商標異議申立
2024-685017
フアディビューティー、フアディ
- 審判番号
- 2024-685017
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- —
- 請求日
- 2024年09月09日
- 審決日
- 2025年02月04日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】Yiwu Chaomei Cosmetics Co.,Ltd.
- 【異議申立人】フーダ ビューティー リミテッド
- 【異議申立人代理人】弁理士法人栄光事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 高橋 幸志
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T1651.8 -Y (Y03) / T1651.222-Y (Y03) / T1651.22 -Y (Y03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項19号商標法8条1項商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号、商標法第8条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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国際登録第1749147号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
国際登録第1749147号商標の商標登録を維持する。
理由
第1 本件商標
本件国際登録第1749147号商標(以下「本件商標」という。)は、「huadi beauty」の文字を横書きしてなるものであり、2023年8月10日に国際商標登録出願、第3類「Make-up palettes containing cosmetics; cosmetics; perfumes; cosmetics for children.」を指定商品として、令和6年(2024年)5月28日に登録査定され、同年6月28日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、引用する商願2020-3127号に係る商標は、別掲のとおりの構成よりなり、「化粧品」を含む商標登録願に記載のとおりの第3類の商品を指定商品として、令和2年(2020年)1月10日に商標登録出願したものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第19号及び同項第7号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。また、証拠の表記に当たっては、「甲第1号証」を「甲1」のように記載する。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)外観
本件商標は、欧文字「huadi beauty」で構成され、引用商標は、欧文字「HUDABEAUTY」で構成される。大文字と小文字の差異はあるものの、後半部分の「beauty」の語が共通することに加え、前半部分の「huadi」と「HUDA」も欧文字5文字中4文字のアルファベットが共通するので、外観上類似する。
(2)称呼
引用商標は、一連一体不可分の造語商標として理解されるところ、引用商標からは、出願人の名称から生じる自然な称呼「フーダビューティー」、もしくは、消費者にとって親しみのある英単語「human」、「huge」からは、「hu」の欧文字から「ヒュ」の称呼が生じることに鑑みると、「ヒューダビューティー」の称呼も生じ得る。
一方、本件商標からは、出願人が中国法人である点に鑑みると、中国語のピンインで「ファディビューティー」の称呼が生じるとともに、ローマ字読みすると、「フーディビューティー」の称呼が生じる。
引用商標から生じる「フーダビューティー」と、本件商標から生じる「フーディビューティー」は、中間音の「ダ」と「ディ」の一音違いとなり、語頭の「フー」は強く発音される一方、中間音の「ダ」や「ディ」は弱く発音されることから、両商標は称呼において相紛れるおそれのあるものである。
したがって、両称呼における相違部分を聞き分けることは難しく、相紛らわしいことが明らかであり、両商標は称呼において類似する。
(3)観念
引用商標は、創設者「フーダ・カッタン(Huda Kattan)」に由来する造語商標である。本件商標も後半部分の「beauty」からは、「美・美しさ」といった観念が生じるものの、前半部分の「huadi」からは特段の意味は生じず、全体として、造語商標と看取されるものである。
以上のとおり、本件商標と引用商標は、観念においては比較できないものの、少なくとも外観及び称呼において近似しており、総合的に観察すると、両商標は互いに類似する関係にある。
(4)指定商品について
引用商標は、上記第2のとおり、第3類の商品を指定しているところ、本件商標の指定商品「メイクアップ用パレットに入った化粧品」等、いずれも「化粧品」について使用されるもので、類似群コード「04C01」が共通しており、同一又は類似の関係にある商品である。
さらに、両商標の指定商品である化粧品は、その大部分がドラッグストアやスーパーマーケット、コンビニエンスストア等で販売され、日常的に消費される一般的に安価な商品であるため、需要者における商標に対する注意度は高いとはいい難い。
前述のとおり、引用商標と本件商標は商標において類似する関係にあり、とりわけ外観・称呼において近似している。また、「化粧品」分野の需要者における平均的な注意力を想定すると、指定商品について本件商標が使用された場合、引用商標との間で混同が生じ得ることが容易に想像できるところである。
なお、引用商標は、令和2年1月10日に出願し、第三者商標と同一・類似と判断され、拒絶理由を受けているものの、当該引用商標に対しては、令和5年8月5日付で不使用取消審判を請求しており、請求から1年以上が経過し、先願権利者が応答していない状況に鑑みると、まもなく当該先願商標による拒絶理由は解消され、登録に至るものである。
よって、引用商標が登録に至った場合、引用商標が先の出願日を有していることから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して商標登録されたものとなる。
