商標異議申立
2024-900109
テイピイリンク、リンク
- 審判番号
- 2024-900109
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-081563
- 登録番号
- 6787002
- 請求日
- 2024年05月20日
- 審決日
- 2025年03月19日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】張 天文
- 【異議申立人】ティーピー-リンク コーポレーション リミテッド
- 【異議申立人代理人】長谷川 芳樹
- 【異議申立人代理人】黒川 朋也
- 【異議申立人代理人】魚路 将央
- 【異議申立人代理人】杜 潔
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 杉本 克治
- 分類
- T1651.271-Z (W11)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法43条の3第2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号、商標法第1条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6787002号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6787002号商標の商標登録を取り消す。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6787002号商標(以下「本件商標」という。)は、「TP-Link」の文字を標準文字で表してなり、令和5年7月24日に登録出願、第11類「ランプ,LED照明用器具,車両用ライト,自動車用ヘッドライト,車両の方向指示器用ランプ,車両用ヘッドライト,車両用照明器具,自動車用の方向指示器用ランプ,自動車用ライト,車両用防眩装置(照明用器具に付属するものに限る。),車両用反射器,車両用エアコンディショナー,車両用暖房装置,自動車用除霜装置,オートバイ用ライト,自動車用ライト,照明用器具及び装置,乗物用ライト,探照灯,照明用カンテラ,ダイビング用ライト,加熱調理用の器具及び装置,空気浄化用殺菌灯,紫外線ランプ,冷却用機器,オートバイ用ライト,自動車用ライト,自動車用の方向指示器用ランプ,自転車用ライト,乗物の方向指示器用電球,乗物用照明器具,安全灯,蛍光灯管,照明用器具及び装置,懐中電灯,二輪車用ライト,四輪車用ライト,自動車用室内灯,電動ドライバーの先端に使用するライト,照明用器具及び装置,電球型蛍光灯,蛍光灯管,ハロゲン白熱電球,ハロゲン化金属蒸気を封入した紫外線ランプ,白熱電球,照明用放電管,照明用発光管,乗物用照明器具」を指定商品として、同6年2月13日に登録査定され、同年3月13日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、以下の1ないし3の商標であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第5899512号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:別掲1のとおり
登録出願日:平成28年5月17日
設定登録日:平成28年11月25日
指定商品:第9類「電気用ケーブル,テレビジョン受信機,ビデオカメラ,蓄電池,歩数計,モデム,電気アダプター,コンピュータネットワークスイッチ,ネットワーク接続用カード(LANカード),トランスポンダ,電話機械器具,アンテナ,コンピュータ周辺機器,光通信機械器具,相互通信装置,無線ネットワーク接続用カード(LANカード),携帯電話機,携帯メディアプレーヤー,音響用振動板,スピーカー,電池用充電器,ルーター,電子信号送信機,監視ネットワークシステム用監視カメラ,データ通信ネットワークを用いた監視装置用監視カメラ,センサー(測定機器)(医療用のものを除く。),警報器,遠隔制御装置,電気スイッチ,プラグ,ソケットその他の電気接続具,ダウンロード可能な電子計算機用プログラム,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,測定機械器具,電線及びケーブル,電池」
2 国際登録第882468号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
国際商標登録出願日:2006年3月1日
設定登録日:平成19年6月1日
指定商品:第9類「Modems; optical communication devices; transmitters of electronic signals; network switches; inter-communication apparatus; network hubs; receiver servers; routers; videophones.」
3 国際登録第1129618号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様:別掲3のとおり
国際商標登録出願日:2012年3月21日
設定登録日:平成25年12月20日
