商標拒絶査定不服審判
2024-014282
ハクサン
- 審判番号
- 2024-014282
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-089476
- 請求日
- 2024年09月06日
- 審決日
- 2025年08月25日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社白山
- 【請求人代理人】弁理士法人クレイア特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 石塚 文子
- 分類
- T18 .13 -WY (W09) / T18 .17 -WY (W09) / T18 .272-WY (W09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法3条2項商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023- 89476拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和5年8月10日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年4月12日付け:拒絶理由通知書
令和6年5月24日 :意見書(以下「意見書1」という。)、手続補正書の提出
令和6年7月12日付け:拒絶査定
令和6年9月6日 :審判請求書(以下「請求書」という。)の提出
令和6年9月13日 :上申書(以下「上申書」という。)の提出
令和7年5月16日 :意見書(以下「意見書2」という。)、手続補正書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第6類、第7類、第9類、第10類、第11類、第12類、第37類、第40類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、上記第1の手続補正により、最終的に、第9類「光ファイバー接続用フェルール」に補正されたものである
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「HAKUSAN」の欧文字を普通に用いられる方法で表してなるところ、当該文字は、石川県南東部にある市の「白山」の読みを欧文字で表記したものと理解される。そうすると、本願商標をその指定商品・指定役務に使用しても、これに接する需要者は、商品の産地・販売地が石川県南東部にある市の「白山」であること、又は、役務の提供の場所が石川県南東部にある市の「白山」であることを認識するといえる。したがって、本願商標は、商品の産地・販売地、役務の提供の場所を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、本願商標を、上記「白山」以外で生産・販売される商品、又は、上記「白山」以外で提供される役務に使用するときは、商品の品質・役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。また、「HAKUSAN」の欧文字が商品に付されていることはうかがえるものの、補正後の指定商品に関する本願商標の使用態様、使用数量、使用期間及び使用地域や、広告宣伝の方法、期間、地域及び規模等に係る十分な資料の提出はなく、提出された資料からは本願商標が使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品であると認識することができるものとはいえない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲のとおり、ややデザイン化された書体で「HAKUSAN」の欧文字を横書きしてなるところ、一般に、商品に標章等を使用する際に、様々なデザイン化が行われている現状にあっては、本願商標の構成全体として「HAKUSAN」の文字を書したものと容易に認識できるものであって、格別特異なものとはいい得ないことから、いまだ普通に用いられる方法の範囲内で表してなるものである。
そして、本願商標からは、「ハクサン」の称呼を生じることは明らかであり、「ハクサン」の読みに相当する語は、「石川県南東部の市。」を表す「白山」(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)であることが認められる。
また、白山市を表す文字(語)として、ややデザイン化された「HAKUSAN」の欧文字が使用されている実情が認められ、さらに、白山市には、複数の工業団地があり、各種産業分野の企業が操業していることが認められる。
そうすると、「HAKUSAN」の欧文字は、石川県南東部に所在する「白山市」を表す「白山」の読みを欧文字で表したものと理解されるにとどまるというべきである。そして、「HAKUSAN」の欧文字からなる本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、これが「白山市を産地・販売地とする商品」であると理解、認識するにとどまるものといえ、本願商標は、単に商品の産地、販売地を表示するにすぎないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、単に商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて
(1)請求人は、本願商標は、商標法第3条第2項の規定により登録が認められる旨主張しており、請求人の主張及び同人の提出に係る証拠、並びに職権による調査によれば、以下の事実が認められる(以下、甲第○号証について「甲○」のように表記する。)。
ア 「MTフェルール」は、本願の指定商品である「光ファイバー接続用フェルール」の一種であり、請求人の取扱いに係る「MTフェルール」の表面には、本願商標と同一と認められる標章が付されている(職権調査、甲8)。
イ 請求人のパンフレット(日本語版及び英語版)の表紙、請求書やパッキングリストなどの書類、送付用の段ボール箱等に本願商標との同一と認められる標章が付されている(意見書1の2(2-2-2)に掲載の画像、甲1~甲5、甲18、甲19)。
ウ 請求人は平成9年に「MTフェルール」の量産を開始した(意見書1の2(2-2-2)に掲載の画像)
エ 株式会社富士キメラ総研の「2023 光通信関連市場総調査」、経済産業省の「METI Journal ONLINE」において、請求人について、「MTフェルール」の世界シェアが2位の企業であることが紹介されている(請求書の3、上申書の記載)。
オ 「電子デバイス産業新聞」の2025年5月1日の記事において、「MTフェルールでは、世界シェア2を堅持している(株)白山(石川県金沢市)」、「1991年に日本電信電話公社(現・NTT)から光コネクタ部品の技術供与を受け、光コネクタ―専業としての歩みが始まった」、「NTTの光電融合デバイス向け磁石コネクタにも携わっている。全社売上高(24年10月期)47億円のうち8割が光コネクタ―関連であり、」の記載がある(甲6)。
カ 請求人の「MTフェルール」の売上高は、2012年は1.5億円、2018年は12億円であった(上申書(経済産業省 METI Journal ONLINE)の記載)。
キ 請求人は、2023年から2025年に、「OFCにおける展示会」、「COMNEXT 次世代通信技術&ソリューション展」、「EXAT 国際会議」、「IEEE CPMT SYMPOSIUM JAPAN」といった展示会等に「MTフェルール」を出品した(甲7、甲13~17)
)。
ク 請求人は、国内外の60社以上の大手企業等と取引を行っている(甲4、甲5、意見書2の記載)。
(2)上記(1)によれば、本願商標は、「光ファイバー接続用フェルール」の一種である「MTフェルール」や請求人のパンフレット等に使用されている。
そして、請求人は、平成9年に「MTフェルール」の量産を開始し、我が国及び外国の企業と取引を行い、売上高も相当程度確認できるものであり、「MTフェルール」の世界シェア2位の企業であることが認められる。
また、本願の指定商品に関連する分野の展示会に、請求人により「MTフェルール」が出品されているほか、業界紙に加え、MTフェルール関連以外の分野である経済産業省やテレビ番組などにおいても、請求人及び請求人の商品が紹介されている事実も認められる。
以上のことからすると、本願商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、「光ファイバー接続用フェルール」に関連する分野の取引者、需要者の間において、広く認識されているとみるのが相当である。
また、職権による調査によれば、本願商標と同一の構成からなる商標を、本願の指定商品を取り扱う業界において、請求人以外の者が使用している事実は発見できなかった。
そうすると、本願商標は、その指定商品について、請求人により使用をされた結果、需要者が、請求人の業務に係る商品を表示する商標として認識するに至ったものとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。
3 商標法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、上記2のとおり、商標法第3条第2項の要件を具備するものであって、商品の産地、販売地を認識させることのないものであるから、本願商標をその指定商品に使用しても、商品の品質の誤認を生ずるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項の要件を具備するものであり、同法第4条第1項第16号に該当しないものであるから、原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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