商標異議申立
2024-900041
アモ、エイエムオオ
- 審判番号
- 2024-900041
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-015782
- 登録番号
- 6759458
- 請求日
- 2024年02月13日
- 審決日
- 2024年10月24日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】アモ エスアーエス
- 【権利者代理人】柳田 征史
- 【異議申立人】アドバンスト マイクロ デバイシズ インコーポレーテッド
- 【異議申立人代理人】小林 浩
- 【異議申立人代理人】岡田 貴子
- 【異議申立人代理人】瀧澤 文
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 勉
- 審判官 大島 康浩
- 審判官 阿曾 裕樹
- 分類
- T1651.261-Y (W4245) / T1651.262-Y (W4245) / T1651.263-Y (W4245) / T1651.264-Y (W4245) / T1651.271-Y (W4245)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6759458号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6759458号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6759458号商標(以下「本件商標」という。)は、「AMO」の文字を標準文字で表してなり、2022年(令和4年)12月23日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条の規定による優先権を主張し、令和5年2月16日に登録出願、第42類「メッセージの送受信、音声・ビデオ・写真・画像・視聴覚ファイル及び情報の共有及び保存、ソーシャルネットワーキング、位置情報の共有及び位置データの保存、地図の作成、ナビゲーション、地図の作成及びナビゲーションに関連するデータの保存、拡張現実機能、ビデオゲーム及びその他のオンラインゲームのプレイ、並びにその他の関連サービスのためのダウンロード不可能なソフトウエアのオンラインによる提供,オンラインによるアプリケーションソフトウエアの提供(SaaS),電子データの保存用記憶領域の貸与,電子計算機用プログラムの提供,電子計算機の貸与」及び第45類「オンラインによるソーシャルネットワーキングサービスの提供」を指定役務として、同年11月6日に登録査定され、同年12月5日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、次のとおりである(これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)。
(1)申立人が、本件商標について商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第4145886号商標(以下「引用商標1」という。)は、「AMD」の欧文字を横書してなり、平成7年12月14日に登録出願、第42類「半導体・集積回路・メモリ及び計算機のハードウェアの設計,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」を指定役務として、同10年5月15日に設定登録され、現に有効に存続している。
(2)申立人が、申立人の業務に係る商品及び役務を表すものとして、需要者の間に広く知られていると主張する商標は、「AMD」の欧文字からなる商標(以下「引用商標2」という。)である。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第36号証(以下「甲○」と記載する。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「AMO」を標準文字で表してなる商標である。
引用商標1は、申立人の企業名(Advanced Micro Systems Inc.)の短縮形である「AMD」を同書同大で表してなり、指定役務との関連において需要者の間に広く認識されている商標(甲3~甲36)に該当する。
本件商標と引用商標1は、冒頭の「AM」の二文字において共通し、外観において相紛らわしい「D」と「O」の違いのみであるため、外観上類似する商標である。そして、引用商標2が申立人の略称として周知・著名であることから、フォントのみの違いの引用商標1についても周知・著名であるといえる。
本件商標を目にした需要者は、外観において相紛らわしい「D」と「O」を見間違えて、周知・著名な引用商標1を想起する可能性も高いといえ、外観上類似する商標に該当する。また、本件商標と引用商標1の指定役務は相互に同一又は類似のものである。
本件商標は、先願にあたる他人の登録商標、すなわち引用商標1に類似する商標であって、引用商標1に係る指定役務に類似する役務について使用をするものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標と引用商標2との類似性
本件商標と引用商標2は、冒頭の「AM」の二文字において共通し、外観において相紛らわしい「D」と「O」の違いのみであるため、外観上類似する商標である。そして、引用商標2が申立人の略称として周知・著名であることから、本件商標を目にした需要者は、外観において相紛らわしい「D」と「O」を見間違えて、周知・著名な引用商標2を想起する可能性も高いといえ、外観上類似する商標に該当する。
