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商標異議申立

2024-900102

ファブ、エフユウビイ

審判番号
2024-900102
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-067416
登録番号
6784503
請求日
2024年05月13日
審決日
2025年08月05日
公報発行日
2025年09月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】ファブ アンパーツゼルスカブ
  • 【権利者代理人】青木 篤
  • 【権利者代理人】外川 奈美
  • 【異議申立人】ジーティーエフエム,インコーポレイテッド
  • 【異議申立人代理人】野河 信久
  • 【異議申立人代理人】稲本 潔
  • 【異議申立人代理人】保田 英樹
審判長/審判官
  • 審判長 板谷 玲子
  • 審判官 馬場 秀敏
  • 審判官 小田 昌子
分類
T1651.261-Y (W25) / T1651.262-Y (W25) / T1651.263-Y (W25) / T1651.271-Y (W25) / T1651.222-Y (W25)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6784503号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6784503号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6784503号商標(以下「本件商標」という。)は、「FUB」の欧文字を標準文字で表してなり、第25類「被服,帽子,スカルキャップ,ベレー帽,子供用帽子,ニット製被服,ティーシャツ,ベスト,キャミソール,コート,女性用ブラウス,男性用ブラウス,乳幼児用ブラウス,カーディガン,セーター,ズボン,タイツ及びタイツストッキング,スコート,ズボン下,乳幼児用ズボン及びパンツ,ボクサーショーツ,ショートパンツ及びショーツ,スカート,フロック,レギンス,ソックス,パンティストッキング,乳幼児用よだれ掛け又は胸当て(紙製のものを除く),新生児用被服,乳児用ボディスーツ,乳児用トップス,乳児用ボトムス,乳児用ワンピーススーツ,乳児用下着,乳児用の履物及び運動用特殊靴,乳児用寝巻き,乳幼児用レギンス,乳幼児用ドレス,子供用被服,水泳着,レインコート,ダンス用被服,手袋(被服),スカーフ,ベルト,宗教に合わせた被服,サッシュ,シャワーキャップ,アイマスク,美容・理髪用ケープ,ウェディングドレス,民族服(被服),ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,履物,靴保護具,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服(「水上スポーツ用特殊衣服」を除く。)」を指定商品として、令和5年6月19日に登録出願、同6年2月22日に登録査定、同年3月5日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録第4151062号商標(以下「引用商標」という。)は、「FUBU」の欧文字を横書きしてなり、平成8年2月7日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類,げた,草履類」を指定商品として、同10年5月29日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続している。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第64号証(枝番号を含む。)を提出した。 以下、証拠の記載に当たっては、「甲第1号証」を「甲1」のように記載し、枝番号の全てを記載する場合は枝番号を省略する。 (1)商標法第4条第1項第19号について ア 他人の業務に係る商品又は役務を表示するもの 本件商標権者は、デンマーク国で2006年に設立され、子供及び女性向けのニットウェアを製造しているアパレルメーカーである(甲6~甲8)。 一方、申立人は、「FUBU」ブランドのマスターライセンスを1998年に設立されたマスターライセンシーGTFM,LLCに付与し、GTFM,LLCは、「FUBU」の衣料品の製造・販売代理店を務めるアライアンス・ワールドワイド社及びサムソンアメリカ社とライセンス契約を結び、25年以上にわたり、引用商標について服飾雑貨をデザイン・製造・販売し、その製品をアメリカの「ヒップホップ」文化やスポーツ界及び音楽界の有名人と結びつけて宣伝広告してきた(甲9)。 したがって、申立人が提供する引用商標は、本件商標権者にとって、他人の業務に係る商品を表示するものに該当する。 イ 引用商標の周知性 (ア)引用商標を付した服飾雑貨(以下「申立人商品」という。)は、1992年のブランドの立ち上げ以来、主に若い男性向けの服飾雑貨の販売及び宣伝広告活動により、米国のヒップホップ文化やスポーツ界、音楽界の有名人を通じて広く知られている。 