不明である。
そうすると、申立人提出の証拠によっては、引用商標が、申立人の業務に係る役務について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
なお、申立人は、引用商標の周知性を裏付けるために、ドメイン「fuzokudx.com」を含むURLの申立人のサイトへのアクセスを解析し、2024年6月1日ないし同月12日までの数値として、1日当たりの表示回数が数万に達している(甲7)旨主張するが、引用商標が使用された役務の分野における、同業者の同種役務に関するサイトの表示回数について、その証拠の提出がないため、申立人の業務に係る役務における表示回数の多寡を判断することができないから、これより直ちに周知性があるとは言い切れない。また、その数値は本件商標の登録出願時及び登録査定時より後の数値であることからも、その主張は採用できない。
(2)本件商標と引用商標との類否
ア 本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「風俗DX」及び「フーゾクデラックス」の文字を二段に横書きした構成からなるところ、「風俗DX」の文字は、「性的なサービスを行う店。」を指す「性風俗店」を意味する「風俗店のこと。」の意味を有する「風俗」の文字と「デラックス」又は「IT(情報技術)が社会のあらゆる領域に浸透することによってもたらされる変革。」の意味を有する「デジタル‐トランスフォーメーション」を意味する(以上「デジタル大辞泉」小学館)「DX」の欧文字からなるものと認められるものの、その構成文字全体としては辞書類に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いを表す語として知られているものともいえないことから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として看取、理解されるとみるのが相当であり、また、下段の「フーゾクデラックス」の片仮名は、上段の文字の読みを表したものと容易に認識されるものである。
してみれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「フーゾクデラックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、別掲のとおり、その構成中、「DX」の欧文字をデザイン化し、グラデーションを施したオレンジ色の「風俗DX」の文字を横書きし、その下に白抜きで「フーゾクデラックス」の文字を配した構成からなるところ、当該文字は、本件商標とそのつづりを同じくすることからすれば、本件商標と同様に、「フーゾクデラックス」の称呼を生じ、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として看取、理解されるとみるのが相当である。
(イ)引用商標2は、前記第2のとおり、「fuzokudx.com」の文字を横書きした構成からなるところ、その構成中の「.com」の文字部分は、「インターネットのドメイン名で、企業を表す「.com」。」(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)の意味を有するから、これより「フーゾクディーエックスドットコム」の称呼を生じ、「フーゾクディーエックスという企業のドメイン名」の観念を生ずる。
ウ 本件商標と引用商標1との類否
本件商標と引用商標1とを比較するに、本件商標と引用商標1とは、そのつづりを同じくするものであるから、両者は、文字のデザイン化及び色彩の有無の差異を有するものの、外観上、近似した印象を与えるものである。
そして、本件商標と引用商標1とは、いずれも「フーゾクデラックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。
したがって、本件商標と引用商標1とは、観念において比較することはできないものの、外観において近似し、称呼を共通にするものであるから、これらを総合勘案すれば、両者は、相紛れるおそれのある類似の商標というべきであり、類似性の程度は高い。
エ 本件商標と引用商標2との類否
本件商標と引用商標2とを比較するに、両者の構成は、上記ア及びイ(イ)のとおりであるから、外観において明確に相違するものである。
そして、本件商標から生ずる称呼は、「フーゾクデラックス」であり、引用商標2から生じる称呼は、「フーゾクディーエックスドットコム」であるから、両称呼は、その構成音及び構成音数において明確に相違するものであり、互いに相紛れるおそれはなく、観念においては、本件商標は、上記アのとおり特定の観念が生じないが、引用商標2は、上記イ(イ)のとおり「フーゾクディーエックスという企業のドメイン名」の観念を生じるから、相紛れるおそれはない。
したがって、本件商標と引用商標2とは、外観において判然と区別し得るものであり、称呼及び観念においては相紛れるおそれはないから、これらを総合的に勘案すると、両商標は、非類似の商標というべきであり、類似性の程度は低い。
(3)本件商標の指定役務と申立人役務との関連性
本件商標の指定役務は、前記第1のとおり、「ポータルサイトによる企業広告の代理,ウェブサイト上における広告用スペースの提供,広告に関するコンサルティング,ウェブサイトの検索結果の最適化,職業の斡旋,電子計算機・タイプライター又はこれらに準ずる事務用機器の操作,輸出入に関する事務の代理又は代行,求人情報の提供」であるのに対し、申立人役務は、インターネットを介して性風俗店のサービス内容を動画で紹介するWebサイトの運営であるため、どちらも他人の役務内容について媒体を介して広く世間に告げ知らせ得る役務を含むところ、これらの役務は、役務の提供の目的、手段、方法が一致するものであって、同一事業者によって行われる役務を含むことから、本件商標の指定役務と申立人役務は、密接な関連性を有する役務を含むものである。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、本件商標と引用商標1は類似の程度が高い商標であり、本件商標の指定役務と申立人役務とは、密接な関連性を有する役務を含むものであるものの、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人役務を表示する商標として、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されているとは認められない。また、本件商標と引用商標2とは、類似の程度が低い商標である。
そうすると、本件商標は、その指定役務について使用されても、取引者、需要者をして申立人役務を連想又は想起させるとは考えにくく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であると誤認し、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはない。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標ではないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第10号該当性について
上記1(1)のとおり、引用商標は、申立人役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されている商標とはいえないから、上記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標1とが類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ず、同号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標1とは、同一又は類似の商標であったとしても、上記1(1)のとおり、引用商標1は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、他人(申立人)の業務に係る役務を表示するものとして、我が国又は外国の需要者等の間に広く認識されている商標とはいえない。
また、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
4 商標法第3条第1項柱書について
商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標」とは、少なくとも登録査定時において、現に自己の業務に係る商品又は役務に使用している商標、あるいは、将来、自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される(知的財産高等裁判所、平成24年(行ケ)第10019号、平成24年5月31日判決言渡)。
そうすると、本件商標権者が、本件商標の登録査定時において、本件商標を自己の業務に係る指定役務について現に使用していなくとも、将来においてその使用をする意思があれば、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備するといえるところ、申立人提出の全証拠によっても、本件商標権者が、本件商標の登録査定時において、将来、自己の業務に係る指定役務に本件商標を使用する意思を有していたことを否定するに足りる事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないとはいえない。
なお、申立人は、本件商標権者は、申立人のサイトを含め、同じ業界の既存の使用中の商標やドメインと同一又は類似の商標について多数の出願をし、不自然な商標の選択行為を行っているので、本件商標を正当に使用する意思がない旨主張している。
しかしながら、本件商標権者が、本件商標の登録査定時において、将来、自己の業務に係る指定役務に本件商標を使用する意思を有していたことを否定するに足りる事実は見いだせないものであるから、申立人の主張は採用することができない。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものではなく、同法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するとはいえず、その登録は、同法第3条及び同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえない。
その他、本件商標の登録が、商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-900177