商標異議申立
2024-900172
キネックス
- 審判番号
- 2024-900172
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-114170
- 登録番号
- 6814929
- 請求日
- 2024年08月23日
- 審決日
- 2025年05月01日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】ニデックドライブテクノロジー株式会社
- 【権利者代理人】▲吉▼田 和彦
- 【権利者代理人】中村 稔
- 【権利者代理人】田中 伸一郎
- 【権利者代理人】藤倉 大作
- 【権利者代理人】相良 由里子
- 【権利者代理人】石戸 孝
- 【権利者代理人】北原 絵梨子
- 【権利者代理人】三上 夕紀子
- 【異議申立人】クニペックス-ヴェルク ツェー グスタフ プッチュ カーゲー
- 【異議申立人代理人】小林 功
- 【異議申立人代理人】今井 秀樹
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 正和
- 審判官 山田 啓之
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T1652.261-Y (W07) / T1652.262-Y (W07) / T1652.263-Y (W07) / T1652.271-Y (W07)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第43条の2、商標法第43条の3第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6814929号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6814929号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6814929号商標(以下「本件商標」という。)は、「KINEX」の文字を標準文字により表してなり、令和5年10月13日に登録出願、「機械加工用装置」を含む第7類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同6年6月4日に登録査定され、同月17日に設定登録されたものである。
第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立てにおいて引用する国際登録第1171610号商標は、「KNIPEX」の文字を書してなり、2012年(平成24年)4月25日にドイツにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年10月24日に国際商標登録出願、第6類から第9類、第16類、第18類及び第20類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成28年2月5日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第7類「機械加工用装置」について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠として甲第1号証から甲第21号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標について
本件商標は「KINEX」の欧文字5文字を同書・同大・同間隔で横一列に配しており、当該文字構成から「キネックス」といった称呼が生じる。
また、本件商標の観念については、辞書などに載録されていない造語であり、特定の観念を生じないものである。
これに対し、引用商標は「KNIPEX」の欧文字6文字を同書・同大・同間隔で横一列に配してなるものであり、その構成文字に相応して「クニペックス」の称呼が生じる。
また、引用商標の観念については、「KNIPEX」の語は辞書などに載録されていない造語であり、特定の観念を生じないものである。
(2)本件商標と引用商標との類否
ア 外観について
本件商標「KINEX」と引用商標「KNIPEX」は、構成文字中「K」「I」「N」「E」「X」の5文字が共通し、そのうち最も目に付きやすい語頭の「K」と語尾の「EX」が共通していることから、両商標を全体観察した場合、外観上近似した印象を強く看者に与える。
以上からすれば、本件商標と引用商標は、時と場所を異にして接する時は、需要者の視覚を通じて認識する外観の印象が互いに相紛らわしく、両商標は外観において類似する。
イ 称呼について
両商標から生ずる称呼を対比するに、語尾の「ックス」の構成音を同じくし、当該構成音は韻を踏むように強く発音されるものであって、その前の音は母音「e」を共通にすることから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときには、全体の語感、語調が極めて近似したものとなっている。
以上からすれば、本件商標と引用商標の称呼は聴別することが困難な類似のものと考えるのが至極自然である。
ウ 観念について
本件商標と引用商標は共に特定の観念を生じないものであるから、比較することはできない。
(3)指定商品について
本件商標の指定商品中、第7類「機械加工用装置」は、引用商標の指定商品中、第7類の指定商品と同一又は類似する。
(4)商標に化体した業務上の信用について
引用商標は、我が国において多大な業務上の信用が化体した商標であり、出所の混同は、経済的損害を招くものである。また、引用商標が、業界において広く知られていることから、混同のおそれは高く、商標の類似関係は厳格に判断されるべきである。
(5)まとめ
以上より、本件商標は外観及び称呼において、引用商標と相紛れるおそれのある類似の商標であることは明らかであり、また、本件商標は、引用商標の指定商品中の第7類の指定商品と同一又は類似の商品に使用するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号ついて
(1)本件商標「KINEX」と引用商標「KNIPEX」は互いに類似する。
(2)申立人は、ドイツに拠点を置く工具類の製造・販売を手掛ける企業であって、1882年にドイツのクローネンベルクで創業し、140年以上の豊富な実績と経験を積み重ねた結果、工具類を取り扱う業界において、世界有数のブランドの一つとなっている(甲3)。
また、申立人の国際的なビジネスシェアは現在では60%以上に達しており、1998年以降は、子会社をアメリカ、中国、ドバイ、日本、メキシコ、ブラジル、インド等に設立している(甲4)。
(3)日本国内においては、クニペックスツールズジャパン株式会社(KNIPEX TOOLS JAPAN K.K.又はKNIPEX TOOLS JAPAN Co.,Ltd.)(以下「申立人日本法人」といい、申立人と総称して「申立人ら」という。)が事業を展開し(甲5)、「KNIPEX」の商標を自社商品に使用しており(甲6~甲10)、日本国内における2023年の販売額は約6億7,000万円である(甲11)。
また、申立人日本法人は日本国内の展示会に積極的に出展しており(甲12~甲15)、日本国内における2023年1月から2024年9月までの広告宣伝費は約1,400万円となっている(甲16)。
さらに、引用商標はインターネット記事やショッピングサイトにおいて「世界的なプライヤーブランド」等として多く紹介されている(甲17~甲21)。
(4)本件商標の申立てに係る商品は、申立人らの提供する商品と同一又は類似するものであって、需要者・取引者も共通するといえる。
(5)上記内容を考慮すると、引用商標は我が国の需要者・取引者間に広く知られているものと認められる。
したがって、「KINEX」の文字からなる本件商標がその指定商品について使用された場合には、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知著名性について
