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商標異議申立

2024-900057

トーキョージョシイカダイガクドーソーカイシセーカイ、トーキョージョシイカダイガクドーソーカイ、トーキョージョシイカダイガク、ドーソーカイシセーカイ、シセーカイ、シセー

審判番号
2024-900057
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-081645
登録番号
6767109
請求日
2024年03月08日
審決日
2024年10月24日
公報発行日
2024年11月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】学校法人東京女子医科大学
  • 【異議申立人】一般社団法人 至誠会
  • 【異議申立人代理人】寺西 章悟
  • 【異議申立人代理人】田中 諒子
  • 【異議申立人代理人】篠原 克生
  • 【異議申立人代理人】山崎 昂志
  • 【異議申立人代理人】外久保 海
審判長/審判官
  • 審判長 旦 克昌
  • 審判官 大島 康浩
  • 審判官 小林 裕子
分類
T1651.22 -Y (W41) / T1651.25 -Y (W41) / T1651.271-Y (W41) / T1651.222-Y (W41)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6767109号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6767109号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6767109号商標(以下「本件商標」という。)は、「東京女子医科大学同窓会至誠会」の文字を標準文字で表してなり、令和5年7月24日に登録出願、第41類「同窓会の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),技芸・スポーツ又は知識の教授,教育の分野における情報の提供,学校による教育の提供,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,インターネットを利用して行う映像の提供,映画の上映・制作又は配給,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),スポーツの興行の企画・運営又は開催,娯楽イベントの企画・運営,パーティの企画,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,写真の撮影,教育又は娯楽に関する競技会の企画・運営,文化又は教育のための展示会の企画・運営,教育に関する研究」を指定役務として、同年12月4日に登録査定、同月28日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において引用する商標は、申立人が東京女子医科大学の同窓会組織としての活動を行うために使用していると主張する、「至誠会」の文字からなる商標(以下「引用商標」という。)である。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。 (1)申立人について 申立人は、明治43年、東京女医学校(現・東京女子医科大学)創立者により寄贈された動産及び不動産(病院建物)をベースに、社会事業・公衆衛生に関する諸般の施設及び運営をなし、国民福祉の増進を図ることを目的とし、東京女医学校、東京女子医学専門学校、東京女子医科大学及び東京女子医科大学医学部の卒業生を会員(社員)とする同窓会組織「校友会」として発足し(甲1、甲2)、100年以上にわたって、東京女子医科大学の唯一の同窓会組織であり(甲3)、現在の会員数は、全国に約4500名である。 申立人は、明治43年の発足後、現在に至るまで、100年以上にわたって、東京女子医科大学の唯一の同窓会組織である(甲3)。 (2)申立人と、商標権者及び商標権者の理事長であるA氏との関係について 申立人の会員は「女子医大を復活させるOGの会」(以下「OG会」という。)を結成した。当時、東京女子医科大学の理事長と、申立人の代表理事は、A氏が兼務していた。 令和5年1月、OG会は、申立人の会員らに対し、OG会の活動について書面を配布して賛同を求めた(甲6)。 同年1月19日、A氏が理事長を務める東京女子医科大学は、大学の名誉を著しく毀損したとして、上記書面に名を連ねたOG会のメンバー2名の名誉教授の称号を取り消した(甲7)。 