商標異議申立
2024-685008
- 審判番号
- 2024-685008
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- —
- 請求日
- 2024年04月17日
- 審決日
- 2024年12月23日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】CARBONSCAPE LIMITED
- 【権利者代理人】山尾 憲人
- 【権利者代理人】勝見 元博
- 【権利者代理人】海老 冴佳
- 【異議申立人】竹本油脂株式会社
- 【異議申立人代理人】中村 知公
- 【異議申立人代理人】小西 富雅
- 【異議申立人代理人】前田 大輔
- 【異議申立人代理人】伊藤 孝太郎
- 【異議申立人代理人】朝倉 美知
- 【異議申立人代理人】本田 彩香
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 審判官 小俣 克巳
- 分類
- T1652.251-Y (W01) / T1652.252-Y (W01) / T1652.253-Y (W01) / T1652.261-Y (W01) / T1652.262-Y (W01) / T1652.263-Y (W01)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項10号商標法4条1項11号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
国際登録第1672669号に係る国際商標登録出願の登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
国際登録第1672669号商標の商標登録を維持する。
理由
1 本件商標
本件国際登録第1672669号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2022年(令和4年)3月15日に国際商標登録出願(優先権主張:New Zealand 2021年(令和3年)9月30日)、第1類「Graphite for industrial purposes; graphite for use in industry; engineered graphite; chemical preparations for producing graphite; industrial minerals not of metal; chemical products for use in mineral extraction; bio-graphite, namely, natural graphite; synthetic graphite; graphite for use in lithium ion batteries; graphene; graphite for industrial purposes; amorphous carbon.(参考訳:工業用黒鉛,工業用黒鉛,加工された黒鉛,グラファイト製造用の化学剤,工業用の鉱物(金属を除く。),鉱物抽出用化学品,バイオグラファイト、すなわち天然黒鉛,合成グラファイト,リチウムイオン電池用グラファイト,グラフェン,工業用黒鉛,無定形炭素)」を指定商品として、令和5年11月8日に登録査定、同6年2月22日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第6262745号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成31年3月14日に登録出願、別掲3のとおりの商品を指定商品として、令和2年6月24日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由 (要旨)
申立人は、本件商標は、その指定商品中「chemical preparations for producing graphite; chemical products for use in mineral extraction; graphene; amorphous carbon.」について、商標法第4条第1項第10号及び同項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標の外観において、本件商標は図形要素のみからなる図形商標であるところ、需要者・取引者が最も注意をひく商標の構成要素は、当該図形要素のみである。すなわち、本件商標は次の構成要素からなる。
構成要素A:基本構成を六角形とする。
構成要素B:基本的色彩を緑色とする。
構成要素C:六角形を構成する各辺は、濃緑色と薄緑色のグラデーションからなる。
一方、引用商標は図形要素部分と図形的要素を含む次の文字要素部分から構成される。また、引用商標の図形要素部分は、次の構成要素からなる。
構成要素A:基本構成を六角形とする。
構成要素B:基本的色彩を緑色とする。
構成要素C:六角形を構成する各辺は、濃緑色と薄緑色のグラデーションからなる。
ア 図形要素の比較考察
次に、本件商標と引用商標の外観を比較考察する。
ここで、本件商標は図形要素部分のみからなるが、引用商標は図形要素部分と文字要素部分から構成される。
しかしながら、引用商標において、需要者・取引者は、引用商標を図形要素部分と文字要素部分とに分離して認識し取引にあたるとの商品購入姿勢が自然である。理由は次のとおりである。
理由1:図形要素部分と文字要素部分とは、外観上融合若しくは接近することなく、一定の間隔をもち左右に配置されている。すなわち、外観構成上、需要者・取引者は図形要素部分と文字要素部分を端的に分離して認識できる。
