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商標異議申立

2024-900168

審判番号
2024-900168
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-125171
登録番号
6812241
請求日
2024年08月19日
審決日
2025年03月17日
公報発行日
2025年08月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社さきぞう
  • 【権利者代理人】赤澤 一博
  • 【権利者代理人】宮澤 岳志
  • 【異議申立人】一般財団法人 さきぞう財団
  • 【異議申立人代理人】島田 敏史
  • 【異議申立人代理人】中島 孝之
審判長/審判官
  • 審判長 大島 康浩
  • 審判官 真鍋 伸行
  • 審判官 大島 勉
分類
T1651.22 -Y (W36) / T1651.255-Y (W36) / T1651.271-Y (W36) / T1651.222-Y (W36)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6812241号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6812241号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6812241号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,投資,不動産投資」を指定役務として、令和5年11月10日に登録出願、同6年5月23日に登録査定、同年6月7日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由において引用する商標は、さきぞうグループが、不動産仲介業や不動産管理業等の不動産事業及びアパレル事業を行う上で使用していると主張している、別掲2のとおりの構成(以下「引用商標」という。)からなる商標である。 なお、引用商標は、登録第3278724号商標、登録第3278725号商標の登録商標である。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第7号について ア 本件商標の出願について 本件商標は、A氏が著作権を有する不動産事業やアパレル事業にて長年さきぞうグループが使用してきた標識であり、本件商標の取扱いはさきぞうグループに決定権があるにもかかわらず、本件商標を独占しようと本件商標の無権限者である株式会社さきぞう(以下「本件商標権者」という。)が勝手に出願を行ったものである。 本件商標の出願当時、本件商標権者の代表取締役はB氏であり、B氏が独断で出願を決定し、出願を行った。 本件商標権者は、サキゾートラスト株式会社(以下「トラスト社」という。)、さきぞう不動産株式会社、さきぞう不動産管理株式会社、さきぞう地所株式会社とともにグループ会社を形成しており(以下「さきぞうグループ」という。)、さきぞうグループに属する会社であった。さきぞうグループでは、報連相会という最高意思決定機関が設置されており、さきぞうグループに属する会社の決定は報連相会で行われることとなっていた(甲4)。報連相会では、本来、さきぞうグループ各社の取締役会や株主総会等で決議をしなければならない各社の増資の決定や、監査役の選任等をさきぞうグループで行っており、このことからも、報連相会がさきぞうグループ各社の最高意思決定機関であることを裏付けている(甲5)。 さきぞうグループで使用する商標の取扱いについても、当然報連相会が決定することとなっていた。本件商標の出願前、報連相会では、さきぞうグループで使用する商標については、申立人が管理をすることが決定され、申立人にさきぞうグループで使用されていた商標が移転されることとなっていた。申立人に移転するにあたって、まず、引用商標の考案者であるさきぞうグループ創業者のA氏に2023年11月13日に引用商標が移転された。その後、2024年6月6日には申立人に引用商標が移転された。このようにさきぞうグループで使用する商標については、本件商標権者ではなく、申立人で管理をすることとなっていたから、B氏は、報連相会での決定を経ずに独断で本件商標の出願を行うことができなかったのにもかかわらず、独断で本件商標の出願を行ったといえる。 イ 本件商標の出願の経緯について B氏が上記のような独断での商標の出願に至った経緯について、B氏は報連相会のメンバーであり、2022年10月頃まで報連相会に参加をしていた。しかし、報連相会上で自身の提案した新規事業に異議が出されたことをきっかけに、2022年11月以降の報連相会を欠席するようになった。B氏の欠席に対し、報連相会のメンバーは何とかB氏に再び出席をしてもらおうと、2023年9月2日付報連相会でB氏への出席要請を行うことを決定し(甲6)、さきぞうグループ報連相会出席要請書(甲7)をB氏に送付をした。そうしたところ、2023年9月26日に、急きょB氏は自身が代表取締役であるさきぞうグループ内のトラスト社の臨時株主総会を開催し、さきぞうグループの創業メンバーでもあるA氏、C氏を取締役から解任した(甲8)。