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商標取消審判

2024-300886

ビヨンドアイサイトセンジュ、ビヨンドアイサイト、ビヨンド、アイサイト、センジュ

審判番号
2024-300886
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2017-084807
登録番号
6038797
請求日
2024年11月28日
審決日
2025年09月03日
公報発行日
2025年12月26日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【請求人】株式会社 SENJYU
  • 【請求人代理人】小野寺 隆
  • 【被請求人】千寿製薬 株式会社
  • 【被請求人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 豊瀬 京太郎
  • 審判官 清川 恵子
分類
T132 .1 -Z (W35)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第50条第1項、商標法第70条第1項、商標法第50条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6038797号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第6038797号商標の指定商品及び指定役務中、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6038797号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成29年6月23日に登録出願、「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供」を含む第35類、第1類、第3類、第5類、第10類及び第44類の商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同30年4月27日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 なお、本件審判の請求の登録は、令和6年(2024年)12月16日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の令和3年(2021年)12月16日から令和6年(2024年)12月15日までを以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その請求の理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した(以下、証拠の表記にあたっては、「甲(乙)第〇号証」を「甲(乙)〇」と省略して記載する。)。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供」(以下「請求に係る指定役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)被請求人の答弁について ア 乙2ないし乙6 (ア)被請求人は、「商品の販売に関する情報の提供」の役務使用の事実として、乙2ないし乙6を提出している。しかしながら、第35類「商品の販売に関する情報の提供」は、他人の依頼に基づいて、経営の診断や経営に関する助言を行う「経営コンサルタント」等が行うサービスが該当する。本件商標権者は、乙1のとおり、「経営コンサルタント」を事業とはしておらず、「眼科・耳鼻科用医薬品及びコンタクトレンズ用剤及び動物用医薬品の製造・販売、医療機器の販売・貸与、化粧品原料の製造・販売」を事業とする株式会社であることから、本件商標権者は、「商品の販売に関する情報の提供」を独立して商取引の対象としているものではなく、自社製品(OTC(Over The Counter)医薬品:市販薬)としての指定商品の付随的な使用にすぎないため、第35類「商品の販売に関する情報の提供」には該当しない。 (イ)本件商標は、別掲1のとおり、欧文字で書した「Beyond“eyesight”」を上段に、欧文字で書した「SENjU」を下段に配した二段書きからなる商標である。それに対し、乙2ないし乙6で表されている標章(以下、「使用標章1」という。別掲2 )は、色彩を付した欧文字「SENjU」の右横に、欧文字で書した「Beyond“eyesight”」を上段に、欧文字で書した「SENJU PHARMACEUTICAL CO.,LTD.」を下段に配した構成からなる。 両者を比較すると、「SENjU」部分と「Beyond“eyesight”」部分の横幅が、本件商標は「SENjU」部分に対し「Beyond“eyesight ”」部分が約0.8倍の長さとなっているのに対し、使用標章1は「SENjU」部分に対し「Beyond“eyesight”」部分が約1.5倍の長さとなっている。また、使用標章1は、「Beyond“eyesight”」部分と「SENJU PHARMACEUTICAL CO.,LTD.」部分が左揃えにしてバランスよく配置されている。