商標異議申立
2024-900125
ジセダイバランスエーヨーショク
- 審判番号
- 2024-900125
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-046467
- 登録番号
- 6793996
- 請求日
- 2024年06月06日
- 審決日
- 2025年03月21日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】日清食品ホールディングス株式会社
- 【権利者代理人】林 栄二
- 【異議申立人】江崎グリコ 株式会社
- 【異議申立人】大塚製薬 株式会社
- 【異議申立人代理人】小暮 君平
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 高橋 幸志
- 分類
- T1652.13 -ZC (W052930323543) / T1652.16 -ZC (W052930323543)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法3条1項6号商標法43条の3第2項商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第1項第6号、商標法第3条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6793996号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6793996号商標の指定商品及び指定役務中、第5類「乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」、第29類「全指定商品」、第30類「全指定商品」、第32類「全指定商品」、第35類「飲食料品の品質又は規格の認証取得のための事業に関する助言及び支援,食品及び食料品の受注事務の代行,オンラインによる食事宅配サービスの受注事務処理の代行,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,サプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる飲食料品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによるサプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」、第43類「飲食物の提供,飲食物のメニュー・レシピ又は食材に関する情報の提供」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品及び指定役務についての商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6793996号商標(以下「本件商標」という。)は、「次世代バランス栄養食」の文字を標準文字で表してなり、令和5年4月27日に登録出願、第5類、第9類、第10類、第16類、第29類ないし第33類、第35類及び第39類ないし第44類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同6年3月1日に登録査定、同年4月8日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
本件については、令和6年6月6日受付の登録異議の申立て(以下「異議申立1」という。)及び同月17日受付の登録異議の申立て(以下「異議申立2」という。)の2件の登録異議の申立てがされている。
(1)異議申立1
異議申立1の登録異議申立人(以下「申立人1」という。)は、本件商標は、本件商標に係る指定商品又は指定役務のうち、第5類の指定商品中「乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」、第29類「全指定商品」、第30類「全指定商品」、第32類の指定商品中「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,スムージーのもと,スムージー,野菜入りスムージー,果実を使用したスムージー,アルコールを含有しない飲料,アルコール分を含まない飲料のもと」、第35類の指定役務中「飲食料品の品質又は規格の認証取得のための事業に関する助言及び支援,食品及び食料品の受注事務の代行,オンラインによる食事宅配サービスの受注事務処理の代行,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,サプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる飲食料品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによるサプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類の指定役務中「飲食物の提供,飲食物のメニュー・レシピ又は食材に関する情報の提供」に用いられた場合、商標法第3条第1項第3号又は同項第6号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第53号証(枝番号を含む。以下「異議1甲○」と表記し、枝番号は省略する。)を提出した。
ア 「バランス栄養食」について
「バランス栄養食」の語は、「特定の栄養が強化されている栄養補助食品のなかでも、複数種類の栄養素が入っているもの」(異議1甲2)、「複数の栄養素が強化されている栄養補助食品」(異議1甲3)を意味し、申立人2が1983年にその画期的商品「カロリーメイト」に対応する普通名称として使用を始めた語であり(異議1甲4)、食品メーカー各社は、同分野の普通名称として「バランス栄養食」の語を使用してきた。(異議1甲5~異議1甲7)
