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特許無効審判

2024-800174

誘導加熱たばこロッド製造方法

審判番号
2024-800174
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2021-025941
登録番号
7258929
請求日
2024年12月03日
審決日
2026年06月29日
公報発行日
2026年09月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】Future Technology 株式会社
  • 【被請求人】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
  • 【被請求人代理人】▲吉▼田 和彦
  • 【被請求人代理人】須田 洋之
  • 【被請求人代理人】山崎 一夫
  • 【被請求人代理人】近藤 直樹
  • 【被請求人代理人】那須 威夫
  • 【被請求人代理人】鈴木 信彦
  • 【被請求人代理人】岩上 健
  • 【被請求人代理人】豊島 匠二
審判長/審判官
  • 審判長 平瀬 知明
  • 審判官 多賀 和宏
  • 審判官 鈴木 充
分類
P1123.121-Y (A24C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第44条、特許法第169条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第7258929号発明「誘導加熱たばこロッド製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 請求の趣旨及び答弁の趣旨 1 請求の趣旨 特許第7258929号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。 2 答弁の趣旨 本件審判請求は成り立たない。 審判費用は請求人の負担とする。 との審決を求める。 第2 手続の経緯 1 出願分割の経緯の概略 本件無効審判の請求に係る本件特許に係る出願は、特許法44条1項の規定による特許出願であって、2016年(平成28)年5月19日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2015年5月21日(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする特願2017-559645号の一部を令和3年2月22日に新たな特許出願としたものである。 2 本件特許の出願から設定登録までの経緯 本件特許の請求項1~9に係る発明についての、出願から本件無効審判請求の前までの手続の経緯の概略は、以下のとおりである。 令和3年 2月22日 出願(特願2021-25941号) 令和4年 5月13日付け 拒絶理由通知 同年 8月12日 意見書・手続補正書の提出 同年10月27日付け 拒絶理由通知 令和5年 1月27日 意見書・手続補正書の提出 同年 2月28日付け 特許査定 同年 4月 7日 設定登録 3 本件無効審判事件の手続の経緯 本件無効審判事件の手続の経緯の概略は、以下のとおりである。 令和6年12月 3日 審判請求書の提出 令和7年 2月19日 手続補正書(方式)の提出 同年 3月28日 手続補正書(方式)の提出 同年 7月15日 審判事件答弁書の提出 同年11月 5日付け 審理事項通知 同年12月 5日 口頭審理陳述要領書の提出(請求人) 同年12月26日 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人) 令和8年 2月13日 口頭審理 同年 3月 6日 上申書の提出(被請求人) 同年 3月12日 上申書の提出(請求人) 第3 本件発明 本件特許の請求項1~9に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は次のとおりである。 「【請求項1】 誘導加熱たばこロッドの誘導加熱たばこセグメントを含む誘導加熱喫煙物品であって、 前記誘導加熱たばこセグメントが、エアロゾル形成たばこ基体のギャザーシートおよび前記エアロゾル形成たばこ基体内のサセプタ要素を含み、前記サセプタ要素が、前記誘導加熱たばこロッド内において実質的に長軸方向に配置され、 前記エアロゾル形成たばこ基体の前記ギャザーシートが、長軸方向に延びる折り畳み構造を与えられ、前記サセプタ要素は、前記エアロゾル形成たばこ基体の前記ギャザーシートの折り目の間に配置されており、前記誘導加熱たばこセグメント中の前記サセプタ要素の長さが前記誘導加熱たばこセグメントの長さに等しい、誘導加熱喫煙物品。」 第4 請求人・被請求人の主張及び証拠方法 1 請求人の主張の概要 審判請求書、令和7年2月19日付け及び同年3月28日付け手続補正書、口頭審理陳述要領書並びに令和8年3月12日付け上申書によれば、請求人が主張する無効理由は、以下のとおりである。 本件発明は、甲第1号証(主たる証拠)及び甲第2号証(従たる証拠)に記載された発明に基いて、優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきである。 2 証拠方法 (1)審判請求書に添付されたもの 甲第1号証:国際公開第2014/048745号 甲第2号証:国際公開第2014/016961号 (以下、それぞれ「甲1」、「甲2」という。) 併せて、甲第1号証訳文として特表2015-531601号公報(以下「甲1訳文」という。)が提出されている。 (2)令和8年3月12日付け上申書に添付されたもの (立証の趣旨:ギャザーシートの皺(折り目)が、ほぼ均一に離間し、ほぼ平行であることが技術常識であること) 甲第3号証:特表2015-503916号公報 甲第4号証:特表2015-504667号公報 甲第5号証:特表2015-507477号公報 甲第6号証:特表2015-503335号公報 (以下、それぞれ「甲3」-「甲6」という。) 3 被請求人の主張の概要 審判事件答弁書及び口頭審理陳述要領書によれば、被請求人の主張は、以下のとおりである 本件発明は、甲1及び甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、同発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に反するものではなく、同法123条1項2号に該当するものではない。 第5 当審の判断 1 甲1について (1)甲1記載事項 甲1には、次の記載事項、図示事項がある(下線は、当審で付与した。以下同様。)。 なお、当審訳は、甲1訳文による。 ア 「As used herein, the term 'smokable material' includes any material that provides volatilized components upon heating and includes any tobacco-containing material and may, for example, include one or more of tobacco, tobacco derivatives, expanded tobacco, reconstituted tobacco or tobacco substitutes. An apparatus l for providing volatilized components of smokable material 2 for inhalation comprises a smokable material heating chamber 3 and a mouthpiece 4 which is fluidly connected with the heating chamber 3. The mouthpiece 4 may comprise a filter material such as cellulose acetate tow, which may be provided in the form of a wrapped plug. A user of the apparatus 1 can inhale the volatilized components from the mouthpiece 4 when the smokable material 2 is heated inside the heating chamber 3 to a temperature which is sufficient to volatilize the smokable material components. As described more fully below, the smokable material 2 is heated by thermal transfer from a heating material 5 located in the proximity of the smokable material 2. The heating material 5 itself is resistively heated in an electromagnetic induction heating process. More particularly, the heating material 5 comprises electrically conductive material of finite electrical resistance in which induced eddy currents cause resistive heating of the material 5 when the heating material 5 is placed in a varying magnetic field. An example of a suitable heating material 5 is Iron, although other electrically conductive materials could alternatively be used such as another electrically conductive metal or alloy. The heating material 5 is heated by the effects of electromagnetic induction to a temperature which is sufficient to volatilize components of the smokable material 2 in the heating chamber 3, such as nicotine and aromatic compounds, without burning the smokable material 2. The heating material 5 may be located either inside the heating chamber 3 or in its close proximity. As explained below, an example is for the