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商標異議申立

2024-900159

イズモデンゴジョカイ、イズモデンゴジョ、イズモデン、ゴジョカイ、ゴジョ

審判番号
2024-900159
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2021-138552
登録番号
6809312
請求日
2024年08月06日
審決日
2025年03月19日
公報発行日
2025年05月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】イズモ株式会社
  • 【権利者代理人】大川 智也
  • 【権利者代理人】加藤 淳也
  • 【異議申立人】株式会社 出雲殿互助会
  • 【異議申立人代理人】桐山 大
  • 【異議申立人代理人】望月 崇司
  • 【異議申立人代理人】鈴木 恭平
審判長/審判官
  • 審判長 山田 啓之
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 渡邉 あおい
分類
T1651.22 -Y (W09161920303135363739404142434445)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項7号商標法43条の2商標法43条の3第4項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第1条、商標法第43条の2第1号、商標法第43条の3第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商標登録第6809312号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 商標登録第6809312号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6809312号商標(以下「本件商標」という。)は、「出雲殿互助会」の文字を標準文字により表してなり、令和3年11月6日に登録出願、第9類、第16類、第19類、第20類、第30類、第31類、第35類ないし第37類、第39類ないし第45類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同6年5月10日に登録審決、同月30日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 申立人による「出雲殿互助会」の標章の使用、本件商標権者の設立の経緯等 (1)申立人は、昭和45年4月24日、静岡県浜松市内で設立された後(旧商号「株式会社美裳苑」、同62年7月1日「株式会社出雲殿冠婚葬祭互助会」に商号変更、次いで、平成5年7月1日「株式会社出雲殿互助会」に商号変更。)、昭和49年6月28日、通商産業大臣(現経済産業大臣)から、割賦販売法による前払式特定取引業の許可(互第3004号)を受けた前払式特定取引業者であり、同法第2条第6項第2号所定の前払式特定取引を含む冠婚葬祭業及びその関連業務等を業として行っている(甲2、甲3)。 割賦販売法第2条第6項第2号所定の前払式特定取引とは、「婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供、衣服の貸与その他の便益の提供及びこれに附随する物品の給付」及び「葬式のための祭壇の貸与その他の便益の提供及びこれに附随する物品の給付」の役務の提供又はその提供の取次ぎに係る取引(同法施行令第1条第4項別表第2)であって、上記役務の提供に先立って役務の提供を受ける者から役務の対価の全部又は一部を2月以上の期間にわたり、かつ、3回以上に分割して受領するものをいい、いわゆる「冠婚葬祭互助会」に係る取引は、同法第2条第6項第2号所定の前払式特定取引に該当する(甲4)。 「冠婚葬祭互助会」に係る取引は、加入者が将来行う冠婚葬祭に備え、所定の月掛金を前払いで「互助会」(前払式特定取引業者)に支払うことにより、加入者は冠婚葬祭に係るサービスの提供を受ける権利を取得し、「互助会」(前払式特定取引業者)は、加入者の請求により上記サービスを提供するというものであり、加入者は、前払いした前受金を冠婚葬祭の費用の全部又は一部に充てることにより通常価格よりも低価格で上記サービスを受けられる(甲4)。「互助会」(前払式特定取引業者)は、営業保証金の供託及び前受金保全措置を講じること(前受金の1/2に相当する額から営業保証金の額を差し引いた額に相当する額の供託又は金融機関との供託契約の締結)が義務付けられている(割賦販売法第35条の3の62において準用する第16条、第18条の3)。 