商標取消審判
2024-300249
オーパ、オパ、オオピイエイ
- 審判番号
- 2024-300249
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2016-120436
- 登録番号
- 5947436
- 請求日
- 2024年04月17日
- 審決日
- 2025年03月19日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】安富産業 株式会社
- 【被請求人】株式会社 OPA
- 【被請求人代理人】正木 裕士
- 【被請求人代理人】三上 祐子
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 大島 康浩
- 分類
- T132 .1 -Z (W41)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3項第5号、商標法第50条第1項、商標法第2条、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5947436号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第5947436号商標の指定役務中、第41類「娯楽施設の提供」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5947436号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成28年10月28日に登録出願、別掲2のとおりの第35類ないし第37類、第39類ないし第41類及び第43類ないし第45類に属する役務を指定役務として、同29年5月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年5月8日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和3年(2021年)5月8日から同6年(2024年)5月7日までを、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
本件商標は、その指定役務中、第41類「娯楽施設の提供」(以下「本件審判の請求に係る指定役務」という。)について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
なお、請求人は、令和6年7月11日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対して、弁駁していない。
第3 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書において理由を要旨以下のとおり主張し、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号あり。)を提出した。
2 答弁の理由
被請求人は、「心斎橋オーパ」(大阪府大阪市)において、本件商標の通常使用権者たる「イオンモール株式会社」(以下「イオンモール社」という。)が、本件審判の請求に係る指定役務について、本件商標を使用している。
また、審判請求される2024年4月より前から、「高崎オーパ」、「三宮オーパ」において、被請求人は「娯楽施設の提供」について、本件商標を使用している。
(1)イオンモール社が黙示の使用許諾を与えられていたこと
被請求人は、令和3年(2021年)3月1日から現在に至るまで、被請求人の親会社であるイオンモール社に対し、黙示の使用許諾を与えていた。
上記の事実を示す証拠として、本件商標権者の会社案内を提出する(乙1の1)。なお、同証拠資料は、本件商標権者のウェブサイト(https://www.opa.gr.jp/company2024_02.pdf)において閲覧が可能であり、同証拠資料10ページ目の「株主構成」にあるように、イオンモール社は、被請求人に100%出資する(被請求人の議決権の100%を保有する)親会社である。
また、同証拠資料7ページ目に「※組織再編により、明石ビブレ、秋田オーパ、水戸オーパ、八王子オーパ、聖蹟桜ヶ丘オーパ、湘南藤沢オーパ、名古屋mozoオーパ、河原町オーパ、心斎橋オーパ、大分オーパ、那覇オーパはイオンモール株式会社が運営しております。」とあるように、イオンモール社は、被請求人の合意のもと、これらの商業施設「オーパ」を運営している。
また、乙第1号証の2は、被請求人のウェブサイトであって、各店舗のサイトへのリンクが掲載されている箇所の写しである。この写しには、被請求人の運営にかかる「オーパ」のほか、イオンモール社の運営にかかる「オーパ」も確認できる。さらに、そのリンクのうち、イオンモール社の運営にかかる「オーパ」、例えば「心斎橋オーパ」をクリックすると、「心斎橋オーパ」のウェブサイトが表示され(乙1の3)、同証拠1ページ目上部に、本件商標と同一の商標が使用されている。一方、同証拠6ページ目に「Copyright OPA co.,ltd All rights reserved.」と記載されている。また、乙第1号証の4として提出する「利用規約」には、「当サイトで提供する情報、サービス、広告等(以下「情報等」といいます)に含まれる内容に関する商標権・著作権その他の知的財産権は、全て当サイトを運営管理する株式会社OPA又はその他の正当な権利者に帰属します。」と記載されている。
