特許拒絶査定不服審判
2024-018093
コーティング材のスマート供給のための方法、装置、及びシステム
- 審判番号
- 2024-018093
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-198414
- 請求日
- 2024年11月12日
- 審決日
- 2026年03月12日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ザ・ボーイング・カンパニー
- 【請求人代理人】園田・小林弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 濱本 禎広
- 審判官 殿川 雅也
- 審判官 山本 一
- 分類
- P18 .113-Z (B05B) / P18 .121-Z (B05B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第4号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-198414「コーティング材のスマート供給のための方法、装置、及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔令和2年7月9日出願公開、特開2020-104100〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年10月31日(パリ条約による優先権主張 2018年(平成30年)11月2日(US)米国)の出願であって、その手続の経緯は、概略以下のとおりである。
令和5年10月12日付け:拒絶理由通知書
令和6年 4月24日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 7月 1日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
同月16日 :原査定の謄本の送達
令和6年11月12日 :審判請求書、手続補正書の提出
なお、優先権主張の2018年(平成30年)11月2日を、以下「優先日」という。
第2 本願発明
1 審判請求時の補正の適否について
(1)令和6年11月12日に審判請求と同時にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、本件補正前の請求項5に「前記ディスプレイが、視覚的インジケータ、聴覚的インジケータ、及び触覚的インジケータのうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載のシステム。」とあるのを、「前記ディスプレイが、視覚的インジケータ、及び聴覚的インジケータのうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載のシステム。」とするものである(下線は当審において付した)。
(2)本件補正は、令和6年7月1日付け拒絶査定において、明細書の記載をみても明確に理解することができないとされた「触覚的インジケータ」を削除して請求項5を明りょうな記載とするためにしたものであるから、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる、明りょうでない記載の釈明を目的とする補正である。
したがって、本件補正は適法にされたものである。
2 本願発明について
前記1のとおり、本件補正は適法になされたものであるから、本願の請求項1~6に係る発明は、令和6年11月12日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次に特定されるとおりである。
「 【請求項1】
実質的に均一なコーティングを堆積させるためのシステムであって、
少なくとも1つの状態パラメータ及び少なくとも1つの基板パラメータを検出するように構成された少なくとも1つの検出器、
コントローラ、
少なくとも1つの状態パラメータ又は少なくとも1つの基板パラメータのうちの少なくとも1つの収集を含み、前記コントローラと通信する少なくとも1つのメモリ、及び
前記コントローラと通信するコーティング材アプリケータ
を備え、
前記コントローラが、前記コーティング材アプリケータから基板へのコーティング材の放出を調節するように構成され、コーティング材の前記放出が、少なくとも1つの状態パラメータ又は少なくとも1つの基板パラメータに応じて行われるように構成され、前記基板が、基板表面を有し、前記状態パラメータが、周囲相対湿度を含む、システム。」
第3 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、令和5年10月12日付け拒絶理由通知書に記載した次の理由を含むものである。
