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商標異議申立

2024-900072

ジョーシスクン、ジョーシス

審判番号
2024-900072
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-052685
登録番号
6770006
請求日
2024年03月25日
審決日
2024年12月03日
公報発行日
2025年01月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】加賀美 勝
  • 【権利者代理人】貝塚 亮平
  • 【異議申立人】株式会社 デジタルハック
  • 【異議申立人代理人】石森 昭慶
審判長/審判官
  • 審判長 旦 克昌
  • 審判官 大島 康浩
  • 審判官 小林 裕子
分類
T1651.18 -Y (W09354142) / T1651.22 -Y (W09354142) / T1651.25 -Y (W09354142) / T1651.222-Y (W09354142)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第3項、商標法第43条の2第1号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第7号、商標法第1条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6770006号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6770006号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6770006号商標(以下「本件商標」という。)は、「情シス君」の文字を標準文字で表してなり、令和5年5月16日に登録出願、第9類、第35類、第41類及び第42類に属する別掲のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和5年12月1日に登録査定され、同6年1月15日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標(以下「引用商標」という。)は、「情シス君」の文字からなり、申立人が使用する未登録周知商標と主張するものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第3条第1項柱書の要件を具備せず、同法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証を提出した。 1 甲第1号証ないし甲第17号証について (1)甲第1号証(「IT顧問」として社内IT化/DX化をサポートする「情シス君」を提供開始/株式会社デジタルハック)には、「株式会社デジタルハック(以下「当社」という。)は、この度中小企業に特化した「IT顧問」として社内IT化/DX化をサポートする「IT顧問 情シス君」をリリースし、お客様のIT化サポートサービスの提供を2021年9月1日(水)から開始することをお知らせいたします。」と記載されている。 (2)甲第2号証(都度発注で無駄なく利用できる情シスアウトソーシングサービス)には、「「情シス君」とは、専門的なITコンサルタントを手頃な価格で提供している情シスアウトソーシングサービスです。スポット利用から広範囲なコンサルまでワンストップで任せられるので、IT領域だけにとどまらず、関連領域を含む幅広い業務に対応している点が魅力です。また、24時間365日サポート対応が可能で、全国どこでも現地対応を利用できるといったサポート力の高さも強みです。ただし、業務項目によって費用や支援形態が変動するため、個別に見積もりが必要となります。」と記載されている。 (3)甲第3号証(情シス君の料金・機能・導入事例)には、サービスの説明として、「情シス君のおすすめポイントは、課題の見極めから実行まで幅広く支援してくれる点と、さまざまな難易度の業務に対応可能な点です。環境改善から業務代行まで対応でき、システム知見がなくても依頼可能です。幅広い対応範囲から最適なコンサルタントを選定してくれるため、多様なプロジェクト形態での提案を受けられます。」と記載され、また、導入実績として、「・プリヴェ企業再生グループ株式会社・東京紙パルプインターナショナル株式会社・エムスリーデジタルコミュニケーションズ株式会社・國學院大学・学校法人三幸学園・株式会社明豊エンタープライズ・株式会社オンリーストーリー・株式会社Ptmind・サカエ理研工業株式会社・日本ルメンタム株式会社・株式会社Kids Smile Project・株式会社ワールドプラス」が記載されている。 (4)甲第4号証(IT顧問 情シス君とは?価格や機能・使い方を解説)には、《IT顧問 情シス君》のPOINTとして、「1.課題の見極め・言語化から実行まで幅広く支援、2.自社のフェーズやタイミングに合わせて柔軟にプランを選択可能、3.品質を安定化させる3レイヤー体制で手厚くサポート」と記載され、また、価格・料金プランが記載されている。 (5)甲第5号証(Chatwork、主催ピッチコンテスト参加企業のユーティルおよびデジタルハックに出資)には、2023年6月21日付で「ビジネスチャット「Chatwork」)を提供するChatwork株式会社(以下「Chatwork」という。)は、Web制作やシステム開発、動画制作などのデジタル化に関する相談カウンター「Web幹事」「システム幹事」等を運営する株式会社ユーティル(以下、ユーティル)、および、情報システム部門機能の提供を通じた法人向けデジタル化・DX支援サービス「IT顧問 情シス君」を運営する株式会社デジタルハック(以下「デジタルハック」という。)へ出資したことをお知らせします。」と記載されている。 (6)甲第6号証(「IT顧問」として社内IT化/DX化をサポートする「情シス君」を提供開始)には、「株式会社デジタルハックは、中小企業に特化した「IT顧問」として社内IT化/DX化をサポートする「IT顧問 情シス君」を、2021年9月1日(水)から提供開始することを発表した。」と記載されている。 (7)甲第7号証([情シス君]月たった1万円で情報システム部門を)には、「見込み客となった顧客に「情報システム部門」を取り入れることを推進するための顧客教育動画。図と事例を踏まえることで相手へ導入のメリットを直感的に伝えています。またシナリオの企画構成から制作し、納得感の得る構成としています。公開1ヶ月で新規20社増えたそうです。」と記載されている。 (8)甲第8号証(「Chatwork」が情報システム部門の機能をアウトソーシングで提供する「IT顧問 情シス君」を運営する「デジタルハック」に出資)には、「2023年6月21日、Chatwork株式会社は、株式会社デジタルハックに出資したことを発表しました。