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商標無効審判

2024-890023

ケンタウロス、エムシイ

審判番号
2024-890023
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2022-072573
登録番号
6643846
請求日
2024年05月10日
審決日
2025年03月27日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社 ユナイテッドエフォート
  • 【請求人代理人】泉 克文
  • 【被請求人】一般社団法人 MC KENTAUROS
  • 【被請求人代理人】小林 宜延
審判長/審判官
  • 審判長 鈴木 雅也
  • 審判官 馬場 秀敏
  • 審判官 小田 昌子
分類
T111 .23 -Y (W21) / T111 .271-Y (W21) / T111 .222-Y (W21)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項8号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第8号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項、商標法第29条、商標法第4条、商標法第35条、特許法第98条、商標法第30条第4項、特許法第98条第1項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6643846号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6643846号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和4年6月23日に登録出願、第21類「台所用品(「ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台」を除く。),ガラス基礎製品(建築用のものを除く。),おけ用ブラシ,ガラス製又は陶磁器製の包装用容器,プラスチック製の包装用瓶,清掃用具及び洗濯用具,アイロン台,貯金箱,お守り,おみくじ,花瓶,靴べら」を指定商品として、同年11月11日に登録査定され、同月22日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が、本件審判の請求の理由において引用する登録商標は、以下の1ないし4のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 1 登録第1776712号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和57年9月8日に商標登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同60年6月25日に設定登録され、その後、平成18年3月1日に指定商品を別掲3のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。 2 登録第2073760号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和59年7月17日に商標登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同63年8月29日に設定登録され、その後、平成21年10月28日に指定商品を第6類「金属製彫刻」、第9類「映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済ビデオディスク及びビデオテープ」、第16類「印刷物,書画,写真,写真立て」、第19類「石製彫刻,コンクリート製彫刻,大理石製彫刻」及び第20類「額縁,石こう製彫刻,プラスチック製彫刻,木製彫刻」とする指定商品の書換登録がされたものである。 3 登録第2110912号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和59年7月17日に商標登録出願、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年2月21日に設定登録され、その後、同21年10月28日に指定商品を第9類「眼鏡」及び第14類「時計」とする指定商品の書換登録がされたものである。 4 登録第2116135号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和61年2月18日に商標登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年2月21日に設定登録され、その後、同21年10月28日に指定商品を別掲4のとおりの商品とするとする指定商品の書換登録がされたものである。 引用商標1ないし引用商標4をまとめていう場合は、以下「引用商標」という。 第3 請求人の主張 1 請求の趣旨 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、上申書(令和6年6月14日付け及び同7年2月22日付け)及び弁駁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第97号証(枝番号を含む。)を提出した。 なお、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する場合がある。また、枝番号全てを表示する場合は、枝番号を省略することがある。 2 請求の理由(要旨) 本件商標は、商標法第4条第1項8号、同項第15号及び同項第19号に該当し、その登録は同法第46条第1項により、無効にすべきものである。 (1)本件商標 本件商標は、「KENTAUROS」の欧文字を、その中央にある「A」の欧文字の位置で逆V字状に屈曲させてその周囲を枠で囲むことで、その全体を逆V字状(「へ」の字状)に形成し、その下方に、ギリシア神話に登場する半人半獣のケンタウロス像をデフォルメして配置するとともに、前記ケンタウロス像の頭部にオートバイ用ヘルメットを被せ、前記ケンタウロス像に重なるようにオートバイ用チェーンをほぼ円形に配置した構成であり、その指定商品は第21類に属する商品である(甲1)。 なお、本件商標の所有者(商標権者)は、登録時は株式会社青龍寺(以下「青龍寺社」という。)であり、現在は一般社団法人MC KENTAUROSとなっているが、本件商標に係る商標権が、令和6年1月31日付けで、青龍寺社から一般社団法人MC KENTAUROSに特定承継(譲渡)されたためであり、同法人の代表理事であるC氏は、青龍寺社の取締役であり、両法人の関係は強い。 (2)引用商標 引用商標の構成はいずれも同一であるが、この特徴的な構成は、昭和39年(1964年)に(故)A氏と仲間によって結成されたモーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」(甲16)を表示するマーク(標章)として、同クラブのメンバーであったデザイナーによって創作された(甲15)。 引用商標の上部に含まれている「KENTAUROS」の欧文字は、モーターサイクル・クラブの名称「KENTAUROS/ケンタウロス」に対応する欧文字であり、引用商標は、それらの指定商品に付される商標であるだけでなく、それ自体が同クラブを表示するマーク(標章)であり、シンボルマークでもあるから、中央にある「A」の欧文字の位置で逆V字状(「へ」の字状)に屈曲させてその周囲を枠で囲んだ「KENTAUROS」の欧文字を上部に配置し、その下部に、ギリシア神話に登場する半人半獣のケンタウロス像をデフォルメして配置するとともに、前記ケンタウロス像の頭部にオートバイ(モーターサイクル)用ヘルメットを被せ、前記ケンタウロス像に重なるようにオートバイ用チェーンをほぼ円形に配置した構成である。 さらに、引用商標の下部のデフォルメされたケンタウロス像には、「MC」の欧文字が配置されており、当該文字は、「モーターサイクル・クラブ」の略称であり、上部にある「KENTAUROS」の欧文字と一緒になって、モーターサイクル・クラブ(MC)「KENTAUROS/ケンタウロス」を表示している。 引用商標又は引用商標の上部に配置された、逆V字状(「への字状)に屈曲されかつ周囲が枠で囲まれた「KENTAUROS」の欧文字部分は、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロスの「看板(カンバン)」と呼ばれている(甲15)。 また、「モーターサイクル・クラブ(Motorcycle Club)の略称としての「MC」の欧文字を使用して、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロスを、「MC KENTAUROS」又は「MCケンタウロス」の表示が頻繁に使用されている(甲13、甲15~甲17、甲29、甲52、甲53)。 (3)引用商標の所有者(商標権者) 引用商標は、株式会社ケンタウロス(以下「ケンタウロス社」という。)が、昭和57年から昭和61年(1982年~1986年)に特許庁に出願して登録を受け、引用商標に係る商標権の当時の所有者(商標権者)は、ケンタウロス社であり(甲2~甲5)、その後、平成27年(2015年)に、ケンタウロス社が所有する引用商標に係る商標権は、請求人がケンタウロス社から正当に譲り受けた(甲6~甲9)。引用商標に係る商標権の移転登録日は、平成27年(2015年)5月25日である。 譲り受けてから現在に至るまで、請求人が引用商標に係る商標権を所有しているから、譲受け後の引用商標に係る商標権の所有者(商標権者)は、請求人であり、請求人は、引用商標に係る商標権の所有者(商標権者)であるとともに、引用商標に関し、ケンタウロス社に対して専用使用権を設定しており(甲12)、本件商標に係る商標権の存在によって請求人が影響を受けることは明らかであるから、請求人は請求人適格を有している。 (4)引用商標の使用者 引用商標が出願された昭和57年から昭和61年(1982年~1986年)当時から、請求人が引用商標に係る商標権を譲り受ける平成27年(2015年)まで、引用商標をその指定商品について使用している者(使用者)は、一貫して、ケンタウロス社だけである。引用商標に係る商標権を所有していたケンタウロス社が、同社の店舗で販売する商品に引用商標を付してそれらの使用を継続してきた。 ケンタウロス社は、昭和48年(1973年)7月18日に設立登記され、現在に至るまで活動を継続している(甲10、甲11)。 (5)本件商標と引用商標の対比 本件商標と引用商標は、実質的に同一の構成であるから、本件商標が引用商標の構成を盗用して出願されたものであって、引用商標の名声・信用に便乗して不正に利益を得ようという「不正の目的」をもって使用をすること(商標法第4条第1項第19号の該当性)がうかがえる。 本件商標と引用商標は、外観上いずれもオートバイ用へルメットとオートバイ用チェーンを有するデフォルメされたケンタウロス像、「MC」の欧文字及び「KENTAUROS」の欧文字を含んでおり、その上部の「KENTAUROS」の欧文字から生じる称呼「ケンタウロス」と、その下部の「MC」の欧文字から生じる称呼「エムシー」及び「ケンタウロス」に加えて、「エムシーケンタウロス」という称呼も生じ、両欧文字から「モーターサイクル・クラブのケンタウロス」又は「ケンタウロスという名のモーターサイクル・クラブ」という観念も生じるから、外観、称呼及び観念によって、需要者(特にオートバイ愛好者)は、昭和39年(1964年)に(故)A氏と仲間によって結成されたモーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス(甲16)を想起する可能性が高い。 (6)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との対比 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とを比較検討すると、引用商標の指定商品に含まれる商品群は、本件商標の指定商品に含まれる商品群と明らかに類似しているとまではいい難い。 (7)引用商標が付された商品の販売形態 引用商標が付された商品(ケンタウロス・グッズ)は、引用商標に係る商標権の専用使用権者であるケンタウロス社が設置・運営する「KENTAUROS/ケンタウロス」と称する店舗(ショップ)で販売されており、ケンタウロス社の前記店舗の営業日報、入荷票、領収書などによっても、ケンタウロス社が前記店舗において現実に営業活動を行っていること、また、引用商標がそれらの指定商品に使用されていることが明らかである(甲24~甲27)。 