「冠婚葬祭互助会」に係る取引(前払式特定取引)には、「互助会」(前払式特定取引業者)が自社で結婚式・葬式の施行を行う自社施行の形態のものと、「互助会」(前払式特定取引業者)が施行委託契約を締結した施行会社(別会社)が結婚式・葬式の施行を行う取次ぎ形態のものとの2種類がある(甲4)。取次ぎ形態の場合においても、自社施行の形態と同様に、加入者が「互助会」(前払式特定取引業者)に前払いした前受金の全部又は一部が結婚式・葬式の施行賀用に充てられる。 (2)株式会社出雲殿(旧商号「株式会社平安閣」、昭和62年10月1日「株式会社出雲殿」に商号変更。以下、商号変更の前後を問わず、「旧株式会社出雲殿」という。)は、同50年7月1日、静岡県浜松市内で設立された後、申立人の施行委託を受けて、同社と互助会契約を締結した加入者に対し、「イズモ葬祭」の名称で、「イズモ葬祭」、「イズモホール」等の式場名の式場において、冠婚葬祭の施行の提供を行うようになった(甲5~甲7)。 株式会社出雲流通センター(旧商号「株式会社平安流通センター」、昭和63年7月1日「株式会社出雲流通センター」に商号変更)は、同52年2月15日、申立人の100%子会社として設立された後、「イズモ葬祭」、「イズモホール」等の名称の式場で使用される冠婚葬祭用具品の製造、販売等を行うようになった(甲6、甲7、甲9)。 株式会社出雲殿互助会(旧商号「株式会社平安閣冠婚葬祭互助会」、平成5年7月1日「株式会社出雲殿互助会」に商号変更。以下、商号変更の前後を問わず、「出雲殿互助会(愛知法人)」という。)は、昭和57年4月17日、愛知県内で設立された後、同年9月29日、通商産業大臣(現経済産業大臣)から、割賦販売法による前払式特定取引業の許可(互第4051号)を受け、同法第2条第6項第2号所定の前払式特定取引を含む冠婚葬祭業及びその関連業務等を業として行うようになった(甲3、甲10)。 申立人及び出雲殿互助会(愛知法人)は、遅くとも平成5年7月1日以降、「出雲殿互助会」の名称の冠婚葬祭互助会を運営し、その業務を行うに当たり、「出雲殿互助会」の標章を使用してきた(甲6、甲7、甲8、甲11)。 (3)平成17年5月、旧株式会社出雲殿は、その営業の一部である冠婚葬祭事業を新たに設立する株式会社4社に承継させるための新設分割(会社分割)を行うことを内容とする会社分割計画(甲12)を作成し、同年9月1日、上記会社分割計画に従って、静岡県浜松市に本店を置く株式会社出雲殿(令和3年10月8日「イズモ株式会社」に商号変更。以下「出雲殿(浜松法人)」という場合がある。)、愛知県岡崎市に本店を置く株式会社出雲殿(以下「出雲殿(岡崎法人)」という。)、愛知県豊田市に本店を置く株式会社出雲殿(以下「出雲殿(豊田法人)」という。)及び名古屋市に本店を置く株式会社出雲殿(以下「出雲殿(名古屋法人)」という。)が新たに設立された(甲13)。また、平成17年9月1日、旧株式会社出雲殿は、「株式会社出雲事務管理センター」に商号変更した(甲5)。 旧株式会社出雲殿(株式会社出雲事務管理センター)の営業地域のうち、静岡県浜松地区等は出雲殿(浜松法人)が、愛知県岡崎地区等は出雲殿(岡崎法人)が、愛知県豊田地区等は出雲殿(豊田法人)が、名古屋地区等は出雲殿(名古屋法人)が、それぞれ申立人又は出雲殿互助会(愛知法人)からの施行委託に基づいて、「イズモ葬祭」の名称で、各社が運営する「イズモ葬祭」、「イズモホール」等の式場名の式場において、冠婚葬祭の施行の提供を行うようになった(甲6、甲7、甲11)。 (4)申立人は、平成25年5月22日、同29年9月25日及び同30年3月26日、出雲殿(浜松法人)との間で、出雲殿(浜松法人)の所有する店舗を代理店として、申立人が出雲殿(浜松法人)に対し、申立人の運営する「出雲殿互助会」への加入手続の代行を委託し、出雲殿(浜松法人)がこれを受託する旨の代理店契約を締結した(甲14)。 また、申立人は、平成26年9月15日、出雲殿(浜松法人)との間で、申立人が出雲殿(浜松法人)に対し、申立人の運営する「出雲殿互助会」の加入者の(ア)婚礼男子・婚礼女子・成人式・七五三・宮参り・長寿記念、(イ)葬儀・通夜・法事・盆飾りの施行を委託し、出雲殿(浜松法人)がこれを受託する旨の施行委託契約を締結した(甲15)。なお、上記施行委託契約には、出雲殿(浜松法人)が「出雲殿互助会」の加入者の冠婚葬祭の施行を独占的に行うことを認める条項や申立人が自社で加入者の冠婚葬祭を施行することを禁止する条項は存在しない。 