特許拒絶査定不服審判
2024-018362
コップ状容器
- 審判番号
- 2024-018362
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-207517
- 請求日
- 2024年11月18日
- 審決日
- 2026年04月16日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社DNP高機能マテリアル彦根
- 【請求人代理人】松村 直都
- 審判長/審判官
- 審判長 一ノ瀬 薫
- 審判官 宮地 匡人
- 審判官 金丸 治之
- 分類
- P18 .121-Z (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-207517号「コップ状容器」拒絶査定不服審判事件〔令和3年6月24日出願公開、特開2021-95216号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願(特願2020-207517号)は、令和2年12月15日(優先権主張 令和元年12月16日)の出願であって、その手続の経緯の概略は次のとおりである。
令和6年 4月 3日付け:拒絶理由通知書
同年 6月 6日 :意見書、手続補正書の提出
同年 8月 5日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 8月20日 :原査定の謄本の送達)
同年11月18日 :審判請求書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~7に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)は、令和6年6月6日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は次のとおりである。
「 胴体用ブランクの両端縁部どうしをオーバーラップさせて接合することにより筒状に成形されている胴体と、底体用ブランクを底部と底部の外周縁部から下方にのびる垂下部とが形成されるように成形してなる断面略逆U形の底体とよりなり、胴体の下端部の内面に底体の垂下部の外面が接合されることにより胴体および底体が一体化されているコップ状容器であって、
胴体用ブランクが、金属箔で構成された金属箔層と金属箔の両面にそれぞれ接着剤層を介して積層されたフィルムで構成された熱融着性樹脂層とよりなる積層体から形成されたものであって、紙層を有しておらず、胴体用ブランクの両端縁部がこれらの互いに重なり合う面を構成している熱融着性樹脂層どうしを熱融着することにより接合されており、
底体用ブランクが、金属箔層と金属箔層の両面のうち少なくとも底体の上側となる面に積層された熱融着性樹脂層とよりなる積層体から形成されたものであって、胴体の下端部の内面および底体の垂下部の外面がこれらの面を構成している熱融着性樹脂層どうしを熱融着することにより接合されており、
胴体のオーバーラップ部において、胴体の内側に位置する胴体用ブランクの内側端面が、胴体用ブランクの両端縁部の熱融着性樹脂層どうしを熱融着する際に形成された内側樹脂溜まり部によって被覆されている、コップ状容器。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次の理由を含むものである。
拒絶理由(進歩性)
本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載の発明、引用文献2及び3に例示される周知技術及び引用文献4に例示される周知技術に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
<引用文献等一覧>
1.特開2013-6631号公報
2.特開昭54-40774号公報
3.特開昭60-46233号公報
4.特開2019-181927号公報
第4 引用文献の記載、引用発明等
1 引用文献1
(1)引用文献1に記載された事項
原査定において、引用文献1として引用された特開2013-6631号公報には、以下の記載がある(下線は当審で付したものである。「・・・」は記載の省略を示す。以下同様。)。
「【請求項1】
所定輪郭が与えられたブランクの両端部が互いに重ねられて接着された接着部を有する胴部と、前記胴部の下端に設けられた底部とを備え、前記胴部の最外面には、前記両端部のうち前記胴部の内周面側に位置する端部以外の部分にフィルムが貼り付けられている容器であって、
前記ブランクは、所定材料の基材の一方の面がポリエチレン層に、他方の面が前記ポリエチレン層に対して熱融着可能なポリオレフィン系の接着性樹脂層にてそれぞれ覆われ、かつ前記接着性樹脂層の上に前記フィルムが貼り付けられた積層材を素材としており、
前記フィルムは、高密度ポリエチレンフィルムとして構成されている、
ことを特徴とする容器。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、所定輪郭が与えられたブランクの両端部が互いに重ねられて接着された接着部を有する胴部を備えた容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙カップ等に代表される容器は店頭飲食用として幅広く使用されている他、飲料、菓子等を充填して販売する包装容器としても広く使用されている。」
