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商標取消審判

2024-300174

チニチ

審判番号
2024-300174
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2014-023191
登録番号
5696969
請求日
2024年03月14日
審決日
2025年01月14日
公報発行日
2025年04月25日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【請求人】知日 株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
  • 【被請求人】行知学園 株式会社
  • 【被請求人代理人】弁理士法人みなとみらい特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 大島 康浩
  • 審判官 大島 勉
  • 審判官 真鍋 伸行
分類
T131 .1 -Z (W41)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第50条、商標法第2条第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の商標登録第5696969号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 商標登録第5696969号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5696969号商標(以下「本件商標」という。)は、「知日」の文字を横書きしてなり、平成26年3月12日に登録出願、第41類「学習塾における教授」を指定役務として、同年8月29日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 1 請求の趣旨 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 2 請求の理由 本件商標はその指定役務について、本件商標の商標権者によって継続して3年以上(2021年4月3日から2024年4月2日まで。以下「要証期間」という。)日本国内において使用されておらず、現在も使用されている事実は見出せない。加えて、商標登録原簿上において、通常使用権及び専用使用権の設定登録がなされておらず、使用権者が使用していることも考えられない(甲2)。 したがって、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の登録を取り消すとの審決を求める。 3 被請求人の主張に対する弁駁 (1)弁駁の理由 令和6年6月6日付けの本件審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)において、被請求人が立証するところは、被請求人が本審判請求の登録前3年以内に、本件商標を本件指定役務「学習塾における教授」に使用しており、本件商標の使用資料として乙第1号証ないし乙第7号証を提出している。 しかしながら、被請求人の証拠を確認したところ、被請求人による使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認めることはできない。また、被請求人による使用商標についても、日本国内において使用されていることは確認できない。さらには、被請求人による使用商標が、商標法上の役務「学習塾における教授」について使用されていることも確認できない。つまり、当該証拠は、商標法第50条第2項における被請求人の使用を立証できるものではなく、本件審判請求登録日前3年以内の使用を示すものではない。よって、被請求人は、本件指定役務についての本件商標の使用を立証していないから、商標法第50条第2項により、本件商標の登録の取消しを免れないものである。 (2)社会通念上同一の商標の使用について 本件商標は、上記第1のとおりであり、被請求人による使用商標は、「知日智慧」の文字と「Japan Insight」の文字を二段書きで表してなる商標(以下「本件使用商標1」という。)及び白抜きで「知日智慧」の文字と「Japan Insight」の文字を二段書きで表してなる商標(以下「本件使用商標2」という。)からなるものである。本件使用商標1は、乙第1号証、乙第3号証に表記され、本件使用商標2は、乙第2号証、乙第3号証に表記されている(以下、「本件使用商標1」と「本件使用商標2」をまとめていうときは、「本件使用商標」という。)。 本件商標は「知日」の漢字2字からなり、「知日」は、「外国人が日本の事情に通じていること」という意味を有する(広辞苑第七版)。一方、本件使用商標1と本件使用商標2は、文字の色彩の違いのみであり、両商標とも上段に「知日智慧」、下段に「Japan Insight」を配し、二段に横書きにして構成される。上段において、「知日」は前述した意味があり、「智慧」は「物事の理を悟り、適切に処理する能力」といった意味を有する(広辞苑第七版)。