引用商標が付された商品を販売するケンタウロス社の店舗は、非常に小規模であり、前記店舗が設置されているのは、小規模で地味なビルの内部であり、同店舗で販売される引用商標が付された商品の数も少数であるから、引用商標が付された商品の購入希望者は、前記店舗に足を運ばなければ、その商品を購入することができないようになっている。 前記店舗での引用商標が付された商品は、いわゆる大量生産・大量販売を目指して製造されたものではなく、前記店舗の運営主体であるケンタウロス社が、引用商標が付された商品の購入者として考えているのは、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」のメンバー(族員)や同クラブの運営会員(クラブ員)と、同クラブの熱心なファンだけだからであり、これらの人々は、少なくとも、同クラブの創設者でありリーダーでもあった(故)A氏による同クラブの設立趣旨や、同氏や同クラブの思考・行動の哲学、行動指針等に共感・共鳴する人々であるから、これらの人にだけ持ってほしいと考えているからであるので、引用商標の周知性を判断する際には、この点に留意してほしい。 (8)引用商標の周知性 ア 引用商標とそれを付された商品については、以下のような事実A及びBがある。 事実A:引用商標は、遅くとも1980年代から現在に至るまで、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」の名称(「MC KENTAUROS」、「MCケンタウロス」、「横浜ケンタウロス」といった別称を含む)とともに、同クラブを表示する標章あるいはシンボルマークとして、また、ケンタウロス社の業務に係る商品を表示する商標としても、さらに、同社が運営するショップ(店舗)「KENTAUROS/ケンタウロス」を表示する標章あるいはシンボルマークとしても、日本国内において広く知られていたのであり、現在もそうである。特に、モーターサイクル愛好者の間では、知らない者はいない程度であったのであり、現在もそうである。 事実B:引用商標が付されたケンタウロス社の業務に係る商品、遅くとも1980年代から現在に至るまで、日本国内において広く知られているのに入手が困難で高い希少性を有していた、つまり、「レア物(希少品)」であったのであり、現在もそうである。この「レア物(希少品)」であったことも、遅くとも1980年代から、日本国内において広く知られていたのであり、現在もそうである。 イ 事実Aについて モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」の名称(「MC KENTAUROS」「MCケンタウロス」、「横浜ケンタウロス」といった別称を含む)と(故)A氏の氏名は、同クラブをモデルとして1980年代に刊行された「ケンタウロスの伝説」と称する漫画と、同漫画に基づいて制作・公開された同名の劇場用アニメーション作品(アニメ映画)とによって、日本国内において広く知られるようになったが(甲14,甲33、甲72)、その後も、2011年から2013年、2018年、2020年から2021年に、複数回にわたってテレビ放送(NHK、テレビ東京、テレビ愛知)で紹介されている(甲39、甲41、甲45、甲47、甲48、甲69)。 そして、「横浜飛天双〇能」の公演が2001年を挟さんで前後少なくとも10年にわたって継続して開催され(甲31、甲32、甲46)、1992年発行の雑誌(甲19)、1995年発行の雑誌(甲20)、2005年公開のブログ記事(甲46)、2008年公開のブログ記事(甲43)、2011年公開のブログ記事(甲45、甲47、甲68、甲71)、2014年公開のブログ記事(甲67)、2015年発行の雑誌(甲18、甲70)、2016年公開のブログ記事(甲74)、2018年公開のブログ記事(甲44、甲69)、2020年発行のブログ記事(甲73、甲75)、2022年発行のウェブ雑誌(甲15~甲17)、2022年公開のブログ記事(甲50)、2023年公開のブログ記事(甲40、甲42、甲72)、2024年公開のブログ記事(甲49、甲64)で紹介されている。 したがって、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」は、遅くとも1980年代から現在に至るまで、日本国内において広く知られており、特にモーターサイクル愛好者の間で著名であって、社会的評価も高い。 また、同クラブは、(故)A氏(とその仲間)により1964年(昭和39年)に設立されたものであり、現在に至るまで長きにわたり、神奈川県横浜市を拠点として途切れなく活動を続けている(甲14~甲18、甲40、甲65)。 さらに、同クラブの活動範囲は、モーターサイクル関係の活動にとどまらず多分野にわたっており、単なるモーターサイクル・クラブではないことも、広く知られている。 例えば、同クラブは以前、満月ツーリングと哲学セミナーを催し、能舞台公演「横浜飛天双〇能」を立ち上げ(甲31、甲32)、独自メディアとして新聞(小冊子)「ペーパー・ケンタウロス」を発行した(甲21)。さらに、巨匠(写真家)による写真集の発行、俗に“300キロ公道ビデオ”と呼ばれた映像作品「VISION HIGH」、劇画「ケンタウロスの伝説」を原作とした劇場用アニメ映画の実現など、同クラブは種々の分野で活躍し、現在もそうである(甲14、甲15、甲40、甲43、甲72、甲73)。 さらに、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」のメンバー(族員)は、同クラブの活動に参加する際には、常に、引用商標を背中に付けたベスト、ブルゾン(ジャンパー)等のオリジナル服を着用し、現在もそうしている(甲15~甲22、甲23、甲39、甲47、甲49)。そして、同メンバーは、引用商標を付した種々のオリジナル商品(例えば、Tシャツ、ワッペン、ステッカー、ベルトバックル等)を着用・所有し、人目につくところで使用し、現在もそうしている(甲23、甲51~甲58、甲75)。 さらに、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」の創設者である(故)A氏は、ケンタウロス社の創業者かつ代表者でもあった。 そして、ケンタウロス社は、設立以来およそ50年にわたり、同社が運営する「KENTAUROS/ケンタウロス」と称するショップ(店舗)において(甲25、甲26)、引用商標を付した同社のオリジナル商品(衣料品、日用雑貨品、モーターサイクル装飾品等)の販売を行っており、現在も行っている(甲23、甲24、甲51~甲58)。ただし、平成28年(2016年) 1月以降、ケンタウロス社の代表者はB氏(同クラブの二代目のリーダーでもある)に変わっている(甲10)。 このように、引用商標は、遅くとも1980年代から現在に至るまで、同メンバーの背中や同メンバーのモーターサイクルのボディ・ヘルメット等に表示されたり、同社のオリジナル商品それ自体に表示されたり、前記能舞台公演や前記新聞(小冊子)等の広告に使用されたりして、多くの人の目に触れてきたことにより、同クラブの評判・名声の高まりとともに、同クラブの名称「KENTASUROS/ケンタウロス」「MC KENTAUROS」、「MCケンタウロス」、「横浜ケンタウロス」等別称を含め、日本国内において(海外も含む)広く知られるようになり、それに伴って、引用商標それ自体と、引用商標が付されたケンタウロス社のオリジナル商品と、当該商品を販売するケンタウロス社が運営するショップ(店舗)も、同様に、日本国内において(海外も含む)広く知られるようになった。 以上から、請求人は、上述した事実Aが裏付けられたと信じる。 ウ 事実Bについて 引用商標が付されたケンタウロス社のオリジナル商品は、遅くとも1980年代から現在に至るまで、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」に係る者、例えば、同クラブのメンバー(族員)や運営会員(クラブ員)、又は、同クラブの熱心なファンであることを表示するグッズ(ケンタウロス・グッズ)として、日本国内及び外国において広く知られており、現在もそうである(甲15、甲17、甲18、甲21、甲23、甲51~甲58)。 他方、引用商標が付されたオリジナル商品は、遅くとも1980年代から現在に至るまで、日本国内において広く知られているが、いわゆる大量生産・大量販売を目指して製造されたものではなく、入手が容易ではないという特徴があり(甲29、甲51~58、甲75)、現在も同じである。 これは、引用商標を付された商品は、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」のメンバー(族員)や運営会員(クラブ員)、又は、同クラブの熱心なファン(これらの人々は、少なくとも、同クラブの創設者でありリーダーでもあった(故)A氏による同クラブの設立趣旨や、同氏や同クラブの思考・行動の哲学、行動指針等に共感・共鳴していると考えられる)に限定して販売したい、という、ケンタウロス社と同社が運営するショップ(店舗)の販売姿勢に起因するものである(甲29の14)。 以上から、請求人は、上述した事実Bが裏付けられたと信じる。 エ ケンタウロス社が販売する同社のオリジナル商品が、小規模販売のレア物(希少品)であることと、それらの商品及び引用商標が日本国内において広く知られていることとは矛盾しない。 知財高裁平成28年6月23日判決(平成28年(行ケ)第10003号)では、「ある商品がその希少性ゆえに世間の注目を集めたという事情がある場合は、同商品の販売量(出荷量)の少なさは、同商品の周知性、及び、同商品に対して使用された商標の周知性を否定する理由にはならない」と判示しており、この観点からみると、ケンタウロス社が販売するオリジナル商品は、小規模販売のレア物(希少品)であり、また、それゆえに日本国内において広く知られているという特徴を持っている。 したがって、ケンタウロス社のオリジナル商品の販売数の少なさは、その周知性を否定することにはならないのであり、それらの商品及び引用商標が日本国内において広く知られていることとは矛盾せず、両立する。 (9)本件商標の商標法第4条第1項第19号の該当性 ア 引用商標の周知性 前記(8)で述べたように、引用商標は、商標法第4条第1項第19号の適用の要件である「引用商標の周知性」を満たしている。 イ 本件商標と引用商標の類似性 前記(5)で述べたように、本件商標は、引用商標と実質的に同一の構成を有しており、本件商標と引用商標とは実質的に同一であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の適用の要件である「本件商標と引用商標の類似性」を満たしている。 ウ 本件商標の使用の不正目的性 (ア)本件商標の図利目的性 本件商標の所有者(商標権者、被請求人)の代表であるC氏は、遅くとも1982年頃から現在に至るまで、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」の熱心なファンであること(甲30の4)、1982年頃に同クラブの横浜のクラブハウスを訪問して雑談した経験がある(甲30の4)とともに、2000年頃に同クラブが主催するイベントに参加した経験があること(甲30の6、7)が事実として挙げられる。 さらに、C氏が、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」の創設者であり初代リーダーでもあった(故)A氏と40年以上のつきあいがあったとC氏自身が述べていること(甲38の1)、C氏は、(故)A氏の2番目の妻であるE氏とも付き合いがあること(甲38の1)も、事実として挙げられる。 これらの事実から、C氏は、本件商標が出願された令和4年(2022年)当時には、間違いなく、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロスの高い評判・名声とともに、引用商標を付されたケンタウロス社のオリジナル商品が「レア物(希少品)」として高い金銭的価値を有することを知っていたと考えられる。 したがって、本件商標の出願より前に、C氏は、ケンタウロス社が運営する前記店舗で販売する、引用商標が付されたケンタウロス社のオリジナル商品以外の任意の物品を販売する際に、あるいは、飲食店等の店舗やセミナーやイベント等の会場において各種役務(サービス)を提供する際に、その物品販売者や役務提供者の表示等として本件商標を使用すれば、同クラブや(故)A氏が持つ名声や信用を借用して、非真正商品の販売や非真正役務の提供が可能となる、と容易に気づいたはずである。 (イ)本件商標の図利目的性を立証する証拠 本件商標の出願日や査定日当時における「本件商標の図利目的性」を裏付けるための証拠(甲29、甲30、甲34~甲37、甲38、甲61)には、「同クラブの二代目リーダー(後継者)」に関する記述が含まれており、一見したところでは、「本件商標の図利目的性」とは直接の関係がないように見えるが、被請求人や青龍寺社の名義を用いたC氏の行動(甲30、甲37、甲38、甲62、甲63)は、「自己の行う活動が、同クラブの創設者であり初代リーダーでもあった(故)A氏の意向を受けたものであることを、何らかの形で表示することで、同クラブや(故)A氏の信用や名声を借用しよう」との考えに基づくものと解されるから、同氏の前記行動は、上述した「本件商標の図利目的性」に強く関連しているといえる。 