2 商標法第4条第1項第19号について
(1)申立人の周知性について
ア 申立人について
申立人は、2012年9月17日にアラブ首長国連邦においてHuda Kattan(フーダカッタン)(以下「創設者」という場合がある。)により設立され、その後、2016年7月4日にイギリス領ケイマン諸島において法人化した。申立人「HUDABEAUTY」のブランド名の下、化粧品類を販売している(甲3)。
申立人は、2010年4月3日にドメイン名(hudabeauty.com)を取得し、創設者は、ビューティーブログを立ち上げている。当該ブログを通じて、何百万ものビューに到達し、現在は135ページ以上にもわたり、100を超える国々の多くの女性に影響を与えている(甲4)。
申立人は、自身のブログに加え、数々のソーシャルメディアにおいて情報を発信している。
Facebookは、780万人を超えるフォロワーが、X(旧twitter)では23万人以上のフォロワーが、Pinterestは、4万人を超えるフォロワーがいることに加え、Instagramにおいては5400万人以上のフォロワーを有し、2017年には最も影響力のあるInstagramに選ばれている(甲5)。
また、申立人の商品は、アラブ諸国のみならず、日本においてもウェブサイトの記事等において紹介されている(甲6、甲7)。
イ メディア紹介
創設者は、アラブ首長国連邦のドバイを拠点とする、ハリウッドの訓練を受けた有名メイクアップアーティストで、「ARAB NEWS」、「The Seattle Times」、「Saudi Gazette」など、複数のメディアや雑誌において紹介されている(甲8)。
ウ 受賞歴
創設者は「VOGUE」にて、2019年に大きな影響を与えた女性に選ばれている。また、米国で発行されている雑誌「ALLURE」において、2019年「READER’S CHOICE AWARD」を受賞、その他、「Indie of the Year」、Forbesにおける「TOP INFLUENCERS」、「2017年に世界で最も影響力のあるアラブ人」に選ばれるなど、数々の賞を受賞している(甲9)。
エ 登録状況
引用商標は、39の国及び地域で商標登録され、ブランド名の保護並びに商標に化体された業務上の信用の維持に努めている(甲10)。
以上の状況に鑑みると、引用商標は、本件商標の登録出願時並びに登録査定時において、アラブ首長国連邦を始め諸外国において、需要者の間で、申立人の販売する化粧品類を表示するものとして広く認識された商標であり、本件商標と類似の商標である。
(2)不正の目的について
引用商標は造語で、構成上も顕著な特徴を有する商標であり、一般的に採択されるものではない。また、本件商標の出願人は、中国法人であって、上記の名前を有するものでもないから、本件商標は偶然に採択したものとはいえず、むしろ日本において商標登録されていないことを奇貨として登録出願したものと推認されるものである。
3 商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、申立人の商標として広く使用されている引用商標と類似の商標であり、本件商標の出願人が偶然に採択したとは考えにくい。このような著名な商標と何ら関係を有しない者が、これを自己の商標として採択、使用することは、その名称に化体した名声や信用に便乗するものである。
このような商標を登録することは、本件商標の権利者に独占的使用を認めることとなり、社会公共の利益に反し、社会一般的道徳観念に反するもので、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標といえる。
第4 当審の判断
1 商標法第8条第1項該当性について
申立人は、引用商標を挙げ、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する旨を主張しているが、引用商標は本件商標の登録査定日において設定登録されていないものであるから、当審は、本件商標と引用商標との関係における申立人の主張は、同法第8条第1項の規定に違反して登録された旨の主張と判断し、以下検討する。
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり「huadi beauty」の欧文字よりなり、構成中の「beauty」は、「美、美しさ」などを意味する英単語として一般に親しまれた語であるところ、「huadi」の文字は、既成の語として辞書等に載録されておらず、一般に親しまれた語ではないから、本件商標は、全体として特定の観念を有しない一種の造語と理解されるものである。
そして、特定の意味を有しない欧文字については、一般に、我が国において親しまれているローマ字読み又は英語の読みに倣って称呼されるところ、構成中の「huadi」の読みの参考となる平易な英単語は見当たらないから、当該文字部分はローマ字読みに倣って「フアディ」と称呼されるというのが自然である。
したがって、本件商標からは、「フアディビューティ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲のとおり、「HUDABEAUTY」の欧文字からなるもの(「A」と「B」が重ねて表され「B」の文字の縦線は見えていない。)と容易に理解されるところ、構成中の「BEAUTY」の文字は、上記(1)と同様に「美、美しさ」などを意味する英単語として一般に親しまれた語であるところ、「HUDA」の文字は、既成の語として辞書等に載録されておらず、一般に親しまれた語ではないから、引用商標は、全体として特定の観念を有しない一種の造語と理解されるものである。
そして、特定の意味を有しない欧文字については、一般に、我が国において親しまれているローマ字読み又は英語の読みに倣って称呼されるところ、構成中の「HUDA」の読みの参考となる平易な英単語は見当たらないから、当該文字部分はローマ字読みに倣って「フーダ」と称呼されるというのが自然である。
したがって、引用商標からは、「フーダビューティ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標の類否を検討すると、本件商標と引用商標は、外観において、欧文字の大文字か小文字という相違があり、語頭の2文字は「H(h)」と「U(u)」であるところ、その後に続く文字は「adi」と「DA」で相違しており、構成文字及び文字数も相違するから、外観において両者は判然と区別し得る。
