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商標異議申立

2024-900029

エルジイヘッド

審判番号
2024-900029
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-057458
登録番号
6758518
請求日
2024年02月02日
審決日
2024年10月24日
公報発行日
2024年11月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社ジャッカル
  • 【異議申立人】ヘッド、テクノロジー、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング
  • 【異議申立人代理人】水野 勝文
  • 【異議申立人代理人】和田 光子
  • 【異議申立人代理人】保崎 明弘
  • 【異議申立人代理人】鈴木 亜美
  • 【異議申立人代理人】竹山 尚治
審判長/審判官
  • 審判長 鈴木 雅也
  • 審判官 小田 昌子
  • 審判官 馬場 秀敏
分類
T1651.261-Y (W28) / T1651.262-Y (W28) / T1651.263-Y (W28) / T1651.23 -Y (W28) / T1651.271-Y (W28) / T1651.222-Y (W28)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第8号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6758518号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6758518号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6758518号商標(以下「本件商標」という。)は、「LG HEAD」の文字を標準文字で表してなり、令和5年5月26日に登録出願、第28類「釣り具」を指定商品として、同年11月14日に登録査定され、同月30日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立てにおいて、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 (1)登録第1070887号の1商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成 HEAD 指定商品 第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 登録出願日 昭和42年5月29日 設定登録日 昭和49年6月10日 書換登録日 平成17年3月2日 分割登録日 平成17年7月15日 最新更新申請 令和5年12月27日 (2)登録第5555002号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成 HEAD Japan(標準文字) 指定商品 第9類、第18類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 登録出願日 平成24年2月21日 設定登録日 平成25年2月8日 なお、以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていう場合は、「11号引用商標」という。 2 申立人が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第8号、同項第15号及び同項第19号に該当するとして引用する商標(以下「使用商標」という。)は、「HEAD」の欧文字よりなる商標であり、同人が長年にわたり、継続的にスポーツ用品、スポーツウェアについて使用して需要者の間に広く知られていると主張するものである。 なお、以下、11号引用商標と使用商標をまとめていう場合は、「申立人商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号及び同項第8号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第197号証(甲第135号証ないし甲第142号証は欠番。)を提出した。なお、「甲第○号証(○は数字)」を「甲○」と表す場合がある。 1 商標法第4条第1項第11号に該当する点について (1)本件商標は、アルファベット2文字「LG」と「HEAD」の間にスペースを配してなるところ、アルファベット2文字は、商品の品番、型番などとして判断されるものであり、本件商標は「品番LGのHEAD」と認識される。 そのため、本件商標の要部は「HEAD」であり、「LG HEAD」全体のみならず、識別力のない部分を捨象した「HEAD」部分のみも自然に認識され、取引されるものである。 よって、本件商標からは、「エルジイヘッド」の称呼以外にも「ヘッド」の称呼が生じる。 観念については、「LG型の頭」や「LG型の申立人の著名商標(HEAD)」を認識する。 (2)ア 引用商標1は、アルファベットで「HEAD」と書してなる商標である。 イ 引用商標2は、「HEAD Japan」の文字を標準文字で書してなる商標である。 引用商標2の「HEAD」の文字部分は、申立人の著名商標である一方、「Japan」の文字部分からは「日本」や「日本法人」程度の意味合いを看取させるにすぎず、その識別力は極めて弱いものであり、また、それぞれの構成文字は、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではないから、引用商標2の要部は「HEAD」である。 