商標拒絶査定不服審判
2024-650090
エスシイピイステップサイクルプロ、エスシイピイ、ステップサイクルプロ、ステップサイクル
- 審判番号
- 2024-650090
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 1703793
- 請求日
- 2024年10月29日
- 審決日
- 2025年02月27日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】STAR MICRONICS CO., LTD.
- 【請求人代理人】恩田 誠
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 渡邉 潤
- 分類
- T18 .261-Z (W09) / T18 .262-Z (W09) / T18 .263-Z (W09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
国際登録第1703793号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。
結論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
第1 手続の経緯
本願は、2022年5月12日にUnited Kingdomにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2022年(令和4年)10月19日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
2023年(令和5年) 9月11日付け:暫定拒絶通報
2023年(令和5年)11月 8日 :手続補正書の提出
2024年(令和6年) 3月25日付け:通知書
2024年(令和6年) 6月17日 :意見書の提出
2024年(令和6年) 7月25日付け:拒絶査定
2024年(令和6年)10月29日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第7類及び第9類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、国際商標登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記第1の手続補正により、第9類「Computer software for controlling the operation of numerically controlled metalworking lathes and machines.」に補正されたものである。
第3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第2716744号商標(以下「引用商標」という。)は、「SCP」の欧文字を横書きしてなり、平成3年5月22日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同8年10月31日に設定登録され、その後、同18年9月27日に指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」とする書換登録がされ、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
第4 原査定の拒絶の理由の要旨
本願商標の構成中の「SCP」の欧文字と、引用商標とは、観念において比較できないとしものの、「エスシーピー」の称呼を共通にし、外観においては、図形やデザイン化の有無があるとしても、欧文字のつづりを同一にするものであり、近似した印象を与えるものであるから、これらを総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標は、互いに相紛れるおそれのある類似する商標というべきであり、本願の指定商品は、引用商標に係る指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」と同一又は類似の商品であるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定、判断したものである。
第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号の該当性について
(1)本願商標について
本願商標は、別掲のとおり、「SCP」の欧文字(当該欧文字は、中央に白線を有する太めの書体で表されており、また、「P」の欧文字の右上には、これに接するように、一部が欠けた星型様の図形が配されている。以下同じ。)を書し、その下部に、「SCP」の欧文字よりも小さく、「STEP CYCLE PRO」の欧文字(「STEP」の「E」の欧文字は、縦線がなく、3本の横線で表されている。以下同じ。)を配してなるものであるところ、「SCP」の欧文字と「STEP CYCLE PRO」の欧文字は、重なることなく配置されていることから、それぞれが、視覚上、分離して看取、把握され得るものである。
そして、本願商標の構成中の「SCP」の欧文字は、太めの書体で、大きく顕著に表されていることに加え、一部が欠けた星型様の図形を有していることも相まって、その構成において、特に、看者の注意を引く部分であるといえる。
また、「SCP」の欧文字は、一般の辞書等に載録された特定の意味合いを表す語ではなく、特定の意味合いを表す語として一般に使用されているような特別な事情はないことから、一種の造語からなるものと認識されるものであり、本願の指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を有さないと判断するべき特段の事情はない。
加えて、本願商標の構成中の一部が欠けた星型様の図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、特定の称呼及び観念は生じないものである。
一方、本願商標の構成中の「STEP CYCLE PRO」の欧文字は、「STEP」の欧文字が「一歩、段階」を、「CYCLE」の欧文字が「周期」を、「PRO」の欧文字が「プロ」(いずれも「ジーニアス英和辞典 第6版」発行者:株式会社大修館書店)を意味する語であるものの、これらの文字全体としては、特定の意味合いを認識させるものではなく、一種の造語からなるものと認識されるものであり、「SCP」の欧文字も、上記のとおり、一種の造語からなるものと認識されるものであるから、「SCP」の欧文字と「STEP CYCLE PRO」の欧文字との間に観念的な関連性は見いだせないものである。
そうすると、本願商標の構成中の「SCP」の欧文字と「STEP CYCLE PRO」の欧文字は、重なることなく配置され、視覚上、分離して看取、把握され得るものであり、観念的な関連性は見いだせないものであるから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとはいえないものであり、それぞれが独立して、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部になるものとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、その構成文字全体に相応して「エスシーピーステップサイクルプロ」の称呼を生じるほか、その構成中、太めの書体で、大きく顕著に表されている「SCP」の欧文字に相応して「エスシーピー」の称呼を生じ、これよりは特定の観念を生じず、また、構成中の「STEP CYCLE PRO」の欧文字に相応して「ステップサイクルプロ」の称呼を生じ、これよりは特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、上記第3のとおり、「SCP」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「エスシーピー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標とを比較すると、両商標は、構成全体を見た場合、「STEP CYCLE PRO」の欧文字の有無等の明らかな差異があることから、外観において相違するが、本願商標の要部である「SCP」の欧文字及び引用商標とを比較すると、両者は、星型様の図形の有無や書体の差異があるとしても、「SCP」のつづりを共通にするから、外観上、近似した印象を与えるものである。
