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商標異議申立

2024-900089

グリーンモンスター、モンスター

審判番号
2024-900089
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-095905
登録番号
6778035
請求日
2024年04月18日
審決日
2025年10月07日
公報発行日
2025年11月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】RAISE株式会社
  • 【権利者代理人】松下 浩二郎
  • 【権利者代理人】羽鳥 亘
  • 【権利者代理人】柿原 希望
  • 【権利者代理人】羽鳥 慎也
  • 【異議申立人】モンスター エナジー カンパニー
  • 【異議申立人代理人】柳田 征史
審判長/審判官
  • 審判長 高橋 幸志
  • 審判官 小俣 克巳
  • 審判官 白鳥 幹周
分類
T1651.22 -Y (W2932) / T1651.271-Y (W2932)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6778035号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6778035号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6778035号商標(以下「本件商標」という。)は、「グリーンモンスター」の文字を横書きしてなり、令和5年8月29日に登録出願、第29類「乳酸菌飲料、野菜汁を加えた乳酸菌飲料、青汁を使用してなる乳製品」及び第32類「清涼飲料,飲料用野菜ジュース,青汁を使用した清涼飲料、飲料用青汁」を指定商品として、同6年1月23日に登録査定され、同年2月9日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりである。 (1)登録第5379390号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様 MONSTER(標準文字) 登録出願日 平成22年7月8日 設定登録日 平成22年12月24日 (2)登録第5057229号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 別掲1のとおり 指定商品 第32類に属する商標登録原簿に記載の商品 登録出願日 平18年6月9日 設定登録日 平成19年6月22日 (3)登録第5393681号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様 MONSTER ENERGY(標準文字) 指定商品 第32類に属する商標登録原簿に記載の商品 登録出願日 平成22年7月8日 設定登録日 平成23年2月25日 (4)登録第6578957号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の態様 別掲2のとおり 指定商品 第29類及び第32類に属する商標登録原簿に記載の商品 登録出願日 令和3年11月17日 優先権主張 2021年5月17日 中華人民共和国 設定登録日 令和4年6月28日 なお、引用商標1ないし4に係る商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。 また、引用商標1ないし4をまとめていうときは、以下「引用商標」という。 (5)申立人主張の全趣旨から合議体が認めたもの。 ア 「MONSTER」の欧文字からなる商標(以下「使用商標1」という。) イ 「モンスター」の片仮名からなる商標(以下「使用商標2」という。) なお、使用商標1は引用商標1と外観上同一視し得るものであるが、申立人主張の趣旨に鑑み、引用商標1とは別に使用商標1とすることとした。 また、使用商標1及び2をまとめていうときは、以下「使用商標」という。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第547号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)申立人のMONSTERブランドの周知著名性 ア MONSTERブランドの創設及び「MONSTER」の使用 申立人は、2002年に「MONSTER」なるエナジードリンクのブランドを創設し、これ以降、現在に至るまで、「MONSTER」及びその音訳「モンスター」をMONSTERブランドのエナジードリンク(以下「申立人商品」という。)の出所識別標識として使用している。 申立人商品は、2002年に米国でMONSTERブランドの第1号の個別製品「MONSTER ENERGY」を発売後、世界各国における販売も開始し、現在は日本を含む世界130以上の国及び地域で販売中である。 申立人商品には、2002年以降現在まで一貫して、「MONSTER」の文字を基調とする個別商品名(例えば、「MONSTER ENERGY」「MONSTER ASSAULT」「MONSTER KHAOS」「MONSTER M-80」「MONSTER RIPPER」など)が採用されている。また、これらの個別製品の包装容器は同じデザインで統一されており、特徴的な書体で大きく表示した「MONSTER」の文字(甲416)を独立して見る者の目をひきつける態様で顕著に表示している(異議申立書の別紙1及び2。