このように、B氏は、報連相会を欠席して以降、A氏、C氏といった報連相会のメンバーを積極的に排除していった。B氏は、さきぞうグループであり本来報連相会で意思決定をしなければならないはずの本件商標権者、トラスト社を自身が代表取締役であることをいいことに支配し、報連相会ではなく自身が本件商標権者、トラスト社の意思決定をしようという動きを見せるようになっていった。2023年12月末日には、本件商標権者、トラスト社の代表取締役であり、報連相会のメンバーであるD氏を、B氏は、自身に協力的ではないとして定時株主総会で取締役から解任を行い(甲8の1、甲9)、自身に非協力的な者を排除し、支配を強めようとしている。 一方、報連相会はさきぞうグループの最高意思決定機関であるため、B氏の欠席以後も開催がされていた。2023年5月頃には社会貢献及びさきぞうグループのブランド維持高揚のため、申立人の設立が決定された(甲10)。申立人の運用にあたっては、さきぞうグループで使用していた商標を申立人に移転し、移転された商標のライセンス料にて申立人を運営していくこととなっていた。これらのことは、出席はしていなかったが、報連相会のメンバーであるB氏にも通知はされていた。 B氏は、上記のように本件商標権者、トラスト社から報連相会のメンバーを排除し、本件商標権者、トラスト社を支配しようとしていたが、自身が本件商標権者やトラスト社を運営するにあたり、所有不動産にロゴとして使用されている本件商標(甲11)を使用する必要があった。しかし、報連相会の決定のように、申立人に商標を移転し、管理するとなると、B氏が本件商標を自由に使用することが難しくなり、本件商標権者、トラスト社の支配に障害が生じるおそれがあった。そうしたところ、引用商標は本件商標権者やトラスト社が営む不動産事業にかかわる第36類での商標登録がされていなかったため、B氏は、引用商標と同一の本件商標について、申立人ではなく、自身で確保し、本件商標権者、トラスト社の運営を報連相会の影響を受けることなく行うために、報連相会の決定を経ず、独断で第36類の出願を行った。 本件商標はさきぞうグループが不動産業を行う上で、所有不動産にロゴを入れる等して使用しており、関西地域において不動産業として広く一般に知られる商標であった。このような商標を、本来報連相会でさきぞうグループとして取り扱いを決めなければならないのに、上記のような本件商標権者、トラスト社を支配的に運営するために報連相会の決定を経ずに出願することは、本件商標へのただ乗りと同義であり、不正な目的での出願といえ、その出願の経緯は著しく社会的妥当性を欠くものといえるため、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標といえる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第10号について さきぞうグループは、上記のとおり5社からなるグループであるが、主に京都府を中心に、2003年以来20年以上にわたって不動産事業を営んできた。さきぞうグループは京都府に40件、滋賀県に7件、石川県に1件、栃木県に1件の、約50件の物件を所有している。さきぞうグループはこれらの所有物件の多くに、外観等へ引用商標のロゴを使用しており(甲11)、物件の周囲を通りかかった人の目に引用商標は留まりやすい状態で使用していた。また、さきぞうグループ各社の名刺(甲12)や封筒(甲13)には引用商標が使用されており、さきぞうグループの日常的な取引で引用商標は使用されていた。さらに、さきぞうグループでは、社会貢献活動の一環として、地元京都の散策マップを無償でホテル等を通じ、2011年9月に32,000部、2019年1月には15,000部を配布しており、散策マップには引用商標が使用されていたことに加え(甲14)、2017年1月には引用商標が使用された雑誌を無償でホテル等を通じ4,800部配布していた(甲15)。これらのことから、引用商標は物件の所在する地域の人々にとって非常にポピュラーな標識であるといえる。 また、さきぞうグループの不動産事業は、グループの1社である本件商標権者の令和4年10月1日~同5年9月30日の売上高をみても6億3,500万円ほどとなっており(甲16)、不動産事業として多くの取引を行っている。 したがって、引用商標は、不動産仲介業や不動産管理業等で関西地域において広く一般に知られている商標といえる。 また、本件商標は、引用商標と同一もしくは類似の商標であり、引用商標と同一の指定商品若しくは指定役務で使用をするものである。 よって、本件商標は、関西地域において広く一般に知られている引用商標と同一のものであり、引用商標と同一の指定商品もしくは指定役務で使用をするものであるといえる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号について 引用商標は、上記のとおり、さきぞうグループで不動産事業に使用がされていたが、元来、引用商標はちりめん洋服を中心としたアパレル事業に使用されていた。 アパレル事業は1972年以来50年以上営まれており、現在はさきぞうグループ直営店舗のみの販売にとどまってはいるが、2005年頃までは、百貨店等に出店を行い、全国的に展開を行っていた。また、アパレル事業は1980年代にはパリやロンドン、ロサンゼルス等に海外展開を行っており、国内のみならず海外においても著名であった。 