理由2 本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった次の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由3 本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった次の引用文献1記載の発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特表2013-540047号公報
第4 当審の判断
1 引用文献の記載事項及び引用発明の認定
(1)引用文献1
ア 引用文献1の記載事項
原査定で引用文献1として引用され、本願の優先日前に発行された特表2013-540047号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は合議体が付した。以下同じ。)。
(ア)【請求項1】~【請求項2】
「【請求項1】
手持ち式の、動的に移動可能な面スパッタ装置(9)であって、
ターゲット面(3)上へのスパッタ材料(2)の放出のための少なくとも1つのノズル手段(1)と、
前記ノズル手段(1)の放出の特性を制御するためのノズル制御機構(4)であって、特に、前記特性が、放出方向、放出速度、放出発散性、放出幅、放出形状及び/又は放出材料比率を含む、ノズル制御機構と、
スパッタ材料サプライ(5)と、
ストレージであって、予め定義され、前記ストレージに記憶されたデジタル画像又はCADモデルに含まれる、所望のスパッタリングデータ(6)を有するストレージであって、特に、前記所望のスパッタリングデータ(6)が、前記ターゲット面(3)上にスパッタリングされる所望のパターンのデジタル表現であり、異なる属性でスパッタリングされる前記ターゲット面(3)の複数のセクションに関する情報を含む、ストレージと、
空間において前記スパッタ装置(10)を参照するための空間参照ユニット(7)であって、特に、前記ターゲット面(3)に対して、少なくとも5自由度で、位置及び角度判定手段によって、前記スパッタ装置(10)を参照するための、空間参照ユニット(7)と、
前記空間参照ユニット(7)によって獲得された情報、及び、前記所望のスパッタリングデータ(6)に従って、前記ノズル制御機構による放出を自動で制御するための計算手段(8)と、
を含み、
前記計算手段(8)が、前記ターゲット面(3)上における実際にスパッタリングが可能な範囲としての実際のスパッタリングスポットが、前記スパッタ装置(9)の実際の空間参照(7)、前記ノズル手段(1)の実際の放出特性のセット、及び、前記ノズル手段(1)の前記ターゲット面(3)に対する実際に測定又は算出された距離及び傾斜によって左右され、前記ノズル手段(4)の放出の特性を変化させることによって、前記ターゲット面(3)が前記所望のスパッタリングデータ(6)に従ってスパッタリングされるように、評価及び調整されるように構築されることを特徴とする、面スパッタ装置。
【請求項2】
前記空間参照ユニット(4)が、少なくとも5自由度で、特に、
慣性計測装置(IMU)、
電子距離計(EDM)、
グローバルポジショニングシステム(GPS)、
ローカルポジショニングシステム(LPS)、
測地装置、
パッシブ型多関節アーム、
立体カメラ、
3Dスキャナ、
RIMカメラ、
などの、前記前記スパッタ装置(9)に含まれる位置、角度、及び/又は慣性判定手段、及び/又は、前記前記スパッタ装置(9)に含まれる参照マーク、及び、前記スパッタ装置(9)の外部に設置される前記空間参照ユニット(4)、によって前記面スパッタ装置(9)を参照することを特徴とする、請求項1に記載の面スパッタ装置(9)。」
(イ)【0023】~【0027】
「【0023】
したがって、本発明の目的は、不安定又は最適ではないユーザの取り扱いの結果として生じるスパッタリングに対する負の影響を減少させる、改良された手持ち式の面スパッタ装置を提供することである。
【0024】
本発明の更なる目的は、ユーザの最適ではない取り扱いの影響を積極的に補正する、改良された手持ち式面スパッタ装置を提供することである。
【0025】
更なる目的は、ユーザが一般的なスパッタ作業を成し遂げるのを支援する面スパッタ装置を提供すること、及び、所望のスパッタリングの結果及び特性を達成することである。
【0026】
本発明の特別な目的は、ユーザが手持ち式スパッタ装置で既定のスパッタリングパターンをターゲット面に正確に適用するのを支援することである。
【0027】
本発明の更なる目的は、ターゲット形状、存在するスパッタ色、存在するスパッタ厚、存在するスパッタリングされた及びスパッタリングされていない範囲、温度などの、ターゲット面の特性に左右される放出特性を自動調整することが可能な装置を提供することである。」
(ウ)【0032】~【0033】
「【0032】
