特許拒絶査定不服審判
2024-015228
不正駐車管理方法、不正駐車管理装置、不正駐車管理システム及びコンピュータプログラム
- 審判番号
- 2024-015228
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-004500
- 請求日
- 2024年09月24日
- 審決日
- 2025年07月24日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】野田 大智
- 【請求人代理人】河野 英仁
- 【請求人代理人】河野 登夫
- 審判長/審判官
- 審判長 相崎 裕恒
- 審判官 間野 裕一
- 審判官 岡北 有平
- 分類
- P18 .113-Z (G06Q) / P18 .121-Z (G06Q) / P18 .14 -Z (G06Q) / P18 .537-Z (G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023- 4500「不正駐車管理方法、不正駐車管理装置、不正駐車管理システム及びコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 6年 7月26日出願公開、特開2024-100476〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和5年1月16日を出願日とする特許出願であって、その手続の経緯の概略は、以下のとおりである。
令和5年 2月21日付け:拒絶理由通知書
令和5年 4月28日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 6月19日付け:拒絶理由通知書
令和5年10月20日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年11月27日付け:拒絶理由通知書
令和6年 3月27日 :意見書の提出
令和6年 6月14日付け:拒絶査定
令和6年 9月24日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和7年 1月 7日付け:前置報告書
令和7年 4月18日 :上申書の提出
第2 令和6年9月24日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年9月24日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項15は次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項15】
巡回員が巡回員端末装置の不正車両報告画面から不正駐車車両の車両ナンバー、防犯登録番号、及び写真の少なくとも一つを含む不正車両情報、並びに前記不正駐車車両を解錠するための解錠情報を含む報告を入力することにより前記巡回員端末装置が前記報告を取得し、
取得した前記報告及び前記報告に割り振られる識別情報を不正駐車管理装置へ前記巡回員端末装置が送信する、
不正駐車管理方法。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の特許請求の範囲の請求項15は、令和5年10月20日に提出された手続補正書により補正された次のとおりのものである。
「【請求項15】
巡回員が入力した不正駐車車両の報告に含まれる、前記不正駐車車両の車両ナンバー、防犯登録番号、及び写真の少なくとも一つを含む不正車両情報及び前記不正駐車車両を解錠するための解錠情報を巡回員端末装置が取得し、
取得した不正車両情報及び解錠情報を不正駐車管理装置へ前記巡回員端末装置が送信する、
不正駐車管理方法。」
2 補正の適否
(1)補正事項
本件補正後の請求項15の記載は、前記1(1)に示したとおりであるところ、本件補正は以下のア~エの補正事項からなるものと認められる。
ア 巡回員端末装置が取得する情報を、「不正駐車車両の報告に含まれる、前記不正駐車車両の車両ナンバー、防犯登録番号、及び写真の少なくとも一つを含む不正車両情報及び前記不正駐車車両を解錠するための解錠情報」から、「不正駐車車両の車両ナンバー、防犯登録番号、及び写真の少なくとも一つを含む不正車両情報、並びに前記不正駐車車両を解錠するための解錠情報を含む報告」に補正する。
イ 巡回員端末装置が取得する情報が、「前記報告」であることを特定する。
ウ 巡回員が「巡回員端末装置の不正車両報告画面から」情報を入力することを特定する。
エ 不正駐車管理装置へ前記巡回員端末装置が送信する情報を、「不正車両情報及び解錠情報」から、「前記報告及び前記報告に割り振られる識別情報」へと補正する。
(2)新規事項について
上記ア~エについて、本願の願書に最初に添付した明細書等(以下「当初明細書等」という。)の段落【0045】~【0046】の記載からみて、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされた補正であり、特許法第17条の2第3項の規定に適合するものである。
(3)補正の目的について