次に、本件商標から生じる「フアディビューティ」の称呼と引用商標から生じる「フーダビューティ」の称呼を比較すると、両者は語頭「フ」に続く音「ア」「ディ」及び「ー(長音)」と「ダ」という、構成音が明らかに相違するから、中間音の相違であるとしても両者をそれぞれ一連に称呼した場合、明瞭に聴別し得る。
さらに、観念においては、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者の観念は比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較できないものの、外観及び称呼において区別し得るものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第8条第1項に該当しない。
2 商標法第4条第1項第19号該当性について
(1)引用商標の周知性について
申立人の主張及び同人から提出された証拠によれば、以下のとおりである。
ア 申立人は、2012年9月にHuda Kattan(フーダカッタン)により設立され、アラブ首長国連邦において法人化され、「HUDA BEAUTY」のブランド名の化粧品(以下「申立人商品」という場合がある。)を店舗で販売している(請求人主張、甲3)。
イ 申立人はブログやソーシャルメディアで情報を発信しており、Facebookは780万人を超えるフォロワー、X(旧twitter)は23万人以上のフォロワー、Pinterestは4万人を超えるフォロワーがいることに加え、Instagramにおいては、2017年に最も影響力のあるInstagramに選ばれている(甲4、甲5)。
ウ 創設者は有名なメイクアップアアーチストであるところ、「ARAB NEWS」等の複数のメディア・雑誌等で紹介され、「VOGUE」等で2019年大きな影響を与えた女性に選ばれるなど、数々の賞を受賞している(甲8、甲9)。
エ 申立人は、日本においてウェブサイトの記事などで3件紹介され(甲6)、日本での販売実績(インボイス)がある(甲7)。
オ (ア)上記アないしウによれば、引用商標が掲げられた店舗で化粧品を販売していること(甲3)、申立人はブログやソーシャルメディアで情報発信していること、海外の雑誌等に掲載されていること、創設者の受賞歴があること等はうかがい知ることができる。
しかしながら、店舗についてはどこの国の店舗であるのか不明であり、国内外の申立人商品を取り扱う店舗数等も明らかではない。
また、ソーシャルメディアでの情報発信や海外の雑誌等に掲載されているとしても、これらの証拠からは引用商標を使用した申立人商品に係るものであるかは確認できず、雑誌等については掲載日も不明である。さらに創設者の受賞歴については、創設者個人の受賞であって当該受賞が引用商標の周知性にどのように結びつくのかについて、明らかでない。
なお、提出されたほとんどの証拠は、英語で記載されたものであり、その翻訳もないことからその内容について詳細は把握できない。
(イ)上記エによれば、申立人に係る日本におけるウェブサイト記事の紹介はわずか3件にすぎない上、日本に所在の顧客との販売実績は多いとはいえず、これらの証拠からも引用商標を使用した申立人商品に係るものであるかは確認できない。
そして、申立人は、引用商標を使用した申立人商品の継続的な売上高や市場シェア、販売地域、広告宣伝の回数や費用等、その周知性を客観的に把握することができる具体的な証拠は提出していない。
そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、申立人商品の販売実績や広告実績等を客観的に把握することはできないから、申立人商品が、どの程度の需要者に知られているかを評価することができない。
以上よりすれば、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人等の業務に係る商品(化粧品)を表示するものとして我が国及び外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)不正の目的について
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、その申立人商品(化粧品)を表示するものとして我が国及び外国における需要者の間に広く認識されているものとは認められず、また、上記1のとおり、本件商標と引用商標とは類似する商標ではないから、申立人の主張は一部前提を欠くものであり、申立人主張に基づき、本件商標の登録出願の目的を推し測ることはできない。
その他、申立人は、本件商標の登録出願の目的及び経緯から不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的)があることを具体的に裏付ける証拠を提出していない。
そうすると、本件商標は、申立人の提出証拠によっては、不正の目的をもって使用をするものとは認められない。
(3)小括
以上のとおり、本件商標は、我が国及び外国における需要者の間に広く認識されているものではなく、引用商標と類似する商標でもなく、不正の目的をもって使用をするものとはいえないから、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、申立人の提出証拠及び当審における職権調査をもってしても、本件商標の権利者が、引用商標が登録されていないことを奇貨として、剽窃的に本件商標の登録を得る意図をもって出願したというように、その出願の経緯に社会的相当性を欠くような事実を見いだすことはできない。
その他、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。
そうすると、本件商標は、その登録を維持することが商標法の予定する秩序に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標ではないから、商標法4条第1項第7号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第19号及び同法第8条第1項に該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
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