商標拒絶査定不服審判
2024-018885
タカナシ
- 審判番号
- 2024-018885
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-086743
- 請求日
- 2024年11月26日
- 審決日
- 2025年09月29日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】高梨乳業株式会社
- 【請求人代理人】横田 裕弘
- 【請求人代理人】鶴目 朋之
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 鯉沼 里果
- 分類
- T18 .14 -WY (W29) / T18 .17 -WY (W29)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第4号、商標法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023- 86743拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和5年8月3日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年12月19日付け:拒絶理由通知書
令和6年 4月17日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 8月22日付け:拒絶査定
令和6年11月26日 :審判請求書の提出
令和7年 7月10日付け:審尋
令和7年 7月23日 :回答書、手続補正書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲のとおり「タカナシ」の文字を表してなり、第29類及び第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、原審における上記第1の手続補正書により第29類「牛乳,クリーム,ヨーグルト」と補正され、さらに、当審における上記第1の手続補正書により第29類「低温殺菌牛乳,生クリーム」に補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
本願商標は、「タカナシ」の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるが、これは、「姓氏」の一つであって、我が国においてありふれた氏である、「高梨」の文字を片仮名で表記したものとして、補正後の指定商品の需要者に認識されるものといえる。
そうすると、本願商標は、単にありふれた氏を普通に用いられる方法で表示したものにすぎないと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。
また、提出された証拠を全体的に考察したとしても、本願商標が、商標法第3条第2項の要件を具備するということはできない。
第4 当審における審尋
当審において、上記第1の審尋により、請求人に対し、本願商標が商標法第3条第1項第4号に該当し、また、本願商標は、使用商品中、「生クリーム」及び「低温殺菌牛乳」以外の指定商品との関係において、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものに至っているとは認められないことから、同条第2項に規定する要件を具備しない旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
第5 審尋に対する請求人の回答の要点
請求人は、本願の指定商品を上記第2のとおりに補正したことから、本願商標は、商標法第3条第2項に規定する要件を具備する旨主張した。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第4号該当性について
本願商標は、別掲のとおり「タカナシ」の文字を、太字の青色ゴシック体で横書きしてなるところ、その書体及び構成は普通に用いられる方法の範ちゅうのものと認められる。
そして、「タカナシ」の読みを漢字で表した「高梨」の語は、原審で通知した証拠(インターネット情報)によれば、日本人の姓氏を表示するものであることが認められ、その「高梨」姓の者が相当数、存在することも認められる。
また、商取引において、氏は必ずしも漢字だけで表すものではなく、片仮名で表すことも、一般的に行われているものである。
してみれば、本願商標は、ありふれた氏である「高梨」を片仮名で表したものというべき商標であるから、ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。
2 商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて
請求人は、本願商標は、その補正後の指定商品「低温殺菌牛乳,生クリーム」における長年の使用の結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものに該当し、商標法第3条第2項の要件を具備する旨主張し、証拠方法として原審において参考資料11ないし参考資料860、当審において参考資料11ないし参考資料861(一部欠番あり。枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。また、表記に当たっては「参○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。以下同様。)を提出しているところ、原審における証拠は、当審における証拠に含まれるため、当審において提出された証拠を採用する。
