審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
商標異議申立

2024-900161

ブライトエース、ブライト

審判番号
2024-900161
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-094144
登録番号
6809859
請求日
2024年08月09日
審決日
2025年02月25日
公報発行日
2025年05月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社シャンソン化粧品
  • 【権利者代理人】水野 勝文
  • 【権利者代理人】和田 光子
  • 【権利者代理人】保崎 明弘
  • 【権利者代理人】鈴木 亜美
  • 【権利者代理人】竹山 尚治
  • 【異議申立人】第一三共ヘルスケア 株式会社
  • 【異議申立人代理人】谷山 尚史
審判長/審判官
  • 審判長 豊瀬 京太郎
  • 審判官 清川 恵子
  • 審判官 白鳥 幹周
分類
T1651.261-Y (W03) / T1651.262-Y (W03) / T1651.263-Y (W03) / T1651.271-Y (W03) / T1651.222-Y (W03) / T1651.22 -Y (W03)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号、商標法第1条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6809859号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6809859号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6809859号商標(以下「本件商標」という。)は、「ブライトエース」の片仮名及び「BRIGHT ACE」の欧文字を上下二段に書してなり、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料」を指定商品として、令和5年8月24日に登録出願、同6年4月22日に登録査定、同年5月31日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第5679363号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様:「ブライトエイジ」及び「BRIGHT AGE」の文字を上下二段に横書きしてなる商標 登録出願日:平成26年2月7日 設定登録日:平成26年6月20日 指定商品:第3類「化粧品,せっけん類」及び第32類「清涼飲料」 (2)登録第5900689号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様:「ブライトエイジ」及び「リフトホワイトパーフェクション」の文字を上下二段に横書きしてなる商標 登録出願日:平成28年6月7日 設定登録日:平成28年11月25日 指定商品:第3類「せっけん類,化粧品」 (3)登録第5905877号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様:「ブライトエイジ」及び「肌磨きコットン」の文字を上下二段に横書きしてなる商標 登録出願日:平成28年6月16日 設定登録日:平成28年12月16日 指定商品:第3類「化粧品,せっけん類,化粧用コットン」 (4)登録第5926466号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の態様:「BRIGHTAGE」の文字を横書きしてなる商標(構成中「AGE」は太字。) 登録出願日:平成28年8月29日 設定登録日:平成29年2月24日 指定商品:第3類「化粧品,せっけん類,化粧用コットン」のほか、第5類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (5)登録第5962418号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の態様:「ブライトエイジ」及び「オーバーナイト ヴェールクリーム」の文字を上下二段に横書きしてなる商標 登録出願日:平成28年8月10日 設定登録日:平成29年7月7日 指定商品:第3類「クリーム,せっけん類」 (6)登録第6057669号商標(以下「引用商標6」という。) 商標の態様:「ブライトエイジ クリーミープレミアム マスク」及び「BRIGHTAGE Creamy Premium Mask」の文字を上下二段に横書きしてなる商標 登録出願日:平成29年9月12日 設定登録日:平成30年6月29日 指定商品:第3類「パック用化粧料」 (7)登録第6180286号商標(以下「引用商標7」という。) 商標の態様:「ブライトエイジ」及び「オーロラアクティベイト エッセンス」の文字を上下二段に横書きしてなる商標 登録出願日:平成30年9月12日 設定登録日:令和元年9月13日 指定商品:第3類「せっけん類,化粧品」 (8)登録第6344211号商標(以下「引用商標8」という。) 商標の態様:「ブライトエイジ リンクル ディープエッセンス」の文字を横書きしてなる商標 登録出願日:令和2年7月21日 設定登録日:令和3年1月22日 指定商品:第3類「化粧品,せっけん類」 (9)登録第6817898号商標(以下「引用商標9」という。) 