「バランス栄養食」とは具体的にどのような「食品」をさすかということであるが、おおよそ口にするもののうち「薬品」に該当しない、「食品」と呼ばれるものについては、栄養分を添加する等により栄養バランスを補ったものは、これに該当し得るものと考えられる(異議1甲3)。不足する栄養素を強化するということ自体は百年以上も前から行われており、申立人1が1922年に発売した栄養菓子「グリコ」、1933年に販売したビスケット「ビスコ」などもそれにあたる(異議1甲10、甲11)。菓子以外にも栄養を強化することは飲料、加工食品、など全般において当然に行われており、「バランス栄養食」に相当するものは広義に「食品」に分類される第5類(うち、サプリメント等)、第29類、第30類及び第32類の商品においては存在し得る概念と考えられる。
イ 「次世代」について
「次世代」の語は、小学館デジタル大辞泉によると「1 次の世代。子供の代。『-をになう青少年』」「2 次の時代。また、技術や製品の機能などが格段に進歩した段階。『-型携帯電話』」の意味を有する言葉である(異議1甲17)。使用例としては「次世代型携帯電話」とされているが、「次世代型携帯電話」でGoogle検索しても、上位で出てくるのは「次世代携帯電話」ばかりであることからも、実際の使用においては「次世代型携帯電話」ではなく「次世代携帯電話」のように、「次世代」に直接名詞が結合することが現在の主流であることがわかる(異議1甲17)。
このように、「次世代●●」(●●は製品を表す語)のように、後に製品を表す語を伴う形で「次世代」の語が使用された場合には、第二義として解釈されるのが相当である。この場合、後に続く語について「技術や製品の機能などが格段に進歩した段階」のものであることを記述的に修飾する語にすぎない。そして、「●●」の属するあるいは「●●」に関連する商品・役務の分野においては、単に「技術や機能などが格段に進歩した段階にある●●」程度の意味と理解され、その自他商品役務識別力は無いか又は極めて弱いといわざるを得ない。
「次世代」は「次世代ロボット」「次世代スーパーコンピューター」「次世代車」「次世代エネルギー」「次世代兵器」など、日本のお家芸である重厚長大産業、ハイテク部門などではかなり前から使われていた言葉である。
食品に関していえば、第5類の指定商品「サプリメント」等において2015年に商標法第3条第1項第6号に該当するという審決(拒絶2013-22134)がすでに出ており(異議1甲18)、「バランス栄養食」は食品であり、なおかつサプリメントとはその構成及び売り場において「バランス栄養食」そのもの自身又は近似のものということから、本件商標の指定商品における最新の「次世代」の識別性判断はこれであるとみるべきで、本件商標は商標法第3条1項6号の「次世代」と品質表示である「バランス栄養食」が結合した商標であると考えることが妥当である。
ウ 「次世代バランス栄養食」商標の識別力について
本件商標は、「次世代バランス栄養食」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、本件商標を構成する「次世代」や「バランス栄養食」の文字は、本件商標の指定商品等に関連する食品・飲料の分野において、主に栄養バランスの取れた新しい商品や、画期的なサービスであること、また新たな時代に向けたSDGs等の取り組みやいわゆるフードテックの活用等を強調するための宣伝文句として一般に使用されている(異議1甲19~異議1甲26)。
そうすると、本件商標を本件商標の指定商品等に使用しても、基本的にこれに接する取引者、需要者は、商品又は役務が持つ特徴を強調するための宣伝広告として一般に使用される語句の一種であると理解し、認識するにすぎない。
本件商標は、「食品(サプリメント)」分野においては商標法第3条1項6号と判断された「次世代」と品質表示である「バランス栄養食」が結合した商標である。「次世代○○」という言葉は食品分野でも一般的に使用されており、「次世代バランス栄養食」からは、「次世代のバランス栄養食」「現状より段違いに性能がよい、次の段階のバランス栄養食」以外の意味合いを感じ取ることは困難で、「次世代バランス栄養食」となっても全体として識別力はないものと思料する。
実際に「次世代バランス栄養食」と言う語そのものが使われている事例があるかと問われれば、今はないかもしれないが、商標法第3条第1項第3号は、審査基準によれば実際の使用事例があるかによって決まるのではなく、「一般に認識する場合とは、商標が商品又は役務の特徴等を表示するものとして、現実に用いられていることを要するものではない。」としており、「バランス栄養食」においては現在使われていなくとも、使用される蓋然性、使用したいと考える蓋然性が存在する。
このように、「次世代バランス栄養食」は、品質を表すとともに、誰もが使用を希望する蓋然性のある語ということができ、第5類、第29類、第30類及び第32類の「食品」に該当する指定商品においては、基本的に商標法第3条第1項第3号、仮にそうでなかったとしても同項第6号に該当する。
エ 第35類における「次世代バランス栄養食」商標の識別力について
