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商標異議申立

2024-900027

キッドエポック

審判番号
2024-900027
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-031081
登録番号
6757530
請求日
2024年02月02日
審決日
2024年07月09日
公報発行日
2025年07月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】广東豊高印刷科技股▲ふぇん▼有限公司
  • 【異議申立人】株式会社 エポック社
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人信栄事務所
審判長/審判官
  • 審判長 鈴木 雅也
  • 審判官 馬場 秀敏
  • 審判官 岩谷 禎枝
分類
T1652.25 -Y (W28) / T1652.261-Y (W28) / T1652.262-Y (W28) / T1652.263-Y (W28) / T1652.271-Y (W28) / T1652.222-Y (W28)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項、商標法第43条の2第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6757530号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6757530号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6757530号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和5年3月23日に登録出願、第28類「ビンゴゲーム用カード,トランプ,ゲーム用トレーディングカード,クリスマスツリー用装飾品(照明・ろうそく及び菓子を除く。),くじ引きゲーム用スクラッチカード,紙製パーティー用帽子,面(おもちゃ),おもちゃのパテ,おもちゃ,積み木(おもちゃ),ペット用のおもちゃ,パーティー用風船,熊のぬいぐるみ,フライングディスク(おもちゃ),ジグソーパズル,シャボン玉おもちゃ,おもちゃの乗物,パーティ用おもちゃ,フラシ天おもちゃ,ピニャータ」及び第16類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年9月28日に登録査定され、同年11月28日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は、次の(1)ないし(3)のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 (1)登録第3142071号商標(以下「引用商標1」という。)は、「EPOCH」の欧文字を横書きしてなり、平成5年4月19日に登録出願、第28類「遊戯用器具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲ―ム,チェス用具,チェッカ―用具,手品用具,ドミノ用具,マ―ジャン用具,おもちゃ,人形,運動用具,釣具」を指定商品として、同8年4月30日に設定登録されたものである。 (2)登録第5141590号商標(以下「引用商標2」という。)は、「EPOCH」の文字を標準文字で表してなり、平成19年3月26日に登録出願、第28類「スキーワックス,おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,トレーディングカードゲーム用カード,タロットカード,遊戯用カード,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,釣り具,昆虫採集用具」を指定商品として、同20年6月13日に設定登録されたものである。 (3)登録第5141595号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成19年3月28日に登録出願、第28類「スキーワックス,おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,トレーディングカードゲーム用カード,タロットカード,遊戯用カード,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,釣り具,昆虫採集用具」を指定商品として、同20年6月13日に設定登録されたものである。 2 申立人が申立人の取扱いに係る商品「玩具」等(以下「申立人商品」という。)に使用して、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていると主張する商標は、「EPOCH」の文字よりなる商標(以下「引用標章」という。)