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商標異議申立

2024-900070

イイスポーツマスターズ、イイスポーツ、マスターズ

審判番号
2024-900070
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-063056
登録番号
6769039
請求日
2024年03月19日
審決日
2024年12月24日
公報発行日
2025年03月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社BBB
  • 【異議申立人】オーガスタ ナショナル インコーポレイテッド
  • 【異議申立人代理人】田中 伸一郎
  • 【異議申立人代理人】中村 稔
  • 【異議申立人代理人】▲吉▼田 和彦
  • 【異議申立人代理人】藤倉 大作
  • 【異議申立人代理人】相良 由里子
  • 【異議申立人代理人】石戸 孝
審判長/審判官
  • 審判長 大島 康浩
  • 審判官 小林 裕子
  • 審判官 大島 勉
分類
T1652.261-Y (W0942) / T1652.262-Y (W0942) / T1652.263-Y (W0942) / T1652.271-Y (W0942)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6769039号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6769039号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6769039号商標(以下「本件商標」という。)は、「eSports Masters」の欧文字を標準文字で表してなり、令和5年6月8日に登録出願、第9類、第35類及び第42類に属する、別掲1のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同6年1月4日に登録査定され、同月11日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立てにおいて、引用する登録第6619842号商標(以下「引用商標」という。)は、「MASTERS」の欧文字を標準文字で表してなり、令和4年2月21日に登録出願、第9類及び第41類に属する、別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年9月27日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品及び役務中、第9類「全指定商品」及び第42類「全指定役務」(以下、「申立てに係る商品及び役務」という。)について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標は欧文字「eSports Masters」を標準文字で横書きした構成からなる。 「eスポーツ(esports)」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称をいう(甲3)。 そして、本件商標中の「eSports」の部分は、その指定商品・役務中、第9類「業務用テレビゲーム機用プログラム,コンピュータ用ゲームソフトウェア(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),スマートフォン用ゲームソフトウェア(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,ゲームプログラム」について識別力を有せず、同類「携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム,アプリケーションソフトウェア」中の「eスポーツ(esports)」に関連する部分について、識別力を有しない。一方、本件商標中の「Masters」の部分は、上記第9類の商品のうち、ゴルフに関連するものについて、極めて強い識別力を有する。したがって、第9類の上記商品について、本件商標の要部は「Masters」部分である。 他方、引用商標は、欧文字「MASTERS」を標準文字で横書きした構成からなるものである。 そうすると、本件商標の要部と引用商標は同一のつづりの欧文字からなるため、これらが同一・類似の商標であることは明白である。 イ 本件商標の指定商品中、第9類「業務用テレビゲーム機用プログラム,携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム,アプリケーションソフトウェア,コンピュータ用ゲームソフトウェア(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),スマートフォン用ゲームソフトウェア(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,ゲームプログラム」は、引用商標の第9類の指定商品と類似する。 ウ よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。 (2)商標法第4条第1項第15号について ア 引用商標の著名性について (ア)申立人は、アメリカ合衆国ジョージア州オーガスタに所在し、同所に所在するオーガスタ ナショナル ゴルフ クラブ(Augusta National Golf Club)を経営する米国法人である。申立人の経営するオーガスタ ナショナル ゴルフ クラブ(Augusta National Golf Club)は、いわゆる世界の4大メジャーゴルフトーナメントの一つである「マスターズトーナメント(Masters Tournament)」が開催されるゴルフクラブとして世界中に知れ渡っている。 