商標拒絶査定不服審判
2024-650037
ワンバイペンフォールズ、イチバイペンフォールズ、バイペンフォールズ、ペンフォールズ
- 審判番号
- 2024-650037
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 1679829
- 請求日
- 2024年05月09日
- 審決日
- 2024年12月20日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】Southcorp Brands Pty Limited
- 【請求人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 田中 瑠美
- 分類
- T18 .261-Z (W3233) / T18 .262-Z (W3233) / T18 .263-Z (W3233) / T18 .26 -Z (W3233)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
国際登録第1679829号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。
結論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
第1 手続の経緯
本願は、2022年(令和4年)1月24日にAustraliaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2022年(令和4年)7月13日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
2023年(令和5年) 5月11日付け:暫定拒絶通報
2023年(令和5年) 8月25日 :意見書の提出
2024年(令和6年) 1月19日付け:拒絶査定
2024年(令和6年) 5月 9日 :審判請求書の提出
2024年(令和6年) 7月22日 :手続補正書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第32類及び第33類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、国際商標登録出願され、その後、指定商品は、当審における上記1の手続補正書により、第32類「Beer; non-alcoholic beers; ale; porter; alcohol-free wine; de-alcoholised wines; fruit juices; grape juice; non-alcoholic fruit extracts.」及び第33類「Wine; alcoholic beverages (except beer).」に補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5757609号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:ONE(標準文字)
指定商品:第33類「日本酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,麦芽及び麦を使用しないビール風味のアルコール飲料,麦芽または麦を使用したビール風味のアルコール飲料(ビール、ビール風味の麦芽発泡酒を除く。),中国酒,薬味酒」
登録出願日:平成26年11月27日
設定登録日:平成27年 4月10日
(2)国際登録第1344262号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
指定商品:第5類「Nutritional and dietary supplements, namely, pre-mixed protein-supplemented drinks.」、第29類「Pre-mixed dairy-based drinks.」及び第30類「Cereal-based ready-to-eat food bars; pre-mixed chocolate-based drinks; cookies.」
国際登録出願日:2017年1月31日(優先権主張:2016年8月9日(United States of America)
設定登録日:平成30年 6月22日
第4 当審の判断
1 本願商標と引用商標2について
本願の指定商品は、上記第2のとおりに補正された結果、引用商標2の指定商品と同一又は類似の商品は全て削除されたため、引用商標2の指定商品と類似しない商品になった。
したがって、本願商標は、引用商標2との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当しないものとなった。
2 本願商標と引用商標1について
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、上段に「ONE」(「O」の中に数字の「1」を内包したように見えるデザインが施されている。以下同じ。)の欧文字を太字で大きく顕著に表し、中段に極めて小さく「BY」の欧文字を、下段にやや大きめに「Penfolds」の欧文字を右上がりの筆記体で表した3段の構成よりなるところ、3段に配置された各文字は、相互に一定の間隔を空けて、重なり合うことなく、独立して表されており、また、それぞれの書体も異なることから、視覚上分離して看取し得るものである。
また、上段の「ONE」の文字部分のうち、「O」の欧文字はややデザイン化されているとはいえ、一般に、商品又は役務に標章等を使用する際に、様々なデザイン化が行われている現状にあっては、当該文字のデザイン化が殊更特殊なものであるとはいえず、上段の文字部分は、「ONE」の欧文字を表したものと容易に把握できるものである。
そして、「ONE」の文字は、「1の、1個の」を、「BY」の文字は、「…によって、による」を、それぞれ表すものとして我が国において一般に知られるものであり(ともに出典は、株式会社研究社「新英和中辞典 第7版」)、「Penfolds」の文字は、一般の辞書類に載録のないものであって、構成全体として「ONE BY Penfolds」の文字を表しているとしても、「ONE」の文字とその他の文字部分に観念的な一体性は特に見いだせない上、本願商標全体として、本願の指定商品との関係において、特定の意味合いを想起させるというべき事情も見当たらないものである。
