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商標取消審判

2024-300520

バイオミックス

審判番号
2024-300520
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願1988-074642
登録番号
2269948
請求日
2024年07月26日
審決日
2025年05月08日
公報発行日
2025年08月29日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【請求人】コスメティック ウォーリアス リミテッド
  • 【請求人代理人】佐藤 恒雄
  • 【被請求人】第一石鹸 株式会社
  • 【被請求人代理人】高木 裕
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 小俣 克巳
  • 審判官 高橋 幸志
分類
T131 .1 -Z (W03)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項、商標法第50条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第2269948号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第2269948号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第2269948号商標(以下「本件商標」という。)は、「バイオミックス」の文字を横書きしてなり、昭和63年6月29日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とし、平成2年9月21日に設定登録がなされ、その後、平成23年6月29日に指定商品を第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年8月13日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同3年8月13日から同6年8月12日までを、以下「要証期間」という場合がある。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和6年10月10日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年11月27日付け弁駁書(以下「弁駁書」という。)において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(以下、証拠の表記に当たっては、甲各号証を「甲○」及び乙各号証を「乙○」と省略して記載する場合がある。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品(以下「請求に係る指定商品」という場合がある。)について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。 2 弁駁書による主張 (1)商標の使用 本件商標は、片仮名で特徴のない字体の文字により「バイオミックス」と普通に用いられる方法で表示してなる商標であるが、乙第1号証ないし乙第3号証によると、液体衣料用洗剤と並んで表示されている商品のパッケージ表面中央には、大きく「セスキ」「炭酸ソーダ」「洗濯用」とあり、右上の六角形の枠の中にこれらの語より小さい字体で「バイオミックス処方」と三段で横書きに記載されている。三段にわけて記載されてはいるが、一つの枠の中にまとまりよく記載されており、本件商標とは異なる様態で表示されており、「バイオミックス」単体で用いられているものはない。乙第1号証の商品の商標は「セスキ」であり、「バイオミックス処方」はその製造方法又は商品の品質ないし特徴を示すものであり、本件商標の使用ではない。 デジタル大辞泉によると、「バイオ」とは、「1 「バイオテクノロジ一」の略。2 他の語の上について、生命の、生物に関する、の意を表す」(甲2)とあり、広辞苑によると、「バイオテクノロジー」とは、「生物のもつ物質変換・情報変換・エネルギー変換などの機能を、さまざまな有用物質の生産、医療、品種改良などに応用する技術。特に組換えDNA技術や、細胞融合技術などを利用して改良した新種微生物を中心とする生物素材を広く用いる産業技術。生物工学。生命工学。」(甲3)とある。また、「ミックス」は混ぜること、又は混ぜたものを意味するのは自明である。よって、「バイオミックス」とは、微生物等を中心とする生物素材をミックスしているもの、と一般に認識されるものと思われる。 「バイオ」を商品名や商品説明に使用する商品は、微生物を利用した消臭、抗菌、洗浄機能を有する商品や、有機肥料などの商品に多く見られ、バイオ原料をミックスする製造方法によるものという意味で使用されている(甲4~甲6)。 乙第1号証ないし乙第3号証を見た取引者・需要者は、これらの商品について「バイオミックス処方」という製造方法又は商品の特徴を表示したものと認識するにとどまるといえ、自他商品識別機能を有しているとも思われず、商標の使用の証拠とはいえない。乙第1号証ないし乙第3号証は商標の使用の証拠とはいえないので、これに関する売上伝票、請求明細書及び仕入伝票を提出する乙第4号証及び乙第5号証は、商標を使用した商品が日本国内において譲渡されていた証拠とはなりえない。 (2)使用の証拠 乙第1号証ないし乙第6号証は、以下の理由により本件商標の使用の証拠とはいえない。 