以下、別紙○のように表記する。)。 このように、規則的なネーミング法(すなわち「MONSTER」に他の語を結合する方法)で命名された個別製品名と特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字を顕著に表示した統一的デザインの包装容器を特徴とする申立人商品は、申立人のMONSTERブランドのエナジードリンク事業を拡大し、その成功は経済界で高い評価を受けている(甲2~甲33、甲51~甲58、甲391~甲393)。 国内では、2012年5月の「MONSTER ENERGY」(モンスターエナジー 缶355ml)及び「MONSTER KHAOS」(モンスターカオス 缶355ml)発売以降、現在まで30種類以上(リニューアル商品を含む。)の申立人商品を販売している(別紙1)。 イ 広告宣伝活動 申立人商品に関する広告宣伝活動は、幅広く継続的なものであり、国際的に活躍する多数の有名アスリート・チーム及びイベントに対するスポンサー活動を中核として、ウェブサイト及びプレスリリースによる広告、申立人商品サンプルの配布、大手コンビニエンスストアやイベント主催者と提携した大規模な販売キャンペーン(景品・賞品のプレゼントを含む。)、スポーツイベント等の開催、契約アスリート等の動画・画像の公開、MONSTERブランドのライセンス商品の開発及び販売、ビデオゲーム会社と提携したMONSTERブランドを使用したビデオゲームの開発及び共同販売促進活動の実施など極めて多彩な内容である。こうした広告宣伝活動は、「MONSTER」の文字(特徴的な書体で表示したものを含む。)、爪の図柄と特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字と活字体で表示した「ENERGY」の文字からなるロゴマーク、「MONSTER ENERGY」の文字(以下、これらをあせて「MONSTERブランドマーク」という。)を使用して、本件商標の登録出願日前から継続的かつ頻繁に全国規模で実施されている(別紙3~7)。 また、申立人は、申立人商品の中心的需要者層である10~30代の若い世代(特に男性)に人気が高いモータースポーツ、エクストリームスポーツの分野を中心にスポンサー活動を行うとともに、全16の異なるウェブサイト及びソーシャルメディアのアカウント(別紙9)を開設して、こうした若い世代が多く利用するインターネットメディアによる大規模な情報発信を通じてMONSTERブランドを需要者に強くアピールするための効果的な広告を実施している。 ウ ライセンス商品の輸入差止 需要者におけるMONSTERブランドのライセンス商品の人気の高さに便乗して、海外で製造された申立人の商標権侵害物品が日本の税関で輸入差止される事案が遅くとも平成25年7月から度々発生している(別紙8)。 エ 国内外における商標登録 MONSTERブランドマークについて、申立人は、引用商標をはじめとして、国内外において多数の商標登録を取得している(甲525~甲543)。 オ ブランド認知度及び市場占有率 複数の第三者が実施したエナジードリンクに関する市場調査及び消費者アンケート調査によれば、既に2013年時点で申立人商品の国内市場占有率は25%を超えており、一般消費者におけるブランド認知度も第2位であったことが明らかである。 2013年以降も、申立人商品は着実に売上を伸ばしており、若い世代の男性を中心とした従来の主要需要者層に止まらず、美しいカラフルな色使いのボトル缶に大きく目立つ態様で表示された爪の図柄が人目をひきつけ、男性のみでなく女性の間でもMONSTERブランドの認知度を高めてきた。 2018年には、申立人商品の販売実績は1千万ケースに近づき、それまで首位の「レッドブル」を超えて市場占有率トップに立った(甲311~甲322、甲383~甲385、甲433)。 申立人商品は、2018年に国内エナジードリンク市場でトップシェアを獲得後は、首位を独走状態であり(甲448、甲476、甲479、甲489、甲505、甲514)、第三者の市場調査では2022年時点における申立人商品の市場占有率は約40%であった(甲450)。 カ 「MONSTER」「モンスター」の表示で認識されていたこと 上記のような販売実績を通じて、申立人商品は、飲料業界で「モンスター」と称され、「MONSTER」「モンスター」と表示され、「MONSTER(モンスター)」のブランドとして認識されている(甲10、甲16、甲17、甲34、甲42等)。 この点に関しては、特許庁の審査においても、「モンスター」は、申立人が飲料等について使用する商標「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」の略称として需要者の間で広く認識されていると認定されている(甲433、甲447)。 キ 小括 以上の事柄に照らせば、本件商標の登録出願時及び査定時には、申立人の製造販売に係るMONSTERブランドのエナジードリンク並びに当該申立人商品に使用される「MONSTER」及びその音訳「モンスター」の文字が申立人の製造販売に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていたことが明らかである。 したがって、申立人商品に使用される「MONSTER(モンスター)」の文字は、申立人商品の出所識別標識として極めて強い出所表示力を有すものであるといえる。