である。 なお、以下、引用商標と引用標章をまとめていうときは「申立人商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品中、第28類「ビンゴゲーム用カード,トランプ,ゲーム用トレーディングカード,クリスマスツリー用装飾品(照明・ろうそく及び菓子を除く。),くじ引きゲーム用スクラッチカード,紙製パーティー用帽子,面(おもちゃ),おもちゃのパテ,おもちゃ,積み木(おもちゃ),パーティー用風船,熊のぬいぐるみ,フライングディスク(おもちゃ),ジグソーパズル,シャボン玉おもちゃ,おもちゃの乗物,パーティ用おもちゃ,フラシ天おもちゃ,ピニャータ」(以下「異議申立商品」という。)について、商標法第4条第1項第第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証(枝番号を含む。)を提出した。 なお、証拠の表記に当たっては、甲第1号証を「甲1」のように省略して記載する場合があり、枝番号のすべてを表示する場合は枝番号を省略する。 1 本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、「KiDEPOCH」の文字を二重線にて白抜きに表したものである(甲1)。 我が国における英語の普及度を考慮すると、「kid」(大文字表記等も含める。)は、「子供」を表す英語として馴染みのあるものであって、広く一般に知られているものであるから(甲5)、本件商標を目にした者は、冒頭の「KiD」の文字部分から「子供」を直観的に想起し思い浮かべるというべきであり、本件商標が異議申立商品に使用されたとき、これに接する需要者は、冒頭の「KiD」の文字から当該商品は子供向けのものであると直感するものであるから、需要者の意識や記憶、印象として強く残るのは、それに続く「EPOCH」の文字部分ということになる。 本件商標は、これを称呼するとき「キッドエポック」の称呼を生ずるものであるが、「キッド」と「エポック」の2音節として聞こえる上に、「キッド」の音が弱く発音されることから2音節目の「エ」の音にアクセントが生ずることとなり、聴く者には「エポック」の音が耳に残り強い印象を与える。 本件商標を異議申立商品に使用するとき、冒頭の「KiD」の文字部分が、商品の品質・用途を表すものと認識されるものであるから、本件商標の要部(商品の識別標識としての機能を果たす部分)は、残余の「EPOCH」の文字部分であるといわざるを得ない。 本件商標が同じ書体で表された一体のものであるとして、一連に称呼されるとしても、本件商標に接したり、称呼を耳にした者は、「KiD」(キッド)から「子供」を想起し、これに続く「EPOCH」(エポック)の部分に着目することとなり、その結果「EPOCH」の部分が強く印象に残るから、本件商標の要部は「EPOCH」であると考えるのが合理的である。 本件商標は、冒頭の「KiD」の文字が子供を意図したものであり、子供を認識させるものであることは、その使用事実が明らかにしており、裏付けているものである(甲6)。 商標が同じ書体で表された一体の商標であっても、周知・著名な商標を含む場合は、当該部分を要部として商標の混同を認めた判決(東京高裁 平9年(行ケ)278号)もあり(甲7)、本件商標が同一書体で表された一体の商標であっても、これが分断と要部抽出を妨げるものではないことは明らかである。 2 申立人商標と申立人商標の周知性及び著名性について ア 申立人商標 申立人が、本件商標は、異議申立商品について、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして引用する商標及び標章は「EPOCH」であり、引用商標は、商標登録されている(甲2~甲4)。 イ 申立人商標の周知性及び著名性 申立人は、昭和33年(1958年)に設立された株式会社であり、玩具、ホビー、雑貨等の開発、製造、販売を手掛けており、創業当初(1958年)から今日まで約66年の永きにわたり「EPOCH」を商標として使用して企業活動を行っている。 申立人は、展示会、新聞・雑誌、TV、インターネット等において宣伝・広告を行い、申立人商標の浸透に努めている。 展示会は、昭和37年(1962年)に開催された「第1回日本玩具国際見本市」から60回目の開催となる令和5年(2023年)の「東京おもちゃショー」まで毎回出展し(甲8)、申立人商標を表示した商品を展示している。 「東京おもちゃショー」は、一般財団法人日本玩具協会(以下「玩具協会」という。)が主催し、東京都が共催、経済産業省が後援する国内最大規模の玩具展示会であって(甲9)、ビジネス関係者向けの「商談見本市」2日間と一般向けの「一般公開」2日間の計4日間の開催であるが、国内外のバイヤーや業者・業界関係者及び一般来場者合わせて期間中に16万人程が来場している(甲10)。 