商標異議申立
2024-900051
バートン、バートーン、ビルトン、ビルトーン
- 審判番号
- 2024-900051
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-059871
- 登録番号
- 6764596
- 請求日
- 2024年03月04日
- 審決日
- 2025年06月25日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】シナネンサイクル株式会社
- 【権利者代理人】佐藤 勝
- 【異議申立人】ベルトーネ エスエイ
- 【異議申立人代理人】弁理士法人清水・醍醐事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 小林 正和
- 分類
- T1651.261-Y (W12) / T1651.262-Y (W12) / T1651.263-Y (W12)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法8条1項商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第8条第1項、商標法第4条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6764596号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6764596号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6764596号商標(以下「本件商標」という。)は、「BIRTONE」の欧文字を標準文字で表してなり、令和5年6月1日に登録出願、第12類「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び付属品,牽引車,荷役用索道,陸上の乗物用の動力機械器具(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,落下傘,乗物用盗難警報器,車椅子,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴム貼り付け片,乳母車」を指定商品として、同年11月28日に登録査定、同年12月21日に設定登録されたものである。
第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は、以下のとおりであり、いずれの商標権も、現に有効に存続している。これらをまとめて、以下「引用商標」という場合がある。
1 登録第4320611号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:別掲1のとおり
登録出願日:平成10年12月14日
設定登録日:平成11年10月1日
指定商品・指定役務:第12類「自動車,二輪自動車,自転車,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)」のほか、第14類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
2 国際登録第1748132号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
国際商標登録出願日:2022年(令和4年)12月20日 ベネルクス
優先権主張日:2022年(令和4年)12月19日
設定登録日:令和7年3月21日
指定商品:第12類「Cars; sports cars; robotic cars; motor racing cars; Sport Utility Vehicles; electric cars; automobile hoods; automobile bodies; anti-skid chains; automobile chains; brake shoes for land vehicles; security harness for automobile seats; safety belts for land vehicle seats; spare wheel covers; hoods for land vehicle engines; hub caps; brake discs for land vehicles; anti-glare devices for land vehicles; non-skid devices for land vehicle tires; land vehicle bonnet pins; seat covers for land vehicles; clutches for land vehicles; brake linings for land vehicles; propulsion mechanisms for land vehicles; transmissions for land vehicles; land vehicle suspension springs; shock absorbing springs for land vehicles; jet engines for land vehicles; motors, electric, for land vehicles; engines for land vehicles; windscreens; mudguards; bumpers for automobiles; brake pads for automobiles; air pumps [vehicle accessories]; luggage carriers for land vehicles; ski carriers for cars; doors for land vehicles; ashtrays for automobiles; land vehicle running boards; luggage nets for land vehicles; rearview mirrors; land vehicle seats; horns for land vehicles; side view mirrors for land vehicles; spoilers for land vehicles; engine mounts for land vehicles; caps for land vehicle fuel tanks; automobile chassis; windshield wipers; headlight wipers; windows for land vehicles; steering wheels for land vehicles; cigar lighters for automobiles; air bags [safety devices for automobiles]; anti-theft alarms for land vehicles; sun-blinds adapted for automobiles; suspension shock absorbers for land vehicles; shock absorbers for automobiles; anti-theft devices for land vehicles; head-rests for land vehicle seats; axles for land vehicles; rims for automobiles wheels.」