スパッタ装置は、また、ノズル手段の放出の特性、特に放出方向、放出速度、放出発散性、放出幅、放出形状及び/又は放出材料比率、パルスタイミング、パルス幅並びにパルス繰り返しを制御するノズル制御機構を含む。射出されるスパッタ材料を提供するために、スパッタ装置は、内部又は外部の材料タンクに結合可能なスパッタ材料サプライを含む。スパッタ装置は、更に、所望のスパッタリングデータを有するストレージを含み、ストレージは、固定設置されたメモリ手段として、メモリカード、USB-Stick等を受け入れるスロットとして、及び、有線又は無線ネットワークストレージとして実施可能である。所望のスパッタリングデータは、予め定義され、そして、ストレージに記憶されたデジタル画像又はCADモデルに含まれる。
【0033】
空間参照ユニットは、特に、少なくとも5つの自由度で、ターゲット面に対してスパッタ装置を参照するために含まれる。参照は、慣性計測装置(Inertial measurement unit(IMU))、電子距離計(Electronic distance meter(EDM))、測地装置(Geodetic instrument)、立体カメラ(Stereographic camera)、3Dスキャナ(3D-Scanner)、及び/又は、スパッタ装置の外部に配置された空間参照ユニット用の参照マークなどの、位置、角度、及び/又は慣性判定手段によって行われる。」
(エ)【0042】~【0045】
「【0042】
最も単純な実施形態の1つとしては、スパッタ材料によってターゲット面の均一な塗装を達成するために、ターゲット面への距離及び/又は傾斜角に従って、ノズル(単数又は複数)の放出特性を自動で調整する、手持ち式の塗装ガンを挙げることができる。
・・・中略・・・
【0045】
基本的なバージョンでは、装置は、ターゲット目的物に対する現在の座標、姿勢及び/又は距離などの空間参照を決定し、スパッタ材料、特に塗料を放出又は噴霧すべきかをこの空間参照に基づいて決定する。塗料を噴霧するかどうかの判断において、装置は、現在の範囲が既に塗装されているのか又は未塗装のままにすべきかのような、更なる情報を取り入れることもできる。」
(オ)【0106】~【0113】
「【0106】
ターゲット面3上にスパッタ材料2を放出、射出又は噴霧するように設計されたノズル手段1。ノズル手段1は、ノズル手段1の放出特性(又は射出の特性)を制御するノズル制御機構4を含む。
【0107】
放出特性は、スパッタ材料2の放出ジェットの形状及び/又は方向に影響を与え、例えば、方向、ジェット形状、ジェット発散性、圧力、速度、材料比率、押し出し速度、集合状態といったパラメータ及び/又は放出されるスパッタ材料の組成等によって、定義可能である。
【0108】
スパッタ材料2(引用符号は放出されたスパッタ材料のジェットを実際に示す)は、例えば、液体、固体、気体又はこれらの状態の混合といった、種々の性質を有することが可能である。スパッタ材料の一般的な例は、塗料、仕上塗料、ラッカー、インク及び粉末であるが、それだけでなく、コンクリート、ワックス、プラスチック、アスベスト、砂及びその他多数の材料が、本発明に従って放出可能である。スパッタ材料2は、スパッタ装置9に配置された、タンク又は容器などの、ストレージ12又は外部のスパッタ材料ストレージ12からのパイプラインとして実施可能なスパッタ材料サプライ5によって、ノズル手段1に供給される。
【0109】
ターゲット面3は、また、シートメタル、壁、床、地面、天井、道路、機械、自動車又は航空機ボディ、艇体、衣服等のような、いろいろな目的物として、実施可能である。ターゲット面3は、また、前述の目的物の、一定の範囲に限定可能である。ターゲット面は、任意の形状であってもよく、端部、角部、凹部、障害物等も含む。
【0110】
ターゲット面3に向けられたスパッタ材料2の放出ジェットは、ターゲット面3上のスパッタ材料2のスポットをもたらす。スポットは、放出、及び、ノズル手段1とターゲット面3間の距離11の特性、並びに、ターゲット面3に対する放出方向の傾斜に左右される、ターゲット面上のスポット形状及びスポットサイズ10によって、特徴づけることができる。
【0111】
いろいろな放出特性をもたらすノズル手段1の、射出の放出特性を制御するノズル制御機構4は、放出の簡単なオンオフ切り替えから、例えば、モータ及び/又は弁、特にマイクロモータ及び/又はマイクロ弁によって調整可能な、機械的及び/又は空気力学的な手段による多様な上記放出特性の制御まで様々なものが可能である。放出は、また、圧電、熱的又は他の効果によって開始可能だが、これらの効果が、ノズル制御手段、及び、スパッタ材料サプライ5の圧力又は流速によって影響されることもあり得る。
【0112】
計算手段8は、ノズル調節機構4を制御又は調節する。計算手段は、マイクロコントローラ、組み込みシステム、パーソナルコンピュータ、又は、分散システムの形で実装される。分散システムでは、実際の手持ち式スパッタ装置が基本的な計算ユニットのみを含み、その計算ユニットは、他の計算手段との通信リンクを確立する。他の計算手段は、例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップ又はワークステーションなどの、手持ち式装置の内部のものよりも優れた容量及び性能を有することができる。