「東京おもちゃショー」では、主催者である玩具協会が、良質で安心して楽しんでいただけるおもちゃをより多く生み出し、普及させることを願い、平成20年(2008年)に創設した「日本おもちゃ大賞」の受賞商品を会場の展示スペースに展示(その年の受賞商品を展示)するため、来場者は、受賞商品に関心を持つところ、申立人商品は、創設年(2008年)から昨年(2023年)まで、毎年「おもちゃ大賞」又はおもちゃ大賞に次ぐ「優秀賞」を受賞しており(甲11)、「東京おもちゃショー」の展示スペースに展示されたため、申立人商標は申立人商品とともに来場者の目に留まり記憶に残っているものと思料する。 申立人の60年にも及び国内最大規模の玩具の展示会である「東京おもちゃショー」への出展と、当該展示会場内の「日本おもちゃ大賞」展示スペースでの申立人商品の展示は、申立人商標及び申立人の商号「株式会社エポック社」とその略称「エポック社」及び「エポック」の周知性及び著名性の獲得に大きく寄与している。 申立人は、昭和35年(1960年)に、プロ野球読売巨人軍の長嶋茂雄選手(現読売ジャイアンツ終身名誉監督、2013年に国民栄誉賞、2021年に文化勲章を受章)と広告契約し、玩具業界初のテレビ宣伝を実施したこと、また、喜劇俳優の大村崑氏がCMキャラクターを務めたことは、申立人商品及び申立人商標を広く一般に知らしめることに寄与した(甲12の1)。 申立人は、子供に大人気のテレビアニメ「ドラえもん」(テレビ朝日)のメインスポンサーを昭和59年(1984年)10月から平成17年(2005年)3月まで20年以上の永きにわたり務めており(甲12の2、甲13)、この間のCMによる宣伝広告は、申立人商標が広く一般に知られるに至り周知・著名となることに寄与している。 関西テレビとフジテレビ系で昭和55年(1980年)3月20日から昭和62年(1987年)3月29日まで7年間放送されたTV番組「三枝の爆笑美女対談」では、申立人商品「ドンケツゲーム」(甲14)が番組のラストで登場し、三枝(現6代目桂文枝)とゲストがこのゲームを行い、申立人商品「ドンケツゲーム」が注目されたことも申立人商標の周知性及び著名性の獲得に少なからず寄与しているものと思料する。 以下の申立人商品は、最近の申立人商品カタログ(当該商品カタログには申立人商標が付されている。)にも掲載されていることからも分かるように、申立人の主要商品であり、かつ、今日まで多くの需要者に愛されている有名な商品であり(甲21:直近6年分の商品カタログから一部抜粋)、申立人商標は、これらの商品を通じで需要者に広く知られることなり周知であり著名なものとなっている。 野球盤は、昭和33年(1958年)に初代を発売し、昭和48年(1973年)には外箱に長嶋茂雄選手の写真とサインを大きく印刷した商品を、昭和57年(1982年)には巨人軍・原辰徳選手の写真を外箱に大きく印刷した商品を、平成11年(1999年)には松坂大輔選手の写真を外箱に印刷した商品を、平成24年(2012年)には「ドラえもん」の世界観を表現した「ドラえもん野球盤」を、平成30年(2018年)には「スーパーマリオ野球盤」を、令和2年(2020年)には「侍ジャパン 野球日本代表Ver.」を発売するなどして、今日まで継続して製造・販売している。そして、申立人の野球盤は、日本おもちゃ大賞の「おもちゃ大賞」を2回、大賞に次ぐ「優秀賞」に5回選ばれており(甲11)、野球盤の人気ランキング10選では、1位から10位まで独占することもあり(甲15)、需要者の間では商品はもとより申立人商標は周知であり著名なものである。 「シルバニアファミリー」(登録商標)は、昭和60年(1985年)に発売し、今日まで、38年もの永きにわたり多くの子供たち(主に3歳から8歳の女の子が対象)を楽しませ、これまでに「日本おもちゃ大賞」の「優秀賞」を3回受賞しており、2012年には、「世界中40か国以上の国々で多くの消費者に支持され、日本初の、世界中の女の子の夢を育てる玩具として世界的に売上を拡大している」として、その功績が称えられ「特別賞」を受賞している(甲11)。 この商品は、コレクショントイの分野での大人の客層拡大にも寄与したとの評価を得ており(甲16)、3世代にわたり愛され続けられており、申立人商標は、この商品を通じ需要者に広く知られている。 「アクアビーズ」(登録商標)は、平成16年(2004年)に発売した世界で初めての水でくっつく不思議なビーズであり、様々な形の作品が作れることから人気があり、今では世界各国で販売しており、申立人商品とともに申立人商標も広く知られている。なお、「アクアビーズ」は、「日本おもちゃ大賞」の「優秀賞」を2回受賞している(甲11)。 申立人は、上記以外にも、ゲーム、パズル、トレーディングカード、知育玩具等の商品も製造・販売しているところ(甲17)、申立人と申立人商品は、玩具を主体に雑貨、ホビー商品まで幅広い分野をカバーする専門誌として、業界で信頼されている月刊誌「月刊トイジャーナル」に毎号掲載されている。この月刊誌の読者は、全国のメーカー、問屋、販売店等、大手玩具メーカーから街のおもちゃ屋まで多岐にわたっている(甲20)。 