商標拒絶査定不服審判
2024-020403
エイアイハクランカイ、アイハクランカイ
- 審判番号
- 2024-020403
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2024-001476
- 請求日
- 2024年12月20日
- 審決日
- 2025年09月04日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社アイスマイリー
- 【請求人代理人】弁理士法人みなとみらい特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 中島 光
- 分類
- T18 .13 -Z (W3541)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2024-1476拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和6年1月10日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 6月11日付け:拒絶理由通知書
令和6年 8月 5日 :意見書の提出
令和6年11月 1日付け:拒絶査定
令和6年12月20日 :審判請求書の提出
令和7年 5月19日付け:審尋
令和7年 6月19日 :回答書の提出
2 本願商標
本願商標は、「AI博覧会」の文字を標準文字で表してなり、第35類及び第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、「AI博覧会」の文字を標準文字で表してなるところ、「AI」の文字は、「人工知能」を、「博覧会」の文字は、「産業・貿易・学術・技芸などの振興・促進のために、種々の産物・文化財などを集めて展示し、広く一般に公開する催し。」を意味する語であるから、本願商標は全体として、「人工知能に関する博覧会」ほどの意味合いを認識させるものである。そして、本願指定役務を取り扱う業界では、「人工知能」の技術を用いた商品・サービスや、「人工知能」に関する技術を紹介するなどの、「人工知能」をテーマ(内容)とする展示会、見本市等が広く催されており、これらの、「人工知能」をテーマ(内容)とする展示会、見本市等の催しを称して、「AI博覧会」の文字が使用されている実情があることからすれば、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者は、その役務が、「人工知能をテーマとする展示会、見本市」に係る役務であると認識するにすぎないもの、すなわち、役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 当審における審尋
当審において、前記1の審尋により、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の意見(要旨)
本願商標である「AI博覧会」と、審尋で示された「AI展示会」、「AI見本市」、「AIサミット」及び「AIエキスポ(EXPO)」とは、語義、対象者、印象及び使用目的の各点において相違があり、これらを同義とみなすことはできない。
審尋で示された、「AI博覧会」の文字が「「人工知能」をテーマ(内容)とする展示会、見本市等の催し」を称す際に使用されている証拠のうち、2025年1月23日付け「大阪読売新聞」(朝刊 8ページ)の記事については、請求人による使用にあたるものである。
請求人による、「AI博覧会」を名称とするイベントの開催実績からすれば、当該名称は、請求人の主催に係るイベントを示すものとして需要者に認識されている。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
ア 商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(昭和53年(行ツ)第129号、最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁)。
また、この趣旨に照らせば、当該商標が指定商品の品質、役務の質等を表すものとして、審決時に需要者に広く認識されている場合はもとより、将来を含め、需要者にその商品の品質、役務の質等を表すものと認識される可能性があって、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときは、その商標は、同号に該当すると解するのが相当である。
イ 本願商標は、「AI博覧会」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標の構成中の「AI」の文字は、「人工知能」の意味で、「博覧会」の文字は、「産業・貿易・学術・技芸などの振興・促進のために、種々の産物・文化財などを集めて展示し、広く一般に公開する催し。」(いずれも出典は「デジタル大辞泉」株式会社小学館)等の意味で、いずれも広く一般に親しまれているものであるから、全体として、「AI(人工知能)に関する博覧会」程の意味合いを容易に認識させるものである。
また、別掲1のとおり、本願の指定役務を取り扱う業界においては、人工知能に関する技術について、博覧会と同様に、これらを展示、紹介する展示会や見本市等の催しが広く行われており、このような催しを称して、「AI展示会」、「AI見本市」、「AIサミット」及び「AIエキスポ(EXPO)」等の文字が使用されている実情がある。