上記の乙第1号証の1ないし乙第1号証の4によれば、被請求人はイオンモール社が商業施設「オーパ」を運営していることを認識しており(乙1の1)、その運営にあたり、ウェブサイトに本件商標を使用していることも認識している(乙1の2)。
したがって、本件指定役務「娯楽施設の提供」はもちろん、本件商標の権利範囲において、被請求人に、イオンモール社が本件商標を商業施設「オーパ」の運営全般に使用することに許諾の意思があったことは明らかである。すなわち、イオンモール社は被請求人に黙示の使用許諾を与えられた通常使用権者である。
(2)「心斎橋オーパ」において、本件商標を、本件審判の請求に係る指定役務の用に供する掲示物に付して展示していたこと
イオンモール社は、少なくとも2023年11月20日に「心斎橋オーパ」(大阪府大阪市)において、本件審判の請求に係る指定役務の用に供する掲示物に本件商標を付して展示していた。
ア 「心斎橋オーパ」7階での使用を示す証拠
上記の事実を示すために、「心斎橋オーパ」の7階のカプセルトイ販売機コーナーの写真を提出する(乙2の1~3)。
なお、乙第2号証の1ないし3を撮影した位置と撮影した方向を示す証拠を、乙第2号証の4として提出する。
このカプセルトイ販売機コーナーは、店舗の屋号を示す看板などの表示が掲げられていない点に留意されたい。なお、この図は、心斎橋オーパのウェブサイト(https://www.opa-club.com/shinsaibashi/floorguide/81)に掲載の図である。
また、乙第2号証の5として、いくつかのカプセルトイ販売機の上に掲示されている掲示物の写真を提出する。「無人運営のため、商品の補充などはご対応できかねます。何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。」という記載とともに、使用商標を掲示した掲示物が、複数のカプセルトイ販売機に載せ置かれていることがわかる。
さらに、乙第2号証の6として、カプセルトイ販売機コーナー内に掲示されている掲示物の写真を提出する。「現金詰まり・故障の際は下記までご連絡お願いいたします。/[お問い合わせ先]オーパカウンター」という記載と、電話番号が記載された掲示物が、複数のカプセルトイ販売機に載せ置かれていることがわかる。
(ア)要証期間内の使用か
上記の乙第2号証の1ないし3、5及び6は、審判請求がなされた後に撮影されたものである。しかしながら、これらカプセルトイ販売機は2023年11月から「心斎橋オーパ」の7階に設置されている。
そのことが分かる証拠として、乙第3号証の1及び2を提出する。これらの証拠は、イオンモール社が、カプセルトイ販売機の設置者「イオンディライト株式会社」(以下「イオンディライト社」という。)と締結した「設置契約書」の写しである。乙第3号証の1では「2023年11月1日から2024年2月29日」まで、乙第3号証の2では「2024年3月1日から2026年1月12日」まで、各々、心斎橋オーパの本館7階に、「カプセル機」、すなわちカプセルトイ販売機を設置することを承諾している。
さらに、乙第3号証の3として、乙第3号証の1及び2の「第4条」に規定されている売上の支払いがあったことが分かる資料を提出する。乙第3号証の1及び2では、カプセルトイ販売機が実際に設置され、来店者の使用に供したものかが明らかではないが、乙第3号証の3によれば、遅くとも2023年11月20日には、売上が発生していることから、その頃から来店者の使用に供していたことは明らかである。
乙第3号証の3について、より具体的に説明する。乙第3号証の3は、イオンディライト社が作成した「自販機手数料報告書」である。1ページ目「設置店:60258324 イオンモール社心斎橋オーパ(空床)様」「00100990 7Fエスカ前_200」「00100991 7Fエスカ前」とあることから、これが「心斎橋オーパ」の7階のエスカレーター前に設置されているカプセルトイ販売機に係る報告書であることは容易に理解できる。
したがって、乙第3号証の3は、乙第3号証の1及び2の契約書により設置されたカプセルトイ販売機に係る報告書であることは容易に理解できる。そして、1ページ目に「2023年11月度作成20231024~20231120」とあることから、この報告書が2023年10月24日から2023年11月20日の間の売上にかかるものであることも容易に理解できる。
したがって、乙第3号証の3によれば、乙第2号証の1ないし3のカプセルトイ販売機は、遅くとも2023年11月20日までには、乙第3号証の1、2の契約に基づき設置され、来店者に使用されていたことは明らかである。
