商標異議申立
2024-900078
ジャンプモンスター
- 審判番号
- 2024-900078
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-066000
- 登録番号
- 6772998
- 請求日
- 2024年04月01日
- 審決日
- 2024年11月12日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】▲東▼莞市仲康▲電▼子科技有限公司
- 【権利者代理人】亀山 夏樹
- 【異議申立人】モンスター,インコーポレイテッド
- 【異議申立人代理人】古谷 聡
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 山田 啓之
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T1651.25 -Y (W09) / T1651.261-Y (W09) / T1651.262-Y (W09) / T1651.263-Y (W09) / T1651.271-Y (W09) / T1651.222-Y (W09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項10号商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条、商標法第43条の2、商標法第43条の3第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6772998号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6772998号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6772998号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類「電子応用機械器具の部品,インダクター(電気用のもの),バッテリーチャージャー,蓄電池(乗物用),端子(電気用のもの),点火用バッテリー,電気アダプター,蓄電用ウルトラ蓄電器,電子式電源装置,太陽電池,太陽光発電パネル,バッテリーパック,変圧器(電気用のもの),インバーター(電気式のもの),蓄電池用充電器,車両の緊急警告灯,原動機始動装置用ケーブル」を指定商品として、令和5年6月15日に登録出願、同年12月27日に登録査定、同6年1月24日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、以下のとおりであり、これらの商標権はいずれも現に存続しているものである。以下、これらをまとめて「引用商標」という。
ア 登録第2715891号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
登録出願日:昭和59年7月30日
設定登録日:平成8年8月30日
書換登録日:平成20年3月5日
指定商品:第9類「スピーカー用接続コード,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」
イ 登録第4585355号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:MONSTER MOBILE(標準文字)
登録出願日:平成13年11月1日
優先権主張:2001年(平成13年)5月14日 アメリカ合衆国
設定登録日:平成14年7月12日
指定商品:第9類「電池を充電するための電気機器,電池用充電器,その他の配電用又は制御用の機械器具,充電式電池,その他の電池,電線及びケーブル」
ウ 登録第4605487号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様:MONSTER POWER(標準文字)
登録出願日:平成12年5月17日
設定登録日:平成14年9月20日
指定商品:第9類「配電用又は制御用の機械器具,電線及びケーブル」
エ 登録第4679679号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様:MONSTER(標準文字)
登録出願日:平成13年7月16日
優先権主張:2001年(平成13年)1月18日 アメリカ合衆国
設定登録日:平成15年6月6日
指定商品:第9類「ケーブル,電気コネクター,配電用又は制御用の機械器具」
オ 登録第5107654号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様:MONSTER BASS(標準文字)
登録出願日:平成16年11月26日
優先権主張:2004年(平成16年)5月28日 アメリカ合衆国
設定登録日:平成20年1月25日
指定商品:第9類「電線及びケーブル」
カ 登録第2095756号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の態様:MONSTER
登録出願日:昭和54年12月12日
設定登録日:昭和63年11月30日
書換登録日:平成21年3月11日
指定商品:第9類「電線,ケーブル」
キ 登録第4363765号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の態様:「モンスターファーム」の片仮名及び「Monster Farm」の欧文字を上下2段書き
登録出願日:平成10年12月24日
設定登録日:平成12年2月25日
指定商品:第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,レコード,電子計算機のプログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ・CD-ROM,その他の電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,業務用ビデオゲームのプログラムを記憶させた電子回路,その他の業務用ビデオゲーム機,その他の遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,火災報知機,ガス漏れ警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,消防車,消防艇,スプリンクラー消火装置,盗難警報器,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,磁心,自動車用シガーライター,抵抗線,電極,溶接マスク,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,計算尺,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,潜水用機械器具,レギュレーター,アーク溶接機,家庭用テレビゲームのプログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・CD-ROM,家庭用テレビゲームおもちゃ,金属溶断機,検卵器,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,メトロノーム」