「【発明が解決しようとする課題】
・・・
【0008】
そこで、本発明は、容器の最外面にどのような素材のフィルムを貼り付けた場合でもブランクの両端部の接着性に影響を与えることがない容器及びその製造方法を提供することを目的とする。」
「【0020】
図1は本発明の一形態に係る容器としての紙カップの一部を切除した斜視図である。図示するように、紙カップ1は直径が開口部へ向かって徐々に広がる円筒状の胴部2と、その胴部2の下端に設けられた底部3とを有している。胴部2には、その上端が外側に丸められたトップカール部4が設けられている。
【0021】
図2は紙カップ1の胴部2の素材になっている積層材の詳細な構成を示している。積層材10は薄板状に構成されており、基材としての紙基材11と、その紙基材11の一方の面11aを覆うポリエチレン層12と、紙基材11の他方の面11bを覆う接着性樹脂層13と、接着性樹脂層13の上に貼り付けられたフィルム14とを備えている。フィルム14の素材としては、高密度ポリエチレンフィルム又は二軸延伸されたポリプロピレンフィルムを用いることができる。これらのフィルムは、いずれも光沢を高めることが容易で、かつ印刷適正も良好であることから、紙カップの外観上の見栄えを容易に向上させることができる。フィルム14の裏面14aには所定の絵柄が表現された印刷層15が設けられている。印刷層15の絵柄としては装飾効果を高めるための文字、写真等を採用できる。なお、印刷層15はフィルム14の裏面14aの反対側の表面に設けることもできるし、フィルム14の両面に設けることもできる。積層材10は、ポリエチレン層12、紙基材11、接着性樹脂層13及びフィルム14の順序でこれらの構成要素が重ね合わされることにより構成されている。」
「【0025】
図3に示すように、まず、工程aにおいてカップ原紙である紙基材11を準備する。次に、工程bにおいて紙基材11の両面が覆われるようにポリエチレン層12と接着性樹脂層13とを押し出しラミネートにより紙基材11の両面に形成して、シート部材20を得る。
【0026】
次に、工程cでは、工程bで得たシート部材20の接着性樹脂層13の上にフィルム14を貼り付けて積層材10を得る。この工程cはフィルム貼付工程に相当する。フィルム14には印刷層15が予め設けられている(図2参照)。工程cにおけるフィルム14の貼り付けは、シート部材20の表面の端部20aが露出するようにこの端部20aを避けて行われる。貼り付け前のフィルム14は、その横幅がシート部材20の横幅よりも小さくなるように予め裁断されている。
【0027】
次に、工程dでは、工程cで得た積層材10を不図示の裁断機を使用して想像線で示した裁断線Lに沿って打ち抜くことにより輪郭が扇形状の胴部ブランク2′を得る。この工程dはブランク形成工程に相当する。この裁断機は一回の打ち抜きで少なくとも2枚の胴部ブランク2′が同時に得られように構成されている。想像線で示した裁断線Lは裁断機にて打ち抜いた際にシート部材20の端部20aと胴部ブランク2′の一方の端部2a′とが一致するように設定されている。これにより、端部2a′においてシート部材20の表面が露出した状態の胴部ブランク2′を得ることができる。
【0028】
次に、図4に示すように、紙カップ1は、図3の工程で得た胴部ブランク2′と、図示しない所定の素材から円形状に切り出された底部ブランク3′とのそれぞれに対して所定の加工を施し、その後、当該加工後の各部品を組み合わせることにより構成される。なお底部ブランク3′を胴部ブランク2′と同様に図2の積層材10から切り出しても構わない。
【0029】
まず、胴部ブランク2′を、積層材10のフィルム14が外側に、ポリエチレン層12が内側に位置するようにして円筒状に丸め、両端部2a′を重ね合わせた状態とする。図5は胴部ブランク2′の両端部2a′を重ね合わせた状態を示した説明図である。胴部ブランク2′はフィルム14が内側(図の下側)に位置する端部2a′を避けて貼り付けられている。このため、図5から明らかなように、両端部2a′を重ね合わせると、これらの間にフィルム14が介在せずに一方の接着性樹脂層13と他方のポリエチレン層12とが接触する。このように両端部2a′を重ね合わせた状態で、両端部2a′に圧力と熱とを加えるヒートシール加工を施して、両端部2a′を熱融着にて互いに接着する。これにより、胴部2に接着部5が形成される(図1も参照)。このように両端部2a′を重ね合わせてこれらを接着する工程が接着工程に相当する。図4に示すように、底部ブランク3′に対しては、胴部ブランク2′に対する上記の加工と並行して又はその加工の後に、底部ブランク3′の外周縁3a′を下方に屈曲させる成形加工を施す。
【0030】
次に、円筒状に加工された胴部ブランク2′の下部に成形加工済の底部ブランク3′を配置する。そして、底部ブランク3′の屈曲部が胴部ブランク2′の下端部で包み込まれるように、胴部ブランク2′の下端部を折り曲げる。その状態を保持しつつ底部ブランク3′の屈曲部と胴部ブランク2′の下端部とが重なり合う部分をホットエアーにて溶融し、その部分に所定の圧力を加えることによりこれらを一体化する。その後、胴部2の上端部にトップカール部4を形成することにより図1に示した紙カップ1が完成する。
【0031】
以上の紙カップ1によれば、胴部ブランク2′の両端部2a′のうち胴部2の内周面側に位置する端部2a′以外の部分にフィルム14が貼り付けられている。このため、その両端部2a′を重ね合わせた場合に一方の接着性樹脂層13と他方のポリエチレン層12とが互いに接触する。これにより、最外面にフィルム14が貼り付けられた場合であっても、胴部ブランク2′の両端部2a′を容易に貼り合わせることができる。」