同年1月30日、東京女子医大と申立人の現状に疑問を持った申立人の社員が、申立人に対し、臨時社員総会の招集を請求し、A氏の解任議案を提出した。 同年3月8日、A氏が理事長を務める東京女子医科大学は、上記の書面に関与したOG会のメンバー7名に対し、名誉毀損を理由とする1100万円の損害賠償請求訴訟を提起した。なお、東京地方裁判所は、本件各報道がなされた事実は真実であるから、東京女子医科大学の訴えには理由がないとして、令和6年1月に請求を棄却している(甲8)。 令和5年3月30日、A氏が理事長を務める東京女子医科大学は、上記書面に関与したOG会のメンバー2名を、評議員から解任した(甲5)。 同年4月2日、申立人の臨時社員総会が開催され、A氏を申立人の理事の地位から解任する議案が賛成多数で可決され(甲1)、A氏は申立人の理事及び代表理事の地位を喪失した。 同年7月24日、引き続き、A氏が理事長を務める東京女子医科大学は、本件商標の商標登録の出願を行った(甲9)。 同年7月26日、東京女子医科大学の理事会は、申立人との関係解消を決定し、同年11月29日、新しい同窓会組織(以下「新同窓会」という。)の設立と、これまで申立人が担当してきた東京女子医科大学の学内行事(学内説明会等)やこれまで申立人が関与していた東京女子医科大学の制度(推薦入試等)を全て新同窓会が行う方針を決定した(甲10~甲13)。 同年12月19日、東京女子医科大学の理事会は、新同窓会の名称を「東京女子医科大学同窓会至誠会」とすることを決定した(甲14)。 令和6年1月24日、東京女子医科大学は、申立人に対し、関係の解消を一方的に通達した(甲15)。 (3)商標法第4条第1項第10号 ア 引用商標「至誠会」の周知性 「至誠会」という商標は、申立人が、大正12年(1923年)に名称変更してから現在まで、東京女子医科大学の同窓会組織としての活動を行うために使用しているものであるから「他人の業務に係る役務を表示する」商標に該当する。 「至誠会」は、申立人が、東京女子医科大学の在校生及び卒業生に対し、東京女子医科大学の同窓会としての活動(サービス)を提供する際に使用する商標であって、その需要者は、東京女子医科大学の在校生及び卒業生に限定される。 そのため、本件では、「至誠会」が東京女子医科大学の同窓会組織を指すことにつき、需要者である東京女子医科大学の在校生・卒業生の間で広く認識されていれば足りる。 以上の点について検討すると、まず、東京女子医科大学における同窓会組織は、東京女子医科大学が設立してから現在まで、唯一、申立人のみである(甲3)。 そして、申立人は、1923年(大正12年)から100年間以上、「至誠会」という名称を使用し続けており(甲2)、東京女子医科大学のホームページにも「東京女子医科大学同窓会至誠会」とのバナーを表示し続けている(甲3)。 また、申立人は、毎年11月に、東京女子医科大学の彌生講堂内で、東京女子医科大学医学部の全生徒(約660名程度)に向けて、学内説明会を実施している(甲16)。 さらに、申立人は、これまで、推薦入試(「至誠と愛」推薦入試)の主宰や、在校生に対する海外留学助成の運営、研究助成の運営、成績優秀者に対する「至誠会賞」の授与等、多岐にわたって、東京女子医科大学の在学生、卒業生をサポートする活動を行ってきた(甲4)。 以上の点からすれば、需要者のほとんどは、東京女子医科大学のホームページや、学内説明会、推薦入試、海外留学・研究の助成、成績優秀者への表彰といったルートで、東京女子医科大学には歴史ある同窓会組織が存在し、その名称が「至誠会」であることを認識していたものといえる。 したがって、東京女子医科大学の同窓会組織が「至誠会」という名称であることは、需要者の間で広く認識されている。 イ 商標の類似性 (ア)結合商標につき、分離観察が可能か否か 本件商標は、その意味内容からすれば、「東京女子医科大学」「同窓会」「至誠会」の3つの構成部分が組み合わさった「結合商標」である。そのため、分離観察が可能であるかを検討する。 まず、「至誠会」の需要者は、東京女子医科大学の在校生、卒業生である。そのため、需要者にとって、自分たちが新しく加入し、又は既に加入している同窓会組織が「東京女子医科大学」の「同窓会」であることは当然の前提である。 東京女子医科大学の在校生、卒業生にとって、自分たちがこれから加入し、又は既に加入している同窓会組織を判別するために重要な要素は同窓会の「名称」である。 したがって、本件商標のうち、「東京女子医科大学」「同窓会」の部分には、出所識別標識としての称呼、観念は生じないものと解され、同窓会組織としての名前を表す「至誠会」の部分こそが、需要者に対し、特に支配的な印象を与える部分である。 