なお、厳密には、乙第2号証の5及び6の掲示物がカプセルトイ販売機の上にいつから置かれているのかは明確になっていない。しかしながら、このような掲示物がなければ来店者が困ることは明らかであるため、カプセルトイ販売機の設置当初から、乙第2号証の5及び6の掲示物があったと考えて何ら不自然ではない。また、次の理由からも、カプセルトイ販売機の設置当初から、乙第2号証の5及び6の掲示物があったと強く推認できると思料する。すなわち、「心斎橋オーパ」には、乙4号証の1のとおり、他の階にも娯楽施設がある。そして、この施設には、乙4号証の2のとおり、同様に、機械故障の際は本件商標権者にまで連絡するよう促す掲示物がある。このことから、娯楽施設にこのような掲示物を設置するというノウハウが以前からイオンモール社にあると考えて何ら不自然ではない。したがって、カプセルトイ販売機の設置当初から、乙第2号証の5及び6の掲示物があったと考えて何ら不自然ではない。なお、乙4号証の1に示す娯楽施設の場所と、この娯楽施設の営業開始時期を示す証拠として、乙第4号証の3及び4を提出する。
(イ)日本国内での使用か
乙第3号証の1及び2から明らかなように、カプセルトイ販売機の設置場所は日本である。
(ウ)役務の提供がイオンモール社によりなされているか
イオンモール社の運営にかかる商業施設「心斎橋オーパ」において、その7階にカプセルトイ販売機を複数台設置し、乙第2号証の3(審決注:「乙第2号証の5」の誤記と認められる。以下(オ)まで同じ。)のように、「無人運営のため、商品の補充などはご対応できかねます。何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。」という記載とともに、使用商標を掲示した掲示物を、複数のカプセルトイ販売機に載せ置いている。同様に、乙第2号証の4のように、「現金詰まり・故障の際は下記までご連絡お願いいたします。/[お問い合わせ先]オーパカウンター」という記載と、電話番号が記載された掲示物を、複数のカプセルトイ販売機に載せ置いている。
このように、イオンモール社は、乙第2号証の3及び4の掲示物を載せ置くことにより、また、実際に[お問い合わせ先]に連絡が来たときに対応することにより、先来店者が気持ちよくカプセルトイ販売機で楽しめるよう、娯楽施設の提供の質を維持している。そのため、イオンモール社は、カプセルトイ販売機コーナーの提供(「娯楽施設の提供」)を行っているといえる。
また、このカプセルトイ販売機コーナーは、店舗の屋号を示す看板などの表示が掲げられていない。そのため、カプセルトイ販売機コーナーに接した来店者は、このカプセルトイ販売機コーナーが、来店者がいる「心斎橋オーパ」の提供にかかるものと認識し、乙第2号証の3に掲示されている本件商標を、カプセルトイ販売機の提供者の出所表示と認識する。この点でも、イオンモール社は、「娯楽施設の提供」を行っているといえる。(最近増えている商業施設の通路に設置されたカプセルトイ販売機コーナーも、その商業施設の提供に係ると認識されると思料する。)
ここで、「娯楽施設の提供者は「イオンディライト社」であって、イオンモール社ではない」という見解は正しくない旨、念の為述べる。確かに、乙第3号証の1及び2の第2条「設置者の義務」は、カプセルトイ販売機に係る品質管理、サービス内容の維持等の責任は、「イオンディライト社」にあると規定する。この点、「イオンディライト社」が、娯楽施設の提供を行っているとの見方も考えうる。しかしながら、イオンモール社も、乙第2号証の5及び6の掲示物を載せ置くことにより、来店者が気持ちよくカプセルトイ販売機で楽しめるよう、娯楽施設の提供の質を維持している。さらに、上述のように、このカプセルトイ販売機コーナーは、店舗の屋号を示す看板などの表示が掲げられていない。このような状況にあっては、「イオンディライト社」が娯楽施設の提供を行うものかどうかは別として、少なくともイオンモール社は娯楽施設の提供を行っていると考えることが合理的であると確信する。また、もし、「イオンディライト社」も娯楽施設の提供を行っているとみるとすれば、イオンモール社は「イオンディライト社」と協働して娯楽施設の提供を行っていると考えることは、合理的である。
したがって、カプセルトイ販売機コーナーの提供(「娯楽施設の提供」)はイオンモール社によりなされている。
(エ)カプセルトイ販売機コーナーは、本件指定役務「娯楽施設の提供」か
カプセルトイ販売機は、購入するまでどのような商品が手に入るか分からないという娯楽性がある。この点、消費者が希望するとおりの商品を購入することができる自動販売機とは異なる。したがって、カプセルトイ販売機の設置により、娯楽を楽しむ場所を提供することとなる。
そのため、カプセルトイ販売機コーナーの提供(カプセルトイ販売機の設置やその管理・運営)は本件指定役務「娯楽施設の提供」に該当する。
(オ)本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているか
乙第2号証の3から明らかなとおり、使用商標は、本件商標と同一である。
(カ)カプセルトイ販売機の上に載せ置かれた掲示物に本件商標を使用することは、指定役務「娯楽施設の提供」について本件商標を使用していることに該当するか
カプセルトイ販売機の上に掲示した掲示物(乙2の3)は、カプセルトイ販売機コーナーの提供のために、来客者に読ませるために使用するものであるから、「役務の提供の用に供するもの」に該当する。また、カプセルトイ販売機コーナーという娯楽施設の提供のために、それをカプセルトイ販売機の上に載せ置くことは、「役務の提供のために展示する」に該当する。したがって、乙第2号証の3の掲示物は、「役務の提供の用に供するものに標章を付したもの を役務の提供のために展示する行為」(商標法第2条第3項第5号)に該当する。