(1)事実認定
請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。
ア 使用態様、使用期間及び使用地域
請求人は、乳製品の製造、販売を手がけ、本願商標と同一書体と認められる「タカナシ」の片仮名よりなる標章(以下「使用商標」という。)を、遅くとも1994年(平成6年)に商品「生クリーム」に、また、1999年(平成11年)に商品「低温殺菌牛乳」に使用している事実が確認できる(参18、参25)。また、請求人は、全国に6カ所の工場(請求人は、工場数は7カ所と主張している。)を有し、関連会社であるタカナシ販売会社の営業所を全国各地に20以上有している(参12)。
イ 売上及びシェア
株式会社富士経済が発行する「2024年 食品マーケティング便覧 No.1」(参13)によると、生クリーム類の市場占有状況において、請求人の販売額及びメーカーシェア(12.7%)は業界第3位(2021年、2022年)であり、また、請求人のブランドである「特選北海道純生クリーム35」の販売額及びブランドシェア(13.0%)は業界第1位(2022年)である。
同様に、株式会社富士経済が発行する「2019年 食品マーケティング便覧 No.6」、「2021年 食品マーケティング便覧 No.4」及び「2022年 食品マーケティング便覧 No.4」(参14)によると、低温殺菌牛乳の市場占有状況において、請求人の販売額及びメーカーシェア(21.5%~24.5%)は業界第1位(2017年~2020年)である。
ウ 広告宣伝の方法、期間、地域及び規模
請求人は、使用商標を付した「低温殺菌牛乳,生クリーム」(以下「使用商品」という。)の広告を、1994年ないし2010年の期間において、複数の全国紙、地方紙などの新聞媒体に掲載し(参25、参31~参33、参38、参39)、2006年ないし2010年の期間において、雑誌及びその他の印刷媒体に掲載した(参52~参55)。
この他に請求人は、横浜スタジアムの外野のフェンスに、使用商標の広告を掲載した(参80)。
エ 請求人以外の者による紹介記事
使用商標を付した使用商品が、1996年から現在に至るまで、各種新聞、雑誌等の印刷媒体及びウェブサイトにおける記事で取り上げられた(参56、参59、参61~参63、参70、参73~参75、参79、参206、参208、参218、参239、参244~参247、参250、参276、参279、参284、参288、参289、参299、参304、参305、参308、参314、参317、参319、参330、参355、参372、参375、参376、参386~参388、参392、参407、参433、参520、参523、参529、参531、参544、参547、参563、参587、参595、参636、参637、参641、参642、参659、参662、参695、参696、参731、参769、参772、参773)。
さらに、インターネットで個人が発信するブログやSNSにおいて、請求人の製造、販売に係る商品についての書き込みの中には、請求人を「タカナシ」と称している事実もある(参87~参106、参110~参170)。
オ 請求人以外の者による本願商標と同一又は類似する標章の使用の有無及び使用状況
インターネット検索によれば、飲食料品業界において、請求人以外の者が「タカナシ」の文字を使用している事実は確認できない(請求人の主張)。
(2)判断
上記(1)によれば、請求人は、遅くとも1994年から現在までの約30年程度の期間において、本願商標と同一又はそれと同一性を損なわない範囲の態様と認められる使用商標を、使用商品に使用しており、請求人の関連会社であるタカナシ販売会社の営業所が全国各地に存在することから、使用商品は全国規模で販売されているものと推認しうるものである。
また、請求人は、新聞、雑誌等を通じて、継続的に、日本全国において、使用商標を付した使用商品に係る広告宣伝活動を行っており、当該使用商品は、第三者によって、各種新聞、雑誌等の印刷媒体において、請求人の取り扱いに係る商品として多数紹介されているほか、個人ブログやSNSにおいて、請求人の製造、販売に係る商品についての書き込みには、請求人を「タカナシ」と称している事実が多数確認できる。
さらに、請求人の主張及び職権による調査によっても、本願商標と同一の構成からなる商標を、本願の指定商品を取り扱う業界において、他人が使用している事実は発見できない。
加えて、使用商標を付した使用商品である「低温殺菌牛乳」及び「生クリーム」は、近年、相当程度の販売額及び市場シェアを有し、業界で第1位を獲得していることがうかがえる。
以上を総合的に考察すれば、本願商標は、当審における補正後の指定商品である「低温殺菌牛乳」及び「生クリーム」について使用をされた結果、需要者が請求人らの業務に係る商品であることを認識するに至ったものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、請求人により使用をされた結果、当審における補正後の指定商品の取引者、需要者の間で、何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと判断するのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものの、同条第2項の要件を具備するものであるから、同項の要件を具備するものではないとした原査定は取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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