よって、本件商標から、「至誠会」の部分を分離し、引用商標と比較する必要がある。 (イ)類似性及び取引の実情について 引用商標と、本件商標の出所識別標識として支配的な印象を与える部分「至誠会」を比較した場合、外観、称呼は完全に一致する。 また、東京女子医科大学の理事会は、令和5年11月に、新同窓会の設立を決定し(甲12、甲13)、同年12月19日に、新同窓会の名称を「東京女子医科大学同窓会至誠会」とすることを決定している(甲14)。 そうすると、両商標とも、東京女子医科大学の同窓会活動のサービスを提供する際に使用される商標であり、需要者にとって、サービスの出所について、誤認・混同するおそれは非常に高い。 ウ 役務の類似性 本件商標の指定役務として列挙されている役務は、「同窓会の企画・運営又は開催」を始めとして、いずれも一般的な同窓会組織が提供する役務であり、申立人が「至誠会」として会員や東京女子医科大学の在校生に提供するサービスと共通している。 エ 小括 よって、本件商標を用いて東京女子医科大学の新しい同窓会組織が指定役務を提供した場合、需要者にとって、申立人のサービスであると誤認するおそれは非常に高い。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第15号 ア 商標の類似性の程度 本件商標と引用商標とは、文字数、発音数自体は異なるものの、「至誠会」の部分で一致しており、「シセイカイ」の読み方は一致しているから、外観及び称呼の類似性は存する。 取引の実情をみるに、申立人は、これまで東京女子医科大学の唯一の同窓会組織であり、東京女子医科大学創設者の信条である「至誠」の2文字に基づいて(甲2)、大正12年から100年以上にわたって「至誠会」という名称を用い、需要者である東京女子医科大学の在校生、卒業生に対して、同窓会のサービスを提供し続けてきた。 また、申立人は、在校生が申立人の活動にアクセスしやすいよう、東京女子医科大学のホームページに「東京女子医科大学同窓会至誠会」と表示したバナーを表示し続けており(甲3)、このバナーをクリックすることで、申立人のホームページに誘導される仕組みとなっていた。 以上の点に鑑みると、需要者である東京女子医科大学の在校生、卒業生からすれば、「東京女子医科大学同窓会至誠会」という文字列を見た場合、「東京女子医科大学」の「同窓会」である「至誠会」、すなわち、申立人のことを連想する可能性が非常に高い。 よって、需要者にとって、本件商標は、商標を構成する文字列から生ずる「東京女子医科大学の同窓会である至誠会」という意味内容において、申立人の活動と非常に紛らわしいものといえる。よって、引用商標と本件商標の間には、観念の類似が強く認められる。 以上のとおり、引用商標と本件商標の類似性の程度は、特に、観念の類似という観点において、非常に高いといえる。 イ 引用商標の周知著名性及び独創性の程度 上記のとおり、引用商標は、周知著名性が非常に高い。 また、「至誠」という単語自体は、日本語に存在する一般名詞であるとはいえ、日常的に使用する単語ではないし、「至誠会」を名乗る団体は、全国で5、6社程度はあるが、数多いとはいえない。さらに、「至誠会」という名称が、日常的にありふれたものであるとはいい難い。 したがって、引用商標については、需要者の間で広く周知された商標であり、一定程度の独創性を備えた名称である。 ウ 商品間の関連性並びに取引者及び需要者の共通性 上述したとおり、東京女子医科大学の理事会は、令和5年11月29日に新同窓会の設立を決定し(甲12、甲13)、同年12月19日、本件商標を新同窓会の名称とすることを決定している(甲14)。 よって、本件商標の需要者も、引用商標と同様、東京女子医科大学の在校生及び卒業生であり、引用商標の需要者と完全に一致(共通)している。 そして、本件商標の指定役務には、一般的な同窓会組織が提供するサービス内容が列挙されており、申立人の活動はほぼ全て包含されている。よって、役務間の関連性も非常に高い。 エ その他取引の実情 その他、近似した商標が多数存在しているか否かといった点も考慮されるところ、現在、「至誠会」の文字列を含む登録商標は、本件商標の他には1つしかなく、インターネットで検索しても、5、6社程度しかヒットしないため、世間一般的に「至誠会」という名称・商標が、多数存在している状況にはない。 また、令和6年2月7日、特許庁から、東京女子医科大学宛てに送付された、本件商標に係る商標登録証について、東京女子医科大学の事務職員が、申立人宛てに送付された商標登録証であると勘違いをし、申立人に転送するという出来事が発生した(甲17)。 