「月刊トイジャーナル」には各種見本市等のイベントに関する記事、売れ筋商品や新商品の紹介記事、玩具メーカー等へのインタビュー記事等が掲載されているが、申立人は世間から3大メーカーや4大メーカーと称されるほどの有名企業であること、申立人は新商品を恒常的に発表していること、申立人商品は高評価を得ていること、申立人が見本市を含む多数の各種イベントに参画していること、多くの問屋が申立人商品に注目していること、申立人商品がTV番組で取り上げられていること等が「月刊トイジャーナル」から読み取れる(甲20)。 「月刊トイジャーナル」を参酌すると、需要者や玩具業界の関係者(取引者)には申立人(略称「エポック社」や「エポック」を含む。)と申立人商標は周知なものとなっていたといえる。 申立人は、インターネットを利用した情報発信であって、玩具を取り扱う販売店・問屋向け情報サービスの「WebTJ」や一般人をも対象にしたおもちゃ・ホビーの総合情報サイトである「おもちゃ情報net」のサポート企業として玩具業界の発展に努めている(甲18)。 申立人は、玩具に関する情報発信でも広く知られている。 申立人商標は、申立人の商号の「株式会社エポック社」とその略称である「エポック社」及び会社を示す「社」を省略した「エポック」(英語表記「EPOCH COMPANY,LTD.」からも生ずる。)とともに、本件商標の登録出願時以前に、玩具の需要者のみならず広く一般に知られるに至っており、周知であり著名になっていたものである。 3 商標法第4条第1項第10号について 本件商標は、別掲1のとおり、「KiDEPOCH」の文字を二重線の白抜き文字で表したものであるところ、上記1のとおり、「KiD」の文字が「子供」を直観させ商品の品質・用途を表すものと認識されるものであるから、その要部は「EPOCH」文字である。 「EPOCH」の文字からなる引用標章は、上記2イのとおり、商品「玩具」に係る需要者の間では申立人の取扱いに係る商品「ボードゲーム(野球盤)、おもちゃ・人形(シルバニアファミリー、アクアビーズ等)」の商標として周知著名なものである。 本件商標と引用標章とを比較すると、本件商標の要部「EPOCH」の文字は、引用標章と同一の文字構成であるから、その外観が類似し、「EPOCH」から生ずる称呼「エポック」と観念「時代、新時代」(甲19)は共通する。 本件商標は、全体の外観・称呼・観念が引用標章と相違するとしても、要部が引用標章の外観と類似し、称呼及び観念が同一であるから、引用標章と類似する。 異議申立商品は、申立人商品と同一又は類似する。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 4 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、上記1のとおり、その要部は「EPOCH」の文字部分である。 引用商標は、その表示態様が異なるとしても「EPOCH」の文字を表したものである。 本件商標の要部「EPOCH」の文字と引用商標の「EPOCH」の文字とを比較すると、両者は、同一の文字構成であるから、両者は、その外観が類似し、「EPOCH」から生ずる「エポック」と観念「時代、新時代」は共通する。 本件商標は、全体の外観・称呼・観念が引用商標と相違するとしても、その要部において引用商標の外観と類似し、称呼及び観念が同一であるから、引用商標と類似する。 異議申立商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似する。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 5 商標法第4条第1項第15号について 申立人は、申立人商標を使用しており、この商標と商号の「株式会社エポック社」とその略称である「エポック社」及び会社を示す「社」を省略した「エポック」(英語表記「EPOCH COMPANY,LTD.」からも生ずる。)が、本件商標の登録出願時前に、申立人の業務に係るものとして広く一般に知られており、周知・著名となっていたことは、上記2イのとおりであり、また、上記1のとおり、本件商標の要部は「EPOCH」の文字部分であるから、本件商標を異議申立商品に使用するとき、その商品の需要者は、本件商標の要部である「EPOCH」の文字部分から申立人及び申立人の業務に係る商品と出所について混同する、若しくは申立人と関係する者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 6 商標法第4条第1項第19号について 本件商標は、子供用のパズルゲームに使用されている(甲6)から、冒頭の「KiD」の文字で当該商品が子供用であることを認識させ、これに続く「EPOCH」の文字部分で申立人の周知・著名な商標「EPOCH」を連想させようとするものであり、本件商標を申立人の業務に係る商品と同一又は類似する商品に使用することにより、広く需要者に知られている申立人商標にあやかって商品を売る、いわゆる「フリーライド」を目論んでいることである。 