また、アパレル事業は雑誌にも大きく取り上げられ(甲17)、引用商標も見開きで掲載されるなど多くの読者に知られていた。 したがって、引用商標は、アパレル事業において広く一般に知られているものといえる。 また、現在、さきぞうグループが引用商標を使用してアパレル事業を営んでいる直営店は京都府にあり、本件商標を使用した不動産事業も主な営業エリアが京都府と営業エリアが重なっている。 よって、引用商標は著名であること、引用商標と本件商標は営業エリアが重なっていることから、本件商標が不動産事業で使用をされた場合、引用商標が使用されているアパレル事業と出所を混同するおそれがあるといえる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第19号について 本件商標は、関西地域において広く一般に知られている引用商標やさきぞうグループの商標と同一のものであり、これらの商標がいまだ商標登録をされていないことを奇貨として、これらの商標にただ乗りし、不正の利益を得る目的で使用をするものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知著名性について ア 申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。 なお、提出された証拠のうち甲第15号証は、外国語で作成されたものであり、翻訳文の提出もないから、具体的な内容を把握することができない。 (ア)さきぞうグループとは、商標「SAKIZO」を冠とする法人及び冠法人内容が関連するNPO法人、宗教法人、諸会の集合体をいい、同グループの決裁事項は各社の採択に基づき、報連相会にて決定するとしていた(甲4)。 (イ)上記(ア)の集合体には、本件商標権者、トラスト社、さきぞう不動産株式会社、さきぞう不動産管理株式会社、さきぞう地所株式会社が含まれている(甲4、甲7)。 (ウ)引用商標は、さきぞうグループが不動産業を行う上で、建物等の外観(甲11)、同グループを構成する各社の名刺(甲12)及び封筒(甲13)に使用されている(引用商標と同視される図形を含む。以下同じ。)。 (エ)報連相会のメンバーであるA氏は、社会貢献活動の一環として、京都の散策マップを発行し、そのマップの中に、ちりめんの商品に引用商標を使用した広告を「SAKIZO SHOP」の名称で載せている(甲14)。 (オ)さきぞうグループの不動産事業は、グループの1社の株式会社さきぞう(本件商標権者)の令和4年10月1日~同5年9月30日の売上高をみても約6億3500万円(甲16)である。 (カ)さきぞうグループのアパレル事業において、引用商標が雑誌に記載された(甲17)。 イ 上記アのとおり、引用商標は、さきぞうグループの不動産事業及びアパレル事業に使用されていることはうかがえる。 しかしながら、さきぞうグループの不動産事業に引用商標が使用され始めた時期が明らかにされていない。 また、京都の散策マップの配布部数については、主張のみで、その裏付けとなる証拠は提出されていない。 さらに、アパレル事業について雑誌に取り上げられたとするのは1回のみで、その発行年は確認できず、その雑誌の発行部数及び売上高も不明である。 そして、不動産事業に関する売上高は、さきぞうグループに属している本件商標権者のものである。 以上によれば、引用商標が、さきぞうグループにより不動産事業やちりめんの商品に使用されているとしても、引用商標が使用された商品及び役務の市場占有率、市場の売上高、販売数量等の販売規模、広告宣伝費、広告媒体等の広告宣伝規模等の具体的な証拠がない。 したがって、申立人の主張及び同人提出の証拠によっては、引用商標が、さきぞうグループの業務に係る商品及び役務について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、関西地域又は我が国及び外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性 上記(1)イのとおり、引用商標は、さきぞうグループの業務に係る商品又は役務を表示するものとして、関西地域又は我が国の需要者の間に広く認識されている商標とはいえないから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ず、同号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第19号該当性 本件商標と引用商標とは、同一又は類似の商標であったとしても、上記(1)イのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、さきぞうグループの業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国及び外国の需要者等の間に広く認識されているものとはいえない。 