審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
商標異議申立

2024-900129

グリッター

審判番号
2024-900129
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-073082
登録番号
6794024
請求日
2024年06月13日
審決日
2025年02月27日
公報発行日
2025年04月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】オーシャンビュー株式会社
  • 【権利者代理人】齊藤 誠一
  • 【権利者代理人】シュワルツ 知子
  • 【異議申立人】株式会社 GLITTER JAPAN
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人コンテンツシグナルIP
審判長/審判官
  • 審判長 大島 康浩
  • 審判官 真鍋 伸行
  • 審判官 大島 勉
分類
T1651.255-Y (W41) / T1651.261-Y (W41) / T1651.262-Y (W41) / T1651.263-Y (W41) / T1651.265-Y (W41) / T1651.271-Y (W41) / T1651.222-Y (W41)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6794024号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6794024号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6794024号商標(以下「本件商標」という。)は、「GLITTER」の欧文字を標準文字で表してなり、令和5年6月30日に登録出願、第41類「電子出版物の提供,電子出版物の供覧,電子出版物の貸与,書籍の企画,書籍の制作,定期刊行物の企画,定期刊行物の制作,雑誌の企画,雑誌の制作,電子出版物の企画,電子出版物の制作,娯楽の提供(但し「スポーツの興行の企画・運営又は開催」を除く。),オンラインによる映像の提供(ダウンロードできないものに限る。),オンラインによる画像の提供(ダウンロードできないものに限る。),オンラインによる音楽の提供(ダウンロードできないものに限る。),放送番組の制作・配給,娯楽イベントの運営,録音又は録画済み記録媒体の貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与」を指定役務として、同6年3月19日に登録査定され、同年4月8日に設定登録されたものである。 2 引用商標 (1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第4804207号商標(以下「引用商標1」という。)は、「GLITTER」の欧文字及び「グリッター」の片仮名を上下二段に横書きしてなり、平成16年2月4日に登録出願、第16類「雑誌」を指定商品として、同年9月17日に設定登録されたものであり、現に有効に存続している。 (2)申立人が、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するとして引用する商標は、申立人がその業務に係る商品「印刷物」及び「電子出版物」並びに役務「ウェブサイトを通じて行う娯楽情報の提供」について使用する「GLITTER」の欧文字からなるもの(以下「引用商標2」という。)である。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するから、同法第43条の2第1号の規定により、取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)申立人が事業とともに引用商標の譲受を受けた経緯 商標「GLITTER」(引用商標2)は、2004年から女性向けのファッション、音楽、芸能及び美容等といった娯楽情報に関する情報雑誌を企画制作し出版又は電子出版する事業、及び、遅くとも2010年3月頃からインターネットを通じた同様の娯楽情報を提供する事業(以下「GLITTER事業」という。)に使用されている(甲3、甲4)。 当初のGLITTER事業は、T社(以下「元事業者」という。)により実施されてきた。また、元事業者は、2004年2月4日に引用商標1を指定商品「第16類 雑誌」に対して商標登録出願し、同商標は2004年9月17日に商標登録第4804207号として登録となっている(甲2)。 しかしながら、元事業者は2020年1月27日に事業を停止し、いわゆる任意整理を実施するに至り、引用商標2を使用したGLITTER事業は休止された(甲5)。 その後、任意整理手続きを通じて、GLITTER事業は元事業者よりG社(以下「前事業者」という。)に譲渡され、引用商標1は2020年2月4日の移転登録申請により、前事業者の親会社であるB社(以下「前商標権者」という。)に譲渡された。前事業者は、上記の事業譲渡に基づき、2021年7月5日よりGLITTER事業を開始している(甲6)。 さらに、2022年7月19日、申立人は、前事業者と前商標権者からGLITTER事業を引用商標1と共に、N氏を介して譲渡を受けた。