そのため11号引用商標からは、「ヘッド」の称呼、「頭」及び「申立人の著名商標(HEAD)」の観念が生じる。 (3)ア 申立人は、オーストリア国ケンネルバッハに本社を置くオーストリア法人であり、1950年の創業以来世界中において大規模な事業展開をしてきた一流スポーツメーカーである(甲4)。 申立人は、スキー用具、スノーボード用品、テニス用品、その他運動用バッグ、ウェア、アクセサリー等を世界中で販売し(甲5、甲6)、使用商標を、これら多岐にわたる商品に大々的に使用してきた。これにより、使用商標は申立人を直接的に表す一流スポーツブランドとして世界的に著名となり、高い信頼と名声を獲得し、世界中の人々に支持されてきた。 そして、使用商標は、無効2004-89079号事件(甲7)、知財高裁平成18年(行ケ)第10307号審決取消請求事件(甲8)において、我が国におけるスポーツ用品(特に、「被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,袋物」)の著名商標と認定され、J-PlatPatの日本国周知・著名商標検索にも申立人が所有する一部の商標が掲載されている(甲9)。 そうすると、本件商標の後半に位置する「HEAD」の文字部分は、一般的には「頭」との観念を有するが、申立人の出所を示す著名商標としても、これに接する取引者・需要者に認識されるものである。 したがって、本件商標の構成中「HEAD」の文字部分が、取引者・需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることは明らかである。 イ 本件商標中「LG」は、極めて簡単で、かつありふれた標章に該当し、さらに、釣り業界において、軽量なルアーやタックルを使い、誰でも手軽に楽しむことができる釣り方を「ライトゲーム」と称しており(甲10、甲11)、そのようなライトゲームに適した釣り具に「LG」の品番を付けて製造販売されていることが一般的に行われている(甲12~甲15)。 そのため、本件商標は識別力を有しない文字「LG」と特徴のある「HEAD」の文字の組合せであり、「HEAD」部分のみが分離されるものである。 ウ 本件商標は、後半に位置する「HEAD」の文字部分は申立人の著名商標として取引者、需要者に認識されているため、指定商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。 これに対して、前半に位置する「LG」の文字部分は本件商標に係る指定商品との関係において単に品番記号と捉えられ識別力を有しないものであるから、出所識別標識としての称呼、観念は生じないものである。 したがって、本件商標に接する取引者、需要者が本件商標を全体で一体の造語商標と認識するとは到底考えられず、むしろ、本件商標中「HEAD」が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与え、さらに、「LG」からは商品の出所識別標識としての称呼、観念が生じないことから、本件商標の構成部分の一部である「HEAD」の文字部分を要部として抽出し、当該文字部分のみを引用商標と比較して商標そのものの類否が判断されるものである。 そうすると、本件商標は、その構成全体から生じる「エルジイヘッド」の称呼の他に、要部である「HEAD」部分より、「ヘッド」の称呼及び「頭」、「申立人の著名商標」との観念が生じるものである。 エ 11号引用商標は、いずれもその文字に照応した「ヘッド」の称呼及び「頭」、「申立人の著名商標」との観念が生じるものである。 オ 本件商標の要部である「HEAD」部分と11号引用商標を対比すると、称呼及び観念については、「ヘッド」の称呼及び「頭」、「申立人の著名商標」との観念を共通にし、外観については、同一である。 そして、本件商標の構成中、「LG」の欧文字は商品の品番記号等として一般的に、また、本件商標の指定商品である釣り具の業界においても使用されていることなどを総合的に勘案し、時と場所を異にして指定商品の需要者が通常有する注意力を基準として判断すれば、本件商標と11号引用商標は相紛れるおそれの高い類似の商標である。 カ 本件商標の指定商品中、第28類「釣り具」は、11号引用商標に係る指定商品、第28類「釣り具」と同一の商品である。 キ 以上のことから、本件商標は引用商標に類似すると判断されるべきである。 (4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第15号に該当する点について (1)申立人は、使用商標を長年にわたり継続的にスキー用具、スノーボード用品、テニス用品、その他運動用バッグ、ウェア、アクセサリー等について使用しており、使用商標は申立人を直接的に表す一流スポーツブランド(以下「HEADブランド商品」という。)として世界的に著名となり、高い信頼と名声を獲得し、世界中の人々に支持されてきた(甲18~甲192)。 (2)全世界におけるHEADブランド商品の売上げは、過去3年間、毎年350億円以上あり、2020年は約372億円、2021年は約443億円、2022年は約648億円である。また、申立人はこれらの売上げの10%以上を広告宣伝費に費やしている。 日本においても、HEADブランド商品の売上げは毎年20億円以上あり、2021年は約21億円、2022年は約27億円以上であり、日本における広告宣伝費には毎年平均1億円程度費やしている。 