heating material 5 to be located either directly adjacent the smokable material 2 or in a heating member 6 which is located directly adjacent the smokable material 2. The location of the heating material 5 is such that effective thermal transfer takes place between the heated heating material 5 and the smokable material 2 inside the heating chamber 3, thereby causing the smokable material 2 to be heated to a temperature which is sufficient to volatilize components of the smokable material 2 for inhalation through the mouthpiece 4. As briefly referred to above, the heating material 5 may be comprised in a heating member 6 which is configured to transfer thermal energy from the heating material to smokable material 2 in the heating chamber 3. In addition to the heating material 5, the heating member 6 may comprise a base material 7 which is heat retentive and acts to release heat energy received from the heating material 5 over a relatively long period and thereby maintain the smokable material 2 at a volatilizing temperature for the duration of that period. An example is between approximately three and ten minutes, as discussed further below. The base material 7 may be an electrical insulator which, unlike the heating material 5, is not itself susceptible to induction of electrical eddy currents when placed in a varying magnetic field.」(第4ページ第7行目-第5ページ第17行目) [当審訳] 「【0023】 本明細書中で使用する「喫煙材」なる用語は、加熱した際に揮発成分を供するあらゆる材料を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品の1つ以上を含んでもよい。 【0024】 吸引のために喫煙材2の揮発成分を供するための装置1は、喫煙材加熱チェンバー3と、この加熱チェンバー3と流体連通しているマウスピース4とを含む。マウスピース4は、包装されたプラグの形体で供されるセルロースアセテートトウなどのフィルター材を含んでもよい。装置1のユーザーは、喫煙材2が加熱チェンバー3の内側で喫煙材成分を揮発させるのに充分な温度に熱せられると、マウスピース4から揮発した成分を吸引することができる。 【0025】 以下により詳しく説明するように喫煙材2は、喫煙材2に隣接して位置する加熱材5からの熱移動によって加熱される。加熱材5自体は、電磁誘導加熱工程中に抵抗加熱される。 【0026】 より具体的には加熱材5は、加熱材5が変動磁場に置かれたとき、誘導された過電流が加熱材5を抵抗加熱する限定された電気抵抗の導電性材を含む。好適な加熱材5の一例は、鉄であるが、これとは別に他の導電性金属または合金などの他の導電性材を使用することも可能である。加熱材5は、喫煙材2を燃焼させずに電磁誘導の効果によって加熱チェンバー3内でニコチンおよび芳香族化合物などの喫煙材2の成分を揮発させるのに充分な温度に加熱される。 【0027】 加熱材5は、加熱チェンバー3の内側またはこれに極めて近接して位置してもよい。上述したように一例としては、加熱材5は喫煙材2に直接隣接してまたは喫煙材2に直接隣接して位置する加熱部材6内に配置される。加熱材5の位置は、加熱チェンバー3の内側で加熱された加熱材5と喫煙材2の間で効果的な熱移動が生じるような位置であり、これにより喫煙材2はマウスピース4を介した吸引のために喫煙材2の成分を揮発させるのに充分な温度に加熱される。 【0028】 簡単に上記で触れたように加熱材5は、加熱チェンバー3内の喫煙材2に加熱材からの熱エネルギーを移行させるように構成された加熱部材6内に含まれてもよい。加熱材5に加えて加熱部材6は基材7を含んでもよく、この基材は熱保持性であり、比較的長い時間に亘って加熱材5から受けた熱エネルギーを放出するように作用し、これによりその長い時間の間喫煙材2を揮発温度に維持する。例としては以下に説明するように約3~10分間である。基材7は、加熱材5とは異なり、それ自体は変動磁場に置かれたときに渦電流の影響を受けにくい電気絶縁体であってもよい。」 