なお、N氏は、申立人の全発行済株式を有する株主である。取引上の事情により、N氏が前事業者と前商標権者からGLITTER事業と引用商標1を譲受した後に、N氏がこれらを申立人に譲渡している(甲7、甲8)。 (2)申立人の使用する商標が周知であること 上記のとおり、長年にわたり、GLITTER事業とともに引用商標2は使用されている。 本件商標の出願日前である2023年6月27日に、申立人により出版された雑誌「GLITTER 2023 SUMMER issue」は、初版において数万部を発行しており、日本全国の書店において販売されている。また、同日より電子出版物としても、日本国内の主要な電子書籍販売サイトで販売されている。このように引用商標2は、申立人による商品「印刷物」、「電子出版物」にかかる事業として日本全国において需要者に対して周知となっている(甲9、甲10及び甲11)。 また、GLITTER事業にかかるソーシャルメディアサービス「X」(旧名称Twittr)のアカウントは、2010年3月に登録されウェブサイトを通じた娯楽情報の発信に用いられており、2024年7月5日時点で18000人超のフォロワーが存在する。本件商標の出願日前である2023年6月7日の同アカウントによる投稿については、10万6000回以上が閲覧されている。このように引用商標2は、申立人による役務「ウェブサイトを通じた娯楽情報の提供」にかかる事業として日本全国において需要者に対して周知となっている(甲12)。 (3)商標法第4条第1項第11号該当性について 本件商標は、「GLITTER」の文字を左横書きし、標準文字商標として出願されたものである。 これに対し引用商標1は、「GLITTER」の文字を左横書きしたものに「グリッター」と振り仮名を下段に併記した二段併記の構成である。ここで「GLITTER」と「グリッター」は、その称呼及び観念を同一とするものであるから、一方の使用は社会通念上同一と認められる(審判便覧〔第20版〕53-01)。したがって、本件商標と引用商標1とは同一である。 そして、引用商標1の指定商品が「雑誌」であるところ、本件商標の指定役務のうち「電子出版物の提供」は、類似商品・役務審査基準〔国際分類第12-2023版対応〕(以下「類似商品・役務審査基準」という。)によれば、「「電子出版物の提供」は、第9類「電子出版物」に類似と推定する。」とある。一方で、類似商品・役務審査基準において、「電子出版物」につき類似群コード26A01・26D01が付与されているところ、「雑誌」もまた類似群コード26A01が付与されている。これはすなわち、電子出版物とは雑誌等の印刷物を電子的に表示するためデータにしたものに過ぎず、その事業者及び需要者はおおよそ重複するものであるからこのような扱いとなっているところ、本件商標の指定役務「電子出版物の提供,電子出版物の供覧,電子出版物の貸与」は当然に「雑誌」に類似する役務であることは明らかである。 さらに、商標審査基準によれば「商品と役務の類否を判断するに際しては、例えば、次の基準を総合的に考慮した上で、個別具体的に判断するものとする。1(合議体注釈:「1」は丸囲い数字)商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか」とあるところ(商標審査基準〔改訂第15版〕第3 十 11(3))、引用商標1の指定商品「雑誌」においては、その企画・制作を行うのは、商品の製造・販売を行う事業者と同一事業者によって行われることが一般的であり、本件商標の指定商品「書籍の企画,書籍の制作,定期刊行物の企画,定期刊行物の制作,雑誌の企画,雑誌の制作,電子出版物の企画,電子出版物の制作」についても、当然に「雑誌」に類似する役務であるといえる。 以上より、本件商標の指定役務のうち「電子出版物の提供,電子出版物の供覧,電子出版物の貸与,書籍の企画,書籍の制作,定期刊行物の企画,定期刊行物の制作,雑誌の企画,雑誌の制作,電子出版物の企画,電子出版物の制作」と、引用商標1の指定商品とは類似のものである。 (4)商標法第4条第1項第10号該当性について 申立人は上記のとおり、商品「印刷物」、「電子出版物」及び役務「ウェブサイトを通じて行う娯楽情報の提供」について、「GLITTER」と明らかに認識しうる図形若しくは「GLITTER」と容易に呼称しうる文字からなる商標又はこれらの結合からなる商標を広く使用し今日に至っており、引用商標2は申立人の業務にかかる商品若しくは役務を表示するものとして、本件商標の出願日時点において需要者に広く認識されている。 ここで、「電子出版物の提供,電子出版物の供覧,電子出版物の貸与,書籍の企画,書籍の制作,定期刊行物の企画,定期刊行物の制作,雑誌の企画,雑誌の制作,電子出版物の企画,電子出版物の制作」は上記の例の通り、申立人の周知商標にかかる商品「印刷物」または「電子出版物」に類似する。 また、「娯楽の提供(但し「スポーツの興行の企画・運営又は開催」を除く。),オンラインによる映像の提供(ダウンロードできないものに限る。),オンラインによる画像の提供(ダウンロードできないものに限る。),オンラインによる音楽の提供(ダウンロードできないものに限る。),放送番組の制作・配給,娯楽イベントの運営」は、申立人の周知商標にかかる役務「ウェブサイトを通じて行う娯楽情報の提供」に類似する。 (5)商標法第4条第1項第15号該当性について 本件商標の指定役務のうち「録音又は録画済み記録媒体の貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与」の役務は、一般的に映像制作会社や出版社など、自ら収集した情報を発信するメディア事業を行う事業者が、当該収集した写真、映像等の素材を他のメディア事業者等に貸与する形で行われ、もって当該事業者が二次収入を得るために実施することが多い事業である。そのところ、申立人は出版社であり、自ら収集した情報を発信するメディア事業を行う事業者である(甲13、甲14)。 すなわち、本件商標と、申立人の引用商標2は同一であり、前述の通り引用商標2は申立人のGLITTER事業を示す標章として周知であり、引用商標2は申立人の法人名「株式会社GLITTER JAPAN」のハウスマークであり、申立人の企業における多角経営の可能性、及び本件商標の役務と申立人の商品及び役務との間の関連性、役務等の需要者の共通性その他取引の事情を考慮すれば、申立人の業務にかかる役務である又は本件商標の権利者と申立人に何らかの関係があると誤認させることで、需要者が役務の出所について混同するおそれが大きいことは明らかである。さらに、上記(3)及び(4)で言及した本件商標の指定役務の一部が、仮に商標法第4条第1項第10号又は同項第15号(合議体注釈:「同項第15号」は「同項第11号」の誤記と思われる)に該当しないとしても、当該指定役務の一部は、上記と同様の理由により、申立人の業務にかかる商品又は役務と混同を生じるおそれがあるものである。 (6)商標法第4条第1項第19号該当性について 被申立人の代表者であるI氏は、元事業者であるT社の代表者であり、雑誌「GLITTER」の事業に事業開始の当初から関与していた者である(甲15、甲16)。 また、I氏は、前事業者がGLITTER事業を行うにあたり、受託でもってその一部業務(甲7)を行っていたTW社の元取締役であり(甲17)、その後においても同社顧問の地位にある(甲18)。また、I氏は少なくとも2022年8月ごろまでTW社の立場で、雑誌「GLITTER」の編集長の立場であった申立人の前代表取締役にGLITTER事業に関して直接連絡をとっていた。さらに、TW社のWEBサイトには、申立人の使用する引用商標2のロゴと、申立人が役務「ウェブサイトを通じて行う娯楽情報の提供」に使用しているWEBサイト(https://glitter-official.com/)に対するハイパーリンクが掲載されている(甲19)。すなわち、I氏は本件商標の出願日時点で、申立人が引用商標2をGLITTER事業に使用していた事実を知っていたことは明らかである。さらに、I氏は元事業者の代表者としてGLITTER事業の開始と拡大に関わった者の一人であるから、引用商標2が商品「印刷物」、「電子出版物」及び役務「ウェブサイトを通じて行う娯楽情報の提供」に使用され、本件商標の出願前から需要者、取引者に広く認識されていた商標であることを知っていたことも明らかである。 上記事情に照らせば、I氏は任意整理の手続きを通じてGLITTER事業を前事業者に譲り渡しておきながら、前事業者及び申立人が「雑誌」以外の指定商品・指定役務について商標登録をしていないことを奇貨として、これを自らが代表であるO社の名義で商標登録出願するに至ったものであることは明らかである。本件商標をその指定役務について使用するときは、役務の出所の混同を招き、商取引の秩序を乱すおそれがあり、被申立人の本件商標の使用により、GLITTER事業を通じて事業者が築き上げてきた引用商標2の周知性が希釈化され、顧客吸引力が失われることは明らかであるから、被申立人が本件商標をその指定役務について使用することは、不正の目的をもって使用するものというべきである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性 ア 本件商標と引用商標1の類否 (ア)本件商標について 本件商標は、上記1のとおり、「GLITTER」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、「きらめき」の意味を有する英語(「ジーニアス英和辞典 第6版」大修館書店)である。 そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「グリッター」の称呼を生じ、「きらめき」の観念を生じる。 (イ)引用商標1について 引用商標1は、上記2(1)のとおり、「GLITTER」の欧文字及び「グリッター」の片仮名を上下二段に横書きしてなるところ、その構成中、上段の「GLITTER」の欧文字は「きらめき」の意味を有する英語(前掲書参照)であり、また、下段の「グリッター」の片仮名は、上段の「GLITTER」の欧文字を片仮名表記したものと容易に認識できるから、引用商標1は、「グリッター」の称呼を生じ、「GLITTER」の欧文字から「きらめき」の観念を生じる。 (ウ)本件商標と引用商標1の類否について 本件商標と引用商標1を比較すると、構成文字全体としては「グリッター」の片仮名の有無に差違があるとしても、引用商標1の「グリッター」の片仮名は上記(イ)のとおりであり、両者の外観においては「GLITTER」の欧文字を共通にすることから、近似した印象を与えるものであり、また、称呼においては「グリッター」の称呼を、観念においては「きらめき」の観念を共通にする。 