第5類「乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」第29類「全指定商品」、第30類「全指定商品」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,スムージーのもと,スムージー,野菜入りスムージー,果実を使用したスムージー,アルコールを含有しない飲料,アルコール分を含まない飲料のもと」において「次世代バランス栄養食」商標の識別力がない場合、当然のことながら第35類指定役務「飲食料品の品質又は規格の認証取得のための事業に関する助言及び支援,食品及び食料品の受注事務の代行,オンラインによる食事宅配サービスの受注事務処理の代行,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,サプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる飲食料品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによるサプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」において、これに接する取引者、需要者に、その取扱商品が、「次世代のバランス栄養食」であること、すなわち、当該小売等役務の取扱商品の品質を表示したものと理解させるにとどまり、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないので、商標法第3条第1項第6号により拒絶されるべきである。
オ 第43類における「次世代バランス栄養食」商標の識別力について
第5類「乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」、第29類「全指定商品」、第30類「全指定商品」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,スムージーのもと,スムージー,野菜入りスムージー,果実を使用したスムージー,アルコールを含有しない飲料,アルコール分を含まない飲料のもと」において「次世代バランス栄養食」商標の識別力がない場合、第43類「飲食物の提供,飲食物のメニュー・レシピ又は食材に関する情報の提供」においても、商標法第3条第1項第3号又は同項第6号で拒絶されるべきである。
第43類「飲食物の提供」においては、確かに2013年に「次世代」は拒絶理由なしで登録になっており、「次世代○○」で商標法第3条による拒絶になった商標はない。しかし、この分野においても「次世代○○」で使用されている事例として、「次世代ランチ」「次世代フレンチ」「次世代イタリアン」「次世代中華」といった使用事例が普通に見られる(異議1甲45~異議1甲48)。
また、現在においてはコンビニなどで「イートイン」という営業形態が多くなり、例えば「食品」では「(ラーメンの名店とコラボした)即席ラーメン」に、熱湯を提供して店内で飲食させるということは当たり前になっている。この場合、ラーメンの名店の味を再現したラーメンという「飲食物」を提供しているわけで、(その名店における)「飲食物の提供」と限りなく近いサービスを与えている。これは一例にすぎないが、いずれにしても「食品」という「商品」と「飲食物の提供」という「役務」はかつてに比べて垣根は低くなっていると見るべきであり、「食品」という商品において「品質表示」と考えられる商標は、まずは「飲食物の提供」商標においても識別力はないのではないかという視点で審査がなされるべきではないかと考える。
さらに「次世代バランス栄養食」に関し、スポーツジム「ちょこザップ」においては、マルチビタミンとコラーゲンを配合したドリンク「ちょコラーゲン」を併設するドリンクバーとして提供しており(異議1甲49)、プロテインドリンク専門の飲食店も多く存在する(異議1甲50~異議1甲53)。
これらは、「バランス栄養食」を提供する飲食店といえ、「次世代バランス栄養食」に独占権が発生して役務名称として「次世代バランス栄養食」が使用できないということは、第5類、第29類、第30類、第32類と同様の問題があると考えられるため、商標法第3条第1項第3号、そうでないとしても同項第6号に該当するとすべきではないかと考える。
カ むすび
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は同項第6号に該当し商標登録を受けることができないものである。
(2)異議申立2
異議申立2の登録異議申立人(以下「申立人2」という。)は、本件商標は、本件商標に係る指定商品又は指定役務のうち、第5類、第29類、第30類及び第32類の指定商品について商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第51号証(以下「異議2甲○」と表記する。)を提出した。
ア 「次世代」の自他商品識別力について
(ア)「次世代」から生じる意味合い
本件商標を構成する「次世代」の語は、株式会社岩波書店発行の「広辞苑(第七版)」によれば、「(1)次の世代。子供の代」、「(2)次の時代。次の段階。」の意味を有するとされている(異議2甲2)。また、株式会社大修館書店発行の「明鏡国語辞典(第三版)」によれば、「(1)次の世代。」、「(2)技術やシステムなどが革新的な変化を遂げる、次の段階。」の意味を有するとされている(異議2甲3)。さらに、株式会社小学館発行の「新選国語辞典(第九版)」によれば、「(1)次の世代。」、「(2)次の時代。製品などの性能が大きく進歩した段階。」の意味を有するとされている(異議2甲4)。
これらを踏まえると、「次世代」の語には、文字どおり「次の世代」の意味合いがあるほか、「進化を遂げた段階、性能が進歩した段階」といった意味合いが生じるところ、世の中の商品やサービスについては、特に後者のような意味合いで広く一般に用いられていると考えられるものである。
(イ)「次世代」の語の当業界における使用状況
実際に、飲食料品、サプリメント、薬剤等を取り扱う業界において、「次世代」の語が、他の名詞と結び付き、「進化を遂げた段階、性能が進歩した段階」の意味を有するものとして、広く一般に用いられていることが認められる(異議2甲5~異議2甲27)。