イ 「The heating member 6 may extend along a longitudinal axis of the apparatus 1. The heating chamber 3 may also extend along a longitudinal axis of the apparatus 1 and may be located adjacent to the heating member 6. For example, the heating member 6 shown in figure 1 extends substantially along the central longitudinal axis of the apparatus 1 and the heating chamber 3 is located around its longitudinal surface. If the heating member 6 is substantially cylindrical, as shown in figure 1, then the longitudinal surface around which the heating chamber 3 extends is a circumferential surface of the heating member 6. In this type of configuration, the heating chamber 3 may comprise a co-axial layer around the heating member 6. This provides an annular space around the heating member 6 into which the smokable material 2 can be inserted for heating, as described below.」(第6ページ第15-25行目) [当審訳] 「【0032】 加熱部材6は装置1の長手方向軸に沿って延びてもよい。また加熱チェンバー3は、装置1の長手方向軸に沿って延びてもよく、かつ、加熱部材6に隣接して位置してもよい。例えば図1に示した加熱部材6は、装置1の中央長手方向軸に沿って実質的に延び、加熱チェンバー3はその長手方向面の周囲に位置する。加熱部材6が図1に示すように実質的に円筒状である場合、加熱チェンバー3が周囲で延びている長手方向に延びた面は加熱部材6の円周面である。この種の構成では加熱チェンバー3は、加熱部材6の周囲に同軸層を含んでもよい。これにより加熱部材6の周囲に環状の空間が設けられ、その中に以下に説明するように喫煙材2を加熱のために挿入することができる。」 ウ 「 [図:0001438843000001.jpg] 」 [当審訳] 「図1」 エ 上記イの「加熱部材6の周囲に環状の空間が設けられ、その中に以下に説明するように喫煙材2を加熱のために挿入する」という記載及びウの図示から、加熱部材6は喫煙材2内に配置されることが認められる。 (2)甲1発明 上記(1)から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。 [甲1発明] 「喫煙材加熱チェンバー3を含む装置1であって、 喫煙材加熱チェンバー3が喫煙材2及び喫煙材2内の加熱部材6を含み、 加熱部材6は、装置1の中央長手方向軸に沿って実質的に延びる装置1。」 2 甲2について (1)甲2記載事項 ア「背景技術 [0002] 従来の紙巻たばこは、たばこ刻の燃焼に伴って煙やタールなどの成分を発生させて、香喫味を楽しむものである。しかし、従来の紙巻きたばこは、非加熱時に殆ど香喫味を感じることはできない。 [0003] 一方、着火することなく吸気によってのみたばこの香喫味を味わう非加熱型喫煙物品が知られている。たとえば特許文献1では、たばこ刻、炭酸塩及び香料を含むたばこ粒を充填剤として使用し、炭酸塩の作用により香喫味成分にふくらみ感を出し、香喫味成分を含む空気の吸引感を向上させている。かかる非加熱型喫煙物品は、たばこ刻の香喫味成分を常温で味わうものであり、加熱して喫煙するような構造を有していない。 [0004] また一方で、熱源を燃焼させてその熱によりたばこ刻やシートたばこを燃焼させることなく加熱し、香喫味成分を含むエアロゾルを発生させる非燃焼型喫煙物品が知られている(たとえば特許文献2を参照)。かかる非燃焼型喫煙物品は、加熱により高温に晒されたたばこ刻やシートたばこの香喫味を味わうことができるが、非加熱時には殆ど香喫味を感じることはできない。」 イ「発明が解決しようとする課題 [0006] 本発明者らは、常温下での吸引(非加熱喫煙)および着火後の喫煙(加熱喫煙)の両方において香喫味を味わうことができる喫煙物品が開発されていないことに新たに着目した。すなわち、本発明は、常温下での吸引(非加熱喫煙)および着火後の喫煙(加熱喫煙)の両方において香喫味を提供可能な喫煙物品を提供することを目的とする。」 ウ「[0019] 図1に示される喫煙物品10は、先端に位置する燃焼部12a、燃焼部12aの後端に位置し、燃焼部12aと一体である第1香喫味発生部12b、第1香喫味発生部12bの後端に設けられた第2香喫味発生部13b、第1香喫味発生部12bおよび第2香喫味発生部13bを包装し、燃焼部12aを包装することなく突出させている不燃性円筒体14、第2香喫味発生部13bの後端に設けられたフィルター部15、および不燃性円筒体14とフィルター部15を連結するチップペーパー16を含む。 [0020] 図1において、燃焼部12aおよび第1香喫味発生部12bは、同じ材料から構成され、一体型であるため、まとめて燃焼型第1香喫味発生部12と称する。燃焼型第1香喫味発生部12のうち、不燃性円筒体14により包装されている部分が第1香喫味発生部12bであり、不燃性円筒体14により包装されず不燃性円筒体14の先端から突出している突出部が燃焼部12aである。図1の喫煙物品は、燃焼部12aの先端に着火し、喫煙者の吸引により燃焼部12aを燃焼させると、不燃性円筒体14の先端あたりで燃焼は止まり、燃焼部12aは燻るように燃焼し続けるが、第1香喫味発生部12bはほとんど燃焼しない。」 エ「[0022] 図2において、燃焼部11は、炭素質熱源を含み、前記第1香喫味発生部とは物理的に分離して設けられている。このため、図2において、不燃性円筒体14は、第1香喫味発生部12bおよび第2香喫味発生部13bを包装するだけでなく、燃焼部11を連結するために燃焼部11の後端側部分も包装する。不燃性円筒体14は、燃焼部11の全長を覆うことはなく、燃焼部11のうち、不燃性円筒体14により包装されず不燃性円筒体14の先端から突出している突出部が必ず存在する。この突出部を図2では符号11aで示す。図2の喫煙物品は、燃焼部11の先端に着火し、喫煙者の吸引により燃焼部11を燃焼させると、燃焼は、不燃性円筒体14の先端あたり、すなわち突出部11aの後端あたりで止まり、燃焼部11は燻るように燃焼し続けるが、第1香喫味発生部12bはほとんど燃焼しない。」 オ「[0033] 折りたたまれたシートたばこから構成される香喫味発生部について、その長手方向に直交する方向の断面の一例を図3に示す。図3において、1枚のシートたばこ121は、外形がほぼ円筒状となるように不燃性円筒体14内で折りたたまれて第1香喫味発生部12bまたは第2香喫味発生部13b(12b/13b)を形成する。シートたばこ121が充填されていない空隙は、一または複数の空気流路122を形成する。かかる空気流路の数や流路幅を変えることによって、喫煙物品全体の吸引抵抗を調整することができる。シートたばこは、不燃性円筒体14内で任意の形状に折りたたむことができる。」 カ「図3 [図:0001438843000002.jpg] 」 (2)甲2発明 上記(1)から、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認められる。 [甲2発明] 「常温下での吸引(非加熱喫煙)及び着火後の喫煙(加熱喫煙)の両方において香喫味を味わうことができる喫煙物品であって、 第1香喫味発生部12bと、第2香喫味発生部13と、 第1香喫味発生部12bの先端に、第1香味発生部12bと一体型の、又は、物理的に分離された燃焼部(12a又は11)と、 第1香喫味発生部12b及び第2香喫味発生部13を包装し、燃焼部の少なくとも先端側部分を包装することなく突出させている不燃性円筒体14とを備え、 第1香喫味発生部12bは、外形がほぼ円筒状となるように不燃性円筒体内で折りたたまれたシートたばこ121から構成された喫煙物品。」 3 判断 (1)本件発明と甲1発明との対比 本件発明と、甲1発明とを対比する。 ア 甲1発明の「喫煙材2」は、上記1(1)アの[当審訳]の段落【0023】の「「喫煙材」なる用語は、加熱した際に揮発成分を供するあらゆる材料を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品の1つ以上を含んでもよい。」との記載事項を踏まえると、本件発明の「エアロゾル形成たばこ基体」に相当する。 イ 甲1発明の「加熱部材6」は、上記1(1)アの[当審訳]の段落【0025】の「加熱材5自体は、電磁誘導加熱工程中に抵抗加熱される」との記載事項、及び上記1(1)アの[当審訳]の段落【0028】の「加熱材5は、加熱チェンバー3内の喫煙材2に加熱材からの熱エネルギーを移行させるように構成された加熱部材6内に含まれてもよい。」との記載事項から、加熱部材6は、電磁誘導加熱工程中に抵抗加熱される加熱材5からの熱エネルギーを移行させるように構成されるものであるので、本件発明の「サセプタ要素」に相当する機能を備えるものである。 ウ 甲1発明の「喫煙材加熱チェンバー3」は、「喫煙材2及び喫煙材2内の加熱部材6を含」むことから、本件発明の「誘導加熱たばこロッドの誘導加熱たばこセグメント」に相当する。 したがって、甲1発明の「喫煙材加熱チェンバー3を含む装置1」は、本件発明の「誘導加熱たばこロッドの誘導加熱たばこセグメントを含む誘導加熱喫煙物品」に相当する。 エ 甲1発明の「喫煙材加熱チェンバー3が喫煙材2及び喫煙材2内の加熱部材6を含み、加熱部材6は、装置1の中央長手方向軸に沿って実質的に延びる」ことと、本件発明の「前記誘導加熱たばこセグメントが、エアロゾル形成たばこ基体のギャザーシートおよび前記エアロゾル形成たばこ基体内のサセプタ要素を含み、前記サセプタ要素が、前記誘導加熱たばこロッド内において実質的に長軸方向に配置され」ることとは、上記ア~ウの相当関係を踏まえると、「前記誘導加熱たばこセグメントが、エアロゾル形成たばこ基体および前記エアロゾル形成たばこ基体内のサセプタ要素を含み、前記サセプタ要素が、前記誘導加熱たばこロッド内において実質的に長軸方向に配置され」ることという限りにおいて一致する。 してみると、本件発明と、甲1発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。 [一致点] 「誘導加熱たばこロッドの誘導加熱たばこセグメントを含む誘導加熱喫煙物品であって、 前記誘導加熱たばこセグメントが、エアロゾル形成たばこ基体および前記エアロゾル形成たばこ基体内のサセプタ要素を含み、前記サセプタ要素が、前記誘導加熱たばこロッド内において実質的に長軸方向に配置される誘導加熱喫煙物品。」 [相違点1] 「前記誘導加熱たばこセグメントが、エアロゾル形成たばこ基体および前記エアロゾル形成たばこ基体内のサセプタ要素を含み、前記サセプタ要素が、前記誘導加熱たばこロッド内において実質的に長軸方向に配置され」る点に関して、本件発明の「エアロゾル形成たばこ基体」は「ギャザーシート」からなり、「前記エアロゾル形成たばこ基体の前記ギャザーシートが、長軸方向に延びる折り畳み構造を与えられ、前記サセプタ要素は、前記エアロゾル形成たばこ基体の前記ギャザーシートの折り目の間に配置されて」いると特定されているのに対して、甲1発明の「喫煙材2」は、そのような構成を有していない点。 [相違点2] 本件発明は「前記誘導加熱たばこセグメント中の前記サセプタ要素の長さが前記誘導加熱たばこセグメントの長さに等しい」と特定されているのに対して、甲1発明は、そのような構成を有していない点。 (2)相違点1について 甲1は、従来、喫煙品の代替品として、タバコ煙を発生させずに化合物を放出する製品を提供しようとする試みがなされてきたところ(甲1訳文の段落【0002】)、発明が解決しようとする課題として、喫煙材加熱チェンバーと、変動磁場の存在によって加熱されるように構成された加熱材とを含み、この加熱材は、 熱エネルギーを加熱チェンバー内の喫煙材に移行させて喫煙材の成分を揮発させるように配置されている装置を提供することを挙げる(甲1訳文の段落【0003】)。そして、甲1発明は、喫煙材加熱チェンバー3が喫煙材2及び喫煙材2内の加熱部材を含み、加熱部材6が装置1の中央長手方向軸に沿って実質的に延びるものであって、具体的には、喫煙材加熱チェンバー3内における加熱部材6の周囲に設けられた環状の空間に喫煙材2が挿入されたものである(甲1訳文の段落【0032】)。 一方、甲2は、背景技術として、たばこ刻の燃焼に伴って煙やタールなどの成分を発生させる従来の紙巻きたばこ(甲2の段落[0002])、着火することなく吸気によってのみたばこの香喫味を味わう非加熱型喫煙物品(甲2の段落[0003])、燃焼させることなく加熱し、香喫味成分を含むエアロゾルを発生させる非燃焼型喫煙物品(甲2の段落[0004])があるところ、発明が解決しようとする課題として、新たに、常温下での吸引(非加熱喫煙)及び着火後の喫煙(加熱喫煙)の両方において香喫味を味わうことができる喫煙物品を提供することを挙げる(甲2の段落[0006])。そして、甲2発明は、着火後の喫煙(加熱喫煙)に係る具体的な構成としては、先端に設けられた燃焼部(12a又は11)と、燃焼部の後端に設けられた第1香喫味発生部12bと、第1香喫味発生部12bとして不燃性円筒体14内で折りたたまれたシートたばこ121を備えたものである(甲2の段落[0021]、[0033]、図3)。 つまり、甲1発明と甲2発明とでは、加熱方式(非燃焼/燃焼)、加熱箇所(中央/端部)、喫煙材の形状(環状/円筒状)がそれぞれ異なる構成を有するものである。そして、両発明の喫煙材は、各々の課題を解決するために適した構成を採用しているから、当業者が前者の喫煙材を後者の喫煙材に置き換えることを想起することはなく、したがって、甲1発明に甲2発明を適用する動機付けはない。 また、甲1及び甲2のいずれにも、相違点1に係る本件発明の構成(特に、サセプタ要素がエアロゾル形成たばこ基体のギャザーシートの折り目の間に配置された構成。かかる構成の技術的意義は、本件特許明細書の段落【0028】に記載又は示唆されている。)は開示されていないから、甲1及び甲2をどのように組み合わせても、本件発明の当該構成に至ることはない。 仮に、甲1発明に甲2発明を適用したとしても、適用後の構成は、せいぜい、甲1発明における喫煙材2を、甲2発明におけるシートたばこ121に置き換え、円筒状になるよう折りたたまれたシートたばこ121を、加熱部材6の周囲に設けられた環状の空間に配置したものにすぎず、「前記サセプタ要素は、前記エアロゾル形成たばこ基体の前記ギャザーシートの折り目の間に配置されて」いる構成とすることは、当業者が容易になし得たということはできない。 以上のとおり、相違点1に係る本件発明の構成は、甲1発明及び甲2発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。 なお、かかる判断は、甲3~甲6に基いて、請求人が主張する技術常識(上記第4の2(2)参照)を認定したとしても左右されることはないことを付言する。 (3)相違点2について 甲1の「加熱部材6は、装置1の中央長手方向軸に沿って実質的に延び、加熱チェンバー3はその長手方向の面の周囲に位置する。」(甲1訳文の段落【0032】)との記載、及び、図1を参酌すれば、加熱部材6の長さを喫煙材加熱チェンバー3の長さと等しくして、相違点2に係る本件発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (4)小括 以上によれば、本件発明は、甲1発明及び甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、請求人の主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1に係る特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により、請求人の負担とする。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-800174

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