そうすると、本件商標と引用商標1は、外観においては近似し、称呼及び観念においては共通にすることから、それらによって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのある類似の商標と認められる。 イ 本件商標と引用商標1の指定役務と指定商品の類否 本件商標の指定役務中、第41類「電子出版物の提供,電子出版物の供覧,電子出版物の貸与」と引用商標1の指定商品、第16類「雑誌」については、両者とも販売を目的として著作物を電子化されたものを提供、供覧又は貸与するのか、印刷されたものを譲渡等するのかの差異はあるが、需要者はそれらの著作物の読者(一般の消費者)という点からすると、上記の役務と商品の需要者の範囲が一致するとしても、著作物が電子化されたものを提供、供覧又は貸与する事業者は、それらの業務(役務)を専門に行っていることが多い一方、著作物としての雑誌の製造、販売する事業者は、電子化された著作物の提供や供覧を併せて一般的に業務として行っている実情が見られないなど、これらの商品及び役務に係る業務双方を同一事業者によって行われているのが一般的であるとはいえない。また、著作物が電子化されたものを提供、供覧又は貸与する場所と雑誌の製造、販売場所は一致しない。 また、本件商標の指定役務中、第41類「書籍の企画,書籍の制作,定期刊行物の企画,定期刊行物の制作,雑誌の企画,雑誌の制作,電子出版物の企画,電子出版物の制作」と、引用商標1の指定商品、第16類「雑誌」については、「書籍の企画,書籍の制作,定期刊行物の企画,定期刊行物の制作,雑誌の企画,雑誌の制作,電子出版物の企画,電子出版物の制作」の役務が、著作物の発刊を希望する者の委託を受けて行われる役務であるのに対し、「雑誌」は、読者(一般の消費者)に向けた販売を目的として著作物を印刷し、頒布されるものなので、両者は、その用途及び需要者等を異にするものであって、同一又は類似する役務と商品ではない。 さらに、本件商標の上記で検討した以外の指定役務と引用商標1の指定商品も、同一又は類似するものとは認められない。 ウ 小括 以上によれば、本件商標と引用商標1が類似するとしても、本件商標の指定役務と引用商標1の指定商品は、非類似の役務と商品であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性 ア 引用商標2の周知性について (ア)申立人提出の甲第1号証ないし甲第19号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 a 引用商標2は、女性誌のタイトルに2004年から2020年まで元事業者により使用されていた(甲3~甲5)。 b 引用商標2は、2021年から前事業者により、紙媒体及びWEB媒体の女性誌のタイトルとして使用され(甲6)、当該女性誌は、その発行者としての地位を、2022年7月19日に前事業者からN氏へ譲渡され(甲7)、2022年10月11日にN氏から申立人に引用商標1が譲渡されたことを証する譲渡証書が作成された(甲8)。 c 引用商標2は、2023年6月27日発売のライフスタイルマガジン(出版社「主婦の友社」、編集「GLITTER編集部」)のタイトルとして使用された(甲9~甲11)。 d 引用商標2は、上記cについて記載のある2023年6月7日のSNSにおいて使用され、10.6万回閲覧されている(甲12)。 (イ)上記(ア)によれば、引用商標2は、2004年から女性誌のタイトルとして使用され、2022年7月19日に紙媒体及びWEB媒体の女性誌の発行者としての地位はN氏へ譲渡され、2023年6月27日発売の雑誌のタイトルに引用商標2が掲載された、2023年6月7日のSNSにおいて、10.6万回閲覧されていることはうかがえる。 しかしながら、申立人が、引用商標2を申立人の業務に係る商品及び役務に使用していた事実は、提出された証拠からは明らかにされず、また、引用商標2を使用した申立人の業務に係る商品及び役務に関する国内外における市場占有率、市場の売上高、販売数量等の販売規模、広告宣伝費、広告媒体等の広告宣伝規模等、引用商標2の周知性を具体的に裏付ける証拠の提出もない。 また、2004年頃から情報雑誌等において引用商標2が使用されていることが認められるものの、その情報雑誌等における市場の売上高、販売数量等の販売規模、広告宣伝費、広告媒体等の広告宣伝規模等は明らかでなく、申立人が、仮に引用商標1の譲渡を受けた2022年10月以降にGLITTER事業を承継した結果、引用商標2を同事業に使用していたとしても、その使用から3年弱と引用商標2の使用期間が長いとはいえないこと、そして、この間に引用商標2が申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されたことが分かる客観的な証拠の提出もない。 そうすると、申立人の提出証拠によっては、申立人の業務に係る商品及び役務に使用していると主張する引用商標2が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国における取引者、需要者の間で、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、広く認識されている商標とはいえない。 