そうすると、本願商標を、その指定役務中、第35類「商品展示会及び見本市の企画・運営及び開催」及び第41類「セミナーの企画・運営又は開催」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該役務が「AI(人工知能)に関する博覧会の企画・運営及び開催」であること、すなわち、役務の質を表示したものとして認識するというのが相当である。
加えて、前記のとおり、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。
したがって、本願商標は、役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「博覧会」は、営利的・取引的目的に限定されない、知識・技術・文化の紹介・普及などを通じて来場者の理解を深めることを目的として開催されるものであるため、商取引や販売促進にとどまらない社会的・文化的意義を内包する催しである一方、「展示会」、「見本市」等は、主に企業が自社製品・サービスを商業的に公開・紹介するものであり、営業・販促的な性格が強く、その対象者は業界関係者などに限定される傾向があることから、本願商標である「AI博覧会」と、審尋で示された「AI展示会」、「AI見本市」、「AIサミット」及び「AIエキスポ(EXPO)」とは、語義、対象者、印象及び使用目的の各点において相違があり、これらを同義とみなすことはできない旨主張する。
しかしながら、前記(1)イで示した「博覧会」の文字が有する意味からすれば、「博覧会」の開催目的には産業や貿易の振興も含まれる。
加えて、別掲2によれば、構成中に「博覧会」の文字を有する「○○博覧会」(合議体注:「○○」には博覧会のテーマとなる事物を表す文字が入る。)なる名称で、産業・貿易の振興や、商業的な取引を目的とする催しが実施されている実情があることからすれば、博覧会と展示会、見本市等とは、取引者、需要者及び開催の目的等を共通にすることが少なくないものというべきである。
イ 請求人は、自身による、「AI博覧会」を名称とするイベントの開催実績からすれば、当該名称は請求人の主催に係るイベントを示すものとして需要者に認識されている旨主張し、証拠方法として、前記1の審判請求書において甲第4号証及び甲第5号証を、同回答書において甲第2号証及び甲第3号証を提出したと述べている。
そこで、請求人の主張及び提出された証拠をみるに、請求人が主催する、「AI博覧会」と称する催しが、2024年3月14日から3月15日に行われ(開催場所は不明)、同年8月29日から8月30日に渋谷で、2025年1月22日から1月23日に大阪で行われ、このうち、2024年3月14日から3月15日に行われた催しに、二日間で3270名が来場し、73社が出展し、15回の講演が行われ、2025年1月22日から1月23日に大阪で行われた催しに、二日間で3393名が来場し、40社が出展し、34回の講演が行われたこと、及び、2025年1月22日から1月23日に大阪で行われた催しに大阪府及び大阪市が協力したことはうかがえる。
しかし、提出された証拠中には、本願商標とは異なる、「AI博覧会」の文字をデザイン化したとおぼしき標章が記載されているものが含まれており、また、請求人が主張する催しの実施回数や来場者等の実績は、その多寡について、比較すべき客観的な証拠の提出がなく、指定役務を取り扱う業界における市場シェアなども不明である。また、宣伝広告の方法、期間、地域及び規模等について確認できる証拠は、僅か数例の、第三者の運営に係るウェブサイトの写しのみであって、その周知性の程度を客観的に推し量ることができない。さらに、当該催しが行われた期間も、約1年弱と短いものである。
そうすると、請求人の主張及び提出された証拠によっては、本願商標が、請求人の主催に係るイベントを示すものとして需要者に認識されているに至ったものとは認められない(合議体注:提出された証拠には物件名が記載されていない。加えて、請求人は、審判請求書及び回答書において、それぞれ、甲第1号証ないし甲第5号証、甲第1号証ないし甲第3号証と、同一の物件名からなる証拠を重複して挙げている。そのため、請求人の各主張に、いずれの証拠が対応するのかが必ずしも明確なものとはなっていないものの、提出された全証拠から前記の認定を行った。)。
ウ 請求人は、「博覧会」の文字を商標中に含む過去の審決例及び登録例を挙げ、本願について、これらの審決例及び登録例の存在を勘案した上で判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品・指定役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願については前記(1)イのとおり判断するものであるから、請求人の挙げた審決例及び登録例があることをもって、本願の判断を左右するものではない。
エ したがって、請求人の前記主張は、いずれも採用することができない。
7 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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