商標拒絶査定不服審判
2024-020415
マスク、エムエイエスシイ
- 審判番号
- 2024-020415
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-133849
- 請求日
- 2024年12月20日
- 審決日
- 2025年05月19日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】MHIエアロスペースシステムズ株式会社
- 【請求人代理人】田中 信介
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 深田 彩紀子
- 分類
- T18 .261-Z (W0942) / T18 .262-Z (W0942) / T18 .263-Z (W0942)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-133849拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類及び第42類に属する別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和5年12月4日に登録出願されたものである。
本願は、令和6年7月18日付けで拒絶理由の通知がされ、同年8月20日付けで意見書が提出されたが、同年9月30日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年12月20日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第6070422号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成29年8月7日に登録出願、別掲4のとおりの商品及び役務並びに第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定商品及び指定役務として、同30年8月10日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)商標の類否について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、「MASC」の文字を青色のややデザイン化した書体で横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「エムエイエスシイ」の称呼を生じ、また、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は、別掲3のとおり、複数の黒色の線や帯で構成された幾何模様を組み合わせた図形(以下「図形部分」という。)の右横に、極めて小さく表された「Material Solutions Center」の文字を上段に配し(以下「上段部分」という。)、その下段に「MaSC」の文字を大きく顕著に配した構成(以下「下段部分」といい、「上段部分」と合わせて「文字部分」という。)からなるところ、図形部分と文字部分とは、重なり合うことなく、左右に離れて配置され、大きさも態様も異なるため、これらは、視覚上分離して看取されるものである。
そして、文字部分についてみると、上段部分と下段部分とは、文字の大きさにおいて顕著な差異があるから、両部分は、視覚上、明確に分離して観察され得るものであり、観念上のつながりもなく、これらを常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情は見いだせない。
また、文字部分全体から生じる「マテリアルソリューションズセンターエムエイエスシイ」の称呼は長音を含めた23音と極めて冗長である。
そうすると、引用商標は、図形部分、上段部分及び下段部分をそれぞれ分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないものである。
また、下段部分は、「MaSC」の文字が太字で大きく顕著に表されているものであるから、引用商標に接する取引者、需要者に商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。
そうすると、引用商標は、その構成中「MaSC」の文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
してみると、引用商標は、「MaSC」の文字部分に相応して「エムエイエスシイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
ウ 本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標の構成中「MaSC」の文字部分とを比較すると、外観については、両者は、小文字を含むか否かの差異を有し、色彩、書体及び文字のデザイン化の有無について相違するものの、「MASC」(MaSC)のつづりを共通にするものであるから、近似した印象を与えるものといえる。
また、両者はいずれも「エムエイエスシイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものであるから、称呼を共通にし、観念においては比較することができない。
以上からすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観において近似した印象を与えるものであり、称呼を共通にするものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、互いに紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
(2)本願の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について
ア 本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。
イ 本願の指定役務中、第42類「コンピュータ及びコンピュータソフトウエアの貸与,コンピュータソフトウエアの設計に関するコンサルティング,ソフトウエアとデータベースシステムの開発・更新及び保守,コンピュータ・コンピュータソフトウエア又はコンピュータネットワークに関する設計又は技術情報の提供,コンピュータソフトウエアの作成」は、引用商標の指定役務中、第42類「コンピュータソフトウエアの研究・開発・設計・作成又は保守,機械器具に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,電子計算機用プログラムの提供,サーバーのホスティング,受託による新製品の研究開発,科学に関する実験及び研究,技術的課題の研究」と同一又は類似の役務である。
(3)小括
以上により、本願商標は、引用商標に類似する商標であって、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似する商品及び役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、「引用商標の「MaSC」の文字部分のみを要部として抽出し、本願商標と比較して商標の類否を判断することは適切でない」旨、「引用商標において、「MaSC」は、「Material Solutions Center」の略称であるということが一目瞭然であり、「Material Solutions Center」と強く結合された構成要素であり、分離されて取引に資されるものであると一概には判断できない」旨主張する。
しかしながら、引用商標の文字部分について、「MaSC」の文字が上段部分の頭文字を表した語として知られているといったような事情はなく、引用商標における上段部分と下段部分との間に観念的な関連性は見いだせない。
むしろ、上記1(1)イのとおり、視覚上、上段部分と比べて、大きく顕著に表されている下段部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
(2)請求人は、「引用商標は、「マテリアルソリューションズセンター エムエイエスシイ」という称呼が生じ、「素材・材料等に関する研究施設」といった観念を生じる」旨主張する。
しかしながら、「Material Solutions Center」の文字と、「MaSC」の文字とを一連に称呼したときに生じる「マテリアルソリューションズセンターエムエイエスシイ」の称呼は、極めて冗長であるといえる。
また、「MaSC」の文字は、辞書等に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いを想起させるとはいえないのに対し、「Material Solutions Center」の文字からは、「素材・材料等に関する研究施設」といった意味合いを想起させるものであるから、観念上のつながりもなく、上段部分と下段部分とを常に一体不可分のものとして認識しなければならない理由は見いだせない。
してみれば、引用商標は、その構成中の「MaSC」の文字のみを分離抽出し、この部分のみを本願商標と比較することが許されるというべきであり、引用商標全体から「マテリアルソリューションズセンターエムエイエスシイ」の称呼が生じたとしてもなお、下段部分に相応して「エムエイエスシイ」の称呼を生じ、造語として看取されるものであって、特定の観念を生じないものである。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
(3)請求人は、「引用商標において、引用商標の「MaSC」の文字部分のみを要部として抽出し、本願商標と比較して商標の類否を判断した場合であっても、本願商標と引用商標とは、需要者等に対して、外観上全体として異なる印象を与える」旨主張する。
しかしながら、本願商標の「MASC」の文字と引用商標の構成中「MaSC」の文字とを対比すると、外観については、両者は、小文字を含むか否かの差異を有し、色彩、書体及び文字のデザイン化の有無について相違するとしても、いずれも語頭から語尾までの「MASC(MaSC)」の全てのつづりを共通にするものであり、また、称呼及び観念については、「エムエイエスシイ」の称呼を同一にし、特定の観念は生じないものである。
そして、商標の使用においては、商標を構成する文字をデザイン化して表示することが一般的に行われている取引の実情があることに鑑みれば、両者における書体等の相違やデザイン化の有無が、取引者、需要者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいえない。
以上のとおり、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、称呼を同一にするものであって、外観における差異についても、出所識別標識としての顕著な差異として強い印象を与えるとはいえないことから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、本願商標と引用商標とは互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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