本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く需要者に知られている商標と類似の商標を、不正の目的(不正の利益を得る目的)をもって使用することを意図して出願され、登録されたものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 第4 当審の判断 1 申立人商標の周知著名性について (1)申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 ア 申立人は、昭和33年(1958年)に設立された株式会社であり、玩具、ホビー、雑貨等の開発、製造、販売を手掛けており、同37年(1962年)に開催された「第1回日本玩具国際見本市」から令和5年(2023年)の「東京おもちゃショー」まで、毎回出展している(甲8)。 イ 「東京おもちゃショー」では、申立人商品は、創設年である2008年から2023年まで、毎年「おもちゃ大賞」又は「優秀賞」を受賞している(甲11)。 ウ 申立人は、昭和35年(1960年)に、玩具業界初のテレビ宣伝を実施し、その後も、テレビアニメのスポンサーやCMにより宣伝広告を行ったり(甲12、甲13)、テレビのバラエティー番組において、申立人商品が使用されたりしたことがある(甲14)。 エ 申立人の主要商品の一である「野球盤」は、昭和33年(1958年)から今日まで継続して製造・販売しており、当該商品は、東京おもちゃショーにおいて「おもちゃ大賞」を2回、「優秀賞」を5回受賞しており、野球盤の人気ランキング10選では1位から10位まで独占することもある(甲15)。 オ 申立人の主要商品の一である「シルバニアファミリー」は、昭和60年(1985年)から今日まで継続して製造・販売しており、当該商品は、東京おもちゃショーにおいて「優秀賞」を3回、「特別賞」を1回受賞している(甲11)。 カ 申立人の主要商品の一である「アクアビーズ」は、平成16年(2004年)から今日まで継続して製造・販売しており、東京おもちゃショーにおいて「優秀賞」を2回受賞している(甲11)。 キ 申立人と申立人商品は、「月刊トイジャーナル」に毎号掲載されており、また、申立人は、玩具に関する情報発信にも努めている(甲18)。 (2)上記(1)アないしキによれば、申立人商品は、我が国において、昭和33年(1958年)頃から販売され、テレビ番組で取り上げられ、東京おもちゃショーにおいて2008年から2023年まで、複数回にわたって「おもちゃ大賞」や「優秀賞」を受賞したことが認められる。 しかしながら、申立人商標を付した申立人商品の販売実績(販売数、使用地域、売上高、業界シェア等)並びに広告実績(広告宣伝の方法、期間、地域及び規模等)を客観的に把握できる証拠は何ら提出されていないことから、商標の使用状況に基づきその周知性を推し量ることができないため、申立人商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 2 本件商標と申立人商標の類似性について (1)本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、「KiDEPOCH」の欧文字を二重線にて立体的に表したものであるところ、その外観は、同じ書体で一連一体に表したものであり、その構成文字に相応して生じる「キッドエポック」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。 また、本件商標の構成中の「KiD」の欧文字は「子供。若者。」の意味を有し、「EPOCH」の欧文字は「時代。特に、新しく画期的な時代・時期。新紀元。」(いずれも「大辞泉 第二版」株式会社小学館)の意味を有するよく知られた英語であるから、構成全体として「子供の時代」ほどの観念が生じる。 したがって、本件商標は、「キッドエポック」の称呼が生じ、「子供の時代」ほどの観念が生じるものである。 なお、本件商標は、上記のとおり、構成文字全体が同じ書体で横一列に一体的に表されていること、その構成文字全体から生じる称呼もよどみなく一連に称呼できるものであること、「子供の時代」といった一体の観念が生じることからすると、本件商標は一連一体の商標と看取されるものとみるのが自然であって、「KiD」の欧文字が「子供。若者。」の意味を有する語であるとしても、殊更に、「KiD」の文字部を捨象するとはいい難いものである。 (2)申立人商標について ア 引用商標について (ア)引用商標1及び2について 引用商標1及び引用商標2は、上記第2の1(1)及び(2)のとおり、いずれも「EPOCH」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「エポック」の称呼が生じ、「時代。特に、新しく画期的な時代・時期。新紀元」(前掲書)の観念が生じるものである。 (イ)引用商標3について 引用商標3は、上記第2の1(3)のとおり、緑色の正方形(以下「緑色正方形」という。)