イ 引用商標2の周知著名性
(ア)申立人は、1969年に米国カリフォルニア州で創立されたグローバルな半導体会社である。その事業内容は、「ハイパフォーマンスコンピューティング、グラフィックス、視覚化技術」に重点を置き、広範な半導体製品を研究開発及び製造販売しており、従業員数は、26,000人である(甲3)。
申立人は、特に力を入れている分野として、データセンター、AI、クラウドコンピューティング、空気力学、スーパーコンピュータ、サステナビリティ、自動運転・高感度センサ・先進運転支援システム等の自動車関連分野、宇宙開発分野、映像等のエンターテインメント分野、ゲーム分野での半導体応用技術開発を挙げている(甲4)。
申立人の日本における事業活動は、1975年2月にスタートし、現在では、スーパーコンピュータから常時接続のクラウドインフラストラクチャー、デスクトップ・ノートPC、ゲーム機まで様々なデバイスで、同社製品が活用されている(甲5)。
(イ)申立人の半導体市場における売上高、世界ランキング、日本市場におけるシェアについては、2023年の決算(2024年1月30日公表)に示す売上高は、226億8千万ドルである(甲6)。令和5年6月に経済産業省商務情報政策局が公表した「半導体・デジタル産業戦略」において申立人の事業との関連で引用商標2に言及されており、先端ロジック半導体に関しては設計能力(ファブレス)のランキングで世界第5位(9.5%)のシェアを占めている(甲7)。
米Gartnerが2024年1月26日に発表した2023年における半導体売上高のメーカーランキングによれば、世界第7位(4.2%)のシェアを占めている(甲8)。総務省の令和5年版情報通信白書データ集第4章第5節「27.日本の半導体市場のシェア」(甲9)によれば、2022年に引用商標2は、日本の半導体市場に占めるシェアが8.0%となっており、そのシェアは1位である。甲第9号証によれば、日本の半導体市場規模は、371.2憶ドルとされているので、そのシェアが8%ということは、申立人の売上げは、29.7億ドルと推計できる。引用商標2が申立人のハウスマークであることを考慮すると、そのような莫大な売上げはすべて引用商標2のブランドに帰属するものといえる。
(ウ)申立人が引用商標2を用いて日本で行った広告宣伝活動は、2018年第三四半期のCPU分野における商品の広告宣伝活動レポート(甲10)、第四四半期の広告宣伝活動レポートである(甲11)。申立人は新製品発表イベント「RYZEN Launch Event」(2017.4.14)(甲12)及び引用商標2「AMD」のブランドのファンのために行ったイベント「AMD FAN FESTIVAL(2017.11.18)(甲13)のほか、Buy More 秋葉原店において2018年4月19日に実施された深夜販売イベント(甲14)、2018年秋のキャンペーン(2018年9月28日~12月2日)(甲15)がある。
また、甲第16号証から甲第36号証は、2017年から2023年にかけて、申立人が日本企業と反復継続的に取引を行っていたことを示す請求書の写しである。
(エ)小括
世界の半導体市場において、2023年時点で第7位のシェアを占め、また2022年時点における日本の半導体市場では、引用商標2が第1位のシェアを占めている。そして、半導体は産業の米とも言われ、工業製品全般に組み込まれることは顕著な事実であり、1975年に日本での事業を開始して継続的に日本での広告宣伝活動を行っており、申立人が日本企業と反復継続的に取引を行っている点などを総合的に考慮すれば、引用商標2は周知著名であることに疑いはない。
次に、申立人が引用商標2を使用している申立人商品役務のうち、とりわけ半導体、中でもCPUは、コンピュータ制御のために欠かせない部品であり、その制御はコンピュータソフトウェアにより行われるものであるから、コンピュータソフトウェアとも密接な関連を有する商品であることは、顕著な事実である。このことを前提に本件商標の商品役務と引用商標2の使用に係る申立人商品役務についてさらに検討する。
本件商標の第42類の指定役務は、いずれもコンピュータプログラムを応用した役務であり、申立人商品役務、とりわけコンピュータ向けの半導体商品やコンピュータ制御のために用いるコンピュータソフトウェアと本件商標の指定役務の需要者(取引者を含む、以下「需要者等」という。)が重複することを考慮すると、申立人の協賛や許可を受けて本件商標をその商標権者が使用しているといった広義の混同が生じるおそれがある。特に、申立人商品役務は、汎用コンピュータやソフトウェアの販売業者を通じてインターネットで販売されるケースも多いことから、本件商標の第42類の指定役務の需要者等と申立人商品役務の需要者等並びに商品及び役務の提供ルートが重複する可能性が高い。
本件商標の第45類の指定役務について検討すると、ソーシャルネットワーキングサービスの利用にはパソコン、携帯電話、スマートフォン等を使用してアクセスする性質から、需要者は一定程度コンピュータ、コンピュータプログラムの利用者と重複するため、申立人の協賛や許可を受けて引用商標2をその商標権者が使用しているといった広義の混同が生じるおそれがある。
(オ)まとめ
総合すると、引用商標2の周知著名性については、半導体市場において、2023年時点で世界第7位のシェア、2022年時点で日本第1位のシェアを引用商標2「AMD」が占めており、半導体は産業の米ともいわれ、工業製品全般に組み込まれることは顕著な事実であって、1975年に日本での事業を開始して継続的に日本での広告宣伝活動を行っている。そして、申立人が日本企業と反復継続的に取引を行っていることなど、これらの点を総合的に考慮すれば引用商標2は周知著名であることに疑いはない。