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性 本件商標の構成文字「グリーンモンスター」は成語ではなく、常に一体不可分のものとして捉えなければならない事情はない。 一方、「グリーン」の文字は外来語の「グリーン(green)」(甲546、甲547)として、「モンスター」の文字はその外来語の「モンスター(Monster)」(甲544、甲545)としてそれぞれ親しまれていることから、本件商標は「グリーン」と「モンスター」の2語を結合したものとして容易に看取される。 「グリーン」の文字は、「緑色、グリーン」を意味する語であり、一般に、商品の色彩が緑色であることを示すための品質表示として使用されている。 本件商標は、その指定商品に第29類「野菜汁を加えた乳酸菌飲料,青汁を使用してなる乳製品」、第32類「飲料用野菜ジュース,青汁を使用した清涼飲料,飲料用青汁」を包含する。これらの商品は、野菜汁又は青汁を主たる原材料とするものであり、その色彩は緑色(グリーン)であることが容易に推認できる。 したがって、本件商標の構成中「グリーン」の文字部分は、その指定商品が緑色であるという品質表示として認識されるに止まり、出所識別標識として機能しない。 仮に「グリーン」の文字部分が自他商品識別力を発揮する場面があったとしても、その識別力の程度は、「モンスター」の文字部分と比較して極めて弱いものに止まることが明白である。 よって、本件商標においては、「グリーン」の文字と「モンスター」の文字は、それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものであり、「モンスター」の文字部分が出所識別標識として需要者に強い印象を与えることが明らかである。 本件商標は、構成中に「モンスター」の文字を包含し、申立人のMONSTERブランドの個別製品名と同一の規則で構成されていることに加え、申立人がMONSTERブランドのシンボルカラーとして長年にわたり継続使用している緑色(GREEN(別紙10)を意味する「グリーン」の文字を包含する。 「GREEN」の音訳「グリーン」の文字と「MONSTER」の音訳「モンスター」の文字を連結させてなる本件商標は、申立人のMONSTERブランドの商品及び役務と申立人会社を容易に想起、連想させるものであるといえる。 本件商標は、申立人商品であるエナジードリンクと同一又は類似の商品、さらには、申立人商品と原材料、用途、効能、販売場所、需要者層を共通にし、申立人商品と関連性が極めて密接な商品に使用されるものである。 また、本件商標が使用される指定商品は、引用商標1ないし4の指定商品と同一又は類似のものである。 したがって、本件商標が使用された場合には、申立人のMONSTERエナジードリンクの個別製品のひとつであると誤信され、あるいは、当該商品が申立人との共同開発商品ないしライセンス商品であると誤信されて、出所混同を生じるおそれが極めて高い。 加えて、本件商標の使用は、申立人商品の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER(モンスター)」の出所表示力を希釈化するものであり、また、その名声、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第7号該当性 本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがある。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 4 当審の判断 申立人は、商標「MONSTER(モンスター)」の文字が申立人の製造販売に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして需要者の間で広く認識されているなどとして、本件商標が商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に該当する旨主張しているが、申立人主張の全趣旨から、申立人は商標「MONSTER」(使用商標1)及び商標「モンスター」(使用商標2)の周知性を前提として主張しているものと認め、以下検討する。 (1)使用商標の周知性 ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張並びに職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など。)によれば、次のとおりである。 (ア)申立人は、米国の飲料メーカーであって、我が国においてはアサヒ飲料株式会社を通じて2012年5月にエナジードリンク「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」及び「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)」の販売を開始し、その後、2022年まで毎年、新製品やリニューアル商品を合計25種類以上販売した(甲7~甲13、甲59、甲60、甲101、甲127、甲130、甲253、甲256、甲257、甲291、甲323、甲324、甲354~甲361、甲434~甲442、甲445、甲446、甲451、甲452、甲460、ほか)。 (イ)申立人商品のほとんどの種類の商品(の容器)には、爪痕のような図形、デザイン化された「MONSTER」の文字(以下「MONSTERロゴ」という。)及び「ENERGY」の文字からなる別掲1のとおりの商標(引用商標2、色彩が異なるものを含む。)