さらに、本件商標は黒の単一色のみであるのに対し、使用標章1は、「SENjU」部分が青・緑・赤・橙・紫色で彩り、「Beyond“eyesight”」と「SENJU PHARMACEUTICAL CO.,LTD.」部分を黒の単一色としている。そのため、「SENjU」部分と「Beyond“eyesight”」部分の繋がりよりも、「Beyond“eyesight”」部分と「SENJU PHARMACEUTICAL CO.,LTD.」部分の繋がりの方が強い構成になっている。さらにまた、本件商標は「ビヨンドアイサイト」から始まる称呼が発生するのに対し、使用標章1は「センジュ」から始まる称呼が発生するため、両者の称呼が異なる。 以上、総合的に判断すると、本件商標と使用標章1は社会通念上同一とはいえない。 イ 乙7ないし乙22 (ア)被請求人は、「商品の販売に関する情報の提供」の役務使用の事実として、乙7ないし乙22を提出している。しかしながら、証拠に記載されている商品は、本件商標権者の自社製品「点眼液」等であるため、該役務「商品の販売に関する情報の提供」が独立して商取引の対象となるものではなく、自社製品「点眼液」等の指定商品の付随的な使用にすぎないため、第35類「商品の販売に関する情報の提供」には該当しない。 (イ)本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、乙7及び乙8で表されている標章は使用標章1と同様の構成からなるから、上記ア(イ)に記載したとおり、社会通念上同一とはいえない。 次に、乙9ないし乙22で表されている標章(以下「使用標章2」という。別掲3)は、色彩を付した欧文字「SENjU」の右横に「Beyond“eyesight”」を配した構成からなる。本件商標と使用標章2を比較すると「SENjU」部分と「“見える”の向こうにあるものを。」部分(審決注:本段落における「“見える”の向こうにあるものを。」の部分は、「Beyond“eyesight”」の誤記と認める。以下同じ。)の横幅が、本件商標は同じであるのに対し、使用標章2は「SENjU」部分が青・緑・赤・橙・紫色で彩り、「“見える”の向こうにあるものを。」を黒の単一色としている。そのため、「SENjU」部分と「“見える”の向こうにあるものを。」部分のつながりが弱い構成になっている。さらに、本件商標は「ビヨンドアイサイト」から始まる称呼が発生するのに対し、使用標章2は「センジュ」から始まる称呼が発生するため両者の称呼が異なる。 以上、総合的に判断すると本件商標と使用標章2は社会通念上同一とはいえない。 ウ 乙23ないし乙29 (ア)当該証拠は本件商標のいずれの指定役務に使用したものか記載がないが、善解すると「商品の販売に関する情報の提供」の役務使用の事実として提出したものと思われる。しかしながら、証拠に記載されている商品は、本件商標権者の自社製品「点眼液」等であるため、該役務「商品の販売に関する情報の提供」が独立して商取引の対象となるものではなく、自社製品「点眼液」等の指定商品の付随的な使用にすぎないため、第35類「商品の販売に関する情報の提供」には該当しない。同様に、「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析」にも該当しない。 (イ)本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、乙23ないし乙25で表されている標章は、使用標章1、2と同様の構成からなるから、上記ア(イ)及びイ(イ)に記載したとおり、社会通念上同一とはいえない。 エ 乙30 (ア)被請求人は、「経営の診断又は経営に関する助言」の役務使用の事実として、乙30を提出している。しかしながら、乙30の証拠は、セミナーの配信映像のスクリーンショットであるから、当該証拠が表している役務は第41類「セミナーの企画・運営又は開催」(類似群:41A03)に相当するものであって、第35類「経営の診断又は経営に関する助言」には該当しない。 (イ)本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、乙30で表されている標章(以下、「使用標章3」という。別掲4)は、欧文字で書した「Beyond“eyesight”」の下に、色彩を付した欧文字「SENjU」を配した構成からなる。 両者を比較すると、使用標章3は、「SENjU」部分が青・緑・赤・橙・紫色で彩り、「Beyond“eyesight”」を黒の単一色としており、彩色の方法が異なる。そのため、「SENjU」部分と「Beyond“eyesight”」部分の繋がりが弱い構成になっている。 以上、総合的に判断すると、本件商標と使用標章3は社会通念上同一とはいえない。 オ 本件商標が日本国内で要証期間内に使用されたことの説明について 被請求人は、英語で記載されている乙2ないし乙30が日本における商標の使用の証拠であるとして、日本の英語教育への言及や、乙34及び乙35を提出している。 しかしながら、海外事業を展開している企業にとって、商品説明や企業案内を英語で作成することは必須のものといえる。実際、本件商標権者は海外に事業所・子会社を有し、商品も販売している(甲2、甲3)。