審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
商標異議申立

2024-900042

モツヤキミノル、ミノル

審判番号
2024-900042
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-102017
登録番号
6760190
請求日
2024年02月13日
審決日
2024年08月27日
公報発行日
2024年10月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】根木 知子
  • 【異議申立人】有限会社 サハラ
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人タナベ・パートナーズ国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 大島 勉
  • 審判官 阿曾 裕樹
  • 審判官 小林 裕子
分類
T1652.22 -Y (W43) / T1652.25 -Y (W43) / T1652.271-Y (W43)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6760190号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6760190号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6760190号商標(以下「本件商標」という。)は、「もつやきみのる」の文字を標準文字で表してなり、令和5年9月13日に登録出願、第43類に属する別掲のとおりの役務を指定役務として、同年11月9日に登録査定、同年12月6日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、以下の4件の商標(これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)である。 1 商願2023―115571号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様:もつやきみのる(標準文字) 登録出願日:令和5年10月4日 指定役務:第43類「飲食物の提供」 2 商願2024―7075号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様:MOTSUYAKI-YA みのる 登録出願日:令和6年1月25日 指定役務:第43類「飲食物の提供」 3 商願2024―7076号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様:みのる(標準文字) 登録出願日:令和6年1月25日 指定役務:第43類「飲食物の提供」 4 「motsuyaki & Jazz みのる」(以下「引用商標4」という。)の文字からなり、同人が「飲食物の提供」に使用し、需要者の間に広く認識されていると主張する商標。 なお、引用商標1ないし3については、現在審査に係属中である。 第3 登録異議申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定役務中、第43類「飲食物の提供,日本料理を主とする飲食物の提供,アルコール飲料を主とする飲食物の提供,個々の需要に応じた料理人による飲食物の提供,バーにおける飲食物の提供,レストランにおける飲食物の提供,和食の提供」(以下「申立てに係る役務」という。)について、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第7号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって、取り消されるべきである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第10号について (1)引用商標の周知性について 申立人の代表者の夫(故人)は、1974年(昭和49年)12月7日から、引用商標3「みのる」を使用して飲食店(もつやきを主とする飲食物の提供)を創業した。 その後、1992年(平成4年)11月30日に、申立人は、事業を法人化して夫の事業を引継ぎ、創業以来現在に至るまでの48年間にわたり、東京都目黒区において、引用商標を使用して、飲食物の提供を行っている(甲3~甲5、甲13、甲14)。 申立人の店は、少なくとも目黒区中目黒駅界隈を中心とし、東京都及び神奈川県在住の飲食店利用者及び同店に食料品を卸す事業者等、需要者に広く知られている。 また、申立人の店は、「もつやき みのる」、「MOTSUYAKI-YA みのる」、「みのる」、「motsuyaki & Jazz みのる」として、テレビ、雑誌、書籍等の各種メディアに取り上げられ、全国的にも広く知られており周知又は著名である。 