商標取消審判
2024-300132
マース、マルス
- 審判番号
- 2024-300132
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1992-107918
- 登録番号
- 4135584
- 請求日
- 2024年02月27日
- 審決日
- 2025年06月03日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】スヒャン・ネットワークス・カンパニー・リミテッド
- 【請求人代理人】安部 光河
- 【請求人代理人】小暮 理恵子
- 【請求人代理人】行田 朋弘
- 【被請求人】マスタ-フ-ズ 株式会社
- 【被請求人代理人】田中 克郎
- 【被請求人代理人】稲葉 良幸
- 【被請求人代理人】太田 雅苗子
- 【被請求人代理人】廣中 健
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 馬場 秀敏
- 分類
- T132 .1 -Z (025)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第8号、商標法第38条第5項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条、商標法第2条第3項、商標法第2条第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4135584号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第4135584号商標の指定商品中、第25類「被服,ガ-タ-,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物(「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)・げた・草履類」に限る。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4135584号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成4年4月27日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成10年4月17日に設定登録されたものである。
そして、本件審判請求の登録は、令和6年3月18日になされたものであるから、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同3年3月18日から同6年3月17日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和6年5月27日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年8月27日付けの上申書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
以下、証拠の記載に当たっては、「甲(乙)第1号証」を、「甲(乙)1」のように記載する場合がある。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物(「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)・げた・草履類」に限る。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において、本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をした事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人が「被服」等に係る事業を展開していないこと
被請求人の事業に「被服」に係るものは含まれていない。被請求人は、マースジャパンリミテッド(以下「マースジャパン」という。)の本国企業である米国企業マースインコーポレイテッドについても、「全世界において「ペディグリー」を代表とするペットケア製品や、「スニッカーズ」を代表とするチョコレート製品の製造販売を行う米国の食品会社」である旨説明しているが、「被服」に係る事業を展開している旨は何ら述べていない。
マースインコーポレイテッド社は、「ペットケア、スナック(菓子)、フード&ニュートリションの3事業」をその事業として展開しているのであり、同社及びマースジャパンが「被服」に係る事業を展開していないことは乙第1号証の記載内容から自明である。
(2)使用は「ペットフード」等についての使用であり「被服」等についての使用ではないこと
被請求人が主張する使用は「ジャンパー、ポロシャツ等の被服」(第25類)ではなく「ペットフード」(第31類)についての使用であるため、当該主張は失当である。
その理由として、ジャンパーについて、発注書(乙2)の「摘要」欄には「TPO48 NO.48ペット営業部ジャンパー作成費用」と記載され、また、納品書(Delivery Note)(乙3)の「Description」欄には「MARS Staff jacket」と記載されている。