が表示され、また、全ての申立人商品(の容器)には、MONSTERロゴが大きく表示されている(甲7~甲13など上記(ア)と同じ。)。 (ウ)有限会社飲料総研の調査によれば、我が国における2013年のエナジードリンクの出荷数は約950万ケース(1ケース30本換算)であり、首位のレッドブルが550万ケース、2位のモンスターエナジーは240万ケースであった(甲317、甲318、甲320)。 (エ)日本経済新聞社の2019年3月29日付け「(飲料HOT&COOL)モンスターエナジー、レッドブル超え」をタイトルとするウェブページには、「日経MJ」として、「飲料総研によると2018年の販売実績は1千万ケースに近づき、それまでカテゴリーの首位を走っていた「レッドブル」を超えた。」の記載がある(職権調査:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43024750Y9A320C1HE4A00/)。 (オ)2022年5月7日付け「モンスターエナジー、レッドブルを駆逐しトップ独走状態の秘密・・・周到な販売戦略」をタイトルとするウェブページには、「全国のドラッグストアのPOSデータをもとにした買物指数によると、エナジードリンクの火付け役だった「レッドブル・エナジードリンク」を抑え、モンスターエナジーの売り上げが独走状態になっている。今や日本国内のトップシェアを獲得しているのだ。」の記載がある(甲448)。 (カ)2022年10月25日付け「日経 XTREND」と称するウェブページには、「エナジードリンク飛躍、販売額4年で3倍増 日本コカは苦戦」のタイトルのもと、「エナジードリンク、メーカー別販売金額シェアの推移」の図があり、それには2018年9月ないし2022年9月として、「モンスターエナジージャパン」がいずれも40%前後でトップシェアとされている(甲450)。 (キ)ジャストシステムによるエナジードリンクに関する調査(2014年4月)によれば、認知度が高い商品の1位は82.8%の「RedBull」、2位は47.6%の「MONSTERENERGY」であった(甲319)。 (ク)JMR生活総合研究所による消費者調査No.196「エナジードリンク(2014年7月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」で45%、2位が「モンスターエナジー」で31%であり、同消費者調査No.232「エナジードリンク(2016年8月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」、2位は「モンスターエナジー」であったと推認できる(甲311、甲312)。 (ケ)JMR生活総合研究所による消費者調査データNo.269「エナジードリンク(2018年5月版)」には、「モンスター、レッドブル、リアルゴールド 寡占化すすむエナジードリンク市場」のタイトルのもと、「今回の調査では、「リアルゴールド(日本・コカコーラ)」「レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)…」「モンスターエナジー(アサヒ飲料)」の3ブランドがほとんどの項目で上位3位を独占した。」の記載があり、同消費者調査データNo.293「エナジードリンク(2019年5月版)」には、「リアルゴールド、レッドブル、モンスターエナジー。3強上位独占」のタイトルのもと、「今回の調査でも、前回(2018年5月版)と同様、「リアルゴールド(日本・コカコーラ)」「レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)…」「モンスターエナジー(アサヒ飲料)」の3ブランドが複数の項目で上位3位を独占した。」の記載がある(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking269.html https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking293.html)。 (コ)JMR生活総合研究所による消費者調査No.365「エナジードリンク(2022年5月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「リアルゴールド」、2位が「レッドブル」で57.6%、3位が「モンスターエナジー」で55.4%であった(甲449)。 (サ)申立人及びアサヒ飲料株式会社(以下、両者をあわせて「申立人等」という。)は、本件商標の登録出願の日前から、申立人商品に係るニュースリリース、ポスターなどで申立人商品を「モンスターエナジー」「モンスター」及び「MONSTER」と表示し、また、申立人等以外のウェブページにおいても、申立人商品は「モンスターエナジー」「MONSTER」及び「モンスター」と表されている(甲58、甲63、甲69、甲71、甲79、甲101~甲103、甲113、甲115、甲118、甲119、甲124、甲132、甲162、甲163、甲165、甲241、甲251、甲256、甲258~甲260、ほか)。 イ 上記アからすれば、以下のとおり判断できる。 (ア)申立人等は、我が国において、2012年5月からエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の販売を開始し、その後現在まで25種類以上の申立人商品を販売してきた。 