したがって、引用商標は、本件商標の出願時から現在に至るまで申立人の業務に係る役務を表示する商標として需要者の間に広く認識されていることが明白である。 このことは、「私の大好物 PART2」(週刊文春編1997年10月10日)(甲7-1)、「大衆酒場酔考譚33」「週刊文春」(2007年7月26日)(甲7-3)、「VOCE」(2000年3月 講談社)(甲7-2)等、書籍及び雑誌の記事並びに「出没アド街ック天国 中目黒特集」(テレビ東京系列2002年6月1日放送回)のテレビ出演情報からも明らかである(甲7-4)。 また、このことは、ブログやSNSの記事からも明らかであり(甲8、甲9、甲11)、「ぐるなび」、「HOT PEPPER」多数のいわゆるグルメサイトに掲載されていることからも明らかである(甲10)。 さらに、甲第12号証の「証明書」に示すように、令和5年12月から令和6年1月の約1か月で東京都、神奈川県、北海道在住の72名の顧客、取引者、メディアの各氏が、「1.有限会社サハラ(代表者A)は、平成4年11月より現在まで東京都目黒区において、飲食店「MOTSUYAKI-YA みのる」を経営している。2.有限会社サハラ(代表者A)が経営する飲食店「MOTSUYAKI-YA みのる」は、有限会社サハラの経営するお店として広く知られていると理解している。3.「MOTSUYAKI-YA みのる」、「もつやきみのる」、「みのる」は、有限会社(代表者A)にかかる周知の商標であると理解している。」ことについて宣言し、証明している。 その証明書中には、「25年前から通わせていただいています。」(甲12-1)、「35年前からみのるにかよっていた 今60才」(甲12-10)等のコメントが寄せられている。 「飲食物の提供」という役務は、近隣に在住あるいは勤務する顧客が重要かつほとんどの割合を占める需要者であるところ、これだけの需要者が引用商標は申立人の役務に係る商標であると認識しているのであり、引用商標は申立人の業務を表示する商標として、優に周知性を獲得していることが明らかである。 なお、本件商標権者は、2006年(平成18年)に上記申立人が営業する店舗にパートタイム従業員いわゆるアルバイト店員として就職し以降店を辞するまで申立人の店で料理人として働いていたところ、2023年11月8日に申立人の店からほど近い地である東京都目黒区に申立人の店の名称と同一の商標「もつやきみのる」を使用した飲食店を開業し、これに先んじて本件商標「もつやきみのる」を商標登録出願し、商標権を取得した(甲1~甲3、甲15)。 これに鑑みれば、引用商標は、本件商標の出願時から現在において申立人の業務を表示する商標として需要者の間に広く認識されていることが明白である。 (2)商標同一又は類似及び役務の同一又は類似について ア 本件商標と引用商標1とを比較すると、その外観、称呼、観念の全ての要素において同一であり、同一の商標である。 イ 本件商標と引用商標2とを比較すると、少なくとも「もつやきを提供するみのる」なる観念を共通にし、また、「もつやき」部分、「MOTSUYAKI-YA」部分において相違するが、「もつやきを主とする飲食物の提供」においては、「もつやき」部分は自他商品役務識別力に乏しい部分であり、両商標の要部は「みのる」部分にあることから、両商標は類似する。 ウ 本件商標と引用商標3とを比較すると、「もつやき」部分の有無において相違するが、「もつやきを主とする飲食物の提供」においては、「もつやき」部分は自他商品役務識別力に乏しい部分であり、両商標の要部は「みのる」部分にあることから、両商標は類似する。 エ 本件商標と引用商標4とは、「もつやき」部分、「motsuyaki & Jazz」部分において相違するが、「もつやきを主とする飲食物の提供」においては「もつやき」部分は自他商品役務識別力に乏しい部分であり、両商標の要部は「みのる」部分にあることから、両商標は類似する。 オ 本件商標の申立てに係る役務は、「飲食物の提供,日本料理を主とする飲食物の提供,アルコール飲料を主とする飲食物の提供,個々の需要に応じた料理人による飲食物の提供,バーにおける飲食物の提供,レストランにおける飲食物の提供,和食の提供」であり、一方、引用商標は、「飲食物の提供」に使用されている。 よって、両商標の役務は同一又は類似である。 (3)小括 上記のとおり、本件商標「もつやきみのる」は、申立人が「飲食物の提供」について使用し、本件商標の商標登録出願前より取引者、需要者間に広く認識されている引用商標及びこれに類似する商標を、引用商標の指定役務及びこれに類似する役務について使用するものである。 したがって、本件商標のうち申立てに係る役務は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 2 商標法第4条第1項第15号について 上述したように、引用商標は、申立人の役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている(甲3~甲14)。 