オーガスタ ナショナル ゴルフ クラブ(Augusta National Golf Club)は、今日のゴルフの人気、及びマスターズ・トーナメントの著名性とも相まって、今日では、特にゴルフ愛好者の間において誰もが知るゴルフクラブの名称として著名なものである。「オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ」は、球聖ボビージョーンズにより設計されて作られたゴルフコースで、1933年に開場され、1934年にここで、「オーガスタ・ナショナル・インビテーション」としてトーナメントが発足された(甲4)。そして、第6回目の大会である1939年から現在の正式名称である「The Masters Tournament」と呼ばれるようになり、今日に至っている。「マスターズトーナメント」は、男子プロゴルフ競技で格の高い世界4大メジャー大会の一つであるが、同じ場所、すなわち「オーガスタ ナショナル ゴルフ クラブ/Augusta National Golf Club」で開催されるのは「マスターズトーナメント」のみであり(甲4)、この大会は、招待資格を有する限られた選手しか出場できない大会として「ゴルフの祭典」と呼ばれ、このトーナメントに出場を許されることは世界中の男子プロゴルフ・プレイヤーにとって夢であり、憧れとなっている。その結果、「Masters」、「マスターズ」は、4大メジャー大会の中でも特に注目度が高く、日本でも最も評判の高いゴルフイベントである。したがって、申立人が運営する「マスターズトーナメント」が世界屈指の著名なゴルフトーナメントであることは周知の事実であり、これが単に「Masters」、「マスターズ」の略称で古くから親しまれている。 「マスターズトーナメント」は、アメリカ合衆国ジョージア州オーガスタに所在する「オーガスタ ナショナル ゴルフ クラブ/Augusta National Golf Club」が毎年主催してそのコースで行われることは、ゴルフに関心を持つ人々の間で知らない者がいないほどである。さらに、「オーガスタ」も「オーガスタ ナショナル ゴルフ クラブ」の略称として、多種の雑誌その他のメディアで広く用いられ、その結果、「オーガスタ」もゴルフに関心を持つ人々の間で知らない者がいないほどに周知性・著名性を得ている。また、我が国において、「マスターズトーナメント」は民放のテレビ局で放映されており、当該ゴルフ中継は、これまでに多くの日本人に視聴されてきた(甲5、甲6)。特に、2021年の「マスターズトーナメント」では、日本人が初のメジャー制覇を遂げ、多くの日本人の耳目を集めた(甲7)。 そして、我が国における「Masters」商標の周知・著名性は、無効審決において認定されている(甲8)。 (イ)そうすると、引用商標は、本件商標の出願日以前から、我が国において、ゴルフに関連する商品又は役務の取引者、需要者の間で広く認識されていたということができる。 イ 本件商標と引用商標の類似性の程度 上記(1)アで述べたとおり、本件商標は申立人の周知・著名商標である引用商標と類似する商標である。 ウ 本件商標の指定商品等と申立人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度 申立人は、引用商標をビデオゲームに使用しており、当該ビデオゲームの日本での販売記録は、2024年度は収益モデルデジタルフルゲームで1,508本、2025年度は398本であり、合計1,906本である。 そうすると、申立人が使用しているビデオゲームは、本件商標の指定商品・指定役務中、少なくとも第9類「業務用テレビゲーム機用プログラム,コンピュータ用ゲームソフトウェア(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),スマートフォン用ゲームソフトウェア(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,ゲームプログラム」及び第42類「ビデオゲーム機・ビデオゲーム機用ソフトウェア及びコンピュータゲームソフトウェアの開発」と極めて密接な関連を有する。 エ このような状況下、本件商標が上記指定商品・指定役務に使用されると、当該商品・役務があたかも申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関連を有する企業によって提供された商品・役務であるかのようにその出所につき誤認・混同を生じさせることは明らかである。 オ よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知・著名性 ア 申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。 (ア)申立人は、アメリカ合衆国ジョージア州オーガスタに所在する米国法人である。 (イ)申立人が開催する、「ゴルフの祭典」と呼ばれる「マスターズ」は、1934年の創設以来、同一コースで開催される唯一の男子メジャートーナメントである(甲4、申立人の主張)。 (ウ)「マスターズ」が開催される「オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ」は、球聖ボビージョーンズにより設計され作られたゴルフコースで、ゴルファーの夢舞台とされている(甲4、甲5、申立人の主張)。 (エ)我が国において、「マスターズ」は民放テレビ局で、2022年から2024年にかけて放映された(甲5、甲6)。 (オ)2021年に、日本人が初の「マスターズ」優勝をしたことが、ウェブサイトにおいて報じられた(甲7)。 イ 上記アによれば、男子メジャートーナメントである「マスターズ」は、1934年から同一コースである「オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ」において開催され、そこはゴルファーの夢舞台とも称され、我が国においては、2021年に日本人が初めて「マスターズ」において優勝したことが報じられ、また、「マスターズ」が民放テレビ局によって放映されていることがうかがえる。 