【0113】
計算手段8は、RAM、ROM、ハードディスク、メモリカード、USB-Stickなどで実施可能な少なくとも1つのストレージ、を含む、又は、に接続され、このストレージは、固定若しくは取り外し可能のいずれか、又は、その両者の組み合わせにすることできる。」
(カ)【0174】
「【0174】
本発明によるスパッタ装置9の実施形態は、スパッタ材料の乾燥状況に影響を与える温度、風速、湿度、時間及び他の要因といった、局所の環境条件を決定するための別の環境センサ6A、を含むこともでき、又は、に連結することができる。これらのセンサ6Aによって集められた環境情報は、例えば多層塗装でノズル制御機構に命令をするために、計算手段によって使用され得る。更に、粘度、流速、供給ストック等を決定するような、スパッタ材料を分析するためのセンサ6Aもあり得る。また、重力の方向が、所望の放出特性の決定に考慮され得る。」
イ 引用文献1から把握できる事項
(ア)前記ア(ア)の【請求項1】に「前記スパッタ装置(10)を参照する」とあるのは、【請求項1】の「面スパッタ装置(9)」、前記ア(ウ)の【0033】の「空間参照ユニットは、特に、少なくとも5つの自由度で、ターゲット面に対してスパッタ装置を参照するために含まれる。」との記載、前記ア(オ)の【0108】の「スパッタ装置9」などの記載を踏まえると、「前記スパッタ装置(9)を参照する」の誤りであると認められる。
(イ)前記ア(ア)の【請求項1】に「前記ノズル手段(4)の放出の特性」とあるのは、【請求項1】の「前記ノズル手段(1)の放出の特性」、前記ア(オ)の【0111】の「いろいろな放出特性をもたらすノズル手段1の、射出の放出特性を制御するノズル制御機構4」との記載を踏まえると、「前記ノズル手段(1)の放出の特性」の誤りであると認められる。
(ウ)前記ア(ア)の【請求項2】に「前記空間参照ユニット(4)」とあるのは、【請求項1】の「前記スパッタ装置(10)を参照するための、空間参照ユニット(7)」、前記ア(ウ)の【0033】の「空間参照ユニットは、特に、少なくとも5つの自由度で、ターゲット面に対してスパッタ装置を参照するために含まれる。参照は、慣性計測装置(Inertial measurement unit(IMU))、電子距離計(Electronic distance meter(EDM))、測地装置(Geodetic instrument)、立体カメラ(Stereographic camera)、3Dスキャナ(3D-Scanner)、及び/又は、スパッタ装置の外部に配置された空間参照ユニット用の参照マークなどの、位置、角度、及び/又は慣性判定手段によって行われる」との記載を踏まえると、「前記空間参照ユニット(7)」の誤りであると認められる。
ウ 引用発明
前記ア及びイより、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
ここで、各部材に付された参照すべき図番を括弧なしで統一するとともに、「面スパッタ装置(9)」、「スパッタ装置(9)」は同一の装置を表すことは明らかであるから「スパッタ装置9」で統一した。「ノズル制御機構」、「計算手段」とあるのは、「ノズル制御機構4」、「計算手段8」の表記で統一した。
「 手持ち式の、動的に移動可能なスパッタ装置9であって、
ターゲット面3上へのスパッタ材料2の放出のための少なくとも1つのノズル手段1と、
前記ノズル手段1の放出の特性を制御するためのノズル制御機構4であって、特に、前記特性が、放出方向、放出速度、放出発散性、放出幅、放出形状及び/又は放出材料比率を含む、ノズル制御機構と、
ストレージであって、予め定義され、前記ストレージに記憶されたデジタル画像又はCADモデルに含まれる、所望のスパッタリングデータ6を有するストレージと、
空間において前記スパッタ装置9を参照するための空間参照ユニット7であって、前記ターゲット面3に対して、位置及び角度判定手段によって、前記スパッタ装置9を参照するための、空間参照ユニット7と、
前記空間参照ユニット7によって獲得された情報、及び、前記所望のスパッタリングデータ6に従って、前記ノズル制御機構4による放出を自動で制御するための計算手段8と、
を含み、
前記計算手段8が、前記ターゲット面3上における実際にスパッタリングが可能な範囲としての実際のスパッタリングスポットが、前記スパッタ装置9の実際の空間参照7、前記ノズル手段1の実際の放出特性のセット、及び、前記ノズル手段1の前記ターゲット面3に対する実際に測定又は算出された距離及び傾斜によって左右され、前記ノズル手段1の放出の特性を変化させることによって、前記ターゲット面3が前記所望のスパッタリングデータ6に従ってスパッタリングされるように、評価及び調整されるように構築され(前記ア(ア)【請求項1】、イ(ア)~(イ))、
