商標異議申立
2024-900173
コスモスビザ、コスモス、ビザ、ビサ
- 審判番号
- 2024-900173
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-102885
- 登録番号
- 6815267
- 請求日
- 2024年08月23日
- 審決日
- 2025年07月10日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】合同会社Annecto
- 【異議申立人】ビザ・インターナショナル・サービス・アソシエーション
- 【異議申立人代理人】稲葉 良幸
- 【異議申立人代理人】田中 克郎
- 【異議申立人代理人】石田 昌彦
- 【異議申立人代理人】森本 久実
- 【異議申立人代理人】太田 雅苗子
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T1651.261-Y (W0942) / T1651.262-Y (W0942) / T1651.263-Y (W0942) / T1651.271-Y (W0942)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6815267号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6815267号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6815267号商標(以下「本件商標」という。)は、「CosmosVISA」の文字を標準文字で表してなり、令和5年9月14日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム,コンピュータ周辺機器,コンピュータハードウェア,コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),クラウドコンピューティングを介した仮想コンピュータシステムの提供,コンピュータソフトウェアプラットフォームの提供(PaaS)」を指定商品及び指定役務として、同6年5月9日に登録査定され、同年6月18日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立てに引用する登録商標は、次のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1810269号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 VISA
指定商品 第9類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 昭和56年11月6日
設定登録日 昭和60年9月27日
書換登録日 平成18年2月22日
(2)登録第5434161号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 VISA(標準文字)
指定役務 第42類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日 平成22年7月26日
設定登録日 平成23年8月26日
(3)登録第3200011号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲1のとおり
指定役務 第36類「クレジットカ―ド利用者に代わってする支払代金の清算,旅行者用小切手の発行及び買取り,資金の貸付け,小切手の検証,旅行傷害保険契約の締結の媒介」
登録出願日 平成4年9月29日
設定登録日 平成8年9月30日
商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項による使用に基づく特例の適用を主張
(4)登録第3253068号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定役務 第36類「資金の貸付け,小切手の保証,旅行傷害保険契約の締結の媒介,クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算,旅行者用小切手の発行及び買取り」
登録出願日 平成4年9月30日
設定登録日 平成9年1月31日
(5)登録第3253069号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定役務 第36類「資金の貸付け,小切手の保証,旅行傷害保険契約の締結の媒介,クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算,旅行者用小切手の発行及び買取り」
登録出願日 平成4年9月30日
設定登録日 平成9年1月31日
商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項による使用に基づく特例の適用を主張
(6)登録第4774456号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の態様 別掲4のとおり
指定役務 「クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算」を含む第36類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日 平成15年8月1日
設定登録日 平成16年5月28日
(7)登録第4993862号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の態様 別掲5のとおり
指定役務 「クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算」を含む第36類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日 平成17年3月9日
設定登録日 平成18年10月6日