(2)申立人が、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するとして引用する商標は、申立人の業務に係る「イヤホン,ヘッドホン,ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア,オーディオ用ケーブル」に使用している「MONSTER」の欧文字からなる商標(以下「申立人商標」という。)である。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第28号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標の要部について
本件商標は、「JumpMonster」の文字が横書きで記された看板を体の正面に掲げ持つ、角の生えた二頭身の怪物のイラストからなる図形商標であって、看板中の文字「o」は、車のタイヤのイラストで表されている。「Jump」と「Monster」の2つの英単語の間に空白はないものの、各英単語の頭文字は大文字で表記されている。
そのため、外観上、本件商標からは、「Jump」と「Monster」の2つの英単語をそれぞれ完全な形で認識することができ、そのうち「Monster」の部分からは、直前の「Jump」の部分の影響を受けることなく、単体で発音したときと全く同じ「モンスター」の称呼が生じる。したがって、本件商標に接した者が、本件商標を「Jump」の部分と「Monster」の部分に分けて分離観察することは、取引上何ら不自然なことではない。
また、本件商標の「Monster」の部分からは、「怪物、化け物」などの観念も生じ、指定商品との関係で頻用されるものではなく、看板を持つ怪物のイラストとともに表示されることで、需要者等の印象、記憶、連想等に大きな影響を与え、一般的に需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえる。そのため、本件商標は、その構成全体から、「Monster」の部分を要部として抽出し、これを引用商標と比較して、商標そのものの類否を判断することが許される。
イ 引用商標について
引用商標1は、欧文字の「monSTER」を図案化したロゴと欧文字の「CABLE」を図案化したロゴを2段に配してなり、上段の「monSTER」のロゴ部分から、「モンスター」の称呼と「怪物、化け物」等の観念が生じる。
引用商標2は、「MONSTER MOBILE」の文字、引用商標3は、「MONSTER POWER」の文字、引用商標4は、「MONSTER」の文字、引用商標5は、「MONSTER BASS」の文字をそれぞれ標準文字で横書きしてなり、「MONSTER」の部分から、「モンスター」の称呼と「怪物、化け物」等の観念が生じる。
引用商標6は、「MONSTER」の文字を横書きしてなるから、「モンスター」の称呼と「怪物、化け物」等の観念が生じる。
引用商標7は、横書きの「モンスターファーム」の文字と「Monster Farm」の文字を2段に配してなり、上段の「モンスター」又は下段の「Monster」の部分から、「モンスター」の称呼と「怪物、化け物」等の観念が生じる。
ウ 本件商標と引用商標との対比
本件商標は、その要部に当たる「Monster」の部分が引用商標の「monSTER」、「MONSTER」、「モンスター」又は「Monster」の部分と共通の称呼及び観念を有し、商標全体としても類似する。
本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、類似している。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号について
申立人は、1979年に設立された米国法人であり、申立人の製品「MONSTER CABLE」は、高性能・高品質のオーディオ用ケーブルであり、その性能からハリウッド映画の制作現場にも使用されている。
申立人の製品「MONSTER CABLE」は、数多くのトッププロに認められて話題になり、瞬く間に日本を含む世界中の一般の需要者にも知られるようになっている。
申立人は、更に研究開発を進め、現在、高品質・高性能ケーブルの世界的なトップメーカーに成長している。
さらに、申立人は、事業・製品の多角化の一環として2009年から「イヤホン・ヘッドホン」市場に参入している。
申立人商標を付して販売されたイヤホン・ヘッドホンは、世界的なミュージシャンや、シャネルなどのファッションメーカーだけでなく、近年では、スポーツメーカーのアディダスや世界的サッカー選手とのコラボレーションモデルにより、日本を含む世界中の需要者等に幅広く受け入れられている。そのため、申立人商標を付した商品が従来より高性能・高品質で知られるケーブルだけでなく、イヤホン・ヘッドホンにも及んでいることが本件商標の登録出願前から日本国内の需要者の間に広く認識されている(甲9~甲19、甲21~甲24)。
また、スマートフォンで使用されるワイヤレスのイヤホン等は、スマートフォンにダウンロードされたアプリで設定・調整されるのが一般的であり、申立人も申立人商標が使用された、イヤホン等の設定・調整などを行うためのダウンロード可能なスマートフォン用アプリを提供している(甲20)。
上述した申立人の商品は、キクタニミュージック株式会社、完実電気株式会社、オンキヨーマーケティング株式会社などの正規輸入・販売業者並びにそれを介した日本全国の取扱店舗及びオンライン販売サイトにより国内正規品として、又は平行輸入品等として、日本で販売されている(甲9~甲24)。
本件商標と申立人商標は、上記(1)と同様に類似の商標である。
また、本件商標の一部の指定商品「電子応用機械器具の部品,インダクター(電気用のもの),バッテリーチャージャー,端子(電気用のもの),蓄電用ウルトラ蓄電器,原動機始動装置用ケーブル」は、それぞれ需要者の間に広く認識されている申立人商標が使用される商品「イヤホン.ヘッドホン,ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア,オーディオ用ケーブル」のいずれかと類似している。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人商標は、日本国内の需要者の間に広く認識され、本件商標と申立人商標は、類似の商標である。