商標の態様:「ブライトエイジホワイト プレミアム」の文字を横書きしてなる商標 登録出願日:令和5年12月18日 設定登録日:令和6年6月25日 指定商品:第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,化粧用脱脂綿」のほか、第5類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標と引用商標との類否 本件商標は、「ブライトエース」の片仮名及び「BRIGHT ACE」の欧文字を二段に書してなり、その構成文字に相応して「ブライトエース」の称呼を生ずる。引用商標2、3、5ないし9の上段又は語頭における「ブライトエイジ」又は「BRIGHT AGE」の文字部分は識別力が高く、当該文字部分が要部となるものであるところ、引用商標1の構成文字「ブライトエイジ」「BRIGHT AGE」、引用商標4の構成文字「BRIGHT AGE」、引用商標2、3、5ないし9の当該要部をなす構成文字(以下、総じて「引用商標の構成文字」という。)からは、いずれも「ブライトエージ」の称呼を生ずる。 そこで、本件商標の称呼「ブライトエース」と、引用商標の構成文字より生ずる「ブライトエージ」の称呼を対比すると、両称呼は、ともに7音よりなるところ、需要者に強く明瞭な印象を与え、称呼識別上重要な語頭6音が共通し、僅か1音の差異音も称呼識別上明瞭に聴取され難い語尾に配されるうえ、その前に配される「エ」の音が長音を伴い強いアクセントを伴って明瞭に発音されることから、語尾の差異音はより聴取し難い音となる。したがって、両商標は、互いに相紛れるおそれのある称呼類似の商標であるといわざるを得ない。 次に、外観についてみると、本件商標の構成文字中、「ブライトエース」の片仮名は、引用商標の構成文字のうち、「ブライトエイジ」の片仮名よりなるものとは、7文字中語頭5文字が共通する。そして、欧文字「A」の読み方を表す場合に、片仮名「エー」及び片仮名「エイ」の双方があてられることがあることからすれば、両商標における長音「ー」と片仮名「イ」の相違は需要者に強く印象付けられるほどの外観上の特徴的な相違ともいえず、また、そもそも字形において、2つの線よりなる「イ」と、1つの線よりなる長音「ー」との相違は、外観上の主たる印象に左程の影響を与えるものともいえない。 また、本件商標の構成文字中、「BRIGHT ACE」の欧文字は、引用商標の構成文字のうち、「BRIGHT AGE」の欧文字よりなるものとは、9文字中8文字もが共通するだけでなく、唯一の相違文字「C」と「G」も、僅かに右の開口部の小さな棒の有無のみが異なるのみで、その字形自体が互いに極めて近似するものであって、当該相違文字が外観上相紛れ易い中間に位置することからすれば、外観全体の主たる印象に与える影響は微少なものにすぎず、両商標は、全体として、外観上相紛らわしい形象よりなる外観類似の商標であるといわざるを得ない。 さらに、両商標の指定商品に含まれる「化粧品」の分野では、瓶などの丸みを帯びた面に製品名が表示されることが少なくないことから、実際に、需要者らが陳列棚等の前でこれに接する場面では、前記欧文字の「C」と「G」とは、より近似した形象として視認され得るため、極めて相紛らわしい外観となる。 このような化粧品等の分野における取引の実情は、登録後、実際に当該分野における独占的使用を認めるべく登録査定という行政処分をなすための審査においては、十分に考慮されなければならない客観的な取引実情であり、本件商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのある外観類似の商標と判断されて然るべきである。 そして、本件商標及び引用商標は、ともに既成語にはない造語であって、全体としては特定の意味合いを有するものではないものの、ともに、英語の既成語「BRIGHT」と他の英単語との2語に由来することは需要者等においても容易に察しが付くと思料されるところ、「BRIGHT」の語は、「輝く」といった意味を有するものとして、比較的我が国でも親しまれた英単語であるから、少なくとも、「輝く」という意味を有する英単語に他の語を結合してなる製品名であると認識されるため、商標の構成自体より生ずる観念とまではいえないにしても、その限りにおいて需要者は共通した印象を受けることは明らかである。 なお、これに結合する前記「他の英単語」についても、それぞれ異なる英単語が存在するとしても、実際の取引の場面においては、両商標ともに、全体として不可分一体の造語と認識されるものであるから、語頭で強く需要者の注意を惹く「BRIGHT」の語が共通するという印象の強さには及ばず、全体として不可分一体の造語と認識する中で、ともに「BRIGHT」の語の後に、「A」で始まり「E」で終わる語が付加されているといった印象を与えるにすぎず、第8文字目の1文字のみの差異が、両商標の外観全体の主たる印象に与える影響は微小である。 さらに、申立人は、医薬品、化粧品等の製造販売を行う者であるところ、引用商標が使用される申立人製品は、著名なメディアにおけるコスメランキングにおいて、幾度も第1位となるなど、長年にわたり広く親しまれてきたものであり、引用商標に係る「ブライトエイジ」ブランドの著名性に鑑みれば、指定商品「化粧品」等の需要者、取引者は、引用商標の構成文字と外観及び称呼において近似する本件商標から、「ブライトエイジ」ブランドの製品を想起する場合もあるとみて差し支えない。 