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項11号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
1 本件商標及び引用商標について
本件商標は、欧文字で「BIRTONE」と横書きした文字商標である。他方、引用商標1は、図形の下に欧文字の「BERTONE」を配した図形と文字の結合商標である。引用商標2は、欧文字の「BERTONE」の下に、文字か数字か明確でない図形のような部分を配した、文字と図形の結合商標である。
2 本件商標と引用商標の類否
(1)本件商標は、欧文字のみからなる商標であるのに対して、引用商標は、欧文字と図形の結合商標であるから、全体を観察すれば、外観上識別可能である。
しかしながら、引用商標は、欧文字と図形が分離して配置されており、欧文字と図形を合わせた全体として特定の意味合いを生じるなどの事情もなく、また、欧文字部分と図形は、視覚上分離して認識されるため、それぞれ独立して出所識別機能を果たしているといえる。
したがって、引用商標の欧文字部分も商標の要部であり、この部分のみをもって、商標の類否判断をすることも認められるべきである。
(2)外観について
本件商標と引用商標の欧文字部分を比較すると、2番目の文字において「I」と「E」の相違があるものの、その他の文字は、同一である。「I」と「E」だけを比較すれば容易に識別できるが、全体を比較すると、語頭の「B」と後半の「TONE」が一致しているため、看者にかなり似通った印象を与えるものであり、外観において極めて近似しているといわざるを得ない。
したがって、本件商標の指定商品の取引者や需要者は、本件商標と引用商標の要部である欧文字部分を見誤るおそれがあるため、外観上類似している。
(3)観念について
両者の観念について比較すると、引用商標の図形部分は、何か特別なものを想起させるものではないため、特定の観念を生じることはない。
次に、欧文字部分について、我が国においては、本件商標の指定商品の需要者は、通常3年間から6年間英語の授業を受けているため、一般的に、欧文字を見たときに英語を想起することになり、英語以外の外国語を想起することはごく希ではないかと思われる。
本件商標と引用商標中の欧文字についても、まず需要者は、これらが英語ではないと考え、記憶している英単語の中から該当するものを探し出す作業を行うことになるが、いずれも我が国の学校教育において教わる英単語中には存在しないため、最終的にこれらは造語という結論に至り、いかなる観念も生じることはない。
(4)称呼について
両者の称呼を比較すると、本件商標の場合、前半の「BIR」と同じつづりを有する単語として、「bird」や「birthday」等が容易に想起することができ、いずれも「bir」の部分は、「バー」と発音されることから、本件商標の前半の「BIR」の部分は、「バー」と称呼される可能性が高い。後半の「TONE」は、英単語の「tone」(音色、音調)等と同じつづりであるため、「トーン」あるいは「トン」の称呼が自然に生じる。
引用商標は、図形と欧文字の結合商標であるが、近接して表されてはいるものの、一体不可分に構成されているとはいえない。また、図形部分は、それぞれ独特な形状であり、文字部分とは観念上のつながりもないため、図形部分と文字部分は、それぞれが自他商品の識別標識として機能し得るものであり、商標の要部として認識される。
なお、引用商標2は、欧文字が図形部分に比較して小さく表記されているが、各文字は明瞭に判別することができるため、十分に識別標識として機能し、商標の要部になり、引用商標の図形部分から、特定の称呼を生じることはないため、文字部分から称呼を生じる。
引用商標の文字部分は、欧文字の「BERTONE」からなり、この語は辞書に掲載されていないために造語と見なされる。したがって、予め定まった称呼はないものの、本件商標と同じように、需要者にとって、良く知られている英単語中の同じようなつづりの発音を参考に称呼されることになる。文字部分の前半の「BER」は、これらの文字列が筆頭にある英単語は、咄嗟には思いつかないが、「子音+er」を有する英単語の発音から容易に考えつく、「her」、「were」、「certain」、「perfect」、「person」、「service」等のよく知られた英単語の語頭がそれぞれ子音に応じて「ハー」、「ワー」、「サー」、「パー」と発音されることから、「er」の部分は、「アー」と発音されることが広く知られている。
さらに、英単語の語尾に「ber」を有するのは、よく知られている「September」、「October」、「number」等を容易に思い付くことができるが、これらの語尾は全て「バー」と発音されることから、引用商標の「BER」からは、「バー」の称呼が自然に生じる。
次に、後半の「TONE」については、本件商標と同様に、「トーン」あるいは「トン」の称呼が自然に生じる。
以上のとおり、本件商標から自然に生じる称呼と引用商標から自然に生じる称呼は、ともに「バートーン」又は「バートン」であり、同一の称呼が生じる可能性が高い。
したがって、本件商標と引用商標は、称呼上同一である。
(5)以上のとおり、本件商標と引用商標は、外観において中間の1文字のみが相違しているために見誤るところがあるため、外観上類似しており、称呼は同一であるため、その指定商品の需要者にとって、相紛らわしい。
第4 当審の判断
1 申立人による登録異議の申立ての理由について
申立人は、上記第3のとおり、引用商標との関係において、本件商標が商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録された旨申し立てているが、引用商標2の設定登録日は、上記第2の2のとおり、本件商標の登録査定の後である令和7年3月21日である。
そうすると、引用商標2との関係においては、申立人による登録異議の申立ての理由は、本件商標の登録が商標法第8条第1項の規定に違反してされたものであるというものと解される。
したがって、引用商標1との関係においては、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するかについて、また、引用商標2との関係においては、本件商標が商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたかについて、以下、判断するものとする。
2 商標法4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標1の類否について
ア 本件商標
本件商標は、上記第1のとおり、「BIRTONE」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、辞書等に掲載が認められないものであって、特定の観念を生じない造語と認められるものである。
そして、我が国において、欧文字からなる造語に接した需要者等は、通常、我が国において親しまれたローマ字読み又は英語読みに倣って発音することが少なくないものというべきであり、本件商標の構成中、前半の「BIR」と同じつづりを有する比較的平易な英単語として、「bird」(鳥)や「birthday」(誕生日)等の読みに倣って、当該「BIR」の文字部分は「バー」と称呼され、また、その構成中、後半の「TONE」の文字部分は、平易な英単語の「tone」(音色、音調等)と同じつづりであるため、「トーン」と称呼し得るものであるから、本件商標の構成文字全体からは、英語読みに倣って「バートーン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標1