したがって、乙2ないし乙30は、外国における商標の使用に相当し、日本における商標の使用には該当しない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、答弁において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙1ないし乙35を提出した。 1 本件商標使用の事実 本件商標権者である千寿製薬株式会社は、「眼科・耳鼻科用医薬品及びコンタクトレンズ用剤及び動物用医薬品の製造・販売、医療機器の販売・貸与、化粧品原料の製造・販売」を主たる事業とする株式会社(乙1)である。 そして、医薬品や医療機器という製品の専門性・特殊性ゆえ、本件商標権者は、医療機関や医師に対し、医療に関する事業の管理、運営などを援助するべく、経営の診断又は経営に関する助言及び商品の販売に関する情報の提供を行っており、要証期間内に、本件商標(以下、本件商標と社会通念上同一と認められる商標も含む。以下同じ。)を請求に係る指定役務に使用していたものである。 2 証拠の説明 (1)乙2ないし乙6 乙2及び乙3は、本件商標権者の英語ウェブサイトトップページであり、乙4及び乙5は製品情報のページである。これらは、非営利団体インターネットアーカイブのウェイバックマシンに保存されているウェブページであり、当該ページが要証期間に公開されていた事実と当該ページの構成を示すものである。 乙4及び乙5の製品ページは、OTC医薬品に関する情報が提供されている。各種商品の用法・用量、成分等詳細な情報が提供されており(乙6)、これらの情報は、医薬品を取り扱う調剤薬局や薬剤師、登録販売者等の事業において重要な情報であることから、かかる情報の提供は、医薬品販売事業を援助する役務に該当する。よって、乙4ないし乙6は、要証期間に提供されている「商品の販売に関する情報の提供」の事実を証するものである。そして、いずれにも、本件商標が表示されている。 (2)乙7ないし乙22 乙7及び乙8は、本件商標権者の英語ウェブサイトで製品の販売情報の最新情報が提供されているNewsページである。いずれも、非営利団体インターネットアーカイブのウェイバックマシンに保存されているウェブページであり、当該ページが要証期間に公開されていた事実と当該ページの構成を示すものである。 同ページでは、医療機器の販売開始や、商用サービス及びその機器の提供・ 販売開始、医薬品指定、医薬品製造販売承認、医療診断に使用されるソフトウェアの提供開始といった情報が提供されている(乙9~乙22)ところ、医療機器及び医薬品並びにこれらに関わるソフトウェアは専門性が高く人命にかかわる上、日々進歩する製品であることから、医療機関や医師にとって、医療に関する事業を管理・運営する上で極めて重要な情報であり、これらの情報の提供は、医療機関や医師の事業を援助する役務に該当する。 よって、乙7ないし乙22は、要証期間に「商品の販売に関する情報の提供」が提供された事実を証するものである。そして、いずれの証拠資料にも、本件商標が表示されている。 (3)乙23ないし乙29 乙23ないし乙25は、本件商標権者の英語版会社案内である。会社概要のほかに、主たる処方薬の情報、さらには処方薬の販売開始時期を含めた詳細情報が記載されている。処方薬の販売に関する情報の提供は、処方薬を取り扱う医療機関や医師、調剤薬局、薬剤師等の医療業界並びに医薬品開発企業等の事業を援助する役務に該当する。そして、各証拠資料の表紙及び最終頁には、本件商標が表示されている。 なお、乙23ないし乙25は、2022年3月付、2023年4月付、2024年4月付であることから、要証期間内に本件商標を使用した事実を示す資料であるということができるが、これらの資料の存在の事実と頒布の事実を示すために、メールで取引先に頒布した際のメールの写し(乙26~乙29)を提出する。 (4)乙30 乙30は、セミナーという提供形式で医師向けに提供された「経営の診断又は経営に関する助言」の配信映像のスクリーンショットである。2024年12月13日に配信され、本件商標が表示された状態で、役務の提供が行われた。 (5)本件商標が、日本国内で要証期間内に使用されたことの説明 本件商標は、別掲1のとおり、欧文字で「SENjU」と、その上に「Beyond“eyesight”」が配された商標であるところ、乙30では、本件商標と同一の商標が使用されている(商標法第70条第1項)。 この他に、「SENjU」の横に「Beyond“eyesight”」が配された商標が使用されている。商取引の実際においては登録商標が配列又は配置について少なからず変更が加えられて使用されるものであることを考慮すると、本件商標を構成する文字と完全に同一の「SENjU」及び「Beyond“eyesight”」からなり、互いに近接する位置で配置を変更して構成された商標は、本件商標と同一の称呼及び観念を生じ、社会通念上同一の商標といえる(乙31~乙33)。 ところで、乙2ないし乙30は、英語で記載されているが、日本における商標の使用の証拠といえる。 我が国では、明治時代から、第1外国語として英語教育が開始され、英語は今では小学生から学習する言語であり、我が国需要者が日常的に接する最も馴染みのある外国語である。 また、2000年以降、社内公用語が英語である企業が増加し、ビジネスにおける英語の使用は一般化している。 