引用商標2が申立人の略称として周知・著名であることから、本件商標を目にした需要者等は、外観において相紛らわしい「D」と「O」を見間違えて、周知著名な引用商標2を想起する可能性も高いといえる。
結論として、本件商標は引用商標2との関連において、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標に該当することは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 当審の判断
(1)引用商標2の周知性について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、1969年に米国カリフォルニア州で創立されたグローバルな半導体会社である(甲3)。
2023年の決算(決算発表日:2024年1月30日)における売上高は、226億8千万ドルである(甲6)。
令和5年6月に経済産業省商務情報政策局が公表した「半導体・デジタル産業戦略」(甲7)において、申立人の事業との関連で引用商標2が申立人の略称として記載されており、先端ロジック半導体に関しては設計能力(ファブレス)のランキングで世界第5位(9.5%)のシェアを占めている。
また、米Gartnerが2024年1月26日に発表した、2023年における半導体売上高のメーカーランキングによれば、「AMD」が世界第7位(4.2%)のシェアを占めている(甲8)。
さらに、総務省の「情報通信白書令和5年版データ集」、第4章第5節「27.日本の半導体市場のシェア」によれば、「Advavced Micro Devices(AMD)」が8.0%と表示されており、申立人の日本の半導体市場におけるシェアは1位である(甲9)。
(イ)上記からすると、申立人は、半導体会社であって、その略称として「AMD」と表示されており、申立人の事業に関する2022年の日本における半導体市場のシェアが1位などであることからすると、引用商標2は、半導体の市場においては、本件商標の登録出願時及び登録査定時に我が国の取引者、需要者の間においては、相当程度認識されていたといえる。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「AMO」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「エイエムオオ」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に掲載されておらず、特定の意味合いを理解させるものではないから、特定の観念を生じない。
イ 引用商標1
引用商標1は、上記2(1)のとおり、「AMD」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「エイエムデイ」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に掲載されておらず、特定の意味合いを理解させるものではないから、特定の観念を生じない。
ウ 本件商標と引用商標1との類否
本件商標と引用商標の外観を比較すると、「AMO」と「AMD」の構成文字は、「AM」の文字を共通にするものの、3文字という短い構成文字数において語尾の「O」と「D」の差異があり、互いにつづりの異なる別異の語を表してなると容易に認識できるから、外観は、明確に区別できる。
また、称呼においては、本件商標から生じる「エイエムオオ」の称呼と、引用商標1から生じる「エイエムデイ」の称呼とは、短い音数からなる語尾の「オオ」の音と「デイ」の音の差異は、両称呼全体に及ぼす影響は小さくなく、それぞれを一連に称呼しても、両称呼は聞き誤るおそれはなく、明瞭に聴別し得る。
さらに、観念においては、本件商標及び引用商標1は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。
したがって、本件商標と引用商標1とは、観念において比較することができないとしても、外観上明らかに相違し、称呼においても聞き誤るおそれがないから、両者の外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は類似する商標とは認められない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標1は非類似の商標であるから、本件商標の指定役務が引用商標1の指定役務と同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標2は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして半導体市場等の取引者及び需要者の間においては、相当程度認識されている。しかしながら、上記(2)における引用商標1との比較と同様に、本件商標「AMO」は、引用商標2「AMD」とは、互いにつづりの異なる別異の語を表してなり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきであり、また、本件商標の指定役務は、申立人の使用に係る商品「半導体」を含むものではなく、必ずしも密接な関連性はない。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品役務の出所について混同を生ずるおそれはない。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号の規定に違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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