なお、申立人は、引用商標1及び引用商標2(以下、これらをまとめて「11号引用商標」という。)を引用し、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する旨、並びに引用商標1ないし引用商標7(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)を引用し、本件商標は同項第15号に該当する旨主張している。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第33号証を提出した。以下、証拠の記載については、甲1のように表記する。
(1)引用商標の著名性について
引用商標は、申立人の所有する登録商標であり、「クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算,旅行者用小切手の発行及び買取り,資金の貸付け,小切手の検証,旅行傷害保険契約の締結の媒介」等を始めとする役務について継続的に使用している著名商標である(甲9~甲29)。
申立人である「ビザ・インターナショナル・サービス・アソシェーション」(VISA International Service Association、以下「VISA社」という。)は、クレジットカード会社として1958年、米国のバンク・オブ・アメリカがBANK AMERICARDを設立したことに端を発し、後に、BAICへと社名とブランド名を変更、それを1976年に査証になぞらえて、国際的な意味を持たせた現在の名称に変更し、世界及び我が国において活発な企業活動を行っている。VISA社の引用商標1ないし引用商標6に係るクレジットカード等は、世界レベルで加盟店が非常に幅広く、我が国でも主要クレジット会社としてのブランドイメージが確立されている。VISA社は、我が国において日本法人を設立し、長年にわたり我が国のカード発行会社、加盟店、消費者等に多彩なサービスを提供している(甲9~甲29)。
VISA社日本法人においては、訪日観光客受け入れキャンペーン「Tokyo Grand Shopping Week」を開催し、訪日観光客のおもてなし向上を目指し、受け入れ環境の整備を行ったり、VISA社の社員ボランティアによる子供たちの英語学習をサポートする活動を行ったり、我が国の消費者を対象とした様々なイベントを開催したり、オリンピックに向けた国内外におけるキャンペーンを行ったりと、幅広い年齢層の多くの一般消費者に向けて様々なメッセージを伝える企業活動を行っている(甲9~甲20)。
VISA社は、オリンピックの最高位のスポンサーである、「グローバルパートナー」として大会を支援し、また、ワールドワイドスポンサーとして、決済テクノロジーパートナー契約を締結し、オリンピック、パラリンピック大会の会場において使用できる唯一の決済カードとなっている(甲18、甲19)。
さらに、VISA社は、FIFAのワールドワイドパートナーであるほか、Red Bull Formula Oneチームのグローバルパートナーとしてチームを支援し、また、1995年から米国のナショナル・フットボール・リーグ(NFL)のスポンサーを務める等、多岐にわたるスポンサーシップ及びパートナーシップ契約を締結し、年齢を問わず幅広い年齢層の多くの一般消費者を対象とするスポーツやエンターテインメントを通じて、自社の活動の宣伝広告活動を行っている(甲20)。
VISA社の我が国及び世界におけるたゆまぬ活動により、「VISA」商標を冠する同社は世界のトップブランドの一つとされている。米国のグローバルブランド評価を行っているBRANZ社の2015年のランキングでVISA社は世界で5位、フォーブス社による、世界で最も価値あるブランドのランキングを提供する「The World’s Most Valuable Brands2020」では世界で18位、同じく同社の世界で最も革新的な会社のランキング「The World’s Most Innovative Companies 2018」では、世界で36位、インターブランド社による「Best Global Brands 2021」では、世界で39位、直近の「Best Global Brands 2024」では、世界で32位、KANTAR社による世界で最も価値のあるブランドランキングTOP100では、2020年に世界5位、2021年に世界8位、2024年には世界7位にランキングされている(甲21~甲28)。
VISA社のグローバルで革新的な企業活動により「VISA」商標は申立人の出所を表す商標として世界的にも広く知られるに至っており、現在世界182か国において商標登録を有している。
以上より、引用商標は、本件商標の登録時において、申立人に係る役務・商品を表示するものとして、既に我が国において著名であった。
(2)本件商標と引用商標の類否について
商標の類否についての最高裁判決(最判昭和43年2月27日第三小法廷判決(昭和39年(行ツ)第110号))(甲30)、商標の分離観察についての最高裁判決(最判昭和38年12月5日第一小法廷判決(昭和37年(オ)第953号))(甲31)及び結合商標についての最高裁判決(最判平成20年9月8日第二小法廷判決(平成19年(行ヒ)第223号)(甲32)があり、さらに、商標審査基準(改訂第16版)においても、結合商標の類否判断について明確に記載されている。
そこで、本件についてみると、本件商標は、「CosmosVISA」の欧文字からなり、語頭の「C」と「VISA」の部分が大文字で表されているため、「Cosmos」の語と「VISA」の2語が組み合わされて構成されていることが外観上一見して容易に認識可能であり、さらに、本件商標中の「VISA」の部分は、上記のとおり、申立人に係る商品・役務を示す商標として世界的に著名な商標「VISA」と同一の文字であって、極めて高い識別力を有するものであるから、「VISA」の文字部分は、取引者又は需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきである。
したがって、本件商標と引用商標の類否判断においては、本件商標の構成部分の「VISA」の部分だけを取り出して、引用商標と比較し、その類否を判断することが許されるべきであり、本件商標の構成中「VISA」の部分からは、「ビザ」、「ヴィザ」の称呼が生じ、世界的に著名な決済ブランドである「VISA」の観念が生じる。
一方、引用商標は、「VISA」ないし「ビザ」の文字からなり、その文字に相応して、同じく「ビザ」、「ヴィザ」の称呼が生じ、世界的に著名な決済ブランドである「VISA」の観念が生じる。
したがって、本件商標と引用商標は、称呼が共通するから、両者は、称呼上類似することは明らかである。