イ 本件商標をその指定商品に使用した場合、商品の類否にかかわらず、需要者等に申立人商標を連想させ、本件商標の指定商品とは非類似の申立人の業務に係る商品との間にも、商品の出所の混同が生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない場合でも、同項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
ア 申立人商標は、日本国内の需要者の間に広く認識され、本件商標と類似すること上述のとおりである。
イ 申立人商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させる不正の目的が推認される。
また、申立人は、「MONSTER」の文字を含む商標について、国際商標登録(甲25~甲28)をしていることにより、申立人が事業規模の拡大を計画している事実、及び申立人商標が申立人の商標として、日本国内の需要者の間に広く認識されている事実を考慮すれば、本件商標の登録出願には、我が国において登録されていないことを奇貨として、先取的に出願するという不正の目的も推認される。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、角の生えた二頭身の怪物のようなものが「JumpMonster」の文字が横書きされた看板を体の正面に掲げ持つ図形からなり、その構成中、看板中の文字「o」は、車のタイヤのイラストで表されている。
そして、本件商標の構成は、全体としてまとまりよく一体に表されているものであって、「JumpMonster」の文字部分についても、看板中に横一連にまとまりよく一体に表されているものであり、「Monster」の文字部分が取引者及び需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべき事情や「Jump」の文字部分が出所識別標識としての称呼及び観念が生じないというべき事情などは見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成文字部分に相応して、「ジャンプモンスター」の称呼を生じ、当該文字については、辞書等に掲載が認められないから、特定の観念は生じない。
イ 引用商標について
(ア)引用商標1は、別掲2のとおり、かなりデザイン化された構成からなり、直ちには称呼し難いといえるが、欧文字の「monSTER」を図案化した上段のロゴと欧文字の「CABLE」を図案化した下段のロゴを2段に配してなるという申立人主張のとおりであれば、上下段とも同じデザインがなされ、まとまりよく一体に表されていることから、全体を不可分一体のものと認識されるとみるのが相当であり、その構成文字に相応して「モンスターケーブル」の称呼が生じ、当該文字は、辞書等に掲載が認められないから、特定の観念は生じない。
(イ)前記2(1)イ、ウ及びオのとおり、引用商標2は、「MONSTER MOBILE」の欧文字、引用商標3は、「MONSTER POWER」の欧文字、引用商標5は、「MONSTER BASS」の欧文字をそれぞれ標準文字で表してなるものであり、いずれも、1文字分の空白があるものの、同書、同大でまとまりよく一体に表されているものである。
そして、引用商標2、3及び5の構成中「MONSTER」の文字部分が取引者及び需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべき事情や、当該商標の構成中「MOBILE」、「POWER」及び「BASS」の欧文字部分が出所識別標識としての称呼及び観念が生じないというべき事情などは見いだせない。
そうすると、引用商標2、3及び5は、その構成文字に相応して、引用商標2は「モンスターモバイル」、引用商標3は「モンスターパワー」、引用商標5は「モンスターバス」の称呼を生じ、当該文字は、全体として辞書等に掲載が認められないから、特定の観念は生じない。
(ウ)引用商標4は、「MONSTER」の欧文字を標準文字で表し、引用商標6は、「MONSTER」の欧文字を書してなり、両者とも「モンスター」の称呼を生じ、「怪物」の観念を生じるといえる。
(エ)引用商標7は、「モンスターファーム」の片仮名及び「Monster Farm」の欧文字を上下2段に書してなるものであり、上段の片仮名は、下段の欧文字の読みを特定したものと容易に認識され、また、その構成もまとまりよく一体に横書きしてなるものである。
そして、引用商標7の構成中「モンスター」及び「Monster」の文字部分が取引者及び需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべき事情や、当該商標の構成中「ファーム」及び「Farm」の文字部分が出所識別標識としての称呼及び観念が生じないというべき事情などは見いだせない。
そうすると、引用商標7は、その構成文字に相応して、「モンスターファーム」の称呼を生じ、当該文字は、全体として辞書等に掲載が認められないから、特定の観念は生じない。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とを比較すると、両者は「Monster(monSTER、MONSTER)」の構成文字において共通するとしても、他の構成文字及び全体の構成態様において明らかに相違するから、外観において相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生じる「ジャンプモンスター」の称呼と、引用商標からそれぞれ生じる「モンスターケーブル」、「モンスターモバイル」、「モンスターパワー」、「モンスターバス」、「モンスター」及び「モンスターファーム」の称呼とは、その構成音において明らかな差異を有するから、称呼において相紛れるおそれはない。
さらに、本件商標と引用商標1から3、5及び7からは、特定の観念を生じないから、観念において比較することはできず、また、引用商標4及び6からは、「怪物、化け物」の観念が生じるから、本件商標とは、観念において相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標は、引用商標1から3、5及び7との関係では、たとえ観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがないものであり、また、引用商標4及び6との関係では、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれがないものであるから、本件商標と引用商標とは非類似の商標と判断するのが相当である。