1994年に「FUBU」のブランドがラスベガスで毎年開催される小売イベント・カリフォルニアメンズアパレルギルド(MAGIC)の展示会に出展されると、バイヤーから30万ドル相当の注文を受け、その後、1990年代半ば、FUBU社は、米国ニューヨークに本部がある高級百貨店メイシーズと契約を結んだ(甲10)。 1995年には、サムソンC&Tアメリカ(SCTA)が、アーバンヒップホップスポーツウェア市場に旋風を巻き起こし、世界で最も急速に成長しているアパレルブランドの1つであるとして、FUBU社と財務的及び戦略的パートナーシップを結んで生産能力と販売能力を高めるべく投資を行った(甲11)。そして、5年間でSCTAとのパートナーシップによる売上げは、2億ドルに達した(甲12)。 1997年に米国のヒップホップMC・俳優が米国最大の衣料品の小売店Gap Inc.の3,000万ドルをかけて制作したコマーシャルにおいて「FUBU」の帽子をかぶって出演し、「FUBU」の由来である「For Us By Us」と口ずさんだ(甲13、甲14)。その結果、このコマーシャルを見た視聴者がGapの店舗に「FUBU」の製品を探しにくるほど「FUBU」ブランドの知名度が高まり、大ヒットとなった(甲15)。 また、数々の王座を獲得し、ヘビー級統一チャンピオンで歴代最強ともいわれるイギリスのプロボクサーも「FUBU」の広告のモデルとして起用された(甲16)。 その結果、「FUBU」は、ヒップホップアーティストやセレブリティ等の間で人気が高まり、国際的なブランドに成長した。 1998年までには、FUBU社の年間売上高は、3億5,000万ドルを越えた(甲17)。 2003年には、ヨーロッパとアジアを含む世界各国に進出し、また、新興ブランドのHeatherette、DrunknMunky、Kappa USA、Coogi等の買収も進めた。その結果、「FUBU」のブランド商品は、ヨーロッパ、中国、日本、韓国、メキシコ、サウジアラビア、南アフリカを含む20か国以上、5,000を超える店舗において販売された(甲18~甲20、甲25)。 2009年には、全世界での売上げが2億ドルに達し、世界中で総計60億ドル以上もの売上げを達成した(甲21)。 また、「FUBU」は、そのブランドとしての高い業績から、2つの連邦議会賞、2つのNAACP賞、プラット・インスティチュート賞、クリストファー・ウォレス賞、オンライン・ヒップホップ賞、米国クイーンズ区長から栄誉賞等、数々の表彰を受けた(甲22)。 2010年FUBU社は、米国で新たなブランド「FB Legacy」を開始し、FUBUが「FB Legacy」として米国で再発売されると記載されている(甲18)。 2016年9月24日バラク・オバマアメリカ合衆国大統領による式典でオープンしたワシントンDCでスミソニアン国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館において、FUBUの記念品が展示された(甲23)。 2018年、シューズブランドのPUMAがFUBU社と提携し、複数のシューズを共同開発した(甲24)。 また、FUBU社は、Pyer Mess、Urban Outfitters等のブランドや小売店ともコラボレーションを行った。そして、2019年3月、FUBU社は、米国の百貨店Century21と提携した(甲25、甲26)。 ジョージタウン大学大学院芸術科学研究科に提出されたD氏の論文「FOR US BY US:90年代のストリートウェア・ブランドを現代のファッション業界に向けて革新する」(2020年5月26日)によれば、「FUBUのブランドと頭文字をブラック・アメリカの最も有名なセレブリティたちが認めたことは、FUBUというブランドとコンセプトが忘れられていないことを明確に示している。」とあり(甲26)、2020年の時点においても、FUBUのブランドが認められ続けていることが推察される。 日本においては、1990年代のヒップホップブームの際に、日本の若者たちのストリートブランド(B系ファッション)として、FUBUが流行した(甲27~甲29)。 また、2022年7月9日からXLARGEとFUBUとのコラボコレクションが日本国内のXLARGE店舗やオンラインストア「ZOZOTOWN」等で発売され(甲62、甲63)、「ストリートシーンに根ざした服作りで、その概念を定着させ、30年の時を経た今もなお魅力を保ち続けている。」と記載されており、2022年7月の時点でも、FUBUのブランドが日本でも魅力を持ち続けていることが推察される。 さらに、2023年9月29日に日本の店舗「FIVESTAR」にFUBUの新作商品が入荷したとして、少なくとも13種類ものハーフジップスウェットやデニムジャケット、デニムパンツが紹介されている(甲64)。このことから、2023年9月29日時点においても、FUBUの商品が日本で需要を保ち続けていたことが推察される。 (イ)小括 以上のように、引用商標は、本件商標の登録出願以前から米国の著名なアパレルメーカーである申立人の業務に係る第25類「洋服」等の服飾雑貨の商品を表示するものとして、日本を含む世界各国の服飾雑貨の需要者、特に米国の服飾雑貨の需要者に広く認識され、その周知性は、本件商標の登録査定日においても継続していたものといえる。 