また、外観において、本件商標の要部は「VISA」部分であり、引用商標1と同一の構成文字からなるため、本件商標と引用商標1は外観においても類似する。
さらに、観念について比較すると、本件商標の要部は、「VISA」部分であるところ、「VISA」は、申立人に係る役務・商品を示す商標として著名に至っている商標「VISA」(引用商標)を示すものであることから、本件商標と引用商標は申立人に係る役務・商品を示す商標を容易に観念することができ、両商標は、観念においても類似するといえる。
以上述べた点に鑑みれば、本件商標と引用商標は外観・称呼・観念のいずれにおいても類似し、また、商標審査基準の記載に従えば、本件商標は、需要者の間に広く認識された申立人の商標「VISA」を構成中に含むものであり、たとえその外観構成がまとまりよく一体に表されているとしても、本件商標と類似すると判断されるべきものである。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、11号引用商標に類似し、その指定商品及び指定役務に類似する商品及び役務に使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号について
申立人の業務に係る商品を表示するものとして著名な引用商標と同一又は類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、取引者・需要者をして、その商品が申立人の提供に関わるものであるかのように、あるいは、申立人と何らかの経済的・組織的関連があるかのように認識され、出所混同を生ぜしめるおそれがある。
VISA社の主要な業務の一つである「クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算」等のクレジットカード決済に係る役務は、クレジットカード利用者である需要者の範囲に相応して実に多くの商品・役務と密接に関連しているといえ、キャッシュレス化が進み、電子商取引が非常に発達した今日において、様々な層の需要者は、例えば、コンピュータを購入する際、その支払の多くをクレジットカード等の電子決済手続によって行う場合が多く、その際、我が国はもとより国際的にも非常に高い評価を得ているクレジットカードの国際ブランドとなっている申立人の使用に係る引用商標を冠したクレジットカードを使用することが考えられる。また、あらゆるシステムがオンライン上で提供されている今日においては、オンライン上で利用可能なソフトウェアの利用契約が日常的に様々な層の需要者によって締結されているが、店舗における商品の購入とは異なり、利用代金の支払を現金で行うことはできないため、クレジットカード等の電子決済手続によって行われており、その際も、申立人の使用に係る引用商標を冠したクレジットカードを使用することが考えられ、また、電子決済手続において、申立人の使用に係る引用商標がパソコン等の電子決済手続画面において表示されることが多いことから、引用商標は、電子商取引に置いて対象となるあらゆる商品・役務との間で、関連性を有することになる(異議2017-900099参照:甲33)。
以上より、本件商標が、その指定商品及び指定役務に使用された場合、取引者・需要者をして、申立人の著名商標「VISA」と経済的又は組織的に何らかの関連があるとの出所の誤認・混同を生じるおそれがあることは容易に首肯できる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 当審の判断
(1)申立人の使用に係る商標の周知性について
ア 申立人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、1958年に消費者向けクレジットカードの発行を開始し、現在では、200以上の国と地域で事業を展開しており、加盟店は世界で1億3,000万店以上、使用カードは34億枚以上であり、申立人の日本法人のウェブサイト及び「VISA」カードには、「VISA」(文字をデザイン化した別掲1のとおりの構成からなるものを含む。)及び「Visa」の文字(以下、これらをまとめて「使用商標」という。)が表示されている(甲9~甲20)。
(イ)申立人は、オリンピック及びパラリンピックの「グローバルパートナー」として大会を支援、ワールドワイドスポンサーとして決済テクノロジーパートナー契約を締結、また、FIFAのワールドワイドパートナー、Red Bull Formula Oneチームのグローバルパートナー、米国のナショナル・フットボール・リーグ(NFL)のスポンサーなど、スポンサーシップ及びパートナーシップ契約を締結し、申立人の行う活動についての宣伝広告を行う際に使用商標を表示している(甲18~甲20)。
(ウ)米国のグローバルブランド評価を行っているBRANZ社の2015年のランキングでは申立人は世界で5位、フォーブス社による、「The World’s Most Valuable Brands2020」では世界で18位、同じく同社の「The World’s Most Innovative Companies 2018」では世界で36位であり、インターブランド社による「Best Global Brands 2021」では世界で39位、「Best Global Brands 2024」では世界で32位、また、KANTAR社によるブランドランキングTOP100では、2020年に世界5位、2021年に世界8位、2024年には世界7位である(甲21~甲28)。
(エ)2019年3月1日付け日経マネーないし2024年5月12日付け日本経済新聞電子版までの各種新聞記事において、「VISA」カードの加盟店が世界で1億店以上であること、オリンピックの大会スポンサーとして支払手段となったこと、交通機関及び商品の支払に「VISAカード」によるタッチ決済が導入されたこと、東京オリンピックのチケット代金の支払を「VISA」カードで行えることなどが、多数掲載された(甲29)。
イ 上記アによれば、申立人は、1958年からクレジットカードの発行を開始、200か国以上の国と地域で事業を展開し、世界における加盟店数及び使用カード数も多数であることがうかがえ、世界においてのブランドランキングも高く、「VISA」の加盟店の多さ、「VISAカード」を使用したタッチ決済の導入、オリンピックのチケット代金の支払方法であることなどが、多数の新聞記事に掲載されていることなどからすれば、使用商標は、「クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算」の役務に使用され、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者に広く認識されていたものと認めることができる。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