アについて、巡回員端末装置が取得する情報が、情報そのものではなく、各情報を含む「報告」であることを明確にするための補正といえるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
イについて、巡回員端末装置が取得する情報が、「前記報告」であることを明確にするための補正といえるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
ウについて、巡回員が情報を入力する手段を特定するための補正であり、限定的減縮を目的とするものである。
エについて、不正駐車管理装置へ前記巡回員端末装置が送信する情報に「識別情報」が含まれることを特定するための補正であり、限定的減縮を目的とするものである。
そして、本件補正による補正前の請求項15に記載された発明と、補正後の請求項15に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、同条第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、または同条第5項第4号に該当する明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(4)独立特許要件について
本件補正発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
ア 本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
イ 引用文献の記載事項
(ア)引用文献1(中国特許出願公開第109658552号明細書)
a 引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、中国特許出願公開第109658552号明細書(平成31年4月19日公開。以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(なお、下線は当審にて付与した。以下同じ。)
「
[図:0001427706000001.jpg]
」
(当審訳)
「背景技術
【0002】車両の乱停乱放は、現在の都市管理における大きな問題であり、特に乱停乱放されている非機動車両については、大部分の非機動車両が法的効力を持つ物理的または電子的ナンバープレートを装着していないため、執行機関が車両の所有者を確認することが非常に困難である。乱停乱放されている機動車両については、管理者(例えば、マンションの管理会社)が強制力のある罰金を発行することができず、そのため、このような違法行為に対して使用者に罰則を適用することが難しい。執行官は長時間車主を待ち伏せすることが難しく、車両を現場から牽引する方法は、執行車両の積載能力に厳しい要件があり、柔軟性が低く、現場での執行は争いを引き起こしやすい(すでに多くの地域で暴力や集団事件を引き起こしている)。したがって、特に車主が現場にいない場合の罰則の実施問題や、時間通りの罰則の問題を解決するために、新しい管理方法と関連装備が特に必要である。
発明の内容
【0003】本発明が解決しようとする技術的な問題は、既存の技術が違法駐車車両を管理するのが難しいという欠点に対して、車両の違法駐車を処理する方法、システム、およびスマートロック装置を提供することである。」
「
[図:0001427706000002.jpg]
」
(当審訳)
「【0043】執行官が車両にロックをかける前に、第二のモバイル端末はスマートロック装置の身分情報とリセットされた解錠パスワード情報を取得し、パスワードリセット情報を生成する。
【0044】第二のモバイル端末は、パスワードリセット情報をバックエンドに送信し、バックエンドはそのパスワードリセット情報に基づいて身分情報に対応する解錠パスワード情報を更新する。」
「
[図:0001427706000003.jpg]
」
(当審訳)
「【0050】本発明の技術的提案を実施することで、スマートロック装置には識別モジュールが設けられ、身分情報に対応する。執行官が違法駐車の車両を発見した場合、このスマートロック装置を使用して車両にロックをかけ、スマートロック装置の身分情報を取得し、バックエンドに違反駐車イベント情報を送信することができる。車主が車両がロックされているのを発見した場合も、スマートロック装置の身分情報を取得し、バックエンドに解錠リクエスト情報を送信する。バックエンドは、違反駐車イベント情報と解錠リクエスト情報に基づいて罰金情報を生成し、車主に返す。その後、車主は罰金を支払うことができる。バックエンドが車主が罰金を支払ったことを確認した後、スマートロック装置の解錠パスワード情報を出力する。スマートロック装置は、直接または車主が入力した方法で解錠パスワード情報を受信し、それを検証し、検証が通った場合に解錠を行う。このような車両の違法駐車を処理する方法により、執行官は車主が不在の際に車両をロックすることで車主に罰則を適用できるが、車主が駐車場に戻った際に解錠できずに過剰な罰則や追加コストが発生する問題を回避できるため、車両の乱停乱放の問題を解決できる。特に非機動車両に関しては、有効なナンバープレートがないために車両の身分情報を追跡できず、執行が困難な問題を解決する。」
「
[図:0001427706000004.jpg]