指定商品及び指定役務:第9類「Modems; routers; power adapters; switches; modules for switching; network interface cards; fiber converters; telephones; computer network switches; antennas; network communication apparatus; transmitters of electrical signal; optical communication devices; intercommunication apparatus; wireless LAN adapters; wireless LAN access point; computer peripheral devices; data processing apparatus; computer storage devices; integrated circuit cards; cell phones; fluorescent screens; printed circuits.」及び第38類「Radio broadcasting; television broadcasting; message sending; communications by computer terminals; communications by fiber (fibre) optic networks; providing user access to a global computer network (service providers).」
以下、これらの商標をまとめていうときは、「引用商標」という。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の登録は商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1項により取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第35号証(枝番号を含む。)を提出した。
以下、証拠の表示に当たって、「甲第○号証」を「甲○」のように、「甲第○号証-1」を「甲○の1」のように簡略して記載し、枝番号を全て表示する場合は枝番号を省略して記載する。
1 本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することについて
(1)TP-Linkブランド及びその周知性について
TP-Linkは、1996年に設立した、シンガポールと米国に本社を構えるグローバル企業であり、主に、個人向けネットワーク製品・スマートホーム製品・法人向けネットワーク製品・セキュリティ機器、そしてソフトウェアやクラウドサービスを提供している。
TP-Linkは、シンガポールと米国に本社機能を置く2本社体制による運営を図るとともに、TP-Link Corporation PTE.Ltd.がオペレーションマネジメントを、そしてTP-Link Global Inc.が研究開発・技術マーケティングを担っており、さらに、42か所の現地法人と23か所のコールセンターのサポートによって、製品とサービスを提供するための販売ルートを世界中へ拡大するに至っている。
その製品には、個人向けネットワーク製品、スマートホーム製品、法人向けネットワークソリューション、法人向けセキュリティ機器、キャリアネットワーク及びソフトウェア&クラウドサービスが含まれており(甲4)、また、スマートホーム製品はLEDランプやテープライトも取り扱っており(甲5)、それらは本件商標の指定商品と同一又は類似である。
TP-Linkが我が国で一定の知名度と人気を持っていることについて、以下の情報からその知名度を証明できる。
ア 製品ラインナップ
TP-Linkは、Wi-Fiルーター、スイッチングハブ、レンジエクステンダー、パワーラインアダプター、ネットワークカメラ、スマートホームデバイスなど、幅広い製品ラインナップを提供しており、これらの製品は家電量販店のビックカメラ、ヨドバシカメラなど、及びオンラインショップの価格ドットコム、アマゾン、楽天市場で購入することができる(甲6~甲10)。
イ 高性能と価格競争力
TP-Linkの製品は、価格競争力があり、高性能でコストパフォーマンスが良いと評価されており、多くの消費者に支持されている(甲11、甲12)。
我が国の主要な技術系ウェブサイトや家電レビューサイト、YouTubeチャンネルなどでTP-Linkの製品が取り上げられ、評価されている。特に、Wi-Fiルーターやスマートホーム関連の製品は好評を得ている。
例えば、アマゾンで「TP-Link5ポート スイッチングハブ」のレビューが114,942件も達しており、類似製品の人気度の差が歴然である(甲11)。
また、IDC調べによれば、TP-LinkのWiFiルーター、無線LANは、12年間連続世界シェア第1位になっている(甲12)。
ウ サポートとサービス
TP-Linkは、日本国内でのサポート体制も整えており、公式ウェブサイトやサポートセンターを通じて、技術的なサポートや製品保証を提供している。
エ 広告
本件商標の出願日前の2022年の広告などのサマリーで示されたように、2022年のリリースなどの広告が1,910件に達しており(甲13)、また、2021年のインターネット広告も1,048件に達している(甲14)。
インターネットのほか、紙媒体の新聞と雑誌などにおいても、TP-Linkが紹介されており(甲15)、IT業界紙の発行と、パーソナルコンピュータ・デジタル家電のマーケティング調査やその関連情報を扱うBCN(甲16)のマーケットシェアによれば、TP-Link製品は同業種のうち、日本市場でのシェアが2021年から2023年の3年間、いずれも販売量が第2位であるとの統計結果になっている(甲17~甲19)。
オ イベント参加
日本国内で開催されたIT関連のイベントにも積極的に参加・出店している。
カ 受賞歴
2019年から2024年1月までの我が国での各種の賞が与えられていた(甲20)。
キ キャンペーン及びオンラインセミナーの開催
各種商品の発売に伴い、キャンペーンを実施している。これらのキャンペーン活動及びその報道によって、知名度が高まっている(甲24、甲25)。
また、各種商品の発売についてもオンラインで宣伝しており、例えば、2021年の「Wi-Fi 6xIPv6 IPoEルーターが1万3,600円で登場!「Archer AX73」3月10日(水)発売」について、計474件の紹介記事があり、広告換算値が3億7千9百万円にも及ぶ(甲26)。