この根拠としては、C氏の行動(甲30)のほか、被請求人による商標「MC KENTAUROS」の商標登録出願(商願2022-130899)の審査段階で発行された拒絶理由通知(甲37)に対して、同出願人が提出した意見書(甲38の1)において、同出願人が、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」の2代目リーダー(族長)の地位は、それを誰が継承したかが明確でない状況では、(故)A氏の2番目の妻であるE氏に継承されていると解すべきであるとの主張(反論)をしていることが挙げられる。(前記の状況認識は誤りである。) (ウ)本件商標のひょう窃性 本件商標の構成は、(5)において上述したように、引用商標と実質的に同一であるが、本件商標の構成は、本件商標の所有者(商標権者)である被請求人による独自の創作の結果、引用商標に偶然に一致したものとは到底考えられない。 つまり、引用商標がオリジナル(原作)なのであり、本件商標が出願された2022年(令和4年)頃、既に日本国内で広く知られていた引用商標の構成を盗用(ひょう窃)することで、本件商標としたものと考えざるを得ない。 よって、本件商標は、引用商標を盗用(ひょう窃)したものである点において、不正の目的をもって使用をするものに該当するから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の適用の要件である「本件商標の使用の不正目的性」を満たしている。 エ 本件商標の商標法第4条第1項第19号の該当性の判断について、同号に係る審査基準の面からの検討について (ア)引用商標は、遅くとも1980年代から現在に至るまで、日本国内で全国的に知られているものであり、本件商標は、引用商標をほぼそのままコピー(盗用)したものと確信をもっていえるほどに酷似しており、実質的に同一といえる。 すなわち、本件商標は、実質的に同一といえるほど、引用商標に酷似していることが明らかであるから、本件商標は、審査基準の要件1(一以上の外国において周知な商標又は日本国内で全国的に知られている商標と同一又は極めて類似するものであること)を満たしている。 (イ)引用商標は非常に特徴的・独創的な構成であり、本件商標は、このような非常に特徴的・独創的な構成を持つ引用商標と実質的に同一といえるほど酷似しているから、引用商標は、審査基準の要件2(その周知な商標が造語よりなるものであるか、又は、構成上顕著な特徴を有するものであること)も満たしている。 (ウ)本件商標は、審査基準に基づいて、商標法第4条第1項19号の「不正の目的をもって使用するもの」と推認され、判断されるべきものである。 (10)本件商標の商標法第4条第1項第15号の該当性 ア 引用商標の周知性 本件商標は、商標法第4条第1項15号の適用の要件である「引用商標の周知性」を満たしている。 イ 本件商標と引用商標の類似性 本件商標は、商標法第4条1項第15号の適用の要件である「本件商標と引用商標の類似性」を満たしている。 ウ 出所混同を生じるおそれ 本件商標が出願され登録査定を受けた令和4年(2022年)当時において、本件商標が引用商標の指定商品とは非類似の商品や役務について使用されたとすれば、その商品や役務に接した需要者は、ケンタウロス社又は同社が運営する「KENTAUROS/ケンタウロス」と称するショップ(店舗)の業務に係る商品・役務であると誤認し又は日本国内において広く知られているモーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」の提供・認可に係る商品・役務であると誤認して、商品・役務の出所について混同を生じるおそれが非常に大きかったと考えられる。 特に、本件商標の出願日や査定日当時において、引用商標が付されたケンタウロス社のオリジナル商品が、同社の販売姿勢のために、人気があるのに入手が困難な「レア物(希少品)」であり、需要者のそれに対する購買欲求が強い商品であったこと、引用商標が付されたオリジナル商品が、著名なモーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」を象徴する商品であることも広く知られていたことを考慮すると、商品・役務の出所について混同を生じるおそれは、一層大きかったであろう。 引用商標の指定商品の需要者にはオートバイ愛好者が多いと考えられるが、そうすると、引用商標の指定商品である皮革製のジャケットやベスト、ワッペン、ステッカー等を好んで購入する傾向のあるオートバイ愛好者は、本件商標の指定商品であり日常的に身近で使用するマグカップ(台所用品)、日常的にオートバイ清掃に使う清掃用パッド(清掃用具)、交通安全用のお守り等も、引用商標と実質的に同一の本件商標が付されていれば、好んで購入すると予想されるから、商標法上では引用商標の指定商品とは非類似とされるマグカップ、清掃用パッド、お守り等の商品であっても、リアルの販売店やメルカリ等のウェブサイトといった現場では、出所の混同が生じるという事態が起こりやすいと考えられる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (11)本件商標の商標法第4条第1項第8号の該当性 ア 本件商標の構成は、日本国内において広く知られているモーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」を表示する標章又はシンボルマークとして日本国内において広く知られている引用商標と実質的に同一である。 そして、引用商標が同クラブを表示する標章又はシンボルマークとして日本国内において広く知られていることを考慮すると、本件商標に接した需要者(特にオートバイ愛好者)は、本件商標の特徴的な外観と、その外観に含まれている「MC」の欧文字及び「KENTAUROS」の欧文字から、直ちに、昭和39年(1964年)に(故)A氏と仲間によって結成されたモーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」(甲16)を想起する可能性が極めて高い。 イ 本件商標の構成を検討すると、本件商標の上部には、逆V字状(「へ」の字状)に屈曲され、かつ、周囲が枠で囲まれた「KENTAUROS」の欧文字が配置され、その下部には、デフォルメされたケンタウロス像の頭部にオートバイ用ヘルメットを被せ、かつ、前記ケンタウロス像に重なるようにオートバイ用チェーンをほぼ円形に配置した固形が配置されており、その図形には「MC」の欧文字が記載されているから、本件商標に接した需要者(特にオートバイ愛好者)は、直ちに、本件商標から「エムシー」及び「ケンタウロス」という2称呼を想起する。 さらに、「モーターサイクル・クラブ」は、その英語表記「Motercycle Club」の頭文字をとって「MC」と略称されることが多いこと、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」自身も、以前から自己を「MC KENTAUROS」あるいは「MCケンタウロス」と表示していること(甲13、甲29)、他者もそのように呼んでいること(甲53、甲54)から、本件商標に接した需要者(特にオートバイ愛好者)は、本件商標の上部にある「KENTAUROS」の欧文字から生じる称呼「ケンタウロス」と、その下部にある「MC」の欧文字から生じる称呼「エムシー」とを組み合わせ、「エムシーケンタウロス」という称呼をも想起する。 ウ 本件商標は、上部に配置された「KENTAUROS」の欧文字を含んでいるだけでなく、下部に配置された「オートバイ用ヘルメットとオートバイ用チェーンを用いてデフォルメされたケンタウロス像」を含んでいるから、本件商標に接した需要者(特にオートバイ愛好者)は、本件商標から「ギリシア神話に登場する半人半獣の種族であるケンタウロス」という観念を生じることが明らかである。 また、本件商標は、下部に配置された「MC」の欧文字(これは通常、モーターサイクル・クラブの略称と理解される)と、上部に配置された「KENTAUROS」を含んでいるから、本件商標に接した需要者(特にオートバイ愛好者)は、これら2つの欧文字を組み合わせて、本件商標から「モーターサイクル・クラブのケンタウロス」又は「ケンタウロスいう名のモーターサイクル・クラブ」という観念も生じると解される。 エ 以上述べたように、本件商標は、日本国内で全国的に知られていて社会的評価の高い、現存するモーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」を表示する標章又はシンボルマークとして日本全国で広く知られている引用商標と実質的に同一の特徴的な外観を持っていること、同クラブを想起させる本件商標の特徴的な外観により、本件商標から「エムシーケンタウロス」(これは同クラブの別称と同一)という称呼が生じること、本件商標から「モーターサイクル・クラブのケンタウロス」又は「ケンタウロスいう名のモーターサイクル・クラブ」という観念が生じることを考慮すると、本件商標は、それに接した需要者(特にオートバイ愛好者)に、モーターサイクルクラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」の別称である「MC KENTAUROS」を含む商標として理解され、把握されるものであるから、需要者(特にオートバイ愛好者)は直ちに同クラブを連想・想起する。 よって、本件商標は、それに接した需要者(特にオートバイ愛好者)に、現存するモーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロスの別称である「MC KENTAUROS」をその一部として含む商標として、客観的に把握され、また、同クラブを連想・想起させるものに該当する。 オ モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」は、昭和39年(1964年)の結成以来、現在まで約60年にわたって活動を続けており、今後も続けていく予定であり(甲14)、現在も活動を続けているから、同クラブは現存していることが明らかである(甲49、甲64、甲66)。 また、本件商標は、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」から商標登録に関する承諾を受けていない。 これは、同クラブの2代目リーダーであるB氏が、本件商標の商標登録について承諾書を発行したことはないから、本件商標は、その出願日において「他人の承諾」を受けていないし、その査定日においても同様である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。 カ 商標法第4条第1項第8号の適用に関する商標審査基準によれば、「同号の他人の名称等を「含む」商標であるか否かは、当該部分が他人の名称等として客観的に把握され、当該他人を連想・想起させるものであるか否かにより判断する」とされている。 本件商標は、日本国内で全国的に知られていて社会的評価の高い、現存するモーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」を表示する標章又はシンボルマークとして日本全国で広く知られている引用商標と実質的に同一の「特徴的な外観」を持ち、本件商標からは、「エムシーケンタウロス」という称呼(同クラブの別称の称呼と同一)が生じるとともに、「モーターサイクル・クラブのケンタウロス」又は「ケンタウロスいう名のモーターサイクル・クラブ」という観念が生じることを考えると、本件商標に接した需要者により、現存するモーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」の別称である「MC KENTAUROS」として客観的に把握され、また、同クラブを連想・想起させると解され、特にオートバイ愛好者は、その可能性が極めて高い。 さらに、同クラブの2代目リーダーであるB氏は、本件商標の商標登録について承諾書を発行したことはないから、本件商標は、その出願日において「他人の承諾」を受けていない(その査定日においても同様)ことが明らかであるから、商標審査基準に沿って検討しても、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。 キ モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」が、法人格を有していないことは、商標法第4条第1項第8号の適用の支障にはならない。 