」
(当審訳)
「【0058】図1は、本発明のスマートロック装置の実施例1の論理構造図であり、この実施例のスマートロック装置はロック本体10を含む。ロック本体10は通常のロック/解錠機能を持ち、例えば、自転車や電動自転車の車輪を特定の位置に固定して正常に回転できないようにするチェーンロックである。また、このスマートロック装置には、ロック本体に設置された識別モジュール11、受信モジュール12、および制御モジュール13が含まれる。識別モジュール11は身分情報を識別するためのものであり、身分情報は執行官がこのスマートロック装置を使用して違法駐車の車両にロックをかけた後、第二のモバイル端末を通じてバックエンドに違反駐車イベント情報を送信するために使用され、また、車主がこのスマートロック装置にロックされた車両を発見した後、第一のモバイル端末を通じてバックエンドに解錠リクエスト情報を送信するために使用される。これにより、バックエンドは違反駐車イベント情報と解錠リクエスト情報に基づいて罰金情報を生成し、第一のモバイル端末または直接スマートロック装置に罰金情報を返す。受信モジュール12は、車主が罰金を支払った後、バックエンドから取得した解錠パスワード情報を受信するためのものである。制御モジュール13は、受信した解錠パスワード情報と事前に設定された解錠パスワード情報を検証し、一致した場合にロック本体10を解錠するように制御する。
【0059】選択的な実施例において、識別モジュール11はロック本体10の表面に取り付けられた身分識別層であり、身分識別層にはQRコードまたはシリアル番号が設定されている。例えば、ロック本体10上に印刷やエッチングなどの方法でQRコードやシリアル番号を形成し、このQRコードやシリアル番号がスマートロック装置の唯一の身分識別となる。ユーザー(執行官または車主)は、モバイル端末を通じてQRコードをスキャンするか、シリアル番号を入力することでスマートロック装置の身分情報を取得できる。」
「
[図:0001427706000005.jpg]
」
(当審訳)
「【0064】図2は、本発明の車両の違法駐車を処理する方法の実施例1のフローチャートである。この実施例の車両の違法駐車を処理する方法はスマートロック装置に適用され、具体的には以下のステップを含む:
【0065】S11. スマートロック装置は、バックエンドから取得した解錠パスワード情報を受信する。ここで、バックエンドは、執行官が違法駐車の車両にロックをかけた後に送信した違反駐車イベント情報を受信し、また、車主が車両がロックされているのを発見した後に送信した解錠リクエスト情報を受信し、違反駐車イベント情報と解錠リクエスト情報に基づいて罰金情報を生成し、返す。車主が罰金を支払ったことを確認した後、解錠パスワード情報を出力する。違反駐車イベント情報と解錠リクエスト情報には、スマートロック装置の身分情報が含まれている。
【0066】このステップにおいて、執行官が乱停乱放の車両を巡回中に発見した場合、その車両のタイヤまたは他の部分にスマートロック装置を取り付け、車両が自由に移動できないようにすることが必要である。このスマートロック装置がロックされた後、執行官はそのスマートロック装置の身分情報を取得し、電話、SMS、アプリ、WeChat、ウェブページなどの方法で違反駐車イベント情報をバックエンドに送信する。車主が駐車場に戻って車両がロックされているのを発見した場合、車主はそのスマートロック装置の身分情報を取得し、電話、SMS、アプリ、WeChat、ウェブページなどの方法で解錠リクエスト情報をバックエンドに送信する。バックエンドは、違反駐車イベント情報と解錠リクエスト情報に基づいて罰金情報を生成し、電話、SMS、アプリ、WeChat、ウェブページなどの方法で車主に罰金情報を返す。車主はその罰金情報に基づいて相応の罰金を支払うことができる。バックエンドが車主が罰金を支払ったことを確認した後、そのスマートロック装置に対応する解錠パスワード情報を出力する。この場合、各スマートロック装置には唯一の解錠パスワード情報があり、スマートロック装置の身分情報と対応する解錠パスワード情報は事前にバックエンドに保存されているか、または毎回違反駐車イベントを送信する際に解錠パスワード情報を一緒に送信することができる。スマートロック装置の解錠パスワード情報は固定されている場合もあり、執行官が毎回報告する必要はない。また、執行官は毎回ロックをかける前に解錠パスワード情報をリセットすることもできる。具体的には、執行官はスマートロック装置を使用して車両にロックをかける前に、そのスマートロック装置の解錠パスワード情報をリセットし、リセット後の解錠パスワード情報をバックエンドに送信する。」
「
[図:0001427706000006.jpg]
」
(当審訳)
「【0071】選択的な実施例において、本発明の車両の違法駐車を処理する方法には、執行官が違法駐車の車両にロックをかける前に、スマートロック装置が執行官がリセットした解錠パスワード情報を受信することが含まれる。この実施例において、スマートロック装置はパスワードリセット機能を持ち、執行官がスマートロックのパスワードをリセットした後、執行官は電話、SMS、アプリ、WeChat、ウェブページなどの方法でリセットされたパスワードをバックエンドに送信するか、またはスマートロック装置がその通信ユニットを通じてリセットされたパスワードをバックエンドに送信する。