そして、2013年にはエナジードリンクの出荷数約950万ケースのうち、申立人商品の出荷数は240万ケースでエナジードリンクの販売シェア第2位であり、その後、申立人商品は2018年に1千万ケースに近づいた頃に販売シェア第1位となり、それ以後2022年まで毎年販売シェアの40%前後を有し、継続して第1位であると推認することができる。 また、エナジードリンクのブランド認知度の調査において、申立人商品「モンスターエナジー」は、2014年にジャストシステムが行った調査において47.6%、JMR生活総合研究所が行った調査において31%で、いずれも第2位の認知度がある結果であり、その後、JMR生活総合研究所の2016年、2018年及び2019年の調査では「リアルゴールド」「レッドブル」とともに上位3位を占めており、同調査の2022年では55.4%で第3位であったことが認められる。 そうすると、申立人商品は、本件商標の登録出願日(令和5年(2023年)8月29日)以前から、登録査定日(令和6年(2024年)1月23日)においても、我が国のエナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものといえるものである。 (イ)次に、申立人商品の商標の使用について検討すると、申立人商品は、いずれの商品の容器に「MONSTERロゴ」が使用されていることが認められるが、ほとんどに容器において爪痕のような図形及び「ENERGY」の文字を「MONSTERロゴ」の上下に伴うもの、すなわち、引用商標2の構成及び態様からならなるものであることから、引用商標2が申立人商品の容器に使用される商標として需要者に強く印象を与えるといえるものである。 そして、申立人商品は、上記ア(ウ)ないし(カ)の各メディアの情報及び(キ)ないし(コ)の調査結果において、いずれも「モンスターエナジー」(「MONSTER ENERGY」の表示を含む。)と表示されており、さらに、上記(サ)のとおり、申立人等自身が商品の広告においても「モンスターエナジー」の文字を多用していることから、「MONSTR ENERGY」及び「モンスターエナジー」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人等の業務に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものというのが相当であるとしても、その他の商品及び役務については需要者の間に広く認識されているものとは認められない。 なお、申立人等は、申立人商品のニュースリリース、ポスター、ウェブサイト等において、「MONSTER」の文字又は「モンスター」の文字を用いていることが認められるものの、申立人商品については、引用商標2、「MONSTER ENERGY」及び「モンスターエナジー」の文字の使用が圧倒的であり、加えて、「MONSTER」及び「モンスター」の文字は、「怪物。化物。」(広辞苑第七版 株式会社岩波書店)を意味する我が国で親しまれた成語であることを考慮すると、「MONSTER」及び「モンスター」の文字が申立人商品を表すものとして需要者の間に広く認識されている商標であるということはできない。 (ウ)したがって、「MONSTER」の文字からなる使用商標1、及び「モンスター」の文字からなる使用商標2は、申立人商品(エナジードリンク)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められない。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性 ア 使用商標の周知性 上記(1)イ(ウ)のとおり、使用商標は、申立人等の業務に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められない。 イ 本件商標と引用商標及び使用商標の類似性の程度 (ア)本件商標 本件商標は、上記1のとおり、「グリーンモンスター」の片仮名を同書、同大、等間隔で横書きしてなるものであるが、「緑」を意味する「グリーン」及び「怪物、化物」を意味する「モンスター」の文字が慣れ親しまれた語であるといえることから、両文字が結合してなるものと直ちに認識し得るものである。 そして、本件商標は、構成文字に相応して「グリーンモンスター」の称呼を生じ、両語の語義から「緑の怪物」ほどの意味合いを生じるのかもしれないが、このような「怪物」が一般的でないことからすると、特定の観念を生じるとはいい難いものである。 また、その構成中の「グリーン」の文字は、商品の色彩(品質)を表す語として用いられる場合があり、自他商品の識別標識としての機能が弱い部分といえるとしても、本件商標は、まとまりよく一体に構成され、「グリーンモンスター」の称呼も淀みなく一連に称呼し得ることからすると、「グリーン」の文字部分を捨象し、「モンスター」の文字部分のみをもって取引に資するとものとはいい難く、構成全体をもって取引に資するとみるのが自然である。 そうすると、本件商標は、「グリーンモンスター」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない。 (イ)引用商標及び使用商標 a 引用商標1 引用商標1は、上記2(1)のとおり、「MONSTER」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字に相応して「モンスター」の称呼を生じ、「怪物、化物」の観念を生じるものである。 そして、「MONSTER」の文字は、「怪物、化物」を意味する慣れ親しまれた語であるといえることから、独創性の程度は高いとはいえない。 