Chatworkは、ビジネスチャット「Chatwork」を展開しています。2022年に組成したコーポレートベンチャーキャピタル「Chatworkスーパーアプリファンド」を通じ、Chatworkとの事業シナジーのある企業への出資を行っています。デジタルハックは、情報システム部門の機能をアウトソーシングで提供する「IT顧問 情シス君」を運営しています。ITに関する相談窓口、技術的業務の代行などのITヘルプサポートデスク業務、経営戦略に基づいたIT戦略の企画立案・実行などの高度なITコンサルティング業務など、さまざまな業務を担い、企業のIT導入・運用に関わる課題を解決するアウトソーシングサービスです。デジタルハックは、2023年4月にChatworkが主催する「SMB Growth Pitch」でファイナリストに選出されています。」と記載されている。 (9)甲第9号証(情シスアウトソーシング おすすめ9社)には、「IT顧問 情シス君(株式会社デジタルハック)、情シス君は、主に中小企業に対して総合IT支援サービスを、ご利用しやすい料金体型で提供しているサービスです。提供プランもスポット依頼、丸投げ依頼、運用依頼といった3つの形で提供しており、自社のニーズにあったプランを選択しやすいサービスです。全国オンラインもしくは現地での対応も行なっており、24時間365日対応しているため急なトラブルに対しても困ることがありません。」と記載されている。 (10)甲第10号証(クライアント情報)により、申立人による。商標「情シス君」を使用したIT化サポートサービスの提供を受けているクライアント数(顧客数)は、日本全国において、154にのぼるという事実がある。 (11)甲第11号証及び甲第12号証には、株式会社Bが、商標「情シス君」を使用して、IT化サポートサービスの業務を行う予定があったという事実が存在する。 (12)第13号証ないし甲第17号証には、株式会社Bが、商標「情シス君」を使用することに関して、本件商標登録の商標権者(なお、甲第13号証ないし甲第17号証の事実の時点では商標権者に至っておらず、商標登録出願人である。)から誘いを受けたが、申立人と、株式会社Bとが打ち合わせ(令和5年12月14日(木)14:00~15:00)をした結果、株式会社Bが、最終的には自らの意思で、商標「情シス君」を使用することは止めた(「情シス君」を使用することからは撤退した)という事実が存在する。 2 第3条第1項柱書について 甲第11号証ないし甲第17号証により、本件商標登録の商標権者は、株式会社Bに対して、商標「情シス君」を使用させようとしたが、結果的には、株式会社Bは、商標「情シス君」を使用することは止めた(使用することは撤退した)こと、また、本件商標登録の商標権者はもちろんのこと、株式会社B以外の個人、法人が、商標「情シス君」を使用した、使用している又は使用予定である事実は見当たらない。 以上より、本件商標登録は、「自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標」について行われたものとは到底いえない。 3 第4条第1項第7号について 甲第11号証ないし甲第17号証に基づいた事実を更に詳細に説明をする。 (1)本件商標の商標権者が株式会社Bの代表者(以下「H氏」という。)と出会った。 (2)その際にH氏に「情シス君」をやろうと誘った。 (3)ミニマムスタートとして、Facebook上で情シス君を名乗り様々な人にDMを送付した。 (4)申立人代表者の知人にDMが届いた。 (5)このDMに関して、申立人代表者の知人が、申立人と関係があるのかどうかについて釘を刺した。 (6)H氏から申立人代表者との話し合いがしたい旨の打診があった。 (7)申立人代表者に報告があり打診を承諾した。 (8)H氏とのミーティングを実施した(ビデオ会議なので録音済み)。 株式会社Bが商標権者から「情シス君を使用する代わりに株式49%分けること、及び役員選任権付種類株式の発行すること」を条件に交渉されていると申立人代表者に相談があり、H氏から商標権者が、どのような人かについての相談を受けた。商標権者はH氏に「私が商標を持っているので、株式会社デジタルハック(申立人)の情シス君が偽物である。」という発言をH氏にしていることがH氏の発言から発覚した。 (9)H氏が商標権者を株主として受け入れることをしないこと、及び情シス君から撤退をすることについて、Facebookメッセンジャー上では決意した文言を申立人代表者に送付した。 また、商標権者は、申立人に、非常勤役員として勤務していたが、以下の背景に基づいて、遅くとも2022年末までには退職したという事実がある。 ア 商標権者が紹介した企業からの未入金が続出(総額700万円程度)している。 イ 商標権者は非常勤役員であるにもかかわらず特に事業に対するコミットがなかった。 ウ 特に、商標権者は、申立人の事業成長に対する付加価値を提供することがなく、むしろマイナス要因ばかりを提供していた。 エ 結果的に、申立人の現場の社員全員からの役員解任要請が申立人代表者に届いた。 さらに、甲第1号証ないし甲第10号証によれば、2021年9月1日(水)に「IT顧問 情シス君」をリリースし、お客様のIT化サポートサービスの提供が今現在まで順調であるという事実は、商標権者が認識していないということはないと推認できる。 以上より、本件商標登録は、適正な商道徳に反し、著しく社会的妥当性に欠くものと解される。本件商標の登録を認めることになると、公正な取引秩序の維持の観点から相当でなく、商標法の目的(商標法第1条)に反する。 4 第4条第1項第10号について 甲第1号証ないし甲第10号証によれば、IT分野の需要者及び取引者は、「情シス君」が、商標登録異議申立人の未登録周知商標であると認知していると解される。したがって、本件商標は、登録出願時(令和5年(2023年)5月16日)及び当該出願の査定時(令和5年(2023年)12月12日)において、商標法第4条第1項第10号に規定されるように、他人(申立人)の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものに該当する(商標法第4条第3項)。 5 第4条第1項第19号について 上記3で述べたように、甲第1号証ないし甲第10号証による事実があるにもかかわらず、商標権者は、「申立人の「情シス君」は偽物である。」と述べていること、申立人の在籍時の商標権者の勤務態度・勤務状況と、「情シス君」が造語であることを考慮すると(すなわち、「情シス君」が造語であるにもかかわらず、申立人に在籍していたので「情シス君」という構成を容易に把握できた。)、本件商標の登録出願時(令和5年(2023年)5月16日)及び当該出願の査定時(令和5年(2023年)12月12日)において、商標権者には不正の目的があると推認できる(商標法第4条第3項)。 