理由2:文字要素部分は申立人の商号「竹本油脂株式会社」の「竹本」をローマ字表記「TAKEMOTO」に置き換えたものである。一方、当該TAKEMOTOの表示と図形要素部分は、観念上の関係性は一切ない。申立人の商号の略称である「竹本」並びにそのローマ字表記「TAKEMOTO」は、図形要素部分を構成する六角形なる図形要素の観念とは一切関連性(牽連関係)がない。
仮に、文字要素部分が六角形の観念に相当する英単語「HEXAGON」であれば、需要者・取引者は図形要素部分と文字要素部分を観念的な結びつきを容易に認識し、図形要素部分と文字要素部分とを分離して認識することはない。しかし、引用商標においては、図形要素部分と文字要素部分との観念的牽連関係は発生せず、また、需要者・取引者はそのような観念的牽連関係を理解できない。
理由3:ある商標から二つ以上の称呼及び観念が生じる場合、一つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一又は類似であるとはいえないとしても、他の称呼、観念が他の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当である、との類否判断手法が是認されている(最高裁判所第一小法廷(上告審)、昭和38年12月5日判決、昭和37年(オ)第953号、リラ宝塚事件)。
係る判断手法を本件商標と引用商標の比較考察に当てはめれば、引用商標の図形要素部分からは「六角形」なる観念が生じ、また、文字要素部分からは「竹本」なる観念が生じる。一方、本件商標からは「六角形」なる観念が発生する。
よって、引用商標からは「六角形」と「竹本」の二つの観念が生じるが、その内の一つである「六角形」の観念が本件商標の観念「六角形」と共通するため、本件商標は引用商標に類似する商標であると判断することができる。
イ 本件商標と引用商標の図形要素に関する詳細な検討
前記アで詳述したとおり、本件商標と引用商標の類否判断において、本件商標と引用商標の図形要素部分のみとを比較考察する検討手法は理由があるところ、次に、本件商標と引用商標の図形要素部分との標章類否をより詳細に検討する。
改めて、本件商標と引用商標との構成は上述のとおりであり共通する。共通する構成要素A、B、C(以下「全構成要素」という。)は、需要者・取引者が本件商標と引用商標とを商品購入の「時」と「場所」を異にして商品購入に当たる際においても、先の商品購入における引用商標の全構成要素を記憶に留め、後の商品購入において再度全構成要素を思い出し、商品に購買に及ぶと理解することができる。
換言すれば、全構成要素は本件商標と引用商標の図形要素部分を成立させる基本要素であり、仮に本件商標と引用商標の全構成要素において「微細」な外観上の「差異点」があるとしても、係る「差異点」は全構成要素の共通性という揺るぎない特徴を凌駕するものではない。
そこで、改めて本件商標と引用商標の全構成要素について検討する。
本件商標の全構成要素は引用商標の図形要素部分における全構成要素に共通する一方、唯一の外観上の相違は、「六角形」の「内部白色部分」の形態、並びに、「六角形」の「各辺」の外辺と内辺の間に存在する「巾」の距離に相違が存在する。
そこで、本件商標と引用商標の図形要素部分における共通性(共通点)と差異点を検討する。
全構成要素は本件商標と引用商標の根幹を占める部分であり、需要者・取引者に対して強い印象を与えるものである。特にこれらの要素は、需要者・取引者は商品を購入するに際して時と場所を異にする場合を想定した「離隔観察」においては、相紛れるほどの強い印象を需要者・取引者に与えるものである。
一方、「六角形」の「各辺」の外辺と内辺の間に存在する「巾」の距離の相違は、全構成要素の共通性と比較すれば微細な差異であり、標章の離隔観察においても、需要者・取引者が看過する差異にすぎないものである。
ウ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否関係
本件商標の指定商品中、第1類「chemical preparations for producing graphite; chemical products for use in mineral extraction; graphene; amorphous carbon.」は、特許庁類似商品・役務審査基準における類似群01A01に属する。
一方、引用商標の指定商品中、第1類「化学品,工業用化学品,植物成長調整剤類用・肥料用の化学品,半導体製造用化学品,液晶製造用化学品,インキ製造用化学品,製紙用化学品,めっき用化学品,電気部品用化学品,電子部品用化学品,電池用化学品,水処理用化学品,洗浄用化学品,ポリウレタン製造用化学品」は、上記審査基準における類似群01A01に属するため、本件商標の前記指定商品に類似する。
エ 結び
以上より、本件商標は引用商標に標章が類似し、かつ、本件商標の指定商品は引用商標の指定商品に類似する。また、本件商標の出願日(=国際登録日)は引用商標の出願日より後願である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
引用商標は申立人のハウスマークとして、本件商標の登録出願日(国際登録日)以前から使用されている。
また、引用商標は引用商標の指定商品の商標として、使用されている(甲1)。
よって、本件商標は、本件商標の指定商品について広く認識されている引用商標の指定商品に対し使用するものであり、本件商標は引用商標に標章が類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項10号に該当する。
4 当審の判断
(1)引用商標の我が国における周知性について
ア 申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