従来から、判決(東京高判平成10年1月14日(平成8年(行ケ)第225号等)に示されているように、商標法第4条第1項第8号の「他人」には、法人格のない社団も含まれると解されており、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」は同号の「他人」に該当する。 ク 請求人は、「MC」の欧文字及び「KENTAUROS」の欧文字を含む特徴的な外観と、「エムシーケンタウロス」という称呼及び「モーターサイクル・クラブのケンタウロス」又は「ケンタウロスいう名のモーターサイクル・クラブ」という観念が生じることから、本件商標は、現存するモーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」の別称である「MC KENTAUROS」の欧文字を一部に含む商標と考えている。 しかし、「MC KENTAUROS」の欧文字は、同クラブの略称とも考えられ、この場合、同クラブの「略称」である「MC KENTAUROS」の欧文字の「著名性」が必要となる。 上記(8)で既に述べたように、遅くとも1980年代から現在に至るまで、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロスの名称(「MC KENTAUROS」、「MCケンタウロス」、「横浜ケンタウロス」といった別称を含む)と(故)A氏の氏名は、テレビ放送や雑誌、ウェブサイト、ブログ、SNS等において何度も取り上げられているという事実があるから、「MC KENTAUROS」という表示を、同クラブの別称ではなく、その略称と考えたとしても、当該表示が日本国内において広く知られているその程度から考えると、当該表示は「周知性」を超えて「著名性」をも有しているといえる。 したがって、「MC KENTAUROS」という表示を同クラブの「略称」と考えても、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。 3 上申書(令和6年6月14日付け)における主張 (1)商標登録出願の審査において、商標法第4条第1項第8号の適用に係る審査官の判断にバラつきがあることについて 被請求人による商願2022-130899「MC KENTAUROS」(甲37、甲38の2)及び商願2023-022920「MC KENTAUROS」(甲62、甲63)と請求人による商願2022-149224「MCケンタウロス」及び商願2023-005329「横浜ケンタウロス」の審査において、商標法第4条第1項第8号の適用に係る審査官の判断にバラつきがあるが、それは不合理である。 なぜなら、請求人が提出した証拠(甲23、甲51~甲58)から明らかなように、「横浜ケンタウロス」と「MC KENTAUROS」という表示は、いずれも、1964年に(故)A氏を初代リーダーとして創設された実在のモーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」を指すものとして、日本国内において広く知られているからである。 同一の氏名や名称を持つ個人や組織の人格権を保護するという商標法第4条第1項第8号の趣旨を考慮すると、被請求人による商願2022-130899に係る商標「MC KENTAUROS」及び商願2023-022920に係る商標「MC KENTAUROS」も、請求人による商願2022-149224に係る商標「MCケンタウロス」、商願2023-005329に係る商標「横浜ケンタウロス」における審査と同様に、審理・判断されるべきである。 そうすれば、被請求人による商願2022-130899に係る商標「MC KENTAUROS」及び商願2023-022920に係る商標「MC KENTAUROS」も、商標法第4条第1項第8号に該当することは、直ちに明らかになるはずである。 ここで、本件商標について見れば、被請求人による商願2022-130899に係る商標「MC KENTAUROS」及び商願2023-022920に係る商標「MC KENTAUROS」のように、「MC」の欧文字と「KENTAUROS」の欧文字が一連に記載されてはいないが、「MC」の欧文字と「KENTAUROS」が含まれていることは、被請求人によるこれら二つの出願と共通していることが明らかである。 さらに、本件商標について、商標法第4条第1項第8号の「氏名」には、ローマ字表記された氏名も含まれることと、文字と図形からなる結合商標では、それに含まれる文字だけを取り出して「氏名」と認識され得ることを判示した判決(知財高裁令和元年8月7日判決(平成31年(行ケ)第10037号)と同様に考えると、本件商標に接した需要者は、本件商標からその文字部分である「KENTAUROS」の欧文字と「MC」の欧文字を取り出して、「MC KENTAUROS」という一連の文字列として認識し、何らかの「名称」として理解する。そうすると、本件商標は、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」を表示する標章又はシンボルマークとして日本全国で広く知られている引用商標と、実質的に同一の特徴的な外観を持っているから、需要者は、直ちに同クラブを想起し、その結果、前記文字列を同クラブの「MC KENTAUROS」という名称(別称)として認識すると強く推測される。 (2)被請求人による商願2022-130899(登録第6770758号)の審査段階で提出された意見書(甲38の2) において、被請求人が行った主張(反論)には理由がないことについて ア 本件商標の所有者の代表であるC氏は、(故)A氏の意思に基づき、同氏が設立した特定非営利活動法人ケンタウロスの後継として、一般社団法人「MC KENTAUROS」を設立した旨の主張については、被請求人は、必要があれば、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」の名称とは類似関係が全くない、つまり、同クラブとの関係を需要者に全く想起させることのない他の商標について、商標登録を受ければ足りるはずである。 イ モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」のリーダー(族長)としての地位は、空位であって、本件商標の所有者の代表であるC氏は、その地立を事実上預かっている(故)A氏の最後の未亡人であるE氏から、商願2022-130899に係る商標登録出願をすることについて承諾を得ている旨の主張については、継承書(甲34、甲61、甲65)、通知書(甲35)、テレビ放送(甲39)、電子メール(甲36)などの根拠から、本件商標が出願された当時には、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」のリーダー(族長)たる地位と全権限は、既にB氏に移譲されていたことが明らかであるから、同クラブのリーダー(族長)たる地位と全権限がB氏に移譲された2018年7月以降は、E氏には商願2022-130899に係る商標登録出願をすることについて承諾をする権限がなかったことが明らかである。 ウ 本件商標の所有者の代表であるC氏は、商願2022-130899に係る商標登録出願をすることについて、(故)A氏の生前に同氏からの承諾も得ている旨の主張については、「辞令」及び「申述書」の作成には、E氏が関わっているから、「辞令」及び「申述書」の内容が(故)A氏の意向を正確に反映している、換言すれば、その中にE氏やC氏の意向は含まれていないという点についても疑念が残る。 エ 以上述べたところから明らかなように、被請求人による商願2022-130899に係る商標「MC KENTAUROS」と、商願2023-022920に係る商標「MC KENTAUROS」は、いずれも、商標法第4条第1項第8号に該当する。 (3)C氏が代表を務める一般社団法人の法人名としての「MC KENTAUROS」について 請求人は、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」に関する権限を一切持たず、同クラブとの関係も全く持たないC氏が、同クラブが約60年にわたって大切に管理し使用してきた引用商標に酷似する本件商標について、合法的に商標権を保有することは、信義則上、許容できないとの考えだが、C氏が「MC KENTAUROS」という法人名を使用することについても同様に考えている。 請求人は、少なくとも道義上の観点からみて、「MC KENTAUROS」を法人名として採用する前に、同クラブの許諾(B氏の承諾)を打診するとか、その点について相談する機会や場を求める等何らかの方策をとるべきであったと考える。 4 弁駁書における主張 (1)引用商標の手続経緯 引用商標は、昭和57年(1982年)ないし昭和61年(1986年)に出願され、昭和60年(1985年)ないし平成元年(1989年)に登録された。 (2)引用商標の所有者(商標権者) 引用商標に係る商標権の以前の所有者は、ケンタウロス社であったが、その後、平成27年(2015年)になって、引用商標に係る商標権は、請求人がケンタウロス社から正当に譲り受け、移転登録日は、平成27年(2015年)5月25日であり、譲受け後の引用商標に係る商標権の所有者(商標権者)は請求人である。 (3)引用商標の使用者 引用商標は、それらが出願された昭和57年から昭和61年(1982年~1986年)当時から、請求人が引用商標に係る商標権を譲り受ける平成27年(2015年)までは、引用商標に係る商標権を所有するケンタウロス社が、同社が販売する商品に引用商標を付してそれらの使用を継続し、請求人がケンタウロス社から引用商標に係る商標権を譲り受けた平成27年(2015年)から現在に至るまでは、譲受け前と同様に、ケンタウロス社が、同社が販売する商品に引用商標を付してそれらの使用を継続してきている。 (4)2014年頃から2022年頃までに起こった事象とその背景 ア 引用商標に係る商標権の移転登録日である平成27年(2015年)5月25日より少し前に、B氏は、A氏から、「大切な引用商標に係る商標権を自分たちでは維持していくことができないが、他人に取られないようにしたいから、引用商標に係る商標権を引き継いで今後も維持してほしい」と依頼され、「ケンタウロス社についても、同様に引き継いで今後も維持してほしい」との話もされた。 A氏の依頼に応じる形で、B氏は、請求人が引用商標に係る商標権を譲り受けて、引用商標をケンタウロス社に使用許諾することにし、A氏に代わって、B氏自身がケンタウロス社の代表取締役に就いた。 イ B氏は、2014年の初め頃から、A氏夫妻の転居先の確保を求められていたところ、B氏は、それに応じて古民家を確保し(甲79)、当該古民家は、2014年7月の譲渡契約の締結後、A氏夫妻に「無償で」貸与された。 ウ 2017年4月に、ケンタウロスの二代目としてB氏を指名した「告知書」が作成され、これには、A氏の記名・捺印がある(甲35)。 2017年10月28日に倒れた(1回目)A氏が退院した後、同氏により、ケンタウロスの二代目として、A氏がB氏を指名した「継承書」が作成され、その日付は、2018年7月吉日である(甲34)。 2018年10月6日に、千葉県夷隅郡大多喜町の小学校で、ペリオン祭が開催され、その場で、二代目としてB氏の指名が正式に発表された(甲84)。 エ 2018年10月6日のB氏の二代目就任の発表後、B氏により、A夫妻への直接的な資金援助が始まり、この資金援助は、2018年11月から2019年12月まで続いた(甲80~甲82)。 オ 2019年の5ないし6月頃にA氏が倒れたが(2回目)、E氏がB氏の面会を拒否したため、2018年の後半頃から、B氏はA氏に会うことができなくなったが、2020年11月28日に、B氏が、A氏の長女・D氏とともに病院へ出向き、入院中のA氏と会談した際に、B氏はA氏に、E氏によってB氏に対して長期間行われてきた誹謗中傷と、それを聞いた同氏の周囲にいるメンバー(族員)の話から判明したE氏の策略とを訴え、「二代目返上の伺い」を立てたが、A氏はB氏に対し「そのまま二代目を続けろ」との指示をし、「お前が二代目を継続するのが嫌であるなら、お前自身がケンタウロスを解散させろ」とB氏に指示した。 2020年12月4日付けの手紙(甲87)には、病院に入院したA氏が、同病院から退院した後の生活を、B氏が気遣っていたこと、A氏が倒れて(2回目)以降の経緯が書かれている。 A氏は、2014年に古民家へ引っ越した後は、E氏以外から伝えられる情報が遮断されてしまったことから、妻であるE氏の意のままに動かされていたといえる。 カ A氏は、2022年10月15日に逝去し(甲16、甲78)、A氏の本葬は、2022年10月18日に実施され(甲78)、A氏を送る会(横浜)は、2022年11月19日に実施され(甲16)、A氏を送る会(四日市)は、2022年11月27日に実施された(乙7、甲38の2)。 (5)答弁書における被請求人の主張に対する弁駁 ア 商標法第4条第1項第19号の該当性主張に対する弁駁 (ア)商標法第29条の著作権との抵触について 著作権譲渡契約書(甲3の1)の住所、契約書の対象となる著作権一式に対する著作物一式、契約書が作成された日付、契約当事者の違いなどの点で真正性に疑いがあり、その法的な有効性に疑いがあるから、「引用商標に係る商標権がA氏の所有する著作権に抵触する」という当該契約書に基づく被請求人の主張には理由がない。 また、著作権譲渡契約書に記載された「MC KENTAUROS」の紋章に関する全てに係る著作権一式を、A氏が真に所有していたとはいえず、前記著作権一式を真の創作者であるA氏が真に所有していたことを前提とする「B氏はA氏から引用商標に係る著作物の利用許諾を受けていない」との被請求人の主張も同様に理由がない。 仮に当該著作権譲渡契約書が真正であり、かつ有効であると考えても、被請求人は、当該著作権譲渡契約書の当事者ではなく、当該著作権譲渡契約書とは無関係であることが明らかであるから、被請求人が当事者に入っていない当該著作権譲渡契約書は、「本件商標の不正目的性」を否定する被請求人の主張の根拠にはなり得ない。 現実に、引用商標の使用とその商標権の帰属は、A氏によって厳格に管理されてきたという事実がある。 青龍寺社が、引用商標の使用とその商標権の帰属に関する厳格な管理をすり抜けて、本件商標を出願して登録を受けることができたのは、本件商標が出願された当時には、A氏が長期間、E氏の意のままに動かざるを得なかったこと、E氏が自己の意向に沿うようにA氏を動かそうとしている状況が、C氏の利害にも一致していたことの双方に起因すると思われる。 (イ)このように、著作権譲渡契約書(乙3)、本葬の通知と実施(乙7)、辞令(乙8の1)、申述書(乙9の1)は、真にA氏の意向を受けて作成された書類であることに疑いがある。 イ 「C氏がA氏から看板を授与された族員である」との主張について 被請求人は、「C氏がA氏から看板を授与された族員である。」と主張しているだけで、C氏への看板の授与の日時、場所、状況については、全く言及がないから、被請求人の主張は、虚偽と考えざるを得ない。 ウ 「モーターサイクル・クラブ「ケンタウロス/KENTAUROS」には当事者能力がない」との主張について モーターサイクル・クラブ「ケンタウロス/KENTAUROS」は、法人格を有していないが、「社団性」を有しているから、同クラブは、「法人格のない社団」つまり「権利能力なき社団」に該当し、被請求人の主張する「社団性の乏しい団体」には該当しない。 東京高判平成8年(行ケ)第225号(東京高判平10・1・14)判決からも、商標法第4条第1項第8号の「他人」には、「法人格のない社団」も含まれるから、「法人格のない社団」に該当する同クラブは同号の「他人」に該当する。 エ 同クラブが商標法第4条第1項第8号の「他人」に該当するとの判断は、被請求人による商標登録出願(商願2022-130899)の審査段階で発行された拒絶理由通知(甲37)において、審査官は、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」の公式ウェブサイト(甲13)を引用し、当該出願商標「MC KENTAUROS」は、同クラブの名称「MC KENTAUROS」を含んでいるから、商梗法第4条第1項第8号に該当すると指摘していること、請求人による商標登録出願(商願2022-149224)の審査段階で発行された拒絶理由通知において、審査官は、商願2022-130899(甲37、甲38)に係る商標「MC KENTAUROS」とほぼ同一である商願2022-149224に係る商標「MCケンタウロス」が、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」の名称(別称)「MCケンタウロス」を含んでおり、かつ、同クラブの承諾を受けていないとの理由で、商標法第4条第1項第8号に該当すると指摘していることからも根拠づけられる。 したがって、本件商標は、同法第4条第1項第8号に該当する。 オ 「特定非営利活動法人ケンタウロスを引き継いだのが被請求人である」との主張について 被請求人が本件商標を出願し登録した理由は、モーターサイクル・クラブ「ケンタウロス/KENTAUROS」が持っている名声を不当に利用(フリーライド)するものであるから、本件商標は不正目的で商標登録されたものに該当し、商標法第4条1項第19号に該当する。 カ 「特定非営利活動法人ケンタウロス」について 特定非営利活動法人ケンタウロスの設立認証年月日は2000年1月4日、その解散日が2021年1月18日であり、その解散理由が「第43条の規定による設立の認証の取消し(法第31条1項7号)」であり、「閲覧書類等」欄の更新年月日が2013年2月7日とされていることから、2013年の年頭には既に活動をしていなかったことが分かる(甲88)。 よって、被請求人の「特定非営利活動法人ケンタウロスを引き継いだのが被請求人である」との主張は、本件商標の出願・登録を正当化するため、本件商標の不正目的性を否定するために、こじつけで行ったものであり、失当である。 キ 「B氏による二代目継承の主張は失当である」との主張について 請求人は、根拠として、二代目にB氏を指名する文書(乙10)、A氏のメモ(乙11)、B氏がA氏に渡した文書(乙12)を提出しているが、請求人は、被請求人の当該主張には承服できない。 その理由は「2014年頃から2022年頃までに起こった事象とその背景」により容易に理解されるものであり、B氏が二代目のリーダー(族長)に指名され、初代リーダーであった(故)A氏が持っていた権限の全てがB氏に移譲されるまでの経緯が詳細に記載されている。 文書(乙10)は、(故)A氏が語った言葉を文字起こししたものの一部と推測され、また、同文書ではB氏を二代目に指名しているようであるが、同文書は、作成された日時や出所が一切不明であるから、被請求人の主張を裏付ける根拠にはなり得ない。 また、A氏の死後、保管資料から発見されたメモ(乙11)は、いつ、どのような場所・状況で、誰によって書かれたものかが不明であり、A氏が書いたものかも証明されていないから、そこに書かれていることの信ぴょう性は限りなく低いから、「A氏の死後、保管資料から発見されたメモ(乙11)によれば、B氏への「はもん」の文字記述もある」という被請求人の主張は事実とはいえない。 ク「B氏は自分が二代目であることを既成事実化しようとしている」との主張について B氏は、A氏から二代目就任を打診され、B氏はそれに応じる形で二代目に就任したというのが事実である。 ケ「ケンタウロス社は専用使用権者ではない」との主張について 商標権専用使用権設定契約書(甲12)は、商標法上の専用使用権としての効力を発生させないものであるとの点は、被請求人の主張するとおりであるが、当事者である請求人とケンタウロス社の間では、ケンタウロス社に対して、引用商標の指定商品について引用商標の使用を許諾する契約(合意)は成立していることが明らかであるから、当該契約書自体は有効であり、当該契約書によって生じる使用権が「商標法上の専用使用権」ではないことだけであり、当該契約書によってケンタウロス社に付与される使用権が「商標法上の通常使用権」ではないことまでは意味しない。 したがって、当該契約書によってケンタウロス社に与えられる使用権は、いわゆる「独占的通常使用権」と解すべきである。つまり、商標権者(被請求人)が特定の第三者(ケンタウロス社)に対してのみ引用商標の使用を許諾する通常使用権というべきである。 以上から、契約書(甲12)の日付が請求人の商標権移転受付日前になっていることのみを理由として、当該契約書そのものが無効になると解するのは妥当でなく、当該契約書はいわゆる「独占的通常使用権」を設定する契約として有効である。 コ 引用商標の周知性を否定する主張について 請求人は、引用商標が、同クラブを表示する標章あるいはシンボルマークとして周知・著名になったことに伴って、引用商標が付された商品を販売するケンタウロス社と、同社が運営するショップ(店舗)「KENTAUROS/ケンタウロス」とを表示する標章あるいはシンボルマークとしても、周知・著名になったと主張しており、引用商標それ自体がその指定商品に付されて大量に販売され、広告宣伝された結果、引用商標が周知・著名になったとの主張はしていない。 知財高裁平成28年6月23日判決(平成28年(行ケ)第10003号)は、「ある商品がその希少性ゆえに世間の注目を集めて周知になったという事情がある場合は、同商品の販売量(出荷量)の少なさは、同商品の周知性、及び、同商品に対して使用された商標の周知性を否定する理由にはならない」と判示している。 したがって、引用商標又はそれを模した商標が付されて販売されるオリジナル商品(ケンタウロス・グッズ)の販売数の少なさは、それらの周知・著名性を否定することにはならず、それらの商品及び引用商標又はそれを模した商標が日本国内において広く知られていることとは矛盾せず両立する。 引用商標の周知性を立証する証拠を補強するための立場の異なる3名のモーターサイクル・ファンが作成した陳述書(甲92~甲95)は、同クラブの象徴となっていた「への字形ワッペン」(看板)(引用商標の上位要部のみから構成される)が、同クラブに無断で模倣盗用され、店頭販売までされていたこと、偽物と分かっているのにかかわらず好んで購入するモーターサイクル・ファンがいたことは、1985年ないし1986年当時、既に、同クラブがモーターサイクル・ファンの憧れの的となっていたことを示唆するものである。 いずれの陳述書も、創設以来、現在に至るまで、同クラブが周知・著名であること、同クラブに対する社会的評価、特にモーターサイクル・ファンの評価が彼ら・彼女らが憧れるほど高いことを明示している。 サ「本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない」との主張について 本件商標は、登録第4054469号や登録第4093130号とは異なり、本件商標が付された商品(例えば、おみくじ、お守り、貯金箱、靴べら等)に接した需要者・取引者は、引用商標が自己を表示する標章として広く認識されているモーターサイクル・クラブ「ケンタウロス/KENTAUROS」、あるいは、引用商標が付されたケンタウロス・グッズを販売するケンタウロス社と、経済的又は組織的に何らかの関連がある者の業務に係る商品(例えば、おみくじ、お守り、貯金箱、靴べら等)と誤認し、商品の出所について混同を生じるおそれが極めて大きい。 したがって、「引用商標の指定商品とは異なる非類似商品を指定して・・・商標登録されている」ことを理由として、「本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性」を否定する被請求人の主張は、失当であり理由がない。 シ 本件商標が、他人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがあるものに該当することについて 引用商標は、当初から、モーターサイクル・クラブ「ケンタウロス/KENTAUROS」を表示するマーク(標章)として制作された経緯があり、非常に特徴的、かつ、独創的な構成を有している。 したがって、本件商標が出願され登録査定がなされた当時において、本件商標の指定商品の需要者が、著名な引用商標と同一の構成を持つ本件商標に接したとすると、需要者は、直ちに、同クラブを想起し、それと同時に、同クラブとの関係が深いケンタウロス社、又は、同社が運営する「KENTAUROS/ケンタウロス」と称するショップ(店舗)を想起する可能性が極めて高い。 以上述べたように、本件商標は、「引用商標の周知性」、「本件商標と引用商標の類似性」及び「出所の混同を生じるおそれの高さ」という、商標法第4条第1項第15号の適用の要件を満たしている。 したがって、本件商標は、同法第4条第1項第15号に該当する。 5 上申書(令和7年2月22日付け)における主張 (1)A氏の状況とE氏及びC氏の動向 弁駁書において、請求人は、「2019年9月に、E氏が古民家から転居した頃、A氏は病院と病院から紹介された療養施設又は介護施設との間を行ったり来たりしていたものと推測される」と述べたが、A氏はその間ずっと入院していた(甲96の1、甲96の2、甲97の1)。 自宅療養期間中のA氏の状況は、医師診療録(甲96の2、甲96の3)と看護記録(甲97の2~甲97の4)から理解されるように、読唇やジェスチャー等を用いてようやく意思疎通ができる状況であり、会話はできず筆談しかできない状況であったから、このような状況下では、相談のためにA氏がC氏と対面で対話するのはほぼ不可能であるから、相談はC氏とE氏の間で行われた。 2021年(令和3年)2月9日から同年7月26日までの「約6か月」と、同年8月10日から2022年(令和4年)10月12日までの「約1年2か月」の自宅療養期間の全てにおいて、A氏は、訪問医療・訪問看護・訪問リハビリ・訪問介護にかかわる専門家による支援を除くと、日常生活の全てをE氏に依拠していた。 