そのほか、独自のオンラインセミナーも開催しており、自社製品の紹介及び認知度を高める活動を並行して行っている(甲27、甲28)。
上記のほか、申立人の商品の発売時などのタイミングで、多数のインターネットウェブサイトで同時に紹介されている(甲29)。また、SNSのYouTubeでも、第三者に紹介されたり、申立人の公式アカウントで宣伝している。それらの視聴回数は400万回を超えるものもあり、我が国だけではなく、世界のユーザーにも注目されているといえる。(甲30)。
(2)本件商標と引用商標の類似性
本件商標は、「TP-Link」の文字から構成され、引用商標1の文字部分「tp-link」及び引用商標2「TP-Link」と引用商標3「TP-LINK」の構成文字が同じである。
したがって、本件商標は、引用商標との類似性の程度が極めて高い。
(3)引用商標がハウスマークであり、かつ独創的であること
引用商標は、申立人のハウスマークとして独自に採用され、1996年の設立当初から長年にわたり使用されているものであるから、本件商標が偶然に同じ文字を採用したとは考えにくい。
また、「TP-Link」の関連商標について、申立人は、世界55か国で143件の出願又は商標登録を保有している(甲31の1)。
我が国において、引用商標の使用に関して、申立人は、「TP-LINK JAPAN INC.」と独占販売代理権の代理店契約を結んでおり、同社以外の者(商標権者を含む)は「TP-Link」製品を無断で販売することができない(独占販売代理権契約書の抜粋:甲31の2)。
(4)需要者の共通性
本件商標の指定商品と引用商標の使用商品は、家電製品のカテゴリーに属し、インターネットの普及に伴い、その需要者も共通するようになっている。
また、WiFiルーターは、インターネット接続を提供する家電製品であり、スマートランプやスマート照明器具も、インターネットを介して操作されることが増えているから、両者は、インターネット関連の家電製品として消費者に認識される可能性がある。
さらに、スマートホーム技術が普及しており、多くの家庭でWiFiルーターとスマートランプやスマート照明器具は、共にスマートホームシステムの一部として使用され、同じ家電量販店やオンラインストアで販売されることが多く、消費者は、両者を同じカテゴリーの製品として混同する可能性がある。
申立人のような家電メーカーは、WiFiルーターとスマートランプやスマート照明器具の両方を製造/販売しているから、消費者は、商品の出所について混同するおそれがある。
そして、ランプやスマート照明器具などの需要者は、一般消費者であり、商標やブランドについて詳細な知識を持たないまま、雑誌記事や口コミなどの情報と記憶を頼りに商品を選択・購入する傾向がある。
このような需要者が、異なる時期や場所で、類似性が非常に高い又はほぼ同一の両商標に接する場合、混同のおそれが高い。
(5)小括
以上のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係るインターネット関連製品等を表示するものとして我が国及び外国における取引者、需要者の間に広く認識されていた。
そして、本件商標と引用商標とは、同一といえるほど類似性の程度が極めて高く、また、引用商標は、申立人のハウスマークであり、独創性も非常に高い。
そうすると、本件商標に接した需要者は、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の需要者が商品の出所について混同するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当することについて
(1)引用商標の周知・著名性
上記1(1)で述べたとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係るインターネット関連製品を表示するものとして我が国及び外国における取引者、需要者の間に広く認識されていたものである。
(2)引用商標と本件商標の類似性
上記1(2)で述べたとおり、本件商標と引用商標とは、構成文字が共通しており、両商標は同一又は類似商標である。
(3)不正の目的について
本件商標は、申立人の業務に係るインターネット関連製品等を表示するものとして我が国及び外国における取引者、需要者の間に広く認識されている引用商標と同一又は酷似するものであり、商標権者が引用商標及び申立人の存在を知らなかったものとは考え難い。そうすると、本件商標は、著名な引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する不正な目的で採択・出願され、登録を受けたものであるといえる。
このことは、商標権者が本件商標の出願と同時期に、他の著名商標を複数出願しており(甲32)、本件商標についても同様の意図で出願したことを推認させる。
申立人は、「TP-Link」のほか、世界的に知名度を有する商標を採用したことが決して偶然とは考えられない。商標権者は、一個人として当該他人の承諾もなく、引用商標に化体した信用・名声及び顧客吸引力に便乗し、不当な利益を得る目的で商標登録を受けようとしたといわざるを得ない。かかる行為によって、引用商標自体に化体した信用・名声及び顧客吸引力を希釈化させ、あるいは損なうおそれがあるといわなければならない。
(4)小括
本件商標は、我が国及び外国における取引者、需要者の間で周知・著名な引用商標と酷似し、両商標の類似性の程度は極めて高いため、本件商標が引用商標の顧客吸引力にただ乗りする不正な目的でされるものであることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当することについて
(1)引用商標の周知・著名性
上記1(1)で述べたとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係るインターネット関連製品を表示するものとして我が国及び外国における取引者、需要者の間に広く認識されていたものである。
(2)引用商標と本件商標の類似性
