2024-013689
サーマルエアゾール凝縮プロセスのためのエアウェイにおける帯電防止材の使用
- 審判番号
- 2024-013689
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-124322外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年08月26日
- 審決日
- 2025年09月08日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】アレックザ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】山本 修
- 【請求人代理人】宮前 徹
- 【請求人代理人】松尾 淳一
- 【請求人代理人】山口 晶子
- 分類
- P18 .121-WY (A61M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第44条第1項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 17項目
第1 手続の経緯
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1 出願の分割の経緯
本願は、令和5年7月31日にされた特許法第44条第1項の規定による特許出願であって、2016年(平成28年)3月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年3月11日、米国)を国際出願日とする特願2017-548052号を最先の出願とする、いわゆる第2世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯の概略は、次のとおりである(括弧内は当該出願の提出日を示す。)。
最先の出願 特願2017-548052号(平成28年 3月 9日)
第1世代 特願2020-166796号(令和 2年10月 1日)
本願 特願2023-124322号(令和 5年 7月31日)
2 出願後の手続の経緯
本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和 5年 8月29日 手続補正書の提出
令和 5年 9月20日付け 拒絶理由通知書
令和 6年 3月25日 意見書、手続補正書の提出
令和 6年 4月22日付け 拒絶査定
令和 6年 8月26日 審判請求書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和6年4月22日付け拒絶査定)の概要は以下のとおりである。
本願請求項1-9に係る発明は、以下の引用文献1-3に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.国際公開第2012/026963号
2.米国特許出願公開第2004/0099269号明細書
3.特表2006-523486号公報
第3 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、令和6年8月26日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-6は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】サーマル凝縮エアゾールを送達するためのデバイスであって、(a)帯電防止ポリカ-ボネートを含むエアウェイ、及び(b)エアウェイ内に置かれた基材、前記基材はアルプラゾラム組成物でコーティングされている、続きを表示(全18行)を含み、サーマル凝縮エアゾールは、前記基材を加熱してアルプラゾラム蒸気を形成し、続いて蒸気が凝縮して粒子を形成するように蒸気を冷却することにより形成され、エアゾールは、有機溶媒及び噴射剤を含まず、熱源は、少なくとも300℃または350℃の基材温度を達成し、2秒間以内に前記基材からアルプラゾラム組成物を完全に揮発させる速度で、前記基材に熱を供給する、デバイス。【請求項2】蒸気が空気流中で冷却して、薬物を、0.1~3μmの範囲内の空気動力学的質量中央径を有するエアゾール粒子へ凝縮させる、請求項1に記載のデバイス。【請求項3】アルプラゾラムが前記基材上に、0.5μmと25μmとの間の厚さを有する薄い膜の形態でコーティングされている、請求項1または2に記載のデバイス。【請求項4】帯電防止ポリカ-ボネートがエアウェイの内壁にコーティングされている、請求項1~3のいずれか1項に記載のデバイス。【請求項5】帯電防止ポリカ-ボネートが、1E11 ohm/sqまたは1E9 ohm/sqの表面抵抗率を有する、請求項1に記載のデバイス。【請求項6】デバイスが吸気活性化される、請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイス。」
第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1、引用発明
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項の記載がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
ア 「FIG. 9 shows a cross-section of yet another third preferred embodiment example of an aerosol delivery device 410 according to the invention comprising a, replaceable/disposable, medicament cartridge or card 411, which may be shaped like a flash SD memory card commonly used in other electronic devices, such as computers and digital cameras.」(第38ページ第20行目から第26行目)
(当審訳)
「図9は、本発明によるエアロゾル送達装置410のさらに別の第3の好ましい実施形態例の断面を示し、これは、交換可能/使い捨ての、薬剤カートリッジまたはカード411からなり、コンピュータやデジタルカメラなどの他の電子装置で一般的に使用されるフラッシュSDメモリカードのような形状であってもよい。」
イ 「FIG. 10 shows an exploded view of the primary components of the medicament card 411, introduced in FIG. 9, and reveals the direction of airflow over, through, and around the medicament card, as indicated by arrows in the diagram. The medicament card has a first half housing 424 and a second half housing 425, that together form housing 412, with an internal circuit board 426, such as a printed circuit board or printed circuit assembly, therein.」(第40ページ第21行目から第29行目)