ア 乙第1号証及び乙第3号証について 証拠として提出された乙第1号証のカタログの商品写真に、「バイオミックス処方」と表示した「セスキ炭酸ソーダ洗濯用」があるが、「セスキ炭酸ソーダ」とは、炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)と重曹(炭酸水素ナトリウム)の複塩のことで、両者の中間的な性質を持っている(甲7)物質であり、類似商品・役務審査基準(特許庁)に照らして、せっけん類には含まれないと思われる。また、当該商品写真の下段に商品特徴として、「洗剤と一緒に入れるだけで洗浄力がアップする洗濯補助剤。アルカリパワーと酵素が特徴。」と表示されている。さらに、乙第2号証及び乙第3号証の商品写真では、上記に加え、その左下の緑色で囲む部分の中に、「洗濯補助剤」「液体洗剤にプラスすることで、アルカリ度を高めるとともに酵素(*1)の力で汚れを分解します。」と表示されている。乙第6号証は、乙第1号証から乙第2号証へのパッケージの変更を通知するものであり、上記と同じことがいえる。 イ 乙第4号証及び乙第5号証について 本件商標は、せっけん類について使用している旨、被請求人は主張するが、乙第1号証ないし乙第3号証及び乙第6号証はせっけん類について使用していることの証拠とはいえない。また、乙第1号証ないし乙第3号証が商標の使用の証拠とはいえないので、これに関する売上伝票、請求明細書及び仕入伝票を提出する乙第4号証及び乙第5号証は、商標を使用した商品が日本国内において譲渡されていた証拠とはなりえない。 (3)まとめ 以上のように、被請求人の答弁は、本件商標の使用の事実を示すものとして成り立たない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。 被請求人(以下「本件商標権者」という場合がある。)は、本件審判の要証期間に日本国内において、その請求に係る指定商品中「せっけん類」について本件商標を使用している。 以下、その事実を立証する。 乙第1号証は、2022年(令和4年)春夏用の本件商標権者の購入可能な商品の日本国内向けのリストを示すカタログの写しである。 乙第2号証は、2023年(令和5年)用の本件商標権者の購入可能な商品の日本国内向けのリストを示すカタログの写しである。 乙第3号証は、2024年(令和6年)用の本件商標権者の購入可能な商品の日本国内向けのリストを示すカタログの写しである。 乙第1号証のページ番号3の「液体衣料用洗剤」中の右端の「セスキ炭酸ソーダ洗濯用600g」の商品写真の右上の六角形で囲む部分に本件商標「バイオミックス」の表示がある。同様に、乙第2号証のページ番号1の「液体衣料用洗剤」中の右端の「セスキ炭酸ソーダ洗濯用600g」の商品写真の右上の六角形で囲む部分に本件商標「バイオミックス」の表示がある。同様に、乙第3号証のページ番号1の「液体衣料用洗剤」中の右端の「セスキ炭酸ソーダ洗濯用600g」の商品写真の右上の六角形で囲む部分に本件商標「バイオミックス」の表示がある。 乙第1号証の上記商品と乙第2号証の上記商品と乙第3号証の上記商品は、何れも同一商品であり、少なくとも、2022年(令和4年)から2024 年(令和6年)にかけて、当該商品に本件商標「バイオミックス」を、自他商品識別力を有する状態で、付したものを広告・販売している。 なお、各カタログの上記商品写真には、中央に大きく「セスキ炭酸ソーダ洗濯用」と表示されているが、この表示は材質と用途を示す表示であり、自他商品識別力を有さない。 したがって、上記乙第1号証ないし 乙第3号証で示すカタログ(取引書類)中の「セスキ炭酸ソーダ洗濯用600g」の商品(その包装)に本件登録商標「バイオミックス」を付して要証期間に日本国内において、展示され若しくは頒布されていたことは明らかである。 乙第4号証は、2024年(令和6年)2月14日発行の伝票番号0000162091 1/1の売上伝票と請求明細書と仕入伝票一式の写しである。 乙第5号証は、2024年(令和6年)4月25日発行の伝票番号0000173583 1/1の売上伝票と請求明細書と仕入伝票一式の写しである。 何れの売上伝票などにも、「セスキ炭酸ソーダ洗濯用600g」の商品が記載されており、この商品が上記乙第1号証ないし乙第3号証で示す「セスキ炭酸ソーダ洗濯用600g」を示している。 したがって、上記乙第1号証ないし乙第3号証で示すカタログ中の本件商標「バイオミックス」を付した商品「セスキ炭酸ソーダ洗濯用600g」が要証期間に日本国内において、譲渡されていたことは明らかである。 乙第6号証は、顧客各位に送付された商品「セスキ炭酸ソーダ選択(審決注:「洗濯」の誤記と認める。)用600g」の包装ケース正面の表示内容変更説明書の写しである。 2022年(令和4年)9月30日の書類であり、現行及び変更後の何れの表示にも、本件商標「バイオミックス」が商品「セスキ炭酸ソーダ洗濯用600g」の包装に付されていることは明らかである。 第4 当審における審尋及び被請求人の回答 1 当審における審尋について 審判長は、令和7年1月30日付け審尋において、被請求人に対し、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解に対する回答を求めた。 2 被請求人の回答 被請求人は、上記1の審尋に対し何らの応答もしていない。 第5 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠について 被請求人の主張及び同人が提出した証拠によれば、以下のとおりである。 (1)使用商標について 乙第1号証は、商品カタログであるところ、その表面には「PRODUCTS/CATALOG/2022 SPRING & SUMMER」(「/」は改行を表す。