したがって、本件商標は、引用商標との明確な差異を印象付けるほどの特徴的な構成要素を含んでいないものであって、商標の外観、称呼及び観念等によって与えられる印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、引用商標と混同を生ずるおそれがある類似の商標であるとみるのが相当である。 イ 商品の類否 本件商標の指定商品「せっけん類」は、引用商標1ないし5、7ないし9の指定商品「せっけん類」と同一であり、本件商標の指定商品「歯磨き」は、引用商標9の指定商品「歯磨き」と同一であり、本件商標の指定商品「化粧品」については、引用商標のすべてに、これと同一又は類似の指定商品が含まれる。 ウ 取引実情 引用商標は、後述のとおり、申立人製品を示す商標として、長年にわたり使用され、メディアにおけるコスメランキングにおいて幾度も第1位となるなど、取引者、需要者の間に広く親しまれてきた事実があるところ、当該事実は、商標法第4条第1項第11号の該当性の判断においても十分に参酌されるべき客観的な取引実情に相当する。そうとすれば、本件商標に接した取引者、需要者等をして、申立人の製造、販売に係る製品であるかの如き観念、印象を想起せしめる本件商標は、取引者に与える印象、記憶、連想等において、申立人製品を表示するものとして著名な引用商標と相紛らしい類似の商標であるといわざるを得ない。さらに、引用商標は、現に、全国的に広く販売されている「化粧品」の名称であり、また、本件商標も、「化粧品」を指定商品に含むものであるから、機能、用途の相違する化粧品の取り違えによる肌トラブル等の防止の観点も踏まえれば、その類否は、現実の取引場面の実情に照らした需要者の注意力を基準とすべきであり、特に厳格な基準により判断されるべきである。よって、前述のとおりの類似性を有する両商標は、以上の取引実情に鑑みても、互いに相紛れるおそれの高い類似の商標と判断して然るべきものである。 エ まとめ 以上より、本件商標は、その出願日前の商標登録出願に係る引用商標と類似の商標であって、同一又は類似の商品について使用するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号について ア 使用商標の著名性 引用商標の構成文字は、申立人の「ブライトエイジ」ブランドの製品を示す商標(以下「使用商標」という。)として、長年にわたり使用され、メディアにおけるコスメランキングにおいて幾度も第1位となるなど、取引者、需要者の間に広く親しまれてきたものである。 「ブライトエイジ」ブランドの製品には、現在、スキンケアシリーズに属する各製品と、医薬品に属する製品とが存在し、とりわけ、同「スキンケア」シリーズは、多彩なラインナップがある。現在販売されている「ブライトエイジ」ブランドのラインナップは、スキンケアシリーズだけでも、合計15種類に及び、これらの製品のすべての包装容器及び広告において使用商標が表示されていることがわかる(甲12)。 また、同製品のテレビCMでは、2021年頃には著名な女優を起用したテレビCMが行われ、以降、数々のテレビドラマや映画で活躍する俳優を起用した広告宣伝が行われるなど、テレビCMを含む各種メディアを通じて大々的に広告宣伝が行われ、同ブランド全体の認知度向上が図られてきた(甲13)。 また、「ブライトエイジ」ブランドの製品は、メディアにおけるコスメランキングにおいて幾度も第1位となるなど、取引者、需要者の間に広く親しまれてきたものである。甲第14号証は、講談社より発行され、「MAQUIA」、「美的」と並んで「美容3誌」とも称される著名な美容雑誌「VOCE」(ヴォ―チェ)におけるベストコスメの月間ランキングでの記録の一覧であり、2017年11月以来、実に22のランキングで第1位に輝いており、前掲各ラインナップの各製品の多くが高い評価を得ていることが分かる。甲第15号証は、そのうち、2024年2月度の「月間コスメランキング」のウェブサイト写しである。 また、「ブライトエイジ」ブランドの製品に関する記事は、その他にも、各種メディアにおいて頻繁に掲載されており、その数は、600を優に超えており(甲16)、美容誌にとどまらず、幅広い需要者を対象とする新聞、各種雑誌、オンラインメディア等の各種媒体を通じて、広く我が国需要者らの間に親しまれてきたものである。 以上よりすれば、少なくとも本件商標の出願時点において、使用商標は、取引者及び需要者間で著名となっていたことは明白であり、以降、その著名性が失われたとみるべき事情も見当たらない。 イ 使用商標の独創性の程度 使用商標は、申立人自ら創造し、使用し始めた商標であり、格別の意味を有しない独創性の高い造語である。そして、化粧品及び薬剤の分野のみならず、「BRIGHT AGE」の各文字を名称とする商品は、国際分類のいずれの分野においても存在しないことからも、独創性の高い商標であることは明らかである。 ウ 本件商標と使用商標との類似性の程度 本件商標と使用商標とは、互いに称呼、外観における類似性の極めて高い商標であることは、上記(1)のとおりである。 エ 申立人の業務に係る商品との間との性質、用途又は目的における関連性の程度、商品等の取引者並びに需要者の共通性その他の取引実情 本件商標の指定商品中「化粧品」は、使用商標と指定商品が共通し、また、その余の指定商品も、取引者並びに需要者等が共通するため、取引者、需要者に広く親しまれた申立人の製品に係る商標と類似する本件商標が、申立人以外の第三者に使用されるとすれば、取引者、需要者は、あたかもそれが申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の製造、販売に係る商品であるとの出所の混同を生ずるおそれは極めて高いものといわざるを得ない。 