これらの事実から、当該ジャンパーは、マースジャパンが販売(商標法第2条第3項第2号)するためのものではなく、単に自社の「ペット営業部」の従業員(Staff)に自社の業務の目的で着用させるために製造させたものであることは明らかである。
ポロシャツについても、発注書(乙4)の「摘要」欄に「APG06ペット営業部ポロシャツ作成費用」と記載されているから、上記のジャンパーと同様に、当該ポロシャツも、マースジャパンが販売するためのものではなく、自社の「ペット営業部」の従業員に自社の業務の目的で着用させるために製造させたものであることは明らかである。
乙第5号証に関し、写真(乙5の2)の中央部に立っている男性がペットイベント「インターペット2024」(乙5の1)の会場内においてジャケット(Mars Staff jacket)(乙2、乙3)を着用しているとのことであるが、これら4つの資料の内容を総合的に考慮すると、この男性は、マースジャパンの従業員であり、当該イベントの会場内において自身がマースジャパンの従業員であることあるいはマースジャパンの出展ブースの位置を来場者に知らせることを目的に当該ジャケットを着用しているものと捉えるのが自然である。
甲第3号証は、ペットイベント「インターペット2024」(乙5の1)の公式ウェブサイトをスクリーンショットした画像であるところ、同号証にはマースジャパンが当該イベントに出展した事実が示されているが、同号証の1番目の画像に「ドッグフード・キャットフード」、2番目の画像に「フード・おやつ」、3番目の画像に「出展製品カテゴリー」、「犬用フード・おやつ」、「猫用フード・おやつ」と記載されているだけで、被服又はこれに含まれる商品に関する情報は全く記載されていない。
これらの記載の内容を考慮すると、マースジャパンはペットフードその他の食品を出展したのであり、「ジャンパー、ポロシャツ等の被服」を出展したのではないことは明白であり、マースジャパンは、実質的に、当該イベントにおいて、被請求人が使用商標と主張する商標を付したジャケットを、商品「ペットフード」等に関する広告として展示する行為(商標法第2条第3項第8号)を行ったものと評価することができる。
したがって、被請求人が答弁書において主張する使用の行為は形式的な使用の行為又は「単に不使用取消しを免れるためだけの名目的な使用の行為」であり、「ジャンパ一、ポロシャツ等の被服」についての使用(商標法第2条第3項第8号)に該当しない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)被請求人と使用権者との関係
被請求人は、被請求人の関連会社であり、我が国においてペットフード事業、スナック食品事業等を行うマースジャパンが、その事業及びその取扱いに係る商品との関係で使用する商標の権利者として、かかる商標の包括的管理・運営を行う法人である。
マースジャパンは、全世界において「ペディグリー」を代表とするペットケア製品や、「スニッカーズ」を代表とするチョコレート製品の製造販売を行う米国の食品会社、マースインコーポレイテッドの日本法人であり(乙1)、我が国において、被請求人から商標権の使用許諾を受けて、上記の各事業を行っている。
(2)マースジャパンによる本件商標の使用実績
被請求人から本件商標の使用許諾を受けた、本件商標の使用権者であるマースジャパンは、要証期間内に、我が国において、本件商標と社会通念上同一の商標を、ジャンパー、ポロシャツ等の被服について使用している(乙2~乙6)。
ア 乙第2号証は、マースジャパンがASIAN SOURCING LINK JAPAN株式会社(以下「Asian Sourcing Link Japan社」という。)に対し、ジャケット(ジャンパー)の製造を委託した際の発注書であり、該発注書には、左上部に製造委託先であるAsian Sourcing Link Japan社の名称の記載、「摘要」の欄に「ジャンパー作成費用」、「(MARSスタッフジャンパー)」との記載、「数量」の欄に「300」との記載がある。
また、該発注書の右上の日付欄には、「2023/07/31」の記載があり、中央右側には「納入日」の欄に、「2023/09/29」の記載があることから、マースジャパンが2023年7月31日にAsian Sourcing Link Japan社に対しジャンパーの製造を発注し、当該ジャンパーの納入予定日が「2023年9月29日」であることが分かり、該発注書の左上部には、青色の太字で「MARS」の文字が表されている。