「【0033】
基材の材質は紙に限らず、二軸延伸されたポリプロピレン等の樹脂、アルミ等の金属であってもよい。この場合には、紙以外を素材とした容器を得ることができる。また、接着性樹脂層の構成材料は低密度ポリエチレンの他、ポリエチレン層と熱融着可能なポリオレフィン系の材料であってもよい。」
「【図1】
[図:0001435770000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001435770000002.jpg]
」
「【図3】
[図:0001435770000003.jpg]
」
「【図4】
[図:0001435770000004.jpg]
」
「【図5】
[図:0001435770000005.jpg]
」
(2)上記(1)により、引用文献1に記載されていると認められる事項
上記(1)の【0028】の「なお底部ブランク3′を胴部ブランク2′と同様に図2の積層材10から切り出しても構わない。」という記載より、「胴部ブランク2′及び底部ブランク3′は積層材10から得る」ことが記載されていると認める。
(3)引用発明
上記(1)及び(2)の事項から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 胴部ブランク2′及び底部ブランク3′は積層材10から得るものであり、(上記(2))
積層材10は薄板状に構成されており、基材としての紙基材11と、その紙基材11の一方の面11aを覆うポリエチレン層12と、紙基材11の他方の面11bを覆う接着性樹脂層13と、接着性樹脂層13の上に貼り付けられたフィルム14とを備えており、(上記(1)の【0021】)
胴部ブランク2′を、積層材10のフィルム14が外側に、ポリエチレン層12が内側に位置するようにして円筒状に丸め、胴部ブランク2′の両端部2a′を重ね合わせた状態とし、内側に位置する端部2a′を避けてフィルム14が貼り付けられていることにより、一方の接着性樹脂層13と他方のポリエチレン層12とが接触し、両端部2a′に圧力と熱とを加えるヒートシール加工を施して、両端部2a′を熱融着にて互いに接着し、(上記(1)の【0029】)
円筒状に加工された胴部ブランク2′の下部に、外周縁3a′を下方に屈曲させる成形加工を施した底部ブランク3′を配置し、(上記(1)の【0029】、【0030】)
底部ブランク3′の屈曲部と胴部ブランク2′の下端部とが重なり合う部分をホットエアーにて溶融し、その部分に所定の圧力を加えることによりこれらを一体化することによって得られる、(上記(1)の【0030】)
紙カップ1。」
2 周知技術
(1)引用文献4
原査定において、周知技術を示す引用文献4として引用された特開2019-181927号公報には、以下の記載がある。
「【請求項1】
金属箔層と、前記金属箔層の両面のうち容器の外側となる面に積層されてマット調の外表面層を構成している外側樹脂フィルム層とを備えている成形容器用積層体であって、
前記外側樹脂フィルム層が、融点が155℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが50J/g以上である第1エラストマー変性オレフィン系樹脂と、融点が135℃以上でありかつ結晶融解エネルギーが30J/g以下である第2エラストマー変性オレフィン系樹脂と、オレフィン系エラストマーとを含む樹脂組成物からなり、
前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、それぞれエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂からなり、
前記外側樹脂フィルム層において、前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率と前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂の含有率との合計値が50質量%以上である、成形容器用積層体。」
「【技術分野】
【0001】
この発明は、食品等を密封包装するための成形容器の材料として用いられる積層体、同積層体を成形してなる成形容器、および内容物が充填された同成形容器に蓋を施してなる包装体に関し、より詳細には、マット調の外表面を有する成形容器用積層体、成形容器および包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば水羊羹、ゼリー、離乳食、介護用食品等を長期保存可能に包装するための容器として、アルミニウム箔等よりなる金属箔層と、金属箔層の両面のうち容器の外側となる面に積層されている単層または複数層の外側樹脂フィルム層とを備えた積層体を、カップ状に成形してなる成形容器が知られている(下記の特許文献1等参照)。」
「【0061】
<実施例1>
金属箔層として、JIS H4160で分類されたA8021H-Oよりなり、両面にポリアクリル酸、三価クロム化合物、水およびアルコールからなる化成処理液を塗布し、180℃で乾燥を行って、片面当たりクロム付着量が5mg/m2の化成処理皮膜を形成した、厚さ120μmのアルミニウム箔を用意した。