上記1(2)で述べたとおり、本件商標と引用商標とは、構成文字が共通しており、両商標は同一又は類似商標である。
(3)不正の目的
上記2(3)で述べたとおり、本件商標は、周知・著名な引用商標と同一の文字構成からなる商標であり、本件商標に接する取引者、需要者に引用商標を想起させるとともに、顧客の購買意欲を刺激することを意図したものである。
つまり、本件商標は、著名な引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する不正な目的で採択・出願され、登録を受けたものである。
(4)本件商標の登録出願の経緯
上記のとおり、本件商標の登録出願日及び登録日には、引用商標は既に著名であったこと、本件商標と独創性の高い引用商標、及び本件商標の指定商品に引用商標の使用商品が含まれていることを考慮すれば、本件商標が商標権者によって偶然に引用商標と酷似したものとして出願されたとは考えにくい。むしろ、本件商標のほかにも他の著名商標の出願を繰り返していることから、商標権者が引用商標の存在を知りながら、著名な引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力に便乗する不正な目的で本件商標を採択・出願したものと推認できる。
本件について、商標権の帰属などをめぐる問題を申立人と商標権者との間の私的な問題として解決すべきかどうか議論の余地がある点について、申立人は否定しない。
しかし、商標権者による「Xiaomi」、「dyson」及び「Logicool」の出願や、「Fiio」、「Dreame」の出願がいずれも造語であることを考慮すれば、本件商標が偶然に採択されたものではないことは明らかである。むしろ、申立人の周知・著名商標の顧客吸引力、名声及び信用力に便乗し、さらには希釈化させ、あるいは損なわせようとする不正の意図をもって採択されたものであると推認できる。
よって、本件商標は、単なる私人間の問題にとどまらず、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものであり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認できないものである。
(5)小括
本件商標は、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものであり、そのような商標を保護することは、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護するという商標法の目的(商標法第1条)に反するものであり、公正な取引秩序を乱し,商道徳に反するものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
第4 当審における取消理由
当審において、商標権者に対して、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は、同項の規定に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号に該当する旨の取消理由を令和6年12月12日付けで通知した。
第5 商標権者の意見
上記第4の取消理由の通知に対し、商標権者は、何ら意見を述べていない。
第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知著名性について
申立人提出の証拠及び同人の主張並びに職権調査によれば、以下のとおりである。
ア TP-Linkブランド及びその周知性について
(ア)申立人は、1996年に設立した、シンガポールと米国に本社を構えるグローバル企業であり、主に、個人向けネットワーク製品・スマートホーム製品・法人向けネットワーク製品・セキュリティ機器、そしてソフトウェアやクラウドサービスを提供している(甲4の1)。
(イ)申立人のスマートホーム製品には、LEDランプやテープライトも含まれており(甲5)、それらは本件商標の指定商品とも関連している。
(ウ)申立人の製品は、大手家電量販店のビックカメラ、ヨドバシカメラなどの他にオンラインショップの価格ドットコム、アマゾン、楽天市場でも購入することができる(甲6~甲10)。
(エ)申立人のWi-Fiルーターやスマートホーム関連の製品は、「IDC」(職権調査:「IDC」は、「ITおよび通信分野に関する調査・分析などを行う企業」である(https://www.idc.com/jp)。)調べによれば、TP-LinkのWiFiルーター、無線LANは12年間連続世界シェア第1位になっている(甲12)。
(オ)インターネットのほか、紙媒体の新聞と雑誌などにおいても、TP-Linkが紹介されており(甲15)、IT業界紙の発行と、パーソナルコンピュータ・デジタル家電のマーケティング調査やその関連情報を扱うBCN(甲16)のマーケットシェアによれば、TP-Link製品は同業種のうち、日本市場でのシェアが2021年から2023年の3年間、いずれも販売量が第2位であるとの統計結果になっている(甲17~甲19)。
(カ)申立人の製品について、2021年の「Wi-Fi 6xIPv6 IPoEルーターが1万3,600円で登場!「Archer AX73」3月10日(水)発売」について、計474件の紹介記事があり、広告換算値が3億7千9百万円に及んでいる(甲26)。
(キ)上記のほか、申立人の製品の発売時などのタイミングで、多数のインターネットウェブサイトで同時に紹介されており(甲29)、また、SNSのYouTubeでも、第三者に紹介されたり、申立人の公式アカウントで宣伝しており、それらの視聴回数は400万回を超えるものもある(甲30の1、甲30の2)。
(ク)本件商標の登録出願前の使用について
ヨドバシ.com通販のウェブサイトにおいて、引用商標1、「TP-Link」、「ティーピーリンク」(以下「申立人商標」という。)にかかるWi-Fiルーター、屋外ネットワークWi-Fiカメラ、スイッチングハブ、無線LAN中継器などの商品が、「TP-Link 2022/12/14」他の日付とともに掲載されている(甲10)。