また、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が引用商標にただ乗りし、さらに、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第15号該当性 引用商標は、上記(1)イのとおり、さきぞうグループの業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されている商標とはいえないから、本件商標と引用商標の類似性の程度やその指定役務と使用に係る商品及び役務の類似性の程度などにかかわらず、本件商標は、その指定役務について使用されても、取引者、需要者をして申立人の業務に係る商品及び役務を連想又は想起させるとは考えにくく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であると誤認し、その商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれはない。 したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標ではないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (5)商標法第4条第1項第7号該当性 ア 上記(1)イのとおり、引用商標は、さきぞうグループの業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されている商標とはいえない。 イ 申立人の主張及び提出された証拠によれば、本件商標の出願の経緯は以下のとおりである。 (ア)申立人は、本件商標の登録出願前の「報連相」会議議事録(甲4、甲5の1、甲6)を提出し、2023年6月24日付け「報連相」会議議事録によれば、「さきぞうグループの決裁事項は、報連相会にて決定する。」等について、可決承認された旨が記載されている(甲4)。 (イ)B氏は2022年10月以降の報連相会を欠席するようになり、2023年9月2日付け報連相会でB氏への出席要請を行うことを決定し(甲6)、報連相会出席要請書をB氏に送付した(甲7)。 (ウ)本件商標権者は、本件商標を上記1のとおり、2023年11月10日に登録出願した。 (オ)2023年12月末日に、本件商標権者、トラスト社の代表取締役であった、報連相会のメンバーであるD氏を、B氏は、定時株主総会で取締役から解任した(甲8の1、甲9)。 ウ 以上によれば、本件商標権者が、本件商標を通じて、さきぞうグループに対して何らかの具体的な要求をしたとか、事業活動を阻害したとかなどの事実関係を示す証拠はないことからすると、それをもって登録出願の経緯や目的に不正があるとまでは直ちにいえない。 なお、申立人は、A氏は、さきぞうグループであり本来報連相会で意思決定をしなければならないはずの本件商標権者及びトラスト社を自身が代表取締役であることをいいことに支配し、報連相会ではなく自身が本件商標権者及びトラスト社の意思決定をしようという動きを見せるようになっていた、また、A氏は、さきぞうグループの創業メンバーであるB氏及びC氏、報連相会のメンバーであるD氏をトラスト社の取締役から解任し、自身に非協力的な者を排除して、支配を強めようとしていたと主張する。 しかしながら、商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも、当事者の私的な問題として解決すべきであるところ、本件商標は、不動産事業やアパレル事業にて長年さきぞうグループが使用してきた標章であると申立人は主張するが、これまで自ら登録出願しなかった特別な事情を見いだすことはできない。また、本件商標権者は、同グループの不動産事業を行っていたと申立人が主張していることからすれば、同グループに属する本件商標権者が不動産事業を行うにあたって使用してきた本件商標を使用するに際し、登録出願をすることは、上記取締役の解任の有無にかかわらず、想定されることであって、これまでに、本件商標権者に対し、登録出願をしないことや、出願をした場合に申立人等へ帰属させる旨の契約や交渉などを講じた事実を見いだすことはできず、かつ、そのような手段を講じることができなかった特別な事情も見いだすことができないことからすると、本件商標について、商標法の先願主義を上回るような、その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあるということはできず、あくまで、当事者間の私的な問題として解決すべきであるから、公の秩序又は善良の風俗を害するというような事情があるということはできない。 エ 小括 そうすると、本件商標は、本件商標権者が引用商標の周知性にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできず、また、本件商標が、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべき事情は見いだせない。 さらに、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激又は他人に不快な印象を与えるようなものでもない。 したがって、本件商標は、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標ではなく、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (6)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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