【0072】選択的な実施例において、スマートロック装置は不正ロック防止機能を持ち、ロック本体が解錠された後、解錠状態にあり、特定の人(執行官または他の管理者)またはバックエンドがリセットした後にのみ再びロックできる。具体的には、特定の人が手動でリセットパスワードを入力してスマートロック装置をリセットするか、バックエンドが無線通信接続を通じてスマートロック装置をリセットする。この機能は、社会の人々が解錠されたスマートロック装置を使用して他の非本人または違法車両をロックすることを防ぎ、不必要な社会的影響を引き起こすことを避ける。」
「
[図:0001427706000007.jpg]
」
(当審訳)
「【0082】選択的な実施例において、バックエンドが罰金情報を生成する際、固定金額の罰金とすることもでき、または時間や場所に基づいて課金することもできる。時間や場所に基づいて課金する場合、執行官がバックエンドに送信する違反駐車イベント情報には、スマートロック装置の身分情報に加えて、ロック時間情報やロック位置情報が含まれる。車主がバックエンドに送信する解錠リクエスト情報には、スマートロック装置の身分情報に加えて、現在の時間情報やロック時間情報が含まれる。このように、ステップS23において、バックエンドは違反の時間や場所などの情報に基づいて罰金額を計算することができる。」
b 引用文献1に記載されているといえる事項
(a)段落【0058】、【0065】、【0066】の記載事項を踏まえると、引用文献1には、「執行官が乱停乱放の車両を巡回中に発見した場合、その車両のタイヤまたは他の部分にスマートロック装置を取り付け、スマートロック装置がロックされた後、執行官はそのスマートロック装置の身分情報を取得し、第二のモバイル端末を通じてウェブページなどの方法でそのスマートロック装置の身分情報を含む違反駐車イベント情報をバックエンドに送信する」との事項が記載されているといえる。このうち「違反駐車イベント情報」について、段落【0082】の記載によれば、罰金情報を生成する際、時間や場所に基づいて課金する場合、違反駐車イベント情報は、そのスマートロック装置の身分情報に加えて、ロック時間情報やロック位置情報が含まれるものとなる。
(b)段落【0059】の記載事項を踏まえると、引用文献1には、「執行官は、第二のモバイル端末を通じてロック本体上に形成されてスマートロック装置の唯一の身分識別となるシリアル番号を入力することでスマートロック装置の身分情報を取得する」との事項が記載されているといえる。
(c)段落【0066】の記載事項を踏まえると、引用文献1には、「執行官はスマートロック装置を使用して車両にロックをかける前に、そのスマートロック装置の解錠パスワード情報をリセットし、リセット後の解錠パスワード情報をバックエンドに送信する」との事項が記載されている。ここで、「リセット後の解錠パスワード情報」について、段落【0043】の「第二のモバイル端末はスマートロック装置の身分情報とリセットされた解錠パスワード情報を取得し、パスワードリセット情報を生成する」の記載、段落【0044】の「第二のモバイル端末は、パスワードリセット情報をバックエンドに送信し」の記載によれば、リセットされたスマートロック装置の身分情報と解錠パスワード情報から生成されるパスワードリセット情報がバックエンドに送信されるものとされており、このうちスマートロック装置の身分情報は、上記(b)のとおり、シリアル番号の入力により第二のモバイル端末を通じて取得されるものであるから、リセット後の解錠パスワード情報は、シリアル番号の入力により第二のモバイル端末を通じて取得されるスマートロック装置の身分情報とともにパスワードリセット情報としてバックエンドに送信されるものであるといえる。
(d)段落【0065】の記載事項を踏まえると、引用文献1には、「バックエンドは、執行官が違法駐車の車両にロックをかけた後に送信した違反駐車イベント情報を受信し、また、車主が車両がロックされているのを発見した後に送信した解錠リクエスト情報を受信し、違反駐車イベント情報と解錠リクエスト情報に基づいて罰金情報を生成し、車主が罰金を支払ったことを確認した後、解錠パスワード情報を出力する」との事項が記載されているといえる。
c 引用発明
上記a及びbより、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「車両の違法駐車を処理する方法であって、執行官が乱停乱放の車両を巡回中に発見した場合、その車両のタイヤまたは他の部分にスマートロック装置を取り付け、スマートロック装置がロックされた後、執行官はそのスマートロック装置の身分情報を取得し、第二のモバイル端末を通じてウェブページなどの方法でそのスマートロック装置の身分情報を含む違反駐車イベント情報をバックエンドに送信し、この違反駐車イベント情報は、罰金情報を生成する際、時間や場所に基づいて課金する場合には、そのスマートロック装置の身分情報に加えて、ロック時間情報やロック位置情報が含まれるものとなるものであり(上記(a))、