そして、以前から親密な関係・積極的に協力する関係にあるE氏とC氏は、共通の新たな収益源を獲得するという点で利害が一致していたために、C氏の協力を得ることで、E氏がA氏の意向を無視して、著作権譲渡契約書(乙3の1)(令和4年10月5日)や辞令(乙8の1)(令和4年7月1日)、申述書(乙9の1)(令和4年7月1日)といった書面を作成する(A氏の実印を捺印することも含む)ことが容易な状況にあった。 A氏の上記のような状態で、A氏が、著作権譲渡契約書(乙3の1)について、あるいは、辞令(乙8の1)や申述書(乙9の1)について、A氏の側からE氏とC氏に相談を持ち掛けることは、ほぼ不可能であったと思われる。 特に、著作権譲渡契約書(乙3の1)については、辞令(乙8の1)や申述書(乙9の1)に比べて内容が複雑であって、高度な理解力・判断力が要求されることから、また、同契約書の成約日である令和4年(2022年)10月5日は、A氏の容体が急変して危篤状態に陥った同年(令和4年)10月13日の「8日前」であることから、同年10月8日にA氏の80歳(傘寿)の誕生会を開催したとはいえ、同氏が同契約書の内容と意味を十分に理解して検討し、正常に判断するのは到底不可能であった。 よって、著作権譲渡契約書(乙3の1)は、E氏とCが共謀して偽造したものである可能性が、辞令(乙8の1)と申述書(乙9の1)よりも高いように思われ、その信ぴょう性に一層強い疑いがある。 そして、C氏が居住する三重県四日市市への転居(移住)を何とか成功させて、同氏の支援を受けながら生活したい、と考えていたE氏には、早急に「新しい収入源」を獲得することが必要という事情があり、また、A氏とE氏の面倒を見ることを引き受けたC氏には、E氏に協力して前記「新しい収入源」の獲得を早急に現実化することが必要という事情があったから、両氏には共通の事情があったことになり、当該共通の事情により、E氏とC氏は、本件商標を出願して登録を受けることができれば、引用商標の名声・信用に便乗して容易に利益が得られるようになるとの気づきを得、そのために積極的に協力するようになったのではないかと推測される。 第4 被請求人の答弁 1 答弁の趣旨 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証(枝番号を含む。)を提出した。 2 答弁の理由 (1)商標法第4条第1項第19号該当性について ア 商標法第29条の著作権との抵触 (ア)被請求人は、本件商標の著作権者であるA氏から許諾を得て青龍寺社を出願人として出願し、商標登録を受けているから、本件商標は商標法第4条第1項第19号の「「不正の目的」をもって使用するもの」に該当せず、逆に、引用商標に係る引用商標権(以下「引用商標権」という。)は、その商標登録出願日前に成立したA氏の著作権、現在は被請求人が所有の著作権に抵触する。 A氏は、1964年(昭和39年)にモーターサイクルクラブ「ケンタウロス」(以下「モータークラブ」ということがある。)を結成し(甲19)、昭和48年に、バイク販売等の自営業をケンタウロス社に法人化して、平成28年1月5日まで代表取締役となり、自ら創作した著作物の複製図形を商標として出願し、引用商標権を維持してきた(乙1)。 B氏から、(イ)A夫妻を生涯、経済的援助をして面倒をみていく、かつ夫婦の一方が先に亡くなり独りになっても生涯生活に困ることのないよう経済的援助をする、及び(ロ)住む住居を提供するとの話があり、A氏は、この約束と引換えに、平成27年にケンタウロス社からB氏と親交のある者が代表を務める請求人に引用商標権を譲渡し、平成28年にB氏へケンタウロス社の代表取締役を譲っているが、前記生活費の面倒は僅か1年ほどで打ち切られてしまった。 (イ)一方、引用商標権に係る登録商標の図形は著作物の複製物であり、その著作者であるA氏は著作物の利用に関する契約等を、B氏側に対し一切行っていない。当該著作物の著作権は、現在、本件商標に係る本商標権(以下「本商標権」という。)の権利者である被請求人が譲渡契約により所有しており(乙3の1)、当該著作物である「MC KENTAUROS紋章」の図形著作物(以下「本件著作物」という。)は写しのとおりである(乙3の2)。 引用商標権と当該著作権が抵触するときは、引用商標権に係る登録商標の図形は商標出願日前の本件著作物の複製物であることから、引用商標権が発生しても、商標法第29条により、本件著作物を複製した商標を指定商品に使用できず、引用商標権の効力がその商標出願日前に存在した本件著作物を商標として複製した著作権側の本商標権に及ぶことはない(ポパイ事件(最高裁平成2年7月20日第二小法廷判決)の判決からも、請求人が引用商標をもとに無効審判を請求する理由は、商標法第29条の規定により成り立たないから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 仮に、本商標権取得に商標法第4条第1項第19号の「不正の目的」があれば、A氏が役員に名を連ねた青龍寺社(乙4)が本件商標の出願をすることはあり得ないし、著作権譲渡などしないから、同号に基づく請求人の主張は明らかに失当である。 (ウ)モータークラブは、「パソコン通信で情報を発信する。」集団(甲19)であり、A氏が病床についた後、請求人側の支配下になり、情報発信により本件著作物をF氏が創作したとしている(甲15)が、本件著作物はA氏が独自に創作している。 イ 「本件商標の使用の不正目的性」に対して (ア)「C氏は、・・・今まで同クラブのメンバー(族員)であったことはない」との主張に対して 被請求人代表のC氏は、A氏とは40年以上のつきあいがあり、横浜市中区の住民であり、A氏から看板を授与された直属護衛を務める族員である。 モータークラブは、会費や会則等の決め事がないモーターサイクリスト・クラブであり、A氏は、このモータークラブを結成し、B氏に譲ったケンタウロス社のほかに、特定非営利活動法人ケンタウロスを2000年(平成12年)に設立している(乙5)。モータークラブの族員だけに留まる者がいれば、年会費を支払って(甲29の9)、ケンタウロス社に設けたクラブの優先使用ができる運営会員になる者、また、特定非営利活動法人ケンタウロスに所属する者もいる。これら三つは別個独立して存在し、特定非営利活動法人ケンタウロスを引き継いだのが、被請求人の一般社団法人MC KENTAUROSである。 C氏は、四日市に戻った後もA氏と電話等で近況連絡し合い、時折、A氏に呼び出されてモータークラブの行事に参加したり二人で食事したりし、A氏がB氏から借りていた古民家からの引っ越し後、A氏から呼び出されて、解散した特定非営利活動法人ケンタウロスの後継組織や終の棲家の相談等を受け、当初は断っていたが懇願され、最終的にA氏の強い望みに応じて「一般社団法人MC KENTAUROS」を設立した経緯があり、この「一般社団法人MC KENTAUROS」へ本商標権を登録時の青龍寺社から移転している(乙6)。 A氏は令和4年10月に急逝し、故人の遺志を尊重し菩提寺のある四日市市にて大僧正の導師により本葬を執り行い(乙7)、菩提寺住職として弔辞を読んだ。A氏は生前、C氏に対し、「2021年1月18日に解散した、特定非営利活動法人ケンタウロスの目的を受け継ぐ組織を作り、代表を務めるように命ずる。」とともに、「C氏には、本日付けで、代行も兼務するように命じる。」との辞令(乙8)を出している。未亡人E氏の申述書(乙9の1)も存在し、A氏の明確な指名によりC氏を代行に決定している。 本商標権は、青龍寺社から被請求人へ移転したが、青龍寺社の役員に、A氏とともにA氏から代行指名されたC氏が名を連ね、本葬を四日市で執り行ったりした事実によっても、「C氏は、・・・同クラブのメンバー(族員)であったことはない」との主張は失当である。 なお、B氏と請求人の代表者は、2010年(平成22年)以降にクラブ入会した族員なので、横浜市中区山下町・・・当時を全く知らないので、理解できないのであろう。 (イ)「平成30年(2018年)7月に、同クラブの創立者である(故)A氏により、同クラブの次のリーダー(二代目)として「ミスターチャーリー」が指名され、(故)A氏が持っていたすべての権限が「ミスターチャーリー」に移譲されたとの主張は失当である。 「ミスターチャーリー」ことB氏がE氏へ宛てたメールヘの回答(甲36)は、日付が2019年(平成31年)2月10日で、メール回答文の内容から、この時点でA氏はいまだ退任しておらず、「MCケンタウロスは、A氏が亡くなった時、もしくは役目を果たせない状況になった時、B氏がその役目を継ぐといった内容で、A氏がサイン致しました。」とあり、このサインした文書が甲第35号証である。また、「今回の内容ですと、「退任を明言」を要求しているが、その真意は?A氏は、退任しろと言うならば、退任すると申しております。」とある。 「継承書」(甲34)は、A氏がいまだ退任もしていない当該メール回答日の2019年2月10日よりも前の平成30年7月吉日(2018年7月吉日)になっており、事実に反する。 また、B氏がA氏へ「退任の明言」を迫り、二代目に自分を指名する文書(乙10)を手渡して、その内容で次の総会にて発表するよう強要したため、A氏は不信感を抱き、B氏の要求を拒否し、それ以降、次の総会出席等を含めてB氏を指名する発表を一切していない。 A氏の死後、保管資料からメモ(乙11)が発見され、これによれば、「チャーリー」ことB氏への「はもん」の文字記述もある。 乙第12号証は、B氏がA氏に渡した乙第10号証とは別の文書であり、文中の「奥さん」はE氏を指し、この文書には、B氏は、インターネットでは、A氏を尊敬しているような文章になっているが、実際には尊敬などなく、嘲弄していることが明白な文章である。 令和4年10月8日に、信頼されるモータークラブの側近が呼ばれて、A氏の傘寿の祝いをしたが、B氏は呼ばれていない。 特定非営利活動法人ケンタウロスを受け継ぐ本商標権者を作り、C氏に代表を命じ、また代行も兼務するよう命じた乙第8号証の1とともに、未亡人E氏の申述書(乙9の1)が存在しているから、「平成30年(2018年)7月に、・・・(故)A氏が持っていた全ての権限が「ミスターチャーリー」に移譲された」は事実に反する。 ウ 「二代目Bには筒森までの送りをしてもらった。」の二代目に対して モータークラブ二代目を継承させる重要事項について、A氏がこのようなメール公表などしない。B氏から自分を後継者二代目に指名するよう強要されたが、拒んでいる。A氏の未亡人E氏に尋ねればすぐに分かる事柄であり、A氏を語るメール文であり、いかようにも編集でき、逆にA氏はB氏を二代目から排除している。 A氏が病に倒れ療養生活が始まった時から、特に、亡くなった令和4年(2022年)10月からB氏は手中にいれたホームページやメールを使って、自分がモータークラブ二代目であると既成事実化しようとしている。 (2)商標法第4条第1項8号の該当性について ア 請求人は、「東京高判平成10年1月14日(平成8年(行ケ)第225号)」等の判決に示されているように、商標法第4条第1項8号の「他人」には、法人格のない社団も含まれると解されており、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS」が同号の「他人」に該当することは明らか」と主張するが失当である。 上述の判決の当裁判所の判断は、「このように法人格のない社団が本号の「他人」に含まれると解しても、社団性の乏しい団体は、ここでいう「法人格のない社団」に該当しないわけであるから、被告主張のように・・・正当な商標登録出願が妨げられるおそれがあるということはできない。」となっており、モータークラブのケンタウロスはこの「社団性の乏しい団体」に該当する。 また、「最高裁第一小法廷判決 昭和39年10月15日 民集18-8-167[96]」をうけて、「法人格を有しない社団,財団が当事者となろうとし、あるいはこれらを当事者としようとするときは、定款,規約類等によって当事者能力の存在を証明すべきである。」(「民事訴訟法講義案(財)司法協会、29ページ、平成14年5月」)としている。 イ モータークラブ「ケンタウロス」には定款、規約類等が存在せず、当事者能力を有しない単なるバイク集団であり、メンバーの構成員すら明確になっていない状況である(甲13の2)。 また、A氏は、モータークラブ「ケンタウロス」をそのように運営しながら、「横浜飛天双〇能」などの開催(甲31、甲32)に当たって、単なるバイク集団が主催になるよりは特定非営利法人ケンタウロスが主催にふさわしいと考えたと思われ、特定非営利法人ケンタウロスを、本商標権者が引き継ぐ形である。 よって、本件商標が、「モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」を表示する標章あるいはシンボルマーク」をもとに、商標法第4条第1項第8号に該当することはない。 (3)引用商標の周知性に対して ア ケンタウロス社は専用使用権者でない 請求人が引用商標の商標権を代表取締役A氏のケンタウロス社から譲渡された年月日は、引用商標に係る【特定承継による本権の移転】に記載の平成27年(2015年)5月25日である(乙14)。