さらに、2022年、テニスラケットのヨーロッパにおけるマーケットシェアは第2位、約30%であり、日本においては第5位、約13.1%である(甲193)。 2022年、スキー板のヨーロッパにおけるマーケットシェアは第2位、約19%であり、日本においては第3位、約8.3%を誇る(甲194)。 したがって、使用商標は申立人の業務に係るスポーツ用品や被服、履物等に関する出所識別標識として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において著名であり、その著名性の程度は極めて高いものである。 (3)11号引用商標と本件商標が類似することは上記1のとおりであり、申立人と何ら関係のない商標権者等が本件商標をその指定商品について使用すれば、申立人の業務に係る商品と混同され、その出所につき誤認させるおそれがある。 また、本件商標の後半に位置する「HEAD」の文字部分は申立人の著名商標として上記(2)のとおり認識され、前半に位置する「LG」の文字部分は商品の品番表示として一般に使用されている。 さらに、グローブライド株式会社は、釣りブランドのDAIWAと、テニスブランドのprinceの両方を取り扱っており(甲195)、そのどちらもが有名なブランドである。 そのため、業界としてもテニスメーカーが釣り具を、又はその反対を行うことは自然であり、本件商標に接した取引者・需要者が、申立人が新たに始めた釣り具ブランドであるとその出所について混同する、あるいは本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)を申立人と経済的又は組織的に何らかの関係があると誤認し、その商品等の需要者が商品等の出所について混同するおそれがある。 以上のことを総合的に勘案すれば、仮に本件商標と引用商標が類似しないとしても、申立人と何ら関係のない商標権者等が本件商標を係る指定商品について使用するときは、あたかも申立人の系列会社等の緊密な営業上の関係にある営業主の業務に係る商品であると、取引者、需要者に誤信されるおそれが多分に存するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 3 商標法第4条第1項第19号に該当する点について 使用商標が我が国及び外国における需要者の間に広く認識されており(甲18~甲194)、また、本件商標と使用商標が類似する商標であり、加えて、商標権者は、不正の目的をもって本件商標を係る商品等に使用をするものであると容易に推認することができる。 すなわち、本件商標の構成中の「HEAD」の文字は、その著名性の高さ故にGoogleやYahooなどの検索エンジンで検索すれば常に上位に表示され(甲196、甲197)、使用商標がスポーツ用品、関連用品などに関する申立人の著名商標であることは容易に把握することができる。 そうすると、商標権者が申立人の「HEAD」ブランドを全く知らなかったとは考えにくく、むしろ、著名な使用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等にフリーライドする意図を持って本件商標を採択したと考えるのが自然であり、本件商標がその指定商品に使用されれば、著名な使用商標に化体した信用や名声等を毀損させるおそれが多分に存するものである。 以上のことを総合的に勘案すれば、商標権者は、不正の目的をもって本件商標を係る指定商品に使用をするものであると容易に推認することができる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 4 商標法第4条第1項第8号に該当する点について 申立人は1950年に創業したオーストリア国ケンネルバッハに本社を置くオーストリア法人であり、その名称「Head Technology GmbH(ヘッド、テクノロジー、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング)」の略称「HEAD」でブランド展開をし、現在、ヘッド・グループはヨーロッパ、アメリカを中心に世界80か国以上に販売網を持つに至っている(甲4)。 そして、申立人は「HEAD」の認知度向上に努め、本件商標の登録出願時においては、既に申立人を指し示す略称としても世界中の人々に受け入れられているものである(甲18~甲194)。 他方、本件商標の構成中「LG」は、品番記号として実際に本件指定商品「釣り具」について使用されているものである。 そうすると、本件商標の構成中、「HEAD」の文字が申立人の著名な略称として認識されるものであり、本件商標に接する取引者、需要者が本件商標を常に全体で一体の造語商標と認識する、若しくは、申立人の著名な略称「HEAD」が埋没して認識されないということは考えられず、本件商標は、明らかに申立人の名称の著名な略称を含む商標である。 そして、商標権者は本件商標を出願することについて申立人の承諾を得ていない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。 第4 当審の判断 1 使用商標の周知著名性について 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、申立人は、1950年に創業し、現在はオーストリア国ケンネルバッハに本社を置くオーストリア法人であり、アメリカを中心に世界80か国以上で事業を展開しているスポーツ用品メーカーである(申立人主張、甲4)。 