執行官は、第二のモバイル端末を通じてロック本体上に形成されてスマートロック装置の唯一の身分識別となるシリアル番号を入力することでスマートロック装置の身分情報を取得し(上記(b))、
執行官はスマートロック装置を使用して車両にロックをかける前に、そのスマートロック装置の解錠パスワード情報をリセットし、リセット後の解錠パスワード情報をバックエンドに送信し、このリセット後の解錠パスワード情報は、シリアル番号の入力により第二のモバイル端末を通じて取得されるスマートロック装置の身分情報とともにパスワードリセット情報としてバックエンドに送信されるものであり(上記(c))、
バックエンドは、執行官が違法駐車の車両にロックをかけた後に送信した違反駐車イベント情報を受信し、また、車主が車両がロックされているのを発見した後に送信した解錠リクエスト情報を受信し、違反駐車イベント情報と解錠リクエスト情報に基づいて罰金情報を生成し、車主が罰金を支払ったことを確認した後、解錠パスワード情報を出力し(上記(d))、
違反駐車イベント情報と解錠リクエスト情報には、スマートロック装置の身分情報が含まれている(段落【0065】)、
車両の違法駐車を処理する方法。(段落【0064】)」
(イ)引用文献2(特表2008-502830号公報)
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特表2008-502830号公報(平成20年1月31日公開。以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「【0017】
図1では、違反取締執行システム10は、常習的交通違反者の違反車両14の車輪16に取り付けられる車両車輪固定具12を含む。常習的交通違反者とは、無視された、駐車違反に対するいくつかの未払い召喚状のある車両を有する者である。常習的交通違反者のステータスに達する未払い違反の数は、たとえば、地方自治体、市、大学、または会社などの召喚状発行管理団体によって発行される召喚状の数が異なるため変わり得る。たとえば、ひとりの常習的交通違反者が、2つ以上の未払い違反を有していることもある。」
「【0025】
商業的に知られているどんなRFID質問器216およびタグ218も、PDA 26および固定具12で使用することができ、必要なら、前述のように改変することもできる。また、知られているどんなPDAも、TEK Protege RFIDアダプタなどのRFID質問器216を含むように、適合させることができる。好ましくは、召喚状発行者が自分の従業員番号をスキャンしてPDAに入力するのに使用するための、従業員識別カードが含まれる。PDA26は、ネットワーク28を使って、タグIDなどを含めたPDAに記憶された違反データを、ホストシステム32にアップロードする。」
「【0028】
動作においては、図2のステップ54aで、図1および3の召喚状発行者38が、駐車法に違反している車両に駐車召喚状を発行する。ステップ54bで、発行者38は、PDAを使って、図1のネットワーク28または電話システム40を介して、図3の地方自治体コンピュータシステムデータベース48と通信して、その車両が前の未払い違反を有する、すなわち、常習的交通違反者であるかどうかを知る。図2のステップ56で、この情報は、ネットワーク28を介してPDAに自動的にダウンロードされ、あるいは電話による場合は手動で入力される。
【0029】
管理団体の地方自治体コンピュータシステム30は、常習的交通違反者データについての、図3のデータベース48を含む。システム30はまた、代替実施形態では、常習的交通違反者データをリーダ/ライタと連携するメモリカードにコピーするための、データベース48に関連するメモリカードリーダ/ライタ(図示略)を含む。そのカードを使用して、常習的交通違反者データを、データベース48からPDAに転送する。そのようなカードは、コンパクトフラッシュ(登録商標)メモリカード、セキュアデータ(SD)カード、またはその他の言い方で呼ばれ、比較的小型だが、大容量のメモリで、たとえば、16、64、128、または256メガバイトのメモリ容量を有し、一般にデジタルカメラおよびその他の電子システムで使用される。そのようなカードリーダは、広く利用可能である。PDAもまた、図3の地方自治体コンピュータシステム30のデータベース43からカードに入力された常習的交通違反者データをそのメモリに転送するための、そのようなカードリーダ(図示略)を有する。
【0030】
車両が(そのナンバープレート登録番号により)そのような違反を有する場合、発行者38は、図2のPDA26の所に示されている前述のデータを、キーボードを使って、また利用可能ならネットワーク28によって、PDAに入力する。ステップ60で、発行者は次に、固定具12を車両車輪16に取り付ける。
固定具12のRFIDタグ218は、好ましくは固定具12のシリアル番号に対応する、一意IDコード番号が、あらかじめ割り当てられる。同時に、タグIDおよびそれに対応する固定具ロック18の番号組合せは、図3の機関のホストシステムのデータセンタ52のデータベース44中に既にある。このタグIDは、ホストデータベース44中で、その一意タグIDに関連する固定具12を解除するための対応する組合せコードと関連づけられている。