そして、これらは、「進化を遂げた段階、性能が進歩した段階」といった意味合いで、いずれも用いられているものである。
(ウ)「次世代」の自他商品識別力
このような「次世代」の語から生じる意味合いや、当該語の当業界における実際の使用状況を踏まえると、少なくとも、飲食料品、サプリメント、薬剤等の商品について、「次世代」の語は自他商品識別力を欠くと考えられるものである。
すなわち、本件商標の指定商品及び指定役務中、第5類、第29類、第30類及び第32類に属する商品に「次世代」を使用しても、これに接する取引者・需要者は、これより「進化を遂げた段階の商品」や「性能が進歩した段階の商品」といった意味合いを理解・認識するにすぎないといえる。
したがって、「次世代」の語は、単に商品の品質や特徴を表示したものにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を発揮し得ないといわざるを得ないものである。
イ 「バランス栄養食」の自他商品識別力について
(ア)「バランス栄養食」から生じる意味合い
株式会社岩波書店発行の「広辞苑(第七版)」によれば、本件商標を構成する「バランス」の語は、「つりあい。均衡。」の意味合いを有するとされており(異議2甲33)、「栄養食」の語は、「もっぱら栄養価に主眼を置いた食品または食事。」の意味合いを有するとされている(異議2甲34)。
そして、これらの語を結合した「バランス栄養食」からは、「もっばら栄養価の均衡がとれた食品または食事」という意味合いを容易に感得できるといえるものである。
また、飲食料品やサプリメント等を取り扱う業界においては、「バランス栄養食」の語が、特定の意味合いで広く一般に用いられている実情がある(異議2甲35~異議2甲38)。
これらを踏まえると、「バランス栄養食」の語は、飲食料品やサプリメント等を取り扱う業界において、「複数の栄養素が強化された食品」といった意味合いで広く一般に用いられていると考えられるものである。
(イ)「バランス栄養食」の語の発祥
そもそも「バランス栄養食」の語は、申立人2が自社商品「カロリーメイト」に関連して初めて使用を開始したものである。
当該商品は、身体に必要な5大栄養素(タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル)がバランスよく摂れ、カロリー計算も簡単にできる点が大きな特長であり、さらに、これに含まれる栄養成分が明らかにされていることから、「健康管理に利用できる画期的な製品」として注目されるものである。
しかし、その誕生までには険しい道のりがあり、例えば、必要な栄養素を含めて栄養バランスも整えながら美味しさを追求する点や、何種類もの原材料をむらなく混ぜる方法の開発には多大な努力や労力を要した(異議2甲39)。そして、これらの課題を長い年月をかけて解決した結果、当該商品は、まさに「新しいタイプの製品」として生み出されたものである。
申立人2は、このように誕生した「新しいタイプの製品」のカテゴリーやコンセプトを称する造語として、「バランス栄養食」と名付けたのである。
1983年の発売以来、「バランス栄養食」は、「栄養素がバランスよく調整されていて、身体に必要な栄養を補ってくれる食品」を意味する語としても、申立人2によって用いられてきたものである(異議2甲40)。
なお、これらの点については、申立人2のウェブサイト以外でも説明がなされており、客観性・信憑性があるものである(異議2甲41~異議2甲43)。
このように、「バランス栄養食」の語は、申立人2による「新しいタイプの製品」のカテゴリーやコンセプトを称する造語として使用が開始され、1983年の発売以来、「栄養素がバランスよく調整されていて、身体に必要な栄養を補ってくれる食品」を意味する語としても、用いられてきたものである。
そして、これが当業界で広く知れ渡った結果、長い年月の間に、申立人2以外の事業者等からも「複数の栄養素が強化された食品」といった意味合いで使用され始め、いわゆる健康食品の一種別を表す用語としても広く一般に用いられるようになり、現在に至っているのである。
(ウ)「バランス栄養食」の語の当業界における使用状況
実際に、飲食料品やサプリメント等を取り扱う業界において、「バランス栄養食」の語が、「複数の栄養素が強化された食品」といった意味合いで使用され、いわゆる健康食品の一種別を表す用語としても広く一般に用いられていることが認められる(異議2甲43~異議2甲50)。
飲食料品やサプリメント等に関連して、「バランス栄養食」の語が広く一般に使用されている実情があり、現在においては「複数の栄養素が強化された食品」といった意味合いで使用され、いわゆる健康食品の一種別を表す用語としても広く一般に用いられていることが認められる。
(エ)「バランス栄養食」の自他商品識別力
このような「バランス栄養食」の語から生じる意味合いや、当該語の当業界における実際の使用状況を踏まえると、少なくとも、飲食料品やサプリメント等の商品について、「バランス栄養食」の語は自他商品識別力を欠くと考えられるものである。
すなわち、本件商標の指定商品及び指定役務中、第5類、第29類、第30類及び第32類に属する商品に「バランス栄養食」を使用しても、これに接する取引者・需要者は、これより「複数の栄養素が強化されている商品」や「栄養素がバランスよく含まれている商品」といった意味合いを理解・認識するにすぎないといえる。
したがって、「バランス栄養食」の語は、単に商品の品質や特徴を表示したものにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を発揮し得ないといわざるを得ないものである。
なお、本件商標の商標権者は、商標「バランス栄養食」について、第5類、第29類、第30類及び第32類を含む区分を対象とした商標登録出願を行っているところ(商願2023-046466号)、識別力の欠如を理由とした拒絶理由通知が発せられた結果(異議2甲51)、本年3月26日付けで拒絶査定となっている。