エ 以上のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、両者の指定商品の類否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1第10号該当性について
ア 申立人商標の周知性について
(ア)申立人の主張及び提出された甲各号証によれば、以下のとおりである。
a 申立人の製品の正規輸入代理店とされる「キクタニミュージック株式会社」のウェブサイト(甲9)には、「What’s MONSTER CABLE」の表題の下、「1979年にアメリカ合衆国カリフォルニア州サウス・サンフランシスコでノエル・リーが創設した音響機器メーカー[MONSTER]。」の記載があるが、このサイトの掲載日は不明である。
b 「TOWER RECORDS」のウェブサイト(2011年2月15日掲載:甲11)には、「マイルス・モデルのヘッドフォンがMONSTER CABLE社から発売中!」として商品写真とともに「MONSTER Miles Davis Tribute インイヤー・ヘッドフォン」の記載がある。
c 「Harper’s BAZAAR」のウェブサイト(2019年12月6日掲載:甲12)は、やや不鮮明であるが、「モンスターケーブル(Monster Cable」及び「Monster DNA オンイヤー・ヘッドフォン」の記載がある。
d 「価格.com」のウェブサイト(甲13)には、「「monster イヤホン」の検索結果」の記載の下、「MONSTER、ジュエリーライクな同ブランド初の完全ワイヤレスイヤホン/完実電気は、「MONSTER」ブランド・・・」(2019年5月27日)等、「完実電気は、「MONSTER」ブランド・・・」とする14件の記載があり、その詳細(甲15~甲17)が示され、同ウェブサイト(甲19)には、「MONSTER、21世紀仕様の最新型ブームボックス「BLASTER」」の記載の下、「完実電気は、最新型のブームボックスモデルとして、IPX5相当の生活防水機能を備えたBlue toothワイヤレススピーカー「BLASTER」の取り扱いを開始。」(2016年9月23日)の記載がある。
e 「イヤホン・ヘッドホン専門店eイヤホンのブログ」のウェブサイト(甲18)には、「【新製品情報!】MONSTERの人気スポーツモデルiSportより屈強なBTイヤホンINTENSITYが登場!【9/21発売予定、ご予約受付中】」(2017年9月18日)の記載がある。
f 申立人の中国関連会社とされる「Monster Greater China Limited」と日本の「KANJITSU DENKI CO,LTD」との間の請求書6通(2018年2月12日~同年9月10日:甲14)には、申立人商標は見当たらない。
g 「App Store」のウェブサイト(甲20)には、「App Storeプレビュー」の記載の下、「Pure Monster Sound Experience」、「Monster Inc.」及び「iPhone対応」の記載があるが、その掲載日は確認できない。また、「Amazon.co.jp」のウェブサイト(甲21~甲24)には、「ブランド:Monster」の記載があるものの、そのサイトの掲載日は確認できない。
(イ)前記(ア)によれば、申立人の業務に係るイヤホンやヘッドホンについて「Monster」ブランドをもって本件商標の登録出願前に我が国において輸入され、販売されていることは認められるとしても、申立人商標の使用態様、当該商標が使用された商品の販売数量・売上高・市場シェア、申立人商標を使用した広告の範囲等の具体的な証拠がないことから、申立人の主張及び同人提出の証拠によっては、申立人商標が申立人の業務に係る商品について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認めることができない。
また、申立人商標が外国における需要者の間に広く認識されているものと認めるに足る証拠は提出されていない。
したがって、申立人商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されている商標ということはできない。
イ 本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について
前記アのとおり、申立人商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とはいえないから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ず、同号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
前記(1)のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、同様に、本件商標と申立人商標とは、非類似の商標である。
そうすると、たとえ、本件商標の構成中に「Monster」の文字を有するとしても、本件商標と申立人商標との類似性の程度は低いといわなければならない。
また、前記(2)アのとおり、申立人商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとはいえないから、申立人商標の周知著名性の程度は低いものである。
さらに、「MONSTER」の語は「怪物」を意味する既存の語であるから、当該語(文字)からなる申立人商標の独創性の程度は低いといえる。
そうすると、たとえ、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性及び需要者の共通性があるとしても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、申立人商標を連想、想起することはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないといわなければならない。
その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、前記(3)のとおり、申立人商標とは非類似の商標であり、また、申立人商標は、前記(2)アのとおり、我が国及び外国の需要者の間において広く認識されているものとはいえない。
さらに、申立人が提出した証拠からは、商標権者が本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものということはできないから、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものではなく、その登録は同項の規定に違反してされたものとはいえない。
他に、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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