外側樹脂フィルム層として、厚さ30μmの2層構造の無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(CPP)を用意した。同フィルムは、第1エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP1)として、融点が163℃でありかつ結晶融解エネルギーが58J/gであるエチレンとプロピレンを共重合したエチレン-プロピレンエラストマー変性ホモポリプロピレン樹脂94質量%、第2エラストマー変性オレフィン系樹脂(B-PP2)として、融点が144℃でありかつ結晶融解エネルギーが19J/gであるエチレンとプロピレンを共重合したエチレン-プロピレンエラストマー変性ランダム共重合体1質量%、オレフィン系エラストマーとして、エチレン-1-ブテンエラストマー(EBR)5重量%の樹脂組成物からなり、外表面層を構成する厚さ27μmの第1樹脂フィルム層と、エチレン-プロピレンランダム共重合体(R-PP、融点155℃)からなる厚さ3μmの第2樹脂フィルム層とが形成されるように、Tダイを用いて共押出することにより形成したものである。また、第1樹脂フィルム層には、エルカ酸アミド1500ppm、およびシリカ5000ppmを添加した。
ここで、上記各樹脂の融点(Tmp)および結晶融解エネルギー(△H)は、下記の測定条件で測定されたものである。
・昇降温スピード:23℃から210℃までの間を10℃/分の昇降温速度
・サンプル料:5mgを調量
・容器:アルミニウムパンを使用
・装置:島津製作所製「DSC-60A」
次に、無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの両面のうち第2樹脂フィルム層側の面の全体に、グラビア印刷機を用いて、黒色インキ(DICグラフィックス社製、品名:パナシアCVL-SP特墨805)による無地の印刷層を形成した。
また、内側樹脂層として、厚さ300μmの高密度ポリエチレン樹脂フィルム(HDPE)とポリプロピレン樹脂フィルム(PP)の複合シート(層比:50μm/250μm)を用意した。
そして、アルミニウム箔の片面に、無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(CPP)を、印刷層が内側となるように、二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤を用いてドライラミネートするとともに、アルミニウム箔の他面に、前記複合シートを、高密度ポリエチレン樹脂フィルム側が内側となるように、二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤を用いてドライラミネートし、40℃の環境下で5日間養生することにより、実施例1の成形容器用積層体を作製した。
実施例1の積層体について、外表面層の表面の光沢度(グロス値)を、光沢度測定器(BYKガードナー社製 マイクロトリグロスS)により測定したところ(以下の実施例および比較例も同様)、28%であった。」
(2)引用文献6
本審決で、周知技術を示す引用文献6として引用する特開2016-113176号公報には、以下の記載がある。
「【請求項1】
過酸化水素水による滅菌が行われる包材に用いられるシートであって、金属箔層と、金属箔層の内面にラミネートされかつ水蒸気透過度が15g/m2・day以下であるシーラントフィルム層とを備えている、包材用シート。」
「【技術分野】
【0001】
この発明は、包材用シートに関し、より詳細には、包装機械内で過酸化水素水による滅菌が行われる包材として用いられるシートに関する。また、この発明は、上記シートよりなる容器用蓋材、および、同蓋材を使用して食品等の内容物を包装してなる包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばプリンやゼリー等の流動性食品の包装は、アセプティック包装と呼ばれる無菌包装システムによって行われている。無菌包装システムでは、通常、包装材を過酸化水素水等の薬品によって滅菌した後、同包装材に予め殺菌されたプリン、ゼリー等の食品を無菌室で充填包装するものである。
例えば、容器用蓋材は、容器のフランジ部との熱封緘が行われる無菌室に供給される途中で、滅菌槽の過酸化水素水中に浸漬され、ここで滅菌される。
容器用蓋材の材料としては、金属箔層と、金属箔層の内面にラミネートされているシーラントフィルム層と、金属箔層の外面にラミネートされている基材フィルム層とを備えてなる積層シートが一般に用いられている(例えば下記の特許文献1参照)。」
「【実施例】
【0026】
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、この発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0027】
厚さ15μmのアルミニウム箔(A1N30-0)の片面に、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを、2液硬化型ポリエステルウレタン接着剤を用いてドライラミネートするとともに、アルミニウム箔の他面に、以下の表1に示す各シーラントフィルムを、2液硬化型ポリエステルウレタン接着剤を用いてドライラミネートすることにより、実施例1~8および比較例1~3のシートを作製した。