以下同じ。)及び「第一石鹸株式会社」の記載が認められ、カタログ3ページ目に「液体衣料用洗剤」が紹介されており、下段に掲載の「品名/内容量」を「ランドリークラブ/セスキ炭酸ソーダ/洗濯用600g」とする商品について、商品の包装を表した写真が掲載されており、別掲のとおり、当該包装の右上の六角形内に「バイオ/ミックス/処方」の文字(以下「使用商標」という。)が認められる。 乙第2号証は、「PRODUCTS/CATALOG/2023」と題する商品カタログで、乙第3号証は、「PRODUCTS/CATALOG/2024」と題する商品カタログであるところ、それらについても、乙第1号証と同様に表面に「第一石鹸株式会社」の記載とともに、カタログ内に「液体衣料用洗剤」の商品の一つとして、商品「ランドリークラブ/セスキ炭酸ソーダ/洗濯用600g」の包装の写真が掲載され、当該包装の右上の六角形内に使用商標が認められる。 乙第6号証は、本件商標権者である「第一石鹸株式会社」から「お客様各位」宛ての商品「ランドリークラブ/セスキ炭酸ソーダ/洗濯用600g」の付属スプーンを廃止し、包装を変更するお知らせの書面であるといえるところ、商品の包装の写真が掲載され、変更前及び変更後のいずれも当該包装の右上の六角形内に使用商標が認められる。 (2)取引書類について 乙第4号証は、日付を2024年2月14日とし、乙第5号証は、日付を2024年4月25日とする「1.売上伝票」「2.請求明細書」「3.仕入伝票」の取引書類の一式であるところ、いずれの書類も本件商標権者から顧客宛に発出された書類であるといえるもので、「2」に「LCセスキ炭酸ソーダ洗濯用 600g」が記載されている。 2 上記1からすれば、以下のとおり判断できる。 (1)本件商標と使用商標との社会通念上同一性について ア 本件商標について 本件商標は、「バイオミックス」の片仮名を横書きしてなるところ、その構成は、「生体・生物体・生物などを意味する接頭辞」である「バイオ」の文字と「まぜること。混合」等を意味する「ミックス」の文字(出典はいずれも「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店、以下同じ。)を組み合わせたものからなると把握、認識できるものであり、構成全体で「生物体の混合」ほどの意味合いを生じることから、構成文字に相応し「バイオミックス」の称呼を生じ、「生物体の混合」ほどの観念を生じる。 イ 使用商標について 使用商標は、別掲のとおり「バイオ」、「ミックス」及び「処方」の文字を三段に横書きしてなり、その構成は六角形内にまとまりよく一体に表されているものであるところ、これから生じる「バイオミックスショホウ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであり、その構成中の「バイオミックス」が「生物体の混合」の意味合いを生じ、「処方」の文字が「処置する方法。てだて。しかた。」等を意味する語であるから、構成全体で「生物体の混合のしかた」ほどの意味合いを生じる一体不可分のものとして看取されるものである。 ウ 本件商標と使用商標との社会通念上同一性について 上記ア及びイのとおり、両商標は、「バイオ」及び「ミックス」の片仮名を共通にするものの、「処方」の文字の有無に差異を有し、全体の構成が異なるものであり、その称呼及び観念も異なることから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということはできない。 (2)使用商品について 被請求人が使用商標を使用していると主張する商品(以下「使用商品」という。)は、「液体衣料用洗剤」として商品カタログ(乙1~乙3)に紹介されていることから、請求に係る指定商品「せっけん類」の範ちゅうに含まれる商品であるといえる。 (3)本件商標の使用行為及び使用時期について 使用商品の商品カタログについて、当該カタログ等は「2022 SPRING & SUMMER」、「2023」及び「2024」の文字から2022年春夏、2023年及び2024年に販売される商品を掲載したものであることが推認できるものの、これらのカタログの作成日、使用された年月日、印刷部数、頒布手段、頒布先等を確認することができない。 また、被請求人が提出する取引書類(乙4、乙5)は、使用商標が商品の包装に掲載された商品に関する取引を含むところ、上記(1)のとおり、使用商標は本件商標と社会通念上同一と認められる商標ではないことから、本件商標の使用に関する証拠と認めることができない。 その他、被請求人の主張及び同人が提出した全証拠をみても、要証期間に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用した事実を確認することができない。 上記のとおり、被請求人である商標権者はもとより、本件商標の商標権に係る専用使用権者又は通常使用権者が、要証期間に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を請求に係る指定商品に使用した事実を確認できないことから、商標法第2条第3項各号における本件商標の使用の行為を認めることができない。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用していた事実を証明したものと認めることはできない。 また、被請求人は、請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

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