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商標異議申立

2024-900122

セツキショーカ、セツキソーカ

審判番号
2024-900122
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-111717
登録番号
6791576
請求日
2024年06月04日
審決日
2025年04月02日
公報発行日
2025年05月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社アジア通商
  • 【権利者代理人】杉浦 健文
  • 【異議申立人】山東薛記食品科技有限公司
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 小俣 克巳
  • 審判官 豊瀬 京太郎
分類
T1651.22 -Y (W29) / T1651.222-Y (W29) / T1651.25 -Y (W29) / T1651.255-Y (W29)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第10号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6791576号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6791576号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6791576号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、第29類「菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る。),甘栗,いり栗,いり豆,食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,果実の缶詰及び瓶詰,果実の漬物,乾燥果実,乾燥野菜,ジャム,調理用野菜ジュース,ピーナッツバター,ひき割りアーモンド,マーマレード,めんま,押し固めて成形された果実ペースト,加工果実,加工済み種子,加工済み食用アロエベラ,加工済みスイートコーン,加工済みナッツ,加工済みのひまわり種子,加工済みピーナッツ,加工済みヘーゼルナッツ,加工野菜,果実の皮,果実の缶詰,果実のチップ(菓子を除く。),果肉,乾燥ココナッツ,乾燥処理済みの食用花,乾燥なつめやしの実,キムチ,砂糖漬けのナッツ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,加工済み食用花粉」を指定商品として、令和5年10月6日に登録出願、同6年3月15日に登録査定、同月28日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する商標は、申立人の業務に係る「いり栗,加工済みナッツ,加工済みのひまわりの種子等」に使用する「薛記炒貨」の文字からなる商標(以下「引用商標1」という。)及び別掲2のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標2」という。)である。 以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。 (1)申立人について 申立人は、中国で「炒貨」と称される「炙った栗や種子類など」(以下「炒貨」という。)の製造販売を行っており、「薛記炒貨」(英語名:Xue's Snack)のブランドで中国国内に1,000店舗以上を展開している(甲2)。また、中国の主要なオンラインショッピングモールの淘宝(Taobao)と京東(JD.com)にも「薛記炒貨」の公式ショップを出店している(甲3)。「薛記炒貨」のブランドで申立人が展開する炒貨販売店(以下「薛記炒貨」という。)は、申立人の創業者である薛興柱氏が2002年に一号店を開き、「高い品質の炒貨を安価で、良心的に販売する」という経営方針の下、今日まで20年以上にわたり中国で高品質の炒貨を提供し続け、現在では、いり栗やひまわりの種に加えてピスタチオやドライフルーツなど、400種類近くの商品が薛記炒貨で販売されている(甲2)。 申立人は、薛記炒貨の商標として引用商標2を使用しており、各店舗の看板やオンラインショップのウェブページに加え、商品の包装やレシートなどの様々な媒体に引用商標2を付して、取引需要者に訴求している(甲4の1~6)。 なお、引用商標2は中国で著作権登録されている(甲4の7)。 今日では、薛記炒貨は、中国で最も成功した炒貨販売店の一つとして注目されており、本件商標の登録出願日より前に中国の多くのメディアで取り上げられている(甲5)。 また、中国最大のインターネット検索エンジンである百度(Baidu)のオンライン百科事典(百度百科、英語名:Baidu Baike)にも薛記炒貨は紹介されていることから(甲6)、「薛記炒貨」は中国で周知のブランドとして認識されていることが分かる。 なお、日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディアの「36Kr Japan」には、薛記炒貨の創業者である薛興柱氏が日本を訪れた際のインタビュー記事が掲載されており、日本でも薛記炒貨は紹介されている(甲2)。 (2)引用商標について 引用商標1の「薛記炒貨」は、創業者の薛興柱氏が自身の姓である「薛」と取扱商品の「炒貨」を組み合わせて創作した、独創的な造語である。