内に白抜きで「EPOCH」の欧文字を横書きしてなるところ、構成中の緑色正方形は、「EPOCH」の欧文字の背景と容易に認識できることから、背景にすぎない緑色正方形を捨象し、本件商標との類否を判断するに当たって、「EPOCH」の欧文字を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 したがって、引用商標3は、その構成中の「EPOCH」の欧文字に相応して、「エポック」の称呼が生じるものであり、「時代。特に、新しく画期的な時代・時期。新紀元」(前掲書)の観念が生じるものである。 イ 引用標章について 引用標章は、上記第2の2のとおり、「EPOCH」の欧文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して「エポック」の称呼が生じ、「時代。特に、新しく画期的な時代・時期。新紀元」(前掲書)の観念が生じるものである。 (3)本件商標と申立人商標の類否について ア 外観について 本件商標と引用商標1及び引用商標2並びに引用標章とを比較すると、両者は、上記(1)及び(2)のとおりの構成よりなるところ、書体において相違し、「KiD」の文字の有無の差異を有し、外観上、その印象は著しく相違し、判然と区別できるものである。 本件商標と引用商標3とを比較すると、両者は、上記(1)及び(2)のとおりの構成よりなるところ、緑色正方形の有無、色彩の有無及び書体において相違し、「KiD」の文字の有無の差異を有し、外観上、その印象は著しく相違し、判然と区別できるものである。 イ 称呼について 本件商標から生じる「キッドエポック」の称呼と申立人商標から生じる「エポック」の称呼とは、「キッド」の音の有無の差異を有し、両者は、明瞭に聴別し得るものである。 ウ 観念について 本件商標から生じる「子供時代」の観念と申立人商標から生じる「時代」の観念とは、相紛れるおそれはない。 エ 判断 上記アないしウによれば、本件商標と申立人商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても明確に区別することができるものであるから、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 (4)小括 以上のとおり、本件商標は、申立人商標と相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。 3 商標法第4条第1項第11号について 上記2のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、異議申立商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について 上記1のとおり、申立人商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認められないものであり、上記2のとおり、本件商標は、申立人商標と相紛れるおそれのない非類似の商標である。 そうすると、本件商標は、本件商標の異議申立商品と申立人商品との関連性の程度、需要者の共通性などを考慮しても、本件商標を異議申立商品に係る商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者が、申立人商標を連想又は想起し、他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号のいずれにも該当しない。 5 商標法第4条第1項第19号について 上記1のとおり、申立人商標は、申立人又は申立人商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、また、上記2のとおり、本件商標と申立人商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、さらに、上記4のとおり、本件商標は、申立人商標を連想又は想起させるものでもない。 また、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標権者が、申立人商標に化体した知名度にフリーライドするなど不正の目的をもって本件商標を使用するものと認めるに足りる証拠は見いだせない。 そうすると、申立人提出に係る証拠からは、本件商標権者が申立人商標に化体した信用、名声、顧客吸引力を利用して不正の利益を得る目的、申立人商標に化体した信用、名声、顧客吸引力を毀損させるなど申立人に損害を与える目的その他の不正の目的をもって使用をするものとはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 6 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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