(ケ)毎日新聞のウェブサイトには、2016年11月9日付けの記事で「世界シェア45%超!ネットワーク機器のトップメーカーTP-Linkが日本市場に本格参入」の見出しの下、「ネットワーク機器を製造・販売するTP-Link(ティーピーリンク)は8日、無線LANルーターやネットワーク中継器など5製品を発表しました。TP-Linkは、無線LANルーターで世界トップシェアを誇る中国のメーカー。世界120か国以上で展開しており、2016年第1四半期の世界シェアはなんと45.94%と、2位以下に圧倒的な差をつけているネットワーク機器界の巨人ともいえる存在。そんな巨大メーカーが、創業20周年となる2016年より、満を持して日本市場に参入してきました。」との記載がある(職権調査 https://mainichi.jp/articles/20161109/gnw/00m/040/001000c)。
(コ)日刊工業新聞のウェブサイトには、2021年8月5日付けの記事で「TP-Linkが1万円以下Wi-Fi6ルーターシェアでNo.1!「BCNランキング2021年上半期」」の見出しの下、「無線LAN製品の開発、製造、販売で世界No.1シェアを誇るTP-Linkの日本支社である、ティーピーリンクジャパン株式会社(所在:港区西新橋/以下TP-Link)は、「BCNランキング2021年上半期」の1万円以下のWi-Fi6ルーターカテゴリーで販売シェアNo.1を獲得しました。」との記載がある(職権調査 https://www.nikkan.co.jp/releases/view/126011)。
イ 上記アによれば、申立人商標は、申立人の業務に係る商品「WiFiルーター、無線LAN」(以下「申立人の商品」という。)などに使用され、当該申立人の商品は、大手家電量販店や通販サイトで販売され、多数の新聞や雑誌、SNS等において、広告宣伝され紹介されてきたことがうかがえる。
そして、申立人の商品は、12年連続で世界シェア第1位であり、日本市場でのシェアが2021年から2023年の3年間、いずれも販売量が第2位であることなど考慮すれば、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと推認することができる。
(2)引用商標の独創性について
引用商標は、別掲1ないし別掲3に示した構成からなり、いずれも造語と認められるものであるから、その独創性は高いものといえる。
(3)本件商標と引用商標との類似性について
本件商標は、上記第1のとおり、「TP-Link」の文字からなるところ、引用商標1の「TP-Link」の文字部分並びに引用商標2及び引用商標3の「TP-Link」、「TP-LINK」とは、同じつづりからなるものであるから、外観において同一又は類似し、「ティーピーリンク」の称呼を共通にするものであって、観念において異なるところはない。
したがって、本件商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれがある類似の商標であって、その類似性の程度は高いといえる。
(4)本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との間の関連性、需要者の共通性その他取引の実情について
本件商標の指定商品には、「LED照明用器具」などが含まれているところ、近年、IT技術の発展に伴い、パソコンなどの通信機器だけではなく、冷蔵庫やエアコン、掃除機、照明器具などの電化製品もインターネットにつながる技術が搭載されるようになり、これらは「IoT家電」や「スマート家電」と呼ばれ、さまざまな家電製品をインターネットにつなげることで、スマートフォンのアプリや音声入力で遠隔操作などができるようになっている。
そして、IoT家電やスマート家電とスマートフォンの接続には、「WiFiルーター」が必要不可欠なため、IoT家電やスマート家電を購入する際は、相当程度の需要者が「WiFiルーター」にも関心を寄せるものと思われるところ、申立人の商品は、上述したとおり、12年連続で世界シェア第1位であり、日本市場での販売量も第2位であることから、申立人商標は本件商標の指定商品の需要者にも目に触れる機会が多く、一定程度知られているものと推認される。
そうすると、本件商標の指定商品と申立人の商品とは、関連性が低いとまではいえず、その需要者も共通にするものである。
また、IoT家電やスマート家電は日常的に使用されるものであり、また、その需要者は、一般の消費者であることからすれば、取引の際に払われる注意力は、さほど高いとはいえない。
(5)混同を生ずるおそれについて
上記(1)ないし(4)を総合すると、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る申立人の商品を表すものとして、我が国のWiFiルーター、無線LANなどのコンピュータネットワーク関連分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものであり、かつ、本件商標と申立人商標とは、その類似性が非常に高いものである。
そして、本件商標の指定商品と申立人の商品とは、相当程度密接な関係を有し、それらの取引者、需要者も共通にする場合が多いといえることなどを併せ考慮すれば、本件商標をその指定商品について使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、申立人商標を連想、想起し、当該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し、その出所について混同を生じるおそれがあるものというべきである。
(6)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、その余の申立ての理由について論及するまでもなく、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-900109