前記空間参照ユニット7が、慣性計測装置(IMU)、電子距離計(EDM)、グローバルポジショニングシステム(GPS)、ローカルポジショニングシステム(LPS)、測地装置、パッシブ型多関節アーム、立体カメラ、3Dスキャナ、RIMカメラ、などの、前記スパッタ装置9に含まれる位置、角度、及び/又は慣性判定手段によって前記スパッタ装置9を参照し(前記ア(ア)【請求項2】、イ(ウ))、
目的は、ターゲット形状、存在するスパッタ色、存在するスパッタ厚、存在するスパッタリングされた及びスパッタリングされていない範囲、温度などの、ターゲット面の特性に左右される放出特性を自動調整することが可能な装置を提供することであり(前記ア(イ)【0027】)、
実施形態の1つとしては、スパッタ材料によってターゲット面の均一な塗装を達成するために、ターゲット面への距離及び/又は傾斜角に従って、ノズル(単数又は複数)の放出特性を自動で調整する、手持ち式の塗装ガンを挙げることができ(前記ア(エ)【0042】)、
基本的なバージョンでは、装置は、ターゲット目的物に対する現在の座標、姿勢及び/又は距離などの空間参照を決定し、スパッタ材料、特に塗料を放出又は噴霧すべきかをこの空間参照に基づいて決定し(前記ア(エ)【0045】)、
ターゲット面3は、シートメタル、壁、床、地面、天井、道路、機械、自動車又は航空機ボディ、艇体、衣服等のような、いろいろな目的物として、実施可能であり(前記ア(オ)【0109】)、
計算手段8は、RAM、ROM、ハードディスク、メモリカード、USB-Stickなどで実施可能な少なくとも1つのストレージに接続され(前記ア(オ)【0113】)、
スパッタ材料の乾燥状況に影響を与える温度、風速、湿度、時間及び他の要因といった、局所の環境条件を決定するための別の環境センサ6A、を含むこともでき、これらのセンサ6Aによって集められた環境情報は、例えば多層塗装でノズル制御機構4に命令をするために、計算手段8によって使用され得る(前記ア(カ)【0174】)、
スパッタ装置9」
(2)周知事項
ア 本願の優先日前に発行された特開平1-299672号公報には、次の事項が記載されている。
・第2頁右上欄第7行~同頁左下欄第6行
「水系塗料においては、溶媒が単一(水)であるため、溶剤系塗料の場合のように、気温の変化に応じて蒸気圧の異なる溶媒に取り替えることはできず、さらに、溶媒である水の蒸発速度は、ブース内の気温によって規制されるだけではなく、ブース内の湿度によっても規制される。このため、ブース内の空気に対して、前記のような概ね季節変化に対応する空調を行ったのでは、塗料中の水の蒸発速度が温度と湿度とに応じて変化し、被塗装物上に形成されるウェット塗膜の粘度が大幅に変動し、該粘度が適切でないときには、タレ、ワキ、肌不良、メタル止まり不良等の不具合が発生するといった問題があった。
そこで、従来は、含水物質の乾燥速度が、一般的に空気の乾燥度の指標として用いられる相対湿度に関連しているという事実に着目して、水系塗料の塗装時には、ブース内の空気の相対湿度を比較的低い所定のほぼ一定値に保つことによって、塗装時の塗料から水の蒸発速度を一定化するようにしている。」
イ 本願の優先日前に発行された特表平9-502923号公報には、次の事項が記載されている。
・第5頁第2~3行
「水系塗料は、一般には、高い相対湿度の条件下では重大な塗膜欠陥なしに塗布することができない。」
ウ 本願の優先日前に発行された特公昭53-5048号公報には、次の事項が記載されている。
・第2頁第3欄第5~43行
「一方、水系塗料は、塗装時における塗料粘度と雰囲気中の湿度とは、塗装仕上りに対して、非常に重要な要素となつている。すなわち、水系塗料を用いる場合、従来の有機溶剤系塗料における公知の塗装技術をもつてしては、とくに塗装環境中の湿度が高い場合とか、常に大きく変化する場合とかにおいては、塗装仕上りに大きく影響を与えるために安定した作業をすることはむずかしい。
・・・中略・・・
しかし、この水系塗料といえども、塗装工程での相対湿度を50%以下の条件に限定した場合には、従来公知の有機溶剤系塗料の塗装技術をそのまま応用することができるため、塗装時の塗料粘度を岩田カツプ測定値で15ないし30秒にすれば、平滑な外観性のよい塗膜を得ることができる。しかし、実際には、塗装工程での相対湿度が50%以下での保持とは、作為的に設定された条件下での塗装を意味し、塗装工程全体にわたって除湿設備を必要とするため、設備的、塗装コスト的に大きな問題となつている。」
エ 前記ア~ウのとおりであるから、次に示す事項は、塗装分野において、優先日前に当業者に広く知られた周知の事項(以下「周知事項」という。)と認められる。
「水系塗料の塗装工程において、塗膜の仕上がりに雰囲気中の相対湿度が影響すること。」