そうすると、本願商標は、その構成中、大きく顕著に表された「ONE」の文字部分が、他の構成要素に比べ、構成全体の中で目を引くものであり、取引者、需要者に対し、自他商品の識別標識として強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当であるから、該文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較することが許されるものというべきである。
したがって、本願商標は、その要部の一つである「ONE」の文字部分(以下「本願要部」という。)に相応し、「ワン」の称呼を生じ、「1の、1個の」程の観念を生じるものである。
イ 引用商標1について
引用商標1は、「ONE」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「ワン」の称呼を生じ、「1の、1個の」程の観念を生じるものである。
ウ 本願商標と引用商標1との類否について
本願商標と引用商標1とを比較するに、外観において、全体としては明らかに相違するものであるが、本願要部と引用商標1との比較においては、書体は異なるとしても、「ONE」の欧文字を共通にするものであるから、近似した印象を与えるものであり、称呼において、「ワン」の称呼、観念において、「1の、1個の」程の観念を共通にするものである。
そうすると、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標1は、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。
エ 本願の指定商品と引用商標1の指定商品との類否について
本願の指定商品と引用商標1の指定商品とを比較するに、本願の指定商品中、第32類「Beer; ale; porter.」及び第33類「Wine; alcoholic beverages (except beer).」は、引用商標1の指定商品である第33類「日本酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,麦芽及び麦を使用しないビール風味のアルコール飲料,麦芽または麦を使用したビール風味のアルコール飲料(ビール、ビール風味の麦芽発泡酒を除く。),中国酒,薬味酒」と同一又は類似の商品である。
オ 小括
上記アないしエによれば、本願商標は、引用商標1と類似の商標であって、かつ、両商標の指定商品は互いに同一又は類似の商品を含むものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「BY」の文字は、特定の業種や商品カテゴリーに限られることなく、「Produced by ○○」、「Designed by ○○」等、後ろに製造者やデザイナーを表示することで、広く一般的に、出所識別標識として使用されている実情がある上、本願商標中の「Penfolds」はオーストラリア所在の国際的に著名なワイナリーの名称を示すものであって、出所識別標識として強く機能すると述べ、また、仮に「Penfolds」を知らない需要者であっても、当該文字は我が国の需要者にとっては馴染みのない語であることから、「ONE」の文字と比較すると識別力が強い語といえ、「Penfolds」の文字部分は殊更に捨象されるべきではなく、本願商標は「ONE BY Penfolds」として全体で捉えられるべき旨主張する。
しかしながら、上記(1)アで述べたとおり、本願商標の構成中の3段に配置された各文字は、相互に一定の間隔を空けて、重なり合うことなく、独立して表されており、また、それぞれの書体も異なることから、視覚上分離して看取し得るものであり、上段に大きく顕著に表された「ONE」の文字とその他の文字部分に観念的な一体性は特に見いだせない上、本願商標全体として、本願の指定商品との関係において、特定の意味合いを想起させるというべき特段の事情も見当たらないものである。
そして、本願商標の構成全体として「ONE BY Penfolds」と捉えられる場合があるとしても、上段に大きく顕著に表された「ONE」の文字部分が、他の構成要素に比べ、構成全体の中で目を引くものであり、取引者、需要者に対し、自他商品の識別標識として強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当であるから、該文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較することが許されるものといわざるを得ない。
イ 請求人は、本願商標中の「ONE」について、数字の1を表す英単語であるところ、そもそも数字にかかる識別力は極めて弱く、独占適用性を有さない言葉であると述べ、酒類の分野では、識別力の弱い語や生産地、品種等を表す語が商品名として採択されたり、商品の中で最も看者の注意を惹くように表記されたりすることも多く、その際、出所を明らかにするために、あわせて製造者を表すハウスマーク等の相対的に識別力の強い語を付加することが多々行われている取引の実情に鑑みれば、本願商標も製造者の表記に看者の注意が向けられることは明らかである旨主張する。
しかしながら、「ONE」の文字は、数字の「1」の英語表記ではあっても、数字そのものを表したものでなく、「1の、1個の」等の意味を有する英単語でもあり、本願の指定商品との関係においては、該文字部分のみをもって、商品の出所識別標識として機能し得ないとする事情は見いだせないものであるから、本願商標においては、他の構成要素に比べて大きく顕著に表され、構成全体の中で目を引く「ONE」の文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較することが許されるものというべきである。
ウ 請求人は、過去の登録例を挙げ、これらの登録が併存していることからしても、本願商標は登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断は、対比する商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げる登録例と本願商標とは、商標の具体的構成等において本願とは事案を異にするものであり、本願商標と引用商標1との類否については上記(1)ウのとおりであるから、これらの登録例をもって、上記判断が左右されるものではない。
エ したがって、請求人の上記アないしウの主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標2との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定の拒絶理由は解消したとしても、引用商標1との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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