(当審訳)
「図10は、図9で紹介した薬用カード411の主要構成要素の分解図を示し、図中の矢印で示すように、薬用カード上を通り、薬用カードの周囲を流れる気流の方向を明らかにしている。薬用カードには、一緒になってハウジング412を形成する前半部ハウジング424と後半部ハウジング425があり、その中にプリント回路基板またはプリント回路組立体のような内部回路基板426がある。」
ウ 「As will next be described, the circuit board 426 also includes the vapor element 420 that produces a condensation aerosol, and whose activities are regulated by microcontroller chips 428 and/or 438, shown in FIG. 11. 」(第41ページ第7行目から第11行目)
(当審訳)
「次に説明するように、回路基板426は、凝縮エアロゾルを生成する蒸気要素420も含み、その活動は、図11に示すマイクロコントローラチップ428および/または438によって制御される。」
エ 「In this embodiment, the vapor element comprises one or more electrically resistive heating supports, such as metal foil supports, or other means of conductive support, used to vaporize a substance to produce a condensation aerosol for inhalation. There exist numerous methods to apply the, medicinal, substance to the vapor element. For instance, the substance may be placed on, over, or in close proximity to the vapor element, such as in the format of a thin film. Such may be the case when the medicament card is reusable. If the medicament card is disposable, the substance may be coated, inkjet, printed, brushed on, or dried, using an evaporable solvent, on the vapor element directly, such as directly on its electrically resistive heating supports.」(第41ページ第30行目から第42ページ第8行目)
(当審訳)
「この実施形態では、蒸気要素は、物質を気化させて吸入用の凝縮エアロゾルを生成するために使用される、金属箔支持体などの1つ以上の電気抵抗加熱支持体、または導電性支持体の他の手段からなる。薬用物質を蒸気要素に適用する方法は数多く存在する。例えば、物質を蒸気要素上に、その上に、または薄膜の形式などで蒸気要素に近接して配置することができる。薬用カードが再利用可能なとき、そのようなケースが考えられる。薬用カードが使い捨てであれば、物質は、蒸発性溶剤を使用して、蒸気要素上に直接コーティング、インクジェット印刷、印刷、塗布、または乾燥されてもよい。」
オ 「When the vapor element, and/or controller, is activated by user input, such as from the detection of inhalation by an airflow sensor 436, shown in FIG. 11, one or more components of the vapor element rapidly heats, vaporizes, one or more substances into the gaseous phase. Airflow, such as generated from user inhalation, passes over, around, and/or through the medicament card to entrain and cool the vaporized substance into a condensation aerosol with a MMAD desirable for inhalation, such as for lower airway and/or deep lung aerosol delivery. The condensation aerosol is carried to the user by airflow traveling through the inhaler device.」(第43ページ第1目から第12行目)
(当審訳)
「蒸気要素および/またはコントローラが、図11に示される気流センサ436による吸入の検出から等、ユーザ入力によって起動されると、蒸気要素の1つ以上の構成要素は、1つ以上の物質を急速に加熱し、気化して気相にする。ユーザ吸入から生成されるような空気流は、薬剤カードの上、周囲、および/またはそれを通過して、蒸発した物質を巻き込みおよび冷却し、下気道および/または肺深部エアロゾル送達などの吸入に望ましいMMADを有する凝縮エアロゾルを生成する。凝縮エアロゾルは、吸入器装置を通って移動する空気流によってユーザに運ばれる。)
カ 「Lastly, this embodiment includes one or more airflow conduits441 whereby aerosol is carried through the device and out to the user through outlet 415. The airflow conduit 441 may shield some of the electronic components of the device from the deposition of aerosols. The airflow conduit 441 may be made of anti-static materials, or have an anti-static coating, so that the conduit, itself, does not readily experience aerosol deposition.」(第44ページ第22行目から第29行目)
(当審訳)