2 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「スパッタ装置9」は、「ノズル手段1」、「ノズル制御機構4」、「ストレージ」、「空間参照ユニット7」、「計算手段8」等を含んでおり、ひとまとまりのシステムであるといえる。そして、「スパッタ材料によってターゲット面の均一な塗装を達成するために、ターゲット面への距離及び/又は傾斜角に従って、ノズル(単数又は複数)の放出特性を自動で調整する、手持ち式の塗装ガン」が実施形態として挙げられており、スパッタ材料によるターゲット面の均一な塗装は均一なコーティングをターゲット面に堆積させることといえるから、本願発明と引用発明は、「実質的に均一なコーティングを堆積させるためのシステム」の発明である点で一致する。
(2)引用発明の「シートメタル、・・・自動車又は航空機ボディ、艇体・・・等」を目的物とする「ターゲット面3」は、本願発明の「基板」といえ、これらが「基板表面」を有することは自明である。
(3)ア 本願発明の「基板パラメータ」に関して、令和6年11月12日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項3に「前記基板パラメータが、基板識別子、基板形状、基板位置、前記基板表面から前記コーティング材アプリケータへの距離、前記基板表面に対する前記コーティング材の堆積の角度、及び前記コーティング材アプリケータに対する前記基板の運動を表す運動パターンのうちの少なくとも1つを含む」と記載されている。
イ 一方、引用発明の「空間において前記スパッタ装置9を参照するための空間参照ユニット7」は、「ターゲット面3に対して、位置及び角度判定手段によって、前記スパッタ装置9を参照する」、又は、「慣性計測装置(IMU)、電子距離計(EDM)、グローバルポジショニングシステム(GPS)、ローカルポジショニングシステム(LPS)、測地装置、パッシブ型多関節アーム、立体カメラ、3Dスキャナ、RIMカメラ、などの、前記スパッタ装置9に含まれる位置、角度、及び/又は慣性判定手段によって前記スパッタ装置9を参照」するものであり、さらに、引用発明は「前記ノズル手段1の前記ターゲット面3に対する実際に測定又は算出された距離及び傾斜によって左右され」、「基本的なバージョンでは、装置は、ターゲット目的物に対する現在の座標、姿勢及び/又は距離などの空間参照を決定」するものであるから、引用発明の「空間参照ユニット7によって獲得された情報」は、各種判定手段によって参照された、スパッタ装置9のターゲット面3に対する座標、姿勢及び/又は距離等であると理解できる。
したがって、前記アを踏まえると、引用発明の「空間参照ユニット7によって獲得された情報」は、本願発明の「少なくとも1つの基板パラメータ」に相当し、引用発明の「スパッタ装置9」が含む「空間参照ユニット7」は、本願発明の「少なくとも1つの基板パラメータを検出するように構成された」「検出器」といえる。
(4)ア 本願発明の「状態パラメータ」は、「周囲相対湿度を含む」ものであり、また、令和6年11月12日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項2に「前記状態パラメータが、周囲温度、コーティング材の流量、及び堆積されたコーティング材の厚さのうちの少なくとも1つを更に含む」と記載されている。
イ 一方、引用発明の「スパッタ装置9」は、「スパッタ材料の乾燥状況に影響を与える温度、風速、湿度、時間及び他の要因といった、局所の環境条件を決定するための別の環境センサ6A、を含むこともでき」、「これらのセンサ6Aによって集められた環境情報は、例えば多層塗装でノズル制御機構4に命令をするために、計算手段8によって使用され得る」ものであるから、前記アを踏まえると、引用発明の「温度」、「湿度」といった「環境条件」を決定するために「環境センサ6A」によって集められた「環境情報」は、本願発明の「少なくとも1つの状態パラメータ」に相当し、引用発明の「環境センサ6A」は、本願発明の「少なくとも1つの状態パラメータを検出するように構成された」「検出器」といえる。
(5)前記(3)及び(4)より、本願発明の「システム」と引用発明の「スパッタ装置9」は、「少なくとも1つの状態パラメータ及び少なくとも1つの基板パラメータを検出するように構成された少なくとも1つの検出器」を備えるものである点で一致する。
(6)引用発明の「ノズル手段1」は、「ターゲット面3上へのスパッタ材料2の放出のため」のものであり、「スパッタ材料」は「特に塗料」であるから、引用発明の「ノズル手段1」及び「ノズル手段1の放出の特性を制御するためのノズル制御機構4」は、本願発明の「コーティング材アプリケータ」といえる。
また、引用発明の「前記ノズル制御機構4による放出を自動で制御するための計算手段8」は、本願発明の「前記コーティング材アプリケータから基板へのコーティング材の放出を調整するように構成」された「コントローラ」といえる。
さらに、引用発明の「スパッタ装置9」が含む「計算手段8」は、「RAM、ROM、ハードディスク、メモリカード、USB-Stickなどで実施可能な少なくとも1つのストレージに接続され」ており、当該「少なくとも1つのストレージ」は本願発明の「少なくとも1つのメモリ」といえ、「計算手段8」と「少なくとも1つのストレージ」は、接続される以上、通信していることは自明である。