(1)申立人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。
ア 申立人は、1882年にドイツのヴッパータールで創業したプライヤーメーカーであり、1998年以降、子会社をアメリカ、中国、ドバイ、日本、メキシコ、ブラジル、インド等に設立した(甲3、甲4、甲8)。
イ 日本国内では、申立人日本法人が事業を展開し(甲5)、引用商標を商品「プライヤー」に使用している(甲6~甲10)。
ウ 申立人日本法人における2023年の販売額は約6億7,000万円である(甲11)。
エ 申立人日本法人における2023年1月から2024年9月までの期間の広告宣伝費は約1,400万円である(甲16)。
なお、本件商標の登録査定後ではあるが、申立人らは、2024年6月15日に東京で開催された「ギアフェスタ TOKYO PALOOZ 2024」、同月29日に神戸で開催された「ギガフェスタ GIGA FACTORY GEAR KOBE 2024」等の展示会に出展した(甲12~甲15)。
オ 2020年9月3日付けのインターネット上の記事において、「世界中の工具を扱う専門店のワールドインポータントツールズが「KNIPEX」のショールームを開設」の見出しの下、「Joyfulインポータントツールズ株式会社は、・・・ドイツの工具メーカーのKNIPEX(クニペックス)社のショールームをオープンした。KNIPEXは、1882年の創業から130年以上にわたりプライヤーを作り続けている老舗メーカー。」の記載がある(甲17)。
カ 「WORLD IMPORT TOOLS」のウェブサイトにおいて、「スタッフブログ」における2019年1月14日付けの記事において、「世界トップメーカー!KNIPEX(クニペックス)メカニックプライヤーをクローズアップ!」の見出しの下、「「握り物?挟み物?」ツールメーカーと言えば・・・創業から今年で135年という歴史をもち、高品質と長寿命を両立しつつ、他メーカーはない独創的かつユニークな構造の特許を多数持つ、ドイツKNIPEX(クニペックス)社の製品ではないでしょうか。世に出回る、主要プライヤーの礎を築き、・・・プライヤーメーカーのリーダー的な存在です。」の記載がある(甲18)。
キ 「ケイビーワンツールオンラインショッピング」のウェブサイトにおいて、「KNIPEX クニペックス」の見出しの下、「プライヤー専門の工具メーカーとして120年以上の歴史があり近年は新製品を多数発表しています。・・・100年を越える伝統。ドイツの職人気質と最新技術が融合した、世界的なプライヤーブランド ヨーロッパ最大のプライヤーメーカーとして世界中で人気を博しているクニペックス社。」の記載があり、「クニペックス 最新カタログ クニペックスカタログ2007年バージョン」が販売されている(甲19)。
ク 「モノタロウ」のウェブサイトにおいて、「クニペックス(KNIPEX)」の見出しの下、「世界的なプライヤーブランドとして市場をリードしています。」の記載がある(甲20)。
(2)前記(1)によれば、申立人は、創業140年を超えるプライヤーメーカーであり、遅くとも2007年には、我が国において、申立人日本法人によって引用商標を使用した「プライヤー」(以下「申立人商品」という。)が販売され、その後継続して現在に至るまで、申立人商品が販売され、2023年の売上げが相当額あり、また、インターネット上のいくつもの記事において、申立人又は引用商標が世界的なプライヤーのブランドとして高く評価されていることが認められる。
そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人らの業務に係る「プライヤー」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。
2 商標法第4条第1項第11号該当性
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「KINEX」の文字を標準文字により表してなるものであり、「キネックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないとみるのが相当である。
(2)引用商標
引用商標は、前記第2のとおり、「KNIPEX」の文字を書してなるものであり、「クニペックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないとみるのが相当である。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標を比較すると、外観においては、語頭の「K」及び語尾の「EX」の文字を共通にするとしても、中間において「IN」と「NIP」の文字の差異を有することにより、互いに別異の語を表してなると容易に認識できるから、外観は、明確に区別できる。
次に、本件商標から生じる「キネックス」の称呼と引用商標から生じる「クニペックス」の称呼を比較すると、両者は、語頭において「キネ」と「クニペ」の音の差異を有することから、全体の音調、音感が異なり、それぞれを一連に称呼しても、両称呼は聞き誤るおそれはなく、明瞭に聴別し得る。
さらに、観念においては、両者は共に特定の観念を生じないから、比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において容易に区別し得るから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(4)小括
以上により、本件商標は、引用商標と同一又は類似する商標ではないから、本件商標の指定商品中「機械加工用装置」と引用商標の指定商品との類否について言及するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性
引用商標は、前記1(2)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人らの業務に係る「プライヤー」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであるから、その周知著名性の程度は高いといえる。
また、引用商標は、既存語からなるものではないから、その独創性の程度も高いといえる。
しかしながら、前記2(3)のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、たとえ語頭における「K」及び語尾における「EX」の文字を共通にするとしても、両商標の類似性の程度は低いといわなければならない。
また、本件商標の指定商品中「機械加工用装置」は、機械を加工するための装置であるのに対し、申立人らの業務に係る「プライヤー」は、物をつかみ、又は挟むための工具であるから、その用途又は目的を異にするものであるため、両商品の関連性の程度は低く、また、取引者及び需要者の共通性も低いといわなければならない。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品中「機械加工用装置」に使用しても、取引者及び需要者が引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が申立人ら又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。
他に、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものではなく、その登録は同項の規定に違反してされたものとはいえない。
他に、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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