【0031】
図2において、ステップ58で、発行者は次に、タグと通信してタグIDをアップロードし、次いで、ホストシステム32と通信する。このとき、PDAを使用して、RFID一意コード、違反の日付および時間、違反者が常習的交通違反者であるかどうかをあらわす常習的交通違反者情報、および任意選択で、未払い違反による罰金合計を含めた違反データを、さらに任意選択で、車両のメーカ、車両のナンバープレート番号、登録の状態、召喚状番号、および違反コードを、ネットワーク28により、あるいはネットワーク28と通信するためのモデムまたは通信装置をPDA26が有さない場合は電話により、アップロードすることができる。図2のステップ60で、この違反データはまた、図4の質問器216によって、タグ218にも送信される。」
「
【図1】
[図:0001427706000008.jpg]
」
「
【図2】
[図:0001427706000009.jpg]
」
上記記載事項を参酌すると引用文献2には、「発行者は、PDAを使用して、車両車輪に取り付けた固定具のRFIDタグに割り当てられた一意IDコード番号に加え、車両のメーカ、車両のナンバープレート番号、登録の状態などをアップロードする」との技術事項(引用文献2記載事項)が記載されている。
ウ 対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)「巡回員が巡回員端末装置の不正車両報告画面から不正駐車車両の車両ナンバー、防犯登録番号、及び写真の少なくとも一つを含む不正車両情報、並びに前記不正駐車車両を解錠するための解錠情報を含む報告を入力することにより前記巡回員端末装置が前記報告を取得し」について
引用発明の「執行官」は、スマートロック装置を車両に取り付け、違反駐車イベント情報をバックエンドに送信する者であり、本件補正発明の「巡回員」に相当する。
また、引用発明の「第二のモバイル端末」は執行官がバックエンドに違反駐車イベント情報を送信するために使用されるものであり、本件補正発明の「巡回員端末装置」に相当する。
そして、引用発明の「乱停乱放の車両」は、スマートロック装置が取り付けられる対象であり、本件補正発明の「不正駐車車両」に相当する。
さらに、引用発明の「リセット後の解除パスワード情報」は、スマートロック装置のロックを解除するための情報であり、本件補正発明の「不正駐車車両を解錠するための解錠情報」(以下、単に「解錠情報」という。)に相当する。
引用発明は、不正駐車車両にスマートロック装置によりロックをかけたことを示す駐車違反イベント情報として、当該スマートロック装置のロック本体上に形成されたシリアル番号(以下、単に「シリアル番号」という。)を、不正車両を発見した巡回員(執行官)の巡回員端末装置(第二のモバイル端末)を通じて入力することで取得される当該スマートロック装置の身分情報や時間や場所に基づいて課金する場合のロック時間情報やロック位置情報を、バックエンドに送信するものであり、また、引用発明は、スマートロック装置によるロックの解除のためのパスワードリセット情報として、スマートロック装置の身分情報とともに解錠情報(リセット後の解錠パスワード情報)を、バックエンドに送信するものであるところ、駐車違反イベント情報及びパスワードリセット情報の送信先である引用発明の「バックエンド」は、本件補正発明の「不正駐車管理装置」に相当する。
また、引用発明における「駐車違反イベント情報」及び「パスワードリセット情報」は、両者が相俟って、巡回員が発見した不正駐車車両にパスワードリセット情報により解錠可能なスマートロック装置によるロックをかけたことの不正駐車管理装置への報告といえるから、本件補正発明の「報告」に相当する。
引用発明の報告(駐車違反イベント情報及びパスワードリセット情報)に含まれるスマートロック装置の身分情報は、ロックをかけた巡回員により巡回員端末装置にシリアル番号が入力されることによって不正駐車管理装置(バックエンド)に送信できるものとして巡回員端末装置において取得されるところ、引用発明において、この入力が巡回員端末装置の画面からなされることは、明らかである。
さらに、引用発明の報告に含まれるパスワードリセット情報の解錠情報(リセット後の解錠パスワード情報)を巡回員端末装置が取得するにあたっては、(A)不正駐車車両にロックをかけた巡回員が解錠情報そのものをシリアル番号に併せて巡回員端末装置に入力することで取得する、又は、(B)あるスマートロック装置の身分情報と対応するものとしてリセット後不正駐車車両にロックをかけるまでの間に巡回員端末装置に入力された解錠情報を、不正駐車車両を発見してロックをかけた巡回員が当該巡回員端末装置にシリアル番号を入力することによって身分情報とともに取得する、のいずれかであることも明らかである。そうすると、(A)と(B)のいずれであるにしても、解錠情報は、巡回員による巡回員端末装置の画面からなされる入力((A)ではシリアル番号とリセット後の解錠パスワード情報の入力、(B)ではシリアル番号のみの入力)によって巡回員端末装置において取得されることになる。