b 引用商標2及び引用商標3 引用商標2は、別掲1のとおり、爪痕のような図形と文字部分の構成からなるところ、両者は分離し看取する場合もあるといえ、該文字部分は「MONSTER」及び「ENERGY」の文字を二段書きしてなり、また、引用商標3は、上記2(3)のとおり、「MONSTER ENERGY」の文字よりなるから、引用商標2及び3は、「MONSTER」及び「ENERGY」の文字を結合した文字部分に相応して「モンスターエナジー」の称呼を生じ、該文字部分は、慣れ親しまれた語であるといえる「MONSTER」及び「ENERGY」の文字より構成され、独創性の程度は高いとはいい難いものの、申立人商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものといえることからすれば、「申立人のブランド」の観念を生じるものである。 なお、上記(1)イ(ウ)のとおり、「MONSTER」の文字部分は、申立人商品を表すものとして需要者の間に広く認識されている商標とは認められないため、引用商標2及び3より、当該文字を捉えてこれより「モンスター」の称呼及び「申立人のブランド」の観念を生じないこと明らかである。 c 引用商標4 引用商標4は、別掲2のとおり、上段に「MONSTER」、中段に「ENERGY」、下段に「ULTRA PARADISE」の各文字を三段書きした構成からなるところ、その構成文字中、上段の「MONSTER」及び中段の「ENERGY」の文字部分は、上記bのとおり、独創性の程度は高いとはいえないものの「申立人のブランド」を表すものとして需要者の間に広く認識されていることから、該文字部分のみをもって、取引にあたる場合も少なくないというのが相当である。 そうすると、引用商標4は、その構成中の「MONSTER ENERGY」の文字部分より、「モンスターエナジー」の称呼をも生じ、「申立人のブランド」の観念を生じるものである。(以下、引用商標4の構成中「MONSTER ENERGY」の文字部分を「引用商標4の要部」という場合がある。) d 使用商標1 使用商標1は、「MONSTER」の欧文字よりなるところ、上記aのとおり、独創性の程度は高いとはいえず、該文字に相応して「モンスター」の称呼を生じ、「怪物、化物」の観念を生じるものである。 e 使用商標2 使用商標2は、「モンスター」の片仮名よりなるところ、上記aのとおり、独創性の程度は高いとはいえず、該文字に相応して「モンスター」の称呼を生じ、「怪物、化物」の観念を生じるものである。 ウ 本件商標と引用商標及び使用商標との類似性の程度 (ア)本件商標と引用商標1及び使用商標との比較 本件商標と引用商標1及び使用商標1とを比較をすると、両者は、外観において、文字の種類(片仮名と欧文字)の差異があることから、明確に区別できるものであり、称呼において、「グリーン」の音の有無の差異があることから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは明瞭に聴別できるものであり、観念において、本件商標が特定の観念が生じないものに対して、引用商標1は「怪物、化物」の観念が生じることからすれば相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標1及び使用商標1は、外観、称呼、観念のいずれの点において相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。 また、本件商標と使用商標2とを比較すると、使用商標2は、引用商標1及び使用商標1を片仮名で表したにすぎないことからすれば、本件商標と使用商標2は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。 (イ)本件商標と引用商標2との比較 本件商標と引用商標2とを比較すると、両者は、外観において、構成全体が明らかに相違し、また、引用商標2の文字部分と比較すると、引用商標2の該文字部分は「MONSTERロゴ」及び「ENERGY」の文字であるから、本件商標と構成態様を異にするとともに、文字の種類(片仮名と欧文字)の差異を有することから、明確に区別できるものであり、称呼において、「グリーン」と「エナジー」の音の差異を有しており、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは明瞭に聴別できるものであり、観念において、本件商標が特定の観念が生じないものに対して、引用商標2は「怪物、化物」の観念が生じることからすれば相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標2は、外観、称呼、観念のいずれの点において相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。 (ウ)本件商標と引用商標3との比較 本件商標と引用商標3とを比較すると、両者は、外観において、文字の種類(片仮名と欧文字)の差異を有することから、明確に区別できるものであり、称呼において、「グリーン」と「エナジー」の音の差異を有しており、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは明瞭に聴別できるものであり、観念において、本件商標が特定の観念が生じないものに対して、引用商標3は「申立人のブランド」の観念が生じることからすれば相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標3は、外観、称呼、観念のいずれの点において相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。 (エ)本件商標と引用商標4との比較 本件商標と引用商標4とを比較すると、両者は、全体の外観の比較において、構成文字数の差異等があり、また、引用商標4の要部との比較においても、両者は、文字の種類(片仮名と欧文字)の差異があることから、明確に区別できるものであり、称呼において、「グリーン」と「エナジー」の音の差異を有しており、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは明瞭に聴別できるものであり、観念において、本件商標が特定の観念が生じないものに対して、引用商標4は「申立人のブランド」の観念が生じることからすれば相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標4は、外観、称呼、観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。 ウ 混同のおそれ 使用商標は、上記アのとおり、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められず、また、上記イ(イ)のとおり、独創性の程度は高いとはいえないものである。 そして、本件商標と引用商標及び使用商標は、上記イ(ウ)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。 してみると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標及び使用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人等)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 エ 申立人の主張 (ア)申立人は、本件商標は、申立人がMONSTERブランドのシンボルカラーとして長年にわたり継続使用している緑色(GREEN)(別紙10)を意味する「グリーン」の文字を包含するものであり、「GREEN」の音訳「グリーン」の文字と「MONSTER」の音訳「モンスター」の文字を連結させてなる本件商標は、申立人のMONSTERブランドの商品及び役務と申立人会社を容易に想起、連想させるものであるといえる旨主張するとともに、「MONSTERブランドにおける緑色」又は「GREEN」の文字の使用例(ウェブサイト、個別製品、広告物、ライセンス商品等における使用例)(別紙10)等の証拠を提出している。 確かに、申立人が提出した甲号証からは、申立人商品(の包装容器)、販売促進物、広告物等の幅広い品目について緑色を基調として使用している例は確認することができる。 しかしながら、これらの申立人のシンボルカラーとしての緑色の使用例は、単にロゴマークの色彩や文字の色彩等として使用しているとしても、申立人商品(の包装容器)の全体が緑色ではないこと、申立人商品(の包装容器)に「グリーン(GREEN)」の文字が付されているものではないことからすれば、我が国の需要者が「グリーンモンスター」の文字からなる本件商標を申立人等の業務に係る商品及び役務を容易に想起、連想するものとはいえない。 (イ)申立人は、本件商標は、その指定商品中には、「野菜汁又は青汁を主たる原材料とするもの」があり、その色彩は緑色(グリーン)であることが容易に推認できるから、本件商標の構成中「グリーン」の文字部分は、その指定商品が緑色であるという品質表示として認識されるにとどまり、出所識別標識として機能しないか、仮に「グリーン」の文字部分が自他商品識別力を発揮する場面があったとしても、その識別力の程度は、「モンスター」の文字部分と比較して極めて弱いものにとどまることが明白であるから、本件商標においては、「グリーン」の文字と「モンスター」の文字は、それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものであり、「モンスター」の文字部分が出所識別標識として需要者に強い印象を与えることが明らかである旨主張する。 しかしながら、本件商標は、その構成全体を一体のものとして認識されるものであることは、上記イ(ア)のとおりである。 (ウ)したがって、申立人のかかる主張は採用できない。 オ 小括 以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第7号該当性 本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字ではなく、商標権者がこれを本件商標の指定商品に使用することが、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合や国際信義に反する場合に該当するという事情を見いだすこともできない。そして、本件商標を登録出願するにあたり、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合に該当するという事情を見いだすこともできない。 したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ではないことから、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-900089

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