商標拒絶査定不服審判
2024-020612
シットリナメラカオトナノバウム、シットリナメラカオトナノバーム、シットリナメラカオトナノ、オトナノバーム、オトナノ、オトナ
- 審判番号
- 2024-020612
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-144035
- 請求日
- 2024年12月24日
- 審決日
- 2025年07月15日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社千年屋
- 【請求人代理人】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 真鍋 伸行
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .13 -Z (W30) / T18 .272-Z (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-144035拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和5年12月27日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年6月11日付け:拒絶理由通知書
令和6年7月22日 :意見書の提出
令和6年9月13日付け:拒絶査定
令和6年12月24日 :審判請求書の提出
令和7年4月22日付け:証拠調べ通知
令和7年5月15日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願商標
本願商標は、「しっとりなめらかおとなのばうむ」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、登録出願され、その後、指定商品については、上記第1の手続補正書により、第30類「バウムクーヘン」とされた。
第3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、「しっとりなめらかおとなのばうむ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「しっとり」の文字は、「湿る程度にぬれていたり適度に水分を含んでいたりするさま」の意味を、「なめらか」の文字は、「表面に凹凸がなく、すべるようであるさま。ざらつきがないさま。」の意味を有する語であり、「おとな」の文字は、「十分に成長した人。(元服または裳着が済み)一人前になった人。成人。」の意味を有する語である「大人」を平仮名で表したものであって、「ばうむ」の文字は、「バター・小麦粉・砂糖などで作った生地(きじ)を回しながら焼き、焼き色がついたら生地を薄く重ねて繰り返し、層状に作った洋菓子」である「バウムクーヘン」を表す語として一般に用いられているものである。
そして、本願の指定商品に関連する業界において、「しっとり」や「なめらか」の文字が、食感を表す語として使用されている実情が認められ、また、大人の嗜好に合わせた商品を「大人の○○」、「おとなの〇〇」(○○には、菓子の名称が入る。)と称し、取引が行われている実情も認められる。
以上からすれば、本願商標全体からは、「しっとりとなめらかな食感の大人の嗜好に合わせたバウムクーヘン」程の意味合いが容易に認識されるものといえる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、「しっとりとなめらかな食感の大人の嗜好に合わせたバウムクーヘン」であること、すなわち、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、「バウムクーヘン」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
第4 当審における証拠調べ通知
本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲1ないし別掲4のとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき通知し、請求人の意見を求めた。
第5 上記通知に対する請求人の意見
請求人は、上記第4の証拠調べ通知に対し、令和7年5月15日に意見書を提出し、「しっとり」や「ばあむ」(合議体注:「ばうむ」の誤記と認める。)が指定商品「バウムクーヘン」に使用されてはいるものの、「なめらか」や「おとなの」が「バウムクーヘン」の品質等を表すものとして普通に使用されている事実がないため、本願商標「しっとりなめらかおとなのばうむ」は意味観念のない造語と認識される旨の意見を述べた。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本願商標は、前記第2のとおり、「しっとりなめらかおとなのばうむ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「しっとり」の文字は「湿る程度に濡れていたり適度に水分を含んでいたりするさま」の意味を、「なめらか」の文字は「ざらつきがないさま」の意味を有する語である。また、「おとな」の文字は「成人」の意味を有する語である「大人」を平仮名表記したものであって、「の」の文字は連体格を表す格助詞であり(いずれも「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)、「ばうむ」の文字は一般的な辞書等には掲載のないものである。
そして、本願の指定商品を取り扱う業界においては、「しっとり」の文字は「しっとりとした食感の商品」であることを、「なめらか」の文字は「なめらかな食感の商品」であることを、「おとなの」の文字は「大人のしこうにあわせた商品」であることを、「ばうむ」の文字は、「洋菓子の一種」である「バウムクーヘン」(前掲書)であることを指称する語として、それぞれ一般に使用されているものである(別掲1~別掲4)。
そうすると、本願商標は、構成全体として、「しっとりとなめらかな食感の大人のしこうにあわせたバウムクーヘン」程の意味合いを認識させるものである。
してみれば、本願商標をその指定商品について使用するときは、これに接する需要者に当該商品が「しっとりとなめらかな食感の大人のしこうにあわせたバウムクーヘン」であるという商品の品質を認識させるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を発揮し得ないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本願は、その指定商品が、上記第1の手続補正書により、第30類「バウムクーヘン」とされた結果、商標法第4条第1項第16号に該当するとした原査定の拒絶の理由は解消した。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標は意味観念のない造語であり、また、SNSはもとより、多くのウェブサイト上で文字「しっとりなめらかおとなのばうむ」が商品の識別標識として認識された上で実際に使用されているから、本願商標は自他商品の識別標識としての機能を有する旨を主張している。
しかしながら、上記1のとおり、本願商標を構成する各語の語義及び本願の指定商品を取り扱う業界における取引の実情からすれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する需要者は当該商品が「しっとりとなめらかな食感の大人のしこうにあわせたバウムクーヘン」であるという商品の品質を認識させるにとどまるものであって、自他商品の識別標識としての機能を発揮し得ないものというのが相当である。
また、複数のウェブサイトにおいて、請求人の業務に係る商品について「しっとりなめらかおとなのばうむ」の文字が使用されていることは認められるものの、これらに接した需要者が、当該文字を自他商品の識別標識として認識し得るかどうかや、当該文字が請求人の業務に係る商品を表示するものとして認識されるに至っているかどうかについては、何ら実情の記載や証拠が示されていないことから、うかがい知ることはできないし、これらを肯定すべき事情も見いだせない。
(2)請求人は、「しっとり」や「ばうむ」が指定商品「バウムクーヘン」に使用されてはいるものの、「なめらか」や「おとなの」が「バウムクーヘン」の品質等を表すものとして普通に使用されている事実がないため、「しっとりなめらかおとなのばうむ」は意味観念のない造語と認識される旨を主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商標の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(昭和53年(行ツ)第129号 最高裁判所第三小法廷判決参照)。
そして、同号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(昭和60年(行ツ)第68号 最高裁判所第一小法廷判決、平成12年(行ケ)第76号 東京高等裁判所判決参照)。
そうすると、「なめらか」及び「おとなの」の文字がバームクーヘンについて、商品の品質等を表す語として使用されている例がないとしても、それだけをもって、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を発揮し得るか否かの判断を左右するものではないし、本願商標は、上記1のとおり、これを構成する各語の語義及び本願の指定商品を取り扱う業界における取引の実情からすれば、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を発揮し得ないものというのが相当である。
(3)したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-020612