そして、申立人の取り扱うスキー板及びスキーブーツ等のスキー用品、テニスラケット及びテニス用バッグ等のテニス用品に使用商標が使用されていることが、申立人のカタログ及び1996年ないし2023年の各種雑誌等に掲載された記事により確認できること(甲5、甲6、甲18~甲38、甲77、甲86~甲93ほか)、株式会社矢野経済研究所の「2023年版 スポーツ産業白書」によれば、HEAD Japan(株)に係る硬式テニスラケット及びスキー板の国内出荷数量・金額は、2020年、2021年、2022年(見込)及び2023年(予測)において、いずれも上位5位以内となっていること(甲193、甲194)、申立人は、テニス等の人気選手と専属契約し(甲69、甲70)、国際的なテニス大会での宣伝広告を行ったこと(甲39~甲42)から、使用商標「HEAD」は、本件商標の登録出願前から、登録査定日はもとより現在においても継続して、申立人の取り扱うスキー板及びスキーブーツ等のスキー用品、テニスラケット及びテニス用バッグ等のテニス用品などを表示するものとして、上記商品の需要者の間に広く認識されているといい得るものである。 しかしながら、申立人が提出した証拠によっても、使用商標は、主として「スキー用品」及び「テニス用品」に使用されているにすぎず、上記商品を取り扱う分野以外の商品の取引者、需要者の間において広く知られていると認めるに足りる証拠を見いだすことができない。 そうすると、「HEAD」の文字からなる使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「スキー用品」及び「テニス用品」を取り扱う分野の取引者、需要者の間に広く認識されているとしても、上記分野の商品以外の商品の取引者、需要者の間に、申立人又は申立人が取り扱う商品を表示するものとして、広く認識されていたものと認めることができない。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、「LG HEAD」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「LG」と「HEAD」の間に1文字程度の間隔を有するとしても、同じ書体、同じ大きさで表され、視覚上、一体的に看取し得るものであって、その構成文字全体に相応して生じる「エルジイヘッド」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。 そして、本件商標の構成中の「LG」の文字が、欧文字の欧文2字にすぎず、簡単、かつ、ありふれたものであって、「HEAD」の文字が「頭」等の意味を有する英語(「ジーニアス英和辞典 第5版」株式会社大修館書店)であったとしても、上記のようなまとまりのよい構成においては、当該文字から「頭」との漠然とした関連性を連想させることがあるとしても、本件商標の構成においては、「LG HEAD」の構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるというのが相当である。 さらに、本件商標は、その構成中「HEAD」の文字部分が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるような構成よりなるものではなく、また、それ以外の文字部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないという理由も見いだせない。 そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「エルジイヘッド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 なお、申立人は、本件商標の構成中「LG」の文字は、軽量なルアーやタックルを使い、誰でも手軽に楽しむことができる釣り方「ライトゲーム」と称し、それに適した釣り具に「LG」の品番を付して製造販売されていることが一般的に行われているから、その指定商品との関係において識別力がない旨主張するが、提出された証拠によれば、上記のような釣り方に「ライトゲーム」の文字が使用されていることはうかがえ、「LG」の文字が、「ライトゲーム」の文字とともに表示されている、又は「LG」の文字が他の文字とともに釣り具に使用されている例(甲12~甲15)があり、「LG」の文字が使われているという事実はうかがい知ることができるとしても、その用法は、証拠はわずか数件であり、かつ、一律の方法で使用されているものとはいえないから、当該文字が特定の釣り具用の商品を表示するものとして一般的に使用されていると客観的に認める実情があるとはいい難く、申立人の上記主張は認めることができない。 (2)11号引用商標について ア 引用商標1について 引用商標1は、「HEAD」の欧文字を横書きにしてなるところ、その構成文字に相応して、「ヘッド」の称呼を生じ、「頭」の観念が生じるものである。 イ 引用商標2について 引用商標2は、「HEAD Japan」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「Japan」の文字は、「日本」を意味する英語(前掲書)であり、商品の産地や販売地などを表示する語として認識されるため、出所識別標識としての機能を有しないものといえる。 そうすると、引用商標2は、その構成中の「HEAD」の文字が需要者、取引者において、強く支配的な印象を与えるものといえ、当該文字部分を要部として抽出し、当該文字部分のみを本件商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。 したがって、引用商標2は、その構成中の要部といえる「HEAD」の文字に相応して、「ヘッド」の称呼及び「頭」の観念が生じるものである。 (3)本件商標と11号引用商標との類否について 本件商標と11号引用商標は、語頭の「LG」の文字の有無の差異があるから、外観において、判然と区別し得るものである。 また、本件商標の構成文字より生じる「エルジイヘッド」の称呼と引用商標1及び引用商標2の要部から生じる「ヘッド」の称呼とは、「エルジイ」の音の有無により、明瞭に聴別し得るものである。 さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであるから、「頭」の観念を生じる引用商標1及び引用商標2の要部とは、観念において相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標は、11号引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標というべきである。 したがって、本件商標の指定商品と11号引用商標の指定商品が類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について 上記1のとおり、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「スキー用品」及び「テニス用品」を取り扱う分野の取引者、需要者の間においては、広く認識されているとしても、上記分野以外の商品の取引者、需要者の間において、申立人又は申立人が取り扱う商品を表示するものとして、広く認識されていたものと認めることができない。 また、上記2(3)のとおり、本件商標は、「HEAD」の文字を横書きしてなる引用商標1とは非類似であり別異の商標であるから、同様に、「HEAD」の文字からなる使用商標についても非類似であり別異の商標であるといえるから、本件商標と使用商標の類似性の程度は低い。 そして、「HEAD」の文字は、「頭」を意味する我が国で親しまれた英語であり、使用商標は独創性が低いものである。 さらに、本件商標の指定商品「釣り具」と申立人の業務として広く認識されると認め得る商品「スキー用品」及び「テニス用品」は、一般的には、商品の製造者及び需要者層も一致せず、関連性が低いものであること等からすれば、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者が、申立人又は使用商標を連想、想起することはないと判断するのが相当である。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、需要者が、申立人又は使用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 その他、本件商標が申立人の業務に係る商品と出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第19号該当性について 商標法第4条第1項第19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定しているところ、上記1のとおり、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標の指定商品の分野の需要者の間において広く認識されているとはいえないものであり、また、上記3のとおり、本件商標は、使用商標とは非類似の商標である。 そして、申立人の提出に係る証拠からは、商標権者が、不正の利益を得る目的、他人(申立人)に損害を加える目的、その他の不正の目的をもって本件商標を登録出願し、登録を受けたと認めるに足りる具体的事実を見いだすこともできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第8号該当性について 商標法第4条第1項第8号における「著名な略称」に関して、「人の名称等の略称が同号にいう「著名な略称」に該当するか否かを判断するについても、常に、問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当でなく、その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべきものということができる。」と解されるものである(最高裁平成16年(行ヒ)第343号平成17年7月22日第二小法廷判決参照)。 そして、申立人は、本件商標は、申立人の著名な略称である「HEAD」を含むものである旨主張している。 しかしながら、上記1のとおり、「HEAD」の文字が、スキー用品及びテニス用品などの需要者の間において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されているとしても、上記分野の商品以外の商品の取引者、需要者の間に、申立人又は申立人が取り扱う商品を表示するものとして、広く認識されていたものと認めることができないものであり、また、「HEAD」の文字は「頭」の意味を有する平易な英語であることもあわせて考慮すれば、当該文字が申立人の略称を指し示すものとして一般に受け入れられているとはいい難いものである。 そうすると、本件商標は、その構成中に他人の著名な略称を含むものということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。 6 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-900029

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