ウ 商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は「次世代バランス栄養食」の文字を標準文字で表してなるところ、上述のとおり、これを構成する「次世代」及び「バランス栄養食」のそれぞれの語は、自他商品識別力を欠くと考えられるものである。
すなわち、本件商標の指定商品及び指定役務中、第5類、第29類、第30類及び第32類に属する商品に「次世代」を使用しても、これに接する取引者・需要者は、これより「進化を遂げた段階の商品」や「性能が進歩した段階の商品」といった意味合いを理解・認識するにすぎない。また、同様の商品に「バランス栄養食」を使用しても、これに接する取引者・需要者は、これより「複数の栄養素が強化されている商品」や「栄養素がバランスよく含まれている商品」といった意味合いを理解・認識するにすぎないものである。
そして、本件商標「次世代バランス栄養食」が、いずれも我が国で馴染みのある語から構成されていることや、このような「次世代」及び「バランス栄養食」の語から理解・認識される意味合い、それぞれの語の当業界における使用状況の実情等を考慮すれば、本件商標は、全体として「進化を遂げた、複数の栄養素が強化されている商品」や「性能が進歩した、栄養素がバランスよく含まれている商品」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
そうすると、本件商標の指定商品及び指定役務中、第5類、第29類、第30類及び第32類に属する商品について本件商標「次世代バランス栄養食」を使用しても、単に商品の品質や特徴を普通に用いられる方法で表示したものにすぎず、本件商標は、自他商品の識別標識としての機能を発揮し得ないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
さらに、繰り返しとなるが、「バランス栄養食」の語は、申立人2が自社商品「カロリーメイト」に関連して初めて使用を開始したものである。そして、これが当業界で広く知れ渡った結果、長い年月の間に、いわゆる健康食品の一種別を意味する語等として一般に用いられるようになり、現在に至っているものである。
申立人2は、これについて商標登録をすることもできたものであるが、当業界における広い使用状況や、健全な市場取引・流通の便宜を鑑みて、これまであえて差し控えてきたものである。
このような状況の下で、現在において、この「バランス栄養食」の語を含む本件商標「次世代バランス栄養食」について特定の者に商標登録が認められることは、申立人2としては自身のブランドを剽窃されるかごとくの思いであり、到底看過できるものではない。また、本件商標に商標登録が認められた場合には、いわゆる健康食品やサプリメントを取り扱う業界における「バランス栄養食」の語の使用を委縮させ、それらの商品の健全な市場取引・流通を阻害するといわざるを得ない。すなわち、「次世代バランス栄養食」の語は、将来を含め、当業界において何人にもよる使用が確保されるべきものであって、これを特定の者に独占使用させることは公益上の観点からも妥当ではない。
エ むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し商標登録を受けることができないものである。
3 当審における取消理由通知
当審において、本件商標権者に対し、本件商標の指定商品及び指定役務中、本件登録異議の申立てに係る指定商品及び指定役務のうち、第5類「乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」、第29類「全指定商品」、第30類「全指定商品」、第32類「全指定商品」、第35類「飲食料品の品質又は規格の認証取得のための事業に関する助言及び支援,食品及び食料品の受注事務の代行,オンラインによる食事宅配サービスの受注事務処理の代行,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,サプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる飲食料品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによるサプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類「飲食物の提供,飲食物のメニュー・レシピ又は食材に関する情報の提供」(以下「本件取消対象商品及び役務」という場合がある。)についての登録は、第3条第1項第3号及び同項第6号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づいて、その登録を取り消すべき旨の取消理由を、令和6年12月24日付けの取消理由通知書で通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。
なお、本件商標権者は、上記取消理由通知書に対して、意見書を提出していない。
4 当審の判断
(1)本件商標について
本件商標は、上記1のとおり、「次世代バランス栄養食」の文字を標準文字で表してなるところ、「次世代」の漢字、「バランス」の片仮名及び「栄養食」の漢字の三つの文字が組み合わさった結合商標である。
(2)「次世代」の文字について
ア 「次世代」の語は、「広辞苑(第七版)」(株式会社岩波書店)によれば、「(1)次の世代。子供の代」、「(2)次の時代。次の段階。」の意味する語であり(異議2甲2)、「明鏡国語辞典(第三版)」(株式会社大修館書店)によれば、「(1)次の世代。」、「(2)技術やシステムなどが革新的な変化を遂げる、次の段階。」の意味を有する語であり(異議2甲3)、「新選国語辞典(第九版)」(株式会社小学館)によれば、「(1)次の世代。」、「(2)次の時代。製品などの性能が大きく進歩した段階。」の意味を有する語である(異議2甲4)。