また、本願商標の要部である「SCP」の欧文字及び引用商標の欧文字に相応して生じる「エスシーピー」の称呼は同一であり、称呼を共通にするものである。
そして、観念においては、本願商標の要部である「SCP」の欧文字と引用商標とは、いずれも、特定の観念を生じないから、観念において比較できないものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、「エスシーピー」の称呼を共通にし、外観において近似した印象を与えるため、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し、全体的に考察すれば、両商標は、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
(4)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本願の指定商品は、引用商標の指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品」と類似の商品である。
(5)小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、「外観においては、本願商標は、「SCP」の欧文字部分は独創的かつ特徴的にデザイン化され、「STEP CYCLE PRO」の欧文字と組み合わされて、構成全体として極めて特異な外観を有するのに対し、引用商標は、「SCP」の欧文字を普通に用いられる方法で横書きしたにすぎず、両者は外観において著しく相違する。観念においては、「STEP CYCLE PRO」の欧文字部分から「段階的かつ周期的なプロ」といった程の漠然とした観念が生じるのに対し、引用商標からは特定の観念は生じないから、両者は観念においても明確に相違する。称呼においては、「エスシーピー」の称呼を共通にする場合があるとしても、本願商標の構成全体から生じる「ステップサイクルプロ」の称呼については、引用商標から生じる「エスシーピー」の称呼と著しく相違する。」旨主張する。
しかしながら、上記1のとおり、本願商標の構成中の「SCP」の欧文字は、独立して、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部になる部分である。
そして、商標の使用においては、つづりを共通にする文字について、同一の称呼を生じる範囲で書体等を相互に変換して表示することや、商標を構成する文字をデザイン化して表示することが一般に行われている取引の実情があることからすると、本願商標構成中の「SCP」の欧文字部分は、「SCP」の欧文字であると認識することが妨げられるほどに独創的かつ特徴的にデザイン化されているともいえない。
そうすると、本願商標構成中の「SCP」の欧文字部分と引用商標とは、星型様の図形の有無や書体の差異があるとしても、「SCP」のつづりを共通にしていることは明らかであり、両者は、外観上、近似した印象を与えるものというべきであるから、これらの差異は、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいえないものである。
また、請求人は、本願商標の構成中の「STEP CYCLE PRO」の欧文字部分から、「段階的かつ周期的なプロ」との観念が生じると主張するが、その内容を理解することができないことから、「STEP CYCLE PRO」の欧文字部分から特定の観念を生じるとまではいい難い。
仮に、「STEP CYCLE PRO」の欧文字部分から何らかの意味合いが生じ得るとしても、本願商標からは特定の観念が生じるとはいえず、引用商標もまた特定の観念が生じないことから、本願商標と引用商標とは、観念において相紛れるおそれはないとしても、称呼を共通にし、外観において近似した印象を与えるため、両商標は、相紛れるおそれのある類似の商標であるとの判断に影響を及ぼすものではない。
さらに、請求人は、本願商標と引用商標とは、「エスシーピー」の称呼を共通にする場合があるとしても、本願商標から生じる他の称呼である「ステップサイクルプロ」の称呼において著しく相違する旨主張するが、本願商標から「ステップサイクルプロ」の称呼も生じるとしても、本願商標の構成中、太めの書体で、大きく顕著に表されており、特に看者の注意を引く部分である「SCP」の文字部分を要部として、他人の商標と比較することが許されるというべきであり、本願商標からは「エスシーピー」の称呼を生じ、本願商標と引用商標とは、「エスシーピー」の称呼を共通にするものである。
(2)請求人は、「本願の指定商品の取引は、高度な技術的知識を有する専門家が極めて高い注意力をもって慎重に検討してなされるものであり、商標の一部の称呼のみによって商品の出所を識別することは到底あり得ないとの実情を考慮して、両商標が取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は何ら商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれは全くない。」旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品である「Computer software for controlling the operation of numerically controlled metalworking lathes and machines.」(参考訳:数値制御された金属加工旋盤及び機械の操作制御用コンピュータソフトウェア)は、金属加工用の工作機械に使用するコンピュータソフトウェアであり、一方、引用商標の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」には、「コンピュータプログラム」が含まれるところ、両者は、プログラミングに従事する者の取扱う商品として取引者を共通にし、また、需要者も、一般に製品の製造業者であって需要者を共通にするが、このような製造業者全ての注意力が高いとはいい切れない。
そうすると、本願商標と引用商標とは、本願の指定商品の需要者を考慮しても、上記1のとおり、外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し、全体的に考察すれば、両商標は、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
(3)請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も同様に取り扱われるべきである旨主張している。
しかしながら、商標の類否の判断は、当該出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別・具体的に判断すべきものであり、また、当該登録例と本願商標とは、商標の構成、指定商品等を異にするものであるから、当該登録例によって、直ちに本願商標の認定が左右されるものではない。
(4)以上のとおり、請求人の上記主張は、採用することができず、その他、請求人の主張は、いずれも採用するべき事情はない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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