したがって、指定役務「娯楽施設の提供」について本件商標を使用していることに該当する。
イ 「心斎橋オーパ」7階での使用を示す証拠のまとめ
上記のとおり、被請求人からの黙示の使用許諾を得た通常使用権者たるイオンモール社は、要証期間内に、日本国内において、本件指定役務について、本件商標を、商標法第2条第3項第5号に該当する使用をしている。
ウ 被請求人が、審判請求される前から、本件商標を使用した複数の建物内において、娯楽施設の提供を行ってきた証拠
被請求人は、要証期間中(少なくとも本件審判が請求されるより前から)、乙第1号証の1の6及び7ページ目に記載のように、「高崎オーパ」、「三宮オーパ」の各店舗において、建物の外壁に本件商標と社会通念上同一の商標を表示している。また、被請求人は、店舗ごとに個別のウェブサイトを設け、当該ウェブサイトに本件商標と同一の商標を表示している。これら個別のウェブサイトにおいて、娯楽施設があることがわかるページの写しを乙第5号証の1として提出する。このように、複数店舗に、娯楽施設が存在する。
心斎橋オーパのカプセルトイ販売機コーナーと異なり、これら娯楽施設には各々屋号が表示されている。しかし、被請求人が管理運営する商業施設の中で娯楽施設の提供がなされているため、被請求人が娯楽施設の提供をしているとも考えることができる。
なお、被請求人が、いつから本件商標と社会通念上同一の商標を各店舗の建物の外壁に表示しているかを明示する証拠は、準備期間に限りがあるため提出する事ができない。ただし、このように、外壁に本件商標と社会通念上同一の商標を表示することは相当の期間、手間、費用が発生することから、本件審判請求がされた4月にはすでに、本件商標と社会通念上同一の商標を各店舗の建物の外壁に表示していたことは、当然推認できる。
また、各店舗が日本国内にあることは、乙第1号証の1の6及び7ページ目に記載のとおりである。さらに、この外壁に本件商標を表示したのは、商標権者たる被請求人が行った商標使用であることも、同証拠より明らかである。なお、このような使用は、広告(看板)に商標を付して展示する行為であるから、商標法第2条第3項第8号に該当する使用である。
上記のことから、被請求人は、要証期間内に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定役務について、本件商標を、商標法第2条第3項第8号に該当する使用をしている。
(3)まとめ
上記のことより、イオンモール社は、本件商標の通常使用権者である。
また、イオンモール社は、要証期間内に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定役務について、本件商標を、商標法第2条3項5号に該当する使用をしている。
また、被請求人は、本件商標を、要証期間内に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定役務について、本件商標を、商標法第2条第3項第8号に該当する使用をしている。
したがって、審判請求人の審判請求は理由がないことは明らかであり、答弁の趣旨のとおりの審決を求める次第である。
第4 当審における審尋
当審は、令和6年12月24日付け審尋において、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者がその請求に係る指定役務に本件商標を使用していると主張し、その証拠として乙第1号証ないし乙第5号証を提出しているが、提出された証拠によっては、被請求人が商標法第50条第2項に規定する証明をしたものということはできない旨の暫定的見解を示したうえで、意見があれば具体的な証拠とともに提出するよう、相当の期間を指定して、回答を求めた。
しかしながら、被請求人は、上記審尋に対して応答していない。
第5 当審の判断
1 被請求人の主張及び証拠資料によれば、以下のとおりである。
(1)被請求人である本件商標権者の会社案内(乙1の1)によれば、本件商標権者は都市型のSC開発運営を中心に事業展開をしている。そして、「会社概要」の「株主構成」欄には、「イオンモール株式会社 100%」の記載がある。
乙第1号証の3は、イオンモール社が運営する商業施設「心斎橋オーパ」のウェブサイトの写しであり、左上部に別掲3のとおりの商標(以下「本件使用商標」という。)が表示されている。
(2)「心斎橋オーパ」において、カプセルトイ販売機が設置されており(乙2の1~6)、カプセルトイ販売機の上に「無人運営のため、商品の補充などはご対応できかねます。何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。」と記載された掲示物に、「心斎橋オーパ」の文字とともに本件使用商標が付されている(乙2の5)。
乙第3号証の1及び2は、イオンモール社とイオンディライト社が締結した「設置契約書」の写しであるところ、当該契約書は、イオンディライト社が、「心斎橋オーパ」の7階において、カプセルトイ販売機を設置し、販売及び売上代金等の管理を行うことを内容とするものであり、契約期間が2023年11月1日から2024年2月29日まで(乙3の1)と2024年3月1日から2026年1月12日までとなっている(乙3の2)。