「最後に、この実施形態は、1つ以上の空気流導管441を含み、それによって、エアロゾルは、装置を通って運ばれ、出口415を通って使用者に出る。空気流導管441は、装置の電子構成要素の一部をエアロゾル沈着から遮蔽することができる。空気流導管441は、導管自体がエアロゾル沈着を容易に受けないように、帯電防止材料から作製されてもよく、または帯電防止コーティングを有してもよい。)
キ 「55. The aerosol delivery device as set forth in claim 1 and further including means to deliver aerosols of substances that include, but are not limited to: acebutolol, acetaminophen, alprazolam, ・・・ and any analogues, derivatives, and combinations thereof.」(請求項55)
(当審訳)
「55.請求項1に記載のエアロゾル送達装置であって、アセブトロール、アセトアミノフェン、アルプラゾラム、・・・ならびにそれらの任意の類似体、誘導体、および組み合わせを含むがこれらに限定されない物質のエアロゾルを送達する手段をさらに含む。」
ク 「[図:0001427673000001.jpg]」
ケ 「[図:0001427673000002.jpg]」
コ 上記ケのFig.11には、エアロゾル送達装置410は、ハウジングを含み、ハウジングの中に、空気流導管441があることが記載されていると認められる。
サ 上記ケのFig.11には、薬剤カード411は、空気流導管411内に置かれることが記載されていると認められる。
(2) 引用発明
上記(1)から引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「エアロゾル送達装置410であって、エアロゾル送達装置410は、薬剤カード411からなり、薬剤カードには、回路基板426があり、回路基板426は、凝縮エアロゾルを生成する蒸気要素420を含み、物質は、蒸気要素上に直接コーティングされ、蒸気要素420は、物質を急速に加熱し、気化して気相にし、空気流は、蒸発した物質を冷却して、凝縮エアロゾルを生成し、エアロゾル送達装置410は、ハウジングを含み、ハウジングの中に、空気流導管441があり、空気流導管441は、帯電防止材料から作製されてもよく、薬剤カード411は、空気流導管411内に置かれ、アルプラゾラムを含む物質のエアロゾルを送達するエアロゾル送達装置410。」
2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項の記載がある。
ア 「[0053] The condensation aerosols of the various embodiments are typically formed by preparing a film containing a drug composition of a desired thickness on a heat-conductive and impermeable substrate and heating said substrate to vaporize said film, and cooling said vapor thereby producing aerosol particles containing said drug composition. Rapid heating in combination with the gas flow helps reduce the amount of decomposition. Thus, a heat source is used that typically heats the substrate to a temperature of greater than 200℃., preferably at least 250℃., more preferably at least 300℃. or 350℃. and produces substantially complete volatilization of the drug composition from the substate within a period of 2 seconds, preferably, within 1 second, and more preferably, within 0.5 seconds.[0054] Typically, the gas flow rate over the vaporizing comound is between about 4 and 50 L/minute.[0055] The film thickness is such that an aerosol formed by vaporizing the compound by heating the substrate and condensing the vaporized compound contains 10% by weight or less drug-degradation product. The use of thin films allows a more rapid rate of vaporization and hence, generally, less thermal drug degradation. Typically, the film has a thickness between 0.05 and 20 microns. In some variations, the film has a thickness between 0.5 and 5 microns. The selected area of the substrate surface expanse is such as to yield an effective human therapeutic dose of the drug aerosol.[0056] Exemplary compounds for use in the invention, and corresponding film thickness ranges are:[0057] alprazolam, film thickness between 0.1 and 10 μm;」
(当審訳)
「[0053] 様々な実施形態の凝縮エアロゾルは、典型的には、熱伝導性かつ不透過性の基材上に所望の厚さの薬剤組成物を含むフィルムを調製し、前記基材を加熱して前記フィルムを気化させ、前記蒸気を冷却して前記薬剤組成物を含むエアロゾル粒子を生成することによって形成される。ガス流と組み合わせた急速加熱は、分解量を減少させるのに役立つ。従って、典型的には、基材を200℃以上、好ましくは少なくとも250℃以上、より好ましくは少なくとも300℃または350℃の温度に加熱し、2秒以内、好ましくは1秒以内、より好ましくは0.5秒以内に基材から薬剤組成物の実質的に完全な揮発を生じる熱源が使用される。[0054] 一般的に、気化化合物上のガス流量は約4~50L/分である。[0055] 膜厚は、基材を加熱して化合物を気化させ、気化した化合物を凝縮させることにより形成されるエアロゾルが、10重量%以下の薬物分解物を含むようにする。薄いフィルムを使用することにより、気化速度がより速くなり、したがって、一般に、熱による薬物分解がより少なくなる。通常、フィルムの厚さは0.05~20ミクロンである。いくつかのバリエーションでは、フィルムは0.5から5ミクロンの間の厚さを有する。基材表面の選択された面積は、薬物エアロゾルの有効ヒト治療用量をもたらすようなものである。[0056] 本発明で使用するための例示的な化合物と、それに対応する網厚範囲は以下の通りである。[0057] アルプラゾラム、膜厚0.1~10μm;」