オ まとめ 需要者である東京女子医科大学の在校生、卒業生にとっては、「東京女子医科大学同窓会至誠会」という表示を見た場合、これまで東京女子医科大学の唯一の同窓会組織として広く知られた「至誠会」を連想する可能性は非常に高い。 他方で、今後、東京女子医科大学の学内で、新同窓会の説明会が開催された場合、実際にはサービスの提供元が新同窓会であったとしても、需要者としては、100年以上続く「東京女子医科大学」の「同窓会」である「至誠会」のサービスであると受け止めざるを得ない。 このことは、東京女子医科大学に長年勤めている事務職員ですら、商標登録証の送り先を申立人と間違えており、新同窓会と申立人を誤認・混同している時点で明白である。 したがって、新同窓会が本件商標を使用することにより、需要者が、申立人の業務に係る商品・役務であるかのような誤認・混同が需要者に生ずる蓋然性がある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第19号 ア 「至誠会」の周知性、商標の類似性は、上記のとおりである。 イ 不正の目的 本件商標は、東京女子医科大学の理事長であるA氏が、申立人の代表理事を解任されたことについて「仕返し」をするために、100年以上活動してきた申立人の信用を奪取し、新同窓会に付け替えるため、実施したものである。 本件商標の登録が認められれば、A氏は、申立人の信用をさらに低減させるため、申立人に対して「至誠会」の名称使用の差止請求を仕掛けてくる可能性も十分に考えられる。 そうすると、本件商標が図利加害目的で登録されたことは明らかであり、「不正の目的」が存在する。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (6)商標法第4条第1項第7号 本件は、東京女子医科大学の理事長であるA氏が、申立人の代表理事を解任されたことに対する個人的な「仕返し」のために、新同窓会を立ち上げて100年以上、創立者の理念に従って積み上げてきた申立人の信用を奪取し、新同窓会に付け替える目的で、需要者である東京女子医科大学の在学生・卒業生に広く認知された「至誠会」の名称と類似した本件商標の商標登録を行ったものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第10号該当性 ア 引用商標の周知著名性 申立人の主張及び提出された証拠によれば、東京女子医科大学のホームページには、「関連組織・団体」として、「一般社団法人至誠会」の表示の下、「東京女子医科大学 同窓会/一般社団法人至誠会」と表示されたバナーが設けられており(甲3)、また、申立人が発行した刊行物において、説明中に「至誠会」の文字が散見され(甲2、甲4)、また、申立人の新入会員向けに開催された説明会の資料中にも「至誠会」の文字が散見される(甲16)。 しかしながら、上記のホームページのバナーの表示は、引用商標である「至誠会」の文字が単独で使用されているものではない。 また、申立人に係る刊行物や説明会資料において引用商標が使用されているとしても、その数は決して多いとはいえない。加えて、申立人は、引用商標に係る役務の需要者が東京女子医科大学の在校生及び卒業生のみである旨主張するところ、需要者の範囲が当該在校生及び卒業生であったとしても、当該刊行物等が、これらのうちどの程度の者の目にとまったのか明らかではなく、取引者、需要者にどの程度認識されているかを客観的に把握することができない。 さらに、引用商標を使用した申立人に係る事業活動に関する市場規模や広告宣伝の方法等について、客観的に把握することができる具体的な証拠は提出されていない。 そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「至誠会」の文字からなる引用商標が、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとはいえない。 イ 本件商標と引用商標の類否 本件商標は、「東京女子医科大学同窓会至誠会」の文字を表してなるところ、その構成は、「東京女子医科大学」、「同窓会」及び「至誠会」の文字を結合したものと理解され得るとしても、各文字が同書、同大、同間隔で一連一体に表されていること、上記アのとおり、「至誠会」の文字が我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているとはいえないことからすると、本件商標から「至誠会」の文字のみを取り出して、引用商標との類否を判断することは許されない。 そうすると、本件商標は、「至誠会」の文字のみからなる引用商標とは、その外観、称呼及び観念において相紛れるおそれのない、非類似の商標というべきである。 