そして、上述のとおり、「薛記炒貨」は中国で周知のブランドであり、引用商標1は申立人の商標として中国で広く知られている。これに対して、本件商標は、構成文字が引用商標1と全く同一であり、我が国では珍しい「薛」「炒貨」の漢字の組み合わせが中国で周知の引用商標1と偶然一致したとは考え難い。 また、引用商標2は、図形を介して「薛記」と「炒貨」の文字が同書同大で横一列に配置され、当然に「薛記炒貨」の文字部分のみを分離して認識できる。また、当該「薛記炒貨」の文字部分は、各文字の角を丸くする等のレタリングが施され、特徴的なデザインとなっている。そして、上述のとおり、「薛記炒貨」は、中国で周知のブランドであって、申立人は、引用商標2を薛記炒貨の商標として店舗看板等の目立つ場所や様々な媒体に付しており、引用商標2は、申立人の商標として中国で広く知られている。これに対して、本件商標は、引用商標2の「薛記炒貨」の文字部分と文字の太さ以外は完全に同一であり、我が国では珍しい「薛」と「炒貨」の漢字の組み合わせに加え、特徴的な書体のデザインまでもが中国で周知の引用商標2と偶然一致したとは到底考えられない。 (3)本件商標の商標権者について 本件商標権者の代表取締役は、「劉清傑」であり(甲7)、その名前から中国人であることがうかがわれる。 そして、中国人である当該代表取締役は、中国で周知な「薛記炒貨」のブランドを当然知っていたと考えられる。また、本件商標権者のホームページでは、取扱商品が「ビニールハウス、プレハブ・コンテナハウス、灌水設備、農業機械」と紹介されており(甲7)、本件商標の指定商品(以下「本件指定商品」という。)とは全く異なる。 他方、本件指定商品は、「薛記炒貨」の商品(いり栗,加工済みナッツ,加工済みのひまわり種子など)と同一又は類似である(甲3)。 そうすると、上述のとおり、本件商標が引用商標2の文字部分と実質的に完全同一であること等に鑑みれば、本件商標は、本件商標権者の代表取締役である劉清傑氏が中国で周知な「薛記炒貨」の商標が日本で商標登録されていないことを奇貨として、「薛記炒貨」の商品について本件商標を登録出願したと推認される。 (4)商標法第4条第1項第19号について 引用商標は、本件商標の登録出願時において、中国の取引需要者の間で、少なくともいり栗や加工済み種子といった炒貨について申立人の商標として広く知られており、本件商標は、引用商標と同一又は類似である。 特に本件商標は、引用商標2の文字部分と文字の太さ以外が完全に同一である。 また、上述のとおり、本件商標権者は、その代表取締役が中国人であり、中国で周知な「薛記炒貨」のブランドを当然知っていたと考えられる。 そして、本件商標権者は、自身の販売商品とは全く異なる「薛記炒貨」の商品について、引用商標2の文字部分と実質的に完全同一の本件商標を登録出願している。これらを考えると、当該登録出願行為には、引用商標に化体した申立人の信用に便乗する目的が推認される。 したがって、本件商標は、その登録出願時において、外国で周知の引用商標と同一又は類似する商標であって、不正の目的をもって使用するものと認められるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第10号について 引用商標は、本件商標の登録出願時において、中国の取引需要者の間で、「いり栗,加工済みナッツ,加工済みのひまわり種子」などについての申立人の商標として広く知られており、かつ、薛記炒貨は日本でも紹介されている。 そして、上述のとおり、本件商標は、引用商標と同一又は類似する商標であって、本件商標の指定商品中には、申立人の使用に係る商品「いり栗,加工済みナッツ,加工済みのひまわり種子」と同一又は類似の商品が含まれる。 してみると、本件商標は、その登録出願時において、周知の引用商標と同一又は類似する商標であって、その指定商品も申立人の業務に係る商品と同一又は類似するものである。 したがって、本件商標は、その登録出願時において、周知の引用商標と同一又は類似する商標であって、その指定商品も申立人の業務に係る商品と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (6)商標法第4条第1項第7号について 本件商標は、造語である引用商標1と社会通念上同一であり、引用商標2の文字部分とは実質的に完全同一である。 また、引用商標が申立人の商標として中国の取引需要者間で広く知られている状況において、本件商標権者は本件商標の登録出願を行っている。 そして、本件商標権者の代表取締役は中国人であり、中国で周知な引用商標を当然知っていたと考えられる。これらを勘案すれば、本件商標権者による本件商標の登録出願行為には、申立人に対して本件商標を買い取らせる目的又は申立人の事業活動を阻害する目的が推認される。 したがって、本件商標は、不正な目的をもって剽窃的に登録出願されたものと認められるから、公序良俗に反することは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知著名性について 申立人の主張及び同人が提出した証拠によれば、以下のとおりである。 ア 「36Kr Japan」のウェブサイトには、「中国の小売り・外食、小型店チェーンが急成長。地元VCや経営者、日本企業を参考に視察ツアー積極化」の見出しの下、「3月のツアー参加企業で焼き栗などのチェーン店を展開する薛記炒貨」、「02年に『薛記炒貨』の店名で小売りの一号店を開き、済南で64店まで拡大した」、「店舗網は現在、山東省外を含む1070店まで広がっている」等の記載が認められるものの、当該記事は、本件商標の登録査定後の2024年(令和6年)3月28日のものである(甲2)。 