なお、表1中、水蒸気透過度は、各シーラントフィルムをJIS K7129:2008の方法によって、表A.1の条件3(温度40℃、相対湿度差90%)の条件下で測定したものである。」
「【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は、無菌包装システムによってプリン、ゼリー等の流動性食品を包装する際の包材用シート、具体的には、容器用蓋材やパウチ材として、さらには、これらを用いて上記食品を包装してなる包装体として好適に使用することができる。」
(3)引用文献7
本審決で、周知技術を示す引用文献7として引用する特開平6-47805号公報には、以下の記載がある。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は積層シートによって形成されている筒状成形体からなるチューブ容器胴部に関する。
【0002】
【従来の技術】積層シートによるチューブ容器胴部は、少なくとも表面樹脂層と裏面樹脂層とを有し、所望によってこれらの両樹脂層の間に介装させた支持基材やバリヤー材等との積層シートによる筒状成形体で形成されている。そして、前記筒状成形体は、積層シートの1側辺部上に他側辺部を重ね、1側辺部における表面樹脂層と他側辺部における裏面樹脂層とを溶着してなる所謂封筒貼りによる胴貼り部を形成することによって得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記積層シートによって形成されているチューブ容器胴部を有するチューブ容器は、積層シートにおける1側辺部上に他側辺部を重ね、1側辺部の表面樹脂層と他側辺部の裏面樹脂層とを溶着させてなる胴貼り部において、容器内面側に位置する積層シートの側辺部の端面が容器内に露出し、チューブ容器内の内填物と接触する。
【0004】このため、積層シート中に例えばアルミニウム箔やガスバリヤー層としてのエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂層等が積層されている場合には、これらの層が内填物と接触することにより、内填物の品質を低下させたり、あるいは、積層シートのガスバリヤー性を低下させる等の欠点を有する。
【0005】すなわち、チューブ容器胴部を形成している積層シート中にアルミニウム箔が積層されている場合には、チューブ容器内に酸またはアルカリ性物質が充填されると、容器内面側に位置する積層シートの側辺部の端面に露出しているアルミニウム箔がチューブ容器内の内填物中に溶出して内填物の風味を損なわせる。
【0006】また、チューブ容器胴部を形成している積層シート中にエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂層が積層されている場合には、容器内面側に位置する積層シートの側辺部の端面に露出しているエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂層がチューブ容器内の水分を吸収し、積層シートのガスバリヤー性の機能を損なわせる。
【0007】さらに、積層シート中にポリオレフィン樹脂層が積層されている場合には、チューブ容器内に例えばフレーバー成分のような浸透性の高い物質を含有する内填物が充填されると、この高浸透性物質がポリオレフィン樹脂層に吸収,吸着され、内填物の品質を劣化させる等の欠点を有する。
【0008】このため、[図4]に示されるように、積層シートによる筒状成形体の胴貼り部の形成の際に、積層シートの1側辺部11における表面樹脂層12及び裏面樹脂層13と、積層シートの他側辺部14における表面樹脂層12及び裏面樹脂層13との流れにより、積層シートの端面を被覆するようにしたり、あるいは、[図5]に示されるように、積層シートの1側辺部15の表面樹脂層16と他側辺部17における裏面樹脂層18とを溶着して形成させた胴貼り部の少なくとも容器内周面側に別製のシールテープ19を貼着させることによって、積層シートの端面と容器内の内填物との接触を防ぐ等の工夫がなされている。」
「【図4】
[図:0001435770000006.jpg]
」
(4)引用文献8
本審決で、周知技術を示す引用文献8として引用する特開平8-151056号公報には、以下の記載がある。
「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、練歯磨等を収納するために、シートを溶着して製造された押出しチューブに関し、さらに詳しくは胴部の溶着部の構成に特徴を有する押出しチューブに関する。
【0002】一般に、ペースト状の練歯磨、医薬品、化粧品、食料品等を充填する押出しチューブは、外部から酸素等が浸透してきたり、あるいは充填物の成分等が外部にしみ出たりするのを防止するため、押出しチューブを構成する多層積層シートの内部に、金属層等のガスバリア層が設けられている。そして、金属層の内容物による腐食を防止するため、ポリオレフィン系樹脂層を重ねて成形した多層積層シート、あるいはガスバリア性樹脂層に接着性樹脂層、ポリオレフィン系樹脂層を重ねて成形した多層積層シートが用いられている。そして、従来はこのような多層積層シートを巻回して、切断端面を相互に溶着することにより、押出しチューブの胴部を形成していたが、従来この胴部の溶着部の構造には種々の構造があった。また、単層チューブにおいては、胴部は押出しパイプを切断して造られ、胴部の印刷においても、円筒状で行わなければならず制約があった。
【0003】