以上を踏まえると、引用発明における、巡回員による巡回員端末装置の画面からのシリアル番号と解錠情報の入力ないしシリアル番号のみの入力は、巡回員が発見した不正駐車車両にパスワードリセット情報により解錠可能なスマートロック装置によるロックをかけたことの報告としてなされる入力であるといえるから、本件補正発明の「報告」の「入力」であり、引用発明における、報告の入力がなされる巡回員端末装置の画面は、本件補正発明の「不正車両報告画面」に相当する。
そして、本件補正発明と引用発明は、いずれも、巡回員が巡回員端末装置の不正車両報告画面から不正駐車車両を解錠するための解錠情報を含む報告を入力することにより前記巡回員端末装置が前記報告を取得するものであるといえるのであって、この点で、共通している。
もっとも、本件補正発明では、巡回員は報告として「不正駐車車両の車両ナンバー、防犯登録番号、及び写真の少なくとも一つを含む不正車両情報を含む」ものを入力するのに対し、引用発明では、報告として「不正駐車車両の車両ナンバー、防犯登録番号、及び写真の少なくとも一つを含む不正車両情報を含む」ものを入力しておらず、この点は相違点となる。
(イ)「取得した前記報告及び前記報告に割り振られる識別情報を不正駐車管理装置へ前記巡回員端末装置が送信する」について
上記(ア)によれば、引用発明は、取得した報告を不正駐車管理装置へ巡回員端末装置が送信するものである。そして、引用発明においては、車両がロックされているのを発見した車主が送信したスマートロック装置の身分情報を含む解錠リクエスト情報を受信して、違反駐車イベント情報と解錠リクエスト情報に基づいて罰金情報を生成し、車主が罰金を支払ったことを確認した後、解錠パスワード情報を出力するところ、罰金情報の生成と罰金の支払い後の解錠パスワード情報の出力のために、時間や場所に基づいて課金する場合のロック時間やロック位置を含めた不正駐車車両に巡回員がロックをかけたことそれ自体及び当該ロックに用いられたスマートロック装置の解錠パスワード情報を一意に識別する情報として、解錠リクエスト情報に含まれるスマートロック装置の身分情報が用いられていることは明らかである。
さらに、引用発明において、スマートロック装置の身分情報は、当該スマートロック装置を用いたロックがなされたことを踏まえて上記(ア)の報告の入力により取得されて、巡回員が不正駐車車両に当該スマートロック装置によりロックをかけたことそれ自体及び当該ロックに用いられたスマートロック装置の解錠パスワード情報を示す報告に割り振られるものといえる。
以上を踏まえると、引用発明において、スマートロック装置の身分情報を含む違反駐車イベント情報を第二のモバイル端末からバックエンドに送信することは、本件補正発明の「取得した前記報告及び前記報告に割り振られる識別情報を不正駐車管理装置へ前記巡回員端末装置が送信する」に相当する。
(ウ)「不正駐車管理方法」について
引用発明の「車両の違法駐車を処理する方法」は、不正駐車を管理する方法といえるから、本件補正発明の「不正駐車管理方法」に相当する。
エ 一致点及び相違点
上記「ウ 対比」で検討したことを踏まえると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。
(一致点)
「巡回員が巡回員端末装置の不正車両報告画面から前記不正駐車車両を解錠するための解錠情報を含む報告を入力することにより前記巡回員端末装置が前記報告を取得し、
取得した前記報告及び前記報告に割り振られる識別情報を不正駐車管理装置へ前記巡回員端末装置が送信する、
不正駐車管理方法」
(相違点1)
本件補正発明では、報告として、「不正駐車車両の車両ナンバー、防犯登録番号、及び写真の少なくとも一つを含む不正車両情報、並びに前記不正駐車車両を解錠するための解錠情報を含む」ものを入力するのに対し、引用発明では、報告として、スマートロック装置の本体上に形成されたシリアル番号とリセット後の解錠パスワード情報の入力ないしシリアル番号のみを入力しており、「不正駐車車両の車両ナンバー、防犯登録番号、及び写真の少なくとも一つを含む不正車両情報を含む」ものを入力していない点。
オ 判断
(ア)相違点1についての検討
上記「イ(イ)」のとおり、引用文献2には、「発行者は、PDAを使用して、車両車輪に取り付けた固定具のRFIDタグに割り当てられた一意IDコード番号に加え、車両のメーカ、車両のナンバープレート番号、登録の状態などをアップロードする」という技術事項(引用文献2記載事項)が記載されており、このうち「車両のナンバープレート番号」は、本件補正発明の「不正駐車車両の車両ナンバー」に相当するものといえる。
そして、引用発明は、不正車両の所有者を含む不正駐車車両の車主への罰金の支払いを課すものであるから、不正駐車車両の所有者を特定できる情報を報告に含めることが望ましいことは明らかである。また、引用発明と引用文献2は、いずれも、車両に取り付けた固定具に割り当てられた情報をアップロードするという機能を有する点で共通する。いずれの観点からみても、引用発明に引用文献2記載事項を適用する動機付けがあるといえる。