イ 申立人は、中国のオンラインショッピングモールの淘宝(Taobao)と京東(JD.com)には、「薛記炒貨」の公式ショップを出店している(甲3)とするが、その出店日については不明である。 ウ 店舗写真、商品の包装やレシートに引用商標2が表示されているものの(甲4の1~6)、掲載日が不明なものや本件商標の登録出願日後のものである。 エ 本件商標の登録出願前における中国におけるインターネット記事には、「薛記炒貨」の店舗数が800店を越えた等の紹介記事である(甲5)が、店舗数についてはその裏付けがないものであり、また、当該記事の詳細な内容及び閲覧者数等も不明である。 オ 引用商標2は、中国において、著作権取得日:2018年5月1日、登記日:2023年1月10日として著作権登録されている(甲4の7)。 カ オンライン百科事典(Baidu百科)には、薛記炒貨について紹介されているものの(甲6)、創業年(2014年)や取扱商品が記載されていることはうかがえるものの、訳文の記載がないことから、正確な内容を確認することができない。 キ 以上アないしカによれば、申立人は、2014年に創業した焼き栗などのチェーン店を展開し、店舗に引用商標2を表示しているとするインターネット記事があるものの、引用商標が付された商品の販売数量・売上高・市場シェア、広告の方法・範囲等の具体的な証拠がないことから、申立人の主張及び同人が提出した証拠によっては、引用商標が申立人の業務に係る商品について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び中国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができない。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性について 引用商標は、上記(1)キのとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されている商標とはいえない。 したがって、その他の要件を判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ず、同号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第19号該当性について 本件商標は、引用商標と、同一又は類似の商標であったとしても、上記(1)キのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び中国の需要者等の間に広く認識されているものとはいえない。 さらに、申立人が提出した証拠からは、商標権者が本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第7号該当性について 引用商標は、上記(1)キのとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は中国の需要者の間に広く認識されている商標とはいえない。 そして、申立人は、焼き栗などのチェーン店を2014年に創業しており、引用商標2が中国において2023年1月10日に著作権登録されているとしても、申立人は、自らすみやかに引用商標について商標登録出願することが可能であったにもかかわらず、商標登録出願をしなかったということであり、また、それができなかった特段の事情があったと認めるに足りる事実もないことから、当該登録出願を怠っていたものと判断せざるを得ないものである。 また、申立人の提出した証拠からは、本件商標権者の代表者が中国人であることがうかがえるとしても、具体的に、本件商標権者が申立人に対して本件商標を買い取らせる目的又は申立人の事業を阻害する目的のために確保しようとしていることなどを裏付ける事実は見いだせない。 そうすると、本件商標について、商標法の先願登録主義を上回るような、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあるということはできないし、そのような場合には、あくまでも、当事者間の私的な問題として解決すべきであるから、公の秩序又は善良の風俗を害するというような事情があるということはできない。 さらに、本件商標は、他の法律によって、その商標の使用等が禁止されているものではなく、その指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものでもない。 そして、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するというような事情があるともいえない。 してみると、本件商標は、引用商標と類似する商標であるとしても、引用商標の周知性にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできず、また、本件商標が、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべき事情は見いだせないものであるから、本件商標権者が、本件商標の登録出願をし、登録を受ける行為が「公の秩序や善良の風俗を害する」という公益に反する事情に該当するものということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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