2 本件商標の登録出願の経緯等 (1)出雲殿(浜松法人)は、前述のとおり、申立人から施行委託を受けて同社の運営する「出雲殿互助会」の加入者に対して冠婚葬祭の施行の提供をしていた旧株式会社出雲殿の会社分割により設立された新会社4社の一つであり、旧株式会社出雲殿の事業を承継し、申立人との間の施行委託契約(甲15)に基づいて、「出雲殿互助会」の加入者に対し、冠婚葬祭の施行の提供を行い、また、申立人との間の代理店契約(甲14)に基づいて、同社の代理店として、「出雲殿互助会」への加入手続の代行業務及び勧誘業務等を行ってきた。 出雲殿(浜松法人)は、同社の運営する「イズモホール」等の式場の広告を、折り込みチラシ等で行う際に、「出雲殿互助会」の会員募集も行ってきた(甲22)。その際、出雲殿(浜松法人)は、申立人に対し、「出雲殿互助会」の会員募集に係る記載内容の確認を求めていた(甲23)。 出雲殿(浜松法人)は、令和2年2月頃までに、同社が発行する「イズモカード」に入会した会員に対し、会員割引価格で冠婚葬祭の施行等のサービスを開始し、その会員募集を行うようになった(甲24)。「イズモカード」に入会した会員は、「出雲殿互助会」の加入者でなくても、出雲殿(浜松法人)から会員割引価格で上記サービスを受けられた。一方、出雲殿(浜松法人)は、同月頃から、「出雲殿互助会」の会員募集広告を行わなくなった(甲24)。 (2)申立人は、令和3年10月19日、「コロナ禍で加速した葬送儀礼におけるニーズの変化に対応すべく、2022年、静岡県西部を中心に直営ホールを5店舗新規オープン」する旨のプレスリリースをした(甲16)。同プレスリリースは、申立人が前払式特定取引(「冠婚葬祭互助会」)のうち、結婚式・葬式の施行を前払式特定取引業者が自社で行う自社施行の形態で行うことを発表したものである。その後、申立人は、令和6年7月までに、静岡県浜松市内に、「出雲殿互助会の家族葬」の式場名の直営ホールを4店舗オープンした(甲17)。 (3)出雲殿(浜松法人)は、令和3年10月20日、「イズモ株式会社」に商号変更した後、同年11月6日、「出雲殿互助会」の標準文字からなる商標(本件商標)について、第9類、第16類、第19類、第20類、第30類、第31類、第35類ないし第37類及び第39類ないし第45類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、商標登録出願(商願2021-138552号)(本件商標の登録出願)をした(甲18)。 イズモ株式会社は、本件商標の登録出願に際し、申立人に対し、事前にその旨の告知をしなかった。 イズモ株式会社は、令和4年7月25日付けで、申立人に対し、同年8月31日に契約期間が満了する同社との間の各代理店契約について契約期間を延長しない旨の期間満了の申入書を送付した(甲19)。 イズモ株式会社は、本件商標の登録出願後、「イズモ葬祭」の名称で行ってきた冠婚葬祭事業を「パルモ葬祭」の「葬祭屋号」で行う旨、これに伴い、各式場の名称を「イズモホール」から「パルモ葬祭」、「パルモ葬祭かぞくホール」に改める旨の広告宣伝を積極的に行い、令和5年6月頃から、実際に冠婚葬祭事業を「パルモ葬祭」の名称で行うようになった(甲20、甲21)。 その後、イズモ株式会社は、同年10月17日、本件商標の登録出願について拒絶査定を受けたため、令和6年1月17日、拒絶査定不服審判請求をし、同年5月10日、本件商標は登録すべきものとするとの審決を受け、同月30日、本件商標の商標登録がされた(甲1)。 イズモ株式会社は、現在、冠婚葬祭事業を「パルモ葬祭」の名称で行っており、「出雲殿互助会」の商標(本件商標)を使用していない(甲21)。 3 商標法第4条第1項第7号該当性 本件商標権者による本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることは商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないというべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当する。 (1)申立人の使用する「出雲殿互助会」の標章と本件商標の同一性 本件商標は、「出雲殿互助会」の標準文字からなる商標である。 申立人は、割賦販売法による前払式特定取引業の許可を受けた前払式特定取引業者であるところ、遅くとも平成5年以降、「出雲殿互助会」という名称の「冠婚葬祭互助会」を運営し、加入者との間で、互助会契約を締結して、「冠婚葬祭互助会」に係る取引を行ってきたものであり、上記取引を含む冠婚葬祭業及びその関連業務等を行うに当たり、「出雲殿互助会」の標章を使用している。