【従来の技術】従来の技術としては、例えば図6および図7に示すようなものがあり、従来の押出しチューブの胴部の溶着部を示した拡大断面図(図7のZ-Z線拡大断面図)である。図6はシート50の表面同士を直接重ね合わせ、加熱加圧して金属層51の周囲の樹脂層を溶融して、切断端面52をシールすると共に、相互のシート50を溶着するものである。」
「【図6】
[図:0001435770000007.jpg]
」
(5)引用文献9
本審決で、周知技術を示す引用文献9として引用する特開平9-240694号公報には、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はラミネートチューブの薄肉化技術に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで歯磨きを中心として多用されているラミネートチューブ30は、積層材によって胴部が形成されている。この胴部の成形は「筒貼り」と称し帯状の積層材の長手方向の両側端を図4(a)に示すように封筒貼りの状態に重ねて加圧、加熱することによって行われる。この場合、積層材の内外層には同一の低融点のポリオレフィン系樹脂Pが一般に使用されているので、成形後の筒貼り部Hでは、図4(b)に示すように、ポリオレフィン系樹脂Pが熱溶融により一体化して接合し、一部は積層材端部から流れ出して積層材の端面を保護している。従って、以上の封筒貼りで、良好な熱接着による接合を得るには、すくなくとも積層材の表裏に使用される熱可塑性樹脂を同一のものとしておく必要がある。なお、高融点の樹脂やアルミニウム箔、紙等で構成される中間層(表裏と同じ熱可塑性樹もこの中に使われることも多い)は熱圧着による厚みの減少が少ないので、筒貼り部Hは他の部分より厚くなっている。」
「【図4】
[図:0001435770000008.jpg]
」
(6)周知技術について
ア 上記(1)及び(2)より、以下の技術事項は周知技術(以下「周知技術1」という。)と認める。
「容器用の包装材を、金属箔で構成された金属箔層と金属箔の両面にそれぞれ接着剤層を介して積層されたフィルムで構成された熱融着性樹脂層とよりなる積層体から作製すること。」
イ 上記(3)、(4)及び(5)より、以下の技術事項は周知技術(以下「周知技術2」という。)と認める。
「胴体用ブランクの両端部同士をオーバーラップさせて接合することにより筒状に成形されている胴体のオーバーラップ部において、胴体の内側に位置する胴体用ブランクの内側端面が、胴体用ブランクの両端縁部の熱融着性樹脂層どうしを熱融着する際に、熱融着性樹脂によって被覆されること。」
第5 対比、判断
1 対比
本願発明と引用発明を対比する。
引用発明の「胴部ブランク2′」、「両端部2a′」及び「円筒状に加工された胴部ブランク2′」は、本願発明の「胴体用ブランク」、「両端縁部」及び「胴体」に相当するから、引用発明の「胴部ブランク2′を円筒状に丸め、胴部ブランク2′の両端部2a′を重ね合わせた状態とし、端部2a′を避けてフィルム14が貼り付けられていることにより、一方の接着性樹脂層13と他方のポリエチレン層12とが接触し、両端部2a′に圧力と熱とを加えるヒートシール加工を施して、両端部2a′を熱融着にて互いに接着」することによって得られる「円筒状に加工された胴部ブランク2′」は、本願発明の「胴体用ブランクの両端縁部どうしをオーバーラップさせて接合することにより筒状に成形されている胴体」に相当する。
また、引用発明の「積層材10」は、本願発明の「積層体」に相当し、引用発明の「ポリエチレン層12」及び「接着性樹脂層13」は、「一方の接着性樹脂層13と他方のポリエチレン層12とが接触し、両端部2a′に圧力と熱とを加えるヒートシール加工を施して、両端部2a′を熱融着にて互いに接着」するものであり、本願発明の「熱融着性樹脂層」に相当し、本願発明において、「金属箔で構成された金属箔層と金属箔の両面にそれぞれ接着剤層を介して積層されたフィルムで構成された熱融着性樹脂層とよりなる積層体から形成された」という記載から明らかなとおり、本願発明の「金属箔」が「積層体」の芯材となっており、「金属箔」を「積層体」の「基材」と呼称することができるから、引用発明の「胴部ブランク2′及び底部ブランク3′は積層材10から得るものであり、積層材10は薄板状に構成されており、基材としての紙基材11と、その紙基材11の一方の面11aを覆うポリエチレン層12と、紙基材11の他方の面11bを覆う接着性樹脂層13と、接着性樹脂層13の上に貼り付けられたフィルム14とを備えており、胴部ブランク2′を、積層材10のフィルム14が外側に、ポリエチレン層12が内側に位置するようにして円筒状に丸め、胴部ブランク2′の両端部2a′を重ね合わせた状態とし、内側に位置する端部2a′を避けてフィルム14が貼り付けられていることにより、一方の接着性樹脂層13と他方のポリエチレン層12とが接触し、両端部2a′に圧力と熱とを加えるヒートシール加工を施して、両端部2a′を熱融着にて互いに接着」することは、本願発明の「胴体用ブランクが、金属箔で構成された金属箔層と金属箔の両面にそれぞれ接着剤層を介して積層されたフィルムで構成された熱融着性樹脂層とよりなる積層体から形成されたものであって、紙層を有しておらず、胴体用ブランクの両端縁部がこれらの互いに重なり合う面を構成している熱融着性樹脂層どうしを熱融着することにより接合されて」いることと「胴体用ブランクが、基材と基材の両面に積層された熱融着性樹脂層とよりなる積層体から形成されたものであって、胴体用ブランクの両端縁部がこれらの互いに重なり合う面を構成している熱融着性樹脂層どうしを熱融着することにより接合されて」いる限りにおいて一致する。
