商標異議申立
2024-900154
イリドリップ、アイアアルアアルアイドリップ、イリ、アイアアルアアルアイ、ドリップ
- 審判番号
- 2024-900154
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-093599
- 登録番号
- 6807304
- 請求日
- 2024年07月31日
- 審決日
- 2025年03月19日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】ナム キュン エンジ株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人太田特許事務所
- 【異議申立人】イリテック エスピーエー
- 【異議申立人代理人】瀧野 文雄
- 【異議申立人代理人】江成 文恵
- 【異議申立人代理人】加藤 智子
- 【異議申立人代理人】赤岩 美紀
- 【異議申立人代理人】今井 貴子
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 板谷 玲子
- 分類
- T1652.261-Y (W17) / T1652.262-Y (W17) / T1652.263-Y (W17)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6807304号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6807304号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6807304号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和5年8月23日に登録出願、第17類「ゴム管,ゴムホース,製造用プラスチックシート材,製造用板状積層プラスチック材,農業用ビニールシート,プラスチックホース,プラスチック製の板,プラスチック製のオイルフェンス,プラスチック製の棒,プラスチック製の管」を指定商品として、同6年4月24日に登録査定、同年5月23日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する国際登録第1113166号商標(以下「引用商標」という。)は、「IRRITEC」の欧文字を書してなり、2019年(令和元年)7月17日に国際商標登録出願(事後指定)、第7類、第9類、第11類、第17類、第19類及び第21類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、令和3年7月30日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第17類「ゴム管,ゴムホース,製造用プラスチックシート材,製造用板状積層プラスチック材,プラスチックホース,プラスチック製の板,プラスチック製の棒,プラスチック製の管」(以下「申立てに係る指定商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は、その外観上、4文字目の「I」の欧文字の上に青色の水滴の図形が「IRRI」の欧文字と「DRIP」の欧文字を分断するかのように目立つ態様で付されている。
そして、本件商標の構成中「IRRI」の部分は、本件商標の指定商品中、第17類「ゴム管、ゴムホース、プラスチックホース、プラスチック製の管」(以下「本件指定商品」という。)を取り扱う農業分野においては、「灌漑」を意味する英単語「irrigation」(甲3)の語頭4文字を抜き出したものであることが容易に把握され、「irrigation(灌漑)の略語」程の意味合いが生じるのに対し、本件商標の構成中「DRIP」の部分は、「したたること」等を意味する一般的に親しまれた英単語であり、かつ、排水管やチューブを用いて、土壌表面や作物の根本周辺に直接水や肥料を滴下させる「drip irrigation(点滴灌漑)」という灌漑方式(甲3、甲4)において、点滴孔が等間隔で配置されたホースやチューブの種類・特徴を表す語として一般に使用されている実情があるから(甲5~甲9)、自他商品識別標識としての機能がないか、又は希薄な部分と認識されるものと認められる。
そうとすると、本件商標の構成中の「IRRI」の部分と「DRIP」の部分は、それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められず、むしろ、取引者・需要者の印象に残りやすい語頭に位置し、かつ十分な自他商品識別力を有する「IRRI」の部分が、商品の出所識別標識として需要者に強く支配的な印象を与えるものというべきであるから、本件商標は、その構成中の「IRRI」の欧文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものといえる。
よって、本件商標は、その構成中の要部である「IRRI」の欧文字に相応して、「イリ」の称呼のみを生じるものであり、本件指定商品との関係で、「irrigation(灌漑)の略語」程の意味合いを生じるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、「IRRITEC」の欧文字を一般的な書体で表してなるもので、同一の書体で横一連に表示されたものであるが、引用商標の構成中「IRRI」の部分は、第17類「Non-metal hoses,(中略)not of metal,for irrigation and distribution water plants;non-metal hose for agriculture and gardening;plastic hoses」(参考訳:灌漑及び配水プラント用のホース(金属製のものを除く。)、農業用及び園芸用のホース(金属製のものを除く。)、プラスチック製ホース)については、上述のとおり、「灌漑」を意味する英単語「irrigation」(甲3)の語頭4文字を抜き出した語と把握されるのに対し、「TEC」の部分は、「技術」を意味する英単語「Technology」の略語(甲10)であり、企業名の一部として「TEC(テック)」の語が多用されている事実があることから(甲11、甲12)、引用商標は「IRRI」と「TEC」を結合させた結合商標であると容易に認識できるものである。
そして、当該「TEC」部分は、上記第17類の指定商品については、取引者・需要者により、「技術を利用した商品」程度の内容を表示するものとして認識、把握されるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能がないか、又は希薄な部分として認識されるものであるから、当該文字部分からは商品の出所識別標識としての称呼及び観念は生じないとみるのが相当である。
よって、引用商標は、取引者・需要者の印象に残りやすい語頭に位置し、かつ十分な自他商品識別力を有する欧文字「IRRI」の部分が、商品の出所識別標識として需要者に強く支配的な印象を与えるものというべきであるから、「IRRI」の部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものといえる。さすれば、引用商標は、その構成中の要部である「IRRI」の欧文字に相応して、「イリ」の称呼を生じるものであり、上記指定商品との関係で、「irrigation(灌漑)の略語」程の意味合いを生じるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標の要部と引用商標の要部との類否についてみるに、外観については、本件商標の要部である「IRRI」の文字と、引用商標の要部である「IRRI」の文字は、文字上部にある青色の水滴の図形の有無において相違がみられるが、これは格別顕著な相違とはいえないものである一方、両商標の「IRRI」部分の構成文字が完全同一であることから、外観上、極めて近似した印象を与えるものであるといえる。