イ 乙第3号証は、発注書(乙2)によりマースジャパンよりジャケットの製造委託を受けたAsian Sourcing Link Japan社から、2023年9月22日に、マースジャパンの指定した配送先である株式会社ワイズ・パートナーズ(以下「ワイズ・パートナーズ社」という。)のロジポート越谷宛に「MARS Staff jacket」(マーススタッフジャケット)4カートン、合計300着が発送された際の「ASIAN SOURCING LINK JAPAN K.K.」発行の納品書である。該納品書には、左上部の「荷送人」に関する情報記載欄に、ジャケットの製造元である「ASIAN SOURCING LINK JAPAN K.K.」の名称、住所の記載があり、また、「Customer Name」(顧客名)の欄に本件商標の使用権者である「MARS JAPAN LIMITED」との記載がある。さらに、「Description」(納品明細)の欄に、「MARS Staff jacket」(マーススタッフジャケット)と、「No.of Cartons」(カートン数)の欄に「4 CTNS」(4カートン)と、「Total delivered quantity」(総納品数)の欄に「300PCS」(300着)と記載されており、マースジャパンを依頼主として「Marsスタッフジャンパー」を製造した「ASIAN SOURCING LINK JAPAN K.K.」からジャンパー300着が発送されていることが分かる。
また、該納品書の下部には、受領者の署名及び受領日「2023年9月22日」が手書きで記載されている。当該署名欄の日付及び納品書右上部の「Delivery Date」(受渡日)の日付がいずれも2023年9月22日であることから、本納品書は2023年9月22日に作成されたものであることが分かる。なお、該納品書の日付け及び納品された商品の内容及び納品された商品数は、発注書(乙2)の発注の時期、発注内容、発注した品数、及び納入予定日と一致しており、発注書(乙2)によるマースジャパンの発注に基づき、ジャンパー300着が2023年9月22日納品されたことが分かる。
ウ 乙第4号証は、マースジャパンがAsian Sourcing Link Japan社に対し、ポロシャツの製造を委託した際の発注書であり、該発注書には、左上部に製造委託先であるAsian Sourcing Link Japanの名称の記載、「摘要」の欄に「ポロシャツ作成費用」、「MARS original staff polo shirt」、「(MARSスタッフポロシャツ)」等の記載、「数量」の欄に「500」との記載がある。また、該発注書の右上の日付欄には、「2023/10/17」の記載があり、中央右側には「納入日」の欄に、「2023/12/28」の記載があることから、マースジャパンが2023年10月17日にAsian Sourcing Link Japan社に対しジャンパー(審決注:本段落における「ジャンパー」は「ポロシャツ」の誤記と認める。以下同じ。)の製造を発注し、当該ジャンパーの納入予定日が「2023年12月28日」であったことが分かる。また、該発注書の左上部には、青色の太字で「MARS」の文字が表されている。
エ 乙第5号証は、2024年4月4日から4月7日に、東京ビッグサイトにおいて開催された日本最大級のペットイベントである「インターペット2024」(乙5の1)に、マースジャパンが出展した際の写真であり(乙5の2)、写真中央部に立っている男性が着用している黒色のジャンパー(ジャケット)には、背面上部に「MARS」の文字が白色の太字で横書きに付されていることが分かる。当該ジャンパー(ジャケット)は、マースジャパンが発注書(乙2)により「ASIAN SOURCING LINK JAPAN K.K.」に製造を委託し、納品書(乙3)に基づいてマースジャパンの指定した配送先であるワイズ・パートナーズ社のロジポート越谷に配送・納品された「Mars Staff jacket」である。
オ 乙第6号証は、乙第2号証ないし乙第5号証でマースジャパンが発注し、Asian Sourcing Link Japan社が製造したジャンパー(ジャケット)とポロシャツの画像であり、ジャンパー(ジャケット)は、写真(乙5)の男性が着用しているものと同一のものであり、ジャンパー(ジャケット)(乙5)と同様に、「MARS」の文字が背面の上部に白色の太字で横書きに表されていることが分かる。また、ポロシャツの画像は、発注書(乙4)により発注したポロシャツであるところ、「MARS」の文字が白色の太字で左胸部に表わされていることが分かり、「MARS」の文字が「被服」であるジャケット及びポロシャツに付されていることが分かる。
(3)使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標であること
本件商標は、黒色矩形の背景の中に、赤い太字で周囲を金色で縁取りした書体で欧文字の「Mars」と横書きに書し、該文字の下部に赤色と金色の二重線を表してなる商標である。
一方、本件商標の使用権者であるマースジャパンが使用している商標は、発注書(乙2、乙4)の左上部に青色の太字で表された「MARS」の商標(以下「使用商標1」という。別掲2)、納品書(乙3)の「Description」(納品明細)の欄に標準的な文字で表された「MARS」の商標(以下「使用商標2」という。)及び乙第5号証及び乙第6号証で示したスタッフジャンパー(ジャケット)及びポロシャツの背面又は胸部に付された白色の太字で「MARS」の文字を横書きに書してなる商標(以下「使用商標3」という。別掲3。以下「使用商標1」ないし「使用商標3」をまとめて「使用商標」という場合がある。)である。
本件商標と使用商標は、「Mars」の文字の表現方法や図形の有無等において異なるものの、いずれも「MARS」の文字又は書体に変更を加えた「MARS」及び「Mars」の文字からなり、いずれからも「マース」の称呼と「火星、[ローマ神話の]マルス」等の観念が生じるものである。