申立人は、ごま関連製品及び繊維工業用化学品、土木・建築用化学品等の産業用化学品を取り扱っている会社であり、引用商標を自身のウェブサイトの最上部に表示している(甲1)。
イ 上記アによれば、申立人は、引用商標を使用し、化学品等の商品を取り扱っていることはうかがえる。
しかしながら、引用商標の使用開始時期、引用商標を使用した商品に関する我が国における売上高、販売数量等の販売実績、宣伝広告の回数や費用等の広告実績など、その周知性を定量的に判断し得る客観的かつ具体的な証拠の提出はないから、引用商標の周知性の程度を推し量ることはできない。
その他に、引用商標が我が国において広く知られていると認め得る事情は見当たらない。
したがって、提出された証拠及び申立人の主張によっては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の製造・販売に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものとは、認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、直線的な稜線のある山と谷を表すかのごとく濃い緑色から薄い緑色に変化するグラデーションが施された正六角形の内側を、外側の各辺と内側の各辺がおおむね平行となるように表した大きな正六角形で白抜きした図形よりなるところ、当該図形は一般に親しまれた事物を表したものということはできないから、これより特定の称呼及び観念は生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、1本の帯状のものを折りたたんだかのような視覚効果を有する濃い緑色から薄い緑色に変化するグラデーションが施され、内側を正六角形の白抜きとする正六角形の図形(以下「引用図形部分」という。)を左側に配し、ゴシック体で書された「TAKEMOTO」の欧文字(「A」の文字はややデザイン化されている。以下「引用文字部分」という。)を右側に配した構成からなるものである。
そして、引用図形部分は、一般に親しまれた特定の事物を表したとはいえないものであり、引用文字部分は、「義太夫節の太夫の芸姓。」等を意味する「竹本」(「広辞苑 第七版」)の読みを欧文字で表したものであるといい得るところ、両者の間にはスペースが表され、また、観念上のつながりがあるなど、相互に密接不可分のものとしてみるべき特段の事情も見当たらない。
そうすると、引用商標は、引用図形部分と引用文字部分とを分離して観察することが、取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず、本件商標と引用商標との類否判断をする際に、引用図形部分を抽出して商標そのものの類否判断をすることが許されるというべきである。
そして、引用商標の構成中、引用図形部分は、上記のとおり一般に親しまれた事物を表したものということはできないから、これより特定の称呼及び観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標(引用図形部分)の類否
本件商標と引用商標(引用図形部分)の類否について検討するに、両者の外観は、緑色系統のグラデーションが施され外形が正六角形である点については共通するといい得るものの、本件商標については、内側の白抜き部分は比較的大きく表され、同部分の各辺が外側の辺に対して平行に表されていること、また、直線的な稜線のある山と谷を表すかのような視覚効果を有するグラデーションが施されていることから、全体として表面に直線的な凹凸のある正六角形の環状図形のように看取されるものである。
他方、引用図形部分については、白抜き部分は比較的小さく表され、同部分の各辺が外側の頂角に対応して表されていること、また、1本の帯状のものを折りたたんだかのような視覚効果を有するグラデーションが施されていることから、全体として1本の帯状のものを正六角形に折りたたんだ図形のように看取されるものである。
そうすると、本件商標と引用商標(引用図形部分)は、内側の白抜き部分の大きさ及び配置方法、並びにグラデーション手法の差異により、外観全体から受ける視覚的印象が異なるものであるから、これらを離隔的に観察しても、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
エ 小括
以上によれば、本件商標と引用商標は、称呼及び観念において比較することができないとしても、外観において相紛れるおそれはないものであるから、その外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して考慮すれば、十分に区別することができる非類似の商標というべきである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似のものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものとは認めることはできない。
また、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標である。
以上よりすれば、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品又はこれに類似する商品について使用をするものということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第11号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり、他に、同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-685008