また、両商標の指定商品に含まれる「化粧品」の分野では、瓶などの丸みを帯びた面など、平面以外の面に製品名が表示されることが少なくないという取引の実情があり、需要者は、そのような平面以外の面において製品名が表示された製品を、陳列棚等に配置された状態において接するのであるから、真正面から看取する場合よりも、上下左右の斜めから看取する場合の方が割合として多くなり、9文字中8文字が共通し、かつ、唯一の差異に係る「C」と「G」という字形も近似した文字であるから、外観上より近似した形象となり、両製品を識別が困難なほどに、その形象において極めて相紛らわしい外観として認識される。 そして、指定商品「化粧品」の分野では、その容器に製品名を表す際に、普通一般のフォントではなく、容器のデザインに適したスマートなフォントなどが使用されることも多いところ、例えば、フォントの種類によっては、「C」と「G」という字形が更に近似して、ほとんど見分けがつかないものも存在する。また、本件商標が、伝票などで手書きされた場合は、なおさら識別し難い文字となり得る。 また、「化粧品」は、人体の一部に使用されるものであり、医薬品と同じく、人の健康に影響を与えるものであるから、日用品等に比較して、その類否は厳格に判断されなければならないものであるが、とりわけスキンケア化粧品等については、機能、用途等に適した製品の選択を妨げ、肌トラブル等の極めて深刻な事態を招くことのないよう、その名称は、称呼、外観、観念ともに、それ自体、明確に区別できるものでなければならず、より厳格に判断されるべき要請がある。 オ まとめ 以上よりすれば、本件商標は、これが付された商品に接した需要者、取引者をして、申立人又は申立人と資本関係ないしは業務提携関係にある会社の業務に係る商品と誤認混同を生ぜしめるおそれの高いものであるといわざるを得ない。以上より、本件商標は、引用商標との関係において、他人の業務に係る商品等と混同を生ずるおそれが高く、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第19号について ア 引用商標の周知性 引用商標の構成文字は、前述のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内における取引者、需要者の間において広く認識されているものである。 イ 本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標とは、前述のとおり、類似するものであり、とりわけ、類似の程度の極めて高い商標である。 ウ 不正の目的について 引用商標が、申立人の販売に係る「化粧品」の製品名として使用されているものであることは、指定商品「化粧品」についての使用の意思に基づいて出願を行われる本件商標の名義人であれば、当然に知悉の事実と考えられる。 また、本件商標が、引用商標と「BRIGHT」「A」及び「E」の文字が共通することからみれば、本件商標の中間に位置する「C」と使用商標の中間に位置する「G」との差異は、構成文字の差異として微小なものにすぎず、当該差異に係る文字同士も、文字の右側の小さな棒の有無のみの差異しかなく、字形が極めて近似する。 そうとすれば、あえて、申立人の著名な製品名称「BRIGHT AGE」において、特に需要者の注意を惹く語頭「BRIGHT」の文字と、強くアクセントを伴う「エー」の発音を含む「A_E」の文字はそのままに、その中間文字の微少と評価される差異のみを加えた本件商標を「化粧品」の名称として採択し使用することは、結果的に、長年の営業活動によって築き上げた申立人製品「BRIGHT AGE」に関する営業上の信用や名声にフリーライドした製品名であるとの印象を需要者、取引者に与えるものとなり、かつ、「ブライトエイジ\BRIGHT AGE」の出所表示機能を希釈化せしめ、ひいてはブランドとしての価値を損なわせしめることにつながり、申立人にとっては甚だ迷惑な事態を被ることとなる。 したがって、申立人に係る著名商標と明らかに類似する本件商標の登録及び使用は、確実に引用商標の出所表示機能を希釈化し、業務上の信用を棄損することにつながり、申立人並びに取引者、需要者に不利益を与える結果となる。 以上よりすれば、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するためのものとして、日本国内及び外国における取引者、需要者の間に広く認識されている引用商標と同一又は類似の商標であり、その登録及び使用は、引用商標に化体した業務上の信用にフリーライドし、引用商標の出所表示機能を希釈化せしめるものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第7号について ア 「化粧品」は、人体の一部に使用されるものであり、医薬品と同じく、人の健康に影響を与えるものであるから、日用品等に比較して、その類否は厳格に判断されなければならないものであるが、とりわけスキンケア化粧品等については、機能、用途等に適した製品の選択を妨げ、肌トラブル等の極めて深刻な事態を招くことのないよう、より厳格に判断されるべき事情があり、その名称は、称呼、外観、観念ともに、それ自体、明確に区別できるものでなければならない。