本件商標は、申立人が長年使用してきた「出雲殿互助会」の標章と同一の文字構成である。 また、本件商標と申立人の商号である「株式会社出雲殿互助会」とは、「株式会社」の文字部分を構成に含む以外には、同一の文字構成であること、株式会社である場合に「株式会社」の文字を使用することが義務付けられており(会社法第6条第2項)、申立人の商号中「株式会社」の文字部分は出所識別機能が低いことに照らすと、両者は、実質的に同一の標章であるといえる。 (2)本件商標の登録出願が申立人と本件商標権者間の施行委託契約及び代理店契約に碁づく信義則上の義務に違反すること 本件商標権者であるイズモ株式会社は、その設立以降(設立日平成17年9月1日)、申立人との施行委託契約に基づいて、「出雲殿互助会」の加入者に対し冠婚葬祭を施行してきたものであり、また、申立人との代理店契約に基づいて、申立人の代理店として加入者の互助会への加入手続の代行業務及び勧誘業務等を行ってきたものである。なお、上記施行委託契約には、本件商標権者が「出雲殿互助会」の加入者の冠婚葬祭の施行を独占的に行うことを認める条項や申立人が自社で加入者の冠婚葬祭を施行することを禁止する条項は存在しない。 このような申立人と本件商標権者間の契約関係に鑑みると、本件商標権者は、申立人が「冠婚葬祭互助会」に係る取引を行うに当たり「出雲殿互助会」の標章の使用を妨げ、又は妨げることになり得る行為をしてはならない信義則上の義務を負っていたものと解される。 しかるところ、本件商標権者は、「出雲殿互助会」の標章と同一の文字構成の本件商標について、前払式特定取引を含む冠婚葬祭業及びその関連業務を指定役務及び指定商品に含むものとして本件商標の登録出願を行ったものであるところ、その商標登録が認められると、申立人にとっては、本件商標権者の意向次第で「出雲殿互助会」の標章の使用に支障を来すなど営業上の不利益を受けるおそれが生じ得ることになるから、本件商標権者による本件商標の登録出願は、上記信義則上の義務に違反する行為であるというべきである。 (3)本件商標の登録出願の目的が申立人の業務を妨げることにあること ア 本件商標権者は、本件商標に係る登録出願時の手続における拒絶査定不服審判請求の審判請求書(甲22)において、本件商標の登録出願の目的について、次のとおり主張している。 (ア)イズモ株式会社(2021年(令和3)年10月以前は株式会社出雲殿浜松法人)は、割賦販売法第2条第6項第2号に定める前払式特定取引を行うための経済産業大臣の認可は受けていないながら、少なくとも静岡県西部エリア(浜松・掛川・菊川・袋井・磐田等)及び愛知県東部エリア(豊橋・豊川・岡崎という)においては、イズモ株式会社の設立当初である2005年(平成17年)から2022年(令和4年)12月までの長期間にわたり、「イズモ株式会社を通じて互助会への入会を希望した顧客に対しては、申立人が互助会業務を提供し、イズモ株式会社が実際の冠婚葬祭等のサービスを提供する」という分担がなされており、この間、申立人は、静岡県西部エリアの需要者に対して冠婚葬祭等のサービスは何ら提供していない。 (イ)・・・イズモ株式会社は、「出雲殿互助会はこんなにお得です!」、「当日、出雲殿互助会にご入会いただいた方全員にプレゼント進呈致します!」、「出雲殿互助会会員募集中」、「出雲殿互助会の会員様は・・・円」、「出雲殿互助会会員様への特典」、「安心はやっぱりイズモ/出雲殿互助会」、「出雲殿互助会会員様には、会員割引を適用させて頂きます」、「出雲殿互助会入会キャンペーン実施!!」等の表記を折込広告に付して頒布することで、冠婚葬祭等のサービスの広告宣伝とともに、出雲殿互助会への入会を促す広告宣伝を広く行ってきた結果、静岡県西部エリア及び愛知県東部エリアの需要者の間には、「イズモ株式会社を通じて出雲殿互助会に入会することで、イズモ株式会社による冠婚葬祭等のサービスを受けられる」という認知が広く浸透しており、イズモ株式会社は、自社を通じて互助会への入会を希望した顧客については、過去のみならず現在においても申立人に紹介し、同人によって互助会業務が顧客に提供されている。 よって、経済産業大臣の認可を受けた者によって適切に互助会業務が需要者に提供され、かつ、互助会への入会当初に想定していたイズモ株式会社による冠婚葬祭等のサービスを受けられるという健全な事業の提供が、2022年(令和4年)12月までは確保されており、少なくとも静岡県西部エリア及び愛知県東部エリアにおいては、「出雲殿」、「出雲殿互助会」等の商標に化体した冠婚葬祭等のサービスに関する業務上の信用、及び認知度は、イズモ株式会社によって構築されたものである。 (ウ)申立人は、2022年(令和4年)12月に、イズモ株式会社の同意を得ることなく、静岡県西部エリア内の浜松市に、「出雲殿互助会の家族葬」という名称で4つの葬祭ホールを開設し、自ら葬祭サービスの提供を開始しており、現状では、出雲殿互助会の会員であれば引き続きイズモ株式会社による冠婚葬祭等のサービスを受けることは可能ではあるが、静岡県西部エリアの需要者としては、想定していたイズモ株式会社による葬祭サービスと、新たに開設された申立人のサービスのいずれを享受できるのかが非常に分かりにくい状況となってしまっており、現時点でも需要者に混乱を招いている。さらには、出雲殿互助会の会員の中には、新たに開設された申立人のサービスしか受けられないと考える方が現れてしまう可能性も十分に考えられる。したがって、「イズモ株式会社を通じて出雲殿互助会に入会することで、イズモ株式会社による冠婚葬祭等のサービスを受けられる」という認識のもと出雲殿互助会に入会した静岡県西部エリアの需要者は、想定していたイズモ株式会社による葬祭サービスを受けることができずに、想定していなかった申立人による葬祭サービスを受けざるを得ない結果にも繋がりかねず、少なくとも静岡県西部エリアの需要者を混乱させて利益を害する結果となる。 (エ)以上の経緯の元で、イズモ株式会社は、「経済産業大臣の認可を受けた者によって適切に互助会業務が需要者に提供され、かつ、互助会への入会当初に想定していたイズモ株式会社による冠婚葬祭等のサービスを受けられる」という健全な事業の提供を継続し、かつ需要者の混乱を防ぐために、本件商標を出願したものである。 (オ)イズモ株式会社に商標権が付与されることで、「経済産業大臣の認可を受けた者によって適切に互助会業務が需要者に提供され、かつ、互助会への入会当初に想定していたイズモ株式会社による冠婚葬祭等のサービスを受けられる」という健全な事業の提供が継続されることになるところ、これは、公序良俗に反するどころか、需要者に混乱を招くことも抑制され、需要者の利益保護及び信用強化にも寄与する。 イ しかしながら、(ア)本件商標権者は、前払式特定取引業の許可を受けておらず、自ら「冠婚葬祭互助会」に係る互助会業務を行うわけではないから、需要者に「冠婚葬祭互助会」を連想させる「互助会」の文字を構成に含む商標を取得しなければならない必要性はないのみならず、本件商標権者は、その設立以降、申立人との施行委託契約に基づいて、申立人の運営する「出雲殿互助会」の加入者に対し冠婚葬祭を施行してきたものであり、また、申立人との代理店契約に基づいて、申立人の代理店として加入者の互助会への加入手続の代行業務及び勧誘業務等を行ってきたものであって、上記ア(イ)の折込広告等による「出雲殿互助会」の会員募集は上記加入手続の代行業務及び勧誘業務等の一環として行ってきたものであること、(イ)「冠婚葬祭互助会」に係る取引(前払式特定取引)には、「互助会」(前払式特定取引業者)が自社で結婚式・葬式の施行を行う自社施行の形態のものと、「互助会」(前払式特定取引業者)が施行委託契約を締結した施行会社(別会社)が結婚式・葬式の施行を行う取次ぎ形態のものの2種類があり、いずれの形態も、加入者が「互助会」(前払式特定取引業者)に前払いした前受金の全部又は一部が結婚式・葬式の施行費用に充てられるものであるところ、上記施行委託契約には、本件商標権者が「出雲殿互助会」の加入者の冠婚葬祭の施行を独占的に行うことを認める条項や申立人が自社で加入者の冠婚葬祭を施行することを禁止する条項は存在しないから、申立人が自社で「出雲殿互助会」の加入者の冠婚葬祭を施行することは、本件商標権者との契約上何ら問題はなく、また、「出雲殿互助会」の加入者との関係においても、加入者が「出雲殿互助会」に支払った前受金の全部又は一部が結婚式・葬式の施行費用に充てられるのであれば、その施行主体が本件商標権者又は申立人のいずれであっても、加入者の利益を損なうものではないこと、(ウ)本件商標権者は、「出雲殿互助会」の加入者でなくても、会員割引価格で冠婚葬祭の施行等のサービスを受けられる「イズモカード」を発行し、その会員募集を行うようになった後、本件商標の登録出願後、申立人に対し、上記代理店契約を契約期間満了により延長しない旨の申し入れをし、更には、「イズモ葬祭」の名称で行ってきた冠婚葬祭事業を「パルモ葬祭」の「葬祭屋号」で行う旨の広告宣伝を積極的に開始し、令和5年6月頃から、実際に冠婚葬祭事業を「パルモ葬祭」の名称で行う一方で、本件商標を使用していないことに鑑みると、本件商標権者による本件商標の登録出願は、自ら使用する意思のない本件商標が未登録であることを奇貨として、申立人が「冠婚葬祭互助会」に係る取引及びこれに付随するサービスの提供又は商品の販売を行うことを妨げることを目的として行われたことは明らかであり、本件商標権者が主張するような「経済産業大臣の認可を受けた者によって適切に互助会業務が需要者に提供され、かつ、互助会への入会当初に想定していたイズモ株式会社による冠婚葬祭等のサービスを受けられる」という健全な事業の提供を継続し、かつ需要者の混乱を防ぐ」目的で本件商標の登録出願をしたものとは到底認められないというべきである。 