(3)「心斎橋オーパ」には、他の階にも娯楽施設があり、その娯楽施設には、両替機が設置され、両替機に「現金詰まり・故障の際には下記までご連絡お願い致します。」、「お問い合わせ先:オーパカウンター」及び本件使用商標が付されている(乙4の1及び2)。
また、乙第4号証の4は、イオンモール社と株式会社タイトー(以下「タイトー社」という。)が締結した「出店契約書(定期建物賃貸借契約書)」であるところ、当該契約書は、タイトー社が通常使用権者から「心斎橋オーパ」の5階(501区画)を貸借することを内容とするものであり、契約期間が2024年1月1日から2025年2月28日までとなっている。
(4)本件商標権者は、少なくとも2024年5月までに、商業施設「高崎オーパ」及び「三宮オーパ」の外壁に本件使用商標を表示している(乙1の1)。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)本件使用商標について
本件商標は、別掲1のとおりの構成からなり、本件使用商標は、別掲3のとおりの構成からなるところ、両者はいずれも「OPa」の欧文字を、いずれも同じ書体、同じ大きさで、各文字の中心部分にわずかな隙間を空けてデザイン化したものであるから、両者は社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用者について
上記1(1)によれば、イオンモール社が本件商標権者の株式を100%保有し、商業施設「心斎橋オーパ」を運営していること、及び本件商標権者が、イオンモール社によって本件使用商標が使用されていることについて異議を述べていないことも勘案すれば、イオンモール社は、本件商標の使用について黙示の許諾を与えられた者であると解される。
よって、イオンモール社は、本件商標の通常使用権者であり、本件使用商標の使用者は、イオンモール社(以下「通常使用権者」という場合がある。)と認められる。
(3)使用時期及び使用役務について
ア 上記1(2)によれば、要証期間を含む2023年11月1日ないし2026年1月12日を契約期間として、通常使用権者が、イオンディライト社との間で、商業施設「心斎橋オーパ」7階におけるカプセルトイ販売機に関する契約を締結したことはうかがえるものの、当該契約は、カプセルトイ販売機等の設置・運営に関する契約であることから、イオンディライト社が遊戯場や遊園地等の娯楽施設を一時的に利用させる本件審判の請求に係る指定役務「娯楽施設の提供」を行っているとはいえないし、まして、通常使用権者が本件審判の請求に係る指定役務を行っているともいえない。
なお、被請求人の主張する乙第2号証及び乙第3号証のカプセルトイ販売機の証拠資料については、「カプセルトイ」は第28類の「おもちゃ」の範疇に属する商品であり、また、そのカプセルトイの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の役務にしても、第35類に属する役務といえるものであって、当該証拠資料によっては、本件使用商標が第41類の「娯楽施設の提供」に係る役務について使用されているとは認められないから、この点においても、通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定役務である「娯楽施設の提供」を行っているとはいえない。
イ 上記1(3)によれば、要証期間を含む2024年1月1日から2025年2月28日を契約期間として、通常使用権者が、タイトー社との間で、商業施設「心斎橋オーパ」5階の一区画についての賃貸借契約を締結し、タイトー社は、商業施設「心斎橋オーパ」5階の当該区画にゲーム機を設置し、「娯楽施設の提供」を行っていることがうかがえる。
そうすると、「心斎橋オーパ」の5階において本件審判の請求に係る指定役務「娯楽施設の提供」を行っているのはタイトー社であって、通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定役務を行っているとはいえない。
ウ 上記1(1)ないし(4)によれば、要証期間に、本件商標の通常使用権者であるイオンモール社が、通常使用権者が運営する商業施設「心斎橋オーパ」のウェブサイトの左上部に別掲3の本件使用商標を使用していることがうかがえるものの、本件審判の請求に係る指定役務である「娯楽施設の提供」についてこれを使用しているものとはいえない。また、本件商標権者は、商業施設「高崎オーパ」及び「三宮オーパ」の外壁に本件使用商標を看板として使用しているものの、同様に、本件審判の請求に係る指定役務についてこれを使用しているとはいえない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人の提出した全証拠によっては、被請求人は、要証期間に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標又は社会通念上同一と認められる商標を本件審判請求に係る指定役務のいずれかについて、商標法第2条第3項各号に規定する使用行為を行ったことも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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