上述のように、本件商標権者は、本件商標を使用して、申立人と同じ地区に飲食店を開店した(甲15)事実がある。 さらに、本件商標権者は「【11/8 OPEN】もつやき みのる」(「[開店]もつやき みのる - 開店閉店.com」(甲15-2)、「【開店】もつやき みのる 東京都目黒区2023年11月8日(水)オープン」(もつやき みのる 中目黒(中目黒/居酒屋)<ネット予約可>|ホットペッパーグルメ)(甲15-1)において、本件商標権者の住所が記載されているにも関わらず、同ウェブサイト(甲15-1、甲15-2)では、申立人の店内写真(甲13)が用いられており、申立人店舗設計図(甲14)と比較するとより明らかである。 また、本件商標権者は、新規店舗を開店したのにもかかわらず自己の店舗のホームページに本件商標を使用し、かつ「お店が移転しました!」と表記している事実がある(甲15-3)。 さらに、本件商標権者は、いわゆるグルメサイトにおいて、申立人が営業中の店舗にかかるページに、「移転」と表示し改変した事実がある(甲10-4)。 このように本件商標権者は、本件商標を使用して、現に申立人の役務と混同を生じさせる行為を行っている。 よって、引用商標と同一又は類似する本件商標が「飲食物の提供」等に使用された場合、申立人の役務と混同を生じるおそれがある。 したがって、本件商標の指定役務中、申立てに係る役務は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 3 商標法第4条第1項第7号について 上述したように、引用商標は、申立人の役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている(甲3~甲14)。 本件商標権者は、申立人の店にパートタイム従業員いわゆるアルバイト店員として就職し、以降2023年に辞するまで申立人の店で料理人として働いていたが(甲6)、同人は、申立人のあずかり知らぬところで、2023年11月8日に申立人の店からほど近い地、東京都目黒区に申立人の店の名称と同一の商標「もつやきみのる」を使用した飲食店を開業し、これに先んじて本件商標「もつやきみのる」を商標登録出願し、商標権を取得した(甲1、甲2)。 上述のように、本件商標権者は、本件商標を使用して、申立人と同じ地区に飲食店を開店した(甲15)事実がある。 また、上記2のように、本件商標権者のウェブサイト(甲15-1、甲15-2)では、申立人の店内写真(甲13)が用いられ、また、新規店舗を開店したのにもかかわらず自己のウェブサイトに本件商標を使用し、かつ「お店が移転しました!」等と表記し(甲15-3)、さらに、いわゆるグルメサイトにおいて、申立人が営業中の店舗にかかるページに、「移転」と表示をし、改変した事実がある(甲10-4)。 またさらに、現在は返却がなされたものの、申立人は、著名な書家に頼んで作成した「MOTSUYAKI-YA みのる」と書してなる木製看板を所有し、1992年(平成4年)以来店舗入口に設置していたが(甲13)、本件商標権者は、当該木製看板を、申立人に無断で持ち出し自己の店舗に設置せんとする行為を行った事実がある。 このような一連の行為を鑑みるに、本件商標は、本件商標権者が、申立人の周知・著名な引用商標にフリーライドする意思で商標登録を受けたことが明らかであり、本件商標は、公の秩序、善良の風俗を害する商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知・著名性について (1)申立人の主張及び提出された証拠によれば、次のとおりである。 ア 申立人は、飲食店経営等を目的として1992年に設立された会社であり、東京都目黒区に所在する飲食店において、飲食物の提供を行っている(甲3、甲5、甲7)。 イ 申立人の経営する飲食店は、遅くとも1997年頃から、書籍、雑誌、テレビ番組及びブログ等において、「MOTSUYAKI-YA みのる」「みのる」「もつやきみのる」又は「もつ焼き&ジャズ「みのる」」等の名称により紹介されている(甲7~甲9、甲11)。 ウ 申立人に係る飲食店の顧客や取引先、メディア関係の各氏により署名されたとする「証明書」が72枚提出されている(甲12)ところ、これらはいずれも、申立人が、平成4年11月より飲食店「MOTSUYAKI-YA みのる」を経営している旨、当該飲食店が、申立人の経営する店として広く知られていると理解している旨、及び「MOTSUYAKI-YA みのる」「もつやきみのる」「みのる」が申立人に係る周知の商標であると理解している旨を記載した定型の書面である。 (2)上記(1)によれば、申立人は、1992年から継続して、東京都目黒区に所在する飲食店において飲食物の提供を行っており、書籍や雑誌、テレビ番組、ブログ等において、引用商標に通じる「MOTSUYAKI-YA みのる」「みのる」「もつやきみのる」又は「もつ焼き&ジャズ「みのる」」等の名称により、申立人の飲食店が紹介され、利用者が一定数存在したことがうかがえる。 