引用発明の「底部ブランク3′」及び「紙カップ1」は、本願発明の「底体用ブランク」及び「コップ状容器」に相当し、引用発明の「外周縁3a′を下方に屈曲させる成形加工を施した底部ブランク3′」は、断面略逆U形に成形されていることは明らかであり、本願発明の「底部と底部の外周縁部から下方にのびる垂下部とが形成されるように成形してなる断面略逆U形の底体とよりな」る「底体用ブランク」に相当するから、引用発明の「円筒状に加工された胴部ブランク2′の下部に、外周縁3a′を下方に屈曲させる成形加工を施した底部ブランク3′を配置し、底部ブランク3′の屈曲部と胴部ブランク2′の下端部とが重なり合う部分をホットエアーにて溶融し、その部分に所定の圧力を加えることによりこれらを一体化することによって得られる、紙カップ1」は、本願発明の「底体用ブランクを底部と底部の外周縁部から下方にのびる垂下部とが形成されるように成形してなる断面略逆U形の底体とよりなり、胴体の下端部の内面に底体の垂下部の外面が接合されることにより胴体および底体が一体化されているコップ状容器」に相当する。
また、引用発明の「底部ブランク3′の屈曲部と胴部ブランク2′の下端部とが重なり合う部分をホットエアーにて溶融し、その部分に所定の圧力を加えることによりこれらを一体化すること」は、本願発明の「胴体の下端部の内面および底体の垂下部の外面がこれらの面を構成している熱融着性樹脂層どうしを熱融着することにより接合されて」いることと、「胴体の下端部および底体の垂下部が接合されて」いる限りにおいて一致するから、引用発明の「胴部ブランク2′及び底部ブランク3′は積層材10から得るものであり、積層材10は薄板状に構成されており、基材としての紙基材11と、その紙基材11の一方の面11aを覆うポリエチレン層12と、紙基材11の他方の面11bを覆う接着性樹脂層13と、接着性樹脂層13の上に貼り付けられたフィルム14とを備えており、」「底部ブランク3′を、胴部ブランク2′の内側に位置させ、底部ブランク3′の下方に屈曲させた外周縁3a′の外面を胴部ブランク2′の内面に位置させ、底部ブランク3′の屈曲部と胴部ブランク2′の下端部とが重なり合う部分をホットエアーにて溶融し、その部分に所定の圧力を加えることによりこれらを一体化することによって得」ることは、本願発明の「底体用ブランクが、金属箔層と金属箔層の両面のうち少なくとも底体の上側となる面に積層された熱融着性樹脂層とよりなる積層体から形成されたものであって、胴体の下端部の内面および底体の垂下部の外面がこれらの面を構成している熱融着性樹脂層どうしを熱融着することにより接合されて」いることと「底体用ブランクが、基材と基材の両面のうち少なくとも底体の上側となる面に積層された熱融着性樹脂層とよりなる積層体から形成されたものであって、胴体の下端部および底体の垂下部が接合されて」いる限りにおいて一致する。
以上より、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「 胴体用ブランクの両端縁部どうしをオーバーラップさせて接合することにより筒状に成形されている胴体と、底体用ブランクを底部と底部の外周縁部から下方にのびる垂下部とが形成されるように成形してなる断面略逆U形の底体とよりなり、胴体の下端部の内面に底体の垂下部の外面が接合されることにより胴体および底体が一体化されているコップ状容器であって、
胴体用ブランクが、基材と基材の両面に積層された熱融着性樹脂層とよりなる積層体から形成されたものであって、胴体用ブランクの両端縁部がこれらの互いに重なり合う面を構成している熱融着性樹脂層どうしを熱融着することにより接合されており、
底体用ブランクが、基材と基材の両面のうち少なくとも底体の上側となる面に積層された熱融着性樹脂層とよりなる積層体から形成されたものであって、胴体の下端部および底体の垂下部が接合されている、コップ状容器。」
<相違点1>
本願発明では「胴体用ブランク」が「金属箔で構成された金属箔層と金属箔の両面にそれぞれ接着剤層を介して積層されたフィルムで構成された熱融着性樹脂層とよりなる積層体から形成されたものであって、紙層を有して」いないものであり、「底体用ブランク」が「金属箔層と金属箔層の両面のうち少なくとも底体の上側となる面に積層された熱融着性樹脂層とよりなる積層体から形成されたものであ」るのに対し、引用発明では、「胴部ブランク2′及び底部ブランク3′」を得る「積層材10」が「基材としての紙基材11と、その紙基材11の一方の面11aを覆うポリエチレン層12と、紙基材11の他方の面11bを覆う接着性樹脂層13と、接着性樹脂層13の上に貼り付けられたフィルム14とを備えて」いるものである点。
<相違点2>
本願発明では、「胴体の下端部の内面および底体の垂下部の外面がこれらの面を構成している熱融着性樹脂層どうしを熱融着することにより接合されて」いるのに対し、引用発明では、「底部ブランク3′の屈曲部と胴部ブランク2′の下端部とが重なり合う部分をホットエアーにて溶融し、その部分に所定の圧力を加えることによりこれらを一体化」しているものの、「胴部ブランク2′の下端部」の内面、及び「底部ブランク3′の屈曲部」の外面の熱融着性樹脂層どうしを熱融着する構成か否か不明である点。
<相違点3>