本件商標の黒色矩形及び赤色と金色の二重線は、いずれもありふれた図形であるため、かかる図形の有無の差異は、商標の識別性に影響を与えるものではなく、本件商標と使用商標との態様の相違は、パリ条約5条C2に規定されているところの商標の識別性に影響を与えない程度の表示態様の変更であり、商標法第38条第5項にいう社会通念上同一と認められる範囲を出ないものである。
したがって、標準的な文字又は白色の太字で「MARS」の文字を横書きに書してなる使用商標と本件商標は、同一の称呼、観念を生ずる商標であるから、外観において若干の相違があるとはいえ、社会通念上同一の商標である。
(4)小括
以上のとおり、被請求人より本件商標の使用許諾を受けたマースジャパンは、「ASIAN SOURCING LINK JAPAN K.K.」に「Mars Staff jacket」(マーススタッフジャケット)及び「Mars original staff polo shirt」(マースオリジナルスタッフポロシャツ)の製造を委託し(乙2、乙4)、2023年9月22日に、「ASIAN SOURCING LINK JAPAN K.K.」よりマースジャパンの指定配送先であるワイズ・パートナーズ社のロジポート越谷において「Mars Staff jacket」が納品されて受領しているところ(乙3)、当該スタッフジャンパー(乙5、乙6)には、本件商標と社会通念上同一の商標(商標法第38条第5項)が付され(同法第2条第3項第1号)、該スタッフジャンパーの発注書及び納品書(乙2、乙3)並びにポロシャツの発注書(乙4)には、本件商標と社会通念上同一の商標が付されており(同項第8号)、これらの行為が、本件商標の使用に該当する。
2 被請求人に対する審尋
当審において、被請求人に対し、令和6年12月24日付け審尋において、被請求人提出の証拠によっては、商標権者又は使用権者が、本件審判請求に係る指定商品について本件商標の使用をしている事実を確認できない旨の暫定的見解を通知し、さらなる主張、立証を促したが、被請求人は、その後、相当の期間が経過するも、何ら応答をしていない。
第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 被請求人の提出に係る乙各号証及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、被請求人が、マースジャパンホームページ掲載の会社概要ページと主張するものであり、同号証によれば、マースジャパンがペットケア、スナック(菓子)などの事業を行っていることはうかがえるが、「被服」に係る事業を行っている記載は確認できない。
(2)乙第2号証及び乙第3号証は、被請求人が、マースジャパン発行のジャンパー(ジャケット)の発注書(乙2)及びAsian Sourcing Link Japan社発行のジャンパー(ジャケット)の納品書(乙3)と主張するものであり、発注書(乙2)における発注日及び納入日の日付は、それぞれ要証期間内の2023年7月31日及び同年9月29日であり、サプライヤーとして「Asian Sourcing Link Japan」の記載、納入先として「マースジャパンリミテッド」の記載、「摘要」の項に「TPO48 NO.48ペット営業部ジャンパー作成費用(MARSスタッフジャンパー)」、「数量」の項に「300」の記載がある。
なお、発注書(乙2)の左上には「MARS」の欧文字からなる使用商標1(別掲2)が記載されている。
また、納品書(乙3)における納品日と思われる日付は、要証期間内の2023年9月22日であり、「Customer Name」として「MARS JAPAN LIMITED」の記載、「Description」として「MARS Staff jacket」、「Total delivered quantity」として「300 PCS」の記載がある。
以上からすると、要証期間内にマースジャパンがAsian Sourcing Link Japan社に発注した「MARSスタッフジャンパー(ジャケット)」と称する商品を受注先であるAsian Sourcing Link Japan社が納品したことがうかがえる。
(3)乙第4号証は、被請求人が、マースジャパン発行のポロシャツの発注書と主張するものであり、当該発注書における発注日及び納入日の日付は、それぞれ要証期間内の2023年10月17日及び同年12月28日であり、サプライヤーとして「Asian Sourcing Link Japan」の記載、納入先として「マースジャパンリミテッド」の記載、「摘要」の項に「APG06 ペット営業部ポロシャツ作成費用・・・(MARS original staff polo shirt)(MARS スタッフポロシャツ)」、「数量」の項に「500」の記載があり、左上に「MARS」の欧文字からなる使用商標1(別掲2)が記載されているから、要証期間内にマースジャパンがAsian Sourcing Link Japan社に発注した「MARS スタッフポロシャツ」と称する商品を受注先であるAsian Sourcing Link Japan社が納品したことがうかがえる。