本件商標の登録及び使用は、申立人製品と、他社製品との区別を困難なものとして、市場における混乱を招くばかりか、化粧品の機能、用途等に適した製品の選択の妨げとなり、ひいては意図した製品と異なる製品の使用による肌トラブルなどの極めて深刻な事態を招くおそれがある。 イ また、引用商標が、他に類を見ない独創的な商標であることからすれば、申立人の著名な製品名称「BRIGHT AGE」において、特に需要者の注意を惹く語頭「BRIGHT」の文字と、強くアクセントを伴う「エー」の発音を含む「A_E」の文字はそのままに、その中間文字の微少と評価される差異のみを加えた本件商標の構成は、引用商標における印象をうまく取り入れた剽窃とも理解されかねないものである。そして、申立人の「ブライトエイジ」ブランドの製品を示す商標として、長年にわたり使用され、メディアにおけるコスメランキングにおいて幾度も第1位となるなど、取引者、需要者の間に広く親しまれてきた申立人製品に係る引用商標の剽窃と理解されかねない程に相紛らわしい本件商標を、申立人に無断で先取り的に登録出願し、独占的に使用することは、申立人製品を長年使用する多くの需要者感情をも害するおそれがあり、商道徳的にも許されるべきものではない。 ウ そして、著名商標と極めて近似した商標の登録は、国を挙げての日本ブランドを発信し並びに国内外の第三者による安易な模倣品を排除せんとする我が国の国際競争力を低下させるばかりか、商標に化体した業務上の信用を適切に保護し、健全な競業秩序の維持を図ることを目的とする商標法第1条の趣旨に反する事態を招くおそれがある。 以上よりすれば、本件商標は、引用商標が付された化粧品の取り違え等による公衆の衛生を害するおそれがあり、使用商標の剽窃とも理解できる本件商標は、化粧品分野ないし一般社会における公の秩序又は善良の風俗に反するものであり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 4 当審の判断 (1)使用商標及び引用商標の周知著名性について ア 申立人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。 (ア)申立人の業務に係る「BRIGHTAGE」のウェブサイトには、当該ウェブサイトの上部中央に引用商標4を白黒反転させたといえる表示があり、「アイケア革命、はじまる」の表題の下、「アイゾーン ダブルリバイタライザー」とする商品容器中央に引用商標4が表示され(甲12の1)、「ブライトエイジについて」の項には、申立人の「研究と技術の粋を集めたスキンケアシリーズ」であるとの記載がある(甲12の2)。なお、当該ウェブサイトの掲載日は確認できない。 (イ)申立人のグループ会社である株式会社アイムが2021年4月19日から、エイジングケアブランド「ブライトエイジ」のTVCMの放送を開始し、その後、2023年1月には新CMが発表された(甲13)。 (ウ)雑誌「VoCE」の企画する、2024年2月度の月間コスメランキングにおいて、申立人の業務に係る「ブライトエイジ」ブランドの商品(以下「申立人商品」という。)は、「乾燥」「アンチエイジング」及び「ハリ・弾力」のカテゴリーにおいて1位となった(甲15)。 (エ)申立人商品に係るメディア掲載情報は、2018年3月以降の記録されているものだけでも600を超える(申立人の主張、甲16)。 イ 以上によれば、申立人は、商品「化粧品」について、「ブライトエイジ」の文字からなる商標及び引用商標4を使用しており、当該商品については、グループ会社によるTVCMの放送が行われ、また、雑誌の企画するコスメランキングにランクインするなどしていることが認められるものである。 しかしながら、申立人商品の販売数量・売上高・市場シェア等を示す具体的な証拠の提出はない。 また、申立人は、申立人商品に係るメディア掲載情報が多数ある旨主張するが、これに関しては一覧表(甲16)を提出するのみであって、具体的な掲載情報の事例はほぼ示されておらず、商標の使用態様などが確認できないものである。 したがって、申立人の提出に係る証拠によっては、使用商標及び引用商標が申立人の業務に係る商品について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について 本件商標は、我が国において一般に広く親しまれている英語といえる「BRIGHT」と「ACE」の欧文字の間に1文字の空白を有した「BRIGHT ACE」の欧文字を書し、その上部に当該欧文字の読みを特定する「ブライトエース」の片仮名を上下二段に書した構成からなるところ、その構成文字に相応して「ブライトエース」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に掲載が認められないから、特定の観念は生じない。 イ 引用商標について 引用商標は、前記2のとおりの構成からなり、引用商標2、3、5ないし9は、上段又は語頭における「ブライトエイジ」又は「BRIGHTAGE」の文字部分が要部となり得るものというべきであるところ、引用商標の構成文字からは、いずれも「ブライトエイジ」の称呼を生じるといえる。 そして、「ブライトエイジ」又は「BRIGHTAGE」の語は、辞書等への掲載は認められないものの、引用商標の指定商品に関連する化粧品を取り扱う業界において、「ブライト」や「エイジ」の語が、「ブライトニング」や「エイジングケア」等の語として広く使用されているといい得ることから、引用商標の構成文字からは、「輝く年齢」ほどの観念が生じるというべきである。 