商標拒絶査定不服審判
2024-013915
ワイピングフィニッシュ
- 審判番号
- 2024-013915
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-042136
- 請求日
- 2024年08月29日
- 審決日
- 2026年03月31日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】朝日ウッドテック株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 板谷 玲子
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 滝口 裕子
- 分類
- T18 .13 -Z (W20) / T18 .272-Z (W20)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023- 42136拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年4月18日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年12月6日付け:拒絶理由通知書
令和6年2月21日 :意見書の提出
令和6年5月23日付け:拒絶査定
令和6年8月29日 :審判請求書の提出
令和7年6月4日付け :審尋
令和7年7月22日 :意見書の提出
2 本願商標
本願商標は、「ワイピングフィニッシュ」の文字を標準文字で表してなり、第20類「家具,棚,書棚,家具用棚板,家具用木製仕切り,カウンター(テーブル),台所用カウンター,自立型間仕切り(家具),食卓,食卓の天板,机類,椅子類,本立て,収納箱(金属製のものを除く。),すだれ,日よけ,つい立て,びょうぶ,ベンチ」を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「ワイピングフィニッシュ」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標の構成中「ワイピング」の文字は、「(布などで)ふく、(水気などを)ふき取る」などの意味を有する英語の動詞「wipe」を活用した又は変化させた「wiping」の読みを片仮名で表したものであると理解され、木材の加工に関連する分野又は本願商標の指定商品の分野において、「ワイピング」「ワイピング加工」又は「ワイピングフィニッシュ」の文字が、表面の拭き取り又は拭き上げを含む木材の塗装方法の一種を指して使用されている。また、「フィニッシュ」の文字は、「終えること。完結させること。終局。仕上げ。」の意味を有する語として理解され、本願商標の指定商品の材料となり得る木材や樹脂などの加工に関連する分野では、表面の「仕上げ(加工)」の意味で用いられる実情がある。そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者・取引者は、その商品が「ワイピングと呼ばれる塗装方法で仕上げた木材の表面を呈する商品」であること、すなわち、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものと理解するにとどまる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、「ワイピングと呼ばれる塗装方法で仕上げた木材の表面を呈する商品」以外の商品に使用した場合は、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審における審尋
当審において、令和7年6月4日付け審尋により、別掲1及び別掲2の事実を示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の合議体の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の意見(要旨)
(1)「ワイピング」について、本願の指定商品は、様々な材料や工程から完成される商品であるから、木材加工の特に表面加工分野の使用例のみを殊更重視した判断がなされるべきではなく、「フィニッシュ」についても、あらゆる仕上げの内容を含む広範な意味合いであるから、本願商標「ワイピングフィニッシュ」の語は、単に「拭く(拭う)仕上げ」という非常に広範かつ曖昧な意味合いとして理解されるものであり、多義的な意味合いを想起させる語として、十分に識別力を有するものである。
(2)別掲に挙げられた事実には、「ワイピングフィニッシュ」と称されることが、わずか1例しかないことから、一般的には、「ワイピング」の語と「フィニッシュ」の語は組み合わせて使われておらず、「ワイピングフィニッシュ」は一般的な用語ではない。
6 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「ワイピングフィニッシュ」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標の構成中、「ワイピング」の文字は、「ふく」などの意味を有する英語の動詞「wipe」(「新英和中辞典 第7版」研究社)を活用又は変化させた「wiping」の表音の片仮名表記であり、また、本願商標の構成中「フィニッシュ」の文字は、「おわり。結末。仕上げ。」(「広辞苑 第七版」岩波書店)の意味を有するため、本願商標は全体として「拭き仕上げ」ほどの意味合いを容易に認識させるというのが相当である。
そして、本願の指定商品の分野及び木材の加工に関連する分野において、別掲1のとおり、「ワイピング」及び「ワイピング○○」の文字が、木材の導管に濃い色の塗料を擦り込むことで木目を強調させるような表面の拭き取り又は拭き上げを含む木材の塗装方法の一種を指して使用されている実情があり、また、別掲2のとおり、「○○フィニッシュ」の文字が「○○仕上げ(塗装)」ほどの意味合いで使用されている実情もある。
そうすると、本願商標の構成各文字の意味及び上記商品の取引の実情に照らせば、本願商標は、その指定商品の分野の取引者、需要者に、木材の導管に濃い色の塗料を擦り込むことで木目を強調させるような表面の拭き取り又は拭き上げを含む木材の塗装方法の一種である「ワイピングと呼ばれる方法での仕上げ」ほどの意味合いを容易に認識させるものであって、これを指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「ワイピングと呼ばれる方法で仕上げた商品」であること、すなわち、商品の品質を表示したものと認識するにとどまるものというべきである。
そして、上記のとおり、本願商標は標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。
したがって、本願商標は、その指定商品との関係において、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、「ワイピングと呼ばれる方法で仕上げた商品」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるため、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「ワイピング」について、本願の指定商品は、様々な材料や工程から完成される商品であるから、木材加工の特に表面加工分野の使用例のみを殊更重視した判断がなされるべきではなく、「フィニッシュ」についても、あらゆる仕上げの内容を含む広範な意味合いであるから、本願商標「ワイピングフィニッシュ」の語は、単に「拭く(拭う)仕上げ」という非常に広範かつ曖昧な意味合いとして理解されるものであり、多義的な意味合いを想起させる語として、十分に識別力を有するものである旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品の分野において、木材が用いられることは一般的といえるものであり、別掲1(3)、(4)、(9)、(13)、別掲2(1)ないし(4)、(6)ないし(10)は家具に関する取引の実情であることに照らせば、本願の指定商品との関係においても、「ワイピング」の語は、木材の導管に濃い色の塗料を擦り込むことで木目を強調させるような表面の拭き取り又は拭き上げを含む木材の塗装方法の一種である「ワイピング」と呼ばれる方法であると認識させ、「○○フィニッシュ」の語は、「○○仕上げ(塗装)」ほどの意味合いを認識させるというのが相当であるから、本願商標は、上記(1)のとおり、これに接する取引者、需要者に、「ワイピングと呼ばれる方法で仕上げた商品」であることを容易に認識させるものであり、本願の指定商品の品質を表示したものと一般に認識されるものというのが相当である。
イ 請求人は、別掲に挙げられた事実には、「ワイピングフィニッシュ」と称されることが、わずか1例しかないことから、一般的には、「ワイピング」の語と「フィニッシュ」の語は組み合わせて使われておらず、「ワイピングフィニッシュ」は一般的な用語ではない旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、当該表示態様が、商品の品質等を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解されるところ(知財高裁平成27年10月21日判決(平成27年(行ケ)第10107号))、上記(1)のとおり、本願商標からは「ワイピングと呼ばれる方法で仕上げた商品」であるという商品の品質を表示したものと取引者、需要者に認識されるというべきであるから、「ワイピングフィニッシュ」の文字の使用例の提示が1つであることをもって、本願商標が同号に該当しないとはいえない。
ウ 請求人は、「ワイピング」や「フィニッシュ」の語を含む商標登録が存在し、それらは自他商品の識別標章としての機能を果たし得ると判断されている旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務との関係や、その商品及び役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成文字又は指定商品が異なるものであり、取引の実情も異なる点において、本願商標とは、事案を異にするものというべきであるから、過去の登録例が存在することをもって、本願商標の登録の適否の判断基準とするのは必ずしも適切ではない。
エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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