加えて、観光やビジネスで日本に滞在する外国人の増加により、外国語での医療サービスの需要が高まり、二国間協定に基づき、日本の医師国家試験等を英語で実施するなどの便宜が図られている(乙34)。現に、令和4年12月31日時点で、日本全国の外国人医師の数は2349人となっており(乙35)、このような状況において、日本国内で、医師を含む医療業界に対するサービスの提供を英語で行うことが求められている。 そして、証拠資料は英語で記載されているが、その内容は日本国内で販売される商品に関するものであり、本件商標権者の英語版会社案内(乙22~乙24)の頒布先は日本の企業(乙26~乙29)や医師、医療機関等である。 以上より、英語で記載されている各証拠資料は、日本で商標を使用した事実を示すものであるといえる。 したがって、本件商標権者が、要証期間に含まれる2022年1月から2024年12月13日の間に、日本国内において、本件商標を使用して「商品の販売に関する情報の提供」及び「経営の診断又は経営に関する助言」を提供していたことは明らかである。 第4 審尋 当審より被請求人に対し、令和7年5月26日付け審尋において、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に、商標権者又は通常使用権者が、請求に係る指定役務について本件商標を使用していたことを被請求人が証明しているものとはいえない旨の合議体の暫定的見解及び請求人が提出した同年4月11日付けの弁駁書に対する回答を求めた。 第5 審尋に対する回答 前記第4の審尋に対し、被請求人からの回答はなかった。 第6 当審の判断 1 被請求人は、本件商標を要証期間に、請求に係る指定役務に使用していたと主張するので、これについて検討する。 (1)被請求人の提出した証拠及び主張によれば、以下のとおりである。 ア 本件商標権者は、「眼科・耳鼻科用医薬品及びコンタクトレンズ用剤及び動物用医薬品の製造・販売、医療機器の販売・貸与、化粧品原料の製造・販売」を主たる事業とする株式会社(乙1)である。 イ 乙2ないし乙22について (ア)乙2及び乙3は、本件商標権者の英語のウェブサイトのトップページであり、乙4(2022年6月29日)及び乙5(2022年5月26日)は同ウェブサイトの製品情報のページである。製品情報の内容は、例えば、乙6には、「MytearV/マイティアV」として商品写真が掲載されており、日本語訳によれば、「特徴 結膜の充血を鎮める成分・・・を配合。・・・マイルドな使用感の目薬です。」「使用上の注意」「効能・効果」「用法・用量」「成分」などの記載がある。 (イ)乙7及び乙8は、本件商標権者の英語のウェブサイトにおける製品の販売情報についての最新情報が提供されているNewsページであり、同ページ掲載の情報(乙9~乙22)は、例えば、乙9では、その日本語訳によれば2022年4月11日に、「M22 IPLモデルの販売開始」の表題の下、「千寿製薬株式会社・・・は、ルミナスBEジャパン株式会社・・・を製造販売承認者とするM22 IPLモデルの日本国内での販売を、本日付けで開始することをお知らせします・・・。」等の記載がある。その他の乙10ないし乙22においても、本件商標権者が同人に係る医療機器等の販売開始等を知らせる内容が記載されている。 (ウ)乙4ないし乙8には、一文字ずつ違う色で彩色された「SENjU」の文字とその横に黒色の「Beyond“eyesight”」と「SENJU PHARMACEUTICAL CO.,LTD.」を二段に表した記載がある。 乙9ないし乙22には、一文字ずつ違う色で彩色された「SENjU」の文字と黒色の「Beyond“eyesight”」の文字を横書きした記載(以下「使用商標1」という。)がある。 ウ 乙23ないし乙29について 乙23(「March,2022」の記載がある。)ないし乙25(「April,2024」の記載がある。)は、本件商標権者の英語版会社案内であり、表紙には使用商標1が示されており、会社概要のほかに、主たる処方薬の情報等が記載されている。乙26(2022年5月12日)ないし乙29(2024年8月26日)は、被請求人が英語版会社案内を送付した事実を示すものとして提出した書証であり、本件商標権者から医薬品会社等に宛てたメールの写しである。 エ 乙30について 乙30は、2024年12月13日配信の「眼瞼炎とドライアイ~見にくいという患者が来たら~」という演目で講演される「SENJU WEB SEMINAR」のスクリーンショットである。スクリーンショットには4名の「先生」とされる者が映っており、そのうち一人の先生の背景には、不鮮明であるものの、黒色の「Beyond“eyesight”」の文字と一文字ずつ違う色で彩色された「SENjU」の文字が上下二段に示されている(以下「使用商標2」という。)。 オ 乙34及び乙35について 乙34は、厚生労働省のウェブサイトにおける「二国間協定に基づく外国の医師又は歯科医師」を標題とする記事であり、「観光や仕事で日本に滞在する外国人が増加・・・こうした状況を踏まえ、厚生労働省では相手国政府と協定を締結し、医師国家試験等を英語で実施するなどの便宜を図ることで、外国医師等が日本国内で医業等に従事しやすくなる環境を整えています。」との記載がある。