イ 食品やサプリメント等の分野における「次世代」の語の使用について
(ア)「ASCII」のウェブサイトにおいて、「サントリー、生まれ変わった次世代飲料「drop」を地域限定新発売 2015年02月12日 19時00分更新 」の見出しの下「drop(ドロップ)は、濃縮した飲料にお湯や水を注いで飲む次世代飲料。」の記載がある(異議2甲15)。
(イ)「Oishiine!!」のウェブサイトにおいて、「2015/03/09 次世代食品「ロングライフチルド」が新発売!担当者さんに聞きました」の見出しの記事がある(異議2甲5)。
(ウ)「Walkerplus」のウェブサイトにおいて、「<画像2/2>東洋水産から最強の次世代ラーメンがカップ麺で新発売 2017年1月11日」の見出しの記事がある(異議1甲35)。
(エ)「毎日新聞GetNavi」のウェブサイトにおいて、「グルメ ハウス食品が「次世代カレー」とうたう自信作!旨みと香りが別次元の「きわだちカレー」は超本格派でハイコスパ(GetNavi web) 2017/2/13 11:30(最新更新2/14 11:25)」の見出しの下、「ハウス食品は「次世代カレー」と称した濃縮ペーストルウの新商品「きわだちカレー」を発表。2月20日より「中辛」と「辛口」の2種類を発売します。」の記載がある(異議1甲36)。
(オ)「ferret」のウェブサイトにおいて、「フード×テクノロジーで実現する新しい食の未来」「次世代フードやスマートデリバリーで注目を集める「フードテック」とは? 更新日:2020年05月08日」の見出しの下、掲載された画像に「フード×テクノロジーで実現する新しい食の未来」の記載がある(異議2甲9)。
(カ)「CAMPFIRE」のウェブサイトにおいて、「サスティナブルな次世代コーヒーで健康と笑顔を届けたい」の見出しの下、「コーヒーから栄養が摂れる時代へ」「持続可能な社会を目指して、次世代コーヒーが誕生しました!」「このプロジェクトは、・・・2021-04-30に募集を終了しました」の記載がある(異議1甲33)。
(キ)「FOODS CHANNEL」のウェブサイトにおいて、「【30分で完売!】”次世代チーズケーキ”「レーヌフロマージユ|女王のチーズケーキ」が販売開始と同時に即完売 掲載日:2021年05月13日」の見出しの下、「Reine Fromage(レーヌフロマージュ)は、“次世代チーズケーキ”をモットーに、「バスク」「レア」「スフレ」、どれにも属さない味・食感を体現するベく、20年以上フランス料理に携わってきたシェフが、約1年にも及ぶ試行錯誤を経て完成致しました。」の記載がある(異議1甲42)。
(ク)「Happy Quinoa」のウェブサイトにおいて、「【スーパーフード】次世代栄養食スピリルナが、ヴィーガン生活におすすめな理由」の見出しの下、「今回は、次世代栄養食ともいわれ、NASAの宇宙食としても研究開発が進められている「スピルリナ」を、皆さんにご紹介します。」「2021年09月10日」の記載がある(異議2甲12)。
(ケ)「PRTIMES」のウェブサイトにおいて、「次世代飲料“CBDX”発売 2021年11月25日 16時30分」の見出しの下、「株式会社チェリオジャパン・・・は、次世代成分、今世界で話題のCBD20mg配合の微炭酸飲料、「CBDX」を2021年12月3日より、特設ECサイト・・・にて発売します。」の記載がある(異議1甲37、異議2甲13)。
(コ)「8760 by postseven」のウェブサイトにおいて、「2022.02.20 バターを超えた濃厚さ! 濃いのにヘルシー&動物性原料不使用の”次世代バター”が登場」の見出しの下、「健康面や環境配慮面から植物性代替食品のニーズが高まっている昨今。乳製品を使用していない固形からペースト状の植物性油脂食品である植物バターが、植物性代替食品の中でも次なるトレンド食材として注目を集めています。そんな中、マリンフードからも『植物バター160g』が、4月1日(金)に新発売されます。」の記載がある(異議1甲39)。
(サ)「Yahoo!JAPANニュース」のウェブサイトにおいて、「【西宮市】タピオカの次に来る次世代ドリンクはこれだ!トロトロの「わらび餅」がドリンクになった 2022/4/21(木)20:01」の見出しの下、「なんと、「わらび餅」入りのドリンクのお店!こんな新感覚の商品も西宮で試せるんです!」の記載がある(異議2甲16)。
(シ)「PRTIMES」のウェブサイトにおいて、「【日々の健康の補助に】話題の次世代サプリ「ALAシールド」がLIME SHOP Yahoo店で特別セール開催中! 2022年6月13日 08時00分」の見出しの記事がある(異議2甲21)。
(ス)「NIKKEI COMPASS」のウェブサイトにおいて、「次世代サプリメント「OGGI OTTO Drs NMN」新発売![テクノエイト] 2022年6月15日」の見出しの下、「年齢にとらわれない確かな美を追究するOGGI OTTO Drsシリーズから、エイジングサプリメントケアが新登場」の記載がある(異議2甲19)。
(セ)「canaeru」のウェブサイトにおいて、「更新日:2022/09/20 次世代スイーツのキーワードは“萌え断”!?話題の「スイーツ缶」を調査」の見出しの下、「ネクストトレンドスイーツとして注目を集めているのが缶に入ったスイーツ、通称「スイーツ缶」です。」の記載がある(異議2甲22)。