イ 小括 上記アのとおり、引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国における取引者、需要者の間で、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、広く認識されている商標とはいえないから、本件商標は商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ず、同号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性 上記(2)アのとおり、引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されていない。また、本件商標と引用商標2の類似性の程度は、上記2(2)のとおり、引用商標2は「GLITTER」の欧文字からなるところ、その構成文字は、「きらめき」の意味を有する英語(「ジーニアス英和辞典 第6版」大修館書店)であり、その構成から「グリッター」の称呼を生じ、「きらめき」の観念を生ずるから類似性の程度は高い。そして、引用商標2である「GLITTER」の欧文字は、上記のとおり「きらめき」の意味を有する成語であるから、独創性の程度は低いといえる。さらに、本件商標の第41類の指定役務中、「娯楽の提供(但し「スポーツの興行の企画・運営又は開催」を除く。),オンラインによる映像の提供(ダウンロードできないものに限る。),オンラインによる画像の提供(ダウンロードできないものに限る。),オンラインによる音楽の提供(ダウンロードできないものに限る。),放送番組の制作・配給,娯楽イベントの運営」と引用商標2の使用に係る役務「ウェブサイトを通じて行う娯楽情報の提供」とは、ともに娯楽に関連する役務であるから、これらの役務は関連性を有し、需要者を共通にする場合があるといえる。 以上からすると、本件商標と引用商標2の類似性の程度が高く、本件商標の指定役務と引用商標2を使用する役務とが関連性を有し、需要者を共通にする場合があるとしても、引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた商標とはいえず、その独創性の程度は低い。 そうすると、本件商標は、その指定役務について使用されても、取引者、需要者をして申立人の業務に係る商品及び役務を連想又は想起させるとは考えにくく、その商品及び役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であると誤認し、その商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれはない。 したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標ではないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第19号該当性 申立人は、本件商標権者の代表者であるI氏(甲15)は本件商標の出願時点で、引用商標2が申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして使用され、かつ、我が国における需要者の間に広く認識されていた事実を知っていたところ、I氏は、申立人が「雑誌」以外の指定商品及び指定役務について商標登録をしていないことを奇貨として、自らが代表である本件商標権者の名義で商標登録出願をするに至ったものであるから、本件商標権者が本件商標をその指定役務に使用することは、不正の目的をもって商標登録出願をして使用するとして、商標法第4条第1項第19号に該当する旨主張する。 しかしながら、上記(2)アのとおり、引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間において広く認識されている商標ではない。また、申立人提出に係る証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標権者が本件商標をその指定役務に使用し、引用商標2の周知性を希釈化し、顧客吸引力が失われるなど不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は見いだせない。 そうすると、本件商標は、他人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されている商標とはいえないものであって、かつ、本件商標権者が引用商標2の名声を毀損させることを認識し、あるいは、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものとはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号の規定に違反して登録されたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2024-900129

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存