そうすると、両語を組み合わせた「知日智慧」は、同書同大同間隔で構成され、指定役務との関係で「知日」と「智慧」の識別力の軽重の差はないため、いずれかの文字のみが着目され、当該文字部分のみをもって、取引に当たるという事情も見いだせない。したがって、本件使用商標の上段に接する取引需要者は、一連一体のものとして認識すると判断するのが相当である。そして、当該文字は、辞書等に載録のない語であって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものである。また、下段において、「Japan」、「Insight」の両語は、それぞれ「日本」、「洞察」といった意味を有することから、各語の語義を結合した漠然とした意味合いを連想させるとも考えられるが、明確な意味合いが認識されるという事情は見当たらないため、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されると判断するのが相当である。そうすると、上下二段から構成される本件使用商標は同じ色彩で近接されて配されていることから視覚的にまとまりよく一体的に表された印象を与えるものであって、一連一体と看取するのが自然であり、「チニチチエジャパンインサイト」の称呼が生じ、特定の観念を生じるとはいえないものである。なお、仮に、上段と下段が分離観察された場合でも前述したとおり「知日智慧」が一連一体であることは明らかである。そのため、本件商標と本件使用商標を比較すると、文字構成が異なっており、外観、称呼及び観念が異なっているから、本件使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標には該当しないということは明らかである。 (3)日本国内における使用について 乙第1号証ないし乙第3号証は、日本語ではなく、中国語で表記された資料(日本への留学体験プログラムに係る冊子)であり、当該資料について日本国内で頒布等の使用がされたことを証明する資料は一切含まれていない。日本国内において使用されていたというためには、当該資料が現実に日本国内において頒布等されていたことが証明されるとか、あるいは、日本国内における取引の際に使用された取引書類等の本件商標の使用の事実を客観的に認め得る資料を提出する必要がある。しかし、前述したように、被請求人が提出した資料にはそのような資料は含まれておらず、乙第1号証ないし乙第3号証に記載された留学体験プログラムは、すべて中国から出発し、日本への留学体験を行うプログラムであって、日本の需要者を対象としているわけではないと考えるのが自然である。なお、乙第7号証は日本で撮影されたものと推認されるが本件商標の記載は一切ない。そのため、本件商標が本件審判の要証期間内に、日本国内において使用されていたものとは認め難いと判断するのが相当である。 (4)商標法上の役務についての使用について 過去の裁判例及び特許庁編さんの工業所有権法逐条解説〔第22版〕において、商標法上の役務は「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たり得るべきもの」であることが必要と示されている。つまり、被請求人が本件商標を指定役務「学習塾における教授」に使用しているというためには、当該役務が付随的でなく独立して市場において取引の対象となっていたものでなければならないということである。しかし、乙第1号証ないし乙第3号証における「Day3」「Day4」(3日目、4日目)の欄には「日本語レッスン体験」「美術授業体験」という表記があり、「学習塾における教授」に関連するとも考えられるが、これは「行知学園 生活協同組合」が提供する日本への留学体験プログラムサービスの一環として行う付随的なものに過ぎず「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たり得るべきもの」とされる商標法上の役務についての使用行為には該当しないと判断するのが相当である。 (5)以上のように、被請求人が提出している答弁書及び乙第1号証及び乙第7号証は本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、本件指定商品・役務の一について使用されていることは立証されず、当該審判請求による取消を免れない。よって、本件商標について商標法第50条の規定に該当するから、請求人は、請求の趣旨のとおりの審決を求める。 第3 被請求人の主張 1 答弁の趣旨 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。 2 本件審判請求が棄却されるべき理由 被請求人は、本件商標を乙第1号証ないし乙第3号証に付して、日本の大学への留学を考えている中国人、在日中国人又は中国系日本人に対して、「日本遊学プロジェクト」(日本留学体験プログラム)を実施した。乙第1号証には「2024」の記載があり、乙第3号証には「2023年7月10日」の記載があるように、該冊子における本件商標の使用ないし該冊子に係る留学体験プログラムは、審判の請求の登録前三年以内に実施された。