ウ 小括 上記ア及びイからすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く知られていたものではなく、かつ、本件商標は、引用商標と非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性 引用商標は、上記(1)アのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものではない。 また、本件商標と引用商標は、上記(1)イのとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、両者の類似性の程度は低い。 そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定役務について使用しても、我が国の需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であると誤認し、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。 その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第19号該当性 ア 引用商標の周知性及び商標の類否について 引用商標は、上記(1)アのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものではなく、かつ、外国における認知度についての証拠は提出されていない。 また、本件商標と引用商標は、上記(1)イのとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 イ 不正の目的について 申立人の主張及び提出された証拠によれば、申立人は東京女子医科大学の同窓会組織であるところ(甲3)、令和5年1月に、申立人の会員が結成したOG会のメンバーが、会員に対し、OG会の活動等を内容とする書面を配布したこと(甲6)、同年3月に、申立人の代表理事と東京女子医科大学の理事長を兼務するA氏が、上記OG会メンバーのうち2名を同大学の評議員から解任したこと(甲5)、同年4月に、A氏が申立人の理事を解任されたこと(甲1)、同年7月に、A氏が理事長を務める東京女子医科大学が本件商標の登録出願を行ったこと(甲9)、同年12月に、同大学の理事会において新たに「東京女子医科大学至誠会」との名称の同窓会が設置されることが決定したこと(甲14)、令和6年1月に、同大学から申立人に対し、両者の関係を解消する旨の通達がされたこと(甲15)の経緯があることがうかがえる。 そして、申立人は、A氏が、申立人の代表理事を解任されたことに対する個人的な「仕返し」のために、新同窓会を立ち上げ、100年以上積み上げてきた申立人の信用を奪取し、新同窓会に付け替える目的で、需要者である東京女子医科大学の在学生・卒業生に広く認知された「至誠会」の名称と類似した本件商標の商標登録を行った旨主張する。 しかしながら、本件商標の登録出願の前後の時期において、上記の経緯があったとしても、申立人提出の証拠からは、本件商標権者が、実際に本件商標の商標権を持ち出して、申立人に対し何らかの要求をしたり、申立人の事業活動を妨害するなど、具体的な行為をした事実は確認できない。 そうすると、本件商標は、不正の利益を得る目的又は他人に損害を与える目的など不正の目的をもって使用をするものとまでは直ちにいえない。 ウ 小括 上記ア及びイからすると、本件商標は、引用商標と非類似の商標であり、かつ、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の取引者、需要者の間に広く知られていたものではなく、さらに、本件商標は、不正の目的をもって使用をするものとはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第7号該当性 本件商標は、上記(3)のとおり、その登録出願及び登録が、不正の利益を得る目的又は他人に損害を与える目的など不正の目的をもってなされたとはいえない。 その他、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。 そうすると、本件商標は、その登録を維持することが商標法の予定する秩序に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標とはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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