よって、本件商標権者の主張は、理由がない。 (4)まとめ 以上の(1)ないし(3)の事情に鑑みると、本件商標権者による本件商標の登録出願は、申立人と本件商標権者との間の申立人が運営する「冠婚葬祭互助会」(名称「出雲殿互助会」)の加入者の冠婚葬祭の施行に係る施行委託契約及び代理店契約に基づく信義則上の義務に違反し、かつ、自ら使用する意思のない本件商標が未登録であることを奇貨として、申立人が「冠婚葬祭互助会」に係る取引及びこれに付随するサービスの提供又は商品の販売を行うことを妨げることを目的として行われたものであるから、適正な商道徳に反し、著しく社会的妥当性を欠くものであり、本件商標の登録出願に基づいて商標登録を認めることは、公正な取引秩序の維持の観点からみて不相当であって、商標法第1条に規定する「商標を保護することにより、商標の使用する者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護する」という商標法の目的にも反するから、商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、本件商標の商標登録は、商標法第43条の2第1号の規定により、取り消されるべきものである。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第7号の解釈について 商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(1)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(2)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(3)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(4)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(5)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(知財高裁平成17年(行ケ)第10349号判決参照)。 しかしながら、先願主義を採用している我が国の商標法の制度趣旨などからすれば、商標法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許されないというべきである。 そして、特段の事情があるか否かの判断に当たっても、出願人と、本来商標登録を受けるべきと主張する者との関係を検討して、例えば、本来商標登録を受けるべきであると主張する者が、自らすみやかに出願することが可能であったにもかかわらず、出願を怠っていたような場合や、契約等によって他者からの登録出願について適切な措置を採ることができたにもかかわらず、適切な措置を怠っていたような場合は、出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、そのような場合にまで「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない(知財高裁平成19年(行ケ)第10391号判決参照)。 2 商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標は、上記第1のとおり、「出雲殿互助会」の文字からなるものであるから、商標自体には公序良俗違反のないものと認められる。 そこで、本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものであるかどうかについて判断する。 (1)申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 ア 申立人は、昭和45年4月24日に静岡県浜松市内で設立され、割賦販売法による前払式特定取引業の許可を受けた前払式特定取引業者であり、前払式特定取引を含む冠婚葬祭業及びその関連事業等を業として行っているものである(甲2、甲3)。 本件商標権者は、申立人からの施行委託を受けて、同人と互助会契約を締結した加入者に対し冠婚葬祭の施行の提供を行っていた旧株式会社出雲殿が、平成17年の9月1日に営業の一部である冠婚葬祭事業を継承するために、会社分割計画よって新たに設立した4社のうち、静岡県浜松市に本店を置く法人である(甲12、甲13)。 