また、引用発明の「計算手段8」が「前記ノズル制御機構4による放出を自動で制御する」以上、「ノズル制御機構4」が「計算手段8」と通信するものであることは自明である。
以上を踏まえると、本願発明の「システム」と引用発明の「スパッタ装置9」は、「コントローラ」、「前記コントローラと通信する少なくとも1つのメモリ」及び「前記コントローラと通信するコーティング材アプリケータ」を備えるものである点で一致する。
(7)引用発明の「計算手段8」は、「前記ノズル手段1の放出の特性を変化させることによって、前記ターゲット面3が前記所望のスパッタリングデータ6に従ってスパッタリングされるように、評価及び調整されるように構築され」ており、本願発明の「コントローラ」と引用発明の「計算手段8」は、前記(6)を踏まえると、「前記コーティング材アプリケータから基板へのコーティング材の放出を調節するように構成され」るものである点で一致する。
(8)ア 引用発明の「計算手段8」は、「前記空間参照ユニット7によって獲得された情報」「に従って、前記ノズル制御機構4による放出を自動で制御する」ものであり、本願発明の「コントローラ」と引用発明の「計算手段8」は、前記(3)、(6)~(7)を踏まえると、「コーティング材の前記放出が」、「少なくとも1つの基板パラメータに応じて行われるように構成され」るものである点で一致する。
イ 引用発明は、「局所の環境条件を決定するための別の環境センサ6A、を含むこともでき、これらのセンサ6Aによって集められた環境情報は、例えば多層塗装でノズル制御機構4に命令をするために、計算手段8によって使用され得る」のであるから、前記(4)、(6)~(7)を踏まえると、「コーティング材の前記放出が」、「少なくとも1つの状態パラメータ」「に応じて行われるように構成され」るものである点で一致する。
ウ 前記ア及びイを踏まえると、本願発明の「コントローラ」と引用発明の「計算手段8」は、「コーティング材の前記放出が、少なくとも1つの状態パラメータ又は少なくとも1つの基板パラメータに応じて行われるように構成され」るものである点で一致する。
(9)ア 前記(4)で示したとおり、引用発明において、「環境センサ6A」によって集められた「環境情報」は、「温度」、「湿度」といった「環境条件」を決定するものであるから、「環境情報」に「周囲」の「湿度」に関する情報が含まれていることは明らかである。
イ 前記アを踏まえると、本願発明において「前記状態パラメータが、周囲相対湿度を含む」ことと、引用発明において「環境情報」に「周囲」の「湿度」に関する情報が含まれることは、「前記状態パラメータが、周囲湿度を含む」点において共通する。
(10)前記(1)~(9)より、本願発明と引用発明とは、以下の一致点、一応の相違点を有する。
[一致点]
「実質的に均一なコーティングを堆積させるためのシステムであって、
少なくとも1つの状態パラメータ及び少なくとも1つの基板パラメータを検出するように構成された少なくとも1つの検出器、
コントローラ、
前記コントローラと通信する少なくとも1つのメモリ、及び
前記コントローラと通信するコーティング材アプリケータ
を備え、
前記コントローラが、前記コーティング材アプリケータから基板へのコーティング材の放出を調節するように構成され、コーティング材の前記放出が、少なくとも1つの状態パラメータ又は少なくとも1つの基板パラメータに応じて行われるように構成され、前記基板が、基板表面を有し、前記状態パラメータが、周囲湿度を含む、システム。」
[一応の相違点1]
本願発明の「少なくとも1つのメモリ」が「少なくとも1つの状態パラメータ又は少なくとも1つの基板パラメータのうちの少なくとも1つの収集を含」むのに対して、
引用発明の「少なくとも1つのストレージ」が「空間参照ユニット7によって獲得された情報」、「環境情報」のうちの少なくとも1つを収集するものであることが特定されていない点。
[一応の相違点2]
「状態パラメータ」に含まれる「周囲湿度」が、
本願発明においては、「周囲相対湿度」であるのに対して、
引用発明においては、周囲の湿度であるものの、周囲相対湿度であるか不明な点。
3 判断
(1)一応の相違点1について
引用発明においては、「空間参照ユニット7によって獲得された情報」「に従って、前記ノズル制御機構4による放出を自動で制御するための計算手段8」を有し、「センサ6Aによって集められた環境情報は、例えば多層塗装でノズル制御機構4に命令をするために、計算手段8によって使用され得る」のであるから、「空間参照ユニット7によって獲得された情報」、及び、「環境情報」は、いずれも「計算手段8」によって、「ノズル制御機構4」の制御に使用されるものと認められる。
そうすると、計算手段において、使用する情報をなんらかの記憶手段に格納しておくことは、ごく一般に行われる事項であるところ、引用発明の「計算手段8」が「少なくとも1つのストレージに接続され」ていることからみて、使用される「空間参照ユニット7によって獲得された情報」、及び、「環境情報」を当該ストレージに格納することは、引用発明が当然に備える構成といえる。