(ソ)「伊勢丹新宿店」のウェブサイトにおいて、「【惣菜】進化が止まらない!注目の次世代フード 2023.3.8 UP」の見出しの下、「お肉タイプやお魚のタイプなどこれまでも様々なプラントベース(植物性食品)をご紹介してきましたが、今回新たにご紹介するのはプラントベースの乳製品「デリプランツシリーズ」。・・・“最新の素材”と“調理の技”の掛け合わせで生まれた新しいおいしさ、ぜひお試しください!」の記載がある(異議2甲10)。
(タ)「株式会社ゼロワンブースター」のウェブサイトにおいて、「ミストで“飲む”次世代サプリメント「IN MIST」販売開始。セルフケア意識が高まるこれからの時代に1秒で手軽に美味しい健康習慣!」の見出しの下、「株式会社ゼロワンブースターは本日2023年4月18日より、液体サプリメントをミスト状にして飲む、吸収率と手軽さを両立させた次世代ミストサプリメント「IN MIST」をMakuakeにて取り扱い開始いたします。」「2023/04/18」の記載がある(異議1甲34)。
(チ)「Yahoo!JAPANニュース」のウェブサイトにおいて、「【川崎市多摩区宿河原】すっきり飲める次世代飲料にバスケコートを利用した特別イベント開催! 2023/8/19(土)19:18」の見出しの下、「ここで見つけたのが、「ONE_PRO」というプロテイン入りの飲料。「これなに?」とお店の方に聞いてみると、「CPIプロテイン」という飲みやすく改良された次世代のプロテイン飲料。」の記載がある(異議2甲14)。
(ツ)「PRTIMES」のウェブサイトにおいて、「ミストで“飲む”次世代サプリメント「IN MIST」が2023年度グッドデザイン賞受賞! 2023年10月5日 15時00分」の見出しの記事がある(異議2甲18)。
(テ)「TREND NEWS CASTER」のウェブサイトにおいて、「タニタ×森永乳業プレミルを使った特別メニュー提供開始!次世代ミルクで賢く楽しく栄養補給を 2024.02.01」の見出しの下、「森永乳業は「かがやく“笑顔”のために」をスローガンとして、新しい乳の価値を探索し、牛乳の消費拡大に向けてさまざまな取り組みをしてきた。その一つが次世代ミルクという位置づけで発売された「プレミル(PREMiL)」。」の記載がある(異議1甲38)。
(ト)「クラシエ株式会社」のウェブサイトにおいて、「植物性ミルクから生まれた次世代アイスブランド「フロムグリーン」シリーズが、3月4日(月)から新発売!20年のノウハウを活かした3種類の満足度高いアイスが誕生! 2024年2月20日」の見出しの下、「クラシエ株式会社(フーズカンパニー)は、20年にわたり植物性ミルクのアイスを製造してきたノウ八ウを活かし、植物性ミルクらしいすっきりとした後味と、濃厚でくちどけなめらかな味わいや素材の食感を楽しめるアイスシリーズ「フロムグリーン 豆乳バナナ/アーモンドミルクバニラキャラメル/オーツミルクカフェラテ」を2024年3月4日(月)から全国の一部企業店舗限定(コンビニエンスストアを除く)で販売いたします。」の記載がある(異議1甲44)。
ウ 小括
上記ア及びイによれば、「次世代」の語は、「次の段階。」等の意味を有する語であり、食品の分野においては、「製品が進歩した段階」といった意味合いを示す趣旨で食品の名称に付されて用いられているといい得るものである。
(3)「バランス栄養食」の文字について
ア 「バランス栄養食」の文字を構成する「バランス」及び「栄養食」の語は、前者は「つりあい。均衡。」、後者は、「もっぱら栄養価に主眼を置いた食品または食事。」の意味を有する語である(異議2甲33、異議2甲34)。
イ 食品業界における「バランス栄養食」の語に係る取引の実情について
(ア)「EPARKくすりの窓口」のウェブサイトにおいて、「【管理栄養士執筆】バランス栄養食おすすめ商品9選 2023/7/7」の見出しの下、「バランス栄養食とは、複数の栄養素が強化されている栄養補助食品のことを指します。・・・バランス栄養食では、特定の栄養素だけを補うのではなく、適度な炭水化物、タンパク質、脂質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く、手軽に摂取することができます。」の記載がある(異議2甲36)。
(イ)「edimo エディモ」のウェブサイトにおいて、「2023.05.17 忙しい朝や間食におすすめの完全栄養食8選。バランスの良い食生活をサポート」の見出しの下、「バランス栄養食とは、通常の食事で不足している栄養素を補うための食品のことです。」の記載がある(異議2甲38)。
(ウ)大塚製薬の「オオツカ・プラスワン」のウェブサイトには、「カロリーメイト誕生秘話I」の見出しの下、「1983年に発売以来、多くの皆さんにご愛用いただいている「カロリーメイト」。「バランス栄養食」というキャッチコピーの通り、タンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルの5大栄養素をバランス良く含んでいます。」の記載がある(異議2甲39)。
(エ)「株式会社グローバルニュートリショングループ」のウェブサイトにおいて、「健康食品平成物語~健康食品市場30年の振り返り~」の見出しの下、「バランス栄養食というカテゴリーも1983年に「カロリーメイト」の登場によって作られた。このカテゴリーは、この後、ニュートリションバーとゼリー飲料というカテゴリーヘと発展していくことになる。」の記載がある(異議2甲42)。
(オ)「「健康食品」ウソ・ホント」(2016年6月20日第1刷発行:株式会社講談社)201ページないし202ページには、「「バランス栄養食」を考える」の見出しの下、「ビタミンやミネラルを十分量配合したという触れ込みで、「バランス栄養食」(あるいは「栄養調整食品」)と名乗る食品群が商業的に成立しています。かつては1983年に発売されたO社の商品「カロリーメイト」だけでしたが、いつしかその種類が増えてきました。」の記載がある(異議2甲43)。
ウ 小括