そうすると、引用商標の片仮名表記と認められる「マスターズ」の文字は、ゴルフに関心を持つ人々の間では申立人の開催するゴルフ競技会(以下「申立人の業務」という。)を指し示すものとしてある程度知られているといい得る。 しかしながら、「マスターズ」の文字は、「アメリカのオーガスタで毎年四月に開催される世界的ゴルフの競技会。」のほかに、「中高年のための国際スポーツ大会。」及び「中高年のための競技会の総称。」(株式会社三省堂「大辞林 第四版」)の意味を有する外来語であり、また、申立人の業務以外の商品及び役務については、引用商標の使用の態様、商標を使用した商品又は役務の我が国における市場占有率、広告宣伝の方法、範囲、回数等、周知著名性を判断するための客観的な事実を量的に把握することができる資料の提出はないから、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人の業務に係る商品及び役務を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く知られているとはいえない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性 ア 本件商標 本件商標は、上記1のとおり、「eSports Masters」の欧文字を標準文字で表してなるところ、「eSports」と「Masters」の文字の間に1文字程度の間隔を有するとしても、その構成文字は、同書、同大で、まとまりよく一体的に表してなるものであり、これより生じる「イースポーツマスターズ」の称呼も、無理なく一連に称呼し得る。 そして、本件商標の構成中「eSports」の文字が「コンピューターゲームを用いた競技。」を意味する「eスポーツ」(株式会社三省堂「見やすいカタカナ新語辞典 第4版)」)に通じ、また、「Masters」の文字が「マスターズ」に通じるところ、当該語は「アメリカのオーガスタで毎年四月に開催される世界的ゴルフの競技会。」の意味を含む上記(1)に記載の複数の意味を有する外来語であるとしても、上記のとおりの外観及び称呼における一体性からすれば、本件商標に接する取引者、需要者は、特定の文字部分のみに着目することなく、構成文字全体をもって、特定の意味を有しない一体不可分の造語を表したものとして認識するとみるのが自然である。 したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「イースポーツマスターズ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。 イ 引用商標 引用商標は、「MASTERS」の欧文字を標準文字で表してなるところ、上記(1)のとおり、該文字は、「アメリカのオーガスタで毎年四月に開催される世界的ゴルフの競技会。」のほかに、「中高年のための国際スポーツ大会。」及び「中高年のための競技会の総称。」の意味を有するため、その構成文字に相応して「マスターズ」の称呼が生じ、「マスターズトーナメント」又は「中高年のための国際スポーツ大会・競技会の総称」程の観念が生じるというべきである。 ウ 本件商標と引用商標の比較 上記ア及びイの構成からなる本件商標と引用商標の類否を検討すると、本件商標と引用商標の外観は、「eSports」の文字の有無で相違するものであるから、判然と区別し得る。 次に、称呼については、本件商標から生じる「イースポーツマスターズ」の称呼と引用商標から生じる「マスターズ」の称呼とは、「イースポーツ」の音の有無の差異により、明瞭に聴別できる。 さらに、観念については、本件商標は特定の観念を生じないものであり、引用商標からは「マスターズトーナメント」又は「中高年のための国際スポーツ大会・競技会の総称」の観念が生じるから、観念において相紛れるおそれはない。 したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標である。 その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 エ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性 引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていない。また、「MASTERS」の文字は、「アメリカのオーガスタで毎年四月に開催される世界的ゴルフの競技会。」のほかに、「中高年のための国際スポーツ大会。」及び「中高年のための競技会の総称。」の意味を有する外来語であるから、その独創性が高いとはいえない。 さらに、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であり、別異の商標というべきものであるから、類似性の程度は高いとはいえない。 そうすると、本件商標の指定商品及び指定役務と申立人の業務との関連性の程度、需要者の共通性の程度などを合わせ考慮しても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品又は指定役務について使用した場合、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品又は役務が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、申立てに係る商品及び役務について商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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