イ 申立人は、遅くとも平成5年7月1日以降、「出雲殿互助会」の名称の冠婚葬祭互助会を運営し、その業務を行うに当たり、「出雲殿互助会」の文字を使用してきた(甲6~甲8、甲11、申立人の主張)。 ウ 申立人と本件商標権者は、契約期間を「平成25年6月1日から」とする、本件商標権者の所有する店舗を代理店として、申立人の運営する「出雲殿互助会」への加入手続の代行を申立人が委託し、本件商標権者がこれを受託する旨の代理店契約を平成25年5月22日に締結し、その後、同様の内容の代理店契約を同29年9月25日及び同30年3月26日に、締結した(甲14)。 また、申立人と本件商標権者は、平成26年9月15日に申立人が本件商標権者に対し申立人の運営する「出雲殿互助会」の加入者の(ア)婚礼男子・婚礼女子・成人式・七五三・宮参り・長寿記念、(イ)葬儀・通夜・法事・盆飾りの施行を委託し、本件商標権者がこれを受託する旨の施行委託契約を締結した(甲15)。 エ 本件商標権者は、令和3年10月20日に、商号を「株式会社出雲殿」から「イズモ株式会社」に変更した(甲13の1)。 オ 本件商標は、本件商標権者により、令和3年11月6日に登録出願されたものである。 カ 本件商標権者は、令和4年7月25日付けで申立人に対し、同年8月31日に契約期間が満了する申立人との間の各代理店契約(平成25年5月22日付け代理店契約書、同29年9月25日付け代理店契約書及び同30年3月26日付け代理店契約書)について契約を延長しない旨の「期間満了の申入書」を送付した(甲19)。 (2)上記(1)によれば、本件商標権者は、申立人から委託を受けて平成17年9月以降、申立人の運営する「出雲殿互助会」の加入者に対し、冠婚葬祭の施行を提供していることがうかがえ、また、同25年6月1日から、申立人の運営する「出雲殿互助会」への加入手続の代行を行う代理店契約に基づき、令和4年8月末まで上記業務を行っていたことが認められる。 そうすると、本件商標の登録出願時である令和3年11月6日おいて、申立人と本件商標権者は、上記代理店契約及び施行委託契約に基づき一体となって「出雲殿互助会」に係る業務を行っていたということができ、本件商標の登録出願は、互助会の運営等を行う者とその加入手続並びに施行を代行及び委託されて行う関係にあった者の間における商標権の帰属等をめぐる問題であり、あくまでも当事者同士の私的な問題として解決すべきであって、「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合には該当しないものと判断するのが相当である。 なお、申立人は、「本件商標の登録出願は、申立人と本件商標権者との間の申立人が運営する「冠婚葬祭互助会」の加入者の冠婚葬祭の施行に係る施行委託契約及び代理店契約に基づく信義則上の義務に違反し、かつ、自ら使用する意思のない本件商標が未登録であることを奇貨として、申立人が「冠婚葬祭互助会」に係る取引及びこれに付随するサービスの提供又は商品の販売を行うことを妨げることを目的として行われたものである」旨を主張しているところ、本件商標権者が申立人の互助会に係る取引及びこれに付随するサービスの提供を妨害や阻止しようとしていることなどを裏付ける証拠を挙げているとまではいうことができない。 しかも、申立人は、「出雲殿互助会」の商標の使用開始に当たって、その商標を自ら登録出願する機会は十分にあったというべきであって、自ら登録出願しなかった責めを本件商標権者に求めるべき事情を見いだすこともできない。 そうすると、本件商標は、商標法の先願登録主義を上回るような、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあるということはできないし、そのような場合には、あくまでも、当事者間の私的な問題として解決すべきであるから、公の秩序又は善良の風俗を害するというような事情があるということはできない。 よって、申立人の上記の主張は、採用することができない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 3 まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものとはいえず、他に、同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-900159

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