甲第12号証の日付はこの2015年5月25日よりも前の2015年4月13日であり、引用商標の商標権者ではない株式会社ユナイテッドエフォートが専用使用権設定契約を結んでいるから、その契約は無効である。 さらに、専用使用権の設定は、特許庁の登録原簿への登録が効力発生要件である(商標法第35条、準用特許法第98条)。請求人の引用商標に係る専用使用権は、全て登録原簿の乙区記録部にも記録されていない。 請求人は、「・・・引用商標の各々をその指定商品について使用してきた者(引用商標の使用者)は、昭和57年ないし昭和61年(1982年~1986年)の出願当時から現在に至るまで、一貫してケンタウロス社であり、引用商標の使用をケンタウロス社以外の者が行なったことはない。」とあるが、上述した専用使用権は効力発生要件の原簿登録がなく、それ以前に、専用使用権設定契約も無効であることから、【特定承継による本権の移転】の2015年5月25日から現在に至るまで、商標権者等による指定商品への引用商標の不使用が続き、当該商標権は空権化している。 よって、不使用取消審判の請求対象にもなり、本件商標の出願時及び登録査定時において、引用商標の指定商品への使用によって周知性が獲得されたというのはあり得ない。 イ 請求人側は周知性を獲得できる会社規模でない ケンタウロス社の決算報告書(甲11)からすれば、ケンタウロス社は周知性を獲得できる会社規模及び会社経営状態からかけ離れており、ケンタウロス社は、引用商標が付された指定商品を販売・流通させて、周知性を獲得できるような事業会社ではない。 ウ 看板のワッペンは商標法の商品に該当せず 商標法上の商品は、一般に、有体物であること、動産であること、取引の対象となること、流通過程にのること等が、原則的要件とされている。 モータークラブ入会要件を満たして「本件著作物の複製物が付されたA氏から授与されるワッペン」は、デニムジャケット等の背部に縫い付け、モータークラブの一員になった証を示す非売品である(甲17)から、これらのワッペンは市場に流通する商標法上の商品でない。 もし、A氏から授与されデニムジャケットの背部等に縫い付けられる「本件著作物の複製物が付された三点のワッペン(看板)」をショップで販売していると主張するならば、その価格と販売実績の提出を求める。 エ 商品の出荷量及び売上高の少なさと周知性の立証資料の乏しさ 請求人主張の根拠判決文の商品に比べると、本請求人側商品の出荷量すなわち販売量の圧倒的少なさ、さらに同判決の引用商標に比べると、本請求人側引用商標の周知性証拠のなさが際立ち、周知性を立証したことにはならない。 オ 引用商標の周知性を否定する要約 第1に、ケンタウロス社は決算報告書(甲11)を見ても、引用商標を周知化させる企業からは程遠い小規模企業であり、請求人も同様であり(乙2)、引用商標の周知性獲得するのは困難である。 第2に、看板のワッペンは、一般市場で交換を目的として生産され、かつ取引社会において流通性を有する有体物でないので、商標法上の商品に該当せず、周知性を立証する証拠資料にならない。 第3に、商品販売量及び売上高の圧倒的少なさで、引用商標の指定商品全ての年間売上高が、ショップ利用族員の年会費4万円を含めても僅か4百万円強であり、周知性獲得は不可能である。 第4に、モータークラブ「ケンタウロス」は、当事者能力がない。モータークラブ「ケンタウロス」の甲第29号証等は証拠に該当しない。 第5に、請求人が周知性を立証しようと提出した甲各号証を見ると、知財高裁平成28年6月23日判決で裁判所へ、「ウ 申立人ら商品1のメディア等での紹介の状況」として証拠提出された全国ネット放送や全国紙等での記事に相当するものが、皆無に近い状態であり、引用商標の周知性を立証したことにならない。 また、同判決に在る前記「イ 申立人ら商品1についての宣伝・広告の状況」に対応させた、引用商標の指定商品に関する宣伝・広告の証拠もごく僅かしかなく、甲第24号証,甲第25号証等は、販売店がたった一か所しかない甲第26号証のショップ「夜座蔵」に並ぶ陳列品を撮った写真にすぎない。 第6に、専用使用権設定契約書の契約(甲12)は無効であり、当該専用使用権は登録原簿にも記録されていない。 請求書で「引用商標の使用をケンタウロス社以外の者が行なったことはない。」としていることから、引用商標は、株式会社ユナイテッドエフォートヘ移転後、商標権者等による使用がなく、ずっと商標不使用の状態にあり、引用商標の周知性獲得はあり得ないから、本件商標の出願時及び登録査定時において、引用商標の周知性は認められない。 よって、甲第13号証ないし甲第29号証、甲第31号証ないし甲第33号証、及び甲第39号証ないし甲第61号証に対し、引用商標の周知性は立証されていない。 (4)商標法第4条第1項第15号の該当性主張に対して 請求人は、請求書において、引用商標の周知性を主張するが失当である。 まず、「引用商標の周知性」の主張に対しては、前記で述べたように失当であり、特に、知財高裁平成28年6月23日判決で、裁判所が「イ 申立人ら商品1についての宣伝・広告の状況」で事実認定した、公共のテレビCM、ラジオCMの広告等だけでなく、「・・・テレビ番組、雑誌、新聞インターネット上の情報記事等で繰り返し紹介されてきたものであり、その結果、周知性を獲得するに至った」とあるのに対し、本請求書においては、テレビ番組、雑誌などの情報記事等で繰り返し紹介されている証拠が欠落しており、甲各号証は、A氏に関するもの(甲19)や本件に関係ない無駄な頁(甲44等)を多く含み、引用商標が指定商品への使用により周知になったとする証拠が見当たらず、周知性が立証されていない。 また、請求書において「引用商標に関しケンタウロス社に対し専用使用権を設定している(甲12)」に係る専用使用権が存在しないので、引用商標は指定商品への不使用が続いている。乙第15号証に係る【特定承継による本権の移転】に記載の2015年の平成27年5月25日以後は、引用商標を使用しておらず周知にできない。 請求書の「引用商標の各々をその指定商品について使用してきた者(引用商標の使用者)は、・・・一貫してケンタウロス社であり、引用商標の使用をケンタウロス社以外の者が行なったことはない。」とあり、周知性の立証どころか不使用取消審判の対象になっている。 さらに、引用商標を指定商品に使用することによっての周知性が獲得できていないのに、本商標権の非類似商品にまで及んで引用商標との出所混同が生ずるというのはあり得ない。 そして、請求書に「本件商標及び引用商標の各々からは、・・・「エムシー」及び「ケンタウロス」という称呼が生じることが明らかである。」とし、「(故)A氏と数名の仲間によって結成されたモーターサイクル「KENTAUROS/ケンタウロス」(甲16)を想起する可能性が極めて高い。」と主張するが、失当である。 引用商標の指定商品とは異なる非類似商品を指定して請求人以外の他人が出願し、登録第4054469号や登録第4093130号で商標登録されている。 したがって、引用商標の指定商品とは異なる非類似商品を指定する本件商標が、商標法第4条1項第15号に該当することはない。 加えて、引用商標の図形は著作物の複製物であり、その著作者であるA氏が当該著作物の著作権を被請求人に譲渡している(乙3の1)。この著作権の効力が及ぶ図形を使用する引用商標は、先創作優位の原則の下、当該著作権に抵触する。引用商標を周知にするどころか、請求人側は商標法第29条により制限を受け、引用商標の指定商品について使用できない。 よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。 第5 当審の判断 1 利害関係について 請求人が本件審判を請求することの利害関係の有無については、当事者間に争いはなく、当審は請求人が本件審判の請求について利害関係を有すると認める。 2 引用商標の周知性について (1)請求人の提出の甲各号証及び同人の主張等によれば、以下の事実を認めることができる。 ア ケンタウロス社は、昭和48年(1973年)に「自動車、自動二輪車、自転車、モーターボート、ヨット等の卸、小売、及び整備並びに開発」、「衣料品、衣料雑貨品、日用雑貨品、アクセサリーその他生活雑貨の販売及び輸出入」などを目的として設立され、現在も存続しており(甲10、甲11ほか)、引用商標に係る商標権は、平成27年(2015年)5月25日にケンタウロス社から請求人に譲渡され(甲2~甲9、職権調査、引用商標に係る商標登録原簿)、同年4月13日に請求人がケンタウロス社に対し同商標権について専用使用権を設定する旨の商標権専用使用権設定契約を締結したことがうかがえるが(甲12)、引用商標に係る商標登録原簿には、当該専用使用権の設定の登録は見当たらない。 イ 引用商標(色彩の異なるものを含む。以下同じ。)が付された使用商品(Tシャツ)が遅くとも昭和59年(1984年)に発行された雑誌に掲載されたことが認められ(甲33)、使用商品中、Tシャツ、トートバック、ジーンズなどがケンタウロス社の店舗(以下「ケンタウルスショップ」という。)において取り扱われ(甲23~甲25、甲27、甲28、甲29の14ほか)、現在でもヤフオク等を通じて使用商品(Tシャツ、ステッカーなど)が販売されている(甲51、甲55、甲57、甲58ほか)。 また、引用商標の付された商品について、ケンタウロスショップにおいて、2022年4月及び12月に一定の売上げがあったことがうかがえるものの(甲27、甲28)、当該商品の販売期間、販売数、広告宣伝などに関する事実は確認できない。 ウ モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」(以下「ケンタウロスクラブ」ということがある。)は、昭和39年(1964年)に結成され、現在も活動していること(甲14、甲16、甲19、甲29、甲66ほか)、同クラブのメンバーは背中に引用商標と同一視し得る標章(色彩の異なるものを含む。)が付されたジャケットやベスト等を着用し、オートバイでツーリングする場合があること(甲15、甲18、甲40、甲47ほか)、ケンタウロスクラブや同クラブが運営するケンタウロスショップのマークとして、引用商標の上部と同一視し得る標章を使用していたこと(甲18、甲21ほか)、ケンタウロスクラブをモデルとする漫画「ケンタウロスの伝説」が昭和56年(1981年)に、同漫画を原作とした劇場用アニメが昭和60年(1985年)に制作されたこと(甲14、甲15、甲40、甲65ほか)、ケンタウロスクラブは、平成13年(2001年)、平成18年(2006年)など複数回にわたり「横浜飛天双○能」と称する能舞台公演を行ったこと(甲31、甲32、甲46ほか)、ケンタウロスクラブ及び元リーダーA氏に係る記事が、平成4年(1992年)ないし令和5年(2023年)発行の雑誌に掲載され(甲18~甲20、甲40ほか)、例えば、平成27年(2015年)年2月頃に発行されたバイク雑誌に「日本一名の知れたモーターサイクルクラブ、ケンタウロス。」の記載があること(甲18)、ケンタウロスクラブ及び元リーダーA氏に係る記事が、2005年及び2022年のウェブサイト(甲15~甲17、甲46ほか)及び2006年ないし2024年のブログ等(甲42~甲44、甲47、甲49、甲50、甲64、甲67~甲73ほか)に掲載されたこと、ケンタウロスクラブが、2011年、2012年、2013年、2020年にNHKBS4Kなどのテレビ放送(2番組)で紹介されたことがうかがえる(甲39の2、甲45、甲48の1、甲48の2)。 エ 前記アないしウによれば、ケンタウロス社は、昭和48年(1973年)に設立され、同社は遅くとも昭和59年(1984年)頃から使用商品を取り扱っており、現在でもケンタウロスショップやヤフオク等を通じて使用商品が販売されていることはうかがえるものの、引用商標を使用した使用商品の販売期間、販売数、広告宣伝などに関する事実、市場におけるシェア、広告宣伝費などについては明らかでないから、請求人が主張する使用商品に係るケンタウロス社の使用商品の店舗のみでの小規模販売などの販売形態や手法等を考慮しても、使用商品に使用されている引用商標は、ケンタウロス社の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間はもとよりオートバイの愛好者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 また、ケンタウロスクラブは、昭和39年(1964年)に結成され、昭和50年代ないし平成初期において、オートバイの愛好者の間にある程度知られており、同クラブのメンバーは引用商標と同一視し得る標章(色彩の異なるものを含む。)が付されたジャケット等を着用しツーリングするなどの活動を行っており、同クラブや同クラブが運営するケンタウロスショップのマークとして、引用商標の上部と同一視し得る標章を使用していたことがうかがえるとしても、提出された証拠からは、引用商標がケンタウロスクラブ及びケンタウロスショップを表示するものとして需要者及びオートバイの愛好家の間に広く認識されていると認めるに足りる証拠は見いだせない。 