また、上記4で述べたように、IT分野の需要者及び取引者にとってみれば、「情シス君」は、申立人の未登録周知商標であると認知されている(商標法第4条第3項)。 6 むすび したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書、同法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知性について 申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、申立人は、「IT顧問 情シス君」と称して、中小企業に特化した社内IT化サポートサービスの提供(以下「申立人役務」という。)を2021年9月1日から開始していることがうかがえる(甲1、甲6)。 しかしながら、引用商標を使用した申立人役務の売上高、市場シェアなど取引実績に関する具体的な証左は見いだせない。 また、申立人役務に係る宣伝広告の規模(宣伝広告の金額、期間、時期、方法、回数、地域等)の詳細は不明である。 その他、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間において広く認識されていたことを示す具体的かつ客観的な証拠は見いだせない。 そうすると、申立人提出の証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人役務を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。 2 商標法第3条第1項柱書該当性について 商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標」とは、少なくとも登録査定時において、現に自己の業務に係る商品又は役務に使用している商標、あるいは、将来、自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される(知的財産高等裁判所平成24年(行ケ)第10019号、平成24年5月31日判決言渡)。 申立人は、本件商標権者はもちろんのこと、株式会社B以外の個人や法人が、商標「情シス君」を使用した、使用している又は使用予定である事実は見当たらないから、本件商標登録は、「自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標」について行われたものとはいえない旨主張する。 しかしながら、申立人が提出する証拠によっては、本件商標の登録査定時において、将来、自己の業務に係る指定商品及び指定役務に本件商標を使用する意思を有していたことを否定するに足りる事実は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備する。 3 商標法第4条第1項第10号該当性について 本件商標は、前記第1のとおり、「情シス君」の文字を標準文字で表してなり、引用商標は、前記第2のとおり、「情シス君」の文字からなるところ、両者は構成文字を同じくし、「ジョウシスクン」の称呼を共通にする。また、当該文字は辞書類に掲載されている語ではなく、一種の造語として理解されるものであるから、特定の観念を生じない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、観念においては比較できないものの、外観及び称呼において同一又は類似するから、これらを総合すると、両者は相紛れるおそれのある類似の商標といえるものであり、かつ、本件商標の指定商品及び指定役務は、申立人が引用商標を使用する「情報システムのアウトソーシングサービス」と類似する役務を含むものである。 しかしながら、引用商標は、上記2のとおり、申立人役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものではない。 してみると、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ないから、同項同号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第19号について 引用商標は、上記1のとおり、他人(申立人)の業務に係る商品又は役務を表示するものとして我が国又は外国の需要者の間に広く認識されているものではない。 また、申立人が提出した証拠を勘案しても、申立人の提出に係る証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標権者が引用商標に化体した業務上の信用を利用して不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的、その他の不正の目的をもって本件商標を使用するものと認めるに足りる事実は見いだせない。 そうすると、本件商標は、その他の要件について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第7号該当性について 申立人は、商標権者が「申立人の「情シス君」は偽物である。」旨述べ、他人に本件商標を用いた交渉を持ちかけていることや、申立人の在籍時の商標権者の勤務態度及び勤務状況等から、本件商標登録は、適正な商道徳に反し、著しく社会的妥当性に欠くものである旨主張する。 しかしながら、上記の申立人の主張を裏付ける具体的、かつ客観的な証拠の提出はなく、また、上記1のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものではなく、さらに、上記4のとおり、本件商標権者が不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認め得るような具体的事情は見いだすことができない。 そうすると、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものとはいえず、さらに、本件商標が、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないことは明らかである。 以上のことからすると、本件商標は、その登録を維持することが商標法の予定する秩序に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標とはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 6 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備するものであり、かつ、同法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、その登録は、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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