しかしながら、店舗は一店舗のみであるから営業地域は限定的であり、また、上記の書籍や雑誌等のメディアにおける掲載回数は多いものとはいえず、そこで紹介される店舗の名称も統一されていない。 さらに、顧客等が署名した「証明書」とされるものは、その一部には常連客と思われる者により店舗に通った年数等のコメントが追記されているとしても、住所や氏名、記入日を除けば全てあらかじめ印刷された定型の文面のものであることから、その記載内容が客観的な事実を示すものではなく、また、当該証明書の作成に申立人が積極的に関与していることがうかがわれ、信ぴょう性が高いものとはいい難い。 その他、引用商標を使用した申立人の提供する役務について、売上高、シェア及び広告宣伝の地域及び規模等、周知性を客観的に把握できる証拠の提出はない。 したがって、提出された証拠によっては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、一般需要者の間に広く知られていたものと認めることができない。 2 商標法第4条第1項第10号該当性について 上記1のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されているものではない。 したがって、本件商標は、他の要件について検討するまでもなく、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ないから、同項同号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について 上記1のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されているものではない。 また、本件商標は、引用商標1とはその構成文字を共通にするから、類似性の程度が高いといえるものの、引用商標2ないし4とは、構成文字や文字種において相違するから、類似性の程度が高いとはいえない。 そうすると、引用商標は周知性を有するものではなく、また、本件商標と引用商標1の類似性の程度が高いとしても、その他の引用商標とは類似性の程度が高くはないことを踏まえれば、本件商標は、本件商標権者がこれを申立てに係る役務について使用しても、その指定役務に係る一般需要者及び取引者が、周知、著名でもない引用商標を連想又は想起することは考えにくく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはない。 その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第7号該当性について 申立人は、本件商標権者が申立人の従業員であったこと、その後、申立人の店舗の近所に商標「もつやきみのる」を使用した飲食店(甲15、以下「本件店舗」という。)を開業したこと等を述べ、本件商標は、本件商標権者が申立人の周知・著名な引用商標にフリーライドする意思で商標登録を受けたものであり、公の秩序、善良の風俗を害する商標である旨主張する。 しかしながら、上記1のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されているものではない。 また、本件商標権者は一定の期間、申立人の飲食店の従業員であったことがうかがえるものの(甲6)、本件店舗が、本件商標権者の店舗であることを示す証拠(店舗経営者の氏名の記載等)の提出はなく、本件店舗と本件商標権者との関係が明らかではないばかりか、仮に関係があるとしても、申立人主張の事実関係のみから直ちに、本件商標の登録出願の目的及び経緯に不正があるとまでは推し測ることはできない。 なお、申立人は、創業以来現在に至るまでの48年間にわたり、引用商標を使用して、飲食物の提供を行っている旨主張するところ、そうであるならば、申立人は、引用商標を登録出願する機会は十分にあったと考えられる。 そして、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないことは明らかであり、さらに、本件商標をその申立てに係る役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものでもない。 以上のことからすると、本件商標は、その登録を維持することが商標法の予定する秩序に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標とはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 5 むすび 以上のとおり、本件商標は、申立てに係る役務について、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第15号に該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2024-900042

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存