本願発明では、「胴体のオーバーラップ部において、胴体の内側に位置する胴体用ブランクの内側端面が、胴体用ブランクの両端縁部の熱融着性樹脂層どうしを熱融着する際に形成された内側樹脂溜まり部によって被覆されている」のに対し、引用発明では、「胴部ブランク2′の両端部2a′を重ね合わせた状態とし、端部2a′を避けてフィルム14が貼り付けられていることにより、一方の接着性樹脂層13と他方のポリエチレン層12とが接触し、両端部2a′に圧力と熱とを加えるヒートシール加工を施して、両端部2a′を熱融着にて互いに接着」する構成であるものの、「内側樹脂溜まり部によって被覆されている」ことについて規定していない点。
2 判断
(1)<相違点1>について
引用発明の「紙カップ1」について、引用文献1の【0033】には、「基材の材質は紙に限らず、二軸延伸されたポリプロピレン等の樹脂、アルミ等の金属であってもよい。この場合には、紙以外を素材とした容器を得ることができる。」と記載されており、引用文献1の【0008】の、発明が解決しようとする課題である「容器の最外面にどのような素材のフィルムを貼り付けた場合でもブランクの両端部の接着性に影響を与えることがない容器及びその製造方法を提供する」ものである限りにおいて、基材の材質を適宜選択できるものであり、ブランクの両端部の接着性に影響を与えることがない範囲で、積層構造についても適宜決定し得るものである。
ここで、上記第4の2(6)アで周知技術1として示すとおり「容器用の包装材を、金属箔で構成された金属箔層と金属箔の両面にそれぞれ接着剤層を介して積層されたフィルムで構成された熱融着性樹脂層とよりなる積層体から作製すること。」は周知の技術である。そうすると、引用発明の「紙カップ1」の「胴部ブランク2′及び底部ブランク3′」を得る「積層材10」における、「基材としての紙基材11と、その紙基材11の一方の面11aを覆うポリエチレン層12と、紙基材11の他方の面11bを覆う接着性樹脂層13」に、周知技術1を適用し、上記相違点1に係る本願発明の「胴体用ブランク」及び「底体用ブランク」の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(2)<相違点2>について
引用発明は「胴部ブランク2′を、積層材10のフィルム14が外側に、ポリエチレン層12が内側に位置するようにして円筒状に丸め、」「紙カップ1」を構成するものであるが、「紙カップ1」において、「底部ブランク3′」も「胴部ブランク2′」も容器の内側において、内容物と接する環境になるという事情は同様であるといえ、「底部ブランク3′」についても「胴部ブランク2′」と同様に、フィルム14を容器の外側に、ポリエチレン層12を容器の内側に位置するように配置することは、当業者にとって容易に想到し得たことである。そうすると、この場合「胴部ブランク2′の下端部」の内面、及び「底部ブランク3′の屈曲部」の外面には、「ポリエチレン層12」が配置するものであり、熱融着性樹脂層である当該「ポリエチレン層12」によって、「ホットエアーにて溶融し、その部分に所定の圧力を加えることによりこれらを一体化する」構成となるものである。
以上のとおり、引用発明に基いて相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(3)<相違点3>について
引用発明の「紙カップ1」について、引用文献1の【0002】には、「紙カップ等に代表される容器は店頭飲食用として幅広く使用されている他、飲料、菓子等を充填して販売する包装容器としても広く使用されている。」と記載されており、引用発明の「紙カップ1」の内面に、内容物が直接接触する使用が前提となっており、引用発明の「紙カップ1」のように、「胴部ブランク2′の両端部2a′を重ね合わせた状態とし、内側に位置する端部2a′を避けてフィルム14が貼り付けられていることにより、一方の接着性樹脂層13と他方のポリエチレン層12とが接触し、両端部2a′に圧力と熱とを加えるヒートシール加工を施して、両端部2a′を熱融着にて互いに接着」する構成の場合、当該直接接触により「紙カップ1」を構成する「積層材10」の層間剥離や腐食は、当該技術分野において内在する課題といえる。ここで、上記第4の2(6)イに周知技術2として示したとおり、「胴体用ブランクの両端部同士をオーバーラップさせて接合することにより筒状に成形されている胴体のオーバーラップ部において、胴体の内側に位置する胴体用ブランクの内側端面が、胴体用ブランクの両端縁部の熱融着性樹脂層どうしを熱融着する際に、熱融着性樹脂によって被覆されること。」は周知の技術であるが、当該技術分野において内在する課題を鑑みると、引用発明の「紙カップ1」に、胴体用ブランクの内側端面を被覆するという周知技術2を適用する動機付けは十分に存在するものである。そして、胴体用ブランクの両端縁部を被覆する熱融着性樹脂は、樹脂溜まり部を構成することは明らかである。
そうすると、引用発明の「紙カップ1」に、周知技術2を適用し、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(3)効果について
本願発明の奏する作用効果は、引用発明、周知技術1及び周知技術2の奏する作用効果から予測される範囲のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、周知技術1及び周知技術2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-018362