ウ 本件商標と引用商標の対比 (ア)本件商標は、「FUB」の欧文字を横書きしてなる商標であり、日本人になじみのある一般的な辞書等に掲載された語ではなく、特定の観念を生じさせない造語と考えられる。 (イ)引用商標は、「FUBU」の欧文字を横書きしてなり、「For Us By Us」の頭文字からとられたハウスマークであるが、日本人になじみのある一般的な辞書類に掲載されていないことから、引用商標に接した通常の取引者・需要者に特定の意味合いを看取させるものではないことから、独創的な商標といえる。 (ウ)本件商標と引用商標 本件商標及び引用商標の文字は、特定の観念を生じさせない造語といえることから、これらに接する需要者は、我が国において一般に親しまれている英語あるいはローマ文字の読み方で称呼するものとみるのが自然である。 ここで、本件商標は、英語の「sub」、「pub」の発音から、「ファブ」の称呼を生ずるものと考えられる。 一方、引用商標の称呼としては、日本における取引の実情を考慮して判断すると、例えば、日本における申立人の公式の販売ストアとして「FUBU JAPAN Official Online Store」があり(甲30)、引用商標を「フブ」の称呼で統一している。 また、FUBU国内正規取扱店等や日本の大手ECサイトによれば、日本の取引者や需要者が、引用商標を「フブ」と称呼している実情がうかがえる(甲32~甲38)。 また、引用商標の出願・登録情報においても、「FUBU」の称呼として、「フブ」が挙げられている(甲61)。 そこで、両商標の称呼を対比すると、ともに同数の音節から構成され、各音において「フ」及び「ブ」の子音を共通にし、相違するところは、ハ行の拗音「ファ」とハ行の直音「フ」の差異にすぎず、これらの差異音はともに清音であり、いずれも無声両唇摩擦音であって、調音の位置・方法が近似しているため、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の音感、音調が極めて近似し、明確に聴別し難い程の近似した音となるため、取引上互いに聞き誤るおそれがあり、称呼上類似の商標といえる。 また、引用商標と本件商標は、語頭から3文字の構成文字の綴りを同一にし、相違する部分は、語尾「U」の1文字の有無の差異のみであり、外観上、互いに近似した印象を取引者、需要者に与えるものであるから、外観上も相紛れる商標といえる。 さらに、観念についてみるに、本件商標は、特定の観念を有しない造語といえる。 一方、引用商標は、日本人にはなじみのある一般的な辞書類に掲載されていないことから、引用商標に接した通常の取引者・需要者は、「FUBU」の文字が「For Us By Us」の英語の頭文字による略語であると直ちに認識するということはできず、特定の観念を看取させるものではない。 (エ)まとめ 以上のように、本件商標と引用商標とは、互いに造語であるから観念においては比較することができないとしても、両者を一連に称呼するときは、全体の音感、音調が極めて近似し、かつ、外観においても、語頭の3文字を共通にし、近似した印象を与えるものである。そうすると、本件商標と引用商標の外観、称呼及び観念等によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合すれば、外観において近似した印象を与え、称呼は相紛らわしく、観念において区別することができない両商標は、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標というべきである。 (オ)本件商標権者による本件商標と引用商標の類似性の自認 申立人が、本件商標権者の主たる事業所のあるデンマーク国の商標登録第VR201501780号「FUB」第25類及び第35類に対して、2015年10月12日付で、異議申立を提起した後(甲39、甲40)、本件商標権者は、新たなブランド「THE.FUB」で展開することにし、旧ブランド「FUB」の商標出願を取り下げることを申立人に伝えた。その際に本件商標権者は、「THE.FUBとFUBUの発音が大きく異なること、商標の始まりが異なること」と釈明した(甲41)。これは正しく、「FUB」と「FUBU」は発音が似ていること、商標の始まりの文字列とその称呼も似ていることを自認していることを前提に釈明していることは明らかである。そして、本件商標権者は、このような釈明をした上でさらに、「THE.FUB以外のFUBを単独で、又は組み合わせて登録又は使用することを控える」ことを言明した(甲41)。 このような事実から、本件商標権者も称呼・外観上、本件商標が引用商標と類似しているものと自認しているといえる。 エ 不正の目的 (ア)引用商標が顧客吸引力を獲得していること 引用商標は、申立人のハウスマークであり、特定の意味合いを看取させるものでないことから、独創的な商標である。 また、引用商標は、申立人が米国をはじめ、ヨーロッパ、中国、日本、韓国、メキシコ、サウジアラビア、南アフリカを含む20か国以上、5,000を超える店舗において使用を続けている名称であって、その過程で信用、名声及び顧客吸引力を獲得してきた商標である。 (イ)ダイリューション これまで述べたように、引用商標は、本件商標権者にとっての他人の商標であり、周知な商標であること、本件商標と引用商標は類似であること、本件商標の指定商品「被服」等と引用商標の指定商品「洋服」とは需要者が重複することから、本件商標がその指定商品に使用された場合、需要者は、本件商標が付された商品を申立人の引用商標の使用許諾を受けた商品と誤認して購入する可能性が十分に考えられる。 また、米国のヒップホップ文化が有するスタイリッシュで洗練されたイメージとは全くかけ離れた商品に本件商標を付することにより、本件商標が本件指定商品に使用された結果、申立人商品のブランド価値がダイリューションされ、引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力が毀損されるおそれがある。 (ウ)本件商標権者が本件商標登録出願の時点で引用商標の存在を知っており、不正目的で登録出願したこと 上記ウ(オ)のとおり、本件商標権者が本件商標と類似する引用商標の存在を知っていながら、また、「THE.FUB以外のFUBを単独で、又は組み合わせて登録又は使用することを控える」との言明を反故にして、不正な目的で登録出願していることは明らかである。 オ 小括 以上のように、本件商標は、本件商標権者が、旧ブランドの「FUB」の商標出願を取り下げ、新たなブランドの「THE.FUB」を展開することを申立人に伝える際に、「THE.FUBとFUBUの発音が大きく異なること、商標の始まりが異なること」と釈明していることから、称呼・外観上、本件商標が引用商標と類似しているものと認識していることが明らかであり、また、「THE.FUB以外のFUBを単独で、又は組み合わせて登録又は使用することを控える」との言明を反故にして、本件商標を日本において登録出願し、登録を受けた。 そして、米国のヒップホップ文化が有するスタイリッシュで洗練されたイメージとは全くかけ離れた商品に本件商標を付することにより、本件商標がその指定商品に使用された結果、申立人商品のブランド価値がダイリューションされ、引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力が毀損され得るところ、本件商標権者は、使用により、引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力が毀損されることを知りながら、不正の目的で登録を受けたものであることは明らかである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、指定商品も同一又は類似の関係にある。 また、本件商標権者は、旧ブランドの「FUB」の商標出願を取り下げ、新たなブランドの「THE.FUB」を展開することを申立人に伝える際に、「THE.FUBとFUBUの発音が大きく異なること、商標の始まりが異なること」と釈明した上で、申立人に対し、「THE.FUB以外のFUBを単独で、又は組み合わせて登録又は使用することを控える」と言明していることから、本件商標権者も称呼・外観上、本件商標が引用商標と類似しているものと自認しているといえる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号について 上記(1)イのとおり、引用商標は、申立人の商標として周知であり、本件商標と類似し、需要者層も共通することから、本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品の需要者が申立人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について 本件商標は、上記1のとおり、「FUB」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「ファブ」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に掲載が認められないから、特定の観念は生じない。 イ 引用商標について 引用商標は、上記2のとおり、「FUBU」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「フブ」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に掲載が認められないから、特定の観念は生じない。 ウ 本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標は、上記ア及びイのとおりの構成からなり、語頭からの「FUB」の3文字を共通にするものの、語尾の「U」の文字の有無に差異を有するところ、両者は、3文字又は4文字という短い構成からなることから、語尾の「U」の文字の有無が両者の外観に与える影響は大きいというべきであり、両者は、外観上明確に区別し得るものである。 また、称呼においては、本件商標から生じる「ファブ」の称呼と引用商標から生じる「フブ」の称呼とは、語頭における「ファ」の音と「フ」の音の差異を有するところ、このような短い音構成においては、該差異音が両称呼に及ぼす影響は大きく、それぞれを一連に称呼するときは、語感、語調が相違し、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。 