上記ア及びイによれば、「バランス栄養食」の語は、「つりあい。均衡。」及び「もっぱら栄養価に主眼を置いた食品または食事。」の意味を有する「バランス」及び「栄養食」の語から構成されているところ、1983年に申立人2が同社の製品「カロリーメイト」のキャッチコピーとして使用を開始し、その後、同業他社による使用によって、本件商標の登録出願時及び登録査定時においては、「複数の栄養素が強化された食品」といった意味合いで広く一般に用いられている語といえるものである。
(4)商標法第3条第1項第3号該当性について
上記(2)及び(3)によれば、本件商標は、食品及びサプリメント等に係る業界においては、「製品が進歩した段階」といった意味合いを示す趣旨で食品の名称に付されて用いられている「次世代」の語と「複数の栄養素が強化された食品」といった意味合いで広く一般に使用されている「バランス栄養食」の語から構成されているものであり、その構成全体より「製品が進歩した段階の複数の栄養素が強化された食品」といった意味合いを容易に認識させるものである。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「次世代バランス栄養食」からなる本件商標は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第5類「乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」、第29類「全指定商品」、第30類「全指定商品」及び第32類「全指定商品」に使用するときは、これに接する需要者及び取引者に、「製品が進歩した段階の複数の栄養素が強化された商品」であることを認識させるもの、すなわち、商品の品質を表示する商標といえ、また、第35類「飲食料品の品質又は規格の認証取得のための事業に関する助言及び支援,食品及び食料品の受注事務の代行,オンラインによる食事宅配サービスの受注事務処理の代行」及び第43類「飲食物の提供,飲食物のメニュー・レシピ又は食材に関する情報の提供」について使用するときは、「製品が進歩した段階の複数の栄養素が強化された食品」に係る役務であるという役務の内容を認識させるものとして、役務の質を表示する商標ということができる。
そして、本件商標は、標準文字からなるものであり、普通に用いられる方法で表示する商標である。
したがって、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第5類「乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」,第29類「全指定商品」、第30類「全指定商品」、第32類「全指定商品」、第35類「飲食料品の品質又は規格の認証取得のための事業に関する助言及び支援,食品及び食料品の受注事務の代行,オンラインによる食事宅配サービスの受注事務処理の代行」及び第43類「飲食物の提供,飲食物のメニュー・レシピ又は食材に関する情報の提供」については、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(5)商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は、上記(4)に記載の第5類、第29類、第30類及び第32類の指定商品に使用するときは、商品の品質を表示してなるにすぎないものある。
そうすると、本件商標の指定商品及び指定役務中、上記商品を取扱商品とする第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,サプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる飲食料品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによるサプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用するときは、これに接する取引者及び需要者に、上記役務で取り扱われる商品が「製品が進歩した段階の複数の栄養素が強化された食品」であること、すなわち、取扱商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであることを認識させるにとどまるというのが相当であるから、本件商標は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というべきである。
したがって、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,サプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる飲食料品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによるサプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」については、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標の指定商品及び指定役務中、本件登録異議の申立てに係る指定商品及び指定役務のうち、本件取消対象商品及び役務についての登録は、商標法第3条第1項第3号又は同項第6号の規定に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきである。
また、本件商標の指定商品及び指定役務中、本件登録異議の申立てに係る指定商品及び指定役務のうち、本件取消対象商品及び役務以外のその余の指定商品及び指定役務については、その登録を取り消すべき理由がないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-900125