(ア)本件商標は、上記1のとおり「CosmosVISA」の文字を標準文字で表してなるところ、前半の「Cosmos」は語頭の「C」のみが大文字で表され、後半部の「VISA」が全て大文字で表されているとしても、その構成文字は、同じ書体で空隙なく外観上まとまりよく一体的に表されているものであり、これより生じる「コスモスビザ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標の構成中「Cosmos」の文字は「宇宙」又は植物の「コスモス」の意味を、また、「VISA」の文字は「査証」(いずれも、株式会社大修館書店「ベーシックジーニアス英和辞典 第2版」)の意味を有する語として親しまれている英語であり、本件商標がそれら2語から構成されていると理解されるとしても、その構成文字全体から一義的には特定の意味合いを想起させるものではなく、上記のとおりの外観及び称呼における一体性からすれば、本件商標に接する取引者、需要者は、特定の文字部分のみに着目することなく、構成文字全体をもって把握、認識するとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「コスモスビザ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
(イ)なお、申立人は、本件商標は、語頭の「C」と「VISA」の文字が大文字で表されているため、「Cosmos」の語と「VISA」の2語を組み合わせて構成されていることが外観上一見して容易に認識可能であり、「VISA」部分は著名な申立人の商標と同じ文字からなるから、構成中の「VISA」の文字部分が取引者、需要者に対し商品及び役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえ、本件商標は「VISA」部分だけを抽出して、11号引用商標と比較することも許される旨主張している。
しかしながら、本件商標は、上記(ア)のとおり、「Cosmos」と「VISA」の2語から構成されると理解されるものであるとしても、「VISA」の文字は「査証」の意味を有する語として親しまれている英語であり、上記構成からなる本件商標において、申立人の提出した証拠によっては、構成中の「VISA」の文字部分が、本件商標の指定商品及び指定役務との関係において、取引者及び需要者に対し出所識別標識として強く支配的な印象を与え、当該文字部分を分離抽出し、他の商標と比較検討することが許されるというべき事情は見いだせない。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
イ 11号引用商標
11号引用商標は、上記2(1)及び(2)のとおり「VISA」の欧文字からなり、その構成文字に相応し「ビザ」の称呼を生じ、「査証」の観念を生じる。
ウ 本件商標と11号引用商標の類否
本件商標と11号引用商標の類否を検討すると、上記のとおりからなる両者の外観は、「Cosmos」の文字の有無の差異を有し、明らかに異なるから、両者は、相紛れるおそれはない。
次に、本件商標から生じる「コスモスビザ」の称呼と11号引用商標から生じる「ビザ」の称呼を比較すると、両者は語頭における「コスモス」の音の有無の差異を有し、これらの差異が両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、明確に聴別できる。
さらに、観念においては、本件商標と11号引用商標とは、前者が特定の観念を生じないものであるのに対し、後者が「査証」の観念を生じるものであるから、両者は、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と11号引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と11号引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 使用商標の周知性
上記(1)のとおり、使用商標は、申立人の業務に係る役務「クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算」(以下「申立人役務」という。)を表示するものとして需要者の間に広く認識されている。
イ 使用商標の独創性
使用商標を構成する「VISA」の文字(語)は、「査証」を意味する我が国で親しまれた英単語であるから、独創性の程度は低い。
ウ 本件商標と使用商標の類似性
上記(1)のとおり、使用商標は「VISA」(デザイン化されたものを含む。)及び「Visa」の文字からなり、「VISA」の文字からなる11号引用商標と同じ理由によって、上記(2)ウと同様に、本件商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、類似性の程度は低い。
エ 本件商標の指定商品及び指定役務と申立人役務の関連性及び需要者の共通性
上記1に記載の本件商標の指定商品及び指定役務と上記アの申立人役務とは、それらの用途、販売場所等が異なるから関連性は低く、また、商品の購入、役務の提供に係る代金の支払において、現金のほかに、プリペイドカード、スマートフォンを使用した決済など複数の支払方法が存在し、その一つとして、クレジットカードの使用があることから、需要者の一部を共通にするといい得るものである。
オ 小括
使用商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであるが、その独創性の程度、本件商標と使用商標との類似性の程度、及び指定商品及び指定役務の関連性が低いことからすれば、需要者の一部が共通することを考慮しても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用したときに、取引者、需要者をして使用商標を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-900173