また、本件商標の要部である「IRRI」の部分と、引用商標の要部である「IRRI」の部分からは、同じ「イリ」の称呼を生じるものであり、両者は称呼を共通にするものである。
そして、両商標の要部である「IRRI」の部分は、いずれも、本件指定商品及び引用商標の第17類の指定商品との関係で、「irrigation(灌漑)の略語」程の観念を生じるものである。
そうすると、本件商標と引用商標の要部は、外観上、近似した印象を与えるものである上、称呼及び観念を共通にするものであることから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者・需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのある互いに類似の商標というのが相当である。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本件商標の指定商品中、申立てに係る指定商品は、引用商標の指定商品中、第17類「Non-metal hoses,(中略)not of metal,for irrigation and distribution water plants;non-metal hose for agriculture and gardening;plastic hoses」(参考訳:灌漑及び配水プラント用のホース(金属製のものを除く。)、農業用及び園芸用のホース(金属製のものを除く。)、プラスチック製ホース)と同一・類似の商品である。
(5)まとめ
前記したとおり、本件商標は、引用商標と類似のものであり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、別掲のとおり、「IRRIDRIP」の欧文字及び当該構成文字の上部中程に表された2つの水滴状の青色図形からなるところ、上部の図形部分と下部の文字部分とは、視覚的に分離して看取されるというのが相当である。
そして、本件商標の文字部分は、同じ書体、同じ大きさ、同間隔をもって同じ色彩でまとまりよく一連に表してなるものであり、その構成文字全体から生じる「イリドリップ」の称呼も一連によどみなく称呼し得るものであり、その全体として親しまれた意味合いを想起させることのない造語として認識されるというのが相当である。
また、本件商標を構成する図形部分は、特定の事物等を表すものと認識されるというべき事情は見いだせないから、これより特定の称呼及び観念を生じないものである。
したがって、本件商標からは、「イリドリップ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
なお、申立人は、「DRIP」の部分は、「したたること」等を意味する一般的に親しまれた英単語であり、かつ、「drip irrigation(点滴灌漑)」という灌漑方式において、点滴孔が等間隔で配置されたホースやチューブの種類・特徴を表す語として一般に使用されている実情があるから、自他商品識別標識としての機能がないか、又は希薄な部分と認識されるものである旨、主張している。
しかしながら、申立人提出の証拠によれば、「ドリップチューブ」、「ドリップ灌漑チューブ」といった使用例は見て取れるものの、これをもって、本件商標の構成において、看者をして「DRIP」の文字部分が自他商品識別標識としての機能がないか、又は希薄な部分と認識されるとまではいい難く、当該文字部分から商品の出所識別標識としての称呼、観念が生じないとはいえないし、その他、「IRRI」の文字部分のみが出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるというべき事情も見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体が一体不可分のものであって、当該構成文字全体から生じる称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものといわなければならない。
イ 引用商標
引用商標は、「IRRITEC」の欧文字を横書きしてなるものであるところ、これは、同じ書体、同じ大きさ、同間隔をもって同じ色彩でまとまりよく一連に表してなるものであり、その構成文字全体から生じる「イリテック」の称呼も一連によどみなく称呼し得るものであり、その全体として親しまれた意味合いを想起させることのない造語として認識されるというのが相当である。
なお、申立人は、「TEC」の部分は「技術」を意味する英単語「Technology」の略語であり、企業名の一部として「TEC(テック)」の語が多用されている事実があることを挙げるとともに、当該「TEC」の部分は、摘記した第17類の指定商品については、取引者・需要者により、「技術を利用した商品」程度の内容を表示するものとして認識、把握されるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能がないか、又は希薄な部分として認識されるものである旨、主張している。
しかしながら、たとえ「tec」の文字(語)が「technology」の略語であり、「テック(TEC)」の文字を含む企業名が存在するとしても、これをもって、引用商標の構成において、看者をして「TEC」の文字部分が自他商品識別標識としての機能がないか、又は希薄な部分と認識されるとまではいい難く、当該文字部分から商品の出所識別標識としての称呼、観念が生じないとはいえないし、その他、「IRRI」の文字部分のみが出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるというべき事情も見いだせない。
そうすると、引用商標は、その全体が一体不可分のものであって、当該構成文字全体から生じる称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものといわなければならない。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観においては、その全体において図形の有無の相違があり、本件商標の文字部分と引用商標との比較においても、5文字目以降の構成文字が異なることから、両者は、外観上、判然と区別し得るものである。
また、称呼においては、本件商標から生じる「イリドリップ」の称呼と引用商標から生じる「イリテック」の称呼とは、音数及び構成音の差異を有し、両者をそれぞれ一連に称呼しても、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。
そして、観念においては本件商標及び引用商標は、ともに特定の観念を生じないから、観念上、比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において区別できることから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 小括
したがって、申立てに係る指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものでなく、申立てに係る指定商品についての登録は、同法第4条第1項の規定に違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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