また、当然に備えるとまでいえないとしても、当該ストレージに格納するようになすことは、引用発明の具体化に際し、当業者が適宜なし得る程度の設計変更にすぎない。
したがって、当該一応の相違点1は、実質的な相違点ではない。又は、引用発明において、前記一応の相違点1に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
(2)一応の相違点2について
前記1(5)の周知事項に示したとおり、水系塗料の塗装工程において、塗膜の仕上がりに雰囲気中の相対湿度が影響することは、優先日前に当業者に広く知られた事項であって、引用発明の「スパッタ材料の乾燥状況に影響を与える温度、風速、湿度、時間及び他の要因といった、局所の環境条件」に含まれる湿度は、雰囲気中、すなわちノズル手段1の周囲の「相対湿度」をいうものと理解できる。仮にそうでないとしても、少なくとも引用発明の「湿度」にノズル手段1の周囲の「相対湿度」が包含されることは、当業者に明らかである。
そうすると、周知事項を踏まえれば、引用発明において、環境条件を決定するための「環境センサ6A」が集める「環境情報」として、「周囲相対湿度」が含まれていることは自明であるといえるか、「周囲相対湿度」を含めるようなすことに格段の困難性はない。
したがって、当該一応の相違点2は、実質的な相違点ではない。又は、引用発明において、前記一応の相違点2に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
(3)審判請求人の主張について
ア 審判請求書における主張
審判請求人は、令和6年11月12日提出の審判請求書において、概略以下のとおり主張する。
引用文献1明細書の【0027】、【0032】の記載から、引用文献1における放出の特性又は放出特性は、周囲相対湿度を含むものではなく、また、引用文献1明細書の【0027】は、放出特性がターゲット面の特性に左右される旨を開示し、当業者であれば、周囲相対湿度は、固体であるターゲット面の特性に依存しないと理解するものであるから、当業者であっても、引用文献1における放出特性として、周囲相対湿度を採用しない。
引用文献1は、状態パラメータが周囲相対湿度を含むとの技術的特徴について記載も示唆もないから、当業者であっても、引用文献1に係る発明に基づいて、本願請求項に係る発明に容易に想到しない。
イ 主張に対する検討
前記1(1)ア(オ)【0106】~【0107】の記載からみて、引用文献1の放出特性とは、ノズル手段1の放出特性をいうものであるから、前記アにおける、引用文献1における放出特性として、周囲相対湿度を採用しないとの主張は、引用文献1における放出特性を左右するパラメータとして、周囲相対湿度を採用しないとの主張と解釈して以下検討する。
前記1(1)ア(カ)に示すとおり、引用文献1の【0174】において、スパッタ材料の乾燥状況に影響を与えるパラメータとして、湿度が挙げられており、湿度を含む局所の環境条件を決定するための別の環境センサ6Aを含むこともできることが記載されるとともに、これらのセンサ6Aによって集められた環境情報は、例えば多層塗装でノズル制御機構に命令をするために、計算手段によって使用され得ることが記載されている。したがって、多層塗装などのスパッタ材料の乾燥状況が影響する状況においては、環境情報に応じたノズル制御機構への命令を行う記載又は示唆が引用文献1にはあると認められる。
そして、前記(2)で述べたとおり、「少なくとも1つの状態パラメータ」に相当する「環境情報」として、「周囲相対湿度」が含まれていることは自明であるといえる。仮に自明とまではいえないとしても、「周囲相対湿度」を含めるようになすことに格段の困難性はないから、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものでないという前記アの主張はあたらない。
(4)小括
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明と実質的な相違点がないか、又は、引用発明において前記一応の相違点1~2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願発明の奏する作用効果としては、当業者が予測困難であり、格別顕著なものは、認めることができない。
したがって、本願発明は、引用発明と同一である。また、本願発明は、引用発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、同条同項の規定により、特許を受けることができないものである。また、本願発明は、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるから、同条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-018093