ウ 本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標の要部は、上記ア及びイのとおり、語頭部分における「BRIGHT/ブライト」の文字を共通にするものの、それに続く「ACE/エース」と「AGE/エイジ」は、我が国において親しまれている語であって、当該語において差異を有するものである。 また、引用商標4は、隙間のない横書きの「BRIGHTAGE」(構成中「AGE」は太字。)の欧文字からなり、本件商標は、「BRIGHT」と「ACE」の欧文字の間に1文字の空白を有し、かつ、片仮名と欧文字との二段に書されていることから、本件商標と引用商標4とは外観において明らかな差異を有するものである。 したがって、本件商標と引用商標とは、外観上相紛れるおそれがあるとはいえない。 また、称呼においては、本件商標から生じる「ブライトエース」の称呼と引用商標の要部から生じる「ブライトエイジ」の称呼とは、語頭部分における「ブライトエ」の音が共通するものの、語尾における「エ」に帯同する長音及び「ス」の音と「イジ」の音に差異を有し、短い音構成においては、該差異音が両称呼に及ぼす影響は大きく、それぞれを一連に称呼するときは、語感、語調が相違し、称呼上、十分に聴別し得るものというべきである。 さらに、観念においては、本件商標からは、特定の観念を生じないのに対し、引用商標の要部をなす構成文字からは、「輝く年齢」程の観念が生じるから、観念において相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても区別できるというべきであるから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 エ 小括 したがって、本件商標と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 上記(1)のとおり、申立人の提出に係る証拠によっては、使用商標及び引用商標が申立人の業務に係る商品について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができない。 イ 本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきであり、使用商標は、引用商標の要部をなす構成文字と同一であるから、本件商標と引用商標及び使用商標との類似性の程度は低いものである。 ウ 小括 上記ア及びイからすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、我が国の需要者等をして引用商標及び使用商標を連想又は想起させることはなく、取引者、需要者が、その商品について他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。 その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第19号該当性について 使用商標及び引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者等の間に広く認識されているものとはいえない。 また、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、非類似の商標である。 さらに、申立人が提出した証拠からは、商標権者が本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。 したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものということはできないから、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (5)商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標は、上記(2)のとおり、引用商標とは非類似の商標であって、使用商標及び引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者等の間に広く認識されているものとはいえない。 そうすると、本件商標権者が引用商標の周知性にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできず、また、本件商標が、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべき事情は見いだせないものである。 また、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激又は他人に不快な印象を与えるようなものでもない。 さらに、他に、本件商標が国際信義に反し、また、その登録出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど、公序良俗に反するものというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (6)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2024-900161

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存