さらに、観念においては、本件商標及び引用商標は、特定の観念を生じないから、観念において比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において明確に区別及び明瞭に聴別し得ることから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 エ 小括 したがって、本件商標と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 引用商標の周知性について (ア)「FUBU」は、1992年にニューヨークで創立されたストリートウェアブランド(以下「FUBUブランド」という。)である(甲10、甲29、甲32、甲33)。 (イ)申立人は、FUBUブランドのマスターライセンスを1998年に設立されたGTFM,LLCに付与し、同社は、申立人商品の製造・販売代理店とライセンス契約を結び、申立人商品の製造、販売、宣伝広告等を行い、申立人商品は、米国をはじめ、20か国以上、5,000を超える店舗において販売された(申立人の主張、甲9、甲18、甲20)。 (ウ)FUBUブランドの年間売上高は、「1998年に3億5,000万ドルを超えた」旨の記載や「Keith Perrinは、現在60億ドル以上の売上を誇るアパレルブランド「FUBU the Collection」の導入に成功した・・・」旨の記載(甲17、甲21、甲22、甲25、甲55)が認められる。 (エ)FUBUブランドは、20年間で、2つの連邦議会賞、2つのNAACP賞、プラット・インスティチュート賞、クリストファー・ウォレス賞、オンライン・ヒップホップ賞など、複数の賞を受賞していることがうかがえるが、各賞の具体的な受賞内容は確認できない(甲22、甲55)。 (オ)2007年ないし2023年のウェブサイトやSNSにおいて「FUBU」の文字が使用された申立人商品及びFUBUブランドに関する記事が掲載され、FUBUブランドが複数のブランドとコラボしたことなどが認められる(甲12~甲29、甲56~甲60、甲62、甲63)。 (カ)我が国において、FUBUブランドが複数の通販サイトを通じて販売されたことがうかがえる(甲30、甲32~甲38、甲64)。 (キ)上記(ア)ないし(カ)よりすれば、FUBUブランドは、1992年にニューヨークで創立されたストリートウェアブランドであり、申立人は、FUBUブランドのマスターライセンスを1998年に設立されたGTFM,LLCに付与し、同社は、申立人商品の製造・販売代理店とライセンス契約を結び、申立人商品の製造、販売、宣伝広告等を行い、申立人商品は、米国をはじめ、20か国以上、5,000を超える店舗において販売されたこと、2007年ないし2023年のウェブサイトやSNSにおいて、「FUBU」の文字が使用された申立人商品及びFUBUブランドに関する記事が掲載されたこと、FUBUブランドが複数のブランドとコラボしたことが認められる。 しかしながら、提出された証拠からは、FUBUブランドの売上高に関する記事について、他の同業者のそれと比較することができないため、当該売上高の多寡について判断することができず、FUBUブランドの複数の受賞歴についても、各賞の具体的な受賞内容は確認できず、ほかに引用商標の周知性を判断するための証拠、例えば、申立人商品の市場シェア、広告の方法・範囲、広告宣伝費などの具体的な証拠が確認できないから、引用商標が我が国及び外国の需要者の間にどの程度認識されているかを把握、評価することができない。 したがって、提出証拠によっては、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができない。 イ 本件商標と引用商標の類似性の程度について 本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきであるから、その類似性の程度は低いものである。 ウ 出所の混同のおそれについて 引用商標が造語よりなるものであり、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品の関連性及び需要者の共通性の程度が高いとしても、上記ア及びイのとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないものであり、両商標の類似性の程度は低いものである。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。 その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第19号該当性について 上記(1)のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であり、上記(2)アのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者等の間に広く認識されているものとはいえないから、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-900102

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