また、乙第1号証ないし乙第3号証における「Day3」「Day4」(3日目、4日目を表す)の欄に「日本語レッスン体験」「美術授業体験」とあり、これらの授業は被請求人の運営する行知学園東京校及び行知学園大阪校の校舎で行われた。これらの授業は本件商標の指定商品・役務に係る「学習塾における教授」に該当することは疑いがない。乙第7号証は実施された乙第1号証ないし乙第3号証に係る日本留学体験プログラムの実施過程における、参加者を撮影した一連の写真であるが、乙第7号証には行知学園校舎内の教室における授業の一コマも含まれている様子が分かる。なお、乙第1号証ないし乙第3号証は中国語表記の資料であるが、これは該留学体験プログラムが中国語を母語とする中国人、在日中国人又は中国系日本人を主な対象顧客層としたものであり、そもそも被請求人は、中国人、在日中国人又は中国系日本人ら中国語母語話者の日本における留学・就学ないし就労を援助する事業を営む事業者であることから、当然のことである。たとえこれら資料が中国語で表記されていたとしても、これら資料に係る日本留学体験プログラムは、上述のように日本において実施され、該プログラムの想定顧客層は中国語母語話者であって、また、日本における中国人ないし中国語母語話者の人数は70万人以上にものぼるものであるから、本件商標が使用された事実の認定を損なうものではない。なお、乙第1号証ないし乙第3号証の記載内容については乙第4号証ないし乙第6号証を、乙第1号証ないし乙第3号証に付された「行知学園生活協同組合」が被請求人の運営に係るものであることは、下記のURLを参照されたい。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000059003.html https://coach-ac.co.jp/news/20220527/3504 第4 当審の判断 1 被請求人の主張及び提出証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1)行知学園生活協同組合(以下「本件使用者」という。)が、「日本留学体験プログラム概要(関西)」の冊子(以下「冊子1」という。)を作成した(乙2、乙5)。 また、本件使用者は、行知学園の建物の写真を掲載し、行知日本語学校に向かい日本語の授業に参加する行程を記した「2024(東京+関西) 広州夏期遊学団 日本遊学プロジェクト」を表した記載がある冊子(以下「冊子2」という(乙1、乙4)。)及び使用する書体の文字や構成のレイアウトの比較から、2023年7月10日出発予定とした「日本留学体験プログラム概要(東京)」の冊子(以下「冊子3」という(乙3、乙6)。なお、「冊子1」ないし「冊子3」をまとめていうときは「冊子」という。)を作成したと推認できる。 被請求人は、本件使用者が被請求人の運営に係るものであるとして2つのURLを示している。そして、当該URLのウェブサイトには、以下の記載がある。 ア 「PRTIMES」のウェブサイトにおいて、「行知学園生活協同センター」の見出しの下、「・・・行知学園株式会社(本社:東京都新宿区 代表取締役:楊舸)は、株式会社FullHouseと共同運営する生活協同センターが提供している・・・」の記載がある。 (https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000059003.html) イ 「行知学園」のウェブサイトにおいて、「コロナ禍でも来日留学生を安心安全に出迎える24時間出迎えサポート」の見出しの下、「行知学園株式会社(本社:東京都新宿区 代表取締役:楊舸)と株式会社FullHouseが共同運営する「行知学園 生活協同センター」の提供するサービス・・・」の記載がある。 (https://coach-ac.co.jp/news/20220527/3504) (2)冊子1の1ページ目左上及び9ページ目左下に、本件使用商標2が表示され、その構成中、白抜きの「知日智慧」の文字(以下「使用商標1」という。)が表示されている(乙2)。 また、冊子3の表紙右下に、使用商標1が表示されている(乙3)。 さらに、冊子2の表紙中央及び冊子3の最終ページ右上に、本件使用商標1が表示され、その構成中「知日智慧」の文字(以下「使用商標2」という。「使用商標1」と「使用商標2」をまとめていうときは「使用商標」という。)が表示されている(乙1、乙3)。 (3)冊子1の3ページ目にある「DAY1」の後に「中国から日本へ」及び「・大阪関西国際空港へ飛び、・・・」を表す記載がある(乙2、乙5)。 また、冊子2の表紙にある「DAY1」には「中国→日本(広州・東京)」、「成田に向けて出発し・・・」を表す記載があり、「DAY8」には「日本→中国(大阪・広州)」を表す記載がある(乙1、乙4)。 さらにまた、冊子3の表紙に「日本時間12:00-15:00、東京成田空港に到着予定」、同冊子の2ページにある「DAY1」の後に「中国から日本へ」及び同6ページにある「DAY10」の後に「日本から中国へ」を表す記載がある(乙3、乙6)。 そして、冊子3の9ページに「この留学プログラムの最終的な解釈権は行知生協にあります。」の記載がある(乙3、乙6)。 2 上記の認定事実によれば、以下のとおり判断できる。 (1)本件使用者について 被請求人が、本件使用者が被請求人の運営に係るものであるとして示した2つのURLのウェブサイトには、行知学園株式会社と株式会社FullHouseの共同運営する「行知学園生活協同センター」についての記載であるところ、当該名称は本件使用者と異なるから、本件使用者が被請求人の運営に係るものであるとは認められないため、被請求人が冊子の作成及びその内容の運営を行っていたということはできない。 (2)本件商標と使用商標との社会通念上同一性について 本件商標は、上記第1のとおり、「知日」の文字を書してなるところ、当該文字から「チニチ」の称呼が生じ、「外国人が日本の事情に通じていること」の観念が生ずる。 他方、上記1(2)のとおり、使用商標1及び使用商標2の差異は、文字の色彩の違いのみであることから同様に判断できる。そうすると、使用商標を構成する「智慧」の文字は、「物事の理を悟り、適切に処理する能力」といった意味を有する。そして、両語を組み合わせた「知日智慧」の文字は、まとまりよく一連一体に書してなり、当該文字から「チニチチエ」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。 以上からすると、使用商標は、本件商標と「智慧」の有無という顕著な差異があり、称呼も異なることから、社会通念上同一と認められる商標ということはできない。 (3)使用場所 冊子は中国語で記載され(乙1~乙3)、上記1(3)のとおり、中国所在の人を対象としたと考えるのが自然な「中国から日本へ」の記載及び「日本時間12:00-15:00、東京成田空港に到着予定」等の記載があること、また、その他、当該冊子が日本国内で頒布されているなど我が国で使用されている証拠の提出はないから、本件商標が、日本国内において使用されていたとすることはできない。 (4)使用行為 上記(1)のとおり、被請求人が冊子の作成及びその内容の運営を行っているということはできない。 したがって、被請求人は、商標法第2条第3項各号に規定する使用行為を行ったことを証明していない。 (5)使用時期 冊子には要証期間の2023年7月10日を表す記載があることから、本件使用者により「日本留学体験プログラム」を内容とする運営が行われていたと認められる。 3 被請求人の主張について 被請求人は、乙第1号証ないし乙第3号証は中国語表記の資料であるが、これは該留学体験プログラムが中国語を母語とする中国人、在日中国人又は中国系日本人を主な対象顧客層としたものであり、そもそも被請求人は、中国人、在日中国人又は中国系日本人ら中国語母語話者の日本における留学・就学ないし就労を援助する事業を営む事業者であることから、当然のことである旨主張する。 しかしながら、乙第1号証ないし乙第3号証には、それらの記載内容の日本語訳した乙第4号証ないし乙第6号証によれば、上記2(3)のとおり、中国所在の人を対象としたと考えるのが自然な「中国から日本へ」及び「日本時間12:00-15:00、東京成田空港に到着予定」等を表す中国語の記載があることから、中国在住の者を対象として頒布等をしているというのが自然であり、その他、当該冊子が我が国で頒布等されていることを証明する証拠も提出されていない。 また、被請求人は、乙第7号証には行知学園校舎内の教室における授業の一コマも含まれている旨主張する。 しかしながら、室内でホワイトボードを使用し何らかの話をしている様子はうかがえるが、そこには本件商標の表示はなく、また、具体的に日本において授業が行われたものであるか明らかでないから、本件商標が、その指定役務について使用されたと認めることはできない。 したがって、被請求人の上記主張は、採用することはできない。 4 小括 以上のことからすれば、要証期間に、冊子記載の内容(「日本留学体験プログラム」)の運営が本件使用者により行われていたとしても、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標とは認められないため、日本国内において、本件商標がその指定役務について使用されていたものとは認められず、また、本件使用者が被請求人の運営に係るものであるとも認められないことから、被請求人が、要証期間に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を使用していることを証明したと認めることはできない。 そして、その他、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に日本国内において、本件商標をその指定役務について使用をしていることを認めるに足りる証拠の提出はない。 5 むすび 以上のとおり、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標の指定役務について、本件商標を使用していることを証明したものと認めることはできない。 また、被請求人は、本件商標の指定役務について、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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