さらに、ケンタウロスクラブをモデルとする漫画や劇場用アニメが制作されたこと、ケンタウロスクラブが「横浜飛天双○能」と称する能舞台公演を複数回行ったことはうかがえるが、当該漫画の発行部数や劇場用アニメや能舞台公演の観客数は不明であり、ケンタウロスクラブ及び当該クラブの元リーダーA氏に係る雑誌、ウェブサイト及びブログ等の掲載回数はさほど多いとはいえず、ケンタウロスクラブが紹介されたテレビ放送についても、その放送回数は多いとはいえない。 そして、そのほか、ケンタウロスクラブ及びケンタウロスショップについてのメディアを通じた大規模な広告宣伝活動実績は確認できない。 そうすると、ケンタウロスクラブ及びケンタウロスショップが使用する引用商標に対する需要者の認識を客観的に推し量ることができない。 その他、引用商標が、我が国及び外国の需要者の間において広く知られるに至っていることを、具体的かつ直接的に示す証拠は見いだせない。 以上よりすると、請求人が提出した証拠によっては、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ケンタウロスクラブ及びケンタウロスショップを表示するものとして、また、ケンタウロス社の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間において広く認識されていたものと認めることはできない。 なお、請求人がケンタウロス社に対し引用商標に係る商標権について専用使用権を設定する旨の契約を締結したことがうかがえるが、引用商標に係る商標登録原簿には、当該専用使用権の設定は、登録されておらず、その効力を生じない(商標法第30条第4項で準用する特許法第98条第1項第2号)。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)引用商標の周知性について 引用商標は、上記2のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ケンタウロスクラブ及びケンタウロスショップを表示するものとして、また、ケンタウロス社の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間において広く認識された商標とはいえない。 (2)本件商標と引用商標の類似性の程度について 本件商標及び引用商標は、別掲1及び別掲2のとおりの構成よりなるところ、両者は同一又は酷似した構成よりなるものであるから、類似性の程度は高い。 (3)本件商標の指定商品と使用商品の関連性及び需要者の共通性について 本件商標の指定商品は、前記第1のとおり、台所用品や清掃用具であり、使用商品は、かばん類や被服などを含む前記2イのとおりの商品であるところ、本件商標の指定商品及び使用商品の需要者がいずれも一般需要者を主とする点で共通するとしても、商品の生産部門、販売部門及び用途等を異にするから、両商品の関連性はさほど高くないといえる。 (4)出所の混同のおそれについて 前記(1)ないし(3)のとおり、引用商標は、ケンタウロスクラブ及びケンタウロスショップを表示するものとして、また、ケンタウロス社の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたとはいえないものであり、本件商標の指定商品と使用商品の関連性はさほど高くないから、本件商標と引用商標の類似性の程度が高いとしても、本件商標は、本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者に引用商標を連想又は想起させることはなく、専用使用権の有効性にかかわらず、その商品が他人(ケンタウルスクラブ及びケンタウロス社)あるいは同人(ケンタウルスクラブ及びケンタウロス社)と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないとみるのが相当である。 その他、本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第19号該当性について 商標法第4条第1項第19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。 (1)引用商標の周知性について 引用商標は、前記2(1)エのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ケンタウロスクラブ及びケンタウロスショップを表示するものとして、また、ケンタウロス社の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたと認められないものである。 (2)本件商標と引用商標の類似性について 本件商標及び引用商標は、別掲1及び別掲2のとおりの構成よりなるところ、両者は同一又は酷似するものである。 (3)不正の目的について 請求人は、引用商標は、遅くとも1980年代から日本国内において全国的に知られていたこと、本件商標は引用商標に酷似していること、商標権者の代表者であるC氏は、遅くとも1982年頃から現在に至るまで、モーターサイクルクラブ「KENTAUROS」の熱心なファンであり、1982年頃に同クラブが主催するイベントに参加した経験があり(甲30の4)、2000年頃に同クラブが主催するイベントに参加した経験があり(甲30の6、7)、(故)A氏の2番目の妻であるE氏とも付き合いがあるから、C氏は、引用商標が付されたケンタウロス社のオリジナル商品が高い金銭的価値を有することを知っており(甲29の14)、前記クラブの別称「MC KENTAUROS」と同一名称の法人を設立して活動を始めていること、本件商標の出願が行われたのはA氏が亡くなる直前であったことなどを指摘して、本件商標は不正の目的をもって使用をするものである旨主張する。 しかしながら、A氏とC氏は、モーターサイクルクラブケンタウロスを通じた知り合いという関係にあり(甲3の4、甲3の6、甲3の7、甲38の1)、昭和57年(1982年)から昭和61年(1986年)に、A氏が取締役を務めていたケンタウロス社(甲10、乙1)が引用商標を出願、登録したこと(甲2~甲5)、その後、令和4年6月23日に、A氏及びC氏が取締役を務める青龍寺社(乙4)が、本件商標を出願、登録し、その後、本件商標は、特定承継による移転により、A氏が代表を務める特定非営利活動法人ケンタウロス(乙5)の後継組織として、A氏の意向に応じる形で設立され(乙8の1)、C氏が代表理事を務める「一般社団法人MC KENTAUROS」(乙6)が本件商標権者となったこと、A氏の逝去後にC氏がA氏を送る会を実施したこと(乙7)、本件商標の出願日以降の日付けではあるものの、A氏を譲渡人、A氏及びC氏が取締役を務める青龍寺社を譲受人とする「MC KENTAUROS」の紋章に関する著作物に係る全ての著作権を譲渡することを内容とする著作権譲渡契約書が存在する事実(乙3)などを総合的に考慮すれば、本件商標の出願を巡り、A氏とC氏との関係に特段の争いは生じていなかったことが推認できる。 そうすると、C氏が代表理事を務める被請求人による本件商標の登録を維持することに特段の問題は見いだせない。 そして、請求人が提出した証拠からは、本件商標の買取りを迫るとか、請求人に損害を与え、被請求人において不正の利益を得る意図があったといった事実は見いだせず、そのほか、被請求人が本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的、その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。 また、他に、本件商標が不正の目的で商標登録を受けたというべき事情は見いだせない。 そうすると、本件商標は、引用商標と同一又は類似する商標であるとしても、引用商標は、ケンタウロスクラブ及びケンタウロスショップを表示するものとして、また、ケンタウロス社の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されている商標ではなく、被請求人が不正の目的をもって本件商標の商標登録を受けたものであると認めることはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第8号該当性について 前記2(1)エのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ケンタウロスクラブ及びケンタウロスショップを表示するものとして、また、ケンタウロス社の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間において広く認識されていたものと認めることはできず、ほかに、引用商標及び「ケンタウロス」の片仮名及び「KENTAUROS」の欧文字がモーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」を表示するものとして需要者及びオートバイの愛好家の間に広く認識されていると認めるに足りる証拠は見いだせない。 そうすると、本件商標は、その構成中に「KENTAUROS」の文字を有しているとしても、需要者にモーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」の名称若しくはその著名な略称を含むものと認識し、把握されることはないから、本件商標は、他人の名称若しくは他人の著名な略称を含む商標であるとは認められない。 請求人は、引用商標は、その外観、称呼、観念から、モーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」の別称である「MC KENTAUROS」又は「MCケンタウロス」をその一部として含む商標として需要者に認識される旨主張する。 しかしながら、ウェブサイト(甲29の1、甲66ほか)や雑誌の記事中(甲13、甲15、甲17、甲29、甲53 ほか)に、「MC KENTAUROS」又は「MCケンタウロス」の文字が見受けられるものの、それらは、ほとんどが記事中の記載の一部として使用されているものや、「MC(モーターサイクルクラブ)「ケンタウロス」」のように、MCの文字とともに「モーターサイクルクラブ」の文字を伴って使用されているものなど、「MC KENTAUROS」又は「MCケンタウロス」の文字のみが目立つ形で使用されているとはいえないことから、当該証拠のみをもって、「MC KENTAUROS」又は「MCケンタウロス」がモーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」の別称として、一般の需要者及びオートバイの愛好家の間に広く認識されていたとはいえない。 そうすると、「MC KENTAUROS」又は「MCケンタウロス」がモーターサイクル・クラブ「KENTAUROS/ケンタウロス」の別称として、一般の需要者及びオートバイの愛好家の間に広く認識されていたことを前提とした請求人の上記主張を採用することはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。 6 請求人の主張について 請求人は、本件商標の構成は引用商標と実質的に同一であるが、本件商標権者である被請求人による独自の創作の結果、引用商標に偶然に一致したものとは到底考えられず、C氏はクラブのメンバーではないが同クラブのファンであり、本件商標が出願された当時には、引用商標が付された商品は高い金銭的価値を有することを知っていたと考えられることなどを指摘して、本件商標は、引用商標が商標登録されていないことを奇貨として、ケンタウロス社のこれまでの努力によって、引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力にただ乗りし、引用商標の出所表示を希釈化させ、かつ、その名声を毀損させるという強い意志をもって、引用商標をひょう窃したのであり、不正な目的をもったひょう窃出願である旨主張する。 しかしながら、上記4のとおり、被請求人が不正の目的をもって本件商標の商標登録を受けたものと認めることはできないものであり、また、請求人が主張する上記事実を客観的に裏付ける証拠は確認できず、請求人の憶測に基づくものと考えられることから、当該主張をもって、被請求人が不正の目的をもって本件商標を登録出願したとはいえない。 そして、仮に被請求人が本件商標の登録出願時に引用商標を認識していたとしても、先願主義を採用する商標制度の下においては、そのように他人の商標を認識しながら先んじて出願すること自体が不正な行為とまで直ちに評価できないから請求人上記主張を採用することはできない。 7 まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-890023

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