引用商標1は、別掲1のとおり、直ちに何を表したものか判断できない図形を上段に配し、下段に「BERTONE」の欧文字を配してなるところ、当該図形と欧文字とは、両者の大きさが異なることからすれば、視覚上、上段部分と下段部分とに分離して看取し得るものである。
そして、引用商標1の構成中の上段部分は、我が国において特定の事物を表したもの等として認識され、親しまれているというべき事情は認められないから、上段部分からは、特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。
ところで、当該下段部分の欧文字「BERTONE」は、辞書等に掲載が認められないものであるが、当該文字に関しては、本件商標の商標権者が令和7年4月22日に提出した乙第1号証ないし乙第5号証によれば、「ベルトーネ(Bertone)」は、1912年に設立されたイタリアのデザイン会社の名称であり、ランボルギーニ、アルファロメオ、アストンマーティン等、数々の名車をデザインしてきたこと、2022年には、当該「ベルトーネ(Bertone)」の創業110年に合わせて、新型ハイパーカー「GB110」が欧州で発表されたことが、「オリジナルのベルトーネデザインに敬意」、「ベルトーネの創業110周年に合わせてベルトーネブランドが復活」等の見出しをもって、我が国でも報道されていることが認められる。
そうすると、「ベルトーネ(Bertone)」は、引用商標1及び引用商標2の指定商品と関連の深い乗物との関係においては、イタリアのデザイン会社の名称として、又はその会社のデザイン(ベルトーネデザイン)を示すものとして、我が国において知られているというのが相当である。
そして、引用商標1の構成中の「BERTONE」は、上記「Bertone」とつづりを同じくするものである。
してみれば、引用商標1は、その構成中の「BERTONE」の欧文字部分から、イタリアのデザイン会社のベルトーネ又はその会社のデザイン(ベルトーネデザイン)を示す「ベルトーネ(Bertone)」を想起するものというのが相当であるから、「ベルトーネ」の称呼が生じ、「イタリアのデザイン会社のベルトーネ又はその会社のデザイン(ベルトーネデザイン)」の観念が生じる。
ウ 本件商標と引用商標1の類否
上記ア及びイからすると、本件商標と引用商標1の欧文字部分とは、欧文字7字からなる構成文字数において共通し、2文字目に位置する「I」と「E」の文字において差異を有するものの、語頭部の「B」及び語尾部の「RTONE」の欧文字を共通にするから、外観上、近似した印象を与える。
しかしながら、本件商標から「バートーン」の称呼が生じるのに対し、引用商標1からは「ベルトーネ」の称呼が生じるから、両者は、称呼上、明瞭に聴別できるものである。
さらに、本件商標からは特定の観念が生じないのに対し、引用商標1からは「イタリアのデザイン会社のベルトーネ又はその会社のデザイン(ベルトーネデザイン)」の観念が生じるから、両者は、観念上、区別できるものである。
そうすると、本件商標と引用商標1とは、文字部分の外観において、近似した印象を与えるものの、称呼において明瞭に聴別できるものであり、観念上、区別できるものであるから、これらが取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
(2)まとめ
上記(1)のとおり、本件商標は、引用商標1と非類似の商標であるから、本件商標の指定商品中には、引用商標1の指定商品と同一又は類似する商品が包含されているとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたかについて
(1)本件商標と引用商標2の類否について
ア 本件商標
本件商標は、上記第1のとおり、「BIRTONE」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、辞書等に掲載が認められないものであって、上記2(1)アのとおり、英語読みに倣って「バートーン」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。
イ 引用商標2
引用商標2は、別掲2のとおり、「BERTONE」の欧文字と、当該文字より大きく表され直ちに何を表したものか判断できない図形を2段に配した構成からなるところ、当該欧文字と図形部分とは、両者の大きさが異なることからすれば、視覚上、上段部分と下段部分とに分離して看取し得るものである。
そして、引用商標2の構成中の下段部分は、我が国において特定の事物を表したもの等として認識され、親しまれているというべき事情は認められないから、下段部分からは、特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。
また、当該「BERTONE」の欧文字は、上記2(1)イのとおり、イタリアのデザイン会社のベルトーネ又はその会社のデザイン(ベルトーネデザイン)を示す「ベルトーネ(Bertone)」を想起するものというのが相当であるから、「ベルトーネ」の称呼が生じ、「イタリアのデザイン会社のベルトーネ又はその会社のデザイン(ベルトーネデザイン)」の観念が生じる。
ウ 本件商標と引用商標2の類否
上記ア及びイからすると、本件商標と引用商標2の欧文字部分とは、欧文字7字からなる構成文字数において共通し、2文字目に位置する「I」と「E」の文字において差異を有するものの、語頭部の「B」及び語尾部の「RTONE」の欧文字を共通にするから、外観上、近似した印象を与える。
しかしながら、本件商標から「バートーン」の称呼が生じるのに対し、引用商標2からは「ベルトーネ」の称呼が生じるから、両者は、称呼上、明瞭に聴別できるものである。
さらに、本件商標からは特定の観念が生じないのに対し、引用商標2からは「イタリアのデザイン会社のベルトーネ又はその会社のデザイン(ベルトーネデザイン)」の観念が生じるから、両者は、観念上、区別できるものである。
そうすると、本件商標と引用商標2とは、文字部分の外観において、近似した印象を与えるものの、称呼において明瞭に聴別できるものであり、観念上、区別できるものであるから、これらが取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
(2)まとめ
上記(1)のとおり、本件商標は、引用商標2と非類似の商標であるから、本件商標の指定商品中には、引用商標2の指定商品と同一又は類似する商品が包含されているとしても、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものではない。
4 むすび
以上により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく、また、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものではなく、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見出せないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-900051