この点、引用文献1の段落【0003】の「特に乱停乱放されている非機動車両については、大部分の非機動車両が法的効力を持つ物理的または電子的ナンバープレートを装着していないため、執行機関が車両の所有者を確認することが非常に困難である。」との記載は、ナンバープレートが装着されている車両を管理対象としないことではなく、本来、違法駐車車両については、その所有者を確認する必要があることを示すものである。引用発明では、車主が解錠リクエスト情報を送信することで車主への罰金情報の生成がなされ、この送信がなければ車主に罰金の支払いを請求できない。このことを踏まえれば、引用発明は、車両の所有者の確認を不要とするものではない。
してみると、引用発明において、引用文献2記載事項を適用し、報告として、不正駐車車両の車両ナンバーなどの不正車両情報を入力するように構成することは、当業者が容易になし得たことである。
(イ)効果について
本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2記載事項による作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものではない。
(ウ)請求人の主張について
請求人は、令和6年9月24日提出の審判請求書において、本件補正発明に関して以下のとおり主張している。
a「引用文献1に記載の発明においては、スマートロック装置上の二次元バーコードを走査することでスマートロック装置のシリアル番号を第2移動端末装置が受信し、違反イベント情報を生成しているに過ぎない。引用文献1の記載からは、違反イベント情報がシリアル番号で構成されていることの記載はなく、違反イベント情報を第2移動端末に入力するものでもない。」
b「また、引用文献1には、「不正駐車車両の車両ナンバー、防犯登録番号、及び写真の少なくとも一つを含む不正車両情報、並びに前記不正駐車車両を解錠するための解錠情報を含む報告を、巡回員端末装置の不正車両報告画面から巡回員が入力する」ことについて何らの記載も示唆もな」い
c「かつ、第2移動端末装置がシリアル番号から「不正駐車車両の車両ナンバー、防犯登録番号、及び写真の少なくとも一つを含む不正車両情報、並びに前記不正駐車車両を解錠するための解錠情報を含む報告」を生成する記載も示唆もない。」
d「また、引用文献1には、前述の報告を識別する識別情報を割り振ることについて記載も示唆もなく、また、報告に割り振られる識別情報を巡回員端末装置から管理サーバが取得することについても何ら記載も示唆もない。」
上記主張について検討する。
aについて、上記ウ(ア)で検討したとおりである。
bについて、上記ウ(ア)及び、上記オ(ア)で検討したとおりである。
cについて、本件補正発明には、「「不正駐車車両の車両ナンバー、防犯登録番号、及び写真の少なくとも一つを含む不正車両情報、並びに前記不正駐車車両を解錠するための解錠情報を含む報告」を生成する」ことは特定されていないため、請求項の記載に基づく主張とは認められない。
dについて、上記ウ(イ)で検討したとおりである。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(エ)小括
したがって、本件補正発明は、引用発明および引用文献2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和6年9月24日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-15に係る発明は、令和5年10月20日にされた手続補正による補正後の請求項1-15に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項15に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由1の概要は、この出願の請求項15に係る発明が、本願出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び、引用文献2に記載された技術事項に基づいて、その出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:中国特許出願公開第109658552号明細書
引用文献2:特表2008-502830号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明、引用文献2の記載事項は、前記「第2 [理由]2(4)イ(ア)~(イ)」に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、上記「第2 [理由]2(1)」のとおり、実質的に、上記本件補正発明から、巡回員が情報を入力する手段が「巡回員端末装置の不正車両報告画面」である旨の限定事項を削除し、また、不正駐車管理装置へ前記巡回員端末装置が送信する情報が「前記報告に割り振られる識別情報」を含む旨の限定事項を削除したものに相当するものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2 [理由]2(4)オ」に記載したとおり、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に該当し、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-015228