3 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、次の事項の記載がある。
ア 「【0013】図1、2及び6に示すように、或る好適な実施形態のエアゾール薬剤送出システム50は、保持チャンバとも呼ばれるチャンバハウジング4の入力端6に連結されている加圧式定量投与吸入器(pMDI)保持部分2、又は分注器(作動器ブーツと呼ばれることも多い)を含んでいる。例えばpMDIキャニスターのような薬剤容器8が、分注器内に形成されている空洞12内に配置されており、キャニスターのステムは、分注器の底部に形成されているウェル10に挿入されている。分注器2は、チャンバハウジング4に軸回転可能に接続されていて、装置を使用していないときは、分注器2を軸回転して並進移動させ、チャンバハウジングの内側に収容できるようになっているのが望ましい。本出願に用いている用語「薬剤」又は「薬物」及びそれらの派生語は、例えば喘息の治療のような療法で用いられる、いかなる物質をも意味している。」
イ 「【0024】アダプター30とチャンバハウジング4、20、70、90は、硬い帯電防止性のプラスチックを、例えば射出成形して作られているのが望ましい。一般的に、プラスチックは、10E12Ω/sq.を超える表面抵抗率を有している。帯電防止性の材料は、表面抵抗率が約10E10Ω/sq.から約10E12Ω/sq.の間である。静電放散材料は、表面抵抗率が約10E6Ω/sq.から約10E12Ω/sq.の間である。導電性材料は、表面抵抗率が約10E1Ω/sq.から約10E6Ω/sq.の間である。金属は、通常、表面抵抗率が約10E-1Ω/sq.から約10E-5Ω/sq.の間である。ここに記載している表面抵抗率は、ASTM試験D257に基づいて測定されている。【0025】各種実施形態において、チャンバハウジング4、20、70、90、アダプター30、マウスピース102、106、108、110及び/又はバックピース22、72は、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン、ABS、高密度ポリエチレン(HDPE)、アセタール、PBT、PETG、各種熱可塑性エラストマー及び/又はそれらの組み合わせの内の1つ又はそれ以上で作られている。例えば、該構成要素は、55987 ミネソタ州ウィノーナEastFrontStreet580に事務所を構えているRTP社から販売されている各種登録商標「PermaStat」で示される化合物で作ることができる。勿論、登録商標「PermaStat」で示される化合物以外の材料でも適している。何れにしろ、材料は、表面抵抗率が、約10E12Ω/sq.未満であるのが望ましく、約10E1Ω/sq.から約10E12Ω/sq.の間であれば更に望ましく、約10E6Ω/sq.から約10E12Ω/sq.の間であれば更に望ましく、約10E10Ω/sq.から約10E12Ω/sq.の間であれば更に望ましく、約10E10Ω/sq.から約10E11Ω/sq.の間であれば最も望ましい。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「空気流導管441」は、本願発明1の「エアウェイ」に相当する。
イ 引用発明の「蒸気要素420」は、物質が蒸気要素上に直接コーティングされ、物質はアルプラゾラムであり得るから、本願発明1の「アルプラゾラム組成物でコーティングされている」「基材」に相当する。
また、引用発明は、薬剤カード411に蒸気要素420を含む回路基板426があり、薬剤カード411が空気流導管411内に置かれるものであるから、引用発明の「蒸気要素420」は「空気流導管441」に置かれたものといえる。
ウ 引用発明は、凝縮エアゾロルが、蒸気要素420が物質を加熱し気化させ、蒸発した物質を冷却して生成されるものであり、物質はアルプラゾラムであり得るから、上記イを踏まえれば、引用発明の「凝縮エアゾロル」は、本願発明1の「基材を加熱してアルプラゾラム蒸気を形成し、続いて蒸気が凝縮して粒子を形成するように蒸気を冷却することにより形成される」「サーマル凝縮エアゾール」に相当する。
エ 上記ウを踏まえれば、引用発明の「エアロゾル送達装置410」は、本願発明1の「サーマル凝縮エアゾールを送達するためのデバイス」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「サーマル凝縮エアゾールを送達するためのデバイスであって、(a)エアウェイ、及び(b)エアウェイ内に置かれた基材、前記基材はアルプラゾラム組成物でコーティングされている、を含み、サーマル凝縮エアゾールは、前記基材を加熱してアルプラゾラム蒸気を形成し、続いて蒸気が凝縮して粒子を形成するように蒸気を冷却することにより形成される、デバイス。」
(相違点1)
本願発明1では、「エアウェイ」が「帯電防止ポリカーボネートを含む」ものであるのに対し、引用発明は、「エアウェイ」が帯電防止材料から作製されているものの、帯電防止材料が「帯電防止ポリカーボネート」であることが特定されていない点。
(相違点2)
本願発明1では、「エアゾール」が、「有機溶媒及び噴射剤を含ま」ないものであるのに対し、引用発明は、「凝縮エアロゾル」が「有機溶媒及び噴射剤」を含むか否か特定されていない点。
(相違点3)
本願発明1では、「熱源」が、「少なくとも300℃または350℃の基材温度を達成し、2秒間以内に前記基材からアルプラゾラム組成物を完全に揮発させる速度で、前記基材に熱を供給する」ものであるのに対し、引用発明では、加熱のための「熱源」について特定されていない点。
(2)相違点についての判断
相違点1について検討する。
サーマル凝縮エアゾールを送達するデバイスにおいて、サーマル凝縮エアゾールをアルプラゾラム組成物から生成することに対応して、エアウェイを帯電防止ポリカーボネートを含むように構成することは、引用文献2、3には記載も示唆もなく、また、このように構成することは原出願の優先日前において周知技術であったともいえない。
したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2、3に記載された事項から、上記相違点1に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2 本願発明2-6について
本願発明2-6は、本願発明1を減縮した発明である。したがって、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 原査定について
上記第5で説示したとおり、本願発明1-6は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-013689