(4)乙第5号証は、被請求人が、マースジャパンが2024年4月4日から7日に開催されたペットイベント「インターペット2024」(乙5の1)に出展者として出展した際の写真(乙5の2)と主張するものであり、「MARS」の欧文字からなる使用商標3(別掲3)が付されたジャンパー(ジャケット)を着用した人物の写真は確認できるが、乙第5号証の1からは、「マースジャパンリミテッド」の見出しの下、ペットフードなどの写真は確認できるものの、被服の写真は確認できず、当該写真の撮影日も明らかではない。
(5)乙第6号証は、被請求人が、発注書(乙2、乙4)及び納品書(乙3)において、マースジャパンが発注し、Asian Sourcing Link Japan社が製造したジャンパー(ジャケット)及びポロシャツの画像と主張するものであり、「MARS」の欧文字からなる使用商標3(別掲3)が付されたジャンパー(ジャケット)及びポロシャツの写真は確認できるが、被請求人の上記主張を裏付ける具体的な証拠は確認できず、当該写真の撮影日も明らかではない。
(6)被請求人提出のいずれの各証拠からは、被請求人がマースジャパンに対し、本件審判請求に係る指定商品について本件商標の使用許諾に関する契約を結んだ事実は確認できない。
(7)上記(2)及び(3)のとおり、被請求人は、Asian Sourcing Link Japan社へジャンパー(ジャケット)及びポロシャツの製造を依頼し納品を受けたものの、被請求人提出のいずれの各証拠からも、当該商品の販売等がされている事実は確認できず、その他、本件審判請求に係る指定商品について、本件商標を使用している事実はうかがえない。
3 判断
(1)使用者ついて
被請求人は、本件商標の使用権者であるマースジャパンが、要証期間内に、我が国において、本件商標と社会通念上同一の商標をジャンパー、ポロシャツ等の被服について使用していると主張している。
しかしながら、提出された証拠からは、被請求人とマースジャパンとが、親会社と子会社の関係にある等、商標権者とマースジャパンとが組織的に何らかのつながりがあることが客観的に認めらない上、商標権者がマースジャパンに対し、請求に係る指定商品について本件商標の使用許諾に関する契約を結んだ事実が確認できないことから、マースジャパンを本件商標の使用権者と認めることはできない。
(2)使用商品について
被請求人は、要証期間内に、我が国において、本件商標と社会通念上同一の商標をジャンパー、ポロシャツ等の被服(以下「請求に係る商品」という。)について使用していると主張している。
しかしながら、上記2で認定したとおり、マースジャパンはペットケア、スナック(菓子)などの事業を行う企業であり、請求に係る商品の事業を行っていることは確認できず(乙1)、また、被請求人のいずれの証拠からも、請求に係る商品が出展又は販売されている等の事実は確認できない。
さらに、被請求人が主張するジャンパー(ジャケット)を着用する人物の写真(乙5の2、乙6)が、発注書(乙2、乙4)及び納品書(乙3)に基づくものであることを裏付ける具体的な証拠は確認できず、マースジャパンの事業内容、マースジャパンが発注した商品名、ペットイベントにおけるマースジャパンの出展商品の状況などを勘案すると、ジャンパー(ジャケット)を着用する人物の写真(乙5の2)は、むしろ、ペットフード等の販売促進として従業員等が着用したとものとみるのが自然である。
そうすると、マースジャパンは、「MARS」の欧文字からなる使用商標を「ペットフード」等の販売促進として使用したと評価できるとしても、請求に係る商品について本件商標を使用したと評価することはできない。
してみれば、使用商標は、請求に係る商品について使用されていたものと認めることができない。
(3)小括
以上のとおり、被請求人提出の証拠によっては、被請求人が本件商標を使用した事実はうかがえず、これが仮に被請求人の関連会社であるマースジャパンが本件商標を使用していたとしても、請求に係る商品について使用されていたものと認めることができないものであるから、被請求人は、商標権者が、要証期間内に、日本国内において、本件審判請求に係る指定商品について、本件商標を使用したことを証明していない。
そして、前記第3の2のとおり、当審において、被請求人に対し、令和6年12月24日付け審尋において、さらなる主張、立証を促したが、被請求人は何ら応答をしていない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を本件審判請求に係る指定商品のいずれかについて、商標法第2条第3号各号に規定する使用行為を行ったことを証明していない。
また、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品について、要証期間に本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中、「結論掲記の指定商品」については、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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