乙35は、「e-Stat 政府統計の総合窓口」のウェブサイトにおける「外国人医師数・・・」を標題とする統計で、被請求人の主張によれば、令和4年12月31日時点で、日本全国の外国人医師の数は2349人である。 このような状況から、日本国内で医師を含む医療業界に対するサービスの提供を英語で行うことが求められており、英語の証拠資料は日本で本件商標を使用した事実を示すものである(被請求人主張)。 (2)上記(1)によれば、以下のように判断できる。 ア 請求に係る指定役務の使用について (ア)上記(1)イによれば、乙4ないし乙22は、本件商標権者の英語のウェブサイトの製品情報であり、その内容は、本件商標権者が取り扱う商品に関する説明や情報であるから、本件商標権者が取り扱う商品の情報の紹介にすぎないものといえる。 ところで、請求に係る指定役務である第35類「商品の販売に関する情報の提供」は、商業等に従事する企業に対し、商品の販売実績に関する情報、商品販売に係る統計分析に関する情報などを提供することがこれに該当する(平成23年12月20日最高裁平成21(行ヒ)217参照)と解されるから、乙4ないし乙22は、第35類「商品の販売に関する情報の提供」に該当するものとは認められない。 また、乙4ないし乙22は、英語のウェブサイトであることから、日本国内の事業者や需要者向けに作成され、運営されているウェブサイトとも認められない。 (イ)上記(1)ウのとおり、乙23ないし乙25の英語版会社案内については、請求に係る指定役務のうち、いずれの役務に関する使用を証明する証拠であるか不明であるが、会社概要のほかに、主たる処方薬の情報等が記載されている旨主張しているので、第35類「商品の販売に関する情報の提供」についての使用を証明するものとして提出したものと推測されるが、上記(ア)のとおり、本件商標権者の取り扱う商品の情報を紹介する行為は、第35類「商品の販売に関する情報の提供」の役務についての使用とは認められない。 また、上記英語版会社案内は、英語版であることから、日本国内の事業者や需要者向けに作成されたものとも認められない。 (ウ)上記(1)エのとおり、乙30については、セミナーを開催していることはうかがえるものの、被請求人が主張する第35類「経営の診断又は経営に関する助言」の役務を提供していると判断できるような事実は見いだせない。 イ 使用商標1及び使用商標2について 本件商標は別掲1のとおりの構成からなるところ、使用商標1は、別掲3のとおり、一文字ずつ違う色で彩色された「SENjU」及び「Beyond“eyesight”」の文字を横書きしてなるものであり、使用商標2は、別掲4のとおり、「Beyond“eyesight”」の文字を上段に、一文字ずつ違う色で彩色された「SENjU」の文字を下段に表してなるものである。 本件商標と使用商標1及び使用商標2を比較すると、使用商標1については、色彩の有無や「Beyond“eyesight”」の文字部分の大きさや配置が相違するものの、ダブルクォーテーションマークを含め、構成要素及び構成文字が同一であり、使用商標2については、色彩の有無の相違の他は、構成要素及び構成文字、文字部分の配置も同一である。 そうとすれば、本件商標と使用商標1及び使用商標2は、その構成全体において、同一の構成要素からなるものであるから、社会通念上同一の商標であると認められる。 ウ 小括 以上よりすれば、提出された証拠には、本件商標権者が同人のウェブサイトや会社案内等で、使用商標1や使用商標2が使用されていることはうかがえるとしても、本件商標権者が日本国内の事業者や需要者向けに請求に係る指定役務について使用した事実に関しては、何ら立証がされているとはいえない。 したがって、本件商標権者が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務について、本件商標を使用したことを認めることができない。 2 被請求人の主張 被請求人は、乙34及び乙35を根拠に、乙2ないし乙25の英語の資料について、日本における使用の証拠である旨主張しているが、たとえ、英語を使う外国人医師が増えているとしても、上記1(2)アのとおり、医療業界において英語の資料が一般的に日本の需要者向けの資料であるとは認めがたい上に、日本で販売されている日本の需要者向けの商品であれば、当然に日本語での説明記載があるものと考えられ、英語版会社案内についても日本の需要者向けというよりは、海外の事業者や投資家向けのものというのが自然であるから、乙2ないし乙25の英語の資料が、本件商標を日本において使用したことを証明するものとは認められない。 したがって、上記被請求人の主張は採用できない。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、請求に係る指定役務について、本件商標を使用していた事実を証明したものとは認められない。 また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定役務に使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-300886

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