商標拒絶査定不服審判
2024-013515
クロノ
- 審判番号
- 2024-013515
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-028040
- 請求日
- 2024年08月22日
- 審決日
- 2025年07月24日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】東京時計精密株式会社
- 【請求人代理人】生田 哲郎
- 審判長/審判官
- 審判長 板谷 玲子
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 滝口 裕子
- 分類
- T18 .261-Z (W14) / T18 .262-Z (W14) / T18 .263-Z (W14)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022- 28040拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年3月10日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年8月3日付け:拒絶理由通知書
令和4年9月16日 :意見書の提出
令和6年7月8日付け:拒絶査定
令和6年8月22日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、「Kurono」の欧文字を筆記体調で横書きしてなり、第14類「時計」を指定商品として登録出願されたものである。
第3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した国際登録第1663539号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2022年3月9日に国際商標登録出願、第14類「Automatic watches; chronographs [watches]; clock and watch hands; clocks and watches; dials for watches; divers' watches; diving watches; dress watches; hands for watches; jewellery watches; jewelry watches; mechanical watches; mechanical watches with automatic winding; mechanical watches with manual winding; quartz watches; sports watches; watch cases; watch dials; watch hands; watches; watches for outdoor use; watches for sporting use; watches incorporating automatic generating systems; watches made of gold; watches made of precious metals; watches made of precious metals or coated therewith; women's watches; wrist watches.」を指定商品として、2024年(令和6年)6月14日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)結合商標の類否判断について
複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、その構成部分全体によって他人の商標と識別されるから、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは原則として許されないが、取引の実際においては、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、必ずしも常に構成部分全体によって称呼、観念されるとは限らず、その構成部分の一部だけによって称呼、観念されることがあることに鑑みると、商標の構成部分の一部が需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部を要部として取り出し、これと他人の商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも、許されると解するのが相当である(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
(2)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、「Kurono」の欧文字を筆記体調に横書きしてなるところ、当該文字は、辞書に載録がないものであるから、特定の意味合いを認識、理解させるものとはいえず、既成の語ではない欧文字にあっては、親しまれたローマ字読み風又は英語読み風に称呼するのが一般的である。
したがって、本願商標は、造語であって既成の語ではない欧文字であるから、その構成文字からすれば、これをローマ字読み風に発音した「クロノ」の称呼が生じ、また、当該文字は、我が国において特定の意味を表す語として親しまれているものとはいえないから、特定の観念は生じないものである。
(3)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、顕著に大きく書された「クロノ」の片仮名と小さく書された「BUNKYO TOKYO」の欧文字(「BUNKYO」の「O」の上に長音記号を配している。以下、同じ。)とを上下二段に横書きしてなるところ、上段に顕著に大きく横書きされた「クロノ」の片仮名は、辞書に載録のない造語であるのに対し、下段に小さく横書きされた「BUNKYO TOKYO」の語は、「文京、東京」を表す地名の欧文字表記であって、引用商標の指定商品との関係において、商品の産地、販売地等を表したものと認識されるものであるから、当該部分は自他商品の識別標識としての機能を有しないか、極めて弱く、出所識別標識としての称呼、観念が生じないものというのが相当である。
そうすると、上記(1)の結合商標の類否判断の趣旨に照らせば、引用商標については、その構成中、顕著に大きく横書きされた「クロノ」の片仮名部分が需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり、「BUNKYO TOKYO」の欧文字部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないといえるから、当該「クロノ」の文字部分を要部(以下「引用商標の要部」ということがある。)として取り出し、この部分だけを本願商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、引用商標は、引用商標の要部の構成文字に相応して「クロノ」の称呼が生じ、また、当該文字は、我が国において特定の意味を表す語として親しまれているものとはいえないから、特定の観念は生じないものである。
(4)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標の類否について検討するに、両商標の構成は、それぞれ上記(2)及び(3)のとおりであるところ、外観については、本願商標と引用商標の要部は欧文字と片仮名であって文字種を異にするものの、商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したり、デザイン化したりすることが一般的に行われている取引の実情があるため、両者における文字種の相違が、看者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないものである。
次に、称呼については、本願商標と引用商標は、「クロノ」の称呼を共通にするものである。
さらに、観念については、本願商標と引用商標は、いずれも特定の観念は生じないものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できず、外観において全体の構成は異なるものの、構成中の引用商標の要部との比較において顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえず、称呼を共通にするものであるから、外観、観念、称呼等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(5)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について
本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と、同一又は類似の商品である。
(6)小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品も引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、「クロノ」の語は時計を連想させ、指定商品との関係では、全く識別力が無いと解されるものであり、また、「BUNKYO TOKYO」が地名であることから、引用商標の識別力があることを前提とすると、その称呼は、「クロノブンキョウトウキョウ」と一連にのみ読まれるべきである旨主張する。
しかしながら、「CHRONO」の文字が連結形で「時」を意味する語(「新英和中辞典(第7版)」研究社)であったとしても、これは我が国で親しまれた語とはいい難く、「クロノ」の文字も、辞書に載録のない造語であり、また、提出された証拠についてみても、その事例から「クロノ」の文字が識別力を有しないといえる事情は見いだせない。そうすると、引用商標構成中の「クロノ」の文字は、自他商品の識別機能を有し、引用商標構成中の「BUNKYO TOKYO」の語は、出所識別標識としての称呼、観念が生じないものというのが相当であるから、引用商標から、「クロノ」の文字部分を要部として抽出し、本願商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきものであることは、上記1(3)のとおりである。
(2)請求人は、引用商標の「クロノ」の部分は指定商品が時計であることを強く連想させることから、その関係でクロノをChronoに文字種を相互に変換表記することがあっても、確たる観念も生じない造語であるKuronoに文字種を変換表記することは、およそ、あり得ない旨主張する。
しかしながら、「クロノ」の文字は、辞書に載録のない造語であり、指定商品が時計であることを強く連想させるとはいい難いため、文字種を相互に変換表記する場合にはローマ字表記である「Kurono」と表記することも決して少なくないとみるのが相当である。
なお、引用商標権者の取扱いに係る時計に関連して、「クロノ」を「KURONO」と表記している事実があり(令和6年8月22日付け審判請求書において提出の甲第11号証ないし甲第14号証)、引用商標権者が、別掲3のとおり